JP3238424B2 - 透明ポリエステルフィルム、シート及びその製造法 - Google Patents

透明ポリエステルフィルム、シート及びその製造法

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JP3238424B2 JP13435491A JP13435491A JP3238424B2 JP 3238424 B2 JP3238424 B2 JP 3238424B2 JP 13435491 A JP13435491 A JP 13435491A JP 13435491 A JP13435491 A JP 13435491A JP 3238424 B2 JP3238424 B2 JP 3238424B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高結晶性でなおかつ透明
性の優れたポリエステルフィルム、シート及びその製造
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリエ
チレンテレフタレート(PET) 、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT) に代表される芳香族ポリエステルは優れた耐
熱性、および機械的強度、耐気体透過性等のバランスの
とれた物理特性により、エンジニアリングプラスチック
スとして広い分野で重用されている。これらのポリエス
テルのうち、PBT については高い結晶性を示すことから
上述の優れた特性を発揮するといえるが、反面、結晶性
が高いがために透明性が要求される用途には用いること
ができなかった。又、PET については結晶化速度が低い
ため、溶融ポリマーを急速に冷却することにより、低結
晶性の透明フィルムを得ることは比較的容易であるが、
このままでは機械的強度、耐気体透過性等が不足するた
め、アニーリングによって結晶化を進める必要がある。
ところが、結晶化の効率を高めるためにアニーリングの
温度を高くすると、白濁し、また核剤等の添加物によっ
て結晶化効率を高めようとすると、添加物そのものによ
って透明性が失われる。又、溶融状態から徐々に冷却す
ると高結晶性のポリマーを得ることはできるが、球晶に
よる可視光の散乱等により、やはり透明度の高い製品を
得ることはできない。本発明は斯かる問題点に対し優れ
た性能を有するポリエステルフィルム、シート及びその
製造法を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決すべく
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、原料ポリエステル
として、特定のコモノマーユニットを特定量導入した芳
香族コポリエステルを使用し、且つこれより得たフィル
ム、シートを特定条件で処理することにより、高結晶性
を有し、加熱雰囲気下でも白化せず透明性が失われない
フィルム、シートを提供し得ることを見出し、本発明を
完成するに至ったものである。即ち本発明は、繰り返し
単位の2〜25モル%がテレフタル酸若しくはそのエステ
ル形成性誘導体とビスフェノール類のアルキレンオキシ
ド付加体及び/又はジヒドロキシナフタレン類のアルキ
レンオキシド付加体とのエステル単位からなり、残りの
繰り返し単位が主としてテレフタル酸若しくはそのエス
テル形成性誘導体と1,4 −ブタンジオールとのエステル
単位からなる共重合ポリエステル樹脂を溶融成形したフ
ィルム又はシートを急冷して低結晶化度のフィルム又は
シートを調製し、下記式(1) となる様に選ばれた温度で
熟成後、更に下記式(2) 及び下記式(3) の範囲内の温度
で熱処理することを特徴とする透明ポリエステルフィル
ム、シートの製造法、及び該製造法により得られる相対
結晶化度50%以下で、 120℃で加熱処理しても光線透過
率75%以上を保持する透明ポリエステルフィルム、シー
トに関するものである。 式(1) Ta≦Tcc (℃) 式(2) Tg≦Tb≦Tm−2 (℃) 式(3) Tb>Ta (℃) (但し、Ta :熟成温度(℃) Tb :熱処理温度(℃) Tcc:JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
10℃/minで測定した樹脂の冷結晶化温度(℃) Tg :JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
10℃/minで測定した樹脂のガラス転移温度 (℃) Tm :JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
10℃/minで測定した樹脂の融点(℃)) 本発明を構成する共重合ポリエステルを形成するために
必要な原料化合物を順を追って説明すると、まずテレフ
タロイル基を形成するために必要な原料化合物はテレフ
タル酸及びその誘導体であり、例を示せばジアルキルエ
ステル又はジアシル化物より選ばれる1種又は2種以上
があげられる。これらの内で好ましいものはテレフタル
酸及びそのジアルキルエステルであり、特に好ましいも
のはテレフタル酸ジメチルである。本発明を構成する共
重合ポリエステルのブチレンテレフタレートユニットを
形成するオキシアルキレンオキシ基は、1,4 −ブタンジ
オールをモノマー原料として用いることで導入される。
本発明は共重合ポリエステルを形成するための原料化合
物として、これらに加えて、更に特定量のビスフェノー
ル類のアルキレンオキシド付加体及び/又はジヒドロキ
シナフタレン類のアルキレンオキシド付加体を用いるこ
とを特徴とする。
【0004】好ましいビスフェノール類のアルキレンオ
キシド付加体の例としては、下記一般式(I)〜(II)
で示される化合物が挙げられる。
【0005】
【化1】
【0006】式中、 Rは主に-CH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH2
- 、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-より選ばれる基であ
り、各々同一でも異なっていてもよい。
【0007】
【化2】
【0008】式中、Y1〜Y8は主に水素、アルキル基、ア
ルコキシ基、塩素、臭素より選ばれる基であり、各々同
一でも異なっていてもよいが、特に水素が好ましい。具
体的な原料化合物の例としては、以下に示すビスフェノ
ール類にアルキレンオキシドを付加したものが挙げられ
る。即ち、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、2,2−ビス
(3,4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、4,4'−ジフェノール、4,4'−〔1,4−フェニ
レンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルエタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ
ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン等のアルキレンオキシド付加体が挙げられ
る。その中でもポリマーの調製面より特に好ましいもの
としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンの
エチレンオキシド2モル付加体、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホンのプロピレンオキシド2モル付加
体、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
のエチレンオキシド2モル付加体、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキシド2
モル付加体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキ
シドのエチレンオキシド2モル付加体、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルホキシドのプロピレンオキシド2
モル付加体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ドのエチレンオキシド2モル付加体、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルフィドのプロピレンオキシド2モル
付加体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのエ
チレンオキシド2モル付加体、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エーテルのプロピレンオキシド2モル付加体、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのエチレンオキ
シド2モル付加体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タンのプロピレンオキシド2モル付加体、4,4'−ジフ
ェノールのエチレンオキシド2モル付加体、4,4'−ジ
フェノールのプロピレンオキシド2モル付加体、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)アルカンのエチレンオキシ
ド2モル付加体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アル
カンのプロピレンオキシド2モル付加体、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ケトンのエチレンオキシド2モル付
加体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンのプロピ
レンオキシド2モル付加体等が挙げられる。
【0009】好ましいジヒドロジナフタレン類のアルキ
レンオキシド付加体の例としては、下記一般式(III) で
示される化合物が挙げられる。
【0010】
【化3】
【0011】式中、 Rは主に-CH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH2
- 、-CH(CH3)CH2-、CH2CH(CH3)- より選ばれる基であ
り、各々同一でも異なっていてもよい。式中、Y1〜Y8
主に水素、アルキル基、アルコキシ基、塩素、臭素より
選ばれる基であり、各々同一でも異なっていてもよい
が、特に水素が好ましい。具体的な原料化合物の例とし
ては、2,6−ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキ
シド2モル付加体、2,6−ジヒドロキシナフタレンの
プロピレンオキシド2モル付加体、2,6−ジヒドロキ
シナフタレンのエチレンオキシド4モル付加体、2,6
−ジヒドロキシ−3−ブロモナフタレンのエチレンオキ
シド2モル付加体、2,6−ジヒドロキシ−3−メチル
ナフタレンのエチレンオキシド2モル付加体、2,7−
ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシド2モル付加
体、、2,7−ジヒドロキシ−3−クロロナフタレンの
エチレンオキシド2モル付加体等が挙げられ、その中で
も特に2,6−ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキ
シド2モル付加体がポリマーの調製面において好まし
い。
【0012】これらのビスフェノール類のアルキレンオ
キシド付加体残基又はジヒドロキシナフタレン類のアル
キレンオキシド付加体残基の全構成単位に対するモル分
率比の値は、ビスフェノール類のアルキレンオキシド残
基又はジヒドロキシナフタレンのアルキレンオキシド付
加体残基の夫々単独で、及び両者を合わせて全構成アル
コール残基成分に対して2〜25モル%であることが必要
であり、特に好ましくは5〜20モル%である。上記値が
2モル%よりも小さいと結晶化速度が大き過ぎるために
低結晶化度で透明性に優れたフィルム又はシートを調製
するのが困難になり、特に 1.0mm以上の肉厚のシートを
調製する場合は5モル%以上が好ましい。又、25モル%
より大きいとフィルム又はシートの機械的強度や耐気体
透過性等の物理的特性及び耐熱性が低下する。
【0013】又、該共重合ポリエステルを製造するのに
際しては、上記の必須出発原料以外に少量の他の成分を
用途に応じて用いることもできる。ここで用いられる他
の成分の例としては、イソフタル酸、オルソフタル酸、
ジフェン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪
族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
などの脂環族ジカルボン酸及びこれらのジアルキルエス
テル又はジアシル化物、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デ
カンジオールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘ
キサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール
などの脂環族ジオール、トリメシン酸トリメチル、トリ
メリット酸トリメチル、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトールの如き三官能以上の多官能化合物、ス
テアリルアルコール、o−ベンゾイル安息香酸の如き単
官能化合物、p −ヒドロキシエトキシフェニルカルボン
酸メチルの如きヒドロキシカルボン酸誘導体、ポリブチ
レングリコールの如きポリアルキレングリコール等が挙
げられ、これらの一種又は二種以上を使用することが可
能である。
【0014】これらの共重合ポリエステルは従来公知の
縮合反応や、エステル交換反応を利用して界面重縮合や
溶融重合、溶液重合等により製造することができる。ま
た得られた樹脂を減圧、又は不活性ガス存在下で熱処理
を行う固相重合法を用いることでさらに高重合度製品と
することが可能である。
【0015】溶融樹脂からフィルム、シートを成形する
方法としては T−ダイ法やインフレーション法が挙げら
れるが、好ましくは T−ダイ法である。成形加工性の面
から共重合ポリエステル樹脂の固有粘度は0.7 以上であ
ることが望ましい。尚、固有粘度とはオルソクロルフェ
ノール中25℃で測定した値である。又、本発明の方法に
おいては押出後、急冷して一旦低結晶化フィルム、シー
トとすることが必要である。
【0016】フィルム、シートの好ましい厚みについて
言及するならば、フィルム、シートの厚みが厚い場合に
はその表面部分のみが急冷により透明化し、内部は徐冷
状態となり白化しやすい傾向がある。フィルム、シート
の厚みが薄すぎる場合には、フィルム、シート自体の機
械的強度が発揮されず実用上の優れた効果が薄れてしま
う。従ってフィルム、シートの好ましい厚みの範囲を数
値をもって特定すれば、0.01〜2.5mm であり、より好ま
しくは0.02〜1mmである。また、急冷によりフィルム、
シートを製造した後に所定の厚みになるように一軸もし
くは二軸延伸を行ってもかまわない。
【0017】本発明においてはフィルム、シート調製
後、下記式(1) となるように選ばれた温度で熟成が施さ
れる。これは温水等、所定温度の熱媒中にフィルム、シ
ートを浸漬する方法や、所定温度の乾燥機中に投入する
方法、温風を吹きつける方法や、赤外線等の輻射熱によ
る方法などにより行われる。 式(1) Ta≦Tcc (℃) (但し、Ta :熟成温度 Tcc:JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
10℃/minで測定した樹脂の冷結晶化温度(℃)) 熟成温度がTcc(℃)よりも高温であると急激な結晶化
によりフィルム、シートが白濁し、好ましくない。熟成
のために必要な時間は、共重合ポリエステル樹脂中のビ
スフェノール類のアルキレンオキシド付加体残基及び/
又はジヒドロキシナフタレン類のアルキレンオキシド付
加体残基の含有率、及び熟成温度とフィルム、シートの
厚さにより異なる。上記含有率が高い程、熟成温度が低
い程、或いは、フィルム、シートの厚さが大きい程、長
い熟成時間を要する。又、熟成温度が低いと極めて長時
間の熟成を要し、生産性等の点で好ましくなく、熟成温
度は30℃以上であることが好ましい。該フィルム又はシ
ートは前出式(1) となる様に選ばれた温度で熟成後、更
に下記式(2) 及び下記式(3) の範囲内の温度で熱処理さ
れる。 式(2) Tg≦Tb≦Tm−2 (℃) 式(3) Tb>Ta (℃) (但し、Tb :熱処理温度(℃) Tg :JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
10℃/minで測定した樹脂のガラス転移温度 (℃) Tm :JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
10℃/minで測定した樹脂の融点(℃)) 特に好ましい温度範囲はTg+5≦Tb ≦Tm−10(℃)
である。Tb がガラス転移温度よりも低いと熱処理に要
する時間が長くなり過ぎるため好ましくなく、逆に高温
にすると処理時間は短縮できるが融点に近づき過ぎると
不均一な熱処理による部分的な溶融が生じる場合があり
好ましくない。斯かる処理を施すことによって、フィル
ム、シートは透明性を維持したまま高結晶性を有し、以
後、この透明性且つ高結晶性は安定に維持される。熱処
理後の透明高結晶性フィルム、シートの好ましい相対結
晶化度(CR)を特定するならばCRが50%以上である。即
ち、フィルム、シートの相対結晶化度が50%未満である
と耐気体透過性、耐熱性、表面硬度等の結晶性に基づく
長所が発揮されないので、最終製品の結晶化度が50%以
上のものが実用上望ましく、本発明によれば斯かるフィ
ルム、シートの提供が可能になった。尚、相対結晶化度
とは後記するDSC測定法により求めた値である。
【0018】また、フィルム、シートの透明性はその表
面の平滑度に大きく依存するため、高い透明性が求めら
れる場合には、プレス板又は冷却ローラーはできるだけ
平滑であることが望ましい。しかしながら、フィルム、
シートに重厚感を求める場合等はあえてフィルム、シー
ト表面を凹凸にし、透明性を低下させることも可能であ
る。これらの処理を行ったフィルム、シートでも光線透
過率75%より低下すると、透明性に基づく長所は失われ
てしまうことから、透明フィルム、シートを透明性から
好ましい範囲を規定すると、光線透過率75%以上であ
り、120 ℃で加熱処理しても光線透過率75%以上を保持
するものが実用上望ましく、本発明によれば斯かるフィ
ルム、シートの提供が可能になった。尚、本発明の組成
物には本発明の効果を阻害しない範囲で目的に応じ他の
熱可塑性樹脂や無機充填剤を補助的に添加使用すること
もできる。
【0019】
【発明の効果】以上の如く、本発明により得られる特定
の樹脂よりなる高結晶性の透明フィルム又はシートは、
溶融成形したフィルム又はシートを急冷して低結晶化度
の透明フィルム又はシートを調製し、これを熟成後熱処
理して透明性を損なうことなく結晶化度を高めたもので
あり、以下のような優れた効果を有する。 1) 樹脂の耐熱性が高く、120 ℃程度の高温条件下でも
透明性が低下せず光線透過率75%以上を保持し、また高
結晶性であるためガスバリヤー性、耐熱収縮性に優れ、
電子レンジ調理用食品包装用等に適している。 2) 機械的特性は損なわずに透明性を付与したことから
窓ガラス保護フィルム等にも用いることができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、主な特性値の測定条件は次の通りである。 (1) 融点、冷結晶化温度、ガラス転移温度 JIS K7121 に基づき示差熱分析法(DSC)により昇温
温度10℃/ min で測定した。 (2) 相対結晶化度 フィルム又はシートをDSC測定用試料に切出し、示差
熱分析法に基づいて行った。相対結晶化度の算出は下式
による。 CR=〔(ΔHm−|ΔHcc|)/|(ΔHc)HOMO|〕×100(%) (但し、ΔHm;10℃/minで昇温測定による結晶融解熱 ΔHcc;10℃/minで昇温測定による冷結晶化ピークの転移
熱 (ΔHc)HOMO;改質していないPBT ホモポリマーの溶融状
態から10℃/minで降温測定による結晶化熱) 昇温測定時に冷結晶化が進行した後に結晶が融解するた
めに、試料本来の相対結晶化度を求めるには、結晶融解
熱(ΔHm)から冷結晶化ピークの転移熱(ΔHcc)の絶
対値を差し引くことになる。 (3) 光線透過率 フィルム又はシートを切り出し、JIS K7105 に基づき測
定を行った。 (4) 酸素透過率 フィルム又はシートを切り出し、JIS K7126 に基づき測
定を行った。 (5) 加熱後光線透過率及び相対結晶化度 フィルム又はシートを切り出し、120 ℃の温度の送風乾
燥機中に10分間投入した後、JIS K7105 に基づき光線透
過率を、また上記(2) の条件より相対結晶化度を求め
た。
【0021】製造例1(ポリエステルAの合成) テレフタル酸ジメチル 229.2重量部、1,4−ブタンジ
オール 196.8重量部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンのエチレンオキシド2モル付加体56.0
重量部を所定量のテトラブチルチタネートと共に攪拌機
及び留出管を備えた反応器に仕込み、十分に窒素置換し
た後、常圧下で160 ℃まで温度を上げ、攪拌を開始し
た。さらに、徐々に温度を上昇させ副生するメタノール
を留去した。温度が240 ℃に達したところで、徐々に反
応器中を減圧させ、0.1torr の圧力で 3.0時間攪拌を続
け、固有粘度0.79の共重合ポリエステル樹脂を得た。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエ
チレンオキシド2モル付加体残基の導入率はトリフルオ
ロ酢酸−d1を溶媒とした1H-NMR測定から求めた。続い
て、該ポリエステル樹脂をペレット化し、窒素気流下で
固相重合を行い、固有粘度1.24の高重合度ポリエステル
を得た。得られたポリエステルについて、上記したよう
な特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0022】製造例2〜8(ポリエステルB〜Hの合
成) 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエ
チレンオキシド2モル付加体に代えて、表1に示すモノ
マーをそれぞれ所定の添加量で用いた以外は製造例1と
同様に重合を行い、種々の共重合ポリエステル樹脂を得
た。得られた該ポリエステルについて製造例1と同様に
固相重合を行い、続いて特性評価を行った。結果を表1
に示す。
【0023】比較製造例1(ポリエステルIの合成) 1,4−ブタンジオール及び2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンのエチレンオキシド2モル付加
体の添加量を表1に示す値に変えた以外は製造例1と同
様に溶融重合及び固相重合を行い共重合ポリエステルを
得た。得られたポリエステルについて製造例1と同様に
特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0024】比較製造例2(ポリエステルJの合成) 1,4−ブタンジオール及びビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)スルホンのエチレンオキシド2モル付加体の添加
量を表1に示す値に変えた以外は製造例2と同様に溶融
重合及び固相重合を行い共重合ポリエステルを得た。得
られたポリエステルについて製造例2と同様に特性評価
を行った。結果を表1に示す。
【0025】比較製造例3(ポリエステルKの合成) テレフタル酸ジメチル及び1,4−ブタンジオールを表
1に示したモノマー比で溶融重合及び固相重合してポリ
ブチレンテレフタレート樹脂(PBT)を得た。得られた該
ポリエステルについて製造例1と同様に特性評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0026】実施例1〜8、比較例1〜3 原料ポリエステルの違いによるフィルム、シートの特性
の違いを明らかにするため、溶融状態からの急冷条件、
フィルム、シートの厚み、熟成条件、熱処理条件を一定
にしてポリエステルAからKの評価を行った。即ち、24
0 ℃の溶融ポリマーをT−ダイダイより25℃の冷却ロー
ル上に押し出し、フィルム、シートの厚みが0.10mmにな
るように押出し速度を調節して溶融成形したフィルム、
シートの急冷条件、フィルム、シートの厚みをそろえ
た。これらのフィルム、シートを表2に示す種々の温度
と時間で恒温槽中で熟成し、続いて100 ℃の乾燥機中に
10分間投入して熱処理を行った。これらのフィルム、シ
ートの透明性、結晶性、及び耐気体透過性についての評
価結果を表2に示す。
【0027】実施例9,10、比較例4,5 熟成温度を変えた以外は、実施例1と同様にフィルム、
シートを作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0028】実施例11,12、比較例6 熱処理温度を変えた以外は、実施例1と同様にフィル
ム、シートを作製し、評価を行った。結果を表4に示
す。
【0029】実施例13,14 フィルム、シートの厚みを変えた以外は、実施例1と同
様にフィルム、シートを作製し、評価を行った。結果を
表5に示す。
【0030】
【表1】
【0031】*1 テレフタル酸ジメチル *2 1,4−ブタンジオール *3 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
のエチレンオキシド2モル付加体 *4 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのエチレ
ンオキシド2モル付加体 *5 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
のエチレンオキシド4モル付加体 *6 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのプロピ
レンオキシド2モル付加体 *7 4,4'−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエ
チリデン)〕ビスフェノールのエチレンオキシド2モル
付加体 *8 2,6−ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシ
ド2モル付加体 *9 観測されない。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 土方 健二 静岡県三島市富士見台8−8 (56)参考文献 特開 平4−363229(JP,A) 特開 平4−348135(JP,A) 特開 昭61−14934(JP,A) 特開 昭62−134244(JP,A) 特開 平4−146955(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 47/00 - 47/96 B29C 71/02 C08J 5/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位の2〜25モル%がテレフタ
    ル酸若しくはそのエステル形成性誘導体とジヒドロキシ
    ナフタレン類のアルキレンオキシド付加体とのエステル
    単位からなり、残りの繰り返し単位が主としてテレフタ
    ル酸若しくはそのエステル形成性誘導体と1,4 −ブタン
    ジオールとのエステル単位からなる共重合ポリエステル
    樹脂を溶融成形したフィルム又はシートを急冷して低結
    晶化度のフィルム又はシートを調製し、下記式(1) とな
    る様に選ばれた温度で熟成後、更に下記式(2) 及び下記
    式(3) の範囲内の温度で熱処理することを特徴とする透
    明ポリエステルフィルム、シートの製造法。 式(1) Ta≦Tcc (℃) 式(2) Tg≦Tb≦Tm−2 (℃) 式(3) Tb>Ta (℃) (但し、Ta :熟成温度(℃) Tb :熱処理温度(℃) Tcc:JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
    10℃/minで測定した樹脂の冷結晶化温度(℃) Tg :JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
    10℃/minで測定した樹脂のガラス転移温度 (℃) Tm :JIS K7121 に基づく示差熱分析法により昇温速度
    10℃/minで測定した樹脂の融点(℃))
  2. 【請求項2】 フィルム又はシートが、T−ダイ法で成
    形されたものである請求項1記載の透明ポリエステルフ
    ィルム、シートの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の製造法により得ら
    れる、相対結晶化度50%以上で、 120℃で加熱処理して
    も光線透過率75%以上を保持する透明ポリエステルフィ
    ルム、シート。
  4. 【請求項4】 フィルム又はシートの厚みが0.01〜2.5m
    m である請求項3記載の透明ポリエステルフィルム、シ
    ート。
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