JPH05323626A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH05323626A
JPH05323626A JP15016592A JP15016592A JPH05323626A JP H05323626 A JPH05323626 A JP H05323626A JP 15016592 A JP15016592 A JP 15016592A JP 15016592 A JP15016592 A JP 15016592A JP H05323626 A JPH05323626 A JP H05323626A
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JP
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group
resin
block
polymer
formula
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Application number
JP15016592A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Kazuo Ishii
一夫 石井
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静電特性及び撮像性の改良された、特に液体
現像剤を用いての高精細な画像の再現性、低出力のレー
ザー光を用いたスキャニング露光方式による撮像性の優
れた、電子写真感光体を提供する。 【構成】 結着樹脂として、極性基含有の重合体成分を
含有するAブロック及び式(I)の重合体成分を含有す
るBブロックから成るAB型ブロック共重合体である樹
脂〔A〕と、極性基含有の重合体成分を含有するAブロ
ック及び式(II)の繰り返し単位の重合体成分を含有す
るBブロックからなる高分子量のABブロック共重合体
であり、且つAブロックのBブロックの反対側の末端に
極性基が結合してなる樹脂〔B〕とをそれぞれ少なくと
も1種含有する電子写真感光体。〔式(I)中、R11
炭化水素基を表わす。〕〔式(II)中、a1 、a2 は水
素、ハロゲン、シアノ基又は炭化水素基、R12は炭化水
素基を表わす。〕 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは静電特性及び耐湿性に優れた電子写真感光体に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、所定の特性を得るた
め、あるいは適用される電子写真プロセスの種類に応じ
て、種々の構成をとる。電子写真感光体の代表的なもの
として、支持体上に光導電層が形成されている感光体及
び表面に絶縁層を備えた感光体があり、広く用いられて
いる。
【0003】支持体と少なくとも1つの光導電層から構
成される感光体は、最も一般的な電子写真プロセスによ
る、即ち帯電、画像露光及び現像、更に必要に応じて転
写による画像形成に用いられる。更には、ダイレクト製
版用のオフセット原版として電子写真感光体を用いる方
法が広く実用されている。特に近年、ダイレクト電子写
真平版は数百枚から数千枚程度の印刷枚数で高画質の印
刷物を印刷する方式として重要となってきている。こう
した状況の中で、電子写真感光体の光導電層を形成する
ために使用する結着樹脂は、それ自体の成膜性および光
導電性粉体の結着樹脂への分散能力が優れるとともに、
形成された記録体層の基材に対する接着性が良好であ
り、しかも記録体層の光導電層は帯電能力に優れ、暗減
衰が小さく、光減衰が大きく、前露光疲労が少なく、且
つ、撮影時の湿度の変化によってこれら特性を安定に保
持していることが必要である等の各種の静電特性および
優れた撮像性を具備する必要がある。
【0004】更に、電子写真感光体を用いた平版印刷用
原版の研究が鋭意行なわれており、電子写真感光体とし
ての静電特性と印刷原版としての印刷特性を両立させた
光導電層用の結着樹脂が必要である。無機光導電材料、
分光増感色素及び結着樹脂を少なくとも含有する光導電
層において、結着樹脂の化学構造によって、平滑性のみ
ならず静電特性が大きく影響を受けることが判ってき
た。特に静電特性において、暗中電荷保持率(D.R.
R.)や光感度が大きく左右される。
【0005】これに対し、酸性基を含有する比較的低分
子量(103 〜104 程度)の樹脂を結着樹脂として用
いる事で、平滑性及び静電特性を良化する技術が種々検
討されている。例えば、特開昭63−217354号に
は酸性基含有重合成分が重合体主鎖にランダムに存在す
る樹脂、同64−70761号には重合体主鎖の片末端
に酸性基を結合して成る樹脂、特開平2−67563
号、同2−236561号、同2−238458号、同
2−236562号及び同2−247656号等には酸
性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合して成る樹
脂又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有
する樹脂、同3−181948号には酸性基をブロック
で含有するAB型ブロック共重合体等がそれぞれ記載さ
れている。これらは、該低分子量の樹脂が、光導電体の
分散を充分に行ない光導電体同志の凝集を抑制する効果
を有すること及び光導電体と分光増感色素との吸着を疎
外しないで該無機光導電体の化学量論的な欠陥に充分に
吸着するとともに光導電体の表面をゆるやかに且つ充分
に被覆していることによると推定される。
【0006】更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不
充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめるために、
中〜高分子量の他の樹脂を併用する技術が種々検討され
ている。例えば、特開平2−68561号にはポリマー
間に架橋構造を形成する熱硬化性樹脂、特開平2−68
562号には一部が架橋構造を有する樹脂、特開平2−
69759号には酸性基をグラフト型共重合体の主鎖末
端に結合して成る樹脂が記載されている。また、特定の
中〜高分子量の樹脂を用いることで、環境が著しく変動
した場合においても比較的安定した性能を維持する技術
が検討され、例えば同3−29954号、同3−779
54号、同3−92861号及び同3−53257号に
は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部の末端に結
合する樹脂又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト
部に含有する樹脂が記載されている。更に、同3−20
6464号及び同4−25849号によれば、中〜高分
子量樹脂として、酸性基含有のAブロックと酸性基非含
有のBブロックから成るABブロック型共重合体をグラ
フト部に含有するグラフト型共重合体を用いる事で、環
境の変化や半導体レ−ザ−光を用いたスキャニング露光
方式を用いた場合においても比較的高い性能を維持する
ことが明らかになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の酸性基を含有する種々の低分子量の樹脂、更にこれら
の樹脂に種々の中〜高分子量の樹脂を組み合わせて用い
ても、環境が高温・高湿から低温・低湿まで著しく変動
した場合における安定した性能の維持においてはいまだ
不充分であることが判った。半導体レーザー光を用いた
スキャンニング露光方式では、従来の可視光による全面
同時露光方式に比べ、露光時間が長くなり、また露光強
度にも制約があることから、静電特性、特に暗電荷保持
特性、光感度に対して、より高い性能が要求される。
【0008】特に、電子写真式平版印刷用原版におい
て、半導体レーザー光を用いたスキャンニング露光方式
を採用した場合,従来の感光体で実際に試験してみる
と、上記の静電特性が十分に満足できるものでなく、特
にE1/2 とE1/10との差が大きく複写画像の階調が軟調
となり、更には露光後の残留電位を小さくするのが困難
となり、複写画像のカブリが顕著となってしまい、又、
オフセットマスターとして印刷しても、印刷物に印刷原
稿の貼り込み跡が出てしまう等の問題が現れた。
【0009】更に、近年、線画及び網点から成る画像の
複写画像のみならず、連続階調から成る高精細な画像を
液体現像剤を用いて忠実に再現する技術の実現が望まれ
ているが、前記公知の技術はこれらの要望まで十分に満
足できるものではなかった。従来公知の技術において
は、低分子量の樹脂と併用する中〜高分子量の樹脂によ
って、上記低分子量の樹脂で高性能化された静電特性が
低下することがあり、実際に前記した様なこれら公知の
樹脂の組合せで用いた光導電層を有する電子写真感光体
は、前述の様な高精細な画像(特に連続階調画像)の忠
実な複写画像の再現性あるいは、低出力のレーザー光を
用いたスキャンニング露光方式による撮像性に対して、
問題を生じ得ることが明らかになった。
【0010】本発明は、以上の様な従来公知の電子写真
感光体の有する課題を改良するものである。本発明の目
的は、複写画像形成時の環境が低温低湿あるいは高温高
湿の如く変動した場合でも、常に安定して良好な静電特
性を維持し、鮮明で良質な画像を有する電子写真感光体
を提供することである。
【0011】本発明の他の目的は、静電特性に優れ且つ
環境依存性の小さいCPC電子写真感光体を提供するこ
とである。本発明の他の目的は、半導体レーザー光を用
いたスキャンニング露光方式に有効な電子写真感光体を
提供することである。本発明の更なる目的は、電子写真
式平版印刷原版として、静電特性(特に暗電荷保持性及
び光感度)に優れ、原画(特に高精細な連続階調画像)
に対して忠実な複写画像を再現し、且つ、印刷物の全面
一様な地汚れはもちろん点状の地汚れをも発生させず、
また耐刷性の優れた平版印刷原版を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は無機光導電
体、分光増感色素及び結着樹脂を少なくとも含有する光
導電層を有する電子写真感光体において、該結着樹脂
が、下記樹脂〔A〕の少なくとも1種及び下記樹脂
〔B〕の少なくとも1種を各々含有して成る事を特徴と
する電子写真感光体により達成されることが見出され
た。
【0013】樹脂〔A〕 1×103 〜2×104 の重量平均分子量を有し、−P
3 2 基、−COOH基、−SO3 H基、フェノール
性OH基、−P(=O)(OH)R1 〔R1 は炭化水素
基又は−OR2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す〕
基及び環状酸無水物含有基から選択される少なくとも1
種の極性基を含有する重合体成分を少なくとも1種含有
するAブロックと、下記一般式(I)で示される重合体
成分を少なくとも含有するBブロックとから構成される
ABブロック共重合体。
【0014】
【化5】
【0015】〔式(I)中、R11は、炭化水素基を表わ
す。〕 樹脂〔B〕 2×104 〜1×106 の重量平均分子量を有し、−P
3 2 基、−COOH基、−SO3 H基、−P(=
O)(OH)R1 〔R1 は前記と同一の内容を表す〕基
及び環状酸無水物含有基から選択される少なくとも1種
の極性基を含有する重合体成分を少なくとも1種含有す
るAブロックと下記一般式(II)で示される重合体成分
を少なくとも含有するBブロックとから構成されるAB
ブロック共重合体から成り、且つAブロックにおいて、
Bブロックと結合する反対側の重合体主鎖の末端に上記
特定の極性基のうちから選択される少なくとも1種の極
性基を結合してなる樹脂。
【0016】
【化6】
【0017】〔式(II)中、a1 及びa2 はそれぞれ水
素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を示
す。R12は炭化水素基を表す。〕
【0018】即ち、本発明の結着樹脂は、特定の極性基
含有成分を含有するAブロックと一般式(I)で示され
る重合体成分を含有するBブロックとのABブロック共
重合体である低分子量の樹脂〔A〕と、上記特定の極性
基含有成分を含有するAブロックと上記一般式(II)で
示される重合体成分を含有するBブロックとのABブロ
ック共重合体でAブロックにおいて、Bブロックと結合
する反対側の重合体主鎖の末端に、上記特定の極性基を
結合して成る中〜高分子量体の樹脂〔B〕とから少なく
とも構成される。
【0019】種々検討の結果、前述の如く、公知の低分
子量の極性基含有樹脂を中〜高分子量の樹脂と併用する
公知の技術においては、併用する中〜高分子量の樹脂に
より、上記低分子量の樹脂で高性能化された静電特性が
低下してしまうことのあることが判った。そして、これ
らの中〜高分子量樹脂が、該光導電層中で、光導電体、
分光増感色素及び低分子量の樹脂同志の相互作用に更に
適切に相互作用させることも、予想以上に重要な原因で
あることが明らかになってきた。
【0020】かかる検討を重ねた結果、極性基を含有す
る低分子量の樹脂〔A〕と併用すべき中〜高分子量の樹
脂として、本発明に従う極性基を重合体主鎖の片末端及
びブロックA中に含有し、該ブロックAと極性基非含有
のブロックBとを有するABブロック共重合体を用いる
ことにより、前記課題が有効に解決されることが見出さ
れたものである。
【0021】この事は、本発明の結着樹脂〔A〕及び
〔B〕の相乗効果により、光導電体粒子が充分に分散さ
れ且つ凝縮しない状態で存在し、更に分光増感色素が光
導電体粒子表面に充分に吸着されていること及び光導電
体表面の余分な活性サイトを結着樹脂が充分に吸着して
トラップを補償していること等によるものと推定され
る。
【0022】即ち、特定の極性基をブロックで含有する
低分子量体の樹脂〔A〕は、光導電体粒子に充分吸着し
て該粒子を均一に分散し、その高分子鎖が非常に短いこ
とにより凝集を抑制すること、又、分光増感色素の吸着
疎外を起こさないこと等の重要な作用を有する。又、本
発明の特定の極性基を重合体主鎖の片末端及びブロック
A中に含有し、且つ、それを含まないブロックBとで構
成された中〜高分子量のABブロック共重合体を用いる
ことで、静電特性が向上し且つ光導電層の機械的強度が
充分に保持された。これは、この樹脂〔B〕の主鎖片末
端に結合されている特定の極性基が選択的に光導電体粒
子に吸着し、且つブロックAの部分が極性の状態を有し
且つ光導電体粒子の表面及びその近傍に存在することか
ら、分光増感色素、更には化学増感剤等の光導電体粒子
への吸着を容易にする状態が形成されたことによると推
定される。
【0023】即ち、樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の末端に結
合した極性基及びブロックAとの相互効果、更に本発明
の樹脂〔B〕のブロックA部分が光導電体粒子と樹脂
〔A〕よりも弱い相互作用であることにより、光導電体
粒子の活性サイトを充分にトラップして、静電特性の安
定化を図るとともに、各種増感剤の光導電体表面への吸
着を疎外しない状態を形成することで高性能なレベルで
静電特性を維持できる様になったと考えられる。
【0024】更には、樹脂〔A〕と樹脂〔B〕中の特定
の極性基を含有しないブロックBの部分が高分子鎖間で
お互いに充分な絡み合い効果を生じ、その結果、光導電
層の機械的強度を向上したものと推定される。換言すれ
ば、本発明の結着樹脂として、極性基を重合体主鎖中に
ブロックとして特定化されて含有する樹脂〔A〕及び更
に主鎖末端に結合している樹脂〔B〕を各々樹脂の重量
平均分子量並びに樹脂中の極性基の含有量等を更に特定
化することで、無機光導電体と樹脂との相互作用の強さ
を適度に変えることができたことによると推定される。
即ち、相互作用のより強い樹脂〔A〕が選択的に無機光
導電体に適切に吸着し、一方で高分子量の樹脂〔B〕
は、高分子鎖間の相互作用、更には、ブロック中及び主
鎖末端の極性基と光導電性粒子との弱い相互作用等が相
乗作用して、電子写真特性及び膜強度において著しく優
れた性能を両立しているものと考えられる。
【0025】この作用は、近赤外〜赤外光の分光増感用
色素として特に有効なポリメチン色素あるいはフタロシ
アニン系顔料で特に顕著な効果を示した。一方、光導電
体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の電子写真感
光体を従来公知のダイレクト刷版として用いた場合には
優れた撮像性とともに著しく良好な保水性を示す。
【0026】即ち、電子写真感プロセスを経て複写画像
を形成した本発明の感光体を、従来公知の不感脂化処理
液により非画像部を化学処理により不感脂化して、印刷
用原版とし、これをオフセット印刷により印刷した時に
優れた印刷用原版としての性能を示すものである。本発
明の感光体を不感脂化処理すると、非画像部の親水化が
充分になされ、保水性が向上することから印刷枚数が飛
躍的に向上した。これは、上記した酸化亜鉛粒子が均一
に分散されていること及び酸化亜鉛粒子表面に存在する
結着樹脂の存在状態が適切で不感脂化処理液との不感脂
化反応が疎外されず迅速に且つ効果的に進行することに
よるものと考えられる。
【0027】以下に、本発明の結着樹脂について詳しく
説明する。まず、本発明の樹脂〔A〕について説明す
る。樹脂〔A〕の重量平均分子量は1×103 〜2×1
4 、好ましくは2×103 〜1×104 であり、樹脂
〔A〕のガラス転移点は好ましくは−10℃〜100℃
の範囲のものが好ましいが、より好ましくは−5℃〜8
5℃である。
【0028】樹脂〔A〕の分子量が1×103 より小さ
くなると、皮膜形成能が低下し充分な膜強度を保てず、
一方分子量が2×104 より大きくなると本発明の樹脂
であっても、特に近赤外〜赤外分光増感色素を用いた感
光体において、高温・高湿、低温・低湿の苛酷な条件下
での暗減衰保持率及び光感度の変動が多少大きくなり、
安定した複写画像が得られるという本発明の効果が薄れ
てしまう。
【0029】樹脂〔A〕におけるAB型ブロック共重合
体での特定の極性基含有成分の重合体成分量は、共重合
体〔A〕100重量部当り好ましくは0.5〜20重量
部、より好ましくは3〜15重量部の割合で含有され
る。
【0030】樹脂〔A〕における極性基含有量が0.5
重量%より少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度
を得ることができない。一方、該極性基含有量が20重
量%よりも多いと、いかに低分子量体といえども分散性
が低下し、膜平滑度及び電子写真特性の高湿特性が低下
し、更にオフセットマスターとして用いるときに地汚れ
が増大する。
【0031】次に、樹脂〔A〕であるAB型ブロック共
重合体のAブロックを構成する特定の極性基を含有する
重合成分について、更に具体的に説明する。該極性基と
しては、−PO3 2 基、−SO3 H基、−COOH
基、フェノール性OH基、−P(=O)(OH)R1 基及
び環状酸無水物含有基が挙げられ、好ましくは、−SO
3 H基、−COOH基、−P(=O)(OH)R1 基及び
フェノール性OH基が挙げられる。
【0032】ここで、−P(=O)(OH)R1 は、下記
化7で表わされる基を示し、ここにおいて該R1 は炭化
水素基又は−OR2 基(R2 は炭化水素基を表す)を表
し、R1 は好ましくは炭素数1〜22の脂肪族基(例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキ
シル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデ
シル基、プロペニル基、メトキシメチル基、エトキシメ
チル基、2−エトキシエチル基,2−クロロエチル基、
2−ブロムエチル基、2−メトキシエチル基、2−フロ
ロエチル基、3−クロロプロピル基、3−メトキシプロ
ピル基、3−エトキシプロピル基、2−メトキシブチル
基、アリル基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキ
シル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、クロロベンジル基、フロロ
ベンジル基、メトキシベンジル基等)又は置換されても
よいアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、エチ
ルフェニル基、プロピルフェニル基、クロロフェニル
基、フロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロ−メ
チル−フェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェ
ニル基、シアノフェニル基、アセトアミドフェニル基、
アセチルフェニル基、ブトキシフェニル基等)等を表わ
し、R2 はR1 と同一の内容を表す。
【0033】
【化7】
【0034】フェノール性OH基としては、ヒドロキシ
フェノール又はヒドロキシフェニル基を置換基として含
有するメタクリル酸エステルもしくはアミド類を例とし
て挙げることができる。
【0035】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0036】脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、
コハク酸無水物、、グルタコン酸無水物環、マレイン酸
無水物環、シクロぺンタン−1,2−ジカルボン酸無水
物環、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物
環、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物環、
2,3−ビシクロ〔2.2.2〕オクタジカルボン酸無
水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原子、
臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチ
ル基、ヘキシル基等のアルキル基等が置換されていても
よい。
【0037】また、芳香族ジカルボン酸無水物の例とし
ては、フタル酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無
水物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン
−ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、
例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、
ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカル
ボニル基(アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、
エトキシ基等)等が置換されていてもよい。
【0038】以上の如き「特定の極性基を含有する重合
体成分」としては、例えば一般式(I)で示される繰り
返し単位に相当する単量体と共重合し得る該極性基を含
有するビニル系化合物であればいずれでもよく、例え
ば、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック〔基礎
編〕」培風館(1986年刊)等に記載されている。具
体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換アクリル酸
(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシメチル体、
α−(2−アミノ)メチル体、α−クロロ体、α−ブロ
モ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリル体、α−シ
アノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−クロロ−β
−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、メタクリル
酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、イタコン酸
半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカルボン酸類
(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセン
酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、4
−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、マレイン
酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニルベンゼ
ンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボン酸類のビニル基
又はアリル基の半エステル誘導体及びこれらのカルボン
又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導体の置換
基中に該極性基を含有する化合物等が挙げられる。
【0039】以下に極性基含有の共重合成分について例
示する。ここで、b1 はH又はCH3 を示し、b2
H、CH3 又はCH2 COOCH3 を示し、R7 は炭素
数1〜4のアルキル基を示し、R8 は炭素数1〜6のア
ルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、fは1〜
3の整数を示し、gは2〜11の整数を示し、hは1〜
11の整数を示し、iは2〜4の整数を示し、jは2〜
10の整数を示す。
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】上記の如き特定の極性基を含有する重合成
分は該Aブロック中に2種以上含有されていてもよく、
その場合における該2種以上の極性基含有成分は該Aブ
ロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の
いずれの態様で含有されていてもよい。
【0047】また、該極性基を含有しない成分がAブロ
ック中に含まれていてもよく、該成分の例としては、B
ブロック中に含有され得る成分と同様のもの、例えば後
述の一般式(I)、(II)又は(III)で示される成分あ
るいはその他の成分として挙げられたもの等が挙げられ
る。かかる極性基非含有成分の含有量はAブロック中好
ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量
%であるが、かかる極性基非含有成分がAブロック中に
含まれないことが最も好ましい。
【0048】次にAB型ブロック共重合体〔A〕におい
て、Bブロック成分を構成する重合成分について詳しく
説明する。Bブロック成分は、少なくとも一般式(I)
で示されるメタクリレート成分を含有し、該式(I)の
メタクリレート成分は好ましくはBブロック成分中、3
0〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%
含有される。
【0049】一般式(I)で示される繰り返し単位にお
いて、R11の炭化水素基は置換されていてもよい。R11
は好ましくは炭素数1〜18の置換されていてもよい炭
化水素基を表わす。置換基としては上記該AB型ブロッ
ク共重合体のAブロックを構成する重合成分に含有され
る前記極性基以外の置換基であればいずれでもよく、例
えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子等)、ーOZ1 、−COO−Z1 、−OCOZ
1 (Z1 は炭素数1〜22のアルキル基を表わし、例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシ
ル基、オクタデシル基等である)等の置換基が挙げられ
る。好ましい炭化水素基としては、炭素数1〜18の置
換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、
オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、
オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチ
ル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエ
チル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基
等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニ
ル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル
基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセ
ニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7
〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベン
ジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフ
チルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル
基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベン
ジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジ
メトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されても
よい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロ
ヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)又
は炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例え
ば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、
プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェ
ニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシ
フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、
ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニ
ル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボ
ニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセ
トアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデ
シロイルアミドフェニル基等)等があげられる。
【0050】R11の炭化水素基において、R11が脂肪族
基の場合には好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基を式
(I)で表わされる成分中の60重量%以上含有するこ
とが好ましい。
【0051】更に、該樹脂〔A〕において、Bブロック
成分を構成する一般式(I)で示される繰り返し単位の
一部又は全部が下記一般式(Ia)及び一般式(Ib)
で示される、2位に、及び/又は2位と6位に特定の置
換基を有するベンゼン環又は無置換のナフタレン環を含
有する、特定の置換基をもつメタクリレート成分である
ことが好ましい(以降この低分子量体をとくに樹脂〔A
A〕と称する)。従ってBブロック成分中下記一般式
(Ia)及び(Ib)から選択される少なくとも1つの
繰り返し単位がBブロック中30重量%以上、特に50
〜100重量%含有されることが好ましい。
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】〔式(Ia)及び(Ib)中、A1 及びA
2 は互いに独立に、各々水素原子、炭素数1〜10の炭
化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、−COR5 又は−
COOR5 (R5 は炭素数1〜10の炭化水素基を示
す)を表す。
【0055】B1 及びB2 はそれぞれ−COO−とベン
ゼン環を結合する、単結合又は連結原子数1〜4個の連
結基を表わす。〕 上記特定の樹脂〔AA〕を用いると樹脂〔A〕の場合よ
りもより一層電子写真特性(特にV10、D.R.R、E
1/10)の向上が達成できる。
【0056】この事の理由は不明であるが、1つの理由
として、メタクリレートのエステル成分である、オルト
位に置換基を有する平面性のベンゼン環又はナフタレン
環の効果により、膜中の酸化亜鉛界面でのこれらポリマ
ー分子鎖の配列が適切に行なわれることによるものと考
えられる。
【0057】式(Ia)において、好ましいA1 及びA
2 として、互いに独立に各々水素原子、塩素原子及び臭
素原子の外に、炭素数1〜10の炭化水素基として、好
ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、炭素数7〜9のアラ
ルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、クロロベンジル基、ジクロロベンジル
基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、クロロメチルベンジル基)及びアリール基
(例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ブロモフ
ェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジ
クロロフェニル基)、並びに−COR5 及び−COOR
5 (好ましいR5 としては上記の炭素数1〜10の好ま
しい炭化水素基として記載したものを挙げることができ
る)を挙げることができる。但し、A1 とA2 がともに
水素原子を表わすことはない。
【0058】式(Ia)及び(Ib)において、B1
びB2 は各々−COO−とベンゼン環を結合する単結合
又は−(CH2 a −(aは1〜3の整数を表す)、−
CH2 OCO−、−CH2 CH2 OCO−、−(CH2
O)b −(bは1又は2の整数を表す)、−CH2 CH
2 O−等の如き連結原子数1〜4個の連結基であり、よ
り好ましくは単結合又は結合原子数1〜2個の連結基を
挙げることができる。
【0059】本発明の樹脂〔A〕で用いられる式(I
a)又は(Ib)で示される繰り返し単位の具体例を以
下に挙げる。しかし、本発明の範囲はこれに限定される
ものではない。また、以下の(a−1)〜(a−20)
において、cは1〜4の整数、dは0又は1〜3の整
数、eは1〜3の整数、R6 はいずれも−CcH2c+1
は−(CH2 d −C6 5 (ただし、c、dは上記と
同じ)を表し、D1 及びD2 は同じでも異なってもよ
く、水素原子、−Cl、−Br、−Iのいずれかを表
す。
【0060】
【化16】
【0061】
【化17】
【0062】
【化18】
【0063】更に、この樹脂〔A〕において、一般式
(I)及び極性基含有成分以外の成分として、前記一般
式(II)で示される単量体が好ましい。
【0064】一般式(II)で示される重合体成分におい
て、a1 及びa2 は各々水素原子、ハロゲン原子(例え
ば塩素原子、臭素原子等)、シアノ基又は炭素数1〜4
のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等)等を表す。特に、a1 が水素原子を表
し、a2 がメチル基を表す場合が好ましい。
【0065】R12は炭化水素基を表し、具体的にはアル
キル基、アラルキル基又は芳香族基を表し、好ましくは
ベンゼン環又はナフタレン環を含有する炭化水素基であ
るアラルキル基又は芳香族基である。更に具体的なR12
としては、前記式(I)で記載したR11と同様のものを
挙げることができる。
【0066】また、樹脂〔A〕において、前記の特定の
極性基を含有する重合成分から成るAブロックとは別に
構成される該Bブロックにおいて、前記式(I){好ま
しくは(Ia)、(Ib)}又は前記式(II)で示され
る繰り返し単位は2種以上含有されていてもよく、更に
これら以外の他の重合成分を含有していてもよい。極性
基を含有しないBブロックにおいて2種以上の重合成分
が含有される場合には、該ABブロック共重合成分は該
Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重
合のいずれの態様で含有されていてもよいが、ランダム
に含有されることが好ましい。但し、ブロックBにおい
ては、ブロックAで含有される特定の極性基含有成分を
含有しないことを特徴とする。
【0067】前記した一般式(I)又は(II)で示され
る繰り返し単位から選ばれた重合成分とともにBブロッ
ク中に含有され得る他の重合成分は、これらと共重合す
る成分であればいずれでもよい。
【0068】例えば下記一般式(III)で示される繰り返
し単位が挙げられる。
【0069】
【化19】
【0070】〔式(III)中、V1 は−COO−、−OC
O−、−(CH2 i OCO−、−(CH2 i COO
−、−O−、−SO2 −、−CON(R22)−、−SO
2 N(R22)−、−CO−、−CONHCOO−、−C
ONHCONH−又は−C64 −を表わす(ここで、
iは1〜3の整数を表わし、R22は水素原子又は炭化水
素を表わす)。 R13は炭化水素基を表わす。 d1
びd2 は、互いに同じでも異なってもよく、前記一般式
(II)中のa1 、a2 とそれぞれ同一の内容を表わ
す。〕 ここで、R22は水素原子のほか、好ましい炭化水素基と
しては、炭素数1〜18の置換されてもよいアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−ク
ロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエ
チル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の
置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−
1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ぺンテニル
基、3−メチル−2−ぺンテニル基、1−ぺンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されて
もよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−
ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル
基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基
等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例え
ば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、
2−シクロぺンチルエチル基等)、又は炭素数6〜12
の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナ
フチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル
基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシル
フェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル
基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、ク
ロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル
基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシ
カルボニルフェニル基、エトキシカルボキシフェニル
基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェ
ニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミ
ドフェニル基等)が挙げられる。
【0071】V1 が−C6 4 −を表わす場合、ベンゼ
ン環は置換基を有してもよい。置換基としては、ハロゲ
ン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、アルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アルコキシ基
(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブ
トキシ基等)等が挙げられる。
【0072】R13は、炭化水素基を表わし、好ましい炭
化水素基としては、炭素数1〜22の置換されてもよい
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチ
ル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、
3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換され
てもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロ
ペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メ
チル−2−ぺンテニル基、1−ぺンテニル基、1−ヘキ
セニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセ
ニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラル
キル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチ
ル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベ
ンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジ
メチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数
5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘ
キシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロぺ
ンチルエチル基等)、炭素数6〜12の置換されてもよ
い芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル
基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル
基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキ
シフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル
基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジク
ロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル
基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル
基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニ
ルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミ
ドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙
げられる。
【0073】更に好ましくは、一般式(III)において、
1 は−COO−、−OCO−、−CH2 OCO−、−
CH2 COO−、−O−、−CONH−、−SO2 NH
−又は−C6 4 −を表わす。
【0074】更に含有され得るこれら以外の繰り返し単
位を構成する共重合成分として、例えば一般式(I)で
説明した以外の置換基を含有するメタクリル酸エステル
類、アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類に加
え、α−オレフィン類、カルボン酸ビニル又はアリル酸
エステル類(例えばカルボン酸として、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナフタレンカルボン酸
等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニル
エーテル類、イタコン酸エステル類(例えばジメチルエ
ステル、ジエチルエステル等)、アクリルアミド類、メ
タクリルアミド類、スチレン類(例えばスチレン、ビニ
ルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、
N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、メトキシカル
ボニルスチレン、メタンスルホニルオキシスチレン、ビ
ニルナフタレン等)、ビニルスルホン含有化合物、ビニ
ルケトン含有化合物、複素環ビニル類(例えばビニルピ
ロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニ
ルチオフェン、ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾー
ル、ビニルジオキサン、ビニルキノリン、ビニルテトラ
ゾール、ビニルオキサジン等)等が挙げられる。
【0075】本発明の樹脂〔A〕で用いられるABブロ
ック共重合体は、従来公知の重合反応法によって製造す
ることができる。具体的には、該特定の極性基を含有す
る重合体成分に相当する単量体において該極性基を予め
保護した官能基としておき、有機金属化合物(例えばア
ルキルリチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、ア
ルキルマグネシウムハライド類等)もしくはヨウ化水素
/ヨウ素系等によるイオン重合反応、ポルフィリン金属
錯体を触媒とする光重合反応又はグループ移動重合反応
等の公知のいわゆるリビング重合反応でABブロック共
重合体を合成した後、極性基を保護した官能基を加水分
解反応、加水素分解反応、酸化分解反応又は光分解反応
等によって脱保護反応を行ない、極性基を形成させる方
法が挙げられる。その1つの例を下記の反応スキーム
(1)に示した。
【0076】
【化20】
【0077】これらは、例えば、P.Lutz、P.M
asson etal、Polym.Bull.
.,79(1984)、B.C.Anderson、
G.D.Andrews etal、Macromol
ecules、14、1601(1981)、K.Ha
tada、K.Ute.etal、Polym.J.
、977(1985)、18、1037(198
6)、右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36、366
(1987)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集、
、189(1989)、M.Kuroki、T.Ai
da、J.Am.Chem.Soc.109、4737
(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、
、300(1985)、D.Y.Sogah、W.
R.Hertleretal.Macromolecu
les、20、1473(1987)等に記載の合成方
法に従って容易に合成することができる。
【0078】更に、ABブロック共重合体は、極性基を
保護しないままの単量体を用い、ジシオカーバメント基
を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する化
合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行なって合
成することもできる。例えば、大津隆行、高分子、
,248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Pol
ym.Rep.Jap.37.3508(1988)、
特開昭64−111号、特開昭64−26619号、東
信行等、Polymer Preprints、Jap
an、36、(6)、1511(1987)、M.Ni
wa、N.Higashi、etal、J.Macro
mol.Sci.Chem.A24(5)、567(1
987)等に記載の合成方法に従って合成することがで
きる。
【0079】又、本発明の特定の極性基の保護基による
保護及びその保護基の脱離(脱保護反応)については、
従来公知の知見を利用して容易に行なうことができる。
例えば前記引用文献にも種々記載されており、更には、
岩倉義男、栗田恵輔、「反応性高分子」(株)講談社刊
(1977年)、T.W.Greene、「Prote
ctive Groups in Organic S
ynthesis」,John Wiley & So
ns(1981年)、J.F.W.McOmie、「P
rotective Groups in Organ
ic Chemistry」Plenum Pres
s、(1973年)等の総説に詳細に記載されている方
法を適宜選択して行なうことができる。
【0080】更には、ブロックAはブロックBのいずれ
かの部分を含有するアゾビス化合物(即ち、高分子アゾ
ビス開始剤)を合成し、これを開始剤として、他の一方
のブロックを形成するに相当する単量体類をラジカル重
合反応で合成する方法を用いることもできる。
【0081】具体的には、上田明、永井進、高分子論文
集、44、469(1987)、上田明、大阪市立工業
研究所報告、84(1989)等に記載された方法で合
成することができる。
【0082】本反応を利用して合成する場合には、高分
子アゾビス開始剤の合成のし易さ及びブロック化の重合
反応の規則性等から該高分子開始剤の重量平均分子量
は、2×104 以下が好ましい。
【0083】以上のことから、本反応で合成する場合、
ブロックA含有の高分子開始剤を用いる方法が好まし
い。例えば下記に示す様な反応スキーム(2)で反応す
ることができる。
【0084】
【化21】
【0085】次に本発明の樹脂〔B〕について説明す
る。樹脂〔B〕はABブロック共重合体であり、且つ特
定の極性基を重合体主鎖のAブロックのBブロックと結
合する反対側の片末端に、直接もしくは連結基を介して
結合している事とAブロック中に重合体成分として含有
している事を特徴とするものである。
【0086】ABブロック共重合体樹脂〔B〕における
特定の極性基含有成分の重合体成分量は、共重合体
〔B〕100重量部当り好ましくは0.1〜5重量部、
より好ましくは0.2〜3重量部の割合で含有される。
結着樹脂〔B〕における極性基含有量が0.1重量%よ
り少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度を得るこ
とができず、該極性基含有量が5重量%よりも多いと、
分散性が低下し、膜平滑度及び電子写真特性の高温高湿
が低下し、更にオフセットマスターとして用いるときに
地汚れが増大するため、好ましくない。
【0087】また、樹脂〔B〕において、全共重合体中
に含有される特定の極性基含有重合体成分の総量が、前
記樹脂〔A〕中に含有される特定の極性基含有重合体成
分の総量に対し10重量%〜50重量%であることが好
ましい。樹脂〔B〕における該総量が樹脂〔A〕のそれ
の10重量%未満であると、電子写真特性(特に暗中電
荷保持率、光感度)の低下が著しく、膜の強度も低下す
る。また、50重量%を超えると、分散の均一化が不充
分となり、電子写真特性が低下し、オフセット原版とし
ては保水性が低下する。
【0088】共重合体〔B〕の重量平均分子量は2×1
4 〜1×106 、好ましくは4×104 〜5×105
である。
【0089】樹脂〔B〕の分子量が2×104 より小さ
くなると、皮膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、
また分子量が1×106 より大きくなると本発明の樹脂
〔B〕の効果が少なくなり、従来公知の樹脂と同程度の
電子特性になってしまう。該樹脂〔B〕のガラス転移点
は、−10℃〜100℃の範囲のものが好ましいが、よ
り好ましくは0℃〜90℃である。
【0090】本発明の樹脂〔B〕中に含有される特定の
極性基の具体的な例は、前記した樹脂〔A〕中に含有さ
れる特定の極性基と同様の内容のものが挙げられる。樹
脂〔B〕において、該極性基が重合体主鎖の片末端に結
合する場合には、該極性基は重合体主鎖の片末端に直接
結合してもよいし、連結基を介して結合してもよい。か
かる連結基としては、いずれの結合する基でもよいが、
具体的には、−CR1415−〔ここでR14、R15は同じ
でも異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子
(塩素原子、臭素原子等)、OH基、シアノ基、アルキ
ル基(メチル基、エチル基、2−クロロエチル基、2−
ヒドロキシエチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基
等)、フェニル基等を表す〕、−CH(R14)−CH
(R15)−、−C6 10−、−C6 4 −、−O−、−
S−、−N(R16)−〔ここでR16は水素原子又は炭化
水素基{炭化水素基として具体的には炭素数1〜12の
炭化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシ
ル基、2−メトキシエチル基、2−クロロエチル基、2
−シアノエチル基、ベンジル基、メチルベンジル基、フ
ェネチル基、フェニル基、トリル基、クロロフェニル
基、メトキシフェニル基、ブチルフェニル基等)が挙げ
られる}を表す〕、−CO−、−COO−、−OCO
−、−CON(R16)−、−SO2 N(R16)−、−S
2 −、−NHCONH−、−NHCOO−、−NHS
2 −、−CONHCOO−、−CONHCONH−、
複素環(ヘテロ原子としてO、S、N等を少なくとも一
種含有する5もしくは6員環又はこれらの縮合環であれ
ばいずれでもよく、例えばチオフェン環、ピリジン環、
フラン環、イミダゾール環、ピペリジン環、モルホリン
環等が挙げられる)又は−Si (R17)(R18)−〔こ
こでR17、R18は同じでも異なっていてもよく、各々炭
化水素基又は−OR19(ここでR19は炭化水素基を表
す)を表す。これらの炭化水素基としては、R16で挙げ
たものと同様のものを挙げることができる〕等の結合基
の単独又はこれらの2以上の組合せにより構成された連
結基等が挙げられる。
【0091】本発明のABブロック共重合体(樹脂
〔B〕)のAブロックを構成する特定の極性基を含有す
る重合成分の具体例としては、前記した樹脂〔A〕の特
定の極性基を含有する重合体成分と同様のものを挙げる
ことができる。
【0092】上記の如き特定の極性基を含有する重合体
成分は該Aブロック中に2種以上含有されていてもよ
く、その場合における該2種以上の極性基含有成分は該
Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重
合のいずれの態様で含有されていてもよい。また、上記
極性基含有の重合体成分以外の重合体成分をブロックA
中に含有していてもよく、かかる重合体成分としては好
ましくは上記一般式(III)の繰り返し単位に相当する重
合体成分が挙げられる。
【0093】更には、式(III)に示される重合体成分と
ともに該Aブロック中に含有され得る重合体成分とし
て、該式(III)の重合体成分と共重合しうる他の繰り返
し単位に相当する単量体、例えばアクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、複素環ビニル類(例えばビニルピリ
ジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、ビニル
チオフェン、ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、ビ
ニルオキサジン等)等が挙げられる。これら他の単量体
はAブロックの全重合体成分100重量部中20重量部
を超えない範囲で用いられる。
【0094】次にABブロック共重合体樹脂〔B〕にお
いて、Bブロック成分を構成する重合成分について詳し
く説明する。Bブロック成分は、少なくとも前記一般式
(II)で示される繰り返し単位で示される重合体成分を
含有し、該式(II)で示される成分は好ましくBブロッ
ク成分中、30〜100重量%、より好ましくは50〜
100重量%含有される。
【0095】一般式(II)の成分の具体的内容について
は、樹脂〔A〕で説明したと同様のものに準じる。他に
含有され得る重合体成分としては、前記ブロックAで含
有され得る一般式(III)で示される成分又はその他の成
分として記載したものと同様のものが挙げられる。但
し、ブロックBにおいては、ブロックAで含有される特
定の極性基含有成分を含有しないことを特徴とする。
【0096】本発明のABブロック共重合体〔B〕は、
従来公知の重合反応法によって製造することができる。
具体的には、該特定の極性基を含有する重合体成分に相
当する単量体において該極性基を予め保護した官能基と
しておき、有機金属化合物(例えばアルキルリチウム
類、リチウムジイソプロピルアミド、アルキルマグネシ
ウムハライド類等)もしくはヨウ化水素/ヨウ素系等に
よるイオン重合反応、ポルフィリン金属錯体を触媒とす
る光重合反応又はグループ移動重合反応等の公知のいわ
ゆるリビング重合反応でABブロック共重合体を重合反
応した後、停止反応時に特定の極性基を直接導入する
か、あるいは該極性基を結合できる官能基を導入した後
極性基を化学結合させる、その後、重合体成分中の極性
基を保護した官能基を加水分解反応、加水素分解反応、
酸化分解反応又は光分解反応等によって脱保護反応を行
ない、極性基を形成させる方法が挙げられる。その1つ
の例を下記の反応スキーム(3)に示した。
【0097】
【化22】
【0098】これらは、例えば、樹脂〔A〕の合成法の
ところで記載した文献等に記載の合成方法に従って容易
に合成することができる。
【0099】更に、ABブロック共重合体〔B〕は、極
性基を保護しないままの単量体を用い、且つ特定の極性
基を置換基として含むジシオカーバメント基を含有する
化合物及び/又はザンテート基を含有する化合物を開始
剤として、光照射下に重合反応を行なって合成すること
もできる。例えば、樹脂〔A〕の合成法のところで記載
した文献に記載の合成方法に従って合成することができ
る。
【0100】又、本発明の特定の極性基の保護基による
保護及びその保護基の脱離(脱保護反応)については、
従来公知の知見を利用して容易に行なうことができる。
例えば前記引用文献にも種々記載されており、更には、
樹脂〔A〕の合成法のところで記載した総説に詳細に記
載されている方法を適宜選択して行なうことができる。
【0101】一方、本発明の樹脂〔B〕は、ブロックB
の方がブロックAよりも高分子鎖が長い方が好ましい。
本発明の光導電層に供される結着樹脂として、本発明の
樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕以外に前記した無機光導電体
用の公知の樹脂を併用することもできる。但し、これら
の他の樹脂の使用割合は、全結着樹脂100重量部中3
0重量%を越えない範囲が好ましい。この割合を越える
と、本発明の効果は著しく低下してしまう。
【0102】併用可能な他の樹脂としては例えば、代表
的なものは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン
−ブタジェン共重合体、スチレン−メタクリレート共重
合体、メタクリレート共重合体、アクリレート共重合
体、酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アル
キド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエ
ステル樹脂、ポリエステル樹脂等である。
【0103】具体的には、柴田隆治・石綿次郎「高分
子」第17巻、第278頁(1968年)、宮本晴視・
武井英彦「イメージング」1973(No.8)第9
頁、中村孝一編「絶縁材料用バインダーの実際技術」第
10章、C.H.C.出版(1985年刊)、D.D.
Tatt、S.C.Heidecker、Tappi、
49(No.10)、439(1966)、E.S.B
altazzi、R.G.Blanclotte et
al、Photo.Sci.Eng.16(No.
5)、354(1972)、グエン・チャン・ケー、清
水 勇、井上英一、電子写真学会誌18(No.2)、
28(1980)、特公昭50−31011号、特開昭
53−54027号、同54−20735号、同57−
202544号、同58−68046号各号公報等に開
示の樹脂が挙げられる。
【0104】本発明の光導電層において用いられる結着
樹脂の総量は、無機光導電体100重量部に対して、1
0重量部〜100重量部であることが好ましく、より好
ましくは15重量部〜50重量部である。
【0105】本発明の樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使用割
合は、樹脂〔A〕/樹脂〔B〕の重量比で0.05〜
0.6/0.95〜0.40であることが好ましく、よ
り好ましくは0.10〜0.40/0.90〜0.60
である。結着樹脂の総量比が10重量部以下となると、
光導電層の膜強度が維持できなくなる。又100重量部
以上になると、静電特性が低下し、実際の撮像性におい
ても複写画像の悪化を生じてしまう。
【0106】又、本発明の樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使
用割合において樹脂〔A〕の重量比が0.05以下にな
ると、静電特性向上の効果が薄れてしまう。一方0.8
以上になると光導電層の膜強度が充分維持できなくなる
場合(特に電子写真式平版印刷用原版として)が生じ
る。
【0107】本発明に使用する無機光導電材料として
は、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウ
ム、炭酸カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウ
ム、セレン化テルル、硫化鉛等が挙げられる。本発明に
使用する分光増感色素としては、必要に応じて各種の色
素を単独又は併用して用いる。例えば、宮本晴視、武井
英彦、イメージング1973(No.8)第12頁、
C.J.Young等、RCA Review 15
469(1054)、清田航平等、電気通信学会論文誌
J63C(No.2)、97(1980)、原崎勇
次等、工業科学雑誌66 78及び188(196
3)、谷忠昭、日本写真学会誌35、208(197
2)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジフェニルメ
タン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン系色
素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例えば、オキ
ソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色素、ロダ
シアニン色素、スチリル色素等)、フタロシアニン色素
(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0108】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン色素、キサンテン系色素、フタレイン
系色素を中心に用いたものとしては、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号、
米国特許第3,052,540号、同4,054,45
0号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙げ
られる。
【0109】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F.M.Harmmer 「The Cyani
neDyes and Related Compou
nd」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的
には、米国特許第3,047,384号、同第3,11
0,591号、同第3,121,008号、同第3,1
25,447号、同第3,128,179号、同第3,
132,942号、同第3,622,317号、英国特
許第1,226,892号、同第1,309,274
号、同第1,405,898号、特公昭48−7814
号、同55−18892号等に記載の色素が挙げられ
る。
【0110】更に700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号、米国特許第3,619,154
号、同第4,175,956号、「Research
Disclosure」1982年、216、第117
〜118頁等に記載のものが挙げられる。本発明の感光
体は種々の増感色素を併用させても、その性能が増感色
素により変動しにくい点において優れている。更には、
必要に応じて、化学増感剤等の従来知られている電子写
真感光層用各種添加剤を併用することもできる。例え
ば、前記した総説:イメージング1973(No.8)
第12頁等の総説引例の電子受容性化合物(例えば、ハ
ロゲン、ベンゾキノン、クロラニル、酸無水物有機カル
ボン酸等)、小門宏等、「細菌の光導電材料と感光体の
開発・実用化」第4章〜第6章・日本科学情報(株)出
版部(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン
化合物、ヒンダートフェノール化合物、p −フェニレン
ジアミン化合物等が挙げられる。
【0111】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
001〜2.0重量部である。光導電層の厚さは1〜1
00μ、特に10〜50μが好適である。また、電荷発
生層と電荷輸送層の積層型感光体の電荷発生層として光
導電層を使用する場合は電荷発生層の厚さは0.01〜
1μ、特に0.05〜0.5μが好適である。
【0112】感光体の保護および耐久性、暗減衰特性の
改善等を主目的として絶縁層を付設させる場合もある。
この時は絶縁層は比較的薄く設定され、感光体を特定の
電子写真プロセスに用いる場合に設けられる絶縁層は比
較的厚く設定される。後者の場合、絶縁層の厚さは、5
〜70μ、特には、10〜50μに設定される。
【0113】積層型感光体の電荷輸送材料としてはポリ
ビニルカルバゾール、オキサゾール系色素、ピラゾリン
系色素、トリフェニルメタン系色素などがある。電荷輸
送層の厚さとしては5〜40μ、特には10〜30μが
好適である。絶縁層あるいは電荷輸送層の形成に用いる
樹脂としては、代表的なものは、ポリスチレン樹脂、ポ
リエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、
塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビー酸ビ共重合体
樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、シリコン樹脂の熱可塑性樹脂及び効果性樹脂が適宜
用いられる。
【0114】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般に云って電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プ
ラスチックシート等の基本に低抵抗性物質を含浸させる
などして導電処理したもの、基本の裏面(感光層を設け
る面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を
図る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、
前記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支
持体の表面層に必要に応じて少なくとも1相以上のプレ
コート層が設けられたもの、Al等を蒸着した基体導電
化プラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用でき
る。
【0115】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例としては、坂本幸男、電子写真、14(No.
1)、P2〜11(1975)、森賀弘之、「入門特殊
紙の化学」高分子刊行会(1975)、M.F.Hoo
ver,J.Macromol.Sci.Chem.A
−4(6)、第1327〜第1417頁(1970)等
に記載されているもの等を用いる。
【0116】本発明の電子写真感光体は、従来公知のあ
らゆる電子写真プロセスを利用した用途において利用す
ることができる。即ち、本発明の感光体はPPC方式お
よびCPC方式のいずれの記録方式にも利用でき、又、
現像剤として乾式現像剤あるいは液体現像剤のいずれの
組合せにも用いることができる。
【0117】特に、高精細なオリジナルの忠実な複写画
像形成が可能なことから、液体現像剤との組合せで利用
すると、本発明の効果がより発揮される。又カラー現像
剤との組合せとすることで、黒白複写画像のみならず、
カラー複写画像にも応用することができる(例えば、滝
沢九郎、「写真工業」33、34(1975年)、安西
正保、「電子通信学会技術研究報告77、17(197
7年)等に記載の方法)。
【0118】更に近年の電子写真プロセスを利用した他
の用途への利用のシステムにおいても有効である。例え
ば光導電体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の感
光体は、オフセット平版印刷用原版として、又無公害で
白色度の良好な光導電性酸化亜鉛あるいは光導電性酸化
チタンを用いた感光体は、オフセット印刷プロセスで用
いられる版下用記載材料あるいはカラープループ等に用
いることができる。
【0119】
【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
の内容がこれらに限定されるものではない。 〔樹脂〔A〕の合成〕 樹脂〔A〕の合成例1:〔A−1〕 エチルメタクリレート95g及びテトラヒドロフラン2
00gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−20
℃に冷却した。1,1−ジフェニルブチルリチウム1.
5gを加え12時間反応した。更に、この混合溶液に、
トリフェニルメチルメタクリレート5g及びテトラヒド
ロフラン5gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気した
後添加し、更に8時間反応した。この混合物を0℃にし
た後、メタノール10mlを加え30分間反応し、重合を
停止させた。得られた重合体溶液を攪拌下にて温度30
℃とし、これに30%塩化水素エタノール溶液3mlを加
え1時間攪拌した。次に、減圧下に反応混合物を全体量
が半分になるまで溶媒を留去した後、石油エーテル1リ
ットル中に再沈した。
【0120】沈澱物を捕集し、減圧乾燥して得られた重
合体の重量平均分子量(Mw)8.5×103 で収量7
0gであった。
【0121】
【化23】
【0122】樹脂〔A〕の合成例2:〔A−2〕 n−ブチルメタクリレート46g、( テトラフェニルポ
ルフィナート) アルミニウムメチル0.5g及び塩化メ
チレン60gの混合溶液を窒素気流下にて温度30℃と
した。これに300W−キセノンランプ光をガラスフィ
ルターを通して25cmの距離から光照射し、12時間反
応した。この混合物に更に、ベンジルメタクリレート4
gを加え、同様に8時間光照射した後、この反応混合物
にメタノール3gを加えて30分間攪拌し反応を停止さ
せた。次にこの反応混合物にPd−Cを加え、温度25
℃で1時間接触還元反応を行なった。
【0123】不溶物を濾別した後石油エーテル500ml
中に再沈し、沈澱物を捕集し乾燥した。得られた重合体
のMw9.3×103 、収量33gであった。
【0124】
【化24】
【0125】樹脂〔A〕の合成例3:〔A−3〕 2−クロロ−6−メチルフェニルメタクリレート90g
及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下に充分に
脱気し0℃に冷却した。次いで1,1−ジフェニル−3
−メチルペンチルリチウム2.5gを加え、6時間攪拌
した。更にこの混合物に4−ビニルフェニルオキシトリ
メチルシラン10gを加え6時間攪拌した後、メタノー
ル3gを加えて30分間攪拌した。
【0126】次にこの反応混合物に30%塩化水素エタ
ノール溶液10gを加え25℃で1時間攪拌した後、石
油エーテル1リットル中に再沈し捕集した沈澱物をジエ
チルエーテル300mlで2回洗浄し乾燥した。得られた
重合体のMw7.8×103、収量58gであった。
【0127】
【化25】
【0128】樹脂〔A〕の合成例4:〔A−4〕 フェニルメタクリレート95g、ベンジルN,N−ジエ
チルジチオカーバメート4.8gの混合物を、窒素気流
下に容器に密閉し、温度60℃に加温した。これに、4
00Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルタ
ーを通して、10時間光照射し光重合した。
【0129】これにアクリル酸5g及びメチルエチルケ
トン180gを加えた後窒素置換し再び10時間光照射
した。得られた反応物をヘキサン1.5リットルに再
沈、捕集し乾燥した。得られた重合体はMw9.5×1
3 、収量68gであった。
【0130】
【化26】
【0131】樹脂〔A〕の合成例5〜18:〔A−5〕
〜〔A−18〕 前記樹脂〔A〕の合成例1と同様にして下記表−Aに示
す樹脂〔A〕を合成した。各樹脂のMwは6×103
9.5×103 であった。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】樹脂〔A〕の合成例19〜23:〔A−1
9〕〜〔A−23〕 前記樹脂〔A〕の合成例4と同様にして下記表−Bに示
す樹脂〔A〕を合成した。各樹脂のMwは8×103
1×104 であった。
【0136】
【表4】
【0137】〔樹脂〔B〕の合成〕 樹脂〔B〕の合成例1:〔B−1〕 メチルアクリレート42.5g、アクリル酸2.5g、
2−カルボキシエチルN,N−ジエチルジチオカーバメ
ート:〔I−1〕7.6g及びテトラヒドロフラン50
gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50℃
に加温した。これに、400Wの高圧水銀灯で10cm
の距離からガラスフィルターを通して、8時間光照射し
光重合した。
【0138】この反応物を石油エーテル500ミリリッ
トル中に再沈し、沈殿物を捕集・乾燥した。得られた重
合体は収量41gでMw1.0×104 であった。更
に、上記重合体(高分子開始剤となる)10g、メチル
メタクリレート65g、メチルアクリレート25g及び
テトラヒドロフラン100gの混合物を、窒素気流下に
温度50℃とした。これに上記と同条件で光照射し、1
0時間光重合した。得られた混合物をメタノール1リッ
トル中に再沈し、沈殿物を捕集・乾燥した。得られたブ
ロック重合体は収量85gでMw8.5×104 であっ
た。
【0139】
【化27】
【0140】樹脂〔B−2〕の合成例2:〔B−2〕 メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート33
g、ベンジルN−エチル−N−(2−カルボキシルエチ
ルジチオカーバメート:〔I−2〕2.2g及びテトラ
ヒドロフラン100gの混合溶液を窒素気流下温度50
℃とした。これに合成例1と同様の光照射条件で8時間
光重合した。反応混合物を、メタノール1リットル中に
再沈し、沈殿物を捕集・乾燥して、Mw8×104 の重
合体を収量85gで得た。上記重合体85g、メチルメ
タクリレート14g、メタクリル酸1g及びテトラヒド
ロフラン150gの混合物を窒素気流下に温度50℃と
した。これを、合成例1と同様の光照射条件下で16時
間光重合した。反応物をメタノール1リットル中に再沈
し、沈殿物を捕集・乾燥して、Mw9.5×104のブ
ロック共重合体を収量83gで得た。
【0141】
【化28】
【0142】樹脂〔B〕の合成例3:〔B−3〕 エチルメタクリレート80g及びトルエン200gの混
合溶液を窒素気流下に充分に脱気し−20℃に冷却し
た。次いで1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリ
チウム2.0gを加え、12時間攪拌した。更にこの混
合物にメチルメタクリレート19g及び4−ビニルフェ
ニルカルボニルオキシトリメチルシラン1.5gを加え
12時間反応した後、二酸化炭素気流下に2時間そのま
ま反応し、更に温度0℃で2時間反応した。
【0143】この反応混合物に、30%塩酸10gを含
有したメタノール溶液1リットルを30分間で攪拌下に
滴下し、そのまま1時間攪拌した。析出した粉末を濾別
し、更にメタノールで洗浄し、乾燥した。収量75gで
Mw6.5×104 のブロック共重合体を得た。
【0144】
【化29】
【0145】樹脂〔B〕の合成例4〜13:〔B−4〕
〜〔B−13〕 樹脂〔B〕の合成例2と同様の反応方法で、下記表−C
に示す樹脂〔B〕を合成した。得られた各重合体のMw
は7×104 〜9×104 の範囲であった。
【0146】
【表5】
【0147】
【表6】
【0148】
【表7】
【0149】樹脂〔B〕の合成例14〜20:〔B−1
4〕〜〔B−20〕 樹脂〔B−1〕の合成例において、開始剤〔I−1〕
7.6gの代わりに、下記表−Dの各開始剤4.2×1
-3モルを用いた他は、合成例1と同様にして、各ブロ
ック共重合体を合成した。各共重合体のMwは8×10
4 〜10×104 の範囲であった。
【0150】
【表8】
【0151】樹脂〔B〕の合成例21〜30:〔B−2
1〕〜〔B−30〕 下記表−Eに相当する各重合体を合成例〔B−2〕の方
法と同様に光重合反応で重合した。
【0152】
【表9】
【0153】
【表10】
【0154】実施例1及び比較例1〜3 (実施例1)樹脂〔A−5〕6g(固形分量として)、
下記構造の樹脂〔B−1〕34g(固形分量として)、
光導電性酸化亜鉛200g、下記構造のメチン色素
〔I〕0.017g、無水フタル酸0.18g及びトル
エン300gの混合物を、ホモジナイザー(日本精機
(株)製)中で7×103 r.p.m.の回転数で5分
間分散した。この感光層形成用分散物を導電処理した紙
に乾燥付着量が26g/m2となるようにワイヤーバー
で塗布し、100℃で30秒間乾燥した。ついで暗所で
20℃、65%RHの条件下で24時間放置することに
より、電子写真感光材料を作製した。
【0155】
【化30】
【0156】比較例1:実施例1において、樹脂〔B−
1〕34gの代わりに下記構造の樹脂〔R−1〕34g
を用いた他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光
材料を作製した。
【0157】
【化31】
【0158】比較例2:実施例1において、樹脂〔B−
1〕34gの代わりに下記構造の樹脂〔R−2〕34g
とした他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光材
料を作製した。
【0159】
【化32】
【0160】比較例3:実施例1において、樹脂〔B−
1〕34gの代わりに下記構造の樹脂〔R−3〕34g
とした他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光材
料を作製した。
【0161】
【化33】
【0162】これらの感光材料については、静電特性、
撮像性及び環境条件(20℃、65%RH)及び(30
℃、80%RH)とした時の撮像性を調べた。以上の結
果を表−Fに示す。
【0163】
【表11】
【0164】表−Fに示した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1)光導電層の強度:得られた感光材料表面をヘイド
ン−14型表面性試験材(新東化学(株)製)をもちい
て荷重40g/cm2 のものでエメリー紙(#100
0)で1500回繰り返し探り磨耗粉を取り除き感光層
の重量減少から残膜率(%)を求め機械的強度とした。 注2)静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中で、
各感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)製
ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて−6k
Vで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、こ
の時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中で
90秒間静置させた後の電位V100 を測定し、90秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔DRR(%)〕を(V100/V10)×100(%)で
求めた。
【0165】又コロナ放電により光導電層表面を−40
0Vに帯電させた後、該光導電層表面をガリウム−アル
ミニウム−ヒ素半導体レーザー(発振波長780nm)
光で照射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するま
での時間を求め、これから露光量E1/10(erg/cm
2 )を算出する。又、同様の表面電位(V10)が1/1
00に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E
1/100 (erg/cm2)を算出する。測定時の環境条
件は、20℃、65%RH(I)と30℃、80%RH
(II)で行なった。 注3)撮像性:各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放
置した後、各感光材料を−6kVで帯電し、光源として
2.8mW出力のガリウム−アルミニウム−ヒ素、半導
体レーザー(発振波長780nm)を用いて、感光材料
表面上で64erg/cm2 の照射量下、ピッチ25μ
m及びスキャニング速度300m/secのスピード露
光後液体現像剤として、ELP−T(富士写真フイルム
(株)製)を用いて現像し、イソパラフィンアイソパー
G(エッソ化学(株)製)溶媒のリンス液で洗浄後定着
することが得られた複写画像(カブリ、画像の画質)を
目視評価した。
【0166】撮像時の環境条件は20℃65%RH
(I)と30℃80%RH(II)で実施した。表−Fに
示す様に、本発明の感光材料は、静電特性が良好で、実
際の複写画像も地カブリがなく複写画質も鮮明であっ
た。一方、比較例1、2及び3は、光感度(E1/10及び
1/100 )の低下が生じ、実際の複写画像でも微かな細
線・文字等のカスレや、リンス処理した後でも地カブリ
が除去されずに残存してしまった。又、静電特性とは一
致しないが、複写原稿の連続階調部分の中間濃度でのム
ラの発生が生じてしまった。
【0167】本発明の感光体と比較例の感光体とではE
1/100 値が大きく異なる。E1/100値は、実際の撮像性
において、露光後、非画像部(既に露光された部位)に
どれだけの電位が残っているかを示すものであり、この
値が小さい程現像後の非画像部の地汚れが生じなくなる
事を示す。具体的には−10V以下の残留電位にするこ
とが必要となり、即ち実際にはVR −10V以下とする
ために、どれだけ露光量が必要となるかということで、
半導体レーザー光によるスキャニング露光方式では、小
さい露光量でVR を−10V以下にすることは、複写機
の光学系の設計上(装置のコスト、光学系光路の精度
等)非常に重要なことである。
【0168】以上のことより、本発明の樹脂を用いた場
合にのみ静電特性及び撮像性を満足する電子写真感光体
が得られ、特に半導体レーザー光スキャニング露光方式
の感光体システムに優位になることが明らかとなった。 実施例2 樹脂〔A−21〕6g(固形分量として)、樹脂〔B−
2〕34g(固形分量として)、光導電性酸化亜鉛20
0g、下記構造のメチン色素(II)0.020g、N−
ヒドロキシマレインイミド0.20g及びトルエン30
0gの混合物を、実施例1と同様に操作して、電子写真
感光材料を作製した。
【0169】
【化34】
【0170】この感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、
静電特性、撮像性及び環境条件を30℃、80%RHと
した時の静電特性、撮像性を調べた。更に、電子写真式
平版印刷用原版として用いた時の印刷性を調べた。これ
らの結果を表−Gに示す。
【0171】
【表12】
【0172】表−Gに示した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注4)表面層の平滑性:得られた感光材料は、ベック平
滑度試験機(熊谷理工(株)製)を用い、空気容量1c
cの条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定し
た。 注5)水との接触角:各感光材料を不感脂化処理液EP
L−EX(富士写真フイルム(株)製)を蒸留水を2倍
に稀釈した溶液を用いて、エッチングプロセッサーに1
回通して光導電層面を不感脂化処理した後、これに蒸留
水2μlの水滴を乗せ、形成された水との接触角をゴニ
オメーターで測定する。 注6)耐刷性:前記注2)の撮像性と同条件にして、製
版して、トナー画像を形成し、上記注5)と同条件で不
感脂化処理し、これをオフセットマスターとして、オフ
セット印刷機(桜井製作所(株)製オリバー52型)に
かけ、印刷物の非画像部の地汚れ及び画像部の画質に問
題が生じないで印刷できる枚数を示す(印刷枚数が多い
程、耐刷性が良好なことを表わす。) 表−Gに示す様に、本発明の感光材料は、光導電層の平
滑性膜の機械的強度及び静電特性が良好で、実際の複写
画像も地カブリがなく複写画質も鮮明であった。このこ
とは光導電体と結着樹脂が充分に吸着し、且つ、粒子表
面を被覆していることによるものと推定される。同様の
理由で、オフセットマスター原版として用いた場合でも
不感脂化処理液により不感脂化処理が充分に進行し、非
画像部の水との接触角が10度以下と小さく、充分に親
水化されていることが判る。実際に印刷して印刷物の地
汚れを観察しても地汚れは全く認められず、鮮明な画質
の印刷物が1万枚得られた。
【0173】以上のことは、本発明の樹脂〔A〕と樹脂
〔B〕が適切に酸化亜鉛粒子と相互作用し、不感脂化処
理液による不感脂化反応が容易に且つ充分に進行し易い
状態を形成している事及び樹脂〔B〕の働きによる膜強
度の著しい向上を達成していることを示すものである。 実施例3〜20 実施例2において、樹脂〔A−21〕及び樹脂〔B−
2〕に代えて、下記表−Hの各樹脂〔A〕及び各樹脂
〔B〕に代えた他は、実施例2と同様に操作して、各電
子写真感光体を作製した。
【0174】
【表13】
【0175】実施例2と同様にして静電特性を測定した
所、いずれも良好な結果を示した。又、これらの感光材
料の実際の操作性を調べた所、細線・文字の再現性良好
で中間調のムラの発生もなく、地カブリの全くない鮮明
な複写画像のものが得られ、又、オフセットマスター原
版として用いて、実施例2と同様にして印刷した所、い
ずれも少なくとも1万枚以上印刷することができた。
【0176】以上から、本発明の各感光材料は光導電層
の平滑性、膜強度、静電特性及び印刷性の全ての点にお
いて良好なものであった。 実施例21〜24 実施例1において用いた、メチン色素〔I〕の代わりに
下記表−Iの色素に代えた他は、実施例1と同様の条件
で電子写真感光材料を作製した。
【0177】
【表14】
【0178】本発明の感光材料は、いずれも帯電性、暗
電荷保持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高
湿の(30℃、8%RH)の過酷な条件においても、地
カブリの発生のない、鮮明な画像を与えた。 実施例25及び26並びに比較例4 樹脂〔A−1〕(実施例25)又は樹脂〔A−5〕(実
施例26)のいずれか6.5g、樹脂〔B−23〕3
3.5g、酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ロ
ーズベンガル0.035g、ブロムフェノールブルー
0.025g、p−ヒドロキシ安息香酸0.18g及び
トルエン300gの混合物をホモジナイザー中で回転数
7×103 r.p.m.で5分間分散して感光層形成物
を調整し、これを導電処理した紙に、乾燥付着量が25
g/m2 となる様にワイヤーバーで塗布し、110℃で
20秒間乾燥した。次いで暗所で20℃、65%RHの
条件下で24時間放置することにより各電子写真感光体
を作製した。 比較例4 実施例25において、樹脂〔B−23〕33.5gの代
わりに、比較用樹脂〔R−2〕33.5gを用いた他
は、実施例25と同様にして、感光材料を作製した。
【0179】実施例2と同様に、各感光材料の各特性を
調べた。その結果を下記表−Jにまとめた。
【0180】
【表15】
【0181】上記の測定において、静電特性及び撮像性
については下記の操作に従った他は、実施例1と同様の
操作で行なった。 注6)静電特性のE1/10及びE1/100 の測定方法 コロナ放電により光導電層表面を−400Vに帯電させ
た後、該光導電層表面を照度2.0ルックスの可視光で
照射し、表面電位(V10)が1/10又はE1/100 に減
衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10又はE
1/100 (ルックス・秒)を算出する。 注7)撮像性 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、全自
動製版機EPL−404V(富士写真フイルム(株)
製)でEPL−Tをトナーとして用いて製版して得られ
た複写画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。撮
像時の環境条件は、20℃65%RH(I)と30℃8
0%RH(II)で実施した。但し、複写用の原稿(即
ち、版下原稿)には、ほかの原稿を切り抜いて、貼り込
みを行なって作成したものを用いた。
【0182】各感光材料において、光導電層の平滑性及
び強度において、その差は認められなかった。しかし、
静電特性において、比較例4は、特に光感度E1/100
値が大きく、これは高温、高湿になるとより一層助長さ
れ、劣化してしまった。本発明の感光材料の静電特性は
良好であり、更に、特定の置換基を有する樹脂〔A〕を
用いた実施例26は、非常に良好であり、特にE1/100
の値が小さくなった。
【0183】実際の撮像性を調べて見ると、比較例4
は、複写画像として原稿以外に、切り抜いて貼り込んだ
部分の枠(即ち、貼り込み跡)が非画像部の地汚れとし
て認められた。しかし、本発明のものは、いずれも、地
汚れのない、鮮明な画像のものが得られた。更に、これ
らをオフセット印刷用原版として不感脂化処理して印刷
した所、本発明のものはいずれも地汚れのない鮮明な画
質の印刷物が1万枚得られた。しかし、比較例4は、上
記の貼り込み跡が、不感脂化処理でも除去されず、刷り
出しの印刷物から発生してしまった。
【0184】以上のことより、本発明の感光材料のみ
が、良好な特性を与えることができた。 実施例27〜42 実施例25において、樹脂〔A−1〕6.5g及び樹脂
〔B−23〕33.5gの代わりに、下記表−Kの樹脂
〔A〕6.5g及び樹脂〔B〕33.5gを用いた他
は、実施例25と同様にして各感光材料を作製した。
【0185】
【表16】
【0186】本発明の感光材料はいずれも帯電性、暗電
荷保持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温高湿
(30℃、80%RH)の過酷な条件においても地カブ
リの発生のない鮮明な画像を与えた。更にオフセットマ
スター原版として印刷した所、1万枚印刷しても地汚れ
の発生のない鮮明な画質の印刷物が得られた。
【0187】更に、特定のアリール基を置換基とするメ
タクリレートを含有する樹脂〔A〕の感光体はより良好
な性能を示した。
【0188】
【発明の効果】本発明によれば、静電特性(とくに厳し
い条件下での静電特性)に優れた、鮮明で良質な画像を
有し、更に優れた機械的強度を有する電子写真感光体を
得ることができる。特に、半導体レーザー光を用いたス
キャニング露光方式に有効である。式(Ia)又は(I
b)で示される特定のメタクリレート成分を含有する繰
り返し単位を本発明の樹脂に用いることにより、更に静
電特性が向上する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機光導電材料、分光増感色素及び結着
    樹脂を少なくとも含有する光導電層を有する電子写真感
    光体において、該結着樹脂が、下記樹脂〔A〕の少なく
    とも1種及び下記樹脂〔B〕の少なくとも1種を各々含
    有して成ることを特徴とする電子写真感光体。 樹脂〔A〕 1×103 〜2×104 の重量平均分子量を有し、−P
    3 2 基、−COOH基、−SO3 H基、フェノール
    性OH基、−P(=O)(OH)R1 〔R1 は炭化水素
    基又は−OR2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す〕
    基及び環状酸無水物含有基から選択される少なくとも1
    種の極性基を含有する重合体成分を少なくとも1種含有
    するAブロックと、下記一般式(I)で示される重合体
    成分を少なくとも含有するBブロックとから構成される
    ABブロック共重合体。 【化1】 〔式(I)中、R11は炭化水素基を表わす。〕 樹脂〔B〕 2×104 〜1×106 の重量平均分子量を有し、−P
    3 2 基、−COOH基、−SO3 H基、−P(=
    O)(OH)R1 〔R1 は前記と同一の内容を表す〕基
    及び環状酸無水物含有基から選択される少なくとも1種
    の極性基を含有する重合体成分を少なくとも1種含有す
    るAブロックと下記一般式(II)で示される重合体成分
    を少なくとも含有するBブロックとから構成されるAB
    ブロック共重合体から成り、且つAブロックにおいて、
    Bブロックと結合する反対側の重合体主鎖の末端に上記
    特定の極性基のうちから選択される少なくとも1種の極
    性基を結合してなる樹脂。 【化2】 〔式(II)中、a1 及びa2 はそれぞれ水素原子、ハロ
    ゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を示す。R12は炭化
    水素基を表す。〕
  2. 【請求項2】 上記樹脂〔A〕が、一般式(I)で示さ
    れる共重合成分として下記一般式(Ia)及び下記一般
    式(Ib)で示されるアリール基含有のメタクリレート
    成分のうちの少なくとも1つを含有することを特徴とす
    る請求項1記載の電子写真感光体。 【化3】 【化4】 〔式(Ia)及び(Ib)中、A1 及びA2 は互いに独
    立に各々水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロ
    ゲン原子、シアノ基、−COR5 又は−COOR5 (R
    5 は炭素数1〜10の炭化水素基を表す)を表し、B1
    及びB2 は各々−COO−とベンゼン環を結合する単結
    合又は連結原子数1〜4個の連結基を表す。〕
  3. 【請求項3】 上記樹脂〔B〕において、全共重合体中
    に含有される特定の極性基含有重合体成分の総量が、上
    記樹脂〔A〕中に含有される特定の極性基含有重合体成
    分の総量に対し10重量%〜50重量%であることを特
    徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体。
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