JP2642130B2 - 低温結晶性に優れたガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

低温結晶性に優れたガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物

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JP2642130B2
JP2642130B2 JP63085831A JP8583188A JP2642130B2 JP 2642130 B2 JP2642130 B2 JP 2642130B2 JP 63085831 A JP63085831 A JP 63085831A JP 8583188 A JP8583188 A JP 8583188A JP 2642130 B2 JP2642130 B2 JP 2642130B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は優れた結晶化特性を有し、熱的、機械的性質
に優れたガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物に関す
る。
[従来の技術] ポリアルキレンテレフタレートは、繊維、フイルムあ
るいは成形物の製造用原料として非常に重要である。中
でもポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称す
る)は、耐熱性、耐薬品性、機械的性質、電気的性質な
ど多くの選れた物性のために各種工業製品の製造用とし
て特に適当である。しかしながら、このPETを射出成形
品としてプラスチツク用途に使用しようとする場合、PE
Tの結晶化挙動に原因して成形上および物性上の大きな
欠点があることが知られている。すなわち、PETは低温
における結晶化速度が小さいため、例えば130℃以下の
金型温度で射出成形した場合に結晶化のよく進んだ成形
品は得難く、表面硬度に乏しい成形品しか得られない。
しかも、得られた成形品をガラス転移点以上の温度で使
用すると、結晶化が進行するため形状安定性が不良とな
る。また、金型内で均一に結晶化しないことによる表面
荒れも起こり、射出成形用樹脂としては、多くの問題点
を有していた。さらに金型温度を50℃前後にして成形を
行ない、PETがほとんど結晶化していない成形品を得た
後、熱処理する方法が一部では行なわれているが、この
方法は作業能率が悪いばかりでなく、熱処理により結晶
化して成形品が体積収縮したり変形するなどの欠点を有
している。したがつてPETの成形は通常は130℃以上の金
型温度の得られる特殊な成形機を用いて行なわれている
が、そのような成形機は一般的でないため、一般に使用
されている金型温度80〜100℃以下の成形機を用いて良
好な成形のできるPET系樹脂組成物が望まれていた。
上記の問題を解決せんがために、PET成形性を改良す
るための種々の方法が提案されている。
結晶核形成剤(核剤)として有機カルボン酸の金属塩
化合物の添加が特に有効で、安息香酸ナトリウム、ステ
アリン酸ナトリウム等の芳香族または脂肪族カルボン酸
のアルカリ金属塩が特公昭46−29977号公報および特公
昭47−14502号公報に提案されている。また、特公昭45
−26225号公報にはα−オレフインとα,β−不飽和カ
ルボン酸との共重合体の金属塩の添加が提案されてい
る。特開昭56−92918号公報にはポリエステルの末端基
をカルボン酸等の金属塩にする方法が提案されている。
更に、USP4,548,978号にはPETに結晶化促進剤としてポ
リアルキレングリコール成分を含有せしめ、そのうち公
知の核剤を配合する方法が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] 特公昭46−29977号および特公昭47−14502号公報によ
る方法では該金属塩化合物を添加すると成形時にPETの
分子量の低下が激しくなるという問題がある。特公昭45
−26225号公報による方法では成形品の機械的強度の低
下及び加熱時の着色劣化の問題が現われる。さらに該金
属塩はポリマー中への均一分散性が不良であるため、得
られた成形品は結晶化度に関して不均質なものとなり、
寸法安定性や形状安定性の点で見劣りするものとなる。
更に、特開昭56−92918号公報による方法では、カルボ
ン酸等の金属塩基は分子の末端にのみに導入され、した
がつて通常のポリエステルにおいては1分子当たり、た
かだか2個導入されるにすぎず、顕著な結晶化促進効果
を得るのは困難である。また、十分に高い分子量を有す
る該ポリエステルを得るには、通常より長時間重縮合反
応を行なう必要があるためポリマーが着色するという難
点があり、所望の高分子量ポリエステルを得るのが困難
な場合がある。USP4,548,978号による方法によつても、
金型温度100℃以下では良好な成形物を得るまでには至
つていない。
而して、本発明の目的は、PETの高融点、高剛性とい
う優れた性質を損うことなく、100℃以下の低温金型温
度における射出成形の成形性が改善された新規なPET系
ガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物を提供すること
にある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、重合体の構成成分として、主要成分で
あるテレフタル酸成分とエチレングリコール成分以外
に、カルボン酸のアルカリ金属塩基を有する多官能性成
分およびポリアルキレングリコール成分をポリエステル
に共重合せしめることにより、上記目的を達成し得るこ
とを見い出し、本発明を完成するに至つた。
すなわち本発明は、(A)テレフタル酸を主たるもの
とするジカルボン酸成分a及びエチレングリコールを主
たるものとするグリコール成分bより成るポリエステル
において、カルボン酸のアルカリ金属塩基を有するジオ
キシモノカルボン酸成分cを成分aに対して0.01〜8モ
ル%含み、また数平均分子量が400〜4,000であるポリア
ルキレングリコール成分dをa、b両成分より成るポリ
エステルに対して1〜50重量%含む共重合ポリエステル
100重量部及び(B)ガラス繊維5〜150重量部より成る
ガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物を提供するもの
である。
本発明の共重合ポリエステル(A)におけるジカルボ
ン酸成分aとは、テレフタル酸成分を主たる対象とする
ものであるが、その一部即ち10モル%未満をテレフタル
酸成分以外の他のジカルボン酸成分で置換えてもよい。
かかるテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分として
は、例えばイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸、ジフエノキシエタンジカルボン酸、ジフエニル
ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が例示でき、また
アジピン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸の如
き脂肪族又は脂環族ジカルボン酸等も例示できる。
本発明の共重合ポリエステル(A)におけるグリコー
ル成分bとはエチレングリコール成分を主たる対象とす
るが、その一部、即ち10モル%未満をエチレングリコー
ル成分以外の他のグリコール成分で置換えてもよい。か
かるグリコール成分としてはトリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−
ジメタノール等の脂肪族又は脂環族のグリコールが例示
でき、またハイドロキノン、レゾルシン、ビスフエノー
ル類などの芳香族グリコールも例示できる。更にまたオ
キシ安息香酸、オキシカプロン酸、ヒドロキシエトキシ
安息香酸等のオキシカルボン酸類を共重合してもよい。
本発明の共重合ポリエステル(A)における多官能性
成分cは、カルボン酸のアルカリ金属塩基を有するジオ
キシモノカルボン酸成分であり、炭素数3以上、好まし
くは3〜22の脂肪族、脂環族又は芳香族のジオキシモノ
カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、最も好ましい
ものとしてジメチロールプロピオン酸のアルカリ金属塩
が挙げられる。前記以外の多官能性成分cの具体例とし
ては、例えばグリセリン酸、4,4−ビス(4−ヒドロキ
シシクルヘキシル)吉草酸、9,10−ジオキシオクタデカ
ン酸等のアルカリ金属塩が挙げられる。
これらのジオキシモノカルボン酸類はアルキル基等の
非官能性の置換基で置換されていてもよい。
本発明はこれらの例示成分に限定されるものではな
い。アルカリ金属塩としてはリチウム塩、ナトリウム
塩、カリウム塩、セシウム塩などが挙げられるが、ナト
リウム塩もしくはカリウム塩が特に好適に使用される。
本発明の目的を達成するための共重合ポリエステル
(A)中におけるかかる多官能性成分の含有量は、前記
ジカルボン酸成分aに対して0.01〜8モル%、より好適
には0.1〜5モル%である。0.01モル%未満では本発明
の目的である結晶化促進には実質上効果がなく、一方8
モル%を越える添加では力学的物性が低下するという欠
点が現われるので好ましくない。
本発明の共重合ポリエステル(A)におけるポリアル
キレングリコール成分dとしては、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドと
の共重合体のグリコールまたはこれらの片末端をアルキ
ル基、アリール基、アルアリール基等とエステル結合、
エーテル結合等によつて結合した誘導体が用いられる。
特に好ましくはポリエチレングリコール及び/又はポリ
テトラメチレングリコールが用いられる。該ポリアルキ
レングリコール成分dの数平均分子量としては400〜4,0
00の範囲にあることは重要である。該ポリアルキレング
リコール成分dの数平均分子量が400より小さい場合
は、熱変形温度が低下し耐熱性が劣る。一方4,000より
大きい場合は成形品での表面光沢が不良となり好ましく
ない。
本発明の共重合ポリエステル(A)におけるポリアル
キレングリコール成分dの割合は、前記ジカルボン酸成
分aおよびグリコール成分bより成るポリエステルに対
して1〜50重量%好ましくは3〜30重量%である。1重
量%より少ないと、本発明の結晶性改善の効果は小さ
く、好ましくない。一方50重量%より多いと熱変形温度
が低くて耐熱性の点で劣り、また成形物の剛性が低下す
るため好ましくない。
本発明における最大の特徴は、ポリエステルの構成成
分として前記a、bの二成分以外に、結晶核剤として作
用し得るカルボン酸のアルカリ金属塩を有する多官能性
成分c並びに結晶化促進剤として作用し得るポリアルキ
レングリコール成分dを、ポリエステル中に共重合して
いることにある。かかる多官能性成分およびポリアルキ
レングリコール成分のポリエステル中への導入は、これ
ら両性分を前記ジカルボン酸成分aまたはグリコール成
分bあるいはそれらの反応物と反応させ、重縮合するこ
とにより達成し得る。あるいは、該多官能性成分cおよ
びポリアルキレングリコール成分dを各々別途に、前記
ジカルボン酸成分aおよびグリコール成分bあるいはそ
れらの反応物と反応させ、重縮合した後に両者を混合す
る方法によつても達成し得る。
本発明において多官能性成分cとポリアルキレングリ
コール成分dは共重合ポリエステル中にどのような結合
様式で導入されていてもよい。すなわち、多官能性成分
cがそのエステル形成性官能基によるエステル化反応に
より共重合ポリエステルを構成する他の成分との反応に
より導入される場合はもちろん、多官能性成分cがポリ
アルキレングリコール成分dと直接エーテル基で結合さ
れる場合を含む。例えば、ジメチロールプロピオン酸金
属塩の一方又は両方の水酸基にエチレンオキシド等を付
加反応させて得られるカルボン酸金属塩を分子中に有す
るポリアルキレングリコールも本発明に含まれる。
本発明の共重合ポリエステル(A)は、通常ポリエス
テルを製造する際に用いられる公知の方法により製造さ
れる。まず、反応成分の混合物を触媒の存在下又は不存
在下、大気圧もしくは加圧下において不活性ガス雰囲気
下で昇温させることにより反応させる。その場合、各原
料成分は酸又はアルコールあるいはそれらのエステル形
成性誘導体の形で用いられる。これらの反応を行なうた
めに採用される温度は180℃〜270℃の範囲にあり、好ま
しくは210〜260℃の範囲である。この反応終了後、得ら
れたオリゴマー生成物を重縮合させる。該重縮合反応
は、公知の重縮合触媒例えばアンチモン、ゲルマニウ
ム、チタン、亜鉛、コバレト、マンガンなどの化合物の
存在下、10mmHg以下好ましくは1mmHg以下の圧力におい
て260〜295℃の範囲の温度で行なわれる。本発明の共重
合ポリエステル(A)の場合の多官能性成分cおよびポ
リアルキレングリコール成分dの添加は、ポリエステル
製造時の任意の段階で可能であり、例えばエステル化又
はエステル交換の段階、重縮合の段階でもよく、あるい
は重縮合後に添加して更に重縮合を続けて反応を完結し
てもよい。
本発明の共重合ポリエステル(A)の極限粘度は、30
℃におけるフエノールとテトラクロルエタンの等重量混
合溶媒系において測定した場合、0.35〜1.5好ましくは
0.45〜1.3の範囲にある。極限粘度が0.35未満では、ポ
リエステルの強度的物性が低下して好ましくなく、また
1.5を越える場合には、溶媒粘度が著しく増大して、特
に射出成形において不都合が生じる。
本発明より得られる共重合ポリエステルにおいて、多
官能性成分cは共重合により重合体分子中に導入され
る。例えばテレフタル酸、エチレングリコール、ジメチ
ロールプロピオン酸ナトリウム及びポリエチレングリコ
ールより得られた本発明の共重合ポリエステルにおい
て、該ポリエステル(溶媒:三フツ化酢酸)の500MHz 1
H−NMRスペクトルにおいては、PETにおいて現われる吸
収以外にメチル基のプロトンの吸収が1.3ppmの位置にシ
ングレツトとして観測されること、及び該共重合ポリエ
ステルを溶媒(フエノールとテトラクロルエタンの等重
量混合溶媒)に溶解しメタノールで再沈させた試料にお
いてもメチル基のプロトンの吸収が同様(位置及び強
度)に観測されること、またこれらの情報と共にジメチ
ロールプロピオン酸ナトリウム(溶媒:三フツ化酢酸)
の同スペクトルにおいてはメチル基のプロトンの吸収が
1.1ppm、1.2ppm及び1.3ppmの位置に現われ、各ピークは
それぞれ の構造に帰属できることも考慮すると、該ポリエステル
においてジメチルロールプロピオン酸ナトリウムは、単
なる混合あるいは重合体末端に導入されたものではなく
共重合成分として重合体分子中に導入されていることが
明らかである。しかしながら、本発明の共重合ポリエス
テル(A)において、多官能性成分cを末端に結合した
場合を排除するものではない。
本発明の共重合ポリエステル(A)は、上述の如く、
結晶核剤として作用し得るカルボン酸のアルカリ金属塩
基含有成分cおよび結晶化促進剤として作用し得るポリ
アルキレングリコール成分dが共にポリエステルの構成
成分として既に重合体分子中に組み込まれたものである
ため、単独でも充分結晶化速度が大きく、かつガラス転
移温度が低くなつているのが特徴である。それゆえ、成
形用材料として使用する場合、従来のPETでは必要とさ
れた結晶核剤を別途配合することは実質的に不要となつ
てかかる核剤の添加に伴なう問題点が必然的に解消さ
れ、かつ従来のPETでは困難であつた100℃以下の低い金
型温度においても優れた成形性が得られる様になつた。
またこの様に優れた結晶化特性を有する本発明の共重合
ポリエステル(A)は、熱的性質及び力学的性質に関し
ても充分良好であり、成形用材料として好ましいもので
ある。
本発明で使用されるガラス繊維(B)としては、プラ
ツチツクス強化用に使用されている通常のガラス繊維で
よく、直径は3〜30μが好ましい。製造法によつてロー
ビングでもチヨツプドストランドでも種々の形態のもの
が使用できる。またガラス繊維はシラン処理、クロム処
理などのプラスチツクスとの接着性向上を目的とした処
理を施したものが好ましい。
ガラス繊維(B)の使用量は共重合ポリエステル
(A)100重量部に対して一般に150重量部以下が適当で
ある。150重量部を越えると系の流動性が乏しくなり成
形困難となるほか、成形物の表面光沢を損う傾向が大と
なる。
本発明の組成物においてはガラス繊維5重量部以上配
合すると通常のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物
と同様に熱変形温度が高くなる。
特に、すぐれた物性及び高い熱変形温度を保持した組
成物を得るためにはガラス繊維は共重合ポリエステル
(A)100重量部に対し10重量部以上120重量部以下が好
ましい。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物にお
いて、ポリエステル分子の低温における結晶性とより高
めるため、必要に応じて、可塑剤を添加することがあ
る。このような物質としては上記の働きをする物質であ
れば公知のものを全て使用し得る。
このような例としては、たとえば、多価アルコールの
脂肪族エステル類、多価アルコールの芳香族エステル
類、多価カルボン酸のエステル類、ポリアルキレングリ
コール類、ポリアルキレングリコールのモノー又はジア
ルキルエーテル類、脂肪族グリコールと脂肪族ジカルボ
ン酸からなるポリエステルジオール類、環状エステル
(ラクトン類)の開環重合によって得られポリエステル
ジオール類、各種ポリエステルジオールのモノー又はジ
脂肪酸および/又は芳香族カルボン酸エステル類、芳香
族スルホン酸アミド類、芳香族スルホン酸ナトリウム、
弗化ポリオレフイン類等を挙げることができる。
これらの物質のうちポリアルキレングリコール類、ポ
リアルキレングリコールのモノ又はジアルキルエーテル
類が好ましく用いられる。
中でも一般式 R1OR2OnR1′ ……(I) (R1、R1′はHまたは炭素数1〜10のアルキル、アシ
ル、アロイルを表わし、R2は炭素数2〜4のアルキレン
基を表わす。またnは5以上の数である。)で表わされ
るポリアルキレングリコールが好ましい。とりわけR1
よびR1′が低級アルキル基である物質が好ましい。例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール及びこれらのモノま
たはジアルキルエーテル(例えばモノメチルまたはジメ
チルエーテル、モノエチルまたジエチルエーテル、モノ
プロピルまたはジプロピルエーテル、モノブチルまたは
ジブチルエーテル等)、モノまたはジアルカノエート及
びモノ又はジアレーンカルボキシレート(例えばモノア
セテート、ジアセテート、モノ−2−エチルヘキサノエ
ート、ジ−2−エチルヘキサノエート、モノベンゾエー
ト、ジベンゾエート等)をあげることができる。本発明
においては、成形時のポリエステル樹脂の固有粘度の低
下が少ない点でポリアルキレングリコールは両末端がア
ルキルエーテルになつているものが好ましい。片末端だ
けがエーテル化されたモノアルキルエーテルや、両末端
が水酸基のポリアルキレングリコールを使用した場合に
は成形時のポリエステル樹脂の固有粘度低下が大きいの
で、これらを使用するときは、高重合度のポリエステル
樹脂を使用することが必要となる。ポリアルキレングリ
コール(I)の重合度nは5以上であることが必要であ
り、5未満では成形物の表面にポリアルキレングリコー
ル(I)が浮き出しやすくなるので好ましくない。ポリ
アルキレングリコール(I)の使用量は共重合ポリエス
テル(A)100重量部に対して10重量部以下、好ましく
は5重量部以下が適当である。10重量部より多くなると
成形物の剛性が低下するので不適当である。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物にお
いて、さらに結晶性を改善することを期待して、結晶核
形成剤を使用することも可能である。
本発明のガラスの繊維強化ポリエステル樹脂組成物に
おいて、必要に応じて難燃剤を添加することが出来、有
機ハロゲン系、リン系等難燃剤として公知のものが全て
使用できる。
特に好ましい難燃剤としてポリ(ハロゲン化スチレ
ン)、ハロゲン化エポキシ化合物等が挙げられる。
更に、本発明においては難燃剤と組み合せて各種の難
燃助剤を用いることができる。具体的に使用される難燃
助剤としては三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等
のアンチモン化合物、ほう酸塩、水酸化アルミニウム、
酸化ジルコニウムまたは酸化モリブデン等が例示され
る。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物にお
いては、本発明の効果を損なわない範囲で上述した成分
以外の重合体、例えばポリエステル樹脂、ポリオレフイ
ン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボーネート樹脂、ポリ
アミド樹脂、ゴム状弾性体等と混合して成形することが
でき、またポリエステル樹脂に普通使用される添加剤、
例えば着色剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線安定剤等を
含有することができる。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物は、
各成分を任意の公知の手段により混ぜ合わせることによ
り製造される。
該組成物は射出成形法により金型の形状によつて任意
の形状のものを製造することができる。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物は射
出成形のみならず、押出し成形などの溶融成形法によつ
て各種成形品を製造することができる。押出し成形によ
つて得られる成形品としては、棒状、シート状、板状、
チユーブ状またはパイプ状など成形ダイの形状によつて
任意の形状のものを製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。
本発明において実施例中の部は全て重量基準である。
合成1〜13 テレフタル酸ジメチル(DMT)97部、エチレングリコ
ール68部、酢酸マンガン0.024部、酸化防止剤としての
イルガノツクス1010(チバガイギー社)0.1部および変
性剤としてのジメチロールプロピオン酸ナトリウムとポ
リアルキレングリコール成分dを表1に示した種類と割
合で、撹拌機、精留塔およびメタノール留出冷却管を設
けた反応器に仕込んだ。次いで150℃から235℃に加熱し
て反応により生成するメタノールを系外に留出させつつ
エステル交換反応せしめ、メタノールの留出が終了した
反応開始後約3時間の時点で安定剤として亜リン酸0.09
7部及び重縮合触媒として三酸化アンチモン0.034部を添
加した。得られた反応混合物を撹拌機及びエチレングリ
コール留出冷却管を設けた反応器に移し、235℃から275
℃に徐々に昇温しつつ系の圧力を常圧から1mmHg以下の
高真空に徐々に下げながら縮合反応を進めた。所定の溶
融粘度に達した時点で重縮合反応を終了した。得られた
ポリマーについて以下の評価を行ない結果を表1に示し
た。
ポリマーの極限粘度([η])は、フエノールとテト
ラクロルエタンの等重量混合溶媒系を用い30℃で測定し
た。
結晶性の評価は、下記方法により求められるΔT並び
にTchから行なつた。
ΔT=Tcc−Tch ここでTcc及びTchは、示差走査熱量計(メトラー社
製、DSC、TA−3000)を用いて測定した降温結晶化温度
及び昇温結晶化温度を表わす。なおTccは、試料を熱量
計に入れて290℃で5分間窒素気流中で溶融後、10℃/
分の降温速度で冷却したときの発熱ピーク温度を示し、
一方Tchは、乾燥試料を285℃に加熱した熱プレスで約50
μのフイルムに成形し液体窒素で急冷したほゞ非晶質の
フイルム試料について、10℃/分の昇温速度で昇温した
ときの結晶化発熱ピーク温度を示す。結晶性とDSCによ
るこれらのピーク温度との関連については、ΔTが大き
い程(即ち、Tccが高くてTchの低い程)結晶化速度が速
いことに対応し、更にこのΔTが大でかつTchが低い
程、より低温の金型で良好な射出成形性を達成し得るこ
とを示す。
耐熱性の指標となる融点(Tm)は、上記非晶質フイル
ムを10℃/分の昇温速度でDSC測定した。ときに得られ
る結晶融解ピークでもつて表わした。又、成分dの分子
量はJIS K1557に基づき定量した末端水酸基価より算出
したものである。
実施例1〜11 合成1〜9により得られた共重合ポリエステル100重
量部、およびガラス繊維(チヨツプドストランド、繊維
径9μm、繊維長3mm)を表2に示す量で、予め乾燥し
て混合した後、40mmφ押出機(プラスチツク工学研究所
(株)製UT−40−H)のホツパーに投入し、シリンダー
温度250℃−270℃−275℃−275℃−275℃、ダイ温度285
℃で溶融混練しつつ押出し、得られたストランドを水冷
し、カツターで切断してペレツトを得た。
得られたペレツトを120℃で15時間熱風乾燥した後、
シリンダー温度240℃−275℃−275℃、ノズル温度280
℃、金型温度80℃に調節された射出成型機(日精樹脂工
業(株)製、F S 80S 12A S E型)により試験片を成形
した。
成形時の離型性と得られた成形品の表面光沢を評価
し、また得られた試験片の物性を測定し、表2に示し
た。なお以下の方法で成形品を評価した。
離型性 二辺の長さが30mmと25mmであり、深さ10mm、厚さ0.5m
mの箱状成形品を成形する際の離型のしやすさを5段階
に評価した。
◎ 非常に良い、○ 良 い、 △ やゝ良い、× 悪 い、 ×× 非常に悪い 表面光沢 平板状試験片の表面光沢を光沢計(スガ試験機(株)
製、デジタル変角光沢計UGV−50型)で測定した。目視
による評価を加え、下記の基準で判定した。
判 定 光沢度(%) ◎ 非常に良い 70< ○ 良 い 60〜70 △ やゝ良い 40〜60 × 悪 い 10〜40 ×× 非常に悪い <10 物 性 下記の方法に準拠して評価を行なつた。
引張強さ:ASTM D638 曲げ強さ:ASTM D790 曲げ弾性率:ASTM D790 ノツチ付アイゾツト衝撃強さ:ASTM D256 熱変形温度:ASTM D648、ただし荷重18.6kg/cm2 比較例1〜4 実施例1において、共重合ポリエステルの代りに合成
10で得られたPET(比較例1)、合成11、12及び13で得
られた共重合ポリエステル(比較例2、3及び4)を用
いる以外は実施例1と同様にして試験片を得、それにつ
いて評価した。結果を表2に示した。
比較例5 実施例1において共重合ポリエステルの代りに、ポリ
ブチレンテレフタレート([η]0.81)を用い、シリン
ダー温度230−250−255−255−255℃、で溶融混練して
ペレツトを得、これをシリンダー温度235−255−255
℃、ノズル温度255℃、金型温度60℃に調節された射出
成形機で成形する以外は実施例1と同様にして試験片を
得、それについて評価した。結果を表2に示した。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物は、
成形にあたつて離型性よく成形でき、表面光沢の優れた
成形物を与え、高い機械的強度と優れた耐熱性を示し
た。
一方、PET(比較例1)及びジメチロールプロピオン
酸ナトリウム又はポリエチレングリコールの共重合量が
本発明の範囲より少ない場合(比較例2、3及び4)で
は結晶化が十分進行しないばかりか、離型性は非常に悪
く、得られた成形品は光沢のないものであつたため、そ
の他の性能は評価しなかつた。
実施例12 合成3で得られた共重合ポリエステル100重量部、実
施例1で用いたと同じガラス繊維44.5重量部、ポリエチ
レングリコールジメチルエーテル(ポリエチレングリコ
ール部分の平均分子量約1,000)3重量部及び酸化防止
剤としてイルガノツクス1010(商品名、チバ・ガイギー
社製)0.5重量部を使用して実施例1と同様の方法で試
験片を得、それを評価した。結果を表3に示した。また
得られた試験片を160℃に保たれたギヤー氏式老化試験
機中に7日間放置後着色速度を観測した。
比較例6 合成11で得られた共重合ポリエステル100重量部、実
施例1で用いた同じガラス繊維47.8重量部、ポリエチレ
ングリコールジメチルエーテル(ポリエチレングリコー
ル部分の平均分子量1000)3重量部、結晶核形成剤とし
てエチレン/メタクリル酸共重合体のナトリウム塩(三
井ポリケミカル(株)製、ハイミラン1707)8重量部及
びイルガノツクス1010 0.5重量部を使用して実施例1と
同様の方法で試験片を得、その評価をした。結果を表3
に示した。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物は離
型性よく成形でき、高い剛性と優れた耐熱性を示した。
一方結晶核剤としてエチレン/メタクリル酸共重合体の
ナトリウム塩を用いた場合は、成形性は良好であるが、
耐熱性がやゝ劣り、エージングにより激しく着色した。
[発明の効果] 本発明に従えば、極めて優れた結晶性と良好な流動特
性を有し、80゜〜100゜以下という低い金型温度で射出
成型可能なガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物が提
供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松村 恵史 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 柏村 次史 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 石野 修平 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 審査官 佐藤 健史 (56)参考文献 特開 昭56−92918(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)テレフタル酸を主たるものとするジ
    カルボン酸成分a及びエチレングリコールを主たるもの
    とするグリコール成分bより成るポリエステルにおい
    て、 カルボン酸のアルカリ金属塩基を有するジオキシモノカ
    ルボン酸成分cを成分aに対して0.01〜8モル%含み、
    さらに数平均分子量が400〜4,000であるポリアルキレン
    グリコール成分dをa、b両成分より成るポリエステル
    に対して1〜50重量%含む共重合ポリエステル100重量
    部および (B)ガラス繊維5〜150重量部より成るガラス繊維強
    化ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】共重合ポリエステル(A)においてカルボ
    ン酸のアルカリ金属塩基を有するジオキシモノカルボン
    酸成分cが、ジメチロールプロピオン酸のアルカリ金属
    塩である請求項1に記載のガラス繊維強化ポリエステル
    樹脂組成物。
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