JPH05335104A - 角形チップ抵抗器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 円筒チップ抵抗器の代替として用いるための
角形チップ抵抗器において、一括自動実装機で実装され
ても方向性に関係なく、十分なはんだ付け固着強度を得
ることを目的とする。 【構成】 角柱形の絶縁基板１１の両主面上にそれぞれ
形成された上面電極層１２および裏面電極層１３と、こ
の上面電極層１２の一部に重なる抵抗層１４と、この抵
抗層１４を完全に覆う保護ガラス層１５と、前記上面電
極層１２と裏面電極層１３とを電気的に接続する側面電
極層１６とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高密度配線回路に用いら
れる、円筒チップ抵抗器の一括実装機により実装される
円筒チップ抵抗器代替の角形チップ抵抗器に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】近年、電子機器の軽薄短小化に対する要
求がますます増大していく中、回路基板の配線密度を高
めるため、抵抗素子には非常に小型な角形チップ抵抗器
が多く用いられるようになってきた。また、更に近年で
は実装速度を速めるため、多数のチップ部品を同時に実
装する一括マウントが行われるようになってきている。

【０００３】従来の厚膜タイプの角形チップ抵抗器の構
造の一例を、図１２（ａ），（ｂ）に示す。従来の角形
チップ抵抗器は、厚み方向と幅方向がほぼ等しい長さの
角柱形の絶縁性のアルミナ純度９６％のアルミナ基板１
と、このアルミナ基板１上に形成された一対の厚膜電極
による上面電極層２と裏面電極層８と、この上面電極層
２と接続するように形成されたルテニウム系厚膜抵抗に
よる抵抗層３と、抵抗層を覆うガラス層５と、上面電極
層２と裏面電極層８の一部と重なる端面電極層４とから
なっており、露出電極面にははんだ付け性を確保するた
めにＮｉめっき層６とはんだめっき層７を電解めっきに
より形成している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の角形
チップ抵抗器を円筒チップ抵抗器の代替として、円筒チ
ップ抵抗器用の一括実装機により実装した場合、角形チ
ップ抵抗器自身に方向性があり、基板の主面ではなく側
面側で実装されると、側面側には電極が形成されていな
いため、はんだ付けされるはんだ量（はんだ付け部の投
射面積）が減り十分な固着強度が得られないという課題
があった。

【０００５】また、円筒チップ抵抗器は実装時の位置ず
れをリフロー時に補正する（セルフアライメント）効果
を得るために、端面電極にはんだがほとんど付かないよ
うな実装ランドパターンとしている。したがって、ここ
に従来の角形チップ抵抗器を一括実装し、側面側で実装
されると、セルフアライメント効果が得られないばかり
でなく、形成された端面電極にはんだが吸い上がらず、
側面部のみで固定されるために固着強度が弱くなるとい
う課題があった。

【０００６】本発明は上記課題を解決するために、一括
実装機で実装されても、方向性に関係なく、はんだ付け
部での十分な固着強度の得られる円筒チップ抵抗器代替
の角形チップ抵抗器を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による角形チップ抵抗器は、角柱形状の絶縁
基板と、この絶縁基板の一方の主面上に形成された一対
の上面電極層と、この一対の上面電極層の一部の重なる
抵抗層と、この抵抗層を完全に覆う保護ガラス層と、前
記絶縁基板の他方の主面上に形成された一対の裏面電極
層と、前記一対の上面電極層と一対の裏面電極層とを電
気的に接続する二対の側面電極層とから構成される。

【０００８】

【作用】本発明によれば、一括実装機で実装されても、
方向性に関係なく、はんだ付け部での十分な固着強度の
得られる、円筒チップ抵抗器に代替できる角形チップ抵
抗器を実現できる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例の角形チップ抵抗器
及びその製造方法について、図面を用いて説明する。

【００１０】図１は本発明の一実施例の角形チップ抵抗
器を示す斜視図である。図１において本実施例の角形チ
ップ抵抗器は、絶縁性の角柱形の９６アルミナ基板１１
の一方の主面上に銀系厚膜の一対の上面電極層１２を設
け、また前記９６アルミナ基板１１の他方の主面上に裏
面電極層１３を設けている。そして、前記上面電極層１
２の一部に重なるようにルテニウム系厚膜の抵抗層１４
を９６アルミナ基板１１の一方の主面上に形成してい
る。更に、この抵抗層１４上には、抵抗層１４を完全に
覆うために、軟化点が５６０±５℃の保護ガラス層１５
が形成されている。そして、前記９６アルミナ基板１１
の側面には前記上面電極層１２及び裏面電極層１３とを
電気的に接続する二対の銀系厚膜の側面電極層１６を設
け、更に露出電極面にははんだ付け性を向上させるため
に、Ｎｉめっき層１７とＳｎ−Ｐｂめっき層１８を電解
めっきにより施している。

【００１１】次に、図１に示した本実施例の角形チップ
抵抗器の製造方法について図２を用いて説明する。ま
ず、図３に示すような耐熱性及び絶縁性に優れた９６ア
ルミナ基板１１を受け入れる。この９６アルミナ基板１
１には短冊状、及び個片状に分割するために、分割のた
めの溝１１ａ，１１ｂ（グリーンシート時に金型成形）
が形成されている（基板の厚みは０．７２mmで、分割の
ための溝１１ａ，１１ｂは１．６mm及び０．８mmピッチ
で形成されている）。

【００１２】次に、図４に示すように前記９６アルミナ
基板１１の表面に厚膜銀ペーストをスクリーン印刷・乾
燥し、更に、図５に示すように前記９６アルミナ基板１
１の裏面に厚膜銀ペーストをスクリーン印刷・乾燥し、
ベルト式連続焼成炉によって８５０℃の温度で、ピーク
時間６分、ＩＮ−ＯＵＴ時間４５分のプロファイルによ
って焼成し、上面電極層１２及び裏面電極層１３を同時
に形成する。

【００１３】次に、図６に示すように上面電極層１２の
一部に重なるように、ＲｕＯ²を主成分とする厚膜抵抗
ペーストをスクリーン印刷・乾燥し、ベルト式連続焼成
炉（搬送ベルトから浮かせるようにする）により８５０
℃の温度でピーク時間６分、ＩＮ−ＯＵＴ時間４５分の
プロファイルによって焼成し、抵抗層１４を形成する。

【００１４】次に、図７に示すように前記上面電極層１
２間の前記抵抗層１４の抵抗値を揃えるために、レーザ
ー光によって、前記抵抗層１４の一部を破壊し抵抗値修
正を行う。

【００１５】続いて、図８に示すように前記抵抗層１４
を完全に覆うように、ホウケイ酸鉛系ガラスペーストを
スクリーン印刷・乾燥し、ベルト式連続焼成炉によって
５９０℃の温度で、ピーク時間６分、ＩＮ−ＯＵＴ５０
分の焼成プロファイルによって焼成し、保護ガラス層１
５を形成する。

【００１６】次に、側面電極を形成するための準備工程
として、側面部を露出させるために、図９に示すように
アルミナ基板１１を短冊状に分割（０．８mmピッチ側を
分割）し、短冊状アルミナ基板を得る。

【００１７】そして、図１０に示すように前記短冊状ア
ルミナ基板の側面に、前記上面電極層１２及び前記裏面
電極層１３を電気的に接続し、かつ電極として機能させ
る部分にのみ厚膜銀ペーストが塗布されるようにマスク
し、ローラーによってペーストを塗布し、ベルト式連続
焼成炉によって６００℃の温度で、ピーク時間６分、Ｉ
Ｎ−ＯＵＴ４５分の焼成プロファイルによって焼成し側
面電極層１６を形成する。

【００１８】次に、図１１に示すように電極めっきの準
備工程として、前記側面電極層１６を形成済みの短冊状
アルミナ基板を個片に分割（１．６mmピッチ側を分割）
し、個片状アルミナ基板を得た。

【００１９】そして最後に、露出している上面電極層１
２と裏面電極層１３と側面電極層１６のはんだ付け時の
電極喰われの防止及びはんだ付けの信頼性の確保のた
め、電解めっきによってＮｉめっき層１７とＳｎ−Ｐｂ
のめっき層１８を形成する。

【００２０】以上の工程により、本実施例による角形チ
ップ抵抗器を試作した（完成品の寸法は、長さが１．６
mm、幅が０．８mm、厚さが０．８mmとなり、厚み方向の
寸法は幅方向の寸法と等しくなった。）。

【００２１】本実施例によれば、角形チップ抵抗器の上
面電極と裏面電極のほかに側面側にも電極が形成されて
いる。したがって、円筒チップ抵抗器の代替として一括
実装機で実装された場合でも、４面すべてに電極が形成
されているために、方向性に関係なく、どの面が下にな
っても、セルファラインメント効果が得られ、またはん
だ付け部での十分な固着強度も得られる。

【００２２】また、円筒チップ抵抗器に用いていた実装
ランドパターンにそのまま実装できることから、従来の
端面電極を形成していた角形チップ抵抗器の実装ランド
パターンより実装面積を小さくすることができ、高密度
実装対応が可能となる。

【００２３】なお本実施例では、図１０に示すように側
面電極層１６をローラーにより形成したが、スクリーン
印刷により厚膜銀ペーストを印刷して側面電極層を形成
しても同様の効果が得られることは言うまでもない。

【００２４】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、一括実
装機で実装されても、方向性に関係なく、はんだ付け部
での十分な固着強度の得られる、円筒チップ抵抗器に代
替できるような角形チップ抵抗器が実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ），（ｂ）はそれぞれ本発明の一実施例に
よる角形チップ抵抗器の構造を示す斜視図及び断面図

【図２】同抵抗器の製造工程図

【図３】同抵抗器の製造方法を順を追って示した平面図

【図４】同じく平面図

【図５】同じく平面図

【図６】同じく平面図

【図７】同じく平面図

【図８】同じく平面図

【図９】同じく斜視図

【図１０】同じく斜視図

【図１１】同じく斜視図

【図１２】（ａ），（ｂ）はそれぞれ従来の角形チップ
抵抗器の構造を示す断面図及び斜視図

【符号の説明】

１１ ９６アルミナ基板 １２ 上面電極層 １３ 裏面電極層 １４ 抵抗層 １５ 保護ガラス層 １６ 側面電極層 １７ Ｎｉめっき層 １８ Ｓｎ−Ｐｂめっき層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 富夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】角柱形状の絶縁基板と、この絶縁基板の一
   方の主面上に形成された一対の上面電極層と、この一対
   の上面電極層の一部に重なる抵抗層と、この抵抗層を完
   全に覆う保護ガラス層と、前記絶縁基板の他方の主面上
   に形成された一対の裏面電極層と、前記一対の上面電極
   層と一対の裏面電極層とを電気的に接続する二対の側面
   電極層とを有する角形チップ抵抗器。