JPH0538916A - 車両のサスペンシヨン装置 - Google Patents

車両のサスペンシヨン装置

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JPH0538916A
JPH0538916A JP3020782A JP2078291A JPH0538916A JP H0538916 A JPH0538916 A JP H0538916A JP 3020782 A JP3020782 A JP 3020782A JP 2078291 A JP2078291 A JP 2078291A JP H0538916 A JPH0538916 A JP H0538916A
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step motor
damping
shock absorber
control
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透 吉岡
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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ばね上とばね下との間に、ショックアブソー
バ1、2、3、4を備え、車体の上下振動に応じて、オ
ープン制御により、ショックアブソーバ1、2、3、4
の減衰力を変更するステップモータ27と、ステップモ
ータに制御信号を出力する制御手段8を備えた車両のサ
スペンション装置において、ソフト側とハード側との間
で、減衰力の変更が、頻繁にかつ高速でおこなわれるた
めにステップモータ27の脱調が生じ、所望の減衰力
で、サスペンション制御をおこなうことができず、走行
安定性が低下することを防止することを目的とする。 【構成】 制御手段8により、所定時間経過毎に、およ
び/または、ソフト側とハード側との間での減衰力の変
更が所定回数以上なされたときに、減衰力がハード側に
なるように、ステップモータ27の脱調補正をおこな
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のサスペンション
装置に関するものであり、さらに詳細には、ばね上とば
ね下との間に、減衰力特性が可変なショックアブソーバ
を備えた車両のサスペンション装置に関するものであ
る。
【0002】
【先行技術】従来の車両のサスペンション装置において
は、車体側、すなわち、ばね上と、車輪側、すなわち、
ばね下との間に、車輪の上下振動を減衰させるためのシ
ョックアブソーバが設けられているのが、一般である。
このショックアブソーバとして、減衰力特性を変化させ
ることのできるものが知られており、減衰力特性可変式
のショックアブソーバとしては、減衰力特性が高低2段
もしくは多段に変更可能なもの、あるいは、無段連続的
に変更可能なものが提案されている。
【0003】かかる減衰力可変式のショックアブソーバ
においては、ショックアブソーバが発生する減衰力が、
車体の上下振動に対して、加振方向に働くときに、ショ
ックアブソーバの減衰力を低減衰側、すなわち、ソフト
側に変更し、他方、減衰力が制振方向に働くときは、シ
ョックアブソーバの減衰力を高減衰側、すなわち、ハー
ド側に変更して、ばね上に伝達される加振エネルギーに
対して、制振エネルギーを大きくし、車両の乗り心地お
よび走行安定性を同時に向上させるように制御されるの
が通常であり、特開昭60−248419号公報は、ば
ね上とばね下との相対変位の向きと、ばね上とばね下と
の相対速度の向きとが一致するか否かに基づき、一致し
たときには、減衰力が加振方向に働いていると判定し、
他方、一致していないときは、減衰力が制振方向に働い
ていると判定し、制御するようにした方法を開示してい
る。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】このように、ばね上と
ばね下との相対変位の向きと、ばね上とばね下との相対
速度の向きとが一致するか否かに基づき、減衰力の変更
制御する減衰力可変式のショックアブソーバにおいて
は、フィードバック制御により、ショックアブソーバの
減衰力を制御する場合には、ばね上とばね下との相対変
位の向きと、ばね上とばね下との相対速度の向きとは、
頻繁に、一致、不一致を繰り返すため、必然的に、制御
用のコンピュータが大型化するとともに高価なものとな
るという問題があった。
【0005】そこで、かかる問題を解決し、オープン制
御により、ショックアブソーバの減衰力を制御するとき
には、ステップモータを使用することが考えられるが、
ステップモータを使用した場合には、ばね上とばね下と
の相対変位の向きと、ばね上とばね下との相対速度の向
きとは、頻繁に、一致、不一致を繰り返すため、減衰力
が、ソフト側からハード側に、さらには、ハード側から
ソフト側にというように、きわめて高速度で、ソフト側
とハード側の間で、変更されるように、ステップモータ
を駆動する必要があり、かかる場合には、ステップモー
タが脱調して、車体の上下振動状態に応じて、ショック
アブソーバの減衰力を所望のように制御することができ
ず、かえって、走行安定性が損なわれるという問題があ
った。
【0006】
【発明の目的】本発明は、ばね上とばね下との間に、シ
ョックアブソーバを備え、車体の上下振動に応じて、オ
ープン制御により、ショックアブソーバの減衰力を変更
するステップモータと、ステップモータに制御信号を出
力する制御手段とを備えた車両のサスペンション装置に
おいて、ステップモータが脱調した場合にも、走行安定
性の低下を防止することのできる車両のサスペンション
装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【発明の構成】本発明のかかる目的は、前記制御手段
が、所定時間毎に、前記ショックアブソーバの減衰力
が、ハード側に補正されるように、前記ステップモータ
に制御信号を出力して、前記ステップモータの脱調補正
をおこなうように構成されることにより達成される。
【0008】本発明の好ましい実施態様においては、ソ
フト側とハード側との間で、所定回数以上、減衰力の変
更が実行されたとき、制御手段が、ショックアブソーバ
の減衰力が、ハード側に補正されるように、ステップモ
ータに制御信号を出力して、ステップモータの脱調補正
をおこなうように構成されている。本発明の他の好まし
い実施態様においては、制御手段が、ショックアブソー
バの減衰力を、ハード側に補正する際、左右の両輪のシ
ョックアブソーバの減衰力を補正して、ステップモータ
の脱調補正をおこなうように構成されている。
【0009】本発明のさらに他の好ましい実施態様にお
いては、制御手段が、ショックアブソーバの減衰力を、
ハード側に補正する際、後輪のショックアブソーバの減
衰力を補正する場合には、前輪のショックアブソーバの
減衰力も補正して、ステップモータの脱調補正をおこな
うように構成されている。
【0010】
【発明の作用】本発明によれば、制御手段が、所定時間
毎に、ショックアブソーバの減衰力が、ハード側に補正
されるように、ステップモータに制御信号を出力して、
ステップモータの脱調補正をおこなうように構成されて
いるので、ステップモータが脱調した場合にも、走行安
定性の低下を防止することが可能になる。
【0011】本発明の好ましい実施態様によれば、ソフ
ト側とハード側との間で、所定回数以上、減衰力の変更
が実行されたとき、制御手段が、ショックアブソーバの
減衰力が、ハード側に補正されるように、ステップモー
タに制御信号を出力して、ステップモータの脱調補正を
おこなうように構成されているから、減衰力のソフト側
とハード側との間での変更が頻繁におこなわれ、所定時
間経過前に、ステップモータの脱調が生ずる可能性が大
きい悪路走行などの場合にも、適切に、ステップモータ
の脱調補正をおこなうことができ、走行安定性の低下を
防止することが可能になる。
【0012】本発明の他の好ましい実施態様によれば、
制御手段が、ショックアブソーバの減衰力を、ハード側
に補正する際、左右の両輪のショックアブソーバの減衰
力を補正して、ステップモータの脱調補正をおこなうよ
うに構成されているから、左右の両輪のショックアブソ
ーバのステップモータの脱調状態が異なっている場合に
も、ステア特性を変化させることなく、ステップモータ
の脱調補正をおこなうことができ、走行安定性の低下を
防止することが可能になる。
【0013】本発明のさらに他の好ましい実施態様によ
れば、制御手段が、ショックアブソーバの減衰力を、ハ
ード側に補正する際、後輪のショックアブソーバの減衰
力を補正する場合には、前輪のショックアブソーバの減
衰力も補正して、ステップモータの脱調補正をおこなう
ように構成されているから、後輪のみを補正した場合
に、ステア特性がオーバーステアになるおそれを確実に
防止することができ、さらに、走行安定性の低下を防止
することが可能になる。
【0014】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の好ましい
実施例につき、詳細に説明を加える。図1は、本発明の
好ましい実施例に係る車両のサスペンション装置を含む
車両の略斜視図である。
【0015】図1において、本発明の好ましい実施例に
係る車両のサスペンション装置は、各車輪に対応して設
けられ、各車輪の上下振動を減衰させるたショックアブ
ソーバ1、2、3、4を備えている。各ショックアブソ
ーバ1、2、3、4は、それぞれ、図示しないアクチュ
エータにより、減衰係数が異なった10の減衰力特性に
切り換え可能に構成されており、また、図示しない圧力
センサを備えている。図1において、5は左前輪、6は
左後輪であり、右前輪および右後輪は図示されていな
い。また、7は、各ショックアブソーバ1、2、3、4
の上部外周に配設されたコイルスプリングであり、8
は、各ショックアブソーバ1、2、3、4のアクチュエ
ータに対して、制御信号を出力して、各ショックアブソ
ーバ1、2、3、4の減衰力特性を変更制御するコント
ロールユニットである。
【0016】また、車両9のばね上には、各車輪のばね
上の上下方向の加速度を検出する第1加速度センサ1
1、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、第
4加速度センサ14が、インストルパネルのメータ内に
は、車速を検出する車速センサ15が、それぞれ、設け
られている。図1において、16は、ショックアブソー
バ1、2、3、4の減衰力特性の制御を、ドライバー
が、ハードモード、ソフトモードまたはコントロールモ
ードのいずれかに切り換えるモード選択スィッチであ
り、ハードモードが選択されたときは、減衰力特性が、
ハードになるような範囲の減衰係数のみが選択され、そ
の範囲内でのみ、ショックアブソーバ1、2、3、4の
減衰力特性の変更制御がなされ、ソフトモードが選択さ
れたときは、減衰力特性が、ソフトになるような範囲の
減衰係数のみが選択され、その範囲内でのみ、ショック
アブソーバ1、2、3、4の減衰力特性の変更制御がな
されるが、コントロールモードが選択されたときは、あ
らかじめ、コントロールユニット8内に記憶されたマッ
プあるいはテーブルにしたがって、所定のように、ショ
ックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性の変更制御
がなされるようになっている。
【0017】図2は、左前輪に対して設けられたショッ
クアブソーバ1の要部略断面図である。ただし、圧力セ
ンサは、便宜上、省略されている。図2において、ショ
ックアブソーバ1は、シリンダ21を備え、シリンダ2
1内には、ピストンとピストンロッドが一体的に結合さ
れたピストンユニット22が摺動可能に嵌装されてい
る。シリンダ21およびピストンユニット22は、それ
ぞれ、ばね下およびばね上に結合されている。
【0018】ピストンユニット22には、2つのオリフ
ィス23、24が形成されている。一方のオリフィス2
3は常に開いており、他方のオリフィス24は、それぞ
れ、第1アクチュエータ41により、その通路面積が、
10段階に変更可能に形成されている。図3は、ショッ
クアブソーバ1に設けられた第1アクチュエータ41の
分解略斜視図であり、図2および図3に示されるよう
に、第1アクチュエータ41は、ピストンユニット22
に固定されたスリーブ25内に、回転自在に設けられた
シャフト26と、シャフト27を回転させるステップモ
ータ27と、シャフト26の下端部に一体に取付けら
れ、その円周に沿って、9つの円形孔28を有する第1
オリフィスプレート29と、スリーブ25の下端部に一
体的に設けられ、その円周に沿って、円弧状の長孔30
が形成された第2オリフィスプレート31を備えてい
る。ここに、第1オリフィスプレート29に形成された
9つの円形孔28と、第2オリフィスプレート31に形
成された長孔30は、ステップモータ27の回転による
シャフト26および第1オリフィスプレート29の回転
にしたがって、9つの円形孔28が、0ないし9個の範
囲で、長孔30と連通可能なように形成されている。
【0019】シリンダ21内の上室32および下室33
内は、所定の粘度を有する流体で満たされており、オリ
フィス23、24を通って、上室32および下室33間
を移動可能になっている。図2および図3においては、
ショックアブソーバ1の構造のみを示したが、他の車輪
に対して設けられたショックアブソーバ2、3、4もま
た、図2に示されたショックアブソーバ1と同様の構造
を有しており、それぞれ、図3に示されたのと同様な第
2アクチュエータ42、第3アクチュエータ43、第4
アクチュエータ44を備えている。
【0020】図4は、ショックアブソーバ1、2、3、
4の減衰力特性を示すグラフであり、D1 ないしD
10は、それぞれ、ショックアブソーバ1、2、3、4の
減衰係数を示している。図4において、縦軸は、ショッ
クアブソーバ1、2、3、4が発生する減衰力を、横軸
は、ばね上の変位速度XS とばね下の変位速度XU との
差、すなわち、ばね上とばね下の相対変位速度(XS
U )を示している。図4に示されるように、ショック
アブソーバ1、2、3、4の減衰力特性は、減衰係数D
1 ないしD10のいずれかを選択することによって、10
段階に変更することが可能なように構成されている。図
4において、D1 は、最もソフトな減衰力を発生させる
減衰係数を、D10は、最もハードな減衰力を発生させる
減衰係数を、それぞれ、示している。ここに、減衰係数
k (kは正の整数で、1〜10)は、第1オリフィス
プレート29に形成された9つの円形孔28のうち、
(10−i)個の円形孔28が、第2オリフィスプレー
ト31に形成された長孔30と連通している場合に選択
されるようになっている。したがって、減衰係数M
1 は、第1オリフィスプレート29に形成された9つの
円形孔28のすべてが、第2オリフィスプレート31に
形成された長孔30と連通している場合に選択され、減
衰係数D10は、第1オリフィスプレート29に形成され
た9つの円形孔28のすべてが、第2オリフィスプレー
ト31に形成された長孔30と連通している第1オリフ
ィスプレート29に形成された9つの円形孔28のいず
れもが、第2オリフィスプレート31に形成された長孔
30と連通しないときに選択されることになる。
【0021】図5は、本発明の実施例に係る車両のサス
ペンション装置の振動モデル図であり、msはばね上質
量、muはばね下質量、xsはばね上変位、xuはばね
下変位、ksはコイルスプリング7のばね定数、ktは
タイヤのばね定数、Dk はショックアブソーバ1、2、
3、4の減衰係数である。図6は、ステップモータ27
の略斜視図であり、ステップモータ27は、筒状体5
0、筒状体50内に収容されたロータ51、ステータ5
2および蓋53から構成されている。図7は、ロータ5
1およびステータ52の略平面図であり、通常のステッ
プモータと同様に、ロータ51の外周部には、複数の矩
形形状の歯が形成され、ステータ52の内周部には、こ
れと対応して、複数の矩形形状の歯が形成されており、
ステータ52には、ソレノイド54が巻回されている。
ロータ51には、2本のストッパピン55、56が形成
されており、図8に示されるように、蓋53には、スト
ッパピン55、56に対応する位置に、円周方向に2つ
の溝57、58が形成されている。溝57は、ロータ5
1に形成されたストッパピン55と係合して、ステップ
モータ27の可動範囲を規制するものであり、他方、溝
58は、ストッパピン56と係合するものであって、ス
トッパピン55、56を、溝57、58と係合させるこ
とによって、蓋53を被せたときに、ロータ51の重心
が回転中心と一致するように位置合わせを可能とするも
のである。したがって、蓋53の中心から、溝57、5
8の両端部を見た円周角は、溝58の方が、溝57より
大きくなっており、専ら、溝57によって、ステップモ
ータ28の可動範囲が決定されるように、溝57、58
が形成されている。図8において、ロータ51が、時計
方向に回転すると、減衰係数Dk が、より大きくなっ
て、減衰力特性は、よりハードになり、他方、反時計方
向に回転すると、減衰係数Dk が、より小さくなって、
減衰力特性は、よりソフトになるようになっており、ま
た、ロータ51の矩形形状の歯が、ステータ52の隣接
する矩形形状の歯に対向する位置に移動させられたと
き、すなわち、ステップモータ27が、一段回転される
と、減衰係数Dk が1つだけ変化するようになってい
る。従って、ストッパピン55が、溝57の右端部であ
る第1基準位置に位置しているとき、減衰係数Dk は、
10となり、ショックアブソーバ1が、最もハードな減
衰力を発生し、他方、ストッパピン55が、溝57の左
端部である第2基準位置に位置しているとき、減衰係数
kは、D1 となり、ショックアブソーバ1が、最もソ
フトな減衰力を発生するようになっている。
【0022】図9は、本発明の実施例に係る車両のサス
ペンション装置の制御系のブロックダイアグラムであ
る。図9において、ショックアブソーバ1、2、3、4
に、それぞれ設けられた第1圧力センサ61、第2圧力
センサ62、第3圧力センサ63、第4圧力センサ64
の検出した各ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰
力FSi(ここに、iは各車輪を示し、i=1、2、3、
4である。)の検出信号、第1加速度センサ11、第2
加速度センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度
センサ14の検出したばね上の上下方向の加速度ai
検出信号、車速センサ15の検出した車速Vの検出信
号、イグニッションスィッチ65からのイグニッション
がオンかオフかを示すIG信号およびモード選択スィッ
チ16からのモード信号が、それぞれ、コントロールユ
ニット8に入力されており、コントロールユニット8
は、これらの入力信号に基づき、あらかじめ記憶してい
るマップあるいはテーブルにより、制御信号を、第1ア
クチュエータ41、第2アクチュエータ42、第3アク
チュエータ43、第4アクチュエータ44に出力して、
ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性を制御
する。ここに、減衰力FSiは、連続値をとり、ばね上に
対して、上向きに作用するとき、すなわち、ばね上とば
ね下間が縮んでいるときに正の値に、下向きに作用する
とき、すなわち、ばね上とばね下間が伸びているときに
負の値になるように設定され、ばね上の上下方向の加速
度aiは、上向きのときに正の値に、下向きのときに負
の値になるように設定されている。
【0023】図10は、モード選択スィッチ16によ
り、コントロールモードが選択された場合において、コ
ントロールユニット8によって実行される各ショックア
ブソーバ1、2、3、4の減衰力特性変更制御の基本ル
ーチンを示すフローチャートである。図10において、
まず、コントロールユニット8には、第1加速度センサ
11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、
第4加速度センサ14の検出したばね上の上下方向の加
速度ai および第1圧力センサ61、第2圧力センサ6
2、第3圧力センサ63、第4圧力センサ64の検出し
た減衰力FSiが入力される。ついで、コントロールユニ
ット8は、入力された上下方向の加速度αi を積分し
て、ばね上の変位速度XSiを算出する。
【0024】コントロールユニット8は、さらに、算出
されたばね上の変位速度XSiに所定の定数K(K<0)
を乗じて、理想の減衰力であるスカイフック減衰力Fai
を算出するとともに、次の式にしたがって、hαを算
出し、hαが正か否かを判定する。 hα=FSi(Fai−αFSi)・・・・・・・・・・・・・ その結果、hαが正であるときは、コントロールユニッ
ト8は、hαが正であるショックアブソーバ1、2、
3、4の第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ
42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ4
4に制御信号を出力して、ステップモータ27を、図8
において、時計方向に、一段だけ回転させ、減衰係数D
kiを、前回の減衰係数Dkiより1つ大きいD(k+1)iに、
すなわち、よりハードになるように変更し、他方、hα
が正でないときは、コントロールユニット8は、さら
に、式にしたがって、hβを算出し、hβが負か否か
を判定する。
【0025】 hβ=FSi(Fai−βFSi)・・・・・・・・・・・・・ その結果、hβが負であるときは、コントロールユニッ
ト8は、hβが負であるショックアブソーバ1、2、
3、4の第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ
42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ4
4に制御信号を出力して、ステップモータ27を、図8
において、反時計方向に、一段だけ回転させ、減衰係数
kiが、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)i
なるように、すなわち、よりソフトになるように変更
し、これに対して、hβが負でないときには、コントロ
ールユニット8は、ステップモータ27を回転させるこ
となく、すなわち、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数D
kiのまま、変更することなく保持して、次のサイクルに
移行する。
【0026】ここに、α、βは、減衰係数Dkiの変更
が、あまりに頻繁におこなわれ、その結果、変更時に、
大きな音や振動が発生したり、応答遅れが生ずることを
防止するためのしきい値であって、通常、α>1、0<
β<1に設定される。すなわち、FSiとFaiが同符号の
ときは、式の(Fai−αFSi)は、α>1であるの
で、FSiにαが乗ぜられていない場合に比して、FSi
異符号になりやすく、その結果、hαは負になりやすい
から、減衰係数Dkiの変更がおこなわれにくく、さら
に、式の(Fai−βFSi)は、0<β<1であるの
で、FSiにβが乗ぜられていない場合に比して、FSi
同符号になりやすく、その結果、hβは正になりやすい
から、減衰係数Dkiの変更がおこなわれにくくなる。
【0027】これに対して、FSiとFaiが異符号の場合
には、実際の減衰力FSiを、理想的な減衰力であるスカ
イフック減衰力Faiと一致させることは不可能であり、
減衰係数Di をゼロに近い値にすること、すなわち、よ
りソフトになるように変更することが、FSiをFaiによ
り近づける上で望ましいことになる。そこで、本実施例
においては、FSiとFaiが異符号のときは、hαもhβ
もともに、負の値となり、その結果、コントロールユニ
ット8により、減衰係数Dkiは、前回の減衰係数Dki
り1つ小さいD(k-1)iに、すなわち、よりソフトになる
ように変更されるから、かかる要請を満足することが可
能になる。
【0028】図11は、モード選択スィッチ16によ
り、コントロールモードが選択された場合において、運
転状態に応じた減衰係数選択制御のルーチンを示すフロ
ーチャートであり、図10に示された減衰力特性変更制
御の基本ルーチンに優先して、適用される。すなわち、
図10の減衰力特性変更制御の基本ルーチンでは、しき
い値αおよびβを用いて、減衰係数Dkiの変更が、あま
りに頻繁におこなわれ、その結果、変更時に、大きな音
や振動が発生したり、応答遅れが生ずることを防止して
いるが、それでも、hαおよびhβの符号のみに基づい
て、減衰係数Dkiの変更制御をしているため、なお、減
衰係数Dkiの変更が、かなり頻繁におこなわれ、変更時
に、大きな音や振動が発生したり、応答遅れが生ずるこ
とがあるため、図11の減衰係数選択制御のルーチンに
より、運転状態に応じて、変更制御し得る減衰係数Dki
の範囲を制限して、かかる問題の解消が図られている。
したがって、図10の減衰力特性変更制御の基本ルーチ
ンは、図11の減衰係数選択制御のルーチンにより選択
された減衰係数Dkiの範囲内においてのみ、減衰係数D
kiを変更制御し得るにとどまるようになっている。
【0029】図11において、まず、コントロールユニ
ット8に、車速センサ15により検出された車速Vが入
力されるとともに、第1加速度センサ11、第2加速度
センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度センサ
14の検出したばね上の上下方向の加速度ai が入力さ
れる。ついで、コントロールユニット8は、車速Vが、
低速値である第1の所定車速V1 、たとえば、3km/h以
下か否かを判定する。
【0030】その結果、車速Vが、第1の所定車速V1
以下のときは、きわめて低速であるから、スコットや制
動ダイブ防止するため、ショックアブソーバ1、2、
3、4の減衰力特性がハードになるように、コントロー
ルユニット8は、減衰係数DkiをD8iに固定する。すな
わち、図10に示された減衰力特性変更制御の基本ルー
チンによる減衰力特性の変更制御はおこなわれない。
【0031】他方、車速Vが、第1の所定車速V1 を越
えているときには、さらに、コントロールユニット8
は、ばね上の上下方向の加速度aiの絶対値が、所定値
i0を越えているか否かを判定する。その結果、ばね上
の上下方向の加速度ai の絶対値が、所定値ai0を越え
ていると判定されたときは、悪路を走行中と判定し得る
から、コントロールユニット8は、さらに、車速Vが、
第3の所定車速V3 、たとえば、50km/h以上か否かを
判定する。
【0032】そして、車速Vが、第3の所定車速V3
上であると判定したときは、走行安定性の向上を重視し
て、コントロールユニット8は、減衰力特性を、比較的
ハードな範囲内で変更制御するために、減衰係数D
kiを、D5iないしD7iの範囲に設定する。その結果、図
10に示された減衰力特性変更制御の基本ルーチンにお
いて、減衰係数Dkiは、D5iが下限値になり、たとえ、
さらにソフトに変更すべき条件が成立しても、減衰係数
kiは、D5iに保持され、他方、D7iが上限値になり、
たとえ、よりハードに変更すべき条件が成立しても、減
衰係数Dkiは、D7iに保持されことになる。
【0033】これに対して、車速Vが、所定車速V3
満であると判定したときは、走行安定性と乗り心地の向
上の両立を図ることが可能であるから、コントロールユ
ニット8は、減衰力特性を、比較的ソフトな状態からハ
ードな状態の範囲内で変更制御することを可能とするた
めに、減衰係数Dkiを、D3iないしD7iの範囲に設定す
る。したがって、図10に示された減衰力特性変更制御
の基本ルーチンにおいて、減衰係数Dkiは、D3iが下限
値になり、たとえ、さらにソフトに変更すべき条件が成
立しても、減衰係数Dkiは、D3iに保持され、他方、D
7iが上限値になり、たとえ、よりハードに変更すべき条
件が成立しても、減衰係数Dkiは、D7iに保持されこと
になる。
【0034】他方、ばね上の上下方向の加速度ai の絶
対値が、所定値ai0以下と判定されたときは、悪路では
なく、通常の道路を走行中であると考えられるから、コ
ントロールユニット8は、さらに、車速Vが第2所定車
速V2 、たとえば、30km/h以下か否かを判定する。そ
の結果、車速Vが、第2所定車速V2 以下の低速走行状
態にあると判定したときは、乗り心地の向上を重視する
ため、コントロールユニット8は、減衰力特性が、比較
的ソフトな範囲内で変更制御されるように、減衰係数D
kiを、D1iないしD3iの範囲に設定する。したがって、
図10に示された減衰力特性変更制御の基本ルーチンに
おいて、減衰係数Dkiが、D1iのときは、たとえ、さら
にソフトに変更すべき条件が成立した場合でも、減衰係
数Dkiは、D1iに保持され、他方、D3iが上限値にな
り、たとえ、よりハードに変更すべき条件が成立して
も、減衰係数Dkiは、D3iに保持されことになる。
【0035】これに対して、車速Vが、第2所定車速V
2 を越えていると判定したときは、コントロールユニッ
ト8は、さらに、車速Vが、第4所定車速V4 、たとえ
ば、60km/h以下か否かを判定する。その結果、車速V
が、第4所定車速V4 以下の比較的中速走行状態にある
と判定したときは、走行安定性と乗り心地の向上させる
という2つ要請の両立を図ることが可能であるから、コ
ントロールユニット8は、減衰力特性を、比較的ソフト
な状態からハードな状態の範囲内で変更制御することを
可能とするために、減衰係数Dkiを、D2iないしD6i
範囲に設定する。したがって、図10に示された減衰力
特性変更制御の基本ルーチンにおいて、減衰係数D
kiは、D2iが下限値になり、たとえ、よりソフトに変更
すべき条件が成立しても、減衰係数Dkiは、D2iに保持
され、他方、D6iが上限値になり、たとえ、さらにハー
ドに変更すべき条件が成立しても、減衰係数Dkiは、D
6iに保持されことになる。
【0036】これに対して、車速Vが、第4所定車速V
4 を越えていると判定したときは、コントロールユニッ
ト8は、さらに、車速Vが、第5所定車速V5 、たとえ
ば、80km/h以下か否かを判定する。その結果、車速V
が、第5所定車速V5 以下の中速走行状態にあると判定
したときは、走行安定性と乗り心地の向上という2つの
要請の両立を図りつつ、ややハードに、ショックアブソ
ーバ1、2、3、4の減衰力特性を変更制御するため
に、コントロールユニット8は、減衰係数Dkiを、D4i
ないしD8iの範囲に設定する。したがって、図10の減
衰力特性変更制御の基本ルーチンにおいて、減衰係数D
kiは、D4iが下限値になり、たとえ、さらにソフトに変
更すべき条件が成立しても、減衰係数Dkiは、D4iに保
持され、他方、D8iが上限値になり、たとえ、さらにハ
ードに変更すべき条件が成立しても、減衰係数Dkiは、
8iに保持されことになる。
【0037】これに対して、車速Vが、第5所定車速V
5 を越えた高速走行状態にあると判定したときは、走行
安定性の向上を重視して、コントロールユニット8は、
減衰力特性が、ハードな範囲内で変更制御されるよう
に、減衰係数Dkiを、D7iないしD10i の範囲に設定す
る。したがって、図10の減衰力特性変更制御の基本ル
ーチンにおいて、減衰係数Dkiは、D7iが下限値にな
り、たとえ、さらにソフトに変更すべき条件が成立して
も、減衰係数Dkiは、D7iに保持され、他方、たとえ、
さらにハードに変更すべき条件が成立しても、減衰係数
kiは、D10i に保持されことになる。
【0038】図12は、ステップモータ27の脱調補正
制御のルーチンを示すフローチャートである。図11の
減衰係数選択制御のルーチンにより、運転状態に応じ
て、変更制御し得る減衰係数Dkiの範囲を制限した場合
にも、所定時間経過した後、あるいは、ソフト側および
ハード側への減衰力特性の変更制御が、所定回数以上、
実行された後には、ステップモータ27が脱調し、コン
トロールユニット8が意図している減衰係数Dkiが選択
されていないことが起こり得る。そのような場合には、
図11の減衰係数選択制御のルーチンによって、運転状
態に応じて、変更制御し得る減衰係数Dkiの範囲を制限
し、図10の減衰力特性変更制御の基本ルーチンによ
り、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性を
変更制御しても、所望の減衰力を得ることはできない。
そこで、本実施例においては、図12に示されるフロー
チャートにより、所望の減衰力が発生するように、ステ
ップモータ27の脱調補正をおこなっている。
【0039】図12において、まず、車速センサ15か
ら、車速Vの検出信号が、イグニッションスィッチ65
から、IG信号が、それぞれ、コントロールユニット8
に入力される。次いで、コントロールユニット8は、フ
ラグAが1か否かを判定する。本実施例においては、イ
グニッションスィッチ65がオフされたときには、フラ
グAが1に設定されるようになっており、したがって、
脱調補正制御開始時には、フラグAは1であるから、こ
の判定は、YESとなる。この状態では、スコットや制
動ダイブを防止するために、ショックアブソーバ1、
2、3、4の減衰力特性をハードにする必要があるの
で、コントロールユニット8は、ステップモータ27
を、図8において、時計方向に回転させ、ストッパピン
55を、溝57の右端部に当接させて、最もハードな第
1基準位置に位置合わせする。その後、図11に示され
た減衰係数選択制御ルーチンにしたがって、コントロー
ルユニット8は、所定の減衰係数Dkiが選択されるよう
に、ステップモータ27を、したがって、シャフト25
を回転させる。この制御開始時においては、車速Vが第
1の所定車速V1 より小さいから、図11に示されるよ
うに、減衰係数DkiはD8iに固定される。次いで、フラ
グAが0にセットされて、次のサイクルに移行する。
【0040】次のサイクルにおいては、フラグAは0で
あるから、フラグAが1か否かの判定結果は、NOであ
り、次いで、フラグAが2か否か、さらに、フラグAが
3か否かが判定されるが、これらの判定結果は、いずれ
もNOであり、コントロールユニット8は、さらに、イ
グニッションスィッチ65がオフか否かを判定する。し
かし、すでに、エンジンと始動しているから、この判定
結果もまた、NOであり、コントロールユニット8は、
さらに、車速センサ15からの車速信号に基づき、車速
Vがゼロか否か、すなわち、車両が停止しているか否か
を判定する。
【0041】その結果、車速Vがゼロで、車両が停止し
ていると判定したときは、コントロールユニット8は、
ステップモータ27を、図8において、時計方向に回転
させて、ストッパピン55を、溝57の右端部に当接さ
せて、最もハードな第1基準位置に位置合わせする。そ
の後、図11の減衰係数選択制御のルーチンにしたがっ
て、コントロールユニット8は、所定の減衰係数Dki
選択されるように、ステップモータ27を、したがっ
て、シャフト25を回転させる。車両の停止状態では、
車速Vは、当然に、第1の所定車速V1 より小さいか
ら、図11に示されるように、減衰係数DkiはD8iに固
定される。次いで、フラグAを2にセットして、次のサ
イクルに移行する。
【0042】次のサイクルでは、フラグAが2であるか
ら、フラグAが2か否かの判定結果はYESであり、コ
ントロールユニット8は、車速Vが、低速の第6の所定
車速V6 、たとえば、20km/h以上か否かを判定する。
その結果、NOのときは、車両はごく低速で走行してい
ると判定され、したがって、減衰力特性の変更制御はゆ
るやかにおこなわれ、ステップモータ27が、脱調する
おそれはなく、すでに、ステップモータ27の脱調補正
がおこなわれているから、そのまま、次のサイクルに移
行する。
【0043】他方、YESのときは、車両は、ごく低速
で走行してはいないから、減衰力特性の変更制御が、高
速でおこなわれる可能性があり、したがって、一旦、ス
テップモータ27の脱調補正はなされたが、再び、脱調
するおそれがあるので、フラグAを0にセットして、次
のサイクルに移行する。車両が、第6の所定車速V6
上で走行しており、フラグAが0にセットされると、次
のサイクルでは、再び、車速Vがゼロか否かが判定され
る。
【0044】その結果、YES、すなわち、車速Vがゼ
ロの停止状態であると判定されたときは、上述したのと
同様に、コントロールユニット8は、ステップモータ2
7により、ストッパピン55が、溝57のハード側端部
に、確実に当接するまで、シャフト25を回転させる。
その後、図11の減衰係数選択制御のルーチンにしたが
って、コントロールユニット8は、所定の減衰係数Dki
が選択されるように、ステップモータ27により、シャ
フト25を回転させ、フラグAを2にセットして、次の
サイクルに移行する。
【0045】これに対して、車速Vがゼロでないときに
は、車両は走行状態にあるから、ソフト側とハード側と
の間での減衰力特性の変更制御が、高速で、しかも、頻
繁におこなわれている可能性があり、したがって、ステ
ップモータ27が脱調している可能性があるから、コン
トロールユニット8は、ソフト側とハード側との間での
減衰力特性の変更制御が実行された回数Nが、所定回数
0 、例えば、100回以上か否かを判定する。この変
更制御の回数の判定は、コントロールユニット8内にカ
ウンタを設け、ソフト側とハード側との間での減衰力特
性の変更制御が実行される毎に、カウントして、その回
数をメモリに記憶させることにより、容易におこなうこ
とができる。
【0046】その結果、ソフト側とハード側との間での
減衰力特性の変更制御が実行された回数Nが、所定回数
0 以上であると判定したときは、コントロールユニッ
ト8は、さらに、それが、左右の前輪のショックアブソ
ーバ1、2の第1アクチュエータ41、第2アクチュエ
ータ42のいずれかのみにより、実行されたものか否か
を判定する。
【0047】その判定結果が、YESのとき、すなわ
ち、ソフト側とハード側との間での減衰力特性の変更制
御が、N0 回以上実行されたが、それは、前輪の第1ア
クチュエータ41、第2アクチュエータ42のいずれか
のみにより、実行された場合には、走行安定性の向上を
重視して、コントロールユニット8は、両前輪のショッ
クアブソーバ1、2のステップモータ27を、図8にお
いて、時計方向に、一段だけ回転させ、左右の前輪のシ
ョックアブソーバ1、2の減衰係数Dk1、Dk2を、それ
ぞれ、それまでの値より1つだけ大きくなるように、減
衰係数D(k+1)1、D(k+1)2、に補正して、減衰力特性を
ハードにし、フラグAを3にセットして、次のサイクル
に移行する。ここに、両前輪のショックアブソーバ1、
2のいずれもの減衰力特性を同様にハードに補正してい
るのは、一方のみを補正した場合には、ステア特性に望
ましくない変化が生ずるおそれがあるためである。
【0048】他方、NOのとき、すなわち、少なくと
も、左右の後輪のショックアブソーバ3、4のいずれか
で、ソフト側とハード側との間での減衰力特性の変更制
御が、N0 回以上実行された場合には、同様に、走行安
定性を重視して、減衰力特性をハードに補正する必要が
あるが、後輪のショックアブソーバ3、4の減衰力特性
のみをハードに補正した場合には、オーバーステアにな
るおそれがあるので、コントロールユニット8は、両前
輪のショックアブソーバ1、2のステップモータ27
を、図8において、時計方向に、二段だけ回転させ、両
前輪のショックアブソーバ1、2の減衰係数Dk1、Dk2
を、それぞれ、それまでの減衰係数より2つだけ大きく
なるように、減衰係数D(k+2)1、D(k+2)2、に補正する
とともに、両後輪のショックアブソーバ3、4のステッ
プモータ27を一段だけ回転させ、両後輪のショックア
ブソーバ3、4の減衰係数Dk3、Dk4を、それぞれ、そ
れまでの減衰係数より2つだけ大きくなるように、減衰
係数D(k+1)3、D(k+1)4、に補正して、フラグAを3に
セットして、次のサイクルに移行する。
【0049】これに対して、ソフト側とハード側との間
での減衰力特性の変更制御が実行された回数Nが、所定
回数N0 未満であると判定したときは、コントロールユ
ニット8は、さらに、フラグAが0である状態の継続時
間tが、所定時間t0 以上か否かを判定する。すなわ
ち、エンジン始動後に、ステップモータ27の脱調補正
をおこなった後、車速Vが、第6の所定車速V6 以上で
走行した結果、フラグAが0にセットされてから、フラ
グAが0のままで、所定時間t0 が経過したということ
は、所定時間t0 の間、ステップモータ27の脱調補正
が実行されてはいないことを意味しているから、ステッ
プモータ27が脱調している可能性が大きく、したがっ
て、ステップモータ27の脱調補正をおこなう必要があ
るので、コントロールユニット8は、フラグAが0であ
る状態が、所定時間t0 だけ続いたか否かを判定する。
【0050】その結果、YESのとき、すなわち、フラ
グAが0である運転状態が、所定時間t0 だけ続いたと
判定したときは、コントロールユニット8は、走行安定
性を重視して、すべての車輪のショックアブソーバ1、
2、3、4のステップモータ27を、図8において、時
計方向に、一段だけ回転させ、すべての車輪のショック
アブソーバ1、2、3、4の減衰係数Dk1、Dk2
k3、Dk4を、それぞれ、D(k+1)1、D(k+1)2、D
(k+1)3、D(k+1)4となるように補正して、減衰力特性を
ハードに補正し、フラグAを3にセットして、次のサイ
クルに移行する。
【0051】他方、NOのとき、すなわち、フラグAが
0である運転状態の継続時間tが、所定時間t0 未満の
ときは、未だ、ステップモータ27の脱調補正をする必
要はないから、次のサイクルに移行する。ステップモー
タ27の脱調補正がなされたときは、次のサイクルで
は、フラグAが3か否かの判定結果が、YESになるの
で、コントロールユニット8は、回数Nを0に、時間t
を0に、それぞれ、リセットして、ステップモータ27
の脱調補正が完了したので、フラグAを0にセットし、
次のサイクルに移行する。
【0052】本実施例によれば、車両が停止する毎に、
ステップモータ27の脱調補正をおこなうとともに、ソ
フト側とハード側との間での減衰力特性の変更制御が、
所定回数以上、実行された場合およびステップモータ2
7の脱調補正をおこなわれてから、所定時間t0 を経過
した場合に、ステップモータ27の脱調補正をおこなっ
ているので、所望のように、ショックアブソーバ1、
2、3、4の減衰力特性を変更制御することが可能にな
る。
【0053】本発明は、以上の実施例に限定されること
なく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種
々の変更が可能であり、それらも、本発明の範囲内に包
含されるものであることは言うまでもない。たとえば、
前記実施例においては、ソフト側とハード側との間での
減衰力特性の変更制御が、所定回数以上、実行された場
合およびステップモータ27の脱調補正をおこなわれて
から、所定時間t0 を経過した場合に、ステップモータ
27の脱調補正をおこなっているが、通常路走行のよう
に、ソフト側とハード側との間で、頻繁に、減衰力特性
の変更制御がおこなわれない場合には、所定時間t0
経過した場合にのみ、ステップモータ27の脱調補正を
おこなうようにしてもよく、他方、悪路走行のように、
ソフト側とハード側との間で、頻繁に、減衰力特性の変
更制御がおこなわれる場合には、専ら、ソフト側とハー
ド側との間での減衰力特性の変更制御の回数に基づき、
ステップモータ27の脱調補正をおこなうようにしても
よい。
【0054】また、前記実施例においては、前輪のショ
ックアブソーバ1、2のいずれかの減衰力特性の変更制
御が、所定回数N0 以上なされたときは、両輪のショッ
クアブソーバ1、2のステップモータ27の脱調補正を
おこなっているが、減衰力特性の変更制御が、所定回数
0 以上なされた側の前輪のショックアブソーバ1、2
のいずれかのステップモータ27のみの脱調補正をおこ
なった場合にも、ステア特性が変化するおそれのないと
きは、一方のステップモータのみの脱調補正をおこなう
ようにしてもよい。
【0055】さらに、前記実施例においては、後輪のシ
ョックアブソーバ3、4のいずれかの減衰力特性の変更
制御が、所定回数N0 以上なされたときは、後輪のショ
ックアブソーバ3、4だけでなく、前輪のショックアブ
ソーバ1、2のステップモータ27の脱調補正をおこな
っているが、後輪のショックアブソーバ3、4のステッ
プモータ27の脱調補正のみをおこなっても、オーバー
ステアになるおそれのない場合には、後輪のショックア
ブソーバ3、4のステップモータ27の脱調補正のみを
おこなうようにしてもよい。
【0056】また、前記実施例においては、しきい値
α、βを、α>1、0<β<1に設定しているが、α>
βであればよく、α>1、0<β<1に設定することは
必ずしも必要でない。ただし、走行安定性を重視すると
いう観点からは、α>1でかつα>β>0となるよう
に、しきい値α、βを設定することが望ましい。さら
に、前記実施例においては、2つのストッパピン55、
56を、ステップモータ27のロータ51に形成し、こ
れと係合する溝57、58を、ステップモータ27の蓋
53に形成しているが、ストッパピン55、56を、ス
テップモータ27の蓋53に形成し、これと係合する溝
57、58を、ステップモータ27のロータ51に形成
してもよく、さらには、ストッパピン55、56の一方
を、ステップモータ27のロータ51に、他方を、ステ
ップモータ27の蓋53に形成し、ロータ51に形成さ
れたストッパピン55、56の一方と係合する溝57、
58を、ステップモータ27の蓋53に、ステップモー
タ27の蓋53に形成された他方のストッパピン55、
56と係合する溝57、58を、ステップモータ27の
ロータ51に形成するようにしてもよいし、ストッパピ
ン55、56と溝57、58以外の手段により、第1基
準位置、第2基準位置に、ステップモータ27を位置合
わせする手段を構成してもよい。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、ばね上とばね下との間
に、ショックアブソーバを備え、車体の上下振動に応じ
て、オープン制御により、ショックアブソーバの減衰力
を変更するステップモータと、ステップモータに制御信
号を出力する制御手段とを備えた車両のサスペンション
装置において、ステップモータが脱調した場合にも、走
行安定性の低下を防止することのできる車両のサスペン
ション装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施例に係る車両の
サスペンション装置を含む車両の略斜視図である。
【図2】図2は、各ショックアブソーバの要部略断面図
である。
【図3】図3は、アクチュエータの分解略斜視図であ
る。
【図4】図4は、ショックアブソーバの減衰係数を示す
グラフである。
【図5】図5は、本発明の実施例に係る車両のサスペン
ション装置の振動モデル図である。
【図6】図6は、ステップモータの略斜視図である。
【図7】図7は、ロータおよびステータの略平面図であ
る。
【図8】図8は、蓋の略底面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例に係る車両のサスペン
ション装置の制御系のブロックダイアグラムである。
【図10】図10は、コントロールユニットによって実
行される各ショックアブソーバの減衰力特性変更制御の
基本ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】図11は、運転状態に応じた減衰係数選択制
御のルーチンを示すフローチャートである。
【図12】図12は、ステップモータの脱調補正制御の
ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1、2、3、4 ショックアブソーバ 5 左前輪 6 左後輪 7 コイルスプリング 8 コントロールユニット 9 車両 11 第1加速度センサ 12 第2加速度センサ 13 第2加速度センサ 14 第4加速度センサ 15 車速センサ 16 モード選択スィッチ 21 シリンダ 22 ピストンユニット 23、24 オリフィス 25 スリーブ 26 シャフト 27 ステップモータ 28 円形孔 29 第1オリフィスプレート 30 長孔 31 第2オリフィスプレート 32 上室 33 下室 41 第1アクチュエータ 42 第2アクチュエータ 43 第3アクチュエータ 44 第4アクチュエータ 50 筒状体 51 ロータ 52 ステータ 53 蓋 54 ソレノイド 55、56 ストッパピン 57、58 溝 61 第1圧力センサ 62 第2圧力センサ 63 第3圧力センサ 64 第3圧力センサ 65 イグニッションスイッチ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ばね上とばね下との間に、ショックアブ
    ソーバを備え、車体の上下振動に応じて、オープン制御
    により、前記ショックアブソーバの減衰力を変更するス
    テップモータと、該ステップモータに制御信号を出力す
    る制御手段とを備えた車両のサスペンション装置におい
    て、前記制御手段が、所定時間毎に、前記ショックアブ
    ソーバの減衰力が、ハード側に補正されるように、前記
    ステップモータに制御信号を出力して、前記ステップモ
    ータの脱調補正をおこなうように構成されたことを特徴
    とする車両のサスペンション装置。
  2. 【請求項2】 ばね上とばね下との間に、ショックアブ
    ソーバを備え、車体の上下振動に応じて、オープン制御
    により、前記ショックアブソーバの減衰力を変更するス
    テップモータと、該ステップモータに制御信号を出力す
    る制御手段とを備えた車両のサスペンション装置におい
    て、ソフト側とハード側との間で、所定回数以上、減衰
    力の変更が実行されたとき、前記制御手段が、前記ショ
    ックアブソーバの減衰力が、ハード側に補正されるよう
    に、前記ステップモータに制御信号を出力して、前記ス
    テップモータの脱調補正をおこなうように構成されたこ
    とを特徴とする車両のサスペンション装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段が、さらに、ソフト側とハ
    ード側との間で、所定回数以上、減衰力の変更が実行さ
    れたとき、前記ショックアブソーバの減衰力が、ハード
    側に補正されるように、前記ステップモータに制御信号
    を出力して、前記ステップモータの脱調補正をおこなう
    ように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車
    両のサスペンション装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段が、前記ショックアブソー
    バの減衰力を、ハード側に補正する際、左右の両輪の前
    記ショックアブソーバの減衰力を補正して、前記ステッ
    プモータの脱調補正をおこなうように構成されたことを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車
    両のサスペンション装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段が、前記ショックアブソー
    バの減衰力を、ハード側に補正する際、後輪の前記ショ
    ックアブソーバの減衰力を補正する場合には、前輪の前
    記ショックアブソーバの減衰力も補正して、前記ステッ
    プモータの脱調補正をおこなうように構成されたことを
    特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記
    載の車両のサスペンション装置。
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