JPH05339285A - 新規なエストラジオール誘導体−クロラムブチル結合体、その製造方法、及び医薬製剤 - Google Patents

新規なエストラジオール誘導体−クロラムブチル結合体、その製造方法、及び医薬製剤

Info

Publication number
JPH05339285A
JPH05339285A JP4177363A JP17736392A JPH05339285A JP H05339285 A JPH05339285 A JP H05339285A JP 4177363 A JP4177363 A JP 4177363A JP 17736392 A JP17736392 A JP 17736392A JP H05339285 A JPH05339285 A JP H05339285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
conjugate
estradiol
estradiol derivative
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4177363A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2520074B2 (ja
Inventor
Fumio Tamura
文男 田村
Tsuyoshi Saito
強 斎藤
Satoshi Mihashi
智 三橋
Tadahiro Matsudaira
忠弘 松平
Yoshiro Asano
喜朗 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kureha Corp filed Critical Kureha Corp
Priority to JP4177363A priority Critical patent/JP2520074B2/ja
Priority to CA002183005A priority patent/CA2183005A1/en
Priority to CA002097137A priority patent/CA2097137A1/en
Priority to IL105901A priority patent/IL105901A0/xx
Priority to US08/070,797 priority patent/US5354745A/en
Priority to ZA933993A priority patent/ZA933993B/xx
Priority to AU40116/93A priority patent/AU649180B2/en
Priority to FI932641A priority patent/FI932641A/fi
Priority to EP93109281A priority patent/EP0573977B1/en
Priority to DE69318474T priority patent/DE69318474T2/de
Priority to AT93109281T priority patent/ATE166060T1/de
Priority to KR1019930010560A priority patent/KR970001532B1/ko
Publication of JPH05339285A publication Critical patent/JPH05339285A/ja
Priority to US08/440,839 priority patent/US5576309A/en
Priority to US08/440,838 priority patent/US5578589A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP2520074B2 publication Critical patent/JP2520074B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07JSTEROIDS
    • C07J41/00Normal steroids containing one or more nitrogen atoms not belonging to a hetero ring
    • C07J41/0033Normal steroids containing one or more nitrogen atoms not belonging to a hetero ring not covered by C07J41/0005
    • C07J41/0044Normal steroids containing one or more nitrogen atoms not belonging to a hetero ring not covered by C07J41/0005 with an estrane or gonane skeleton, including 18-substituted derivatives and derivatives where position 17-beta is substituted by a carbon atom not directly bonded to another carbon atom and not being part of an amide group
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07JSTEROIDS
    • C07J1/00Normal steroids containing carbon, hydrogen, halogen or oxygen, not substituted in position 17 beta by a carbon atom, e.g. estrane, androstane
    • C07J1/0051Estrane derivatives
    • C07J1/0066Estrane derivatives substituted in position 17 beta not substituted in position 17 alfa
    • C07J1/007Estrane derivatives substituted in position 17 beta not substituted in position 17 alfa the substituent being an OH group free esterified or etherified
    • C07J1/0074Esters
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/06Immunosuppressants, e.g. drugs for graft rejection
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07JSTEROIDS
    • C07J1/00Normal steroids containing carbon, hydrogen, halogen or oxygen, not substituted in position 17 beta by a carbon atom, e.g. estrane, androstane
    • C07J1/0051Estrane derivatives
    • C07J1/0066Estrane derivatives substituted in position 17 beta not substituted in position 17 alfa
    • C07J1/007Estrane derivatives substituted in position 17 beta not substituted in position 17 alfa the substituent being an OH group free esterified or etherified
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07JSTEROIDS
    • C07J41/00Normal steroids containing one or more nitrogen atoms not belonging to a hetero ring
    • C07J41/0033Normal steroids containing one or more nitrogen atoms not belonging to a hetero ring not covered by C07J41/0005
    • C07J41/0072Normal steroids containing one or more nitrogen atoms not belonging to a hetero ring not covered by C07J41/0005 the A ring of the steroid being aromatic

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シ基であり、Rはアシル基、ダンシル基又はアルキル
基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原
子、オキソ基、水酸基又はアシルオキシ基であり、mは
1〜3の整数であり、そしてnは0〜3の整数である
が、但し、nが0の場合にはR、R及びRが同時
に水素原子になることはなく、またR、R及びR
が水素原子と水酸基だけからなることはないものとし、
そしてnが2又は3の場合にはそれらの基Rが同一又
は異なっていてもよいものとする)の新規なエストラジ
オール誘導体−クロラムブチル結合体、その製造方法、
及び医薬製剤。 【効果】 従来の結合体が有する選択的生理活性作用を
維持しながら、エストロゲン作用を消滅ないし極微弱に
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なエストラジオー
ル誘導体−クロラムブチル結合体に関する。詳しくは、
エストラジオール誘導体とクロラムブチルとを化学的に
結合してなる結合体、その製造方法、及びその結合体を
含有する医薬製剤に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来の抗腫瘍剤の中には、強力な抗腫瘍
作用を有するものであっても、その薬効を十分に発揮し
ていないものが多い。その主たる理由は、副作用のため
に投与量が制限されることにある。解決手段の一つとし
て、腫瘍部位に対して特異的親和性を有する担体物質に
抗腫瘍剤を結合させ、抗腫瘍剤−担体結合体を形成する
方法がある。こうして、抗腫瘍剤を腫瘍部位に特異的に
集積させ、副作用を抑制しながら抗腫瘍作用を効果的に
発揮させようとするものである。この考え方に基づい
て、既にエストラジオール−クロラムブチル結合体及び
それを主成分とする抗腫瘍剤が提案されている(特公昭
58−10397号公報)。この抗腫瘍剤は、腫瘍部位
に特異的に集積し、強い抗腫瘍効果を発揮する。しかも
正常細胞に対する影響は、極めて少ない。最近、このエ
ストラジオール−クロラムブチル結合体は、不可逆的あ
るいは非常に長期間にわたってMCF−7(エストロゲ
ンにより増殖が促進されるヒト由来乳癌細胞)のエスト
ロゲンによる増殖促進作用を抑制するということが報告
された(Hiroshi Kosano et al.,CANCER RESEARCH 52,
1187-1191,1992) 。これは、エストロゲンレセプターの
減少がエストロゲン感受性を消失させ、トランスフォー
ミング成長因子(Transforming growth factor;TG
F)−αの分泌を抑制し、細胞の増殖を抑制するためと
考えられている。また、エストロゲンレセプターに対す
る作用及びTGF−αの分泌を抑制する作用にはこの結
合体の構造が必要であり、結合体の分解生成物であるク
ロラムブチルによって引き起こされるものではないと考
えられている。更に、このエストラジオール−クロラム
ブチル結合体をヨード化ケシ油脂肪酸エステルに溶解し
て調製した注射剤(特開昭64−26595号公報)も
提供されている。この注射剤によると、前記結合体が腫
瘍部位に長時間滞留することが可能で、薬効が十分に発
揮される。また、この結合体が同種抗原特異的免疫反応
を選択的に抑制するという、ユニークな免疫抑制剤とな
ることも見出されている(特開昭63−122625号
公報)。このように、前記のエストラジオール−クロラ
ムブチル結合体は、選択的な抗腫瘍作用、免疫抑制作用
等の、選択的生理活性作用を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、抗腫瘍
剤は長期投与されるため、短期投与では問題にならない
ほどの微弱な副作用であっても、それらが集積されて無
視できない問題になることがある。特に癌患者の体力は
衰えているので、微弱な副作用の集積が強調されること
になる。前記結合体における、こうした問題の一つは、
このエストラジオール−クロラムブチル結合体から体内
で遊離する微量のエストロゲンによる作用である。例え
ば、前記結合体の長期投与により、微量の遊離エストロ
ゲンが集積し、女性化乳房、乳房腫脹、乳頭痛、性器出
血等の副作用を起こすことがある。前記の結合体注射剤
や免疫抑制剤等においても、こうしたエストロゲン作用
が問題となる。本発明者は、この課題を解決すべく鋭意
研究した結果、エストラジオール環に特定の置換基を導
入することにより、前記のエストラジオール−クロラム
ブチル結合体が有する選択的生理活性作用、即ち、選択
的な抗腫瘍作用及び免疫抑制作用等を維持しながら、前
記のエストロゲン作用を消滅ないし軽減した、有用性の
極めて高い、改良された新規なエストラジオール誘導体
−クロラムブチル結合体を見出した。
【0004】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、一般
式(I):
【化4】 のエストラジオール誘導体−クロラムブチル結合体に関
する。また、本発明は、そのエストラジオール誘導体−
クロラムブチル結合体の製造方法、及びそのエストラジ
オール誘導体−クロラムブチル結合体を含有する医薬製
剤にも関する。
【0005】本発明のエストラジオール誘導体−クロラ
ムブチル結合体(以下、本結合体と称する)の構成成分
であるエストラジオール誘導体部分の化学構造上の特徴
は次のとおりである。即ち、エストラジオールのA環の
3位置換基OR2 の他に、エストラジオールのA環の1
位、2位若しくは4位、又はB環、C環若しくはD環の
いずれかの位置に1個以上の置換基が存在する。A環の
基R1 、B環の基R3 (水素原子以外)、C環の基R4
(水素原子以外)及びD環の基R5 (水素原子以外)の
いずれの置換基が存在してもエストロゲン作用の消失な
いし低下効果が現れるが、A環の1位、2位及び/又は
4位に基R1 が存在するのが好ましい。A環の1位、2
位及び/又は4位に置換基R1 が存在する場合、その置
換基R1 は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4
のアルコキシ基である。置換基R1 は、好ましくは1位
及び/又は4位に存在する。B環、C環及び/又はD環
に置換基が存在する場合は、ケトン基、水酸基又はアシ
ルオキシ基のいずれか1個がいずれか1個の環に存在す
るか、又は、同じか又は異なる2個又は3個の基が異な
る環にそれぞれ1個ずつ存在する。ケトン基又はアシル
オキシ基が好ましい。アシルオキシ基は好ましくは炭素
数2〜7のアシルオキシ基、例えば、ベンゾイルオキシ
基、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイル
オキシ基、又はペンタノイルオキシ基である。
【0006】本結合体のエストラジオール誘導体部分の
3位置換基は、エストラジオールの3位水酸基の水素原
子をアシル基又はアルキル基で置換した構造に相当す
る。アシル基としての基R2 は、好ましくは炭素数2〜
18のアシルオキシ基、例えば、ベンゾイル基、ダンシ
ル基(5−ジメチルアミノナフタレンスルホニル基)、
アセチル基、パルミトイル基、ステアリル基及びリノレ
イル基等である。また、アルキル基としての基R2 は、
好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましく
は、メチル基、エチル基又はプロピル基である。また、
エストラジオール誘導体部分の17位配座は、β配座、
α配座又はその混合物であってもよいが、β配座が好ま
しい。
【0007】本結合体は、例えば以下の方法によって調
製することができる。本結合体を構成するエストラジオ
ール誘導体部分の骨格をなし、エストラジオールのA環
の3位及びD環の17位がそれぞれ水酸基であるエスト
ラジオール誘導体(即ち、A環の1位、2位若しくは4
位に置換基R1 が存在し、及び/又はB環、C環及び/
又はD環のいずれかの位置にそれぞれ水素原子以外の置
換基R3 、R4 及び/又はR5 が存在するエストラジオ
ール誘導体(以下、単に3,17−OHエストラジオー
ル誘導体と称する)の3位水酸基の水素原子をアシル基
2 で置換してエステルとする場合は、3,17−OH
エストラジオール誘導体を有機溶媒に溶解した後にアル
カリ金属と反応させて塩とし、次に、目的のアシル基に
対応する酸クロライド又は酸無水物を反応させる。他の
方法として、アセトンと水の混合溶媒にアルカリ金属を
溶解し、3,17−OHエストラジオール誘導体を加
え、目的のアシル基に対応する酸クロライド又は酸無水
物を反応させる。アシル基がダンシル基である場合は、
酸クロライドとしてダンシルクロライド〔5−(ジメチ
ルアミノ)−1−ナフタレンスルホニルクロライド〕を
用いる。3,17−OHエストラジオール誘導体の3位
水酸基の水素原子をアルキル基R2 で置換してアルキル
エーテルとする場合は、通常のアルキルエーテル化法を
応用することができる。例えば、ジメチル硫酸等のジア
ルキル硫酸と稀アルカリとを、エストラジオール誘導体
に反応させる。こうして、A環の3位がOR2 基で置換
された一般式(III):
【化5】 のエストラジオール誘導体(以下、3−OR2 エストラ
ジオール誘導体と称する)が得られる。
【0008】3−OR2 エストラジオール誘導体とクロ
ラムブチルとの結合は、導入結合剤を用いて行うことが
できる。導入結合剤は、一般式(IV):
【化6】 X(CH2 ) m COY (IV) 〔式中、Xはハロゲン原子(例えば、塩素原子又は臭素
原子)であるか又は水酸基であり、YはXと同じか又は
異なるハロゲン原子(例えば、塩素原子又は臭素原子)
であるか又は水酸基若しくはその塩であり、mは1〜3
の整数である〕のヒドロキシル化カルボン酸誘導体もし
くはハロゲン化カルボン酸誘導体、例えば、モノクロロ
酢酸、モノブロモ酢酸、β−モノクロロプロピオン酸、
β−モノブロモプロピオン酸、モノクロロアセチルクロ
ライド、モノブロモアセチルブロマイドである。3−O
2 エストラジオール誘導体と前記導入結合剤とを反応
させて、17位水酸基をエステル化し、一般式(II):
【化7】 の化合物〔以下、化合物(II)と称する〕を得ることが
できる。この反応は、ジメチルスルホキシド、ジメチル
ホルムアミド、ピリジン、アセトン、テトラヒドロフラ
ン等の有機溶媒中で、−10〜+30℃で行うことがで
きる。
【0009】次に、この化合物(II)とクロラムブチル
とを反応させる。クロラムブチルのカルボン酸は金属
(例えば、ナトリウム、カリウム、銀又はカルシウム)
塩、又は酸ハライドあるいは酸無水物であってもよく、
更にその塩酸塩であってもよい。反応は、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ベンゼ
ン、アセトン、トルエン、四塩化炭素、クロロホルム、
テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で行うことができ
る。必要に応じて、アルカリ水溶液を加える。反応は、
−30〜+150℃、好ましくは0〜100℃で、0.
1〜90時間、好ましくは0.5〜75時間行うことが
できる。反応生成物を常法により精製して、本結合体を
得ることができる。精製法としては、抽出、クロマトグ
ラフィー、結晶化、再沈殿等を利用することができる。
【0010】前記の反応の順序は適宜変更することがで
き、それらの変更例を挙げれば以下のとおりである。 (1)クロラムブチルと導入結合剤とを先に結合させ、
次に3−OR2 エストラジオール誘導体を結合させる。 (2)クロラムブチルと3,17−OHエストラジオー
ル誘導体とを導入結合剤を介して結合した後に、エスト
ラジオール誘導体部分の3位水酸基の水素原子を置換し
てもよい。 (3)B環、C環及び/又はD環にアシルオキシ基を導
入する場合、先ずB環、C環及び/又はD環の相当する
部位に水酸基を導入してからエステル化してもよい。 こうして得られる本結合体の構造は、赤外線吸収スペク
トル、紫外線吸収スペクトル、核磁気共鳴吸収スペクト
ル、元素分析、質量スペクトル等により確認することが
できる。
【0011】本結合体の毒性及び薬理作用は次のとおり
である。 (1)毒性:本結合体の代表例として19種の結合体
を、Wistar系ラットに5000mg/kgの量で経口
投与して1週間観察したが、死亡例はなかった。即ち、
本結合体は、極めて安全な化合物である(後記実施例3
参照)。 (2)エストロゲン作用(子宮重量法):本結合体の代
表例として19種の結合体についてエストロゲン作用を
調べたが、エストロゲン作用は全く認められないか、あ
るいは極めて微小の作用しか認められなかった(後記実
施例4参照)。
【0012】(3)選択的抗腫瘍作用:以下の試験
(A)〜(F)において、本結合体は、比較物質(エス
トラジオール−クロラムブチル結合体)と同等か、又は
より優れた選択的抗腫瘍作用を示した。 (A)選択的増殖抑制作用:本結合体は、マウス正常細
胞(3T3)の生存率に関して悪影響が少ないのに対
し、マウス悪性細胞(3T3SV−40)の生存率を大
いに低下させた〔後記実施例5(1)参照〕。 (B)選択的増殖抑制作用:本結合体は、ヒト正常細胞
(FLOW4000)の生存率に関して悪影響が少ない
のに対し、各種のヒト癌細胞〔ヒト腎癌(RC)細胞、
ヒト前立腺癌(PC−3)細胞、又はヒト子宮頸癌(H
eLa)細胞〕の生存率を大いに低下させた〔後記実施
例5(2)参照〕。 (C)ヒト乳癌細胞(MCF−7)の増殖因子(TG
F)−α分泌抑制作用:本結合体は、エストラジオール
によって誘導されるTGF−αの分泌を抑制した。本結
合体が、癌増殖因子を抑制しながら癌細胞を殺す作用を
有することを示した(後記実施例6参照)。 (D)抗腫瘍効果(腹腔内投与及び経口投与):本結合
体は、P388細胞を腹腔内に移植された担癌BDF1
雌マウスに対して、延命効果を示した(後記実施例7参
照)。 (E)抗腫瘍効果(注射剤の動脈内投与):本結合体
は、ラット腫瘍Walker256に対して、延命効果
を示した(後記実施例8参照)。 (F)肝動脈内投与による選択性とエストロゲン作用:
本結合体の肝内癌組織内濃度は、正常肝組織内濃度より
も高かった。本結合体による子宮肥大作用はなかった
(後記実施例9参照)。
【0013】(4)選択的免疫抑制作用:以下の試験
(A)〜(D)において、本結合体は、比較物質(エス
トラジオール−クロラムブチル結合体)と同様の選択的
免疫抑制効果を示した。 (A)異種抗原刺激反応:本結合体は、フィトヘマグル
チニン(phytohemagglutinin;PH
A)に対するリンパ球の幼若化反応に大きな影響を与え
なかった〔後記実施例10(1)参照〕。 (B)同種抗原刺激反応:本結合体は、リンパ球混合培
養(mixed lymphocyte cultur
e;MLC)反応を抑制した〔後記実施例10(2)参
照〕。 (C)マウス骨髄移植モデルにおけるGVHR(gra
ft versus host reaction)抑
制作用:本結合体は、移植後マウスの生存日数を延長し
た(後記実施例11参照)。 (D)MLC反応抑制作用におけるTGF−β産生の関
与:本結合体と免疫抑制物質(TGF−β)とは併用効
果があり、本結合体の抑制効果は抗TGF−β抗体との
併用で中和された。従って、本結合体のMLC反応抑制
作用にはTGF−β産生の関与が考えられる。本結合体
は、TGF−βを分泌し、移植による拒絶反応を抑制す
ると考えられた(後記実施例12参照)。
【0014】以上のように、本結合体は、選択的生理活
性作用、即ち、選択的抗腫瘍作用及び選択的免疫抑制作
用を有するので、抗腫瘍剤並びに免疫抑制剤として有用
である。抗腫瘍剤としては、乳癌、卵巣癌、子宮癌、胃
癌、直腸癌、結腸癌、腎癌、造血器癌、肝癌、泌尿器
癌、その他の固形癌等に有効である。本結合体を抗腫瘍
剤として使用する場合には、任意慣用の方法で、各種経
路の投与用に調製することができる。製剤例としては、
カプセル、シロップ、丸薬、錠剤等の経口剤、注射剤、
外用剤、座剤を挙げることができる。外用剤の例として
は、白色ワセリン等の通常の基剤にラウリン酸ジエタノ
ールアミド等の経皮浸透助剤を含有する固形剤等をあげ
ることができる。本結合体を抗腫瘍剤として用いた場合
には、既応薬に対して交叉耐性が少ないという特徴があ
る。
【0015】製剤中には、本結合体を好ましくは0.0
1〜75重量%、より好ましくは0.05〜25重量%
の量で含有させることができる。本結合体は、経口、経
皮、筋肉内、静脈内、動脈内、直腸内等の経路によって
投与することができる。投与量は、投与方式及び治療の
程度によって異なるが、大略次のとおりである。成人に
対し、経口投与量は1日当たり0.1〜50mg/kg、非
経口投与量は1日当たり0.01〜20mg/kgである。
【0016】本結合体を、動脈内投与用注射剤(即ち、
動注剤)に含有させて用いる場合には、ヨード化ケシ油
脂肪酸エステルに本結合体を溶解するのが好ましい。動
注剤中の本結合体の濃度は、好ましくは0.1〜10重
量%、より好ましくは1〜5重量%である。ヨード化ケ
シ油脂肪酸エステルとしては、ヨード化30〜40重量
%の低級アルキルエステルが好ましく、リピオドール
〔リピオドールウルトラフルイド(Lipiodol
Ultra−fluide)の商品名〕(ヨード化3
8.8重量%、エチルエステル)が特に好ましい。この
動注剤の投与量は、好ましくは0.01〜20mg/kg、
より好ましくは0.1〜10mg/kgである。この動注剤
は、肝癌、乳癌、婦人科癌、消化器癌及び泌尿器癌に有
効である。この動注剤は、癌組織に特異的に集まり、持
続性が高い。また、ヨードでラベルしたヨード化ケシ油
脂肪酸エステルを用いると、X線、CT(コンピュータ
ー断層装置)又は超音波等により腫瘍細胞を観察しなが
ら診断又は治療を行うことができる。
【0017】本結合体は、免疫調節作用及び/又は免疫
抑制作用を有する免疫調節剤あるいは免疫抑制剤とし
て、臓器等の移植、例えば腎臓、肝臓、心臓、皮膚、骨
髄等の移植分野における拒絶反応の防止及び治療、更に
は、各種腎疾患、甲状腺疾患、慢性関節リウマチ、自己
免疫性溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、重症筋無
力症、肝疾患、多発性動脈炎、皮膚筋炎等の自己免疫疾
患の治療に有効である。従って、臓器移植分野における
拒絶反応の防止剤、その治療剤、及び自己免疫疾患治療
剤として使用することができる。本結合体を、免疫抑制
剤として使用する場合には、任意慣用の方法で、各種経
路の投与用に調製することができる。製剤例としては、
錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル等の経口剤、座剤、注射
剤、外用剤である。投与経路及び投与量は、前記抗腫瘍
剤の場合と同じである。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。以下の実施例において、化合物の物性値は次の方法
により測定した。 (1)薄層クロマトグラフィー(シリカゲル):Wha
tman社製シリカゲル薄層プレートLK6DF(25
0μm層厚) (2)元素分析:柳本C・H・NコーダーMT−3型
〔(株)柳本製作所〕 (3)質量スペクトル:Mass spectrome
ter JMS−DX303〔日本電子(株)〕 (4)NMR(CDCl3 ):JNM−GSX−500
〔日本電子(株)〕 (5)蛍光分析:島津分光蛍光光度計RF−540〔島
津製作所(株)〕
【0019】実施例1 〔1〕1−メチル−エストラ−1,3,5(10)−ト
リエン−3,17β−ジオール,3−ベンゾエート,1
7−モノブロモアセテートの合成 1−メチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン
−3,17β−ジオール(7.2g)とアセトン(20
0ml)を四つ口フラスコ(500ml)に入れ、攪拌して
溶解し、1N−NaOH(NaOHとして0.028モ
ル)を加えた。この系にベンゾイルクロライド(4.2
g)のアセトン(20ml)溶液を氷冷下で滴下した。粘
性物が析出したため、クロロホルムで抽出(200ml+
100ml)し、有機層を水洗した後で硫酸マグネシウム
で処理し、減圧乾燥して、薄黄色粘性物(9.9g)を
得た。IRスペクトルによりνC=O の吸収を確認した。
薄層クロマトグラフィー〔シリカゲル;展開溶媒=シク
ロヘキサン/酢酸エチル(5/2容量)〕で展開したと
ころ、生成物はRf=0.27を示し、原料化合物スポ
ット(Rf=0.18)の消失が認められた。
【0020】次いで、得られた1−メチル−エストラ−
1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオー
ル,3−ベンゾエート(9.9g)と乾燥テトラヒドロ
フラン(250ml)とピリジン(2.4g)とを、塩化
カルシウム管付四つ口フラスコ(500ml)に入れ、−
5℃〜−3℃で、ブロモアセチルブロマイド(10g)
の乾燥テトラヒドロフラン(80ml)溶液を滴下した。
0℃で1時間攪拌し、薄層クロマトグラフィーで原料の
消失を確認した後、析出したピリジン−HBr塩を濾別
し、減圧乾燥した。残渣をシリカゲルを用いたクロマト
グラフィー〔展開溶媒=クロロホルム/n−ヘキサン
(2/1容量)〕により精製し、1−メチル−エストラ
−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオー
ル,3−ベンゾエート,17−モノブロモアセテート
(9.3g)を得た。理化学的データ以下のとおりであ
る。 Rf:0.70〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C28314 Br 理論値(%) C:65.77,H:6.06,Br:
15.64 実測値(%) C:66.0, H:6.1, Br:
15.9 EI−MS:m/z 510(親ピーク)
【0021】同様の方法で、表1に記載の各反応中間体
を合成した。
【表1】
【0022】〔2〕1−メチル−エストラ−1,3,5
(10)−トリエン−3,17β−ジオール,3−(5
−ジメチルアミノナフタレンスルホネート),17−モ
ノブロモアセテートの合成 1−メチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン
−3,17β−ジオール(9g)とアセトン(100m
l)を四つ口フラスコ(2000ml)に入れ、攪拌して
溶解し、1N−NaOH(32.5ml)を加えた後、5
−ジメチルアミノナフタレンスルホニルクロライド(ダ
ンシルクロライド:DNS−Cl)(9.2g)の乾燥
アセトン溶液(200ml)を10〜15℃で滴下した。
3時間攪拌した後、薄層クロマトグラフィー〔シリカゲ
ル;展開溶媒=シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2容
量)〕で反応終了を確認し、減圧下でアセトンを除去し
た後、クロロホルム(200ml×3)で抽出した。クロ
ロホルム層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥し、更に減
圧乾燥して黄色粘性物(31.3g)を得た。シリカゲ
ルを用いたカラムクロマトグラフィー〔シクロヘキサン
/酢酸エチル(5/2容量)〕を行い、1−メチル−エ
ストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−
ジオール,3−(5−ジメチルアミノナフタレンスルホ
ネート)(12g)を得た。 Rf:0.15〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C3137NO4 S 理論値(%) C:71.64,H:7.18,N:
2.70 実測値(%) C:71.5, H:7.2, N:
2.6 EI−MS:m/z 519(親ピーク) 蛍光分析:Excitation=356nm Emission= 520nm
【0023】次に、得られた1−メチル−エストラ−
1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオー
ル,3−(5−ジメチルアミノナフタレンスルホネー
ト)(12g)と乾燥テトラヒドロフラン(200ml)
とピリジン(5g)とを塩化カルシウム管付四つ口フラ
スコ(500ml)に入れ、−5℃〜−3℃で攪拌した。
この系にブロモアセチルブロマイド(7.6g)の乾燥
テトラヒドロフラン溶液(40ml)を滴下した。0℃で
1時間攪拌し、室温で1晩攪拌した。薄層クロマトグラ
フィーで原料の消失を確認し、析出したピリジン−HB
r塩を濾別した後、濾液を硫酸マグネシウムによって処
理した。減圧下で溶媒を除去し、黄白色の固体を得た。
シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー〔シクロヘ
キサン/酢酸エチル(5/2容量)〕で精製して1−メ
チル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,
17β−ジオール,3−(5−ジメチルアミノナフタレ
ンスルホネート),17−モノブロモアセテートを得
た。 Rf:0.62〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C3338NO5 SBr 理論値(%) C:61.87,H:5.98, Br:12.47,N:2.19 実測値(%) C:61.7,H:5.8, Br:13.0,N:2.21 H−NMR(CDCl3 ):δ 2.90ppm (S,CH3 ,DNS−N(C
3 2 ),2.14ppm (S,CH3 ,Ar−C
3 ),0.70ppm (S,CH3 ,E2 −18C
3 ) EI−MS:m/z 639(親ピーク) 蛍光分析:Excitation=355nm Emission= 525nm 炎色反応:ハロゲン呈色
【0024】前記と同様にして、以下の表2に記載の反
応中間体を合成した。
【表2】
【0025】〔3〕エストラ−1,3,5(10)−ト
リエン−3,16α,17β−トリオール,3−ベンゾ
エート,17−モノブロモアセテートの合成 ナス型フラスコ(300ml)に、エストリオール(5
g)、アセトン(45ml)、蒸留水(150ml)及び1
N−NaOH(20.6ml)を加え、攪拌して溶解し
た。0℃に冷却し、ベンゾイルクロライド(2.68
g)のアセトン(35ml)溶液を1時間かけて滴下し
た。同じ温度で1時間、室温で1.5時間攪拌した後、
一晩放置した。生成した結晶を濾別し、エタノール(2
00ml)で結晶を洗浄した後、クロロホルム(700m
l)に溶解させた。濃縮及び結晶化を繰り返し、白色結
晶(エストリオール−3−ベンゾエート)(6.2g)
を得た。
【0026】ナス型フラスコ(300ml)に、前記で得
られたエストリオール−3−ベンゾエート(5.6
g)、ピリジン(1.3g)及び乾燥テトラヒドロフラ
ン(160ml)を加え、冷却(0℃)下で攪拌した。こ
の系にブロモアセチルブロマイド(3.5g)の乾燥テ
トラヒドロフラン溶液(35ml)を1時間かけて滴下し
た。添加終了後、更に1.5時間攪拌した後、冷蔵庫
(約5℃)内で1晩放置した。析出したピリジン塩酸塩
を濾別し、濾液を濃縮して油状物質(8.4g)を得
た。薄層クロマトグラフィー〔シリカゲル:シクロヘキ
サン/酢酸エチル(5/1容量)〕により、3つの成分
が確認された。シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶
媒は前記薄層クロマトグラフィーの場合と同じ)によ
り、Rf=0.71、Rf=0.75、及びRf=0.
87を示す化合物がそれぞれ1g、2.3g、及び1g
の量で得られた。エストラ−1,3,5(10)−トリ
エン−3,16α,17β−トリオール,3−ベンゾエ
ート,17−モノブロモアセテートはRf=0.71を
示す化合物であった。 Rf:0.71〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/1
容量)〕 EI−MS:m/z 512(親ピーク)
【0027】〔4〕エストラ−1,3,5(10)−ト
リエン−3,17β−ジオール−6−オン,3−ベンゾ
エート,17−モノブロモアセテートの合成 エストラジオール(50g)とピリジン(90g)と乾
燥テトラヒドロフラン(400ml)を4つ口フラスコ
(1リットル)に入れ、無水酢酸(94g)を加え、6
時間攪拌下に還流した。この溶液のピリジンを約1/3
量まで濃縮し、そこへ酢酸エチル(400ml)及び蒸留
水(300ml)を加えた後、振とう抽出し、有機層を同
容量の蒸留水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウ
ムにより乾燥した後、減圧乾固して白色結晶(エストラ
ジオール−3,17β−ジアセテート;64.1g)を
得た。こうして得られたエストラジオール−3,17β
−ジアセテート(64g)、酢酸(740ml)及び蒸留
水(160ml)をナス型フラスコ(1リットル)に入
れ、三酸化クロム(53.8g)を30〜40℃の浴上
で少量ずつ添加し、3時間後に更に三酸化クロム(6
g)を追加し、室温で一晩攪拌した。反応液を蒸留水
(3リットル)に分散し、酢酸エチル(1リットル×
3)で抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1
リットル×6)及び蒸留水(1リットル×2)で洗浄
し、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧
乾固して黄色油状物質を得た。シリカゲルによるカラム
クロマトグラフィー〔展開溶媒:シクロヘキサン/酢酸
エチル(5/2容量)〕を行い、白色結晶(13.1
g)を得た。この化合物は、NMR及びIRスペクトル
により、エストラジオール−3,17β−ジオール−6
−オン,3,17β−ジアセテートであることを確認し
た。こうして得られたエストラジオール−3,17β−
ジオール−6−オン,3,17β−ジアセテート(12
g)とメタノール(350ml)をナス型フラスコ(1リ
ットル)に入れ、水酸化カリウム(53g)のメタノー
ル(530ml)溶液を冷却しながら添加し、室温で2時
間攪拌した。減圧下で約半量まで濃縮し、2N−HCl
でpH4程度にまで調整した後、酢酸エチル(400ml×
3)で抽出し、有機層を蒸留水(500ml)で洗浄した
後、硫酸マグネシウムによって乾燥し、減圧乾固して薄
黄色結晶(8.74g)を得た。この化合物は、NMR
及びIRスペクトルにより、エストラジオール−3,1
7β−ジオール−6−オンであることを確認した。
【0028】得られたエストラジオール−3,17β−
ジオール−6−オン(2g)をアセトン(50ml)に溶
解し、ナス型フラスコ(200ml)に入れ、NaOH
(309mg)の水(100ml)溶液を加えた。更に、ベ
ンゾイルクロライド(1.04g)のエチルエーテル
(10ml)溶液を加え、厳しく攪拌すると白色物質がす
みやかに析出した。G−4フィルターで濾別した後、結
晶をよく水洗し、減圧乾固して白色結晶(2.6g)を
得た。この化合物(2g)とトリエチルアミン(2g)
を乾燥テトラヒドロフラン(20ml)に溶解し、三角フ
ラスコ(100ml)に入れ、氷水で冷却下に攪拌した。
次いで、この系にブロモアセチルブロマイド(4g)の
テトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下し、冷却下で
攪拌下に2時間反応させ、冷蔵庫(約5℃)内で1晩静
置した。生成した沈殿をG−4フィルターで濾別し、濾
液を減圧乾固して粘性化合物(3.4g)を得た。シリ
カゲルクロマトグラフィーによる精製を行った〔展開溶
媒:シクロヘキサン/酢酸エチル(5/3容量)〕。薄
層クロマトグラフィー〔シリカゲル:シクロヘキサン/
酢酸エチル(5/3容量)〕により、1スポット(Rf
=0.63)を示す画分を集め、減圧乾固し、微量の酢
酸エチルとエチルエーテルを用いて−20℃で晶析し、
白色結晶のエストラ−1,3,5(10)−トリエン−
3,17β−ジオール−6−オン,3−ベンゾエート,
17−モノブロモアセテート(1.7g)を得た。 Rf:0.63〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/3
容量)〕 EI−MS:m/z 510(親ピーク)
【0029】実施例2:結合体の合成 〔1〕1−メチル−エストラ−1,3,5(10)−ト
リエン−3,17β−ジオール,3−ベンゾエート,1
7−〔〔4−〔4−〔ビス(2−クロロエチル)アミ
ノ〕フェニル〕−1−オキソブトキシ〕アセテート〕
〔=本結合体(I)〕の合成 クロラムブチル(Chlorambucil)(7.2
g)、ジメチルホルムアミド(100ml)及び1N−N
aOH(26.0ml)をナス型フラスコ(500ml)に
入れ、50℃でロータリーエバポレーターを用い、減圧
下で溶媒を除去し、減圧乾燥した。再度、乾燥ジメチル
ホルムアミド200mlで溶解させた系に、実施例1
〔1〕で得た合成中間体(9.3g)の乾燥ジメチルホ
ルムアミド溶液(100ml)を加え、室温で24時間攪
拌した。薄層クロマトグラフィー(シリカゲル)で原料
スポットの消失を確認した後、ジメチルホルムアミドを
減圧下で除去した。残渣をクロロホルム(200ml)で
溶解し、希食塩水200mlで1回洗浄し、有機層を硫酸
マグネシウムで処理した後、減圧乾燥し、薄褐色の油状
物質を得た。更にこの残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー〔展開溶媒:シクロヘキサン/酢酸エチル
(5/1容量)〕で精製し、薄層クロマトグラフィーで
1スポットを示す無色油状物質(8.8g)を得た。
【0030】次いで、50℃の湯浴上でイソプロピルア
ルコール(1.3リットル)を攪拌している系に、この
無色油状物質(8.8g)の酢酸エチル(20ml)溶液
を徐々に加え、攪拌下で徐々に0℃まで冷却し、−18
℃の冷凍庫で一晩静置した。生成した白色結晶を低温下
で濾別し、冷n−ヘキサン(−20℃)で洗浄した。こ
の結晶を0℃で1時間、室温で更に4時間減圧乾燥し、
白色結晶の標記結合体(I)5.2gを得た。 Rf:0.66〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C4249Cl2 NO6 理論値(%) C:68.65,H:6.72, Cl:9.65,N:1.91 実測値(%) C:68.8, H:6.7, Cl:9.7, N:1.9 EI−MS:m/z 733(親ピーク)1 H−NMR(CDCl3 ):δ 4.56ppm (S,CH2 ,COCH2 O),3.71
〜3.60ppm (m,CH2 ,N(CH2 CH2 Cl)
2 ,2.23ppm (S,CH3 ,Ar−CH3 ),0.
80ppm (S,CH3 ,18−CH3 ) 炎色反応:ハロゲン呈色
【0031】前記と同様にして、以下の表3に記載の本
結合体(II)〜(XI)を得た。
【表3】
【0032】〔2〕1−メチル−エストラ−1,3,5
(10)−トリエン−3,17β−ジオール,3−(5
−ジメチルアミノナフタレンスルホネート),17−
〔〔4−〔4−〔ビス(2−クロロエチル)アミノ〕フ
ェニル〕−1−オキソブトキシ〕アセテート〕〔=本結
合体(XII)〕の合成 クロラムブチル(3.9g)とジメチルホルムアミド
(100ml)と1N−NaOH(14.1ml)をナス型
フラスコ(500ml)に入れ、50℃でロータリーエバ
ポレーターを用いて約1/3量まで減圧下で濃縮し、実
施例1〔2〕で得た合成中間体(6.5g)の乾燥ジメ
チルホルムアミド(150ml)溶液を加えた。室温で2
4時間反応させ、薄層クロマトグラフィーで原料の消失
を確認した後、ジメチルホルムアミドを減圧下で除去し
た。残渣に酢酸エチル(150ml)を加え、冷水(10
0×2ml)で洗浄し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム
で処理し、溶媒を減圧下で除去し、黄褐色油状物質を得
た。この物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
〔展開溶媒=シクロヘキサン/酢酸エチル(5/1容
量)〕で精製し、薄層クロマトグラフィーで1スポット
を示す化合物(6.2g)を得た。イソプロピルアルコ
ール/n−ヘキサンで結晶化し、標記の本結合体(XII)
5.1gを得た。 Rf:0.52〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C4756Cl2 2 7 S 理論値(%) C:63.96,H:6.26, Cl:8.23,N:3.24 実測値(%) C:64.0,H:6.3, Cl:8.2,N:3.2 EI−MS:m/z 862(親ピーク)1 H−NMR(CDCl3 ):δ 4.59ppm (S,CH2 ,COCH2 O),3.70
〜3.59ppm (m,CH2 ,N(CH2 CH2 Cl)
2 ,2.90ppm (S,CH3 ,DNS−N(CH3
2 ),2.14ppm (S,CH3 ,Ar−CH3 ),
0.70ppm (S,CH3 ,E2 −18CH3 ) 炎色反応:ハロゲン呈色
【0033】前記と同様にして、以下の表4に記載の本
結合体(XIII)〜(XVI)を得た。
【表4】
【0034】〔3〕1−メチル−エストラ−1,3,5
(10)−トリエン−3,17β−ジオール,3−パル
ミテート,17−〔〔4−〔4−〔ビス(2−クロロエ
チル)アミノ〕フェニル〕−1−オキソブトキシ〕アセ
テート〕〔=本結合体(XIV)〕の合成 1−メチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン
−3,17β−ジオール(2g)とピリジン(1.1
g)を乾燥テトラヒドロフラン(50ml)に溶解し、氷
−食塩浴での冷却下で攪拌した。この系に、ブロモアセ
チルブロマイド(2.8g)の乾燥テトラヒドロフラン
(20ml)溶液を滴下し、滴下終了後、冷蔵庫(約5
℃)内で1晩反応させた。生成されたピリジン−HBr
塩を濾別し、テトラヒドロフランを減圧下で除去した。
残渣をエタノールで洗浄し、1−メチル−エストラ−
1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオー
ル,3,17−ジブロモアセテート(3.1g)を得
た。この化合物をアセトン(200ml)に溶解し、0℃
に冷却した。蒸留水をこの系に徐々に加え、沈澱が析出
する直前の状態とした。この系に1N−NaHCO
3 (0.45ml)を加え、30分間攪拌した。減圧下で
アセトンを除去すると白色結晶が析出した。薄層クロマ
トグラフィーのチェックでは、原料スポットが若干残っ
た状態であった。この結晶を濾別して水洗し、減圧下で
乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開
溶媒=シクロヘキサン/酢酸エチル(5/1容量)〕で
精製し、白色結晶(2.5g)を得た。NMR及び元素
分析より、この化合物は、1−メチル−エストラ−1,
3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール,1
7−モノブロモアセテートであることを確認した。
【0035】次いで、クロラムブチルのナトリウム塩
(1g)を乾燥テトラヒドロフラン(50ml)に分散
し、攪拌しながら、前記の1−メチル−エストラ−1,
3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール,1
7−モノブロモアセテート(1.2g)の乾燥テトラヒ
ドロフラン(10ml)溶液を加え、40℃で30分間加
温した。室温で更に24時間反応させた。薄層クロマト
グラフィーで原料の消失を確認した後、生成塩を濾別
し、テトラヒドロフランを減圧下で除去し、粘性状物質
(2.0g)を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー〔展開溶媒=シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕により精製し、1−メチル−エストラ−1,
3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール,1
7−〔〔4−〔4−〔ビス(2−クロロエチル)アミ
ノ〕フェニル〕−1−オキソブトキシ〕アセテート
(1.5g)を得た。
【0036】こうして得られた前記化合物(1.0g)
と乾燥ピリジン(0.25g)を乾燥テトラヒドロフラ
ン(50ml)に溶解し、攪拌下で0℃に冷却した。この
系に、パルミチン酸クロライド(0.87g)の乾燥テ
トラヒドロフラン(10ml)溶液を滴下した。添加終了
後、30℃で3時間攪拌し、室温で1晩反応させた。薄
層クロマトグラフィーで原料の消失を確認し、テトラヒ
ドロフランを減圧下で除去した。酢酸エチル(50ml)
に再溶解し、水(25ml×2)で洗浄した後、酢酸エチ
ル層を無水硫酸ナトリウムで処理し、更に減圧乾燥し
た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開溶媒=
クロロホルム/酢酸エチル(50/1容量)〕で精製
し、標記の本結合体(XIV)1.1gを得た。 Rf:0.63〔クロロホルム/酢酸エチル(50/1
容量)〕 元素分析:C51756 Cl2 理論値(%) C:70.48,H:8.70, Cl:8.16,N:1.61 実測値(%) C:70.2,H:8.8, Cl:8.2,N:1.61 H−NMR(CDCl3 ):δ 4.57ppm (S,CH2 ,COCH2 O),3.77
〜3.53ppm (m,CH2 ,N(CH2 CH2 Cl)
2 ),2.17ppm (S,CH3 ,Ar−CH3 ),
1.5〜1.2ppm (m,CH2 ,(CH2 14),
0.83ppm (S,CH3 ,18CH3 ) EI−MS:m/z 867(親ピーク) 炎色反応:ハロゲン呈色 前記と同様にして、前記の表4に記載の本結合体(XII
I)、(XV)及び(XVI)を得た。
【0037】〔4〕エストラ−1,3,5(10)−ト
リエン−3,16α,17β−トリオール,3−ベンゾ
エート,16α−アセテート,17−〔〔4−〔4−
〔ビス(2−クロロエチル)アミノ〕フェニル〕−1−
オキソブトキシ〕アセテート〔=本結合体(XVII)〕の
合成 実施例1〔3〕で得た中間体化合物(1g)とクロラム
ブチルのカリウム塩(0.65g)をジメチルホルムア
ミド(80ml)に溶解させ、室温で24時間攪拌反応さ
せた。反応溶液を1/3量まで濃縮し、この濃縮液に酢
酸エチル(250ml)を加え、冷水(150ml×3)で
洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、更に減圧
乾燥してオイル状物質(1.9g)を得た。シリカゲル
カラムクロマトグラフィー〔展開溶媒=シクロヘキサン
/酢酸エチル(5/2容量)〕で精製し、イソプロパノ
ールにより晶析して白色結晶の前駆物質・エストラ−
1,3,5(10)−トリエン−3,16α,17β−
トリオール,3−ベンゾエート,17−〔〔4−〔4−
〔ビス(2−クロロエチル)アミノ〕フェニル〕−1−
オキソブトキシ〕アセテート〔=本結合体(XVII)の前
駆物質〕0.6gを得た。 Rf:0.75〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C4147Cl2 NO7 理論値(%) C:66.85,H:6.39; Cl:9.65,N:1.90 実測値(%) C:67.0,H:6.5, Cl:9.7,N:1.9 EI−MS:m/z 735(親ピーク)1 H−NMR(CDCl3 ):δ 4.56ppm (S,CH2 ,COCH2 O),3.70
〜3.60ppm (m,CH2 ,N(CH2 CH2 Cl)
2 ),0.81ppm (S,CH3 ,18−CH3 ) 炎色反応:ハロゲン呈色
【0038】前駆物質(400mg)、乾燥テトラヒドロ
フラン(15ml)、乾燥ピリジン(1.5ml)及び無水
酢酸(1.5ml)をナス型フラスコ(50ml)に入れ、
塩化カルシウム管付の冷却管をつけて、60℃で6時間
加熱攪拌し、室温で一晩放置した。反応液を減圧乾固
し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開
溶媒=シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2容量)〕で
精製した。得られた油状物質(0.6g)を酢酸エチル
とイソプロパノールにより晶析し、白色結晶の標記本結
合体(XVIII)0.32gを得た。 Rf:0.45〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C4349Cl2 NO9 理論値(%) C:64.99,H:8.94, Cl:8.94,N:1.76 実測値(%) C:65.1,H:9.1, Cl:8.8,N:1.8 EI−MS:m/z 793(親ピーク)1 H−NMR(CDCl3 ):δ 4.60ppm (S,CH2 ,COCH2 O),3.71
〜3.60ppm (m,CH2 ,N(CH2 CH2 Cl)
2 ),2.0ppm (S,CH3 ,COCH3 ),0.8
3ppm (S,CH3 ,18−CH3 ) 炎色反応:ハロゲン呈色
【0039】〔5〕エストラ−1,3,5(10)−ト
リエン−3,17β−ジオール−6−オン,3−ベンゾ
エート,17−〔〔4−〔4−〔ビス(2−クロロエチ
ル)アミノ〕フェニル〕−1−オキソブトキシ〕アセテ
ート〔=本結合体(XVIII)〕の合成 前記実施例1〔4〕で得たエストラ−1,3,5(1
0)−トリエン−3,17β−ジオール−6−オン,3
−ベンゾエート,17−モノブロモアセテート(500
mg)と、クロラムブチルのカリウム塩(340mg)に乾
燥テトラヒドロフラン(20ml)を加え、40℃で2時
間攪拌した。1晩室温で反応させ、生成されたカリウム
塩をG−4フィルターで濾別した後、濾液を減圧乾固し
た。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー〔展開溶媒=
シクロヘキサン/酢酸エチル(50/15容量)〕で精
製し、同じ溶媒の薄層クロマトグラフィーでRf=0.
24の単一スポットを示す画分を集め、減圧濃縮し、n
−ヘキサンにより晶析し、白色結晶の標記本結合体(XI
X)370mgを得た。 Rf:0.24〔シクロヘキサン/酢酸エチル(50/
15容量)〕 元素分析:C4145Cl2 NO7 理論値(%) C:67.03,H:6.13; Cl:9.67,N:1.91 実測値(%) C:66.9,H:6.4; Cl:10.0,N:1.9 EI−MS:m/z 733(親ピーク)1 H−NMR(CDCl3 ):δ 4.57ppm (S,CH2 ,COCH2 O),3.70
〜3.59ppm (m,CH2 ,N(CH2 CH2 Cl)
2 ),0.80ppm (S,CH3 ,18−CH3 ) 炎色反応:ハロゲン呈色
【0040】実施例3:毒性 生後5週齢のWistar系雄ラット(平均体重130
g)の各群(10匹)に、0.5%メチルセルロース水
溶液中の本結合体(I)の懸濁液を5000mg/kgの割
合で、金属製胃ゾンデを用いて一回強制経口投与し、投
与してから7日後まで観察したが、死亡例は認められな
かった。本結合体(II)〜(XIX)についても同様の結果
を得た。
【0041】実施例4:エストロゲン作用(子宮重量
法) Wistar/slcの3.5週齢雌性ラットに各被検
試料を3日間連続して皮下投与(50mg/kg/日、10
0mg/kg/日又は200mg/kg/日の量で各々3回)
し、4日目の子宮重量を計測することにより、本結合体
のホルモン作用を比較物質と比較検討した。なお、この
試験法は、小山により最も優れた方法であると紹介され
ている(小山良彦,日本内分泌学会誌,37(8):8
26,1961)。4日目の「子宮重量/体重」比と投
与量との関係より、対照群の「子宮重量/体重」比を2
倍とする各被検試料の投与量を算出した。なお、本結合
体を皮下投与する際には、ゴマ油を溶媒とした。また、
結合体比較物質としては、エストラ−1,3,5(1
0)−トリエン−3,17β−ジオール,3−ベンゾエ
ート,17−〔〔4−〔4−〔ビス(2−クロロエチ
ル)アミノ〕フェニル〕−1−オキソブトキシ〕アセテ
ート〔以下、比較物質Iとする〕を用いた。この比較物
質Iは、本結合体を表す前記一般式(I)において、R
1 、R3 、R4 、R5 がすべて水素原子である場合(本
結合体とならない)に相当する。更に、エストラジオー
ル−17βも比較用として用いた。結果を表5に示し
た。
【0042】
【表5】 比較物質Iにはエストラジオール−17βの1/10程
度のホルモン作用が観察された。一方、本結合体のホル
モン作用では、エストラジオールのA環上2位に置換基
1 を担持し、B環、C環及びD環に置換基を担持しな
い本結合体で、比較物質Iよりも1/100〜1/50
0程度に弱まったことが確認された。また、A環上1位
又は4位に置換基を有するか、複数置換基を有する本結
合体では、ホルモン作用は、本実験系において検出され
なかった。更に、A環に置換基R1 を担持せず、B環、
C環又はD環に置換基を担持する本結合体、即ち、本結
合体(XVII)及び(XVIII)のホルモン作用は、極めて低
く、比較物質Iの約1/20〜1/5に低下しているこ
とが観察された。
【0043】実施例5:選択的増殖抑制作用 (1)選択的増殖抑制作用(マウス正常細胞と悪性細
胞) 対数増殖期にあるマウス3T3正常細胞及び悪性細胞3
T3SV−40を0.25%トリプシンで処理し、細胞
を2×104 個/mlの割合で培養液に分散させた後、そ
の細胞分散液を円型短試〔池本理化〕に1本あたり1ml
の量で植込み、綿栓後、水平より5°の傾斜で炭酸ガス
培養器(95%空気、5%炭酸ガス、37℃恒温、95
%湿度)で静置培養した。被検試料をジメチルスルホキ
シドに溶解して培養後に添加した。その際、ジメチルス
ルホキシドの濃度は培養液に対して1%となるようにし
た。
【0044】細胞の植込から1日経過後に培養液を除去
し、pH7.4の新鮮な培養液を加え、更にジメチルスル
ホキシドに溶解した各被検試料10μg/ml又は50μ
g/mlを加えた。コントロールとしてはジメチルスルホ
キシドのみを加えた。被検試料を添加してから5日間培
養を行い、生細胞の計測を、トリパンブルーに不染な細
胞のビュルケルチュルク血球計算盤により行った。1被
検試料の濃度につき3検体の平均値を求めた。コントロ
ールとの比較より生存率(%)を求めた。結果を表6及
び表7に示す。本結合体は比較物質Iと同様な悪性細胞
への選択的な増殖抑制作用を維持していることが認めら
れた。
【0045】
【表6】
【表7】
【0046】(2)選択的増殖抑制作用(ヒト正常細胞
と癌細胞) ヒト正常細胞(FLOW4000)と各種ヒト癌細胞
〔ヒト腎癌(RC)細胞、ヒト前立腺癌(PC−3)細
胞、ヒト子宮頸癌(HeLa)細胞〕に対する本結合体
の増殖抑制作用(生存率)を検討した。培養フラスコに
て継代培養している対数増殖期にある細胞を0.25%
トリプシンで処理し、細胞(2×104 個/ml)をそれ
ぞれの培養液に分散させた後、円型短試〔池本理化〕に
1本あたり1mlの割合で植込み、綿栓後、水平より5°
の傾斜で炭酸ガス培養器(95%空気、5%炭酸ガス、
37℃恒温、95%湿度)で静置培養した。被検試料を
ジメチルスルホキシドに溶解して培養後に添加した。そ
の際、ジメチルスルホキシドの濃度は培養液に対して1
%となるようにした。細胞の植込から1日経過後に培養
液を除去し、それぞれ以下の表8及び表9に示したpHに
調製した新鮮な培養液(被検試料を含む)を加えた。コ
ントロールとしてはジメチルスルホキシドのみを加えた
系を用いた。被検試料添加後5日間培養を行い、評価は
実施例3(1)と同様な条件で行った。表8及び表9に
各細胞に対する本結合体の増殖抑制作用(生存率)を示
した。本結合体は、ヒト癌細胞に対し、比較物質Iと同
程度の選択的な増殖抑制作用を維持していることが認め
られた。
【0047】
【表8】
【表9】
【0048】実施例6:ヒト乳癌細胞の増殖因子分泌抑
制作用 ヒト乳癌細胞MCF−7の増殖因子(TGF−α)分泌
に及ぼす本結合体(I)の作用を検討した。MCF−7
を、5%DCC−NBS(デキストランコート活性炭処
理牛新生児血清)とエストラジオール(10-8M)を含
むフェノールレッド不含のMEM培地で7日間培養し
た。培養液の交換は2日目及び4日目に行った。培養開
始後7日目に培養液を除去し、5%DCC−NBSとエ
ストラジオール(10-8M)と被検試料のジメチルスル
ホキシド溶液とを添加した培養液を加えた。被検試料を
添加してから4日目に培養液を採取し、遠心分離(35
00rpm で10分間)した。更に、上澄液を蒸留水でS
pectraPor3 membrane(MW350
0 cut off,Fisher Scientif
ic)を用い、3日間透析した。透析終了後、凍結乾燥
を行って得た粉末を、1%牛血清アルブミン(BSA)
を含む1/10量のPBS(リン酸緩衝液)に溶解し
た。
【0049】TGF−αの測定は稲垣らの報告と同様
に、ウサギ抗体とマウスモノクローナル抗体(ATG−
2S)を用い、サンドイッチEIA法により行った(I
nagaki,H.,et al.,J.Immuno
l.Method.128:27−37,1990)。
結果を表10に示す。
【表10】 本結合体(I)は比較物質Iと同様に、10-8Mのエス
トラジオール(表中では「E2 」で示す)によって誘導
されるTGF−α産生分泌を10-6Mで完全に抑制する
ことが観察されたが、等モルのクロラムブチルでは、T
GF−α産生分泌への影響は認められなかった。
【0050】実施例7:抗腫瘍効果(腹腔内投与及び経
口投与) P388細胞を1×106 個/0.05mlハンクス液と
なるように調整して用意した細胞懸濁液を、BDF1
7.5週齢雌マウスの各群(1群6匹;コントロール群
10匹)の腹腔内へ移植した。一方、比較物質Iを0.
5%メチルセルロース含有生理食塩水に分散し、その分
散液50mg/kg又は100mg/kgを、腫瘍移植後1日
目、4日目及び7日目に腹腔内投与した。また、本結合
体も比較物質Iの50mg/kg又は100mg/kgに相当す
る量(モル比)で同様に投与した。なお、ここで本結合
体では、0.5%メチルセルロース含有生理食塩水分散
剤を調製可能なものについてはその分散剤を用い、室温
において半固体の本結合体(XIII)、(XIV)、(XV)及
び(XVI)についてはゴマ油に溶解し、ゴマ油に溶解分散
された比較物質Iの投与量10mg/kg、20mg/kgと等
モルの投与量となるよう調製し、P388担癌マウスに
8日間連続で経口投与を行った。各群の死亡例数より、
中間生存日数(mediansurvival tim
e;MST)を求め、これを「T」とした。同様にコン
トロール群(生理食塩水又はゴマ油のみを投与した群)
のMSTを求め、これを「C」とした。これより T/C×100(%) を求めた。生存確認は被検試料の投与開始より、45日
目を限度とした。P388腹腔内移植マウスに対する被
検試料の腹腔内投与法による試験結果を表11に、ま
た、被検試料の経口投与法による試験結果を表12に示
す。いずれの試験においても、本結合体は比較物質Iと
同等以上の延命効果を示すことが認められた。また、本
結合体(XVII)及び(XVIII)にはいずれも比較物質I以
上の延命効果が認められた。
【0051】
【表11】
【表12】
【0052】実施例8:抗腫瘍効果(注射剤の動脈内投
与) Walker256carcinosarcoma(固
型;約3mm×3mm×3mm)を調製し、1群5匹のWis
tarラット(6週齢;雌)の左上腕部及び左大腿部皮
下に移植針を用いて移植した。移植後8〜9日目に右大
腿動脈よりカテーテルを用いて被検試料を注入(0.1
ml/body)した。被検試料はリピオドール(6.5
g)に溶解又は分散した注射剤として用いた。前記実施
例7と同様に中間生存日(MST)を算出し、延命率
(T/C)を求めた。結果を表13に示した。アドリア
マイシンはリピオドールに不溶であり、癌組織への長時
間滞留が困難であり、効果が不十分であった。本結合体
(I)の場合は、比較物質Iと同様によく溶解され、し
かも持続性があり、その効果も十分現れた。
【表13】
【0053】実施例9:肝動脈内投与による選択性とエ
ストロゲン作用 Wistarラットの肝臓に、前記実施例8と同様のW
alker256carcinosarcoma(固型
癌)を移植し、肝動脈より表14に記載の各薬剤A〜E
(0.05ml/body)を注入した。注入後7日目に
ラットの血液を採取し、GOT(glutamic o
xaloacetic transaminase)と
GPT(glutamic pyruvic tran
saminase)を測定した。更に、ラットより肝臓
を摘出し、肝組織内の癌組織と正常肝組織内の薬剤濃度
を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。結果
を表14及び表15に示す。
【0054】
【表14】
【表15】 本結合体(I)のリピオドール注射液〔薬剤(B)〕の
癌組織内濃度は正常肝組織内濃度よりも高値で、比較物
質Iのリピオドール注射液〔薬剤(C)〕と同様な結果
を得た。アドリアマイシンの注射液〔薬剤(A)〕では
滞留がみられなかった。ゴマ油注射剤〔薬剤(D)及び
(E)〕は、正常肝組織及び癌組織内活性物質の濃度に
差がみられなかった。子宮重量に与える影響では、比較
物質Iで若干の子宮肥大作用が認められたが、本結合体
では子宮肥大作用はみられなかった。
【0055】実施例10:免疫調節作用 (1)異種抗原刺激反応〔本結合体(I)のマイトジェ
ン反応に対する作用〕 異種抗原刺激に対するリンパ球の幼若化反応( 3H−t
hymidineの細胞内への取り込みを指標として測
定)、即ち、細菌等に対する免疫反応に及ぼす本結合体
(I)の影響について調べた。なお、マイトジェンとし
てはヒトリンパ球(特にT細胞)に最も強い反応を示す
フィトヘマグルチニン(PHA)を用いた。男性健常人
より末梢静脈血を真空採血管に採取し、遠心(2000
rpm ;常温;20分間)した。血漿を更に遠心(350
0rpm ;4 ℃;20分間)して、培養液(RPMI16
40)に20%となるように添加した。血清を取り去っ
た残留物に前記と同じ培養液を同量加えて希釈した後、
リンホプレップに静かに重層した。これを遠心処理(1
500rpm ;20℃;30分間)した後、単核細胞層を
取り出し、培養液で2〜3回洗浄し、細胞数を5×10
5 cell/mlに調整した。
【0056】こうして得た細胞浮遊液を96穴U字底マ
イクロプレートに200μl/ウエルずつ分注した。本
結合体(I)及び比較物質Iをジメチルスルホキシドに
溶解した後、ジメチルスルホキシド濃度として0.5%
となるように各細胞浮遊液に加えた。コントロールとし
てはジメチルスルホキシドのみを添加し、各群トリプリ
ケットで行った。PHAは10μg/mlとなるように各
ウエルに添加した。炭酸ガス培養器内で2日間培養した
後、 3H−チミジンを1μCi/ウエルずつ添加し、更
に18時間培養した後、セルハーベスターにて細胞をガ
ラスフィルター上に集め、放射能活性を液体シンチレー
ションカウンターを用いて測定した。結果を表16に示
す。本結合体(I)は比較物質Iと同様に、異種抗原刺
激に対するリンパ球の幼若反応には大きな影響を与えな
かった。
【0057】(2)同種抗原刺激反応〔本結合体(I)
のリンパ球混合培養(MLC)に対する作用) 臓器移植の際の免疫反応のモデルで、いわゆる同種抗原
刺激反応であるリンパ球混合培養における本結合体
(I)の作用について検討した。男性健常人(2名)よ
りそれぞれPHA反応の場合と同様にして単核細胞を
得、一方ヒトより得られた細胞に15Gyの放射線処理
を行った。培養液にて洗浄した後、細胞数を5×105
cell/mlに調整し、両細胞をそれぞれ100μlず
つ合計200μlとなるようにマイクロプレートの各ウ
エルに分注した。本結合体(I)及び比較物質Iを、P
HA反応の場合と同様にジメチルスルホキシドに溶解し
て培養系に加えた。6日間培養した後、 3H−チミジン
(1μCi/ml)を添加し、更に18時間培養し、セル
ハーベスターにてガラスフィルター上に細胞を集め、そ
の放射能活性を液体シンチレーションカウンターにて測
定した。結果を表16に示す。本結合体(I)は、比較
物質Iと同様にMLC反応を抑制することが認められ
た。
【0058】
【表16】
【0059】実施例11:マウス骨髄移植モデルにおけ
るGVHR抑制作用 8週令の雄性C3H/Heマウス及び雄性B6C3F1
マウスを用いて、骨髄移植モデルにおける本結合体のG
VHR(graft versus hostreac
tion)抑制作用について検討した。C3H/Heマ
ウスの脾臓から、金属メッシュを用いて脾細胞を、10
%FBSを含むRPMI1640中に集めた。また同じ
マウスの大腿骨よりシリンジを用いて骨髄細胞を洗い出
し、RPMI1640培養液に集めた。両細胞の浮遊液
を2〜3回洗浄した後、それぞれを8×106 cell
/mlに調整し、これらを1:1の割合で混合し、予め9
Gyの放射線処理を行ったB6C3F1 マウスの尾静脈
より、前記混合液0.5mlを注入した。移植前日より、
当日を除き、移植後30日まで、本結合体(I)又は比
較物質Iを2mg/kg(0.5%メチルセルロース生理食
塩水分散剤)の量で連日経口的に投与した。コントロー
ル群には0.5%メチルセルロース生理食塩水のみを投
与した。マウスの生存について観察した。結果を表17
に示す。
【0060】
【表17】 コントロールでは、生存日数中間値が8日と少なく、G
VHD発症と考えられる早期死亡が認められた。一方、
本結合体(I)では、マウス骨髄移植モデル系におい
て、比較物質Iと同様に明らかな生存率の延長がみられ
た。
【0061】実施例12:MLC反応抑制作用における
TGF−β産生への関与 本結合体(I)のMLC反応の選択的抑制作用の機序を
解明するために、実施例10(2)と同様な条件下で、
TGF−β(R&D Systems)と抗TGF−β
抗体(R&D Systems)をRPMI1640に
溶解したものを添加し、本結合体(I)のMLC反応の
抑制作用に与える影響を検討した。結果を表18に示
す。
【0062】
【表18】 免疫抑制物質(TGF−β)の抑制と同程度に本結合体
のMLC反応の抑制とTGF−βとの併用効果が認めら
れた。抗TGF−β抗体はMLC反応へ影響を与えず、
本結合体との併用で、本結合体(I)の単独で認められ
たMLC反応の抑制作用をほぼ中和した。これらの傾向
は比較物質Iと同様であった。従って、本結合体(I)
のMLC反応の抑制作用は、TGF−β産生と深く関与
しているものと考えられる。
【0063】製剤例1:錠剤 本結合体(I) 30部 マンニット 35部 ソルビット 25部 カルボキシメチルセルロース 5部 ステアリン酸マグネシウム 5部 タルク 40部 上記成分をよく混和し、混和物を圧縮して直径10mmの
錠剤とした。
【0064】製剤例2:注射剤 本結合体(I)100mgを、25℃のリピオドール
(6.5g)に加え、15分間攪拌し、本結合体(I)
の注射剤としての溶液を得た。これを滅菌したバイアル
ビンに入れた。
【0065】製剤例3:カプセル剤 製剤例1で得た混和物を0号カプセルに封入してカプセ
ル剤とした。
【0066】製剤例4:外用薬 本結合体(I)1gとゴマ油(10g)、白色ワセリン
(90g)及びラウリン酸ジエタノールアミド(経皮浸
透助剤;10g)を湯浴上で加温溶融して混合した。混
合物を室温に冷却して外用剤を得た。
【0067】製剤例5:座薬 本結合体(I)100mgとゴマ油(5g)及びウイテプ
ゾール(90g)を湯浴上で加温溶融して混合した。溶
融混合物を1.33gずつプラスチック製座剤コンテナ
に充填し、室温に冷却して座剤とした。
【0068】
【発明の効果】本発明の新規結合体を構成するエストラ
ジオール誘導体部分には、従来公知のエストラジオール
誘導体部分においても存在したA環の3位置換基に加え
て、更に置換基を担持する。こうした構造により、従来
のエストラジオール−クロラムブチル結合体が有する選
択的生理活性作用、即ち、選択的抗腫瘍作用及び選択的
免疫抑制作用をそのまま維持しながら、従来公知の結合
体の欠点であったエストロゲン作用を消滅ないし極微弱
にすることが可能になり、抗腫瘍剤及び免疫抑制剤とし
ての有用性を著しく高めた。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シ基であり、Rはアシル基、ダンシル基又はアルキル
基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原
子、オキソ基、水酸基又はアシルオキシ基であり、mは
1〜3の整数であり、そしてnは0〜3の整数である
が、但し、nが0の場合にはR、R及びRが同時
に水素原子になることはなく、またR、R及びR
が水素原子と水酸基だけからなることはないものとし、
そしてnが2又は3の場合にはそれらの基Rが同一又
は異なっていてもよいものとする)のエストラジオール
誘導体−クロラムブチル結合体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【化2】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シ基であり、Rはアシル基、ダンシル基又はアルキル
基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原
子、オキソ基、水酸基又はアシルオキシ基であり、mは
1〜3の整数であり、そしてnは0〜3の整数であり、
Xはハロゲン原子、水酸基又はその塩であるが、但し、
nが0の場合にはR、R及びRが同時に水素原子
になることはなく、またR、R及びRが水素原子
と水酸基だけからなることはないものとし、そしてnが
2又は3の場合にはそれらの基Rが同一又は異なって
いてもよいものとする)の化合物。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正内容】
【化3】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シ基であり、Rはアシル基、ダンシル基又はアルキル
基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原
子、オキソ基、水酸基又はアシルオキシ基であり、mは
1〜3の整数であり、そしてnは0〜3の整数である
が、但し、nが0の場合にはR、R及びRが同時
に水素原子になることはなく、またR、R及びR
が水素原子と水酸基だけからなることはないものとし、
そしてnが2又は3の場合にはそれらの基Rが同一又
は異なっていてもよいものとする)の化合物。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、一般
式(I):
【化4】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シ基であり、Rはアシル基、ダンシル基又はアルキル
基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原
子、オキソ基、水酸基又はアシルオキシ基であり、mは
1〜3の整数であり、そしてnは0〜3の整数である
が、但し、nが0の場合にはR、R及びRが同時
に水素原子になることはなく、またR、R及びR
が水素原子と水酸基だけからなることはないものとし、
そしてnが2又は3の場合にはそれらの基Rが同一又
は異なっていてもよいものとする)のエストラジオール
誘導体−クロラムブチル結合体に関する。また、本発明
は、そのエストラジオール誘導体−クロラムブチル結合
体の製造方法、及びそのエストラジオール誘導体−クロ
ラムブチル結合体を含有する医薬製剤にも関する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】本発明のエストラジオール誘導体−クロラ
ムブチル結合体(以下、本結合体と称する)の構成成分
であるエストラジオール誘導体部分の化学構造上の特徴
は次のとおりである。即ち、エストラジオールのA環の
3位置換基ORの他に、エストラジオールのA環の1
位、2位若しくは4位、又はB環、C環若しくはD環の
いずれかの位置に1個以上の置換基が存在する。A環の
基R、B環の基R(水素原子以外)、C環の基R
(水素原子以外)及びD環の基R(水素原子以外)の
いずれの置換基が存在してもエストロゲン作用の消失な
いし低下効果が現れるが、A環の1位、2位及び/又は
4位に基Rが存在するのが好ましい。A環の1位、2
位及び/又は4位に置換基Rが存在する場合、その置
換基Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4
のアルコキシ基である。置換基Rは、好ましくは1位
及び/又は4位に存在する。B環、C環及び/又はD環
に置換基が存在する場合は、オキソ基、水酸基又はアシ
ルオキシ基のいずれか1個がいずれか1個の環に存在す
るか、又は、同じか又は異なる2個又は3個の基が異な
る環にそれぞれ1個ずつ存在する。オキソ基又はアシル
オキシ基が好ましい。アシルオキシ基は好ましくは炭素
数2〜7のアシルオキシ基、例えば、ベンゾイルオキシ
基、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイル
オキシ基、又はペンタノイルオキシ基である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】本結合体のエストラジオール誘導体部分の
3位置換基は、エストラジオールの3位水酸基の水素原
子をアシル基、ダンシル基(5−ジメチルアミノナフタ
レンスルホニル基)又はアルキル基で置換した構造に相
当する。アシル基としての基Rは、好ましくは炭素数
2〜18のアシル基、例えば、ベンゾイル基、アセチル
基、パルミトイル基、ステアロイル基及びリノレノイル
基等である。また、アルキル基としての基Rは、好ま
しくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくは、メ
チル基、エチル基又はプロピル基である。また、エスト
ラジオール誘導体部分の17位配座は、β配座、α配座
又はその混合物であってもよいが、β配座が好ましい。
置換基R、R及びRの立体配座も、β配座、α配
座又はその混合物であることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】本結合体は、例えば以下の方法によって調
製することができる。本結合体を構成するエストラジオ
ール誘導体部分の骨格をなし、エストラジオールのA環
の3位及びD環の17位がそれぞれ水酸基であるエスト
ラジオール誘導体(即ち、A環の1位、2位若しくは4
位に置換基Rが存在し、及び/又はB環、C環及び/
又はD環のいずれかの位置にそれぞれ水素原子以外の置
換基R、R及び/又はRが存在するエストラジオ
ール誘導体(以下、単に3,17−OHエストラジオー
ル誘導体と称する)の3位水酸基の水素原子をアシル基
又はダンシル基Rで置換してエステルとする場合は、
3,17−OHエストラジオール誘導体を有機溶媒に溶
解した後にアルカリ金属と反応させて塩とし、次に、目
的のアシル基又はダンシル基に対応する酸クロライド又
は酸無水物を反応させる。他の方法として、アセトンと
水の混合溶媒にアルカリ金属を溶解し、3,17−OH
エストラジオール誘導体を加え、目的のアシル基又はダ
ンシル基に対応する酸クロライド又は酸無水物を反応さ
せる。置換基がダンシル基である場合は、酸クロライド
としてダンシルクロライド〔5−(ジメチルアミノ)−
1−ナフタレンスルホニルクロライド〕を用いる。3,
17−OHエストラジオール誘導体の3位水酸基の水素
原子をアルキル基Rで置換してアルキルエーテルとす
る場合は、通常のアルキルエーテル化法を応用すること
ができる。例えば、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸と
稀アルカリとを、エストラジオール誘導体に反応させ
る。こうして、A環の3位がOR基で置換された一般
式(III):
【化5】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シ基であり、Rはアシル基、ダンシル基又はアルキル
基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原
子、オキソ基、水酸基又はアシルオキシ基であり、mは
1〜3の整数であり、そしてnは0〜3の整数である
が、但し、nが0の場合にはR、R及びRが同時
に水素原子になることはなく、またR、R及びR
が水素原子と水酸基だけからなることはないものとし、
そしてnが2又は3の場合にはそれらの基Rは同一又
は異なっていてもよいものとする)のエストラジオール
誘導体(以下、3−ORエストラジオール誘導体と称
する)が得られる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】3−ORエストラジオール誘導体とクロ
ラムブチルとの結合は、導入結合剤を用いて行うことが
できる。導入結合剤は、一般式(IV):
【化6】 X(CHCOY (IV) 〔式中、Xはハロゲン原子(例えば、塩素原子又は臭素
原子)であるか又は水酸基であり、YはXと同じか又は
異なるハロゲン原子(例えば、塩素原子又は臭素原子)
であるか又は水酸基若しくはその塩であり、mは1〜3
の整数である〕のヒドロキシル化カルボン酸誘導体もし
くはハロゲン化カルボン酸誘導体、例えば、モノクロロ
酢酸、モノブロモ酢酸、β−モノクロロプロピオン酸、
β−モノブロモプロピオン酸、モノクロロアセチルクロ
ライド、モノブロモアセチルブロマイドである。3−O
エストラジオール誘導体と前記導入結合剤とを反応
させて、17位水酸基をエステル化し、一般式(I
I):
【化7】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シ基であり、Rはアシル基、ダンシル基又はアルキル
基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原
子、オキソ基、水酸基又はアシルオキシ基であり、mは
1〜3の整数であり、そしてnは0〜3の整数であり、
Xはハロゲン原子、水酸基又はその塩であるが、但し、
nが0の場合にはR、R及びRが同時に水素原子
になることはなく、またR、R及びRが水素原子
と水酸基だけからなることはないものとし、そしてnが
2又は3の場合にはそれらの基Rが同一又は異なって
いてもよいものとする)の化合物〔以下、化合物(I
I)と称する〕を得ることができる。この反応は、ジメ
チルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、
アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で、−1
0〜+30℃で行うことができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】本結合体の毒性及び薬理作用は次のとおり
である。 (1)毒性:本結合体の代表例として18種の結合体
を、Wistar系ラットに5000mg/kgの量で
経口投与して1週間観察したが、死亡例はなかった。即
ち、本結合体は、極めて安全な化合物である(後記実施
例3参照)。 (2)エストロゲン作用(子宮重量法):本結合体の代
表例として18種の結合体についてエストロゲン作用を
調べたが、エストロゲン作用は全く認められないか、あ
るいは極めて微小の作用しか認められなかった(後記実
施例4参照)。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本結合体は、免疫抑制剤として、臓器等の
移植、例えば腎臓、肝臓、心臓、皮膚、骨髄等の移植分
野における拒絶反応の防止及び治療、更には、各種腎疾
患、甲状腺疾患、慢性関節リウマチ、自己免疫性溶血性
貧血、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、肝疾
患、多発性動脈炎、皮膚筋炎等の自己免疫疾患の治療に
有効である。従って、臓器移植分野における拒絶反応の
防止剤、その治療剤、及び自己免疫疾患治療剤として使
用することができる。本結合体を、免疫抑制剤として使
用する場合には、任意慣用の方法で、各種経路の投与用
に調製することができる。製剤例としては、錠剤、顆粒
剤、散剤、カプセル等の経口剤、座剤、注射剤、外用剤
である。投与経路及び投与量は、前記抗腫瘍剤の場合と
同じである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】次いで、得られた1−メチル−エストラ−
1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオー
ル,3−ベンゾエート(9.9g)と乾燥テトラヒドロ
フラン(250ml)とピリジン(2.4g)とを、塩
化カルシウム管付四つ口フラスコ(500ml)に入
れ、−5℃〜−3℃で、ブロモアセチルブロマイド(1
0g)の乾燥テトラヒドロフラン(80ml)溶液を滴
下した。0℃で1時間攪拌し、薄層クロマトグラフィー
で原料の消失を確認した後、析出したピリジン−HBr
塩を濾別し、減圧乾燥した。残渣をシリカゲルを用いた
クロマトグラフィー〔展開溶媒=クロロホルム/n−ヘ
キサン(2/1容量)〕により精製し、標記の化合物
(9.3g)を得た。理化学的データは以下のとおりで
ある。 Rf:0.70〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C2831Br 理論値(%) C:65.77,H:6.06,Br:
15.64 実測値(%) C:66.0, H:6.1, Br:
15.9 EI−MS:m/z 510(親ピーク)
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】次に、得られた1−メチル−エストラ−
1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオー
ル,3−(5−ジメチルアミノナフタレンスルホネー
ト)(12g)と乾燥テトラヒドロフラン(200m
l)とピリジン(5g)とを塩化カルシウム管付四つ口
フラスコ(500ml)に入れ、−5℃〜−3℃で攪拌
した。この系にブロモアセチルブロマイド(7.6g)
の乾燥テトラヒドロフラン溶液(40ml)を滴下し
た。0℃で1時間攪拌し、室温で1晩攪拌した。薄層ク
ロマトグラフィーで原料の消失を確認し、析出したピリ
ジン−HBr塩を濾別した後、濾液を硫酸マグネシウム
によって処理した。減圧下で溶媒を除去し、黄白色の固
体を得た。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー
〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2容量)〕で精製
して標記の化合物を得た。 Rf:0.62〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C3338NOSBr 理論値(%) C:61.87,H:5.98, Br:12.47,N:2.19 実測値(%) C:61.7,H:5.8, Br:13.0,N:2.2 H−NMR(CDCl):δ 2.90ppm(S,CH,DNS−N(C
),2.14ppm(S,CH,Ar−CH
),0.70ppm(S,CH,E−18C
) EI−MS:m/z 639(親ピーク) 蛍光分析:Excitation=355nm Emission= 525nm 炎色反応:ハロゲン呈色
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】ナス型フラスコ(300ml)に、前記で
得られたエストリオール−3−ベンゾエート(5.6
g)、ピリジン(1.3g)及び乾燥テトラヒドロフラ
ン(160ml)を加え、冷却(0℃)下で攪拌した。
この系にブロモアセチルブロマイド(3.5g)の乾燥
テトラヒドロフラン溶液(35ml)を1時間かけて滴
下した。添加終了後、更に1.5時間攪拌した後、冷蔵
庫(約5℃)内で1晩放置した。析出したピリジン塩酸
塩を濾別し、濾液を濃縮して油状物質(8.4g)を得
た。薄層クロマトグラフィー〔シリカゲル:シクロヘキ
サン/酢酸エチル(5/1容量)〕により、3つの成分
が確認された。シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶
媒は前記薄層クロマトグラフィーの場合と同じ)によ
り、Rf=0.71、Rf=0.75、及びRf=0.
87を示す化合物がそれぞれ1g、2.3g、及び1g
の量で得られた。標記の化合物はRf=0.71を示す
化合物であった。 Rf:0.71〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/1
容量)〕 EI−MS:m/z 512(親ピーク)
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】得られたエストラジオール−3,17β−
ジオール−6−オン(2g)をアセトン(50ml)に
溶解し、ナス型フラスコ(200ml)に入れ、NaO
H(309mg)の水(100ml)溶液を加えた。更
に、ベンゾイルクロライド(1.04g)のエチルエー
テル(10ml)溶液を加え、厳しく攪拌すると白色物
質がすみやかに析出した。G−4フィルターで濾別した
後、結晶をよく水洗し、減圧乾固して白色結晶(2.6
g)を得た。この化合物(2g)とトリエチルアミン
(2g)を乾燥テトラヒドロフラン(20ml)に溶解
し、三角フラスコ(100ml)に入れ、氷水で冷却下
に攪拌した。次いで、この系にブロモアセチルブロマイ
ド(4g)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴
下し、冷却下で攪拌下に2時間反応させ、冷蔵庫(約5
℃)内で1晩静置した。生成した沈殿をG−4フィルタ
ーで濾別し、濾液を減圧乾固して粘性化合物(3.4
g)を得た。シリカゲルクロマトグラフィーによる精製
を行った〔展開溶媒:シクロヘキサン/酢酸エチル(5
/3容量)〕。薄層クロマトグラフィー〔シリカゲル:
シクロヘキサン/酢酸エチル(5/3容量)〕により、
1スポット(Rf=0.63)を示す画分を集め、減圧
乾固し、微量の酢酸エチルとエチルエーテルを用いて−
20℃で晶析し、白色結晶の標記の化合物(1.7g)
を得た。 Rf:0.63〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/3
容量)〕 EI−MS:m/z 510(親ピーク)
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】前駆物質(400mg)、乾燥テトラヒド
ロフラン(15ml)、乾燥ピリジン(1.5ml)及
び無水酢酸(1.5ml)をナス型フラスコ(50m
l)に入れ、塩化カルシウム管付の冷却管をつけて、6
0℃で6時間加熱攪拌し、室温で一晩放置した。反応液
を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー〔展開溶媒=シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕で精製した。得られた油状物質(0.6g)を
酢酸エチルとイソプロパノールにより晶析し、白色結晶
の標記本結合体(XVII)0.32gを得た。 Rf:0.45〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/2
容量)〕 元素分析:C4349ClNO 理論値(%) C:64.99,H:8.94, Cl:8.94,N:1.76 実測値(%) C:65.1,H:9.1, Cl:8.8,N:1.8 EI−MS:m/z 793(親ピーク) H−NMR(CDCl):δ 4.60ppm(S,CH,COCHO),3.7
1〜3.60ppm(m,CH,N(CHCH
l)),2.0ppm(S,CH,COCH),
0.83ppm(S,CH,18−CH) 炎色反応:ハロゲン呈色
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】〔5〕エストラ−1,3,5(10)−ト
リエン−3,17β−ジオール−6−オン,3−ベンゾ
エート,17−〔〔4−〔4−〔ビス(2−クロロエチ
ル)アミノ〕フェニル〕−1−オキソブトキシ〕アセテ
ート〔=本結合体(XVIII)〕の合成 前記実施例1〔4〕で得たエストラ−1,3,5(1
0)−トリエン−3,17β−ジオール−6−オン,3
−ベンゾエート,17−モノブロモアセテート(500
mg)と、クロラムブチルのカリウム塩(340mg)
に乾燥テトラヒドロフラン(20ml)を加え、40℃
で2時間攪拌した。1晩室温で反応させ、生成されたカ
リウム塩をG−4フィルターで濾別した後、濾液を減圧
乾固した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー〔展開
溶媒=シクロヘキサン/酢酸エチル(50/15容
量)〕で精製し、同じ溶媒の薄層クロマトグラフィーで
Rf=0.24の単一スポットを示す画分を集め、減圧
濃縮し、n−ヘキサンにより晶析し、白色結晶の標記本
結合体(XVIII)370mgを得た。 Rf:0.24〔シクロヘキサン/酢酸エチル(50/
15容量)〕 元素分析:C4145ClNO 理論値(%) C:67.03,H:6.13; Cl:9.67,N:1.91 実測値(%) C:66.9,H:6.4; Cl:10.0,N:1.9 EI−MS:m/z 733(親ピーク) H−NMR(CDCl):δ 4.57ppm(S,CH,COCHO),3.7
0〜3.59ppm(m,CH,N(CHCH
l)),0.80ppm(S,CH,18−C
) 炎色反応:ハロゲン呈色
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】実施例3:毒性 生後5週齢のWistar系雄ラット(平均体重130
g)の各群(10匹)に、0.5%メチルセルロース水
溶液中の本結合体(I)の懸濁液を5000mg/kg
の割合で、金属製胃ゾンデを用いて一回強制経口投与
し、投与してから7日後まで観察したが、死亡例は認め
られなかった。本結合体(II)〜(XVIII)につ
いても同様の結果を得た。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】TGF−αの測定は稲垣らの報告と同様
に、ウサギ抗体とマウスモノクローナル抗体(ATG−
2S)を用い、サンドイッチEIA法により行った(I
nagaki,H.,et al.,J.Immuno
l,Method.128:27−37;1990)。
結果を表10に示す。
【表10】 n=3の平均±SD 本結合体(I)は比較物質Iと同様に、10−8Mのエ
ストラジオール(表中では「E」で示す)によって誘
導されるTGF−α産生分泌を10−6Mで完全に抑制
することが観察されたが、等モルのクロラムブチルで
は、TGF−α産生分泌への影響は認められなかった。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】実施例10:免疫抑制作用 (1)異種抗原刺激反応〔本結合体(I)のマイトジェ
ン反応に対する作用〕 異種抗原刺激に対するリンパ球の幼若化反応(H−t
hymidineの細胞内への取り込みを指標として測
定)、即ち、細菌等に対する免疫反応に及ぼす本結合体
(I)の影響について調べた。なお、マイトジェンとし
てはヒトリンパ球(特にT細胞)に最も強い反応を示す
フィトヘマグルチニン(PHA)を用いた。男性健常人
より末梢静脈血を真空採血管に採取し、遠心(2000
rpm;常温;20分間)した。血漿を更に遠心(35
00rpm;4℃;20分間)して、培養液(RPMI
1640)に20%となるように添加した。血清を取り
去った残留物に前記と同じ培養液を同量加えて希釈した
後、リンホプレップに静かに重層した。これを遠心処理
(1500rpm;20℃;30分間)した後、単核細
胞層を取り出し、培養液で2〜3回洗浄し、細胞数を5
×10cell/mlに調整した。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】
【表17】 コントロールでは、生存日数中間値が8日と少なく、G
VHD(graftversus host dise
ase)発症と考えられる早期死亡が認められた。一
方、本結合体(I)では、マウス骨髄移植モデル系にお
いて、比較物質Iと同様に明らかな生存率の延長がみら
れた。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】
【表18】 1)リンパ球へのH−チミジンの取り込み百分率:コ
ントロールを100とした。n=3,平均±SD 2)結合体類とは本結合体又は比較物質を示す。 免疫抑制物質(TGF−β)の抑制と同程度に本結合体
のMLC反応の抑制とTGF−βとの併用効果が認めら
れた。抗TGF−β抗体はMLC反応へ影響を与えず、
本結合体との併用で、本結合体(I)の単独で認められ
たMLC反応の抑制作用をほぼ中和した。これらの傾向
は比較物質Iと同様であった。従って、本結合体(I)
のMLC反応の抑制作用は、TGF−β産生と深く関与
しているものと考えられる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】本結合体は、例えば以下の方法によって調
製することができる。本結合体を構成するエストラジオ
ール誘導体部分の骨格をなし、エストラジオールのA環
の3位及びD環の17位がそれぞれ水酸基であるエスト
ラジオール誘導体〔即ち、A環の1位、2位若しくは4
位に置換基Rが存在し、及び/又はB環、C環及び/
又はD環のいずれかの位置にそれぞれ水素原子以外の置
換基R、R及び/又はRが存在するエストラジオ
ール誘導体(以下、単に3,17−OHエストラジオー
ル誘導体と称する)〕の3位水酸基の水素原子をアシル
基又はダンシル基Rで置換してエステルとする場合
は、3,17−OHエストラジオール誘導体を有機溶媒
に溶解した後にアルカリ金属又はその水酸化物と反応さ
せて塩とし、次に、目的のアシル基又はダンシル基に対
応する酸クロライド又は酸無水物を反応させる。他の方
法として、アセトンと水の混合溶媒にアルカリ金属の水
酸化物を溶解し、3,17−OHエストラジオール誘導
体を加え、目的のアシル基又はダンシル基に対応する酸
クロライド又は酸無水物を反応させる。置換基がダンシ
ル基である場合は、酸クロライドとしてダンシルクロラ
イド〔5−(ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホ
ニルクロライド〕を用いる。3,17−OHエストラジ
オール誘導体の3位水酸基の水素原子をアルキル基R
で置換してアルキルエーテルとする場合は、通常のアル
キルエーテル化法を応用することができる。例えば、ジ
メチル硫酸等のジアルキル硫酸と稀アルカリとを、エス
トラジオール誘導体に反応させる。こうして、A環の3
位がOR基で置換された一般式(III):
【化5】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シ基であり、Rはアシル基、ダンシル基又はアルキル
基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原
子、オキソ基、水酸基又はアシルオキシ基であり、mは
1〜3の整数であり、そしてnは0〜3の整数である
が、但し、nが0の場合にはR、R及びRが同時
に水素原子になることはなく、またR、R及びR
が水素原子と水酸基だけからなることはないものとし、
そしてnが2又は3の場合にはそれらの基Rは同一又
は異なっていてもよいものとする)のエストラジオール
誘導体(以下、3−ORエストラジオール誘導体と称
する)が得られる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】(4)選択的免疫抑制作用:以下の試験
(A)〜(D)において、本結合体は、比較物質(エス
トラジオールークロラムブチル結合体)と同様の選択的
免疫抑制効果を示した。 (A)異種抗原刺激反応:本結合体は、フィトヘマグル
チニン(phytohemagglutinin;PH
A)に対するリンパ球の幼若化反応に大きな影響を与え
なかった〔後記実施例10(1)参照〕。 (B)同種抗原刺激反応:本結合体は、リンパ球混合培
養(mixed lymphocyte cultur
e;MLC)反応を抑制した〔後記実施例10(2)参
照〕。 (C)マウス骨髄移植モデルにおけるGVHR(gra
ft versus host reaction)抑
制作用:本結合体は、移植後マウスの生存日数を延長し
た(後記実施例11参照)。 (D)MLC反応抑制作用におけるTGF−β産生の関
与;本結合体と免疫抑制物質(TGF−β)とは併用効
果があり、本結合体の抑制効果は抗TGF−β抗体との
併用で中和された。従って、本結合体のMLC反応抑制
作用にはTGF−β産生の関与が考えられる(後記実施
例12参照)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】本結合体を、動脈内投与用注射剤(即ち、
動注剤)に含有させて用いる場合には、ヨード化ケシ油
脂肪酸エステルに本結合体を溶解するのが好ましい。動
注剤中の本結合体の濃度は、好ましくは0.1〜10重
量%、より好ましくは1〜5重量%である。ヨード化ケ
シ油脂肪酸エステルとしては、ヨード化30〜40重量
%の低級アルキルエステルが好ましく、リピオドール
〔リピオドールウルトラフルイド(LiPiodol
Ultra−fluide)の商品名〕(ヨード化3
8.8重量%、エチルエステル)が特に好ましい。この
動注剤の投与量は、好ましくは0.01〜20mg/k
g、より好ましくは0.1〜10mg/kgである。こ
の動注剤は、肝癌、乳癌、婦人科癌、消化器癌及び泌尿
器癌に有効である。この動注剤は、癌組織に特異的に集
まり、持続性が高い。また、ヨード化ケシ油脂肪酸エス
テルを用いると、X線、CT(コンピューター断層装
置)又は超音波等により腫瘍細胞を観察しながら診断又
は治療を行うことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】ナス型フラスコ(300ml)に、前記で
得られたエストリオールー3−ベンゾエート(5.6
g)、ピリジン(1.3g)及び乾燥テトラヒドロフラ
ン(160ml)を加え、冷却(0℃)下で攪拌した。
この系にブロモアセチルブロマイド(3.5g)の乾燥
テトラヒドロフラン溶液(35ml)を1時間かけて滴
下した。添加終了後、更に1.5時間攪拌した後、冷蔵
庫(約5℃)内で1晩放置した。析出したピリジンHB
r塩を濾別し、濾液を濃縮して油状物質(8.4g)を
得た。薄層クロマトグラフィー〔シリカゲル:シクロヘ
キサン/酢酸エチル(5/1容量)〕により、3つの成
分が確認された。シリカゲルクロマトグラフィー(展開
溶媒は前記薄層クロマトグラフィーの場合と同じ)によ
り、Rf=0.71、Rf=0.75、及びRf=0.
87を示す化合物がそれぞれ1g、2.3g、及び1g
の量で得られた。標記の化合物はRf=0.71を示す
化合物であった。 Rf:0.71〔シクロヘキサン/酢酸エチル(5/1
容量)〕 EI−MS:m/z 512(親ピーク)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】実施例5:選択的増殖抑制作用 (1)選択的増殖抑制作用(マウス正常細胞と悪性細
胞) 対数増殖期にあるマウス3T3正常細胞及び悪性細胞3
T3SV−40を0.25%トリプシンで処理し、細胞
を2×10個/mlの割合で培養液に分散させた後、
その細胞分散液を円型短試〔池本理化〕に1本あたり1
mlの量で植込み、綿栓後、水平より5°の傾斜で炭酸
ガス培養器(95%空気、5%炭酸ガス、37℃恒温、
95%湿度)で静置培養した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】細胞の植込から1日経過後に培養液を除去
し、pH7.4の新鮮な培養液を加え、更にジメチルス
ルホキシドに溶解した各被検試料10μg/ml又は5
0μg/mlを加えた(その際、ジメチルスルホキシド
の濃度は培養液に対して1%となるようにした)。コン
トロールとしてはジメチルスルホキシドのみを加えた。
被検試料を添加してから5日間培養を行い、生細胞の計
測を、トリパンブルーに不染な細胞のビュルケルチュル
ク血球計算盤により行った。1被検試料の濃度につき3
検体の平均値を求めた。コントロールとの比較より生存
率(%)を求めた。結果を表6及び表7に示す。本結合
体は比較物質1と同様な悪性細胞への選択的な増殖抑制
作用を維持していることが認められた。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】実施例10:免疫抑制作用 (1)異種抗原刺激反応〔本結合体(I)のマイトジェ
ン反応に対する作用〕 異種抗原刺激に対するリンパ球の幼若化反応(H=t
hymidineの細胞内への取り込みを指標として測
定)、即ち、細菌等に対する免疫反応に及ぼす本結合体
(I)の影響について調べた。なお、マイトジェンとし
てはヒトリンパ球(特にT細胞)に最も強い反応を示す
フィトヘマグルチニン(PHA)を用いた。男性健常人
より末梢静脈血を真空採血管に採取し、遠心(2000
rpm;常温;20分間)した。血清を更に遠心(35
00rpm;4℃;20分間)して、上清を培養液(R
PM11640)に20%となるように添加した。血清
を取り去った残留物に前記と同じ培養液を同量加えて希
釈した後、リンホプレップに静かに重層した。これを遠
心処理(1500rpm;20℃;30分間)した後、
単核細胞層を取り出し、培養液で2〜3回洗浄し、細胞
数を5×10cell/mlに調整した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】(2)同種抗原刺激反応〔本結合体(I)
のリンパ球混合培養(MLC)に対する作用) 臓器移植の際の免疫反応のモデルで、いわゆる同種抗原
刺激反応であるリンパ球混合培養における本結合体
(I)の作用について検討した。男性健常人(2名)よ
りそれぞれPHA反応の場合と同様にして単核細胞を
得、一方のヒトより得られた細胞に15Gyの放射線処
理を行った。培養液にて洗浄した後、細胞数を5×10
cell/mlに調整し、両細胞をそれぞれ100μ
lずつ合計200μlとなるようにマイクロプレートの
各ウエルに分注した。本結合体(I)及び比較物質I
を、PHA反応の場合と同様にジメチルスルホキシドに
溶解して培養系に加えた。6日間培養した後、H−チ
ミジン(1μCi/ml)を添加し、更に18時間培養
し、セルハーベスターにてガラスフィルター上に細胞を
集め、その放射能活性を液体シンチレーションカウンタ
ーにて測定した。結果を表16に示す。本結合体(I)
は、比較物質Iと同様にMLC反応を抑制することが認
められた。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】実施例11:マウス骨髄移植モデルにおけ
るGVHR抑制作用 8週令の雄性C3H/Heマウス及び雄性B6C3F
マウスを用いて、骨髄移植モデルにおける本結合体のG
VHR(graft versus hostreac
tion)抑制作用について検討した。C3H/Heマ
ウスの脾臓から、金属メッシュを用いて脾細胞を、10
%FBSを含むRPMI1640中に集めた。また同じ
マウスの大腿骨よりシリンジを用いて骨髄細胞を洗い出
し、RPMI1640培養液に集めた。浮遊している両
細胞を2〜3回洗浄した後、それぞれを8×10ce
ll/mlに調整し、これらを1:1の割合で混合し、
予め9Gyの放射線処理を行ったB6C3Fマウスの
尾静脈より、前記混合液0.5mlを注入した。移植前
日より、当日を除き、移植後30日まで、本結合体
(I)又は比較物質Iを2mg/kg(0.5%メチル
セルロース生理食塩水分散剤)の量で連日経口的に投与
した。コントロール群には0.5%メチルセルロース生
理食塩水のみを投与した。マウスの生存について観察し
た。結果を表17に示す。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】
【表18】 1)リンパ球へのH−チミジンの取り込み百分率:コ
ントロールを100とした。n=3,平均±SD 2)結合体類とは本結合体又は比較物質を示す。 免疫抑制物質(TGF−β)の抑制と同程度に本結合体
のMLC反応の抑制がみられ、更にTGF−βとの併用
効果が認められた。抗TGF−β抗体はMLC反応へ影
響を与えず、本結合体との併用で、本結合体(I)の単
独で認められたMLC反応の抑制作用をほぼ中和した。
これらの傾向は比較物質Iと同様であった。従って、本
結合体(I)のMLC反応の抑制作用は、TGF−β産
生と深く関与しているものと考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松平 忠弘 埼玉県浦和市鹿手袋4−30−10 リュミエ ール武蔵浦和301 (72)発明者 浅野 喜朗 茨城県稲敷郡茎崎町高崎1820−6

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 のエストラジオール誘導体−クロラムブチル結合体。
  2. 【請求項2】 エストラジオール誘導体の17位が17
    βである請求項1に記載の結合体。
  3. 【請求項3】 R2 のアシル基がベンゾイル基、ダンシ
    ル基、アセチル基、パルミトイル基、ステアリル基及び
    リノレイル基からなる群から選ばれた基である請求項1
    に記載の結合体。
  4. 【請求項4】 R2 のアルキル基が炭素数1〜4のアル
    キル基である請求項1に記載の結合体。
  5. 【請求項5】 R3 、R4 又はR5 のアシルオキシ基が
    ベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、プロパノイルオキ
    シ基、ブタノイルオキシ基及びペンタノイルオキシ基か
    らなる群から選ばれた基である請求項1に記載の結合
    体。
  6. 【請求項6】 一般式(II): 【化2】 の化合物。
  7. 【請求項7】 17位が17βである請求項6に記載の
    化合物。
  8. 【請求項8】 一般式(III): 【化3】 の化合物。
  9. 【請求項9】 17位が17βである請求項8に記載の
    化合物。
  10. 【請求項10】 請求項6に記載の一般式(II)の化合
    物とクロラムブチルの塩、酸ハライド又は酸無水物とを
    反応させることを特徴とする、請求項1に記載の一般式
    (I)のエストラジオール誘導体−クロラムブチル結合
    体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載のエストラジオール誘
    導体−クロラムブチル結合体を含有することを特徴とす
    る、抗腫瘍剤。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載のエストラジオール誘
    導体−クロラムブチル結合体を含有することを特徴とす
    る免疫抑制剤。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載のエストラジオール誘
    導体−クロラムブチル結合体を含有することを特徴とす
    る注射剤。
  14. 【請求項14】 ヨード化ケシ油脂肪酸エステルに溶解
    した、請求項1に記載のエストラジオール誘導体−クロ
    ラムブチル結合体を含有することを特徴とする注射剤。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載のエストラジオール誘
    導体−クロラムブチル結合体を含有することを特徴とす
    るカプセル剤。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載のエストラジオール誘
    導体−クロラムブチル結合体を含有することを特徴とす
    る錠剤。
  17. 【請求項17】 請求項1に記載のエストラジオール誘
    導体−クロラムブチル結合体を含有することを特徴とす
    る座剤。
  18. 【請求項18】 請求項1に記載のエストラジオール誘
    導体−クロラムブチル結合体を含有することを特徴とす
    る外用剤。
JP4177363A 1992-06-11 1992-06-11 新規なエストラジオ―ル誘導体−クロラムブチル結合体、その製造方法、及び医薬製剤 Expired - Fee Related JP2520074B2 (ja)

Priority Applications (14)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4177363A JP2520074B2 (ja) 1992-06-11 1992-06-11 新規なエストラジオ―ル誘導体−クロラムブチル結合体、その製造方法、及び医薬製剤
CA002183005A CA2183005A1 (en) 1992-06-11 1993-05-27 Novel estradiol derivative-chlorambucil conjugate, process for preparing the same, and pharmaceutical composition
CA002097137A CA2097137A1 (en) 1992-06-11 1993-05-27 Novel estradiol derivative-chlorabucil conjugate, process for preparing the same, and pharmaceutical compositions
IL105901A IL105901A0 (en) 1992-06-11 1993-06-03 Novel estradiol derivative-chlorambucil conjugate,process for preparing the same,and pharmaceutical compositions
US08/070,797 US5354745A (en) 1992-06-11 1993-06-03 Estradiol derivative-chlorambucil conjugate process for preparing the same, and pharmaceutical composition
ZA933993A ZA933993B (en) 1992-06-11 1993-06-07 Novel estradiol derivative-chlorambucil conjugate, process for preparing the same, and pharmaceutical composition.
FI932641A FI932641A (fi) 1992-06-11 1993-06-09 Nytt estradiolderivat-klorambucil-konjugat, foerfarande foer dess framstaellning och farmaceutiska kompositioner
EP93109281A EP0573977B1 (en) 1992-06-11 1993-06-09 Novel estradiol derivative-chlorambucil conjugate, process for preparing the same, and pharmaceutical composition
AU40116/93A AU649180B2 (en) 1992-06-11 1993-06-09 Novel estradiol derivative-chlorambucil conjugate, process for preparing the same, and pharmaceutical composition
DE69318474T DE69318474T2 (de) 1992-06-11 1993-06-09 Neue (Estradiol-Derivat)-Chlorambucil-Konjugate, Verfahren zu ihrer Herstellung und pharmazeutische Präparate
AT93109281T ATE166060T1 (de) 1992-06-11 1993-06-09 Neue (estradiol-derivat)-chlorambucil-konjugate, verfahren zu ihrer herstellung und pharmazeutische präparate
KR1019930010560A KR970001532B1 (ko) 1992-06-11 1993-06-10 신규한 에스트라디올 유도체-클로람부실 결합체, 그의 제조방법 및 그를 포함하는 약학 조성물
US08/440,839 US5576309A (en) 1992-06-11 1995-05-15 Estradiol derivative-chlorambucil conjugate, process for preparing the same, and pharmaceutical composition
US08/440,838 US5578589A (en) 1992-06-11 1995-05-15 Method for suppressing an immunoresponse with an estradiol derivative-chlorambucil conjugate

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4177363A JP2520074B2 (ja) 1992-06-11 1992-06-11 新規なエストラジオ―ル誘導体−クロラムブチル結合体、その製造方法、及び医薬製剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05339285A true JPH05339285A (ja) 1993-12-21
JP2520074B2 JP2520074B2 (ja) 1996-07-31

Family

ID=16029655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4177363A Expired - Fee Related JP2520074B2 (ja) 1992-06-11 1992-06-11 新規なエストラジオ―ル誘導体−クロラムブチル結合体、その製造方法、及び医薬製剤

Country Status (11)

Country Link
US (3) US5354745A (ja)
EP (1) EP0573977B1 (ja)
JP (1) JP2520074B2 (ja)
KR (1) KR970001532B1 (ja)
AT (1) ATE166060T1 (ja)
AU (1) AU649180B2 (ja)
CA (1) CA2097137A1 (ja)
DE (1) DE69318474T2 (ja)
FI (1) FI932641A (ja)
IL (1) IL105901A0 (ja)
ZA (1) ZA933993B (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07101977A (ja) * 1993-10-05 1995-04-18 Kureha Chem Ind Co Ltd ホルモン作用を軽減した新規なエストラジオール誘導体及びその増殖因子阻害剤
US6500669B1 (en) * 1994-05-04 2002-12-31 Massachusetts Institute Of Technology Programmable genotoxic agents and uses therefor
US5882941A (en) * 1994-05-04 1999-03-16 Massachusette Institute Of Technology Programmable genotoxic agents and uses therefor
US20030129194A1 (en) * 1997-02-13 2003-07-10 Bone Care International, Inc. Targeted therapeutic delivery of vitamin D compounds
EP0981376A1 (en) * 1997-02-13 2000-03-01 Bone Care International, Inc. Targeted therapeutic delivery of vitamin d compounds
US6534037B1 (en) 1998-01-21 2003-03-18 Neorx Corporation Non-steroidal compounds for steroid receptors and uses relating thereto
US7138502B2 (en) * 2000-09-28 2006-11-21 Yale University Antibodies to the propeptide of Candida albicans and methods of use
US20120225849A1 (en) * 2011-03-01 2012-09-06 The University Of Kansas 2-Methoxyestradiol (2-ME2) Prodrug with Enhanced Bioavailability for Prophylaxis or Treatment of Cancerous or Non-Cancerous Condition
CN103772463B (zh) * 2013-12-30 2016-06-22 郑州大学 2-甲氧基雌二醇类似物及其制备方法与用途

Family Cites Families (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2950292A (en) * 1959-06-29 1960-08-23 Searle & Co 3-alkoxy-16-alkyl-16-hydroxy-1, 3, 5(10)-estratrien-17-ones, their ethers and esters
US3086033A (en) * 1960-03-11 1963-04-16 Merck Ag E 1-methyl-17-alkyl-11-oxygenated delta1, 3, 5 (10)-estrogenic compounds
US3031469A (en) * 1961-10-24 1962-04-24 American Cyanamid Co New 15, 17-disubstituted-1, 3, 5(10)-estratriens and method of preparing the same
NL6405462A (ja) * 1963-05-17 1964-11-18
FR4339M (ja) * 1965-03-29 1966-08-08
US3449383A (en) * 1967-02-16 1969-06-10 Searle & Co 17-oxygenated estra-1,3,5(10)-triene-3,11beta,16-triols,ethers and esters thereof
US3496168A (en) * 1967-09-12 1970-02-17 Smithkline Corp 4-alkoxyestradiols
DE2402482C2 (de) * 1974-01-16 1982-07-15 Schering Ag, 1000 Berlin Und 4619 Bergkamen Verfahren zur Herstellung von 3-Ketosteroiden durch elektrochemische Reduktion von α,β -ungesättigten 3-Ketosteroiden
US4096253A (en) * 1976-07-06 1978-06-20 Ortho Pharmaceutical Corporation 1-Oxygenated steroids
US4261910A (en) * 1978-08-14 1981-04-14 Kureha Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Process for the preparation of Chlorambucil derivatives
US4260736A (en) * 1978-08-14 1981-04-07 Kureha Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Steroid hormone-antitumor derivatives
JPS56110700A (en) * 1980-02-08 1981-09-01 Kureha Chem Ind Co Ltd Estradiol-17alphaderivative and ist antitumor agent
SE8305596D0 (sv) * 1983-10-12 1983-10-12 Leo Ab A selective acylation method
DE3510555A1 (de) * 1985-03-21 1986-09-25 Schering AG, 1000 Berlin und 4709 Bergkamen Estriolester
JPS61293993A (ja) * 1985-06-21 1986-12-24 Kureha Chem Ind Co Ltd 新規な螢光物質,その製造方法及び薬剤
US4882439A (en) * 1985-09-19 1989-11-21 The University Of Sheffield Steroid intermediates
EP0240717A3 (en) * 1986-03-04 1990-05-16 Board of Regents of the University of Nebraska Prevention of mammary carcinoma
JPH0621072B2 (ja) * 1986-11-12 1994-03-23 呉羽化学工業株式会社 エストラジオ−ル誘導体よりなる免疫調節剤
JPH0794377B2 (ja) * 1987-07-22 1995-10-11 呉羽化学工業株式会社 エストラジオール誘導体を含有する注射剤
JPS6445393A (en) * 1987-08-13 1989-02-17 Toa Nenryo Kogyo Kk Estradiol derivative
JPS6445392A (en) * 1987-08-13 1989-02-17 Toa Nenryo Kogyo Kk Production of estradiol derivative
SE8802402D0 (sv) * 1988-06-28 1988-06-28 Pharmacia Ab Novel esters
US5031469A (en) * 1988-11-30 1991-07-16 Blackburn Robert E Fluid sampler
CA2123472C (en) * 1994-05-12 2005-07-05 Craig W. Renwick Injection molding manifold and method with the heating element extending between the plates

Also Published As

Publication number Publication date
AU649180B2 (en) 1994-05-12
US5354745A (en) 1994-10-11
CA2097137A1 (en) 1993-12-12
JP2520074B2 (ja) 1996-07-31
FI932641A0 (fi) 1993-06-09
EP0573977A3 (en) 1996-01-31
IL105901A0 (en) 1993-10-20
FI932641A (fi) 1993-12-12
ZA933993B (en) 1994-01-05
DE69318474D1 (de) 1998-06-18
EP0573977A2 (en) 1993-12-15
US5578589A (en) 1996-11-26
DE69318474T2 (de) 1998-10-15
US5576309A (en) 1996-11-19
KR970001532B1 (ko) 1997-02-11
ATE166060T1 (de) 1998-05-15
EP0573977B1 (en) 1998-05-13
AU4011693A (en) 1993-12-16
KR940005662A (ko) 1994-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4360663A (en) Steroid hormone-antitumor derivatives
US4055641A (en) Method of treating benign prostatic hypertrophy
CZ113594A3 (en) Tetrazole derivatives of bile acids, process of their preparation and use of said compounds as medicaments
PT87603B (pt) Processo para a preparacao de derivados di-hidrobenzopirano-2-carboxilato substituidos com alcoxi
WO1990015816A1 (en) Suramin type compounds and angiostatic steroids to inhibit angiogenesis
JP5898625B2 (ja) 6−置換エストラジオール誘導体およびその使用方法
JP2520074B2 (ja) 新規なエストラジオ―ル誘導体−クロラムブチル結合体、その製造方法、及び医薬製剤
US4332797A (en) Chlorambucil derivatives
FI68811C (fi) Foerfarande foer framstaellning av ett nytt terapeutiskt anvaendbart prostaglandin-steroidhormon-konjugat
JP3377856B2 (ja) 骨吸収抑制・骨形成促進化合物
US3190880A (en) 17-tetrahydropyranyl ethers of androstanes
US4938897A (en) Chlorambucil derivatives and cell-discriminating agent containing the same
JP2566574B2 (ja) 抗癌および抗肥満剤として有用なステロイド
CA2183005A1 (en) Novel estradiol derivative-chlorambucil conjugate, process for preparing the same, and pharmaceutical composition
CA1175421A (en) TREATMENT OF MALIGNANT TUMORS WITH 2-.beta.-D- RIBOFURANOSYLTHIAZOLE-4-CARBOXAMIDE AND RELATED COMPOUNDS
KR860001862B1 (ko) 디알카노일옥시벤질리덴 디알카노에이트의 제조방법
RU2255090C2 (ru) Стероидные соединения, способ селективной модификации, фармацевтическая композиция
KR830002081B1 (ko) 클로람 부실 유도체의 제조방법
JPS6363698A (ja) 胆汁酸誘導体およびその塩ならびにその製造法
JPS5810393B2 (ja) 新規なエストラジオ−ル結合体とその製造方法及び抗腫瘍剤
JPS5842880B2 (ja) 新規なエストラジオ−ル誘導体とその抗腫瘍剤
JPS5810397B2 (ja) 新規なエストラジオ−ル誘導体とその製造方法及び抗腫瘍剤
EP0357092A1 (en) Preparation of diacetoxybenzylidene diacetates
JPH05310576A (ja) 抗腫瘍剤
JPH03148238A (ja) ベンジリデン誘導体

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees