JPH0541212A - 水酸化ニツケル活物質およびニツケル正極とこれを用いたアルカリ蓄電池 - Google Patents
水酸化ニツケル活物質およびニツケル正極とこれを用いたアルカリ蓄電池Info
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- JPH0541212A JPH0541212A JP3194923A JP19492391A JPH0541212A JP H0541212 A JPH0541212 A JP H0541212A JP 3194923 A JP3194923 A JP 3194923A JP 19492391 A JP19492391 A JP 19492391A JP H0541212 A JPH0541212 A JP H0541212A
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Abstract
d,Ca,Zn,Mg,Fe,Co及びMnからなる群
のうちの少なくとも一種を水酸化ニッケル粉末中に含有
させることにより、水酸化ニッケル粉末の充放電初期の
活物質利用率を向上させ自己充放電特性、低温でのサイ
クル寿命特性等を向上させる。 【構成】 水酸化ニッケル活物質粉末は、球状を呈して
いてCd,Ca,Zn,Mg,Fe,Co及びMnからなる
群のうちの少なくとも一種を1〜7wt%を含み、0.1
μm以下の一次粒子が多数集合した粒子で、30Å以上
の細孔半径をもつ空間体積が全空間体積の20〜70%
である。
Description
物、負極に電気化学的に水素の吸蔵放出反応が可能な水
素吸蔵合金、カドミウムあるいは亜鉛を用いたアルカリ
蓄電池に関し、詳しくはそのニッケル酸化物(水酸化ニ
ッケル)と正極特性の改良に関するものである。
ル・カドミウム蓄電池(以下、ニカド電池と記す)は、
ポ−タブル機器に幅広く使用されている。鉛蓄電池は安
価ではあるが、一般に単位重量当たりのエネルギ−密度
(Wh/kg)が低く、サイクル寿命等に課題があり、小
型軽量のポ−タブル機器の電源としては好適とは言えな
い。一方、ニカド電池は、鉛蓄電池に比べ単位重量およ
び体積当たりのエネルギ−密度が高く、サイクル寿命等
の信頼性に優れているため、種々のポ−タブル機器用の
電源として幅広く使用されている。しかしながら、ポ−
タブル機器の高付加価値に伴い電池への負荷が増大する
ため、さらに高エネルギ−密度の二次電池がポ−タブル
機器用の電源として切望されている。ニカド電池の分野
において、従来の焼結式ニッケル正極を用いたニカド電
池よりも30〜60%高容量であるニカド電池が開発さ
れている。また、ニカド電池よりもさらに高容量である
負極に水素吸蔵合金を用いたニッケル・水素蓄電池(焼
結式ニッケル正極を用いたニカド電池の2倍以上)が開
発されている。これらの高容量アルカリ蓄電池は、正極
のエネルギ−密度を向上させるために、高多孔度(90
%以上)の3次元の発泡ニッケル多孔体やニッケル繊維
多孔体に水酸化ニッケル粉末を高密度に充填している。
その結果、従来の焼結式ニッケル正極のエネルギ−密度
が400〜450mAh/cm3であるのに対し、前記ニッケ
ル正極のそれは500〜630mAh/cm3である。ところ
が、発泡ニッケルやニッケル繊維多孔体中に水酸化ニッ
ケル粉末を高密度に充填した正極は、エネルギ−密度が
高いがサイクル寿命特性が低下するという問題がある。
この原因は充電時に高体積のγ−NiOOHが正極に生
成して正極を膨脹させ、セパレ−タ中に存在する電解液
を吸収し、電池の内部抵抗を上昇させて放電容量が低下
するためである。この問題点を解決するために、以下の
方法が提案されている。 (1)水酸化ニッケル粉末に酸化カドミウム粉末を添加
し、γ−NiOOHの生成を抑制する方法。 (2)水酸化ニッケル粉末に亜鉛、酸化亜鉛、亜鉛化合
物の粉末を添加し充電時に生成するγ−NiOOHを抑
制する方法(特開昭59−112574)。 (3)水酸化ニッケル粉末内部にカドミウム酸化物を含
有させる方法や、亜鉛やカドミウムを固溶体として3〜
10wt%添加し、且つ細孔半径が30Å以上の内 部繊維
細孔の発達を阻止し、さらに全空孔体積を0.05cm3/
g以下に制御し、充電時に生成するγ−NiOOHを抑
制する方法(特開昭61−104565、特開平2−3
0061、USP−4844999)。
れている前記(1)および(2)の方法では、水酸化ニ
ッケル粉末に酸化カドミウムや酸化亜鉛粉末を添加する
ことにより、γ−NiOOHの生成を抑制し、サイクル
寿命特性を向上させているが、飛躍的に寿命特性は改善
されない。特に、電池容量が増大、すなわち正極のエネ
ルギ−密度が向上するにしたがい、酸化カドミウムや酸
化亜鉛粉末の添加効果は減少する。低温(0℃)雰囲気
下では、600mAh/cm3のエネルギ−密度を有する正極
を用いたアルカリ蓄電池のサイクル寿命は、200サイ
クル程度である。この原因は、高エネルギ−密度化にと
もない酸化カドミウムや酸化亜鉛粉末を添加するだけで
は、γ−NiOOHの生成を抑制することは困難である
ことを示唆している。したがって、活物質粉末の粒子構
造あるいは結晶構造を改善する必要がある。また、前記
(3)の方法では、従来から提案されている方法と同様
に、水酸化ニッケル粉末の結晶内部にカドミウム酸化
物、亜鉛やカドミウムを固溶体として存在させているた
め、酸化カドミウムや酸化亜鉛粉末を水酸化ニッケルと
混合する場合よりも充電時に生成するγ−NiOOHは
抑制され、サイクル寿命は向上する。しかし、30Å以
上の内部繊維細孔の発達を阻止しているため電解液が水
酸化ニッケルの粒子内部に浸入しにくく、充放電初期の
活物質利用率が70%程度と低い。また、電解液が水酸
化ニッケルの粒子内部に浸入しにくいため、水酸化ニッ
ケル粒子内部で電解液の不均一化がおこり局部的に電流
密度が増大し、γ−NiOOHが生成しやすくなる。そ
の結果、低温(0℃)雰囲気下でのサイクル寿命は、3
00サイクル程度である。また、このような水酸化ニッ
ケルを製造する工程において、硫酸アンモニウムを使用
しているため、水酸化ニッケル粉末に不純物としてアン
モニウムが存在し、このアンモニウムが電池の自己放電
を促進させる。本発明はこのような課題を解決するもの
で、簡単な構成により、充放電初期の活物質利用率が高
く、低温でのサイクル寿命特性や自己放電特性に優れ
た、水酸化ニッケル活物質とニッケル正極およびこれを
用いたアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
に本発明は、ニッケル正極に用いる水酸化ニッケル活物
質粉末は、カドミウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウ
ム、鉄、コバルトおよびマンガンからなる群のうちの少
なくとも一種を水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7wt
%含有し、0.1μm以下の一次粒子が無数に集合した
粒子であり、30Å以上の細孔半径を有する空間体積が
全空間体積に対して20〜70%となるようにしたもの
である。この水酸化ニッケル粉末にコバルト、水酸化コ
バルト、酸化亜鉛、亜鉛、カドミウムおよび酸化カドミ
ウムからなる群のうちの少なくとも一種を加えて3次元
多孔体または平板に充填あるいは塗着したニッケル正極
である。さらに、ニッケル酸化物を主成分とするニッケ
ル正極と、電気化学的に水素の吸蔵放出反応が可能な水
素吸蔵合金を主体とするかあるいは酸化カドミウムを主
体とする負極と、アルカリ電解液と、セパレ−タとから
なるアルカリ蓄電池において、初充放電前に前記ニッケ
ル正極はカドミウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウ
ム、鉄、コバルトおよびマンガンからなる群のうちの少
なくとも一種を水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7wt
%含有し、0.1μm以下の一次粒子が無数に集合した
粒子であり、30Å以上の細孔半径を有する空間体積が
全空間体積に対して20〜70%である水酸化ニッケル
粉末にコバルト、水酸化コバルト、酸化亜鉛、亜鉛、カ
ドミウムおよび酸化カドミウムからなる群のうちの少な
くとも一種を加えた粉末を支持し、導電性を付与する3
次元多孔体あるいは平板から主に構成されるニッケル正
極を用い、アルカリ電解液の比重は1.23〜1.4で
あり、電池容量1Ah当たりの電解液量は1.0〜2.
0cm3/Ahに保った構成としたものである。
半径を有する空間体積を全空間体積に対して20〜70
%とすることにより、電解液の粒子内部への浸入が容易
であり、電解液の粒子内部での偏在によるγ−NiOO
Hの生成が抑制される。さらに、0.1μm以下の一次
粒子が無数に集合した粒子であることと、電解液の粒子
内部への浸入が容易であるため、充放電初期の活物質利
用率が向上する。また、ニッケル正極としては本発明の
水酸化ニッケル粉末にコバルトおよび水酸化コバルトを
添加することで、活物質の利用率が向上し、酸化亜鉛、
亜鉛、カドミウムおよび酸化カドミウムのうちのいずれ
かを添加することでニッケル正極の膨脹が抑制され充放
電サイクル寿命が向上する。したがって、本発明の水酸
化ニッケル粉末と前記の添加物とを3次元多孔体または
平板に充填あるいは塗着することにより、エネルギ−密
度が高く、サイクル寿命特性に優れた正極が得られる。
本発明の正極と、電気化学的に水素の吸蔵放出反応が可
能な水素吸蔵合金を主体とするかあるいは酸化カドミウ
ムを主体とする負極と、アルカリ電解液と、セパレ−タ
とからなるアルカリ蓄電池においては、アルカリ電解液
の比重を1.23〜1.4にすることで水酸化ニッケル
に対するプロトンの供給が容易になり、初期の充放電効
率が向上する。また、電解液量を1.0〜2.0cm3/Ah
とすることにより、正極と負極およびセパレ−タ中に電
解液を適切に分布させることが可能であり、優れたサイ
クル寿命を有するアルカリ蓄電池が得られることとな
る。
以下のように作成した。水酸化ニッケル粉末は水酸化ニ
ッケル中にコバルトおよび亜鉛がそれぞれ0.3wt%
および3.5wt%固溶体として含有した組成とした。
硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸亜鉛とを所定の割合
で水に溶解させ、ニッケルとコバルトと亜鉛の各イオン
が溶解した混合水溶液を作成した。次に、この混合水溶
液と水酸化ナトリウムを反応槽に一定量供給しながら温
度を35℃、pHを11.3と一定に保ち,激しく攪拌
を行い、0.1μm以下の一次粒子を作成し、この粒子
を核にしながら一次粒子が無数に集合した水酸化ニッケ
ルを連続的に作成した。この水酸化ニッケル粉末を、水
酸化ナトリウムや硫酸ニッケル等の金属塩を除去するた
めに50℃の水中で水洗し、80℃で乾燥を行い水酸化
ニッケル粉末を作成した。この方法によると、アンモニ
ウムにより錯体を生成することなしに連続的に水酸化ニ
ッケルを製造することが可能である。次に、前記と同様
な方法で反応槽のpHのみを11.0,11.1,1
1.5および11.6に変化させ、連続的に水酸化ニッ
ケル粉末を作成した。図1に示したように、これらの作
成した水酸化ニッケル粉末は、一次粒子径は0.1μm
以下である。次に、種々のpH条件で作成した水酸化ニ
ッケルの物性を(表1)に示す。
空間体積に対する30Å以上の空間体積の割合である。
また、原子吸光分析によりNo.A〜Eの水酸化ニッケ
ル粉末中に含まれるZnおよびCoを分析した結果、Z
nは3.45wt%Coは0.32wt%含有されている。
なお、10Å以下の細孔分布は窒素ガスの吸着による方
法では測定が困難であり、実際には10Å以下の細孔を
有する空間は存在するものと考えられる。また、タップ
密度は重量Agの20ccのメスシリンダ−に水酸化ニッ
ケル粉末を充填し、200回タッピング後、メスシリン
ダ−の重量(水酸化ニッケル粉末を含む)Bgと水酸化
ニッケルの体積Dccを測定し、次式により求めた。タ
ップ密度=(B−A)/D 次に、これらのNo.A〜Eの5種類の水酸化ニッケル
粉末を用いて以下の方法で正極を作成した。水酸化ニッ
ケル粉末とコバルト粉末と水酸化コバルト粉末を重量比
で100:7:5の割合で混合し、これに水を加えて練
合しペ−スト状にした後、支持体である多孔度95%、
面密度300g/m2の発泡状ニッケル多孔体へ充填し、乾
燥、加圧後、フッ素樹脂粉末が分散した水溶液に浸漬し
た。この後再度乾燥後、所定の寸法に切断して1400
mAhの容量を有するニッケル正極を作成した。負極は以
下の方法で作成した。合金組成はMmNi3.6Co
0.7Mn0.4Al0.3(Mmはミッシュメタルで
希土類元素の混合物)とした。希土類元素の混合物であ
るミッシュメタルMmとNi,Co,Mn,Alの各試
料をア−ク炉に入れて、10-4〜10-5torrまで真空状
態にした後、アルゴンガス雰囲気下の減圧状態でア−ク
放電し、加熱溶解させた。試料の均質化を図るために真
空中、1050℃で6時間熱処理を行った。得られた合
金塊を粗粉砕後、湿式ボ−ルミルを用いて平均粒子径2
0μmの粉末を得た。この粉末を80℃の7.2mol
水酸化カリウム水溶液中で1時間攪拌しながら処理を施
した後、合金粉末から水酸化カリウムを除去するために
水洗を行い、乾燥することにより負極に用いる水素吸蔵
合金粉末を得た。この水素吸蔵合金粉末に水とカルボキ
シメチルセルロ−ス(CMC)を加えてペ−スト状に
し、多孔度95%の発泡状ニッケル多孔体へ充填、乾
燥、加圧後、所定の寸法に切断し、水素吸蔵合金負極を
作成した。セパレ−タはポリプロピレンとポリエチレン
とからなる不織布をスルホン化したスルホン化セパレ−
タを用いた。上記のように作成した負極1と正極2とを
セパレ−タ3を介して渦巻き状に旋回し、負極端子を兼
ねるケ−ス4に挿入した。その後、比重が1.30であ
る水酸化カリウム水溶液中に水酸化リチウムを20g/l
溶解したアルカリ電解液を2.4cm3注液して、正極端
子5と安全弁6を備えた封口板7によりケ−ス4を封口
し、正極で電池容量を規制した1400mAhの容量をも
つ4/5Aサイズの密閉形ニッケル・水素蓄電池を構成
した。作成した電池の構造を図2に示した。図中、8は
絶縁ガスケット、9は正極2と封口板7とを電気的に接
続する正極集電体を示す。正極の水酸化ニッケルが異な
る5種類(上記A〜Eに対応)の電池を図2と同様な構
成で作成した。これらの電池を用いて、以下の条件によ
り正極活物質である水酸化ニッケルの活物質利用率の試
験を行った。20℃の環境下で0.1CmAの充電電流
で正極容量すなわち水酸化ニッケル活物質から計算され
る理論容量の150%充電し、1時間休止を行い、0.
2CmA一定の放電電流で1.0Vまで連続放電を行っ
た。この方法で充放電を5回繰り返し、各サイクルにお
ける活物質利用率を算出した。活物質利用率は以下の次
式で計算した。活物質利用率=(1.0Vまでの放電容
量/水酸化ニッケル理論容量)×100 (表2)に、A〜Eの水酸化ニッケルを用いた電池で活
物質利用率を調べた結果を示す。
の利用率は、1サイクル目が80%であり、5サイクル
充放電を繰り返した後の利用率は85%である。この原
因は30Å以上の細孔半径を有する空間体積が全空間体
積に対して17%である。このことは比表面積が8.6
m2/gで全空間体積が0.01cm3/gと小さいことに相関
している。したがって、水酸化ニッケル粒子の細孔内部
への電解液の浸入が困難であり、その結果、充放電反応
に関与する有効な水酸化ニッケルが減少するため、1サ
イクル目の利用率が80%と低い。また、充放電サイク
ルを繰り返しても5%程度しか利用率は向上しない。N
o.Eの水酸化ニッケル粉末は空間体積比が78%で、
比表面積が25.6m2/gおよび全空間体積が0.06cm
3/gである。したがって、この水酸化ニッケル粉末中に
は電解液が十分含有することが可能であり、1サイクル
目の利用率が95%と高い。しかし、タップ密度が1.
8g/cm3と低いために充填性が低下し充填密度すなわち
容量密度が低下する。以上のことから、水酸化ニッケル
が10〜200Åの細孔半径を有し、空間体積比が20
〜70%であれば優れた活物質利用率を示す。このよう
な特性を有する球状水酸化ニッケルは反応pHを11.
3±0.2の範囲に制御することにより得ることができ
る。なお、BET比表面積や細孔の空間体積は空間体積
比に相関を有し、比表面積と空間体積をそれぞれ本発明
のNo.B,C,Dに示した10〜20m2/gと0.01
5〜0.04cm3/gになるように制御することが好まし
い。また、水酸化ニッケル粉末のタップ密度や平均粒子
径は電極への充填性に重要であり、タップ密度が小さい
と水酸化ニッケルの電極への充填密度すなわち容量密度
が低下し、実質的な電池容量が低下する。平均粒子径は
水酸化ニッケルを含有するペ−ストの粘性に関係し、適
切な粒子径に制御することにより支持体への充填や塗着
が可能となる。したがって、タップ密度と平均粒子径は
それぞれ1.9g/cm3以上と7〜20μmが好ましい。 (実施例2)水酸化ニッケル中にアンモニアが残留した
場合にNo.Cと同様な構成の電池の自己放電特性がど
のように変化するか調べるために、電池内にアンモニア
を水酸化ニッケルに対して0.05〜0.01wt%を含
有するNo.C−1とC−2の電池をそれぞれ作成し
た。この他は実施例1のNo.Cと同様な電池構成条件
とした。自己放電特性は以下の条件で試験を行った。2
0℃の雰囲気下で充電を0.1CmAで15時間行い、
1時間休止した後、0.2CmAの放電電流で1.0V
まで放電を行い、放電容量(A)を計算により求めた。
次に、20℃の雰囲気下で充電を0.1CmAで15時
間行い、充電状態で45℃の環境下に14日間放置し、
その後、20℃の雰囲気下で0.2CmAの放電電流で
1.0Vまで放電を行い、放電容量(B)を計算により
求めた。次に、自己放電特性を表す容量維持率を次式に
より求めた。容量維持率(%)=放電容量(B)/放電
容量(A)×100 (表3)に本発明のNo.Cの電池と比較例のNo.C
−1,C−2の電池の自己放電特性を示す。
した場合、高温で放置した場合の容量維持率は低下す
る。したがって、アンモニアの錯体を作成して水酸化ニ
ッケルを製造する場合、水洗を十分におこなってもアン
モニアが水酸化ニッケル粉末中に残留するため自己放電
特性は低下する。一方、本発明の水酸化ニッケル粉末は
製造過程においてアンモニアを含有しないため優れた自
己放電特性を示すこととなる。 (実施例3)実施例1のNo.Cと同様な水酸化ニッケ
ル粉末を用い、(表4)に示す組成(重量比)の正極を
作成した。正極も実施例1と同様な方法で作成した。
と組合せ、実施例1と同じ電池を作成した。これらの電
池を用いて、以下の条件により正極活物質である水酸化
ニッケルの活物質利用率と充放電サイクル寿命の試験を
行った。活物質利用率は、20℃の環境下で0.1Cm
Aの充電電流で正極容量すなわち水酸化ニッケル活物質
から計算される理論容量の150%充電し、1時間休止
を行い、0.2CmA一定の放電電流で1.0Vまで連
続放電を行った。この方法で充放電を2回繰り返し、2
サイクル目における活物質利用率を算出した。活物質利
用率は次式で計算した。活物質利用率=(1.0Vまで
の放電容量/水酸化ニッケル理論容量)×100 充放電サイクル寿命は、0℃の環境下で1CmAの充電
電流で1.3時間充電し、その後1CmAの放電電流で
1.0Vまで連続放電を行った。この条件で充放電を繰
り返し、初期の連続放電時間に対して60%まで放電時
間が低下した時点をサイクル寿命とした。「表5」にN
o.F〜Iの活物質利用率とサイクル寿命の結果を示
す。
場合においても、(表4)に示した正極組成により活物
質利用率や充放電サイクル寿命特性が異なる。No.F
の本発明の水酸化ニッケル粉末のみで正極を構成した場
合、活物質利用率は82.3%と低い。一方、本発明の
正極No.G〜Iを用いた場合、活物質利用率は94.
8〜95.5%と優れた特性を示すことがわかる。本発
明の水酸化ニッケルを用いた場合、利用率を向上させる
ためにはコバルトあるいは水酸化コバルトを水酸化ニッ
ケルと共存させることが必要である。なお、コバルトと
水酸化コバルトの添加量は、実質的な放電容量の点から
水酸化ニッケル粉末100重量部に対してそれぞれ4〜
18重量部、0〜10重量部の範囲が好ましい。すなわ
ち、コバルトが4重量部より低下すると利用率が低下
し、実質的な放電容量が低下する。また、18重量部よ
りコバルト添加量が増大すると活物質利用率は95%以
上と良好であるが、充填密度が低下するため実質的な放
電容量が低下する。水酸化コバルトの添加量も同様な傾
向を示すため、前記の範囲が好ましい。充放電サイクル
寿命はNo.F〜Iの正極組成であれば0℃の雰囲気下
においても500回以上の充放電サイクルが可能であ
る。酸化亜鉛を含有したNo.Iの正極を用いた場合、
サイクル寿命特性は750サイクルと非常に良好であ
る。したがって、さらに優れた寿命特性を有するために
は酸化亜鉛を水酸化ニッケル粉末と共存させることが必
要である。添加量は、水酸化ニッケル100重量部に対
して0〜10重量部が適切であり、10重量部以上添加
すると活物質利用率が90%以下に低下する。なお、酸
化カドミウム・カドミウム・亜鉛等もサイクル寿命を向
上させる同様な効果を示し、これらの添加量は、0〜1
0重量部の範囲が好ましい。本実施例では、支持体に面
密度が300g/m2の発泡状ニッケル多孔体を用いたが、
面密度が200〜700g/m2の範囲であれば同様な効果
を示す。また、発泡状ニッケル多孔体の他に3次元多孔
体の一種であるパンチングメタルや平板を用いても同様
な効果を示す。 (実施例4)実施例1のNo.Cの水酸化ニッケル粉末
と実施例2のNo.Iの正極とを用い、電解液の比重と
量を変化させて、実施例1と同様な電池を作成した。作
成した電池のNo.と電解液の比重と液量との関係を
(表6)に示す。これらの電池を用いて実施例3と同じ
条件で利用率およびサイクル寿命試験を行った結果もあ
わせて(表6)に示した。
用率は88.2%となり電池容量が低下する。また、電
解液比重が1.43と高いNo.Nの場合サイクル寿命
が450サイクルと低下する。一方、No.K〜Mの場
合は利用率が93.5〜96%であり、サイクル寿命は
650〜770と優れた特性を示すことがわかる。した
がって、電解液比重はNo.K〜Mの電池の1.23〜
1.40の範囲が最適である。電解液量が1.3ccであ
るNo.Oの電池は、本発明の水酸化ニッケルに対して
液不足であるため、利用率およびサイクル寿命とも低下
する。また、電解液量が3.0ccであるNo.Sの電池
は利用率が95%と良好であるがサイクル寿命が2.8
ccの場合よりも低下する。これは、電解液量が多量であ
るため1CmAの電流値で充電した場合、過充電時に正
極から発生する酸素ガスの負極での吸収反応が低下し、
安全弁からガスや電解液が漏液しサイクル寿命が低下す
る。No.P〜Rの電池容量は1.4AhであるからA
h当たりの電解液量はそれぞれ1.0,1.43,2.
0である。以上のことから、アルカリ電解液の比重は
1.23〜1.40であり、電解液量は1.0〜2.0
cm3/Ahであることが好ましい。なお、電解液中に含有す
る水酸化リチウム(LiOH)は10g/l以下になる
と、放電電圧が著しく低下することから10g/l以上含
有することが好ましい。本実施例では、負極にAB5系
水素吸蔵合金を用いた場合を示したがチタン系等のA
B,AB2系水素吸蔵合金やカドミウム負極、亜鉛負極
を用いても同様な効果が得られる。
正極に用いる水酸化ニッケル活物質粉末は、カドミウ
ム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄、コバルトお
よびマンガンからなる群のうちの少なくとも一種を前記
水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7wt%含有し、0.
1μm以下の一次粒子が無数に集合した粒子であり、3
0Å以上の細孔半径を有する空間体積が全空間体積に対
して20〜70%としたものである。さらに、水酸化ニ
ッケル粉末を主成分とし、この水酸化ニッケル粉末を支
持し、導電性を付与する3次元多孔体あるいは平板から
なるニッケル正極において、カドミウム、カルシウム、
亜鉛、マグネシウム、鉄、コバルトおよびマンガンから
なる群のうちの少なくとも一種を水酸化ニッケル活物質
粉末中に1〜7wt%含有し、0.1μm以下の一次粒子
が無数に集合した粒子であり、30Å以上の細孔半径を
有する空間体積が全空間体積に対して20〜70%であ
る水酸化ニッケル粉末とコバルト、水酸化コバルト、酸
化亜鉛、亜鉛、カドミウムおよび酸化カドミウムからな
る群のうちの少なくとも一種とから構成されているニッ
ケル正極としたものである。また、ニッケル酸化物を主
成分とするニッケル正極と、電気化学的に水素の吸蔵放
出反応が可能な水素吸蔵合金を主体とする負極あるいは
酸化カドミウムを主体とする負極と、アルカリ電解液
と、セパレ−タとこれらを挿入するケ−スと安全弁を備
えた封口板からなるアルカリ蓄電池において、初充放電
前に前記ニッケル正極は、カドミウム、カルシウム、亜
鉛、マグネシウム、鉄、コバルトおよびマンガンからな
る群のうちの少なくとも一種を水酸化ニッケル活物質粉
末中に1〜7wt%含有し、0.1μm以下の一次粒子が
無数に集合した粒子であり、30Å以上の細孔半径を有
する空間体積が全空間体積に対して20〜70%である
水酸化ニッケル粉末にコバルト、水酸化コバルト、酸化
亜鉛、亜鉛、カドミウムおよび酸化カドミウムの少なく
とも一種とこれらの粉末を支持し、導電性を付与する3
次元多孔体あるいは平板から主に構成されるニッケル正
極を用い、アルカリ電解液の比重は1.23〜1.4、
電池容量1Ah当たりの電解液量は1.0〜2.0cm3/
Ahとしたアルカリ蓄電池である。以上のような簡単な構
成により、水酸化ニッケル活物質の利用率と低温のサイ
クル寿命が向上し優れた容量と信頼性を有する水酸化ニ
ッケル、ニッケル正極およびアルカリ蓄電池を提供する
ことが可能になる。また、粉末作成時にアンモニア等を
使用しないため、自己放電特性に優れたアルカリ蓄電池
を提供することが可能になる。
子構造を示す電子顕微鏡写真
図
正極とこれを用いたアルカリ蓄電池
物、負極に電気化学的に水素の吸蔵放出反応が可能な水
素吸蔵合金、カドミウムあるいは亜鉛を用いたアルカリ
蓄電池に関し、詳しくはそのニッケル酸化物(水酸化ニ
ッケル)と正極特性の改良に関するものである。
ル・カドミウム蓄電池(以下、ニカド電池と記す)は、
ポ−タブル機器に幅広く使用されている。鉛蓄電池は安
価ではあるが、一般に単位重量当たりのエネルギ−密度
(Wh/kg)が低く、サイクル寿命等に課題があり、小
型軽量のポ−タブル機器の電源としては好適とは言えな
い。
重量および体積当たりのエネルギ−密度が高く、サイク
ル寿命等の信頼性に優れているため、種々のポ−タブル
機器用の電源として幅広く使用されている。しかしなが
ら、ポ−タブル機器の高付加価値に伴い電池への負荷が
増大するため、さらに高エネルギ−密度の二次電池がポ
−タブル機器用の電源として切望されている。ニカド電
池の分野において、従来の焼結式ニッケル正極を用いた
ニカド電池よりも30〜60%高容量であるニカド電池
が開発されている。また、ニカド電池よりもさらに高容
量である負極に水素吸蔵合金を用いたニッケル・水素蓄
電池(焼結式ニッケル正極を用いたニカド電池の2倍以
上)が開発されている。これらの高容量アルカリ蓄電池
は、正極のエネルギ−密度を向上させるために、高多孔
度(90%以上)の3次元の発泡ニッケル多孔体やニッ
ケル繊維多孔体に水酸化ニッケル粉末を高密度に充填し
ている。その結果、従来の焼結式ニッケル正極のエネル
ギ−密度が400〜450mAh/cm3であるのに対し、前
記ニッケル正極のそれは500〜630mAh/cm3であ
る。
孔体中に水酸化ニッケル粉末を高密度に充填した正極
は、エネルギ−密度が高いがサイクル寿命特性が低下す
るという問題がある。この原因は充電時に高体積のγ−
NiOOHが正極に生成して正極を膨脹させ、セパレ−
タ中に存在する電解液を吸収し、電池の内部抵抗を上昇
させて放電容量が低下するためである。この問題点を解
決するために、以下の方法が提案されている。 (1)水酸化ニッケル粉末に酸化カドミウム粉末を添加
し、γ−NiOOHの生成を抑制する方法。 (2)水酸化ニッケル粉末に亜鉛、酸化亜鉛、亜鉛化合
物の粉末を添加し充電時に生成するγ−NiOOHを抑
制する方法(特開昭59−112574)。 (3)水酸化ニッケル粉末内部にカドミウム酸化物を含
有させる方法や、亜鉛やカドミウムを固溶体として3〜
10wt%添加し、且つ細孔半径が30Å以上の内 部繊維
細孔の発達を阻止し、さらに全空孔体積を0.05cm3/
g以下に制御し、充電時に生成するγ−NiOOHを抑
制する方法(特開昭61−104565、特開平2−3
0061、USP−4844999)。
れている前記(1)および(2)の方法では、水酸化ニ
ッケル粉末に酸化カドミウムや酸化亜鉛粉末を添加する
ことにより、γ−NiOOHの生成を抑制し、サイクル
寿命特性を向上させているが、飛躍的に寿命特性は改善
されない。特に、電池容量が増大、すなわち正極のエネ
ルギ−密度が向上するにしたがい、酸化カドミウムや酸
化亜鉛粉末の添加効果は減少する。低温(0℃)雰囲気
下では、600mAh/cm3のエネルギ−密度を有する正極
を用いたアルカリ蓄電池のサイクル寿命は、200サイ
クル程度である。この原因は、高エネルギ−密度化にと
もない酸化カドミウムや酸化亜鉛粉末を添加するだけで
は、γ−NiOOHの生成を抑制することは困難である
ことを示唆している。したがって、活物質粉末の粒子構
造あるいは結晶構造を改善する必要がある。
案されている方法と同様に、水酸化ニッケル粉末の結晶
内部にカドミウム酸化物、亜鉛やカドミウムを固溶体と
して存在させているため、酸化カドミウムや酸化亜鉛粉
末を水酸化ニッケルと混合する場合よりも充電時に生成
するγ−NiOOHは抑制され、サイクル寿命は向上す
る。しかし、30Å以上の内部繊維細孔の発達を阻止し
ているため電解液が水酸化ニッケルの粒子内部に浸入し
にくく、充放電初期の活物質利用率が70%程度と低
い。
に浸入しにくいため、水酸化ニッケル粒子内部で電解液
の不均一化がおこり局部的に電流密度が増大し、γ−N
iOOHが生成しやすくなる。その結果、低温(0℃)
雰囲気下でのサイクル寿命は、300サイクル程度であ
る。
る工程において、硫酸アンモニウムを使用しているた
め、水酸化ニッケル粉末に不純物としてアンモニウムが
存在し、このアンモニウムが電池の自己放電を促進させ
る。
で、簡単な構成により、充放電初期の活物質利用率が高
く、低温でのサイクル寿命特性や自己放電特性に優れ
た、水酸化ニッケル活物質とニッケル正極およびこれを
用いたアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
に本発明は、ニッケル正極に用いる水酸化ニッケル活物
質粉末は、カドミウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウ
ム、鉄、コバルトおよびマンガンからなる群のうちの少
なくとも一種を水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7wt
%含有し、0.1μm以下の一次粒子が無数に集合した
粒子であり、30Å以上の細孔半径を有する空間体積が
全空間体積に対して20〜70%となるようにしたもの
である。
化コバルト、酸化亜鉛、亜鉛、カドミウムおよび酸化カ
ドミウムからなる群のうちの少なくとも一種を加えて3
次元多孔体または平板に充填あるいは塗着したニッケル
正極である。
ッケル正極と、電気化学的に水素の吸蔵放出反応が可能
な水素吸蔵合金を主体とするかあるいは酸化カドミウム
を主体とする負極と、アルカリ電解液と、セパレ−タと
からなるアルカリ蓄電池において、初充放電前に前記ニ
ッケル正極はカドミウム、カルシウム、亜鉛、マグネシ
ウム、鉄、コバルトおよびマンガンからなる群のうちの
少なくとも一種を水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7
wt%含有し、0.1μm以下の一次粒子が無数に集合し
た粒子であり、30Å以上の細孔半径を有する空間体積
が全空間体積に対して20〜70%である水酸化ニッケ
ル粉末にコバルト、水酸化コバルト、酸化亜鉛、亜鉛、
カドミウムおよび酸化カドミウムからなる群のうちの少
なくとも一種を加えた粉末を支持し、導電性を付与する
3次元多孔体あるいは平板から主に構成されるニッケル
正極を用い、アルカリ電解液の比重は1.23〜1.4
であり、電池容量1Ah当たりの電解液量は1.0〜
2.0cm3/Ahに保った構成としたものである。
半径を有する空間体積を全空間体積に対して20〜70
%とすることにより、電解液の粒子内部への浸入が容易
であり、電解液の粒子内部での偏在によるγ−NiOO
Hの生成が抑制される。
に集合した粒子であることと、電解液の粒子内部への浸
入が容易であるため、充放電初期の活物質利用率が向上
する。また、ニッケル正極としては本発明の水酸化ニッ
ケル粉末にコバルトおよび水酸化コバルトを添加するこ
とで、活物質の利用率が向上し、酸化亜鉛、亜鉛、カド
ミウムおよび酸化カドミウムのうちのいずれかを添加す
ることでニッケル正極の膨脹が抑制され充放電サイクル
寿命が向上する。したがって、本発明の水酸化ニッケル
粉末と前記の添加物とを3次元多孔体または平板に充填
あるいは塗着することにより、エネルギ−密度が高く、
サイクル寿命特性に優れた正極が得られる。
放出反応が可能な水素吸蔵合金を主体とするかあるいは
酸化カドミウムを主体とする負極と、アルカリ電解液
と、セパレ−タとからなるアルカリ蓄電池においては、
アルカリ電解液の比重を1.23〜1.4にすることで
水酸化ニッケルに対するプロトンの供給が容易になり、
初期の充放電効率が向上する。また、電解液量を1.0
〜2.0cm3/Ahとすることにより、正極と負極およびセ
パレ−タ中に電解液を適切に分布させることが可能であ
り、優れたサイクル寿命を有するアルカリ蓄電池が得ら
れることとなる。
ケル粉末は、以下のように作成した。水酸化ニッケル粉
末は水酸化ニッケル中にコバルトおよび亜鉛がそれぞれ
0.3wt%および3.5wt%固溶体として含有した
組成とした。硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸亜鉛と
を所定の割合で水に溶解させ、ニッケルとコバルトと亜
鉛の各イオンが溶解した混合水溶液を作成した。次に、
この混合水溶液と水酸化ナトリウムを反応槽に一定量供
給しながら温度を35℃、pHを11.3と一定に保
ち,激しく攪拌を行い、0.1μm以下の一次粒子を作
成し、この粒子を核にしながら一次粒子が無数に集合し
た水酸化ニッケルを連続的に作成した。
ウムや硫酸ニッケル等の金属塩を除去するために50℃
の水中で水洗し、80℃で乾燥を行い水酸化ニッケル粉
末を作成した。
体を生成することなしに連続的に水酸化ニッケルを製造
することが可能である。次に、前記と同様な方法で反応
槽のpHのみを11.0,11.1,11.5および1
1.6に変化させ、連続的に水酸化ニッケル粉末を作成
した。
酸化ニッケル粉末は、一次粒子径は0.1μm以下であ
る。次に、種々のpH条件で作成した水酸化ニッケルの
物性を(表1)に示す。
200Åの全空間体積に対する30Å以上の空間体積の
割合である。また、原子吸光分析によりNo.A〜Eの
水酸化ニッケル粉末中に含まれるZnおよびCoを分析
した結果、Znは3.45wt%Coは0.32wt%含有
されている。なお、10Å以下の細孔分布は窒素ガスの
吸着による方法では測定が困難であり、実際には10Å
以下の細孔を有する空間は存在するものと考えられる。
また、タップ密度は重量Agの20ccのメスシリンダ−
に水酸化ニッケル粉末を充填し、200回タッピング
後、メスシリンダ−の重量(水酸化ニッケル粉末を含
む)Bgと水酸化ニッケルの体積Dccを測定し、次式
により求めた。タップ密度=(B−A)/D 次に、これらのNo.A〜Eの5種類の水酸化ニッケル
粉末を用いて以下の方法で正極を作成した。水酸化ニッ
ケル粉末とコバルト粉末と水酸化コバルト粉末を重量比
で100:7:5の割合で混合し、これに水を加えて練
合しペ−スト状にした後、支持体である多孔度95%、
面密度300g/m2の発泡状ニッケル多孔体へ充填し、乾
燥、加圧後、フッ素樹脂粉末が分散した水溶液に浸漬し
た。この後再度乾燥後、所定の寸法に切断して1400
mAhの容量を有するニッケル正極を作成した。負極は以
下の方法で作成した。合金組成はMmNi3.6Co
0.7Mn0.4Al0.3(Mmはミッシュメタルで
希土類元素の混合物)とした。希土類元素の混合物であ
るミッシュメタルMmとNi,Co,Mn,Alの各試
料をア−ク炉に入れて、10-4〜10-5torrまで真空状
態にした後、アルゴンガス雰囲気下の減圧状態でア−ク
放電し、加熱溶解させた。試料の均質化を図るために真
空中、1050℃で6時間熱処理を行った。得られた合
金塊を粗粉砕後、湿式ボ−ルミルを用いて平均粒子径2
0μmの粉末を得た。この粉末を80℃の7.2mol
水酸化カリウム水溶液中で1時間攪拌しながら処理を施
した後、合金粉末から水酸化カリウムを除去するために
水洗を行い、乾燥することにより負極に用いる水素吸蔵
合金粉末を得た。この水素吸蔵合金粉末に水とカルボキ
シメチルセルロ−ス(CMC)を加えてペ−スト状に
し、多孔度95%の発泡状ニッケル多孔体へ充填、乾
燥、加圧後、所定の寸法に切断し、水素吸蔵合金負極を
作成した。セパレ−タはポリプロピレンとポリエチレン
とからなる不織布をスルホン化したスルホン化セパレ−
タを用いた。
セパレ−タ3を介して渦巻き状に旋回し、負極端子を兼
ねるケ−ス4に挿入した。その後、比重が1.30であ
る水酸化カリウム水溶液中に水酸化リチウムを20g/l
溶解したアルカリ電解液を2.4cm3注液して、正極端
子5と安全弁6を備えた封口板7によりケ−ス4を封口
し、正極で電池容量を規制した1400mAhの容量をも
つ4/5Aサイズの密閉形ニッケル・水素蓄電池を構成
した。作成した電池の構造を図2に示した。図中、8は
絶縁ガスケット、9は正極2と封口板7とを電気的に接
続する正極集電体を示す。正極の水酸化ニッケルが異な
る5種類(上記A〜Eに対応)の電池を図2と同様な構
成で作成した。これらの電池を用いて、以下の条件によ
り正極活物質である水酸化ニッケルの活物質利用率の試
験を行った。20℃の環境下で0.1CmAの充電電流
で正極容量すなわち水酸化ニッケル活物質から計算され
る理論容量の150%充電し、1時間休止を行い、0.
2CmA一定の放電電流で1.0Vまで連続放電を行っ
た。この方法で充放電を5回繰り返し、各サイクルにお
ける活物質利用率を算出した。活物質利用率は以下の次
式で計算した。活物質利用率=(1.0Vまでの放電容
量/水酸化ニッケル理論容量)×100 (表2)に、A〜Eの水酸化ニッケルを用いた電池で活
物質利用率を調べた結果を示す。
酸化ニッケルの利用率は、1サイクル目が80%であ
り、5サイクル充放電を繰り返した後の利用率は85%
である。この原因は30Å以上の細孔半径を有する空間
体積が全空間体積に対して17%である。このことは比
表面積が8.6m2/gで全空間体積が0.01cm3/gと小
さいことに相関している。したがって、水酸化ニッケル
粒子の細孔内部への電解液の浸入が困難であり、その結
果、充放電反応に関与する有効な水酸化ニッケルが減少
するため、1サイクル目の利用率が80%と低い。ま
た、充放電サイクルを繰り返しても5%程度しか利用率
は向上しない。No.Eの水酸化ニッケル粉末は空間体
積比が78%で、比表面積が25.6m2/gおよび全空間
体積が0.06cm3/gである。したがって、この水酸化
ニッケル粉末中には電解液が十分含有することが可能で
あり、1サイクル目の利用率が95%と高い。しかし、
タップ密度が1.8g/cm3と低いために充填性が低下し
充填密度すなわち容量密度が低下する。
200Åの細孔半径を有し、空間体積比が20〜70%
であれば優れた活物質利用率を示す。このような特性を
有する球状水酸化ニッケルは反応pHを11.3±0.
2の範囲に制御することにより得ることができる。な
お、BET比表面積や細孔の空間体積は空間体積比に相
関を有し、比表面積と空間体積をそれぞれ本発明のN
o.B,C,Dに示した10〜20m2/gと0.015〜
0.04cm3/gになるように制御することが好ましい。
また、水酸化ニッケル粉末のタップ密度や平均粒子径は
電極への充填性に重要であり、タップ密度が小さいと水
酸化ニッケルの電極への充填密度すなわち容量密度が低
下し、実質的な電池容量が低下する。平均粒子径は水酸
化ニッケルを含有するペ−ストの粘性に関係し、適切な
粒子径に制御することにより支持体への充填や塗着が可
能となる。したがって、タップ密度と平均粒子径はそれ
ぞれ1.9g/cm3以上と7〜20μmが好ましい。
アが残留した場合にNo.Cと同様な構成の電池の自己
放電特性がどのように変化するか調べるために、電池内
にアンモニアを水酸化ニッケルに対して0.05〜0.
01wt%を含有するNo.C−1とC−2の電池をそれ
ぞれ作成した。この他は実施例1のNo.Cと同様な電
池構成条件とした。自己放電特性は以下の条件で試験を
行った。20℃の雰囲気下で充電を0.1CmAで15
時間行い、1時間休止した後、0.2CmAの放電電流
で1.0Vまで放電を行い、放電容量(A)を計算によ
り求めた。次に、20℃の雰囲気下で充電を0.1Cm
Aで15時間行い、充電状態で45℃の環境下に14日
間放置し、その後、20℃の雰囲気下で0.2CmAの
放電電流で1.0Vまで放電を行い、放電容量(B)を
計算により求めた。次に、自己放電特性を表す容量維持
率を次式により求めた。容量維持率(%)=放電容量
(B)/放電容量(A)×100 (表3)に本発明のNo.Cの電池と比較例のNo.C
−1,C−2の電池の自己放電特性を示す。
モニアを含有した場合、高温で放置した場合の容量維持
率は低下する。したがって、アンモニアの錯体を作成し
て水酸化ニッケルを製造する場合、水洗を十分におこな
ってもアンモニアが水酸化ニッケル粉末中に残留するた
め自己放電特性は低下する。一方、本発明の水酸化ニッ
ケル粉末は製造過程においてアンモニアを含有しないた
め優れた自己放電特性を示すこととなる。
水酸化ニッケル粉末を用い、(表4)に示す組成(重量
比)の正極を作成した。正極も実施例1と同様な方法で
作成した。
で用いた負極と組合せ、実施例1と同じ電池を作成し
た。これらの電池を用いて、以下の条件により正極活物
質である水酸化ニッケルの活物質利用率と充放電サイク
ル寿命の試験を行った。活物質利用率は、20℃の環境
下で0.1CmAの充電電流で正極容量すなわち水酸化
ニッケル活物質から計算される理論容量の150%充電
し、1時間休止を行い、0.2CmA一定の放電電流で
1.0Vまで連続放電を行った。この方法で充放電を2
回繰り返し、2サイクル目における活物質利用率を算出
した。活物質利用率は次式で計算した。活物質利用率=
(1.0Vまでの放電容量/水酸化ニッケル理論容量)
×100 充放電サイクル寿命は、0℃の環境下で1CmAの充電
電流で1.3時間充電し、その後1CmAの放電電流で
1.0Vまで連続放電を行った。
放電時間に対して60%まで放電時間が低下した時点を
サイクル寿命とした。「表5」にNo.F〜Iの活物質
利用率とサイクル寿命の結果を示す。
粉末を用いた場合においても、(表4)に示した正極組
成により活物質利用率や充放電サイクル寿命特性が異な
る。No.Fの本発明の水酸化ニッケル粉末のみで正極
を構成した場合、活物質利用率は82.3%と低い。一
方、本発明の正極No.G〜Iを用いた場合、活物質利
用率は94.8〜95.5%と優れた特性を示すことが
わかる。本発明の水酸化ニッケルを用いた場合、利用率
を向上させるためにはコバルトあるいは水酸化コバルト
を水酸化ニッケルと共存させることが必要である。な
お、コバルトと水酸化コバルトの添加量は、実質的な放
電容量の点から水酸化ニッケル粉末100重量部に対し
てそれぞれ4〜18重量部、0〜10重量部の範囲が好
ましい。すなわち、コバルトが4重量部より低下すると
利用率が低下し、実質的な放電容量が低下する。また、
18重量部よりコバルト添加量が増大すると活物質利用
率は95%以上と良好であるが、充填密度が低下するた
め実質的な放電容量が低下する。水酸化コバルトの添加
量も同様な傾向を示すため、前記の範囲が好ましい。
組成であれば0℃の雰囲気下においても500回以上の
充放電サイクルが可能である。酸化亜鉛を含有したN
o.Iの正極を用いた場合、サイクル寿命特性は750
サイクルと非常に良好である。したがって、さらに優れ
た寿命特性を有するためには酸化亜鉛を水酸化ニッケル
粉末と共存させることが必要である。添加量は、水酸化
ニッケル100重量部に対して0〜10重量部が適切で
あり、10重量部以上添加すると活物質利用率が90%
以下に低下する。なお、酸化カドミウム・カドミウム・
亜鉛等もサイクル寿命を向上させる同様な効果を示し、
これらの添加量は、0〜10重量部の範囲が好ましい。
m2の発泡状ニッケル多孔体を用いたが、面密度が200
〜700g/m2の範囲であれば同様な効果を示す。また、
発泡状ニッケル多孔体の他に3次元多孔体の一種である
パンチングメタルや平板を用いても同様な効果を示す。 (実施例4)実施例1のNo.Cの水酸化ニッケル粉末
と実施例2のNo.Iの正極とを用い、電解液の比重と
量を変化させて、実施例1と同様な電池を作成した。作
成した電池のNo.と電解液の比重と液量との関係を
(表6)に示す。これらの電池を用いて実施例3と同じ
条件で利用率およびサイクル寿命試験を行った結果もあ
わせて(表6)に示した。
低い場合、利用率は88.2%となり電池容量が低下す
る。また、電解液比重が1.43と高いNo.Nの場合
サイクル寿命が450サイクルと低下する。一方、N
o.K〜Mの場合は利用率が93.5〜96%であり、
サイクル寿命は650〜770と優れた特性を示すこと
がわかる。したがって、電解液比重はNo.K〜Mの電
池の1.23〜1.40の範囲が最適である。電解液量
が1.3ccであるNo.Oの電池は、本発明の水酸化ニ
ッケルに対して液不足であるため、利用率およびサイク
ル寿命とも低下する。また、電解液量が3.0ccである
No.Sの電池は利用率が95%と良好であるがサイク
ル寿命が2.8ccの場合よりも低下する。これは、電解
液量が多量であるため1CmAの電流値で充電した場
合、過充電時に正極から発生する酸素ガスの負極での吸
収反応が低下し、安全弁からガスや電解液が漏液しサイ
クル寿命が低下する。No.P〜Rの電池容量は1.4
AhであるからAh当たりの電解液量はそれぞれ1.
0,1.43,2.0である。以上のことから、アルカ
リ電解液の比重は1.23〜1.40であり、電解液量
は1.0〜2.0cm3/Ahであることが好ましい。なお、
電解液中に含有する水酸化リチウム(LiOH)は10
g/l以下になると、放電電圧が著しく低下することから
10g/l以上含有することが好ましい。本実施例では、
負極にAB5系水素吸蔵合金を用いた場合を示したがチ
タン系等のAB,AB2系水素吸蔵合金やカドミウム負
極、亜鉛負極を用いても同様な効果が得られる。
正極に用いる水酸化ニッケル活物質粉末は、カドミウ
ム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄、コバルトお
よびマンガンからなる群のうちの少なくとも一種を前記
水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7wt%含有し、0.
1μm以下の一次粒子が無数に集合した粒子であり、3
0Å以上の細孔半径を有する空間体積が全空間体積に対
して20〜70%としたものである。
し、この水酸化ニッケル粉末を支持し、導電性を付与す
る3次元多孔体あるいは平板からなるニッケル正極にお
いて、カドミウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、
鉄、コバルトおよびマンガンからなる群のうちの少なく
とも一種を水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7wt%含
有し、0.1μm以下の一次粒子が無数に集合した粒子
であり、30Å以上の細孔半径を有する空間体積が全空
間体積に対して20〜70%である水酸化ニッケル粉末
とコバルト、水酸化コバルト、酸化亜鉛、亜鉛、カドミ
ウムおよび酸化カドミウムからなる群のうちの少なくと
も一種とから構成されているニッケル正極としたもので
ある。
ケル正極と、電気化学的に水素の吸蔵放出反応が可能な
水素吸蔵合金を主体とする負極あるいは酸化カドミウム
を主体とする負極と、アルカリ電解液と、セパレ−タと
これらを挿入するケ−スと安全弁を備えた封口板からな
るアルカリ蓄電池において、初充放電前に前記ニッケル
正極は、カドミウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウ
ム、鉄、コバルトおよびマンガンからなる群のうちの少
なくとも一種を水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7wt
%含有し、0.1μm以下の一次粒子が無数に集合した
粒子であり、30Å以上の細孔半径を有する空間体積が
全空間体積に対して20〜70%である水酸化ニッケル
粉末にコバルト、水酸化コバルト、酸化亜鉛、亜鉛、カ
ドミウムおよび酸化カドミウムの少なくとも一種とこれ
らの粉末を支持し、導電性を付与する3次元多孔体ある
いは平板から主に構成されるニッケル正極を用い、アル
カリ電解液の比重は1.23〜1.4、電池容量1Ah
当たりの電解液量は1.0〜2.0cm3/Ahとしたアルカ
リ蓄電池である。
ッケル活物質の利用率と低温のサイクル寿命が向上し優
れた容量と信頼性を有する水酸化ニッケル、ニッケル正
極およびアルカリ蓄電池を提供することが可能になる。
また、粉末作成時にアンモニア等を使用しないため、自
己放電特性に優れたアルカリ蓄電池を提供することが可
能になる。
子構造を示す電子顕微鏡写真
図
Claims (34)
- 【請求項1】電池活物質としての水酸化ニッケル活物質
粉末は、カドミウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウ
ム、鉄、コバルトおよびマンガンからなる群のうちの少
なくとも一種を前記水酸化ニッケル活物質粉末に1〜7
wt%含有し、0.1μm以下の一次粒子が無数に集合し
た粒子であり、30Å以上の細孔半径を有する空間体積
が全空間体積に対して20〜70%であることを特徴と
する水酸化ニッケル活物質。 - 【請求項2】水酸化ニッケル活物質粉末は球状である請
求項1記載の水酸化ニッケル活物質。 - 【請求項3】活物質粉末は、窒素ガスの吸着により測定
されるBET比表面積が10〜20m2/gである請求項1
記載の水酸化ニッケル活物質。 - 【請求項4】活物質粉末は、平均粒子径が7〜20μm
であり、タップ密度が1.9g/cm3以上である請求項1
記載の水酸化ニッケル活物質。 - 【請求項5】活物質粉末は、細孔の空間体積が0.01
5〜0.04cm3/gである請求項1記載の水酸化ニッケ
ル活物質。 - 【請求項6】活物質粉末は、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛お
よび硫酸コバルトの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶
液とにより、水酸化ニッケルの生成における反応pHを
制御して得られた粒子である請求項1記載の水酸化ニッ
ケル活物質。 - 【請求項7】反応pHが11.3±0.2である請求項
6記載の水酸化ニッケル活物質。 - 【請求項8】水酸化ニッケル粉末を主成分とし、前記水
酸化ニッケル粉末を支持し、導電性を付与する3次元多
孔体あるいは平板からなるニッケル正極において、カド
ミウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、コバル
トおよびマンガンからなる群のうちの少なくとも一種を
水酸化ニッケル活物質粉末中に1〜7wt%含有し、0.
1μm以下の一次粒子が無数に集合した粒子であり、3
0Å以上の細孔半径を有する空間体積が全空間体積に対
して20〜70%である水酸化ニッケル粉末とコバル
ト、水酸化コバルト、酸化亜鉛、亜鉛、カドミウムおよ
び酸化カドミウムからなる群のうちの少なくとも一種と
から構成されていることを特徴とするニッケル正極。 - 【請求項9】重量比で水酸化ニッケル:コバルト:水酸
化コバルト:酸化亜鉛および/又は酸化カドミウム:カ
ドミウムおよび/又は亜鉛=100:4〜18:0〜1
0:0〜10:0〜10の割合である請求項8記載のニ
ッケル正極。 - 【請求項10】3次元多孔体は、発泡状ニッケル多孔体
あるいはパンチングメタルである請求項8記載のニッケ
ル正極。 - 【請求項11】平板がニッケルあるいは鉄にニッケルメ
ッキを施した箔である請求項8記載のニッケル正極。 - 【請求項12】水酸化ニッケル活物質粉末は、窒素ガス
の吸着により測定されるBET比表面積が10〜20m2
/gである請求項8記載のニッケル正極。 - 【請求項13】水酸化ニッケル活物質粉末は、平均粒子
径が7〜20μmであり、タップ密度が1.9g/cm3以
上の球状粒子である請求項8記載のニッケル正極。 - 【請求項14】水酸化ニッケル活物質粉末は、細孔の空
間体積が0.015〜0.04cm3/gである請求項8記
載のニッケル正極。 - 【請求項15】発泡状ニッケル多孔体は、その面密度が
200〜700g/m2である請求項8記載のニッケル正
極。 - 【請求項16】活物質粉末が硫酸ニッケル、硫酸亜鉛お
よび硫酸コバルトの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶
液とにより、水酸化ニッケルの生成における反応pHを
制御して得られた粒子である請求項8項記載のニッケル
正極。 - 【請求項17】反応pHが11.3±0.2である請求
項16記載のニッケル正極。 - 【請求項18】撥水性を有する粉末を含有している請求
項8記載のニッケル正極。 - 【請求項19】ニッケル酸化物を主成分とするニッケル
正極と、電気化学的に水素の吸蔵放出反応が可能な水素
吸蔵合金を主体とする負極かあるいは酸化カドミウムを
主体とする負極と、アルカリ電解液と、セパレ−タとこ
れらの発電要素を挿入するケ−スと、安全弁を備えた封
口板とからなるアルカリ蓄電池において、初充放電前に
前記ニッケル正極は、カドミウム、カルシウム、亜鉛、
マグネシウム、鉄、コバルトおよびマンガンからなる群
のうちの少なくとも一種を水酸化ニッケル活物質粉末中
に1〜7wt%含有し、0.1μm以下の一次粒子が無数
に集合した粒子であり、30Å以上の細孔半径を有する
空間体積が全空間体積に対して20〜70%である水酸
化ニッケル粉末にコバルト、水酸化コバルト、酸化亜
鉛、亜鉛、カドミウムおよび酸化カドミウムからなる群
のうちの少なくとも一種とこれらの粉末を支持し、導電
性を付与する3次元多孔体あるいは平板から主に構成さ
れるニッケル正極を用い、アルカリ電解液の比重は1.
23〜1.4であり、電池容量1Ah当たりの電解液量
は1.0〜2.0cm3/Ahであることを特徴とするアルカ
リ蓄電池。 - 【請求項20】ニッケル正極は重量比で、水酸化ニッケ
ル:コバルト:水酸化コバルト:酸化亜鉛および/又は
酸化カドミウム:カドミウムおよび/又は亜鉛=10
0:4〜18:0〜10:0〜10:0〜10の割合で
ある請求項19記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項21】3次元多孔体が、発泡状ニッケル多孔体
あるいはパンチングメタルである請求項19記載のアル
カリ蓄電池。 - 【請求項22】平板が、ニッケルあるいは鉄にニッケル
メッキを施した箔である請求項19記載のアルカリ蓄電
池。 - 【請求項23】発泡状ニッケル多孔体は、その面密度が
200〜700g/m2である請求項19記載のアルカリ蓄
電池。 - 【請求項24】ニッケル正極は、撥水性を有する粉末を
含有している請求項19記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項25】水酸化ニッケル活物質粉末は、平均粒子
径が7〜20μmであり、タップ密度が1.9g/cm3以
上の粒子である請求項19記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項26】水酸化ニッケル活物質粉末は、窒素ガス
の吸着により測定されるBET比表面積が10〜20m2
/gである請求項19記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項27】水酸化ニッケル活物質粉末は、細孔の空
間体積が0.015〜0.04cm3/gである請求項19
記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項28】水酸化ニッケルが、硫酸ニッケル、硫酸
亜鉛および硫酸コバルトの混合水溶液と水酸化ナトリウ
ム水溶液とにより生成され、水酸化ニッケルの生成反応
における反応pHを制御して得られた粒子である請求項
19項記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項29】水酸化ニッケルの生成反応における反応
pHが、11.3±0.2である請求項28記載のアル
カリ蓄電池。 - 【請求項30】アルカリ電解液が、水酸化カリウムと水
酸化ナトリウムのうちの少なくとも一種と水酸化リチウ
ムからなる請求項19記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項31】水酸化リチウム(Li0H)が電解液中
に10g/l以上含有されている請求項30記載のアルカ
リ蓄電池。 - 【請求項32】アルカリ電解液中に亜鉛酸イオンが存在
する請求項19記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項33】セパレ−タはスルホン化処理を施した不
織布である請求項19記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項34】封口板に設けた安全弁の弁作動圧が5〜
30kg/cm3である封口板を備えている請求項19記載の
アルカリ蓄電池。
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- 1991-07-08 JP JP03194923A patent/JP3092222B2/ja not_active Expired - Lifetime
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