JPH0538595Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は穀稈を脱穀処理する脱穀機における排
塵処理装置に関する。

(ロ) 従来技術 従来、扱室の側部に移送室と処理室とからなる
処理部を設け、前記移送室には移送螺旋を、処理
室には処理胴を軸架した脱穀機は実公昭57−
35232号公報等により既に知られている。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 前記既知の脱穀機における移送螺旋と移送室の
外側の内周面との間隔は送塵物を確実に移送すべ
く狭く形成されており、また、移送螺旋とこれに
対向する扱室後壁との間隔も外側と同様に狭く構
成されていたので、多条刈コンバイン等により多
量の穀稈を刈取脱穀する場合、又は倒伏した穀稈
や濡れた穀稈を脱穀する場合等に扱室内に多量の
藁屑や穂切れ等の排塵物が発生し、それが送塵物
として処理部に送込まれると、移送室では小さな
藁屑等は移送螺旋の螺旋翼間に入つて移送される
が、長い藁屑は螺旋翼の外周で移送されるため、
扱室後壁と対向する部位で詰りを生じ、処理軸に
異常に大なる負荷がかかると共に送塵不能になつ
た。

(ニ) 問題点を解決するための手段 本考案は扱室の側部からその後方の排塵選別室
の側部に亙つて移送室と処理室とからなる処理部
を設け、前記移送室には移送螺旋を、またその後
部の処理室には処理胴を軸架し、前記移送螺旋と
移送室の外側の内周面との間隙より移送螺旋と扱
室後壁の移送室側の切欠部との間隙を広くするこ
とにより、扱室内で発生した多量の排塵物が送塵
物として処理部に送込まれても、移送螺旋の外周
で移送される長藁を移送螺旋と扱室後壁との間の
広い間隙から排出して詰りを防止することにより
前述の問題点を解決した。

(ホ) 作用 扱室内で発生した脱穀物のうち穀粒や小さな藁
屑は通常の脱穀機と同様受網から揺動選別体上に
落入して選別され、比較的大きな藁屑や穂切れ等
の排塵物は処理部に送込まれて処理される。

その際、移送室内では比較的小さな藁屑は移送
螺旋間に入つて移動し、長藁は移送螺旋の外周と
移送室の内周面との間で移送される。

そして、多条刈コンバインに多量の穀稈を供給
して脱穀したり、又は濡れた穀稈を脱穀したりし
て扱室内に多量の排塵物が発生した場合、移送螺
旋で移送される長藁は移送室の内周壁を形成する
扱室後壁と移送螺旋の外周との間に挟み込まれて
詰ろうとするが、移送螺旋と扱室後壁との間隔が
外側の間隔より広くなつているので、この間隙か
ら前記長藁が脱出することとなり、外側の長藁も
移送螺旋の回転にともなつて扱室後壁側へ移行し
て排出される。

(ヘ) 実施例 本考案の一実施例を図面に示すコンバイン用の
脱穀機について説明すると、１は扱室２内に前部
が低くなるように傾斜させて軸支した扱胴であつ
て、扱口３に沿つてフイードチエン４と挟扼レー
ル５を配設し、供給口１ａの下方に設けた送風風
車６及び排塵選別室７の側壁に取付けた吸引風車
８により形成された選別風路には、受網９の下面
に臨む移送板９ａと、その後端に連設されていて
一番受樋１０ａ上に臨む略水平乃至僅かに下降傾
斜した選別網１０及び中央流板１１の上部から一
番流板１２ａに向けて延出した多数の平行なスポ
ーク１１ａ…と、二番受樋１２上に臨むストロー
ラツク１３とからなる揺動選別体１４を前後揺動
するように架設してあり、排塵選別室７上には排
藁搬送装置１５を設けてある。

また、前記扱室２の後半部の下部寄りには移送
室１６と処理室１７とからなる処理部１８を設け
てあり、前記処理部内に挿通されていて前端部が
前壁から突出した処理軸２０は扱胴軸２１の前部
に装着したスプロケツトにより駆動され、該処理
軸２０の移送室１６内には移送螺旋２２を固定
し、処理室１７内には処理歯２４…を有する処理
胴２３を取付け、前記移送室１６は送塵口２５に
より扱室２に連通しており、処理室１７の下部か
ら内側は処理胴受網２６で覆われ、後端部の内側
に設けた排出口２７は前記吸引風車８の吸入口に
向けて開口しており、それらの間の前部と後部に
は誘導板２８，２９を設けてある。

更に、前記移送室１６の外側は断面が正八角形
の一部と同じ形状をなすか又は移送螺旋２２の外
周に沿つて円弧状をなす外側板３１で覆われてい
る。

そして、前記扱室２の後壁３２の移送螺旋２２
と対向する部分は第２図及び第３図に示す如くに
正面視で前記処理胴受網２６の内周面に沿うよう
円弧状に切欠してあり、この切欠部３３と移送螺
旋２２の外周との間隙Ｈは該移送螺旋２２の外周
と外側板３１との間隙ｈより充分に広くなつてい
る。

また、処理室１７の外側板３５（円弧状に形成
しても良い）の前部内周面には移送螺旋２２の後
部の螺旋３４ａ付テーパー部３４に沿うと共に送
塵物を案内すべくリード角を付したガイド板３６
を固定してある。

前述の脱穀機をコンバインの機台に搭載して刈
取脱穀を行なう場合、穀稈搬送装置で供給口１ａ
及びフイードチエン４、挟扼レール５に供給され
た脱稈は扱胴１により脱穀処理され、発生した脱
穀物のうち穀粒や小さな藁屑は受網９から揺動選
別体１４上に落入して移送され、その過程で風選
処理を受けながら選別網１０及びスポーク１１ａ
により一番選別され、次いでストローラツク１３
により二番選別され、残つた藁屑及び排出口２７
からの藁屑は排塵口３７及び吸引風車８から機外
に排出される。

また、扱室２内で発生した穂切れや長藁は送塵
口２５から移送室１６に入り、移送螺旋２２によ
り後方の処理室１７へ移送される。

そして、比較的短い藁屑や穂切れ等は移送螺旋
２２の螺旋翼のピツチ間に入つて移送され、長藁
は送塵口２５側では移送螺旋２２の外周に接離乃
至は反発したりして移送され、それ以外の部位で
は外側板３１に押付けられながら移送される。多
条刈コンバインにて多量の穀稈を刈取搬送供給し
て脱穀したり、濡れた穀稈を供給して脱穀処理し
たりして、扱室２に多量の排塵物が発生した場
合、送塵口２５側で扱室２の後壁３２と対向する
部位で急激に絞られるので停滞して詰り易く、ま
た外側では圧縮状態になつて詰りが発生し易くな
るが、前記後壁３２の切欠部３３と移送螺旋２２
の外周との間隙を広くしてあるので処理室１７に
スムーズに移行し、また外側板３１側で圧縮され
た長藁は移送螺旋２２の回転にともなつて扱室２
側へ移行すると、前記広い間隙Ｈを通つて処理室
１７へ移行することとなり、詰りが発生すること
がない。

次いで、処理室１７に移行した送塵物は処理胴
２３の処理歯２４…により処理され、単粒化され
た穀粒及び細分化された藁屑等は処理胴受網２６
から前記揺動選別板１４上に漏下して受網９から
の被選別物に合流し、処理室１７の後端まで移行
した藁屑は排出口２７から前述のように吸引風車
８に向けて投擲排出される。

(ト) 考案の効果 本考案は前述のように扱室２の側部からその後
方の排塵選別室７の側部に亙つて移送室１６と処
理室１７とからなる処理部１８を設け、前記移送
室１６には移送螺旋２２を、またその後部の処理
室１７には処理胴２３を軸架し、前記移送螺旋２
２と移送室１６の外側の内周面との間隙ｈより移
送螺旋２２と扱室後壁３２の移送室１６側の切欠
部３３との間隙Ｈを広くしたので、高能率脱穀し
たり濡れた穀稈を脱穀して扱室２内に多量の藁屑
や穂切れ等の排塵物が発生し、それが処理部１８
に送込まれて移送螺旋２２により扱室２の後壁３
２と対向する部位を通過する時、前記多量の被処
理物の長藁は移送螺旋２２と前記後壁３２の切欠
部３３との広い間隙Ｈをスムーズに通過し、ま
た、外側では移送螺旋２２と移送室１６の内周面
との狭い間隙ｈで確実に移送すると共に長藁量が
多くて圧縮されても、それが移送螺旋２２の回転
にともなつて内側の前記広い間隙Ｈへ移行して通
過することとなり、結局、被処理物が詰ることが
なく、過負荷を防止しながら確実な処理を行なう
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図は脱穀機の縦断側面図、第２図は同上縦断
平面図、第３図は同上横断面図である。 １６……移送室、１７……処理室、２２……移
送螺旋、２５……送塵口、３２……後壁、３３…
…切欠部、Ｈ，ｈ……間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 扱室２の側部からその後方の排塵選別室７の側
   部に亙つて移送室１６と処理室１７とからなる処
   理部１８を設け、前記移送室１６には移送螺旋２
   ２を、またその後部の処理室１７には処理胴２３
   を軸架し、前記移送螺旋２２と移送室１６の外側
   の内周面との間隙ｈより移送螺旋２２と扱室後壁
   ３２の移送室１６側の切欠部３３との間隙Ｈを広
   くしたことを特徴とする脱穀機における排塵処理
   装置。