JP2005171179A - ポリエステル系熱収縮性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 収縮特性が良好で、収縮仕上がりが良好であり、かつ、耐熱性に優れたポリエステル系熱収縮性フィルムを提供することである。
【解決手段】 ジカルボン酸成分とジオール成分からなるポリエステル樹脂100重量部と芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部を含む樹脂組成物を成形してなるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸成分を含むことを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルムである。
【選択図】 なし
【解決手段】 ジカルボン酸成分とジオール成分からなるポリエステル樹脂100重量部と芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部を含む樹脂組成物を成形してなるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸成分を含むことを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルムである。
【選択図】 なし
Description
本発明はポリエステル系熱収縮性フィルムに関し、詳しくは、熱収縮後に収縮白化、収縮斑、しわ、歪み等の不具合が生じず、収縮仕上がりが良好で、かつ耐熱性に優れ、収縮ラベルや食品包装などに好適に使用されるポリエステル系熱収縮性フィルムに関する。
従来、ガラス瓶やポリエチレンテレフタレートボトル(ペットボトル)に使用される収縮ラベルや食品包装用の収縮フィルムとしては、ポリ塩化ビニル又はポリスチレンからなる延伸フィルムが主に使用されてきた。これに対し、近年、安全衛生性や耐薬品性に優れたポリエステル系樹脂を使用した熱収縮性フィルムが要望されており、ポリエステル系樹脂からなる延伸フィルムの使用が増加しつつある。
しかしながら、現在使用されているポリエステル系の熱収縮性フィルムは、温度上昇に伴う収縮率の急激な増大があるため、ペットボトル等に被覆すると、しわ等の発生が起こり、収縮仕上がりが良くない等の問題があった。
また、加温用のペットボトルにおいては、ラベル同士の融着が問題となり、今まで以上の耐熱性が要求されるようになってきた。
しかしながら、現在使用されているポリエステル系の熱収縮性フィルムは、温度上昇に伴う収縮率の急激な増大があるため、ペットボトル等に被覆すると、しわ等の発生が起こり、収縮仕上がりが良くない等の問題があった。
また、加温用のペットボトルにおいては、ラベル同士の融着が問題となり、今まで以上の耐熱性が要求されるようになってきた。
これらの問題点に対し、ガラス転移温度(Tg)が40〜80℃のポリエチレンテレフタレート系ポリマーに芳香族ポリカーボネート樹脂を5〜10重量%配合成形することにより、収縮開始温度以降の収縮を緩慢にし加熱収縮温度範囲を広げる方法や(例えば特許文献1参照)、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリエステル樹脂100重量部に対し、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上異なる樹脂1〜50重量部を混合する熱収縮性フィルムが提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、これらの熱収縮性フィルムでは、収縮仕上がりの点で未だ不十分であり、また耐熱性の点で劣っているという問題点があった。
しかしながら、これらの熱収縮性フィルムでは、収縮仕上がりの点で未だ不十分であり、また耐熱性の点で劣っているという問題点があった。
本発明は、このような状況下、収縮特性が良好で、収縮仕上がりが良好であり、かつ、耐熱性に優れたポリエステル系熱収縮性フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、脂環式ジカルボン酸成分を含むジカルボン酸成分とジオール成分からなるポリエステル樹脂と芳香族系ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物を成形してなるポリエステル系熱収縮性フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステル樹脂100重量部と芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部とを含む樹脂組成物を成形してなるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸成分を含むことを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルム、
(2)ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が主に脂環式ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分とからなることを特徴とする上記(1)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(3)ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジカルボン酸成分の含有量がジカルボン酸成分の全量に対して10モル%以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(4)ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジカルボン酸成分がシクロヘキサンジカルボン酸に由来するものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(5)ポリエステル樹脂を構成するジオール成分が脂環式ジオール成分を含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(6)ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジオール成分の含有量がジオール成分の全量に対して30モル%以上であることを特徴とする上記(5)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(7)ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジオール成分がシクロヘキサンジメタノールに由来するものであることを特徴とする上記(5)又は(6)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(8)ポリエステル樹脂がポリアルキレングリコール成分を含むことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(9)ポリエステル樹脂に含まれるポリアルキレングリコール成分の数平均分子量が500〜6,000であり、かつポリエステル樹脂中の該ポリアルキレングリコール成分の含有量が5〜50重量%であることを特徴とする上記(8)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
を提供するものである。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステル樹脂100重量部と芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部とを含む樹脂組成物を成形してなるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸成分を含むことを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルム、
(2)ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が主に脂環式ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分とからなることを特徴とする上記(1)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(3)ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジカルボン酸成分の含有量がジカルボン酸成分の全量に対して10モル%以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(4)ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジカルボン酸成分がシクロヘキサンジカルボン酸に由来するものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(5)ポリエステル樹脂を構成するジオール成分が脂環式ジオール成分を含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(6)ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジオール成分の含有量がジオール成分の全量に対して30モル%以上であることを特徴とする上記(5)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(7)ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジオール成分がシクロヘキサンジメタノールに由来するものであることを特徴とする上記(5)又は(6)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(8)ポリエステル樹脂がポリアルキレングリコール成分を含むことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(9)ポリエステル樹脂に含まれるポリアルキレングリコール成分の数平均分子量が500〜6,000であり、かつポリエステル樹脂中の該ポリアルキレングリコール成分の含有量が5〜50重量%であることを特徴とする上記(8)に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
を提供するものである。
本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムは、収縮特性が良好で、また収縮仕上がりが良好であり、かつ、耐熱性に優れる。
本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムは、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステル樹脂100重量部と芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部とを含む樹脂組成物を成形してなるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸成分を含むことを特徴とする。
本発明に係るポリエステル樹脂を構成する脂環式ジカルボン酸成分を構成するための脂環式ジカルボン酸化合物としては特に限定されず、例えば1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体などが好適に挙げられる。これらの中で1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体が収縮性と耐熱性の観点から特に好ましい。さらに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体のトランス/シス異性体比は80モル%以上がトランス体であることが耐熱性の観点から好ましい。
本発明に係るポリエステル樹脂を構成する脂環式ジカルボン酸成分を構成するための脂環式ジカルボン酸化合物としては特に限定されず、例えば1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体などが好適に挙げられる。これらの中で1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体が収縮性と耐熱性の観点から特に好ましい。さらに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体のトランス/シス異性体比は80モル%以上がトランス体であることが耐熱性の観点から好ましい。
また、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分は、主に、脂環式ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分とからなることが好ましい。ここで、主に、脂環式ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分とからなるとは、量成分の合計が50モル%以上であることを言う。
芳香族ジカルボン酸成分を構成する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体などが例示され、これらの中でテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体が特に好ましい。
上記脂環式ジカルボン酸成分はジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させてポリエステル樹脂を得る際に、ジカルボン酸化合物中に脂環式ジカルボン酸化合物を一部混合させることにより、単一の共重合体として含有させることができる。また、脂環式ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂を合成しておき、脂環式ジカルボン酸化合物以外の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂とを混合することにより含有させることもできる。
芳香族ジカルボン酸成分を構成する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体などが例示され、これらの中でテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体が特に好ましい。
上記脂環式ジカルボン酸成分はジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させてポリエステル樹脂を得る際に、ジカルボン酸化合物中に脂環式ジカルボン酸化合物を一部混合させることにより、単一の共重合体として含有させることができる。また、脂環式ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂を合成しておき、脂環式ジカルボン酸化合物以外の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂とを混合することにより含有させることもできる。
ポリエステル樹脂中の脂環式ジカルボン酸成分の含有量はジカルボン酸成分の全量に対して10モル%以上であることが好ましく、さらには15モル%以上であることが好ましい。脂環式ジカルボン酸成分の含有量が10モル%以上であると得られる熱収縮性フィルムのヘーズ、耐熱性が良好となり好ましい。上限は通常98モルであり、好ましくは95モル%、さらに好ましくは90モル%である。
さらに、上記のジカルボン酸化合物以外のジカルボン酸化合物も、本発明の効果を損なわない範囲で共重合されていてもよい。かかるジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体などが例示される。
さらに、上記のジカルボン酸化合物以外のジカルボン酸化合物も、本発明の効果を損なわない範囲で共重合されていてもよい。かかるジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体などが例示される。
次に、ジオール成分を構成するためのジオール化合物としては、種々のジオール化合物を用いることができ、特に限定されないが主成分として脂肪族ジオール化合物を用いることが好ましい。具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール等が例示され、これらの中でエチレングリコールが好適に使用される。
また前記ポリエステル樹脂のジオール成分は、脂環式ジオール成分を含むことが好ましい。ここで用い得る脂環式ジオールとしては、具体的には、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等が例示され、これらの中で1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好適に使用される。さらに、1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス/シス異性体比は50モル%以上がトランス体であることが耐熱性の観点から好ましい。
また前記ポリエステル樹脂のジオール成分は、脂環式ジオール成分を含むことが好ましい。ここで用い得る脂環式ジオールとしては、具体的には、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等が例示され、これらの中で1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好適に使用される。さらに、1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス/シス異性体比は50モル%以上がトランス体であることが耐熱性の観点から好ましい。
上記脂環式ジオール成分は、ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させてポリエステル樹脂を得る際に、ジオール化合物中に脂環式ジオール化合物を一部混合させることにより、単一の共重合体として含有させることができる。また、ジカルボン酸化合物と脂環式ジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂を合成しておき、ジカルボン酸化合物と脂環式ジオール化合物以外のエチレングリコール等のジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂に混合することにより含有させることもできる。
ポリエステル樹脂中の脂環式ジオール成分の含有量はジオール成分の全量に対して30モル%以上であることが好ましく、さらには35モル%以上であることが好ましい。脂環式ジオール成分の含有量が30モル%以上であると収縮特性、収縮仕上がり、耐熱性が良好となり好ましい。上限は通常95モルであり、好ましくは90モル%である。
ポリエステル樹脂中の脂環式ジオール成分の含有量はジオール成分の全量に対して30モル%以上であることが好ましく、さらには35モル%以上であることが好ましい。脂環式ジオール成分の含有量が30モル%以上であると収縮特性、収縮仕上がり、耐熱性が良好となり好ましい。上限は通常95モルであり、好ましくは90モル%である。
また、本発明に係るポリエステル樹脂にはポリアルキレングリコール成分を含むことが好ましい。ポリアルキレングリコール成分は、例えばジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させてポリエステル樹脂を得る際に、ジオール化合物中にポリアルキレングリコールを一部混合させることにより、単一の共重合体として含有させることができる。ポリアルキレングリコール成分を構成するポリアルキレングリコールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合体などが挙げられる。これらは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの中で、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましく、特にポリテトラメチレングリコールが、ポリエステル樹脂の重合性や得られる熱収縮性フィルムの収縮仕上がりの点から好ましい。
ポリアルキレングリコールの数平均分子量は500〜6,000の範囲であることが好ましく、さらには500〜4,000、特には600〜3,000の範囲であることが好ましい。数平均分子量が500以上であると、得られるポリエステル系熱収縮性フィルムの引張弾性率が高くなり過ぎることがなく、一方、6,000以下であると、得られるポリエステル系熱収縮性フィルムの透明性が良好となる。
また、ポリアルキレングリコールは、数平均分子量の異なるものを複数種併用することもできる。複数種併用する場合は、均一に混合した状態での数平均分子量が前記範囲内であることが好ましい。なお、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等の一般的な方法により測定することができる。
上記ポリアルキレングリコール成分はポリエステル樹脂中に5〜50重量%の範囲で含有することが好ましく、10〜30重量%の範囲であることが特に好ましい。
ポリアルキレングリコールの含有量が5重量%以上であると、得られるポリエステル系熱収縮性フィルムの引張弾性率が高くなり過ぎることがなく、一方、50重量%以下であると、得られるポリエステル系熱収縮性フィルムの透明性が高く、かつ、共重合ポリエステル樹脂自体の製造が容易になるという利点がある。
また、ポリアルキレングリコールは、数平均分子量の異なるものを複数種併用することもできる。複数種併用する場合は、均一に混合した状態での数平均分子量が前記範囲内であることが好ましい。なお、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等の一般的な方法により測定することができる。
上記ポリアルキレングリコール成分はポリエステル樹脂中に5〜50重量%の範囲で含有することが好ましく、10〜30重量%の範囲であることが特に好ましい。
ポリアルキレングリコールの含有量が5重量%以上であると、得られるポリエステル系熱収縮性フィルムの引張弾性率が高くなり過ぎることがなく、一方、50重量%以下であると、得られるポリエステル系熱収縮性フィルムの透明性が高く、かつ、共重合ポリエステル樹脂自体の製造が容易になるという利点がある。
また、本発明に係るポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなどの芳香族ジオール、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、ヘキサントリカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、ピロメリト酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,6−ヘキサントリオール、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、ポリグリセロール等の3官能以上の多官能成分が共重合されていてもよい。
本発明に係るポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の慣用の製造方法、すなわち、直接重合法又はエステル交換法などにより、回分式又は連続式によって製造することができる。ここで、ポリアルキレングリコール及び/又は前述の任意の共重合成分は、重縮合反応過程の任意の段階で添加することができる。また、ジカルボン酸化合物とジオール化合物から低重合度のオリゴマーを製造しておき、これとポリアルキレングリコール及び/又は前述の任意の共重合成分とを重縮合させてポリエステル樹脂を製造することもできる。
重縮合反応により得られた樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断されてペレット状とされる。さらに、この重縮合後のペレットを加熱処理して固相重縮合させることにより、さらに高重合度化させ得ると共に、反応副生物のアセトアルデヒドや低分子オリゴマー等を低減化することもできる。
重縮合反応により得られた樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断されてペレット状とされる。さらに、この重縮合後のペレットを加熱処理して固相重縮合させることにより、さらに高重合度化させ得ると共に、反応副生物のアセトアルデヒドや低分子オリゴマー等を低減化することもできる。
前記製造方法において、エステル化反応は、必要に応じて、例えば、三酸化二アンチモンや、アンチモン、チタン、マグネシウム、カルシウム等の有機酸塩や有機金属化合物等のエステル化反応触媒の存在下でなされ、エステル交換反応は、必要に応じて、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、チタン、亜鉛等の有機酸塩や有機金属化合物等のエステル交換反応触媒の存在下でなされる。
また、重縮合反応は、例えば、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、及びこれらのエステルや有機酸塩等の燐化合物の存在下、及び、例えば、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等の金属酸化物、或いは、アンチモン、ゲルマニウム、亜鉛、チタン、コバルト等の有機酸塩や有機金属化合物等の重縮合触媒の存在下でなされる。これらの重縮合触媒のうち、特にテトラブトキシチタネート、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウムから選択される1種以上が好適に使用される。
また、重縮合過程での消泡を促進するため、シリコーンオイル等の消泡剤を添加することもできる。
また、重縮合反応は、例えば、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、及びこれらのエステルや有機酸塩等の燐化合物の存在下、及び、例えば、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等の金属酸化物、或いは、アンチモン、ゲルマニウム、亜鉛、チタン、コバルト等の有機酸塩や有機金属化合物等の重縮合触媒の存在下でなされる。これらの重縮合触媒のうち、特にテトラブトキシチタネート、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウムから選択される1種以上が好適に使用される。
また、重縮合過程での消泡を促進するため、シリコーンオイル等の消泡剤を添加することもできる。
本発明に係るポリエステル樹脂においては、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1対1)の混合溶媒中、30℃で測定した固有粘度が、通常0.4〜1.5dl/gの範囲であることが好ましい。固有粘度が0.4dl/g以上であると十分な機械的特性が得られ、また1.5dl/g未満であると成形が容易である。これらの観点から、上記条件での固有粘度は0.6〜1.2dl/gの範囲であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムは、前記ポリエステル樹脂100重量部に対して、芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部を含む樹脂組成物を成形してなるものである。ここで芳香族ポリカーボネート樹脂としては特に限定されないが入手のしやすさ等の観点からビスフェノール型ポリカーボネートが好ましい。
上記芳香族系ポリカーボネート樹脂は、2重量部以上含有するのが好ましく、上限は好ましくは60重量部、更に好ましくは50重量部である。上記範囲未満では、収縮仕上がりに劣り、上記範囲を超えると、延伸が困難となる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂と芳香族系ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物はポリエステル樹脂と芳香族系ポリカーボネート樹脂を混合すること、又はそれぞれのオリゴマーを製造しておき、重縮合させることにより得ることができる。
上記芳香族系ポリカーボネート樹脂は、2重量部以上含有するのが好ましく、上限は好ましくは60重量部、更に好ましくは50重量部である。上記範囲未満では、収縮仕上がりに劣り、上記範囲を超えると、延伸が困難となる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂と芳香族系ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物はポリエステル樹脂と芳香族系ポリカーボネート樹脂を混合すること、又はそれぞれのオリゴマーを製造しておき、重縮合させることにより得ることができる。
前記樹脂組成物は、熱収縮フィルムにした際に、耐ブロッキング性及び易滑性を付与できるという点から、無機及び/又は有機の微粒子を含有していることが好ましい。該微粒子の含有量はフィルム全体に対して、0.005〜1重量%の範囲であることが好ましく、さらには0.01〜0.6重量%の範囲、特には0.02〜0.5重量%の範囲であることが好ましい。
無機微粒子としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、弗化リチウム、カーボンブラック、及び、ポリエステル重合時のアルカリ金属、アルカリ土類金属、燐化合物等の触媒等に起因する析出物等が、また、有機微粒子としては、例えば、各種架橋ポリマー等が挙げられる。
これらの微粒子の平均粒子径としては、前述した効果の観点から、0.001〜6μmの範囲であることが好ましく、さらには0.005〜4μmの範囲、特には0.01〜3μmの範囲であることが好ましい。なお、ここで平均粒子径とは、レーザー回折法、動的光散乱法等の電磁波散乱法、遠心沈降式等の光透過法などの方法で測定した50%体積平均粒子径(d50)を意味するが、測定方法によって差異が生じる場合は、レーザー回折法による値を用いる。
また、該微粒子の混合方法としては特に限定されず、ポリエステル樹脂の重合過程で添加することもできるし、樹脂組成物の製造過程や、熱収縮性フィルムの成形過程で混合することもできる。
無機微粒子としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、弗化リチウム、カーボンブラック、及び、ポリエステル重合時のアルカリ金属、アルカリ土類金属、燐化合物等の触媒等に起因する析出物等が、また、有機微粒子としては、例えば、各種架橋ポリマー等が挙げられる。
これらの微粒子の平均粒子径としては、前述した効果の観点から、0.001〜6μmの範囲であることが好ましく、さらには0.005〜4μmの範囲、特には0.01〜3μmの範囲であることが好ましい。なお、ここで平均粒子径とは、レーザー回折法、動的光散乱法等の電磁波散乱法、遠心沈降式等の光透過法などの方法で測定した50%体積平均粒子径(d50)を意味するが、測定方法によって差異が生じる場合は、レーザー回折法による値を用いる。
また、該微粒子の混合方法としては特に限定されず、ポリエステル樹脂の重合過程で添加することもできるし、樹脂組成物の製造過程や、熱収縮性フィルムの成形過程で混合することもできる。
本発明に係る樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂を混合していてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの無水マレイン酸変性物、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等である。
さらに、該樹脂組成物はフェノール系、リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系等の光安定剤、無機系又は有機系の結晶核剤、分子量調整剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、滑材、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃補助剤、発泡剤、着色剤、分散助剤などの添加剤やガラス繊維、カーボンファイバー、マイカ、チタン酸カリファイバー等の強化材を含有していてもよい。
さらに、該樹脂組成物はフェノール系、リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系等の光安定剤、無機系又は有機系の結晶核剤、分子量調整剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、滑材、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃補助剤、発泡剤、着色剤、分散助剤などの添加剤やガラス繊維、カーボンファイバー、マイカ、チタン酸カリファイバー等の強化材を含有していてもよい。
本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムの製造は、従来公知の方法で行うことができ、特に限定されないが、例えば原料となる前記樹脂組成物をあらかじめ200〜300℃の温度で溶融押出し、カッティングしてペレット状とし、次いで該ペレット状樹脂組成物を200〜300℃の温度で溶融押出し、熱収縮性フィルムの製造を行うことができる。また、前記ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂を200〜300℃の温度溶融押出することにより、直接熱収縮性フィルムを製造することもできる。押出方法としては、特に限定されず、Tダイ法、チューブラー法等を用いることができる。
Tダイ法の場合には、押出後、表面温度が15〜80℃のキャスティングドラム上で急冷し、厚さ30〜300μmの未延伸フィルムを形成する。そして、加熱縦延伸ロールを使用し、ロール温度60〜120℃、延伸倍率1.0〜1.3倍、好ましくは1.0〜1.1倍の条件下、未延伸フィルムを延伸する。次いで、テンターを使用し、延伸温度60〜120℃、延伸倍率1.7〜7.0の条件下、上記の一軸延伸フィルムを延伸した後、55〜100℃の温度で熱処理して巻き取る。
なお、製膜の原料としてはリサイクル原料を使用することもできる。すなわち、本発明に係る樹脂組成物を原料としてシート、フィルム、繊維、成形容器、ボトル等を成形加工する際に発生する端材、あるいは本発明に係る樹脂組成物を一旦溶融してペレット状にしたものも原料として用いることができる。
Tダイ法の場合には、押出後、表面温度が15〜80℃のキャスティングドラム上で急冷し、厚さ30〜300μmの未延伸フィルムを形成する。そして、加熱縦延伸ロールを使用し、ロール温度60〜120℃、延伸倍率1.0〜1.3倍、好ましくは1.0〜1.1倍の条件下、未延伸フィルムを延伸する。次いで、テンターを使用し、延伸温度60〜120℃、延伸倍率1.7〜7.0の条件下、上記の一軸延伸フィルムを延伸した後、55〜100℃の温度で熱処理して巻き取る。
なお、製膜の原料としてはリサイクル原料を使用することもできる。すなわち、本発明に係る樹脂組成物を原料としてシート、フィルム、繊維、成形容器、ボトル等を成形加工する際に発生する端材、あるいは本発明に係る樹脂組成物を一旦溶融してペレット状にしたものも原料として用いることができる。
本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムの厚さは10〜100μmの範囲であることが好ましい。該ポリエステル系熱収縮性フィルムの厚さが10μm以上であると二次加工が容易であるという利点があり、100μmを超えるフィルムは加工性に劣る傾向がある。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
各実施例及び比較例で用いるポリエステル樹脂の組成分析及び固有粘度の測定は以下の方法で行った。
(ポリエステル樹脂の組成分析)
ポリエステル樹脂溶液試料を、核磁気共鳴装置(NMR)により1Hをモニターすることにより分析し、ジカルボン酸成分に関しては全ジカルボン酸成分に対するモル%を、ジオール成分に関しては全ジオール成分に対するモル%を、さらにポリアルキレングリコール成分のポリエステル樹脂に対する含有量(重量%)を求めた。
(固有粘度(dl/g)の測定)
ポリエステル樹脂約0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒約25mlに1.0重量%となるように110℃で溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(中央理化製「2CH型DJ504」)にて30℃で測定した。
各実施例及び比較例で用いるポリエステル樹脂の組成分析及び固有粘度の測定は以下の方法で行った。
(ポリエステル樹脂の組成分析)
ポリエステル樹脂溶液試料を、核磁気共鳴装置(NMR)により1Hをモニターすることにより分析し、ジカルボン酸成分に関しては全ジカルボン酸成分に対するモル%を、ジオール成分に関しては全ジオール成分に対するモル%を、さらにポリアルキレングリコール成分のポリエステル樹脂に対する含有量(重量%)を求めた。
(固有粘度(dl/g)の測定)
ポリエステル樹脂約0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒約25mlに1.0重量%となるように110℃で溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(中央理化製「2CH型DJ504」)にて30℃で測定した。
各実施例及び比較例で製造されるポリエステル系熱収縮フィルムについて、以下の方法で評価を行った。
(評価方法)
(1)80℃収縮率
各実施例又は比較例にて得られたフィルムを、延伸方向に70mm、これに対する直交方向に10mmの大きさに切り取り、試料を作成した。試料の延伸方向に50mm間隔の標線を付し、80℃の温水浴に10秒間浸漬させ、その後30秒間23℃の冷水に浸漬した後の標線間隔(A)を測定し、下式(1)により収縮率を算出した。
収縮率(%)=100×(50−A)/50 …式(1)
(2)収縮仕上がり
各実施例又は比較例にて得られたフィルムを延伸方向が横方向となるよう円筒状にし、水を充填した350mLのペットボトルにフィルムをかぶせて、80〜90℃に調整した蒸気シュリンクトンネルを5秒間で通過させた後の収縮状態を観察し、以下の基準で判定した。
○: 収縮ムラやしわの無いきれいな外観
△: 収縮ムラやしわが僅かにある外観
×: 収縮ムラやしわが著しい外観
(3)融着開始温度
フィルムを60mm(主収縮方向)×300mm(直交方向)に切り出し、2枚のフィルムを重ねて、テスター産業(株)製「TP−701−A型ヒートシールテスター」にて測定した。温度設定を70〜170℃の範囲で、5℃きざみで行い、各温度で圧力0.1MPa×1分間加圧後、融着の有無を確認し、融着が生じる最低温度である融着開始温度を求めた。
(評価方法)
(1)80℃収縮率
各実施例又は比較例にて得られたフィルムを、延伸方向に70mm、これに対する直交方向に10mmの大きさに切り取り、試料を作成した。試料の延伸方向に50mm間隔の標線を付し、80℃の温水浴に10秒間浸漬させ、その後30秒間23℃の冷水に浸漬した後の標線間隔(A)を測定し、下式(1)により収縮率を算出した。
収縮率(%)=100×(50−A)/50 …式(1)
(2)収縮仕上がり
各実施例又は比較例にて得られたフィルムを延伸方向が横方向となるよう円筒状にし、水を充填した350mLのペットボトルにフィルムをかぶせて、80〜90℃に調整した蒸気シュリンクトンネルを5秒間で通過させた後の収縮状態を観察し、以下の基準で判定した。
○: 収縮ムラやしわの無いきれいな外観
△: 収縮ムラやしわが僅かにある外観
×: 収縮ムラやしわが著しい外観
(3)融着開始温度
フィルムを60mm(主収縮方向)×300mm(直交方向)に切り出し、2枚のフィルムを重ねて、テスター産業(株)製「TP−701−A型ヒートシールテスター」にて測定した。温度設定を70〜170℃の範囲で、5℃きざみで行い、各温度で圧力0.1MPa×1分間加圧後、融着の有無を確認し、融着が生じる最低温度である融着開始温度を求めた。
(原料ポリエステル樹脂)
各実施例及び比較例で原料として用いるポリエステル樹脂について、以下詳細に説明する。
(1)ポリエステル樹脂1(PET1)
イーストマン・ケミカル社製「EASTAR PETG Copolyester6763」を使用した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がテレフタル酸(以下、「TPA」と略記する。)であり、ジオール成分は、エチレングリコール(以下、「EG」と略記する。)が全ジオールに対して68モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」と略記する。)が全ジオールに対して32モル%であるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.78dl/gであった。
各実施例及び比較例で原料として用いるポリエステル樹脂について、以下詳細に説明する。
(1)ポリエステル樹脂1(PET1)
イーストマン・ケミカル社製「EASTAR PETG Copolyester6763」を使用した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がテレフタル酸(以下、「TPA」と略記する。)であり、ジオール成分は、エチレングリコール(以下、「EG」と略記する。)が全ジオールに対して68モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」と略記する。)が全ジオールに対して32モル%であるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.78dl/gであった。
(2)ポリエステル樹脂2(PET2)
以下に記載する製造例1の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下、「CHDA」と略記する。)であり、ジオール成分がCHDMであるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.98dl/gであった。
製造例1
攪拌機を備えた反応槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置に、トランス体含量98%のCHDA18.4kg(107モル)と、トランス体含量70%のCHDM15.6kg(108モル)、及びテトラ−n−ブチルチタネートの6%ブタノール溶液870mlを仕込み、窒素フロー下で150℃まで加熱した後、200℃まで昇温した。その後200℃で1時間保持し、エステル化反応を行った後、200℃から250℃へ昇温しつつ徐々に反応器内を減圧にしながら重縮合反応を行った。反応器槽圧力0.1kPa、反応温度250℃で2.2時間重縮合後、得られたポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
以下に記載する製造例1の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下、「CHDA」と略記する。)であり、ジオール成分がCHDMであるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.98dl/gであった。
製造例1
攪拌機を備えた反応槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置に、トランス体含量98%のCHDA18.4kg(107モル)と、トランス体含量70%のCHDM15.6kg(108モル)、及びテトラ−n−ブチルチタネートの6%ブタノール溶液870mlを仕込み、窒素フロー下で150℃まで加熱した後、200℃まで昇温した。その後200℃で1時間保持し、エステル化反応を行った後、200℃から250℃へ昇温しつつ徐々に反応器内を減圧にしながら重縮合反応を行った。反応器槽圧力0.1kPa、反応温度250℃で2.2時間重縮合後、得られたポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
(3)ポリエステル樹脂3(PET3)
以下に記載する製造例2の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がCHDAであり、ジオール成分がCHDMであり、さらにポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記する。)が、PTMG成分を除くポリエステル樹脂100重量部に対して、10重量部共重合されたポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、1.28dl/gであった。
製造例2
攪拌機を備えた反応槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置に、トランス体含量98%のCHDA18.4kg(107モル)と、トランス体含量70%のCHDM15.6kg(108モル)、及びテトラ−n−ブチルチタネートの6%ブタノール溶液870mlを仕込み、窒素フロー下で150℃まで加熱した後、200℃まで昇温した。その後200℃で1時間保持し、エステル化反応を行った。次いで数平均分子量1,000のPTMG5kgを反応槽内に添加し、200℃から250℃へ昇温しつつ徐々に反応器内を減圧にしながら重縮合反応を行った。反応槽内圧力0.1kPa、反応温度250℃で2.2時間重縮合後、得られたポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
以下に記載する製造例2の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がCHDAであり、ジオール成分がCHDMであり、さらにポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記する。)が、PTMG成分を除くポリエステル樹脂100重量部に対して、10重量部共重合されたポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、1.28dl/gであった。
製造例2
攪拌機を備えた反応槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置に、トランス体含量98%のCHDA18.4kg(107モル)と、トランス体含量70%のCHDM15.6kg(108モル)、及びテトラ−n−ブチルチタネートの6%ブタノール溶液870mlを仕込み、窒素フロー下で150℃まで加熱した後、200℃まで昇温した。その後200℃で1時間保持し、エステル化反応を行った。次いで数平均分子量1,000のPTMG5kgを反応槽内に添加し、200℃から250℃へ昇温しつつ徐々に反応器内を減圧にしながら重縮合反応を行った。反応槽内圧力0.1kPa、反応温度250℃で2.2時間重縮合後、得られたポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
(4)ポリエステル樹脂4(PET4)
以下に記載する製造例3の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分は、TPAが全ジカルボン酸に対して80モル%、イソフタル酸(以下、「IPA」と略記する。)が全ジカルボン酸に対して20モル%であり、ジオール成分がEGであるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.81dl/gであった。
製造例3
スラリー調製槽、エステル化反応槽、重縮合槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置を用い、TPAとIPAの混合物(モル比4:1)とEGのエステル化反応物50kgを入れたエステル化反応槽に、予めスラリー調製槽にて調製したTPA34.6kg(208モル)、IPA8.6kg(52モル)及びEG19.4kg(313モル)(ジカルボン酸とジオールのモル比は1:1.2)のスラリーを連続的に添加してエステル化反応を行った。エステル化反応は、反応温度250℃、常圧の条件下、エステル化反応触媒としてポリエステル樹脂の理論収量に対して200重量ppmの三酸化アンチモンを添加し、生成する水を連続的に留出させながら、反応率95%に達するまでエステル化反応を行った。エステル化反応終了後、エステル化反応物の50kgをエステル化反応槽に残し、エステル化反応物を重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応物が移送された重縮合槽に、安定剤として正リン酸を添加し、重合触媒として酢酸コバルトと三酸化二アンチモンを添加した(何れもEG溶液として添加)。正リン酸、酢酸コバルト、三酸化二アンチモンの添加量はそれぞれ、ポリエステル樹脂の理論収量に対して、60重量ppm、150重量ppm、200重量ppmとした。
その後、常圧から1mmHgまで減圧すると共に、内温を約250℃から約280℃まで上昇させ、EGを留出させながら溶融重縮合反応を行った。減圧開始後4時間経過したところで復圧し、重縮合反応を終了した。重縮合槽を復圧後、槽下部よりポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
以下に記載する製造例3の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分は、TPAが全ジカルボン酸に対して80モル%、イソフタル酸(以下、「IPA」と略記する。)が全ジカルボン酸に対して20モル%であり、ジオール成分がEGであるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.81dl/gであった。
製造例3
スラリー調製槽、エステル化反応槽、重縮合槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置を用い、TPAとIPAの混合物(モル比4:1)とEGのエステル化反応物50kgを入れたエステル化反応槽に、予めスラリー調製槽にて調製したTPA34.6kg(208モル)、IPA8.6kg(52モル)及びEG19.4kg(313モル)(ジカルボン酸とジオールのモル比は1:1.2)のスラリーを連続的に添加してエステル化反応を行った。エステル化反応は、反応温度250℃、常圧の条件下、エステル化反応触媒としてポリエステル樹脂の理論収量に対して200重量ppmの三酸化アンチモンを添加し、生成する水を連続的に留出させながら、反応率95%に達するまでエステル化反応を行った。エステル化反応終了後、エステル化反応物の50kgをエステル化反応槽に残し、エステル化反応物を重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応物が移送された重縮合槽に、安定剤として正リン酸を添加し、重合触媒として酢酸コバルトと三酸化二アンチモンを添加した(何れもEG溶液として添加)。正リン酸、酢酸コバルト、三酸化二アンチモンの添加量はそれぞれ、ポリエステル樹脂の理論収量に対して、60重量ppm、150重量ppm、200重量ppmとした。
その後、常圧から1mmHgまで減圧すると共に、内温を約250℃から約280℃まで上昇させ、EGを留出させながら溶融重縮合反応を行った。減圧開始後4時間経過したところで復圧し、重縮合反応を終了した。重縮合槽を復圧後、槽下部よりポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
(5)ポリエステル樹脂5(PET5)
以下に記載する製造例4の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分は、TPAが全ジカルボン酸に対して80モル%、IPAが全ジカルボン酸に対して13モル%、アジピン酸(以下、「AA」と略記する。)が全ジカルボン酸に対して7モル%であり、ジオール成分がEGであるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.72dl/gであった。
製造例4
TPA34.6kg(208モル)、IPA5.6kg(34モル)、AA2.6kg(18モル)及びEG19.4kg(313モル)(ジカルボン酸とジオールのモル比は1:1.2)を原料とし、製造例3と同様の方法でポリエステル樹脂を得た。
以下に記載する製造例4の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分は、TPAが全ジカルボン酸に対して80モル%、IPAが全ジカルボン酸に対して13モル%、アジピン酸(以下、「AA」と略記する。)が全ジカルボン酸に対して7モル%であり、ジオール成分がEGであるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.72dl/gであった。
製造例4
TPA34.6kg(208モル)、IPA5.6kg(34モル)、AA2.6kg(18モル)及びEG19.4kg(313モル)(ジカルボン酸とジオールのモル比は1:1.2)を原料とし、製造例3と同様の方法でポリエステル樹脂を得た。
実施例1
原料ポリエステル樹脂PET1を24重量部、ポリエステル樹脂PET2を76重量部と芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン E−2000」)を43重量部配合し、東芝機械製「TEM58mm」押出機により、幅200mmのTダイ口金から、真空ベントを引きつつ時間吐出量8kgにて冷却ロール上に押出し、幅150mm、厚さ0.20mmのシートを得た。その後、上記シートをT.M.Long社製「フィルムストレッチャー」を標準仕様にて使用し、延伸温度97℃、延伸速度3000%/分でキャスティング押出方向に対して、垂直方向に4倍延伸を行い、厚さ50μmの熱収縮性フィルムを得た。該熱収縮性フィルムについて、上記方法にて評価を行った。結果を第1表に示す。
原料ポリエステル樹脂PET1を24重量部、ポリエステル樹脂PET2を76重量部と芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン E−2000」)を43重量部配合し、東芝機械製「TEM58mm」押出機により、幅200mmのTダイ口金から、真空ベントを引きつつ時間吐出量8kgにて冷却ロール上に押出し、幅150mm、厚さ0.20mmのシートを得た。その後、上記シートをT.M.Long社製「フィルムストレッチャー」を標準仕様にて使用し、延伸温度97℃、延伸速度3000%/分でキャスティング押出方向に対して、垂直方向に4倍延伸を行い、厚さ50μmの熱収縮性フィルムを得た。該熱収縮性フィルムについて、上記方法にて評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例2〜実施例5、比較例1〜5
第1表に示す配合量にて原料ポリエステル樹脂及び芳香族ポリカーボネート樹脂を配合し、第1表に示す延伸温度にて延伸したことを除いて、実施例1と同様にして熱収縮性フィルムを得、同様に評価した。結果を第1表に示す。
第1表に示す配合量にて原料ポリエステル樹脂及び芳香族ポリカーボネート樹脂を配合し、第1表に示す延伸温度にて延伸したことを除いて、実施例1と同様にして熱収縮性フィルムを得、同様に評価した。結果を第1表に示す。
Claims (9)
- ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステル樹脂100重量部と芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部とを含む樹脂組成物を成形してなるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸成分を含むことを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルム。
- ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分が主に脂環式ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分とからなることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジカルボン酸成分の含有量がジカルボン酸成分の全量に対して10モル%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジカルボン酸成分がシクロヘキサンジカルボン酸に由来するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- ポリエステル樹脂を構成するジオール成分が脂環式ジオール成分を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジオール成分の含有量がジオール成分の全量に対して30モル%以上であることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- ポリエステル樹脂を構成する脂環式ジオール成分がシクロヘキサンジメタノールに由来するものであることを特徴とする請求項5又は6に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- ポリエステル樹脂がポリアルキレングリコール成分を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- ポリエステル樹脂に含まれるポリアルキレングリコール成分の数平均分子量が500〜6,000であり、かつポリエステル樹脂中の該ポリアルキレングリコール成分の含有量が5〜50重量%であることを特徴とする請求項8に記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007100004A (ja) * | 2005-10-07 | 2007-04-19 | Mitsubishi Chemicals Corp | 熱収縮性ポリエステル系樹脂発泡フィルム |
US7425590B2 (en) * | 2005-07-12 | 2008-09-16 | Eastman Chemical Company | Transparent two phase polyester-polycarbonate compositions |
-
2003
- 2003-12-15 JP JP2003416263A patent/JP2005171179A/ja active Pending
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