JPH0544647A - 往復動式圧縮機の吐出弁装置 - Google Patents

往復動式圧縮機の吐出弁装置

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JPH0544647A
JPH0544647A JP20277491A JP20277491A JPH0544647A JP H0544647 A JPH0544647 A JP H0544647A JP 20277491 A JP20277491 A JP 20277491A JP 20277491 A JP20277491 A JP 20277491A JP H0544647 A JPH0544647 A JP H0544647A
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克則 河合
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了 加藤
Akio Saeki
暁生 佐伯
Yuji Kaneshige
雄二 兼重
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吐出リード弁の戻り遅れに起因する圧縮機の
体積効率の低下を防止する。 【構成】 吐出リード弁20は、略円板状の頭部20a
と該頭部20aからくびれて形成された頸部20bとを
もち、リテーナ21の傾設面21aにより開度を規制さ
れる。リテーナ21は、開弁されたリード弁20の頭部
20aと衝接する領域において、傾設面21aの傾角が
変化せしめられている。すなわち、傾設面21aは、曲
面部21bと平坦部21cとをもっている。剛性の大き
い頭部20aは曲面部21bに追従しきれないので、リ
ード弁20とリテーナ21との間には隙間Aが生じ、両
者の密着面積が縮小される。頭部20aが大きく弾性変
形して曲面部21bに密着した場合でも、弾性復元力が
大きく作用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両空調用に供して好
適な往復動式圧縮機の吐出弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の往復動式圧縮機の弁装置としてリ
ード弁が用いられており(例えば、特開昭62−131
985号公報参照)、図11に示すように、吐出弁にお
いては冷媒が圧縮されるボア100と吐出室103とを
仕切る弁板105にポート106を形成するとともに、
弁板105に板ばね状のリード弁107およびリテーナ
109を共締めしたものが知られている。このようなリ
ード弁形式の弁装置では、通常時閉弁状態であり、ボア
100と吐出室103との差圧が開弁圧以上になると、
リード弁107は弁板105から離れポート106を開
いて開弁するように設定されている。開弁すると、ボア
100内で圧縮された冷媒はポート106を通り吐出室
103に吐出される。なお、リード弁107の開弁度は
リテーナ109により規制される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記リード
弁形式の弁装置では、冷媒中に含まれる潤滑油などによ
り、リード弁107がリテーナ109に密着して剥がれ
にくくなることがある。このため、吐出行程から吸入行
程に移行する際、リード弁107の戻り遅れにより吐出
ガスが逆流して、圧縮機の体積効率の低下を招くという
不都合がある。
【0004】本発明は、吐出リード弁の吸入時における
戻り遅れに起因する圧縮機の体積効率の低下を良好に防
止することを解決すべき技術課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本第1発明は、ポートが
貫設された弁板と、略円板状の頭部及び該頭部からくび
れて形成された頸部をもち、該弁板に固定されて該ポー
トを弾性的に揺動開閉するリード弁と、該リード弁の開
度を規制する傾設面を有して該弁板に固定されたリテー
ナとを備えてなる往復動式圧縮機の吐出弁装置におい
て、前記リテーナは、開弁されたリード弁の前記頭部と
衝接する領域において、前記傾設面の傾角が変化せしめ
られていることを特徴とする。
【0006】上記傾設面は、必ずしも平坦面であること
を要しない。また本第2発明は、上記吐出弁装置におい
て、リテーナがリード弁との対向面に衝接突部を有して
いることを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明の吐出弁装置においては、吐出行程中、
リード弁が吐出圧力により揺動してポートを開き、リテ
ーナの傾設面に衝接する。このとき、本第1発明の吐出
弁装置において、リテーナは開弁されたリード弁の頭部
が衝接する領域において、傾設面の傾角が変化せしめら
れている。そしてリード弁の頭部は曲げ剛性が大きいの
で、リード弁がリテーナに衝接する際、リード弁の頭部
は傾角が変化するリテーナの傾設面に追従しきれず、頭
部とリテーナの傾設面との間に隙間が生じる。このた
め、リード弁とリテーナとの密着面積が上記隙間が生じ
た分だけ縮小されるので、リード弁がリテーナから剥が
れやすくなる。また、リード弁の頭部の曲げ剛性が小さ
いか、傾設面の傾角の変化が小さいなどに理由により、
リード弁の頭部がリテーナの傾設面に追従するように弾
性変形して隙間を生じることなく傾設面に密着した場合
でも、曲げ剛性の大きい頭部が大きく弾性変形している
ことから頭部の弾性復元力は大きく、この弾性復元力の
作用によりリード弁がリテーナから剥がれやすくなる。
【0008】また、本第2発明の吐出弁装置において
は、リード弁はリテーナの衝接突部に衝接するので、リ
ード弁とリテーナとの間に隙間が生じる。このため、両
者の密着面積が縮小され、リード弁はリテーナから剥が
れやすくなる。
【0009】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例を図面を参
照しつつ説明する。 (第1実施例)この斜板式圧縮機は、図1に示すよう
に、一対のシリンダブロック1a、1bが前後に対設さ
れて結合部分に帰還冷媒の吸入口2と連通する斜板室3
を形成している。各シリンダブロック1a、1bはその
両端をそれぞれ弁板4、5を介してフロントハウジング
6及びリアハウジング7により閉塞されている。フロン
トハウジング6及びリアハウジング7には、径外側に吸
入室8、9が形成され、径内側に吐出室10、11が形
成されている。なお、吸入室8、9はそれぞれ吸入通路
22、23により斜板室3と連通している。また、吐出
室10、11は図示しない吐出通路を介して連通し、リ
ヤ側の吐出室11は図示しない吐出口と連通している。
【0010】各シリンダブロック1a、1bの共通中心
軸孔にはラジアル軸受を介して駆動軸12が挿嵌されて
おり、この駆動軸12はフロント側の弁板4を貫通しフ
ロントハウジング6に支承されている。駆動軸12には
斜板室3内を回転可能に斜板13が固着されており、こ
の斜板13はスラスト軸受を介して各シリンダブロック
1a、1bに支承されている。また、各シリンダブロッ
ク1a、1bには駆動軸12周りに平行状に配列した前
後複数対のボア14が形成され、各ボア14には斜板1
3に一対のシュー15、15を介して係留された両頭形
のピストン16が直動自在に嵌入されている。
【0011】弁板4には、吸入室8とボア14とを連通
する吸入ポート17、及び吐出室10とボア14とを連
通する吐出ポート18が貫設され、弁板5にも同様に吸
入ポート17及び吐出ポート18が貫設されている。弁
板4、5のシリンダブロック1a、1b側の面にはそれ
ぞれ吸入リード弁19が共締めされて、上記吸入ポート
17を弾性的に揺動開閉するようになされている。ま
た、弁板4、5のフロントハウジング6、リヤハウジン
グ7側の面にはそれぞれ吐出リード弁20が共締めされ
て、上記吐出ポート18を弾性的に揺動開閉するように
なされている。そして、吐出リード弁20は同じく弁板
4、5と傾角をもって共締めされたリテーナ21の傾設
面21aによってその開度が規制され、吸入リード弁1
9はボア14の開口端付近に刻設された図示しない切欠
溝によって同様にその開度が規制されている。
【0012】しかして吐出リード弁20は図2に示すよ
うに、略円板状の曲げ剛性の大きい頭部20aと、該頭
部20aからくびれて形成された曲げ剛性の小さい頸部
20bとにより構成されている。吐出リード弁20は頭
部20aで吐出ポート18を開閉する。また、図3に示
すように、リテーナ21の傾設面21aは、吐出ポート
18の中心線Cから図3の左側、つまり吐出リード弁2
0の頭部20aの略中心から頸部20b側に対向する部
分に曲面部21bをもち、該中心線Cから図3の右側の
部分に平坦部21cをもっており、吐出リード弁20の
頭部20aと衝接する領域において、傾設面21aの傾
角が変化している。
【0013】この斜板式圧縮機では、図示しない冷媒回
路より吸入口2を介して帰還冷媒が斜板室3に導入さ
れ、斜板室3内の帰還冷媒は吸入通路22、23を介し
て前後の吸入室8、9に導かれる。そして、駆動軸12
の回転により斜板13が介して各ピストン16が各ボア
内14を往復動する。このとき、各吸入室8、9内の帰
還冷媒は、ボア14の圧力低下により吸入リード弁19
が弁板4、5から離れて吸入ポート17を開くので、吸
入ポート17から容積拡大途上のボア14内に吸入され
る。同時に、ボア14の圧力低下と吐出室10、11の
圧力が高いこととにより、吐出リード弁20が弁板4、
5の吐出ポート18の縁部に着座し、ボア14と吐出室
10、11との連通を閉じる。この後、ピストン16の
直動によりボア14の圧力が上昇し、容積縮小途上の各
ボア14内の圧縮冷媒は、弁板4、5の吐出リード弁2
0を開いて吐出ポート18から吐出室10、11に吐出
される。同時に、ボア14の圧力上昇と吸入室8、9の
圧力が低いこととにより、吸入リード弁19が吸入ポー
ト17の縁部に着座し、ボア14と吸入室8、9との連
通を閉じる。
【0014】そして、フロント側の吐出室10内の圧縮
冷媒は図示しない吐出通路を経てリア側の吐出室11に
集められ、リア側の吐出室11内の圧縮冷媒は図示しな
い吐出口から再び冷凍回路に循環される。ここで、この
斜板式圧縮機における吐出弁装置は、リテーナ21が吐
出リード弁20の頭部20aの略中心から頸部20b側
に対向する部分に曲面部21bをもっている。また、吐
出リード弁20は曲げ剛性の小さい頸部20bと、大き
な曲げ剛性をもつ頭部20aとにより構成されている。
このため、吐出行程中、吐出リード弁20は、曲げ剛性
の小さい頸部20bが大きく弾性変形し、曲げ剛性の大
きい頭部20aの部分が弾性変形することなく、又は僅
かに弾性変形してほぼ平坦状に維持されてリテーナ21
の傾設面21aと衝接する。このとき、リテーナ21の
平坦部21cと、吐出リード弁20の頭部20aの略中
心から先端側の部分とが密着し、リテーナ21の曲面部
21bと、吐出リード弁20の頭部20aの略中心から
頸部20b側の部分との間には隙間Aが生じている(図
4参照)。したがって、吐出リード弁20とリテーナ2
1との密着面積は隙間が生じている分だけ縮小されると
ともに、曲げ剛性の大きい頭部20aが弾性変形した場
合には、大きな弾性復元力が作用するので、冷媒中に含
まれる潤滑油などにより吐出リード弁20がリテーナ2
1に密着して剥がれ難くなることを有効に防止でき、吐
出リード弁20の吸入時の戻り遅れに起因する体積効率
の低下を効果的に防止することが可能となる。なお、さ
らに大きな吐出圧力が作用することにより、吐出リード
弁20の頭部20a全面がリテーナ21の曲面部21b
に追従するように大きく弾性変形し、吐出リード弁20
が上記隙間Aを生じることなくリテーナ21に密着する
場合においても、頭部20aのさらに大きな弾性復元力
が作用するので、吐出リード弁20はリテーナ21から
即座に離れる。 (第2実施例)リテーナ21の曲面部21bを設ける位
置を変えた第2実施例を図5、図6に示す。この実施例
のリテーナ21は、吐出ポート18の中心線Cから図5
の右側、つまり吐出リード弁20の頭部20aの略中心
から先端側に対向する部分に曲面部21bをもち、該中
心線Cから図5の左側の部分に平坦部21cをもってい
る。
【0015】この実施例の吐出弁装置では、吐出リード
弁20は、吐出圧力により、曲げ剛性の小さい頸部20
bが大きく弾性変形するとともに、曲げ剛性の大きい頭
部20aの部分が弾性変形することなく、又はその先端
側が僅かに弾性変形する。したがって、リテーナ21の
平坦部21cと、吐出リード弁20の頭部20aの略中
心から頸部20b側の部分とが密着し、リテーナ21の
曲面部21bと、吐出リード弁20の頭部20aの略中
心から頸部20b側の部分との間には隙間Aが生じてい
る(図6参照)。したがって、上記第1実施例と同様
に、吐出リード弁20とリテーナ21との密着面積は隙
間が生じている分だけ縮小されるとともに、曲げ剛性の
大きい頭部20aが弾性変形した場合には、大きな弾性
復元力が作用するので、冷媒中に含まれる潤滑油などに
より吐出リード弁20がリテーナ21に密着して剥がれ
難くなることを有効に防止でき、吐出リード弁20の吸
入時の戻り遅れに起因する体積効率の低下を効果的に防
止することが可能となる。なお、さらに大きな吐出圧力
が作用することにより、吐出リード弁20の頭部20a
全面がリテーナ21の曲面部21bに追従するように大
きく弾性変形し、吐出リード弁20が上記隙間Aを生じ
ることなくリテーナ21に密着する場合においても、頭
部20aのさらに大きな弾性復元力が作用するので、吐
出リード弁20はリテーナ21から即座に離れる。
【0016】なお、上記第1実施例及び第2実施例で
は、リテーナ21の曲面部21bが一定の曲率半径をも
つものを示したが、曲面部21bの曲率半径を連続的に
変化させてもよい。また、リテーナ21全体にわたって
曲面部21bを設けることもできる。さらに、曲面部2
1bを吐出リード弁20側に凹状の曲面とすることも可
能である。 (第3実施例)図7、図8に示す第3実施例の吐出弁装
置において、リテーナ21の傾設面21aは、吐出ポー
ト18の中心線Cを境に傾角の異なる2つの平坦面、つ
まり吐出リード弁20の頭部20aの略中心から頸部2
0b側の部分に対向する平坦面21cと、頭部20aの
略中心から先端側の部分に対向し平坦面21cの傾角よ
り大きな傾角をもつ平坦面21dとをもっている。
【0017】この実施例の吐出弁装置も上記第2実施例
と同様の作用、効果を有している。 (第4実施例)図9、図10に示す第4実施例の吐出弁
装置は、リテーナ21の吐出リード弁20の頭部20a
に対向する部分に幅方向に線状にのびる衝接突部21e
を設け、リテーナ21の傾設面21aの他の部分を平坦
部21cで構成したものである。
【0018】この実施例の吐出弁装置では、吐出リード
弁20の頭部20aとリテーナ21との間に隙間Aが生
じる(図10参照)ので、両者の密着面積が縮小され、
吐出リード弁20はリテーナ21から剥がれやすくな
る。なお、上記衝接突部21eの形状、大きさ、位置な
どは特に限定されず、多数の小突子をリテーナ21の全
面にわたって設けたりすることもできる。
【0019】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の往復動式
圧縮機の吐出弁装置によれば、冷媒中に含まれる潤滑油
などによりリード弁がリテーナに密着して剥がれ難くな
ることを有効に防止でき、リード弁の吸入時の戻り遅れ
に起因する体積効率の低下を効果的に防止することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例にかかる斜板式圧縮機の縦断面図で
ある。
【図2】吐出リード弁の形状を示す平面図である。
【図3】本第1実施例の要部断面図である。
【図4】吐出リード弁がリテーナに衝接した状態を示す
断面図である。
【図5】第2実施例の要部断面図である。
【図6】吐出リード弁がリテーナに衝接した状態を示す
断面図である。
【図7】第3実施例の要部断面図である。
【図8】吐出リード弁がリテーナに衝接した状態を示す
断面図である。
【図9】第4実施例の要部断面図である。
【図10】吐出リード弁がリテーナに衝接した状態を示
す断面図である。
【図11】従来装置にかかる断面図である。
【符号の説明】
4、5は弁板、18は吐出ポート、20は吐出リード
弁、21はリテーナ、20aは頭部、20bは頸部、2
1aは傾設面、21bは曲面部、21c、21dは平坦
面、21eは衝接突部である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 兼重 雄二 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポートが貫設された弁板と、略円板状の
    頭部及び該頭部からくびれて形成された頸部をもち、該
    弁板に固定されて該ポートを弾性的に揺動開閉するリー
    ド弁と、該リード弁の開度を規制する傾設面を有して該
    弁板に固定されたリテーナとを備えてなる往復動式圧縮
    機の吐出弁装置において、 前記リテーナは、開弁されたリード弁の前記頭部と衝接
    する領域において、前記傾設面の傾角が変化せしめられ
    ていることを特徴とする往復動式圧縮機の吐出弁装置。
  2. 【請求項2】 ポートが貫設された弁板と、略円板状の
    頭部及び該頭部からくびれて形成された頸部をもち、該
    弁板に固定されて該ポートを弾性的に揺動開閉するリー
    ド弁と、該リード弁の開度を規制する傾設面を有して該
    弁板に固定されたリテーナとを備えてなる往復動式圧縮
    機の吐出弁装置において、 前記リテーナは、前記リード弁との対向面に衝接突部を
    有していることを特徴とする往復動式圧縮機の吐出弁装
    置。
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