JP3112698B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP3112698B2
JP3112698B2 JP03128343A JP12834391A JP3112698B2 JP 3112698 B2 JP3112698 B2 JP 3112698B2 JP 03128343 A JP03128343 A JP 03128343A JP 12834391 A JP12834391 A JP 12834391A JP 3112698 B2 JP3112698 B2 JP 3112698B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは静電特性及び耐湿性に優れた電子写真感光体に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、所定の特性を得るた
め、あるいは適用される電子写真プロセスの種類に応じ
て、種々の構成をとる。
【0003】電子写真感光体の代表的なものとして、支
持体上に光導電層が形成されている感光体及び表面に絶
縁層を備えた感光体があり、広く用いられている。支持
体と少なくとも1つの光導電層から構成される感光体
は、最も一般的な電子写真プロセスによる、即ち帯電、
画像露光及び現像、更に必要に応じて転写による画像形
成に用いられる。
【0004】更には、ダイレクト製版用のオフセット原
版として電子写真感光体を用いる方法が広く実用されて
いる。特に近年、ダイレクト電子写真平版は数百枚から
数千枚程度の印刷枚数で高画質の印刷物を印刷する方式
として重要となってきている。こうした状況の中で、電
子写真感光体の光導電層を形成するために使用する結着
樹脂は、それ自体の成膜性および光導電性粉体の結着樹
脂への分散能力が優れるとともに、形成された記録体層
の基材に対する接着性が良好であり、しかも記録体層の
光導電層は帯電能力に優れ、暗減衰が小さく、光減衰が
大きく、前露光疲労が少なく、且つ、撮影時の湿度の変
化によってこれら特性を安定に保持していることが必要
である等の各種の静電特性および優れた撮像性を具備す
る必要がある。
【0005】更に、電子写真感光体を用いた平版印刷用
原版の研究が鋭意行なわれており、電子写真感光体とし
ての静電特性と印刷原版としての印刷特性を両立させた
光導電層用の結着樹脂が必要である。
【0006】無機光導電材料、分光増感色素及び結着樹
脂を少なくとも含有する光導電層において、結着樹脂の
化学構造によって、平滑性のみならず静電特性が大きく
影響を受けることが判ってきた。特に静電特性におい
て、暗中電荷保持率(D.R.R.)や光感度が大きく
左右される。
【0007】これに対し、特開昭63−217354
号、同64−70761号に記載の技術によれば、酸性
基含有重合成分が重合体主鎖にランダムに存在する低分
子量の樹脂あるいは重合体主鎖の片末端に酸性基を結合
して成る低分子量の樹脂を結着樹脂として用いる事で平
滑性及び静電特性を良化できる様になった。これらは、
該低分子量の樹脂が、光導電体の分散を充分に行ない光
導電体同志の凝集を抑制する効果を有すること及び光導
電体と分光増感色素との吸着を疎外しないで該無機光導
電体の化学量論的な欠陥に充分に吸着するとともに光導
電体の表面をゆるやかに且つ充分に被覆していることに
よると推定される。
【0008】その作用機構により、無機光導電体の化学
量論的な欠陥部が多少変動しても、充分な吸着領域をも
つ事から比較的安定した無機光導電体、分光増感色素及
び樹脂同志の相互作用が保たれると推論される。
【0009】そして、これらの低分子量の樹脂のみでは
不充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめるため
に、中〜高分子量の他の樹脂を併用する技術あるいは硬
化性基を含有した樹脂を併用して成膜後に硬化する技術
等が特開昭64−564号、同63−220149号、
同63−220148号、特開平1−280761号、
同1−116643号、同1−169455号、同1−
211766号、同2−34859号、同2−5306
4号、同2−56558号、特願平1−163796
号、同1−212994号、同1−229379号、同
1−189245号等に記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の樹脂又は樹脂の組合せを用いても、環境が高温・高湿
から低温・低湿まで著しく変動した場合における安定し
た性能の維持においてはいまだ不充分であることが判っ
た。半導体レーザー光を用いたスキャンニング露光方式
では、従来の可視光による全面同時露光方式に比べ、露
光時間が長くなり、また露光強度にも制約があることか
ら、静電特性、特に暗電荷保持特性、光感度に対して、
より高い性能が要求される。
【0011】特に、電子写真式平版印刷用原版におい
て、半導体レーザー光を用いたスキャンニング露光方式
を採用した場合,従来の感光体で実際に試験してみる
と、上記の静電特性が十分に満足できるものでなく、特
にE1/2 とE1/10との差が大きく複写画像の階調が軟調
となり、更には露光後の残留電位を小さくするのが困難
となり、複写画像のカブリが顕著となってしまい、又、
オフセットマスターとして印刷しても、印刷物に印刷原
稿の貼り込み跡が出てしまう等の問題が現れた。
【0012】更に、近年、線画及び網点から成る画像の
複写画像のみならず、連続階調から成る高精細な画像を
液体現像剤を用いて忠実に再現する技術の実現が望まれ
ているが、前記公知の技術はこれらの要望まで十分に満
足できるものではなかった。
【0013】従来公知の技術においては、低分子量の樹
脂と併用する中〜高分子量の樹脂によって、上記低分子
量の樹脂で高性能化された静電特性が低下することがあ
り、実際に前記した様なこれら公知の樹脂の組合せで用
いた光導電層を有する電子写真感光体は、前述の様な高
精細な画像(特に連続階調画像)の忠実な複写画像の再
現性あるいは、低出力のレーザー光を用いたスキャンニ
ング露光方式による撮像性に対して、問題を生じ得るこ
とが明らかになった。
【0014】本発明は、以上の様な従来公知の電子写真
感光体の有する課題を改良するものである。本発明の目
的は、複写画像形成時の環境が低温低湿あるいは高温高
湿の如く変動した場合でも、常に安定して良好な静電特
性を維持し、鮮明で良質な画像を有する電子写真感光体
を提供することである。
【0015】本発明の他の目的は、静電特性に優れ且つ
環境依存性の小さいCPC電子写真感光体を提供するこ
とである。本発明の他の目的は、半導体レーザー光を用
いたスキャンニング露光方式に有効な電子写真感光体を
提供することである。
【0016】本発明の更なる目的は、電子写真式平版印
刷原版として、静電特性(特に暗電荷保持性及び光感
度)に優れ、原画(特に高精細な連続階調画像)に対し
て忠実な複写画像を再現し、且つ、印刷物の全面一様な
地汚れはもちろん点状の地汚れをも発生させず、また耐
刷性の優れた平版印刷原版を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的は無機光導電
体、分光増感色素及び結着樹脂を少なくとも含有する光
導電層を有する電子写真感光体において、該結着樹脂
が、下記に示される樹脂〔A〕の少なくとも1種及び下
記樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有して成る事を特徴
とする電子写真感光体により達成されることが見出され
た。 樹脂〔A〕1×103 〜2×104 の重量平均分子量を
有し、下記一般式(I)で示される繰り返し単位からな
る重合体成分30重量%以上と、−PO3 2 、−SO
3 H、−COOH、−P(=O)(OH)R1 〔R1
炭化水素基又は−OR2 (R2 は炭化水素基を表す)を
表す〕及び環状酸無水物基から選択される少なくとも1
種の極性基を有する重合体成分0.5〜15重量%とを
含有することからなる共重合体。
【0018】
【化4】
【0019】式(I)中、a1、a2は各々水素原子、ハ
ロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を表す。R3は炭
化水素基を表す。〕 樹脂〔B〕 2×104〜1×106の重量平均分子量を有し、上記樹
脂〔A〕における一般式(I)で示される繰り返し単位
からなる重合体成分(イ)と上記樹脂〔A〕で示される
特定の極性基のうちから選択される少なくとも1種の極
性基を含有する重合体成分(ロ)とを少なくとも含有す
ることから成る高分子鎖を少なくとも3個同一の有機分
子に結合して成り、該重合体成分(イ)を30重量%以
上及び該重合体成分(ロ)を0.05〜10重量%含有
するスター型共重合体。
【0020】即ち、本発明の結着樹脂は、上記一般式
(I)で示される重合体成分と上記特定の極性基含有の
重合体成分とを含有する低分子量ランダム共重合体(樹
脂〔A〕)と、上記式(I)で示される重合体成分と上
記特定の極性基含有成分とを含有する高分子鎖を少なく
とも3個同一の有機分子に結合して成るスター型共重合
体(樹脂〔B〕)とから少なくとも構成される。
【0021】種々検討の結果、前述の如く、低分子量の
極性基含有樹脂を中〜高分子量の樹脂と併用する公知の
技術においては、併用する中〜高分子量の樹脂により、
上記低分子量の樹脂で高性能化された静電特性が低下し
てしまうことのあることが判った。そして、これらの中
〜高分子量樹脂が、該光導電層中で、光導電体、分光増
感色素及び低分子量の樹脂同志の相互作用に更に適切に
相互作用させることも、予想以上に重要な原因であるこ
とが明らかになってきた。
【0022】かかる検討を重ねた結果、極性基を含有す
る低分子量の樹脂〔A〕と併用すべき中〜高分子量の樹
脂として、本発明に従う式(I)で示される成分と極性
基含有の成分とを含有する高分子鎖を3個以上同一の有
機分子に特定量結合してなるスター型共重合体を用いる
ことにより、前記課題が有効に解決されることが見出さ
れたものである。
【0023】この事は、本発明の結着樹脂〔A〕及び
〔B〕の相乗効果により、光導電体粒子が充分に分散さ
れ且つ凝縮しない状態で存在し、更に分光増感色素が光
導電体粒子表面に充分に吸着されていること及び光導電
体表面の余分な活性サイトを結着樹脂が充分に吸着して
トラップを補償していること等によるものと推定され
る。
【0024】即ち、特定の極性基を含有した低分子量体
の樹脂〔A〕は、光導電体粒子に充分吸着して該粒子を
均一に分散し、その高分子鎖が非常に短いことにより凝
集を抑制すること、又、分光増感色素の吸着疎外を起こ
さないこと等の重要な作用を有する。
【0025】更に、特定の重合体成分を含有する高分子
鎖が同一分子に少なくとも3個結合されたスター型共重
合体を用いることで、光導電層の機械的強度が充分に保
持されると同時に静電特性(特に光感度)の向上及び撮
像性(特に連続階調画像の再現性)の向上が図られた。
これは、詳細は不明であるが、この樹脂の重合体成分ブ
ロックがスター型に規制されたことによる高分子鎖間の
絡み合い効果の向上とともに、更に静電特性が良化する
効果に寄与していることから、光導電体粉末、分光増感
色素及び樹脂〔A〕の相互作用において、この樹脂が該
色素の吸着疎外の抑制あるいは電子写真的な相互作用に
適切に関与しているものと考えられる。
【0026】この作用は、近赤外〜赤外光の分光増感用
色素として特に有効なポリメチン色素あるいはフタロシ
アニン系顔料で特に顕著な効果を示した。一方、光導電
体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の電子写真感
光体を従来公知のダイレクト刷版として用いた場合には
優れた撮像性とともに著しく良好な保水性を示す。
【0027】即ち、電子写真感プロセスを経て複写画像
を形成した本発明の感光体を、従来公知の不感脂化処理
液により非画像部を化学処理により不感脂化して、印刷
用原版とし、これをオフセット印刷により印刷した時に
優れた印刷用原版としての性能を示すものである。
【0028】本発明の感光体を不感脂化処理すると、非
画像部の親水化が充分になされ、保水性が向上すること
から印刷枚数が飛躍的に向上した。これは、上記した酸
化亜鉛粒子が均一に分散されていること及び酸化亜鉛粒
子表面に存在する結着樹脂の存在状態が適切で不感脂化
処理液との不感脂化反応が疎外されず迅速に且つ効果的
に進行することによるものと考えられる。
【0029】更には本発明において、低分子量の樹脂
〔A〕として、下記一般式(Ia)及び一般式(Ib)
で示される、2位に、及び/又は2位と6位に特定の置
換基を有するベンゼン環又は無置換のナフタレン環を含
有する、特定の置換基をもつメタクリレート成分と酸性
基成分とを含有する樹脂〔A〕(以降この低分子量体を
とくに樹脂〔AA〕と称する)であることが好ましい。
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】〔式(Ia)及び(Ib)中、A1 及びA
2 は互いに独立に、それぞれ水素原子、炭素数1〜10
の炭化水素基、塩素原子、臭素原子、−COR4 又は−
COOR4 (R4 は炭素数1〜10の炭化水素基を示
す)を表す。
【0033】B1 及びB2 はそれぞれ−COO−とベン
ゼン環を結合する、単結合又は連結原子数1〜4個の連
結基を表わす。〕上記特定の樹脂〔AA〕を用いると樹
脂〔A〕の場合よりもより一層電子写真特性(特に
10、D.R.R、E1/10)の向上が達成できる。
【0034】この事の理由は不明であるが、1つの理由
として、メタクリレートのエステル成分である、オルト
位に置換基を有する平面性のベンゼン環又はナフタレン
環の効果により、膜中の酸化亜鉛界面でのこれらポリマ
ー分子鎖の配列が適切に行なわれることによるものと考
えられる。
【0035】以下に、本発明の結着樹脂について詳しく
説明する。まず、本発明の樹脂〔A〕について説明す
る。樹脂〔A〕の重量平均分子量は1×103 〜2×1
4 であり、樹脂〔A〕のガラス転移点は好ましくは−
30℃〜110℃、より好ましくは−20℃〜90℃で
ある。
【0036】樹脂〔A〕の分子量が1×103 より小さ
くなると、皮膜形成能が低下し充分な膜強度を保てず、
一方分子量が2×104 より大きくなると、特に近赤外
〜赤外分光増感色素を用いた感光体において、高温・高
湿、低温・低湿の苛酷な条件下での暗減衰保持率及び光
感度の変動が多少大きくなり、安定した複写画像が得ら
れるいとう本発明の効果が薄れてしまう。
【0037】樹脂〔A〕における一般式(I)の繰り返
し単位に相当する重合体成分の存在割合は30重量%以
上、好ましくは50〜97重量%、極性基を含有する共
重合体成分の割合は0.5〜15重量%、好ましくは1
〜10重量%である。
【0038】樹脂〔A〕における極性基含有量が0.5
重量%より少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度
を得ることができない。一方、該極性基含有量が15重
量%よりも多いと、いかに低分子量体といえども分散性
が低下し、更にオフセットマスターとして用いるときに
地汚れが増大する。
【0039】次に樹脂〔A〕中に30重量%以上含有さ
れる、前記一般式(I)で示される繰り返し単位を更に
説明すると、a1 、a2 は各々水素原子、ハロゲン原子
( 例えば塩素原子、臭素原子) 、シアノ基又は炭素数1
〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基等)を表す。R3 は炭化水素基を表し、
具体的にはアルキル基、アラルキル基又は芳香族基を表
し、好ましくはベンゼン環又はナフタレン環を含有する
炭化水素基であるアラルキル基又は芳香族基である。
【0040】更に、R3 は好ましくは炭素数1〜18の
置換されていてもよい炭化水素基を表わす。置換基とし
ては樹脂〔A〕における上記該極性基含有の重合体成分
に含有される前記極性基以外の置換基であればいずれで
もよく、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩
素原子、臭素原子等)、−OR5 、−COOR5 、−O
COR5 (R5 は炭素数1〜22のアルキル基を表わ
し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、
ヘキサデシル基、オクタデシル基等である)等の置換基
が挙げられる。好ましい炭化水素基としては、炭素数1
〜18の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサ
デシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−
ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカ
ルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモ
プロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいア
ルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、
2−ブテニル基、2−ぺンテニル基、3−メチル−2−
ぺンテニル基、1−ぺンテニル基、1−ヘキセニル基、
2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基
等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプ
ロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、
クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル
基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチル
ベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8
の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル
基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロぺンチル
エチル基等)又は炭素数6〜12の置換されてもよい芳
香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、
キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、
オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフ
ェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、
デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロ
フェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、ア
セチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エ
トキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェ
ニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェ
ニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)等があげら
れる。
【0041】R3 の示す炭化水素基において、R3 が脂
肪族基の場合には好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基
を式(I)で表わされる成分中の60重量%以上含有す
ることが好ましい。
【0042】このような置換基R3 を有する成分である
一般式(I)の繰り返し単位において、より好ましくは
前記一般式(Ia)及び/又は一般式(Ib)で示され
る繰り返し単位の重合体成分が挙げられる。
【0043】式(Ia)において、好ましいA1 及びA
2 として、互いに独立に各々水素原子、塩素原子及び臭
素原子の外に、炭素数1〜10の炭化水素基として、好
ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、炭素数7〜9のア
ラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フ
ェニルプロピル基、クロロベンジル基、ジクロロベンジ
ル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、メトキシ
ベンジル基、クロロメチルベンジル基)及びアリール基
(例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ブロモフ
ェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジ
クロロフェニル基)、並びに−COR 4及び−COOR
4 (好ましいR4 としては上記の炭素数1〜10の好ま
しい炭化水素基として記載したものを挙げることができ
る)を挙げることができる。
【0044】式(Ia)及び(Ib)において、B1
びB2 は各々−COO−とベンゼン環を結合する単結合
又は−(CH2 a −(aは1〜3の整数を表す)、−
CH2 OCO−、−CH2 CH2 OCO−、−(CH2
b −(bは1又は2の整数を表す)、−CH2 CH
2 O−等の如き連結原子数1〜4個の連結基であり、よ
り好ましくは単結合又は結合原子数1〜2個の連結基を
挙げることができる。
【0045】本発明の樹脂〔A〕で用いられる式(I
a)又は(Ib)で示される繰り返し単位の具体例を以
下に挙げる。しかし、本発明の範囲はこれに限定される
ものではない。また、以下の(a−1)〜(a−20)
において、cは1〜4の整数、dは0又は1〜3の整
数、eは1〜3の整数、R6 はいずれも−CcH2c+1
は−(CH2 d −C6 5 (ただし、c、dは上記と
同じ)を表し、D1 及びD2 は同じでも異なってもよ
く、水素原子、−Cl、−Br、−Iのいずれかを表
す。
【0046】
【化7】
【0047】
【化8】
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】
【化11】
【0051】次に低分子量の樹脂〔A〕の極性基含有成
分について説明する。該極性基は、−PO3 2 、−S
3 H、−COOH、−P(=O)(OH)R 1 環状
酸無水物含有基から少なくとも1種選ばれるものである
ことが好ましい。
【0052】ここで、−P(=O)(OH)R1 は、下
記化12で表わされる基を示し、ここにおいて該R1
炭化水素基又は−OR2 基(R2 は炭化水素基を表す)
を表し、具体的にはR1 は炭素数1〜6の置換されてい
てもよい炭化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロムエ
チル基、2−フロロエチル基、3−クロロプロピル基、
3−メトキシプロピル基、2−メトキシブチル基、ベン
ジル基、フェニル基、プロペニル基、メトキシメチル
基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基)等であ
り、R2 はR1 と同一の内容を表す。
【0053】
【化12】
【0054】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0055】脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、
コハク酸無水物、、グルタコン酸無水物環、マレイン酸
無水物環、シクロぺンタン−1,2−ジカルボン酸無水
物環、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物
環、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物環、
2,3−ビシクロ〔2.2.2〕オクタジカルボン酸無
水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原子、
臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチ
ル基、ヘキシル基等のアルキル基等が置換されていても
よい。
【0056】また、芳香族ジカルボン酸無水物の例とし
ては、フタル酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無
水物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン
−ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、
例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、
ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカル
ボニル基(アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、
エトキシ基等)等が置換されていてもよい。
【0057】樹脂〔A〕の極性基を含有する共重合成分
は、例えば一般式(I)〔一般式(Ia)、(Ib)も
含む〕で示される繰り返し単位に相当する単量体と共重
合し得る該極性基を含有するビニル系化合物であればい
ずれでもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・
ハンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に
記載されている。具体的には、アクリル酸、α及び/又
はβ置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−ア
セトキシメチル体、α−(2−アミノ)チル体、α−
クロロ体、α−ブロモ体、α−フルオロ体、α−トリブ
チルシリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロ
モ体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ
体等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エス
テル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アル
ケニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチ
ル−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2
−ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレ
イン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド
類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボ
ン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体、及
びこれらのカルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、
アミド誘導体の置換基中に該極性基を含有する化合物等
が挙げられる。以下に極性基含有の共重合成分について
例示する。ここで、b1 はH又はCH3 を示し、b2
H、CH3 又はCH 2 COOCH3 を示し、R7 は炭素
数1〜4のアルキル基を示し、R8 は炭素数1〜6のア
ルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、fは1〜
3の整数を示し、gは2〜11の整数を示し、hは1〜
11の整数を示し、iは2〜4の整数を示し、jは2〜
10の整数を示す。
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】
【化18】
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】
【化22】
【0068】
【化23】
【0069】
【化24】
【0070】更に低分子量体の樹脂〔A〕は、前記した
一般式(I)、(Ia)及び/又は(Ib)の単量体及
び前記極性基を含有する単量体と共に、これら以外の他
の単量体を共重合成分として含有してもよい。
【0071】このような他の共重合成分としては、例え
ば一般式(I)で説明した以外の置換基を含有するメタ
クリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、クロトン
酸エステル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビ
ニル又はアリル酸エステル類(例えばカルボン酸とし
て、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナ
フタレンカルボン酸等)、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル類
(例えばジメチルエステル、ジエチルエステル等)、ア
クリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類(例
えばスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒド
ロキシスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレ
ン、メトキシカルボニルスチレン、メタンスルホニルオ
キシスチレン、ビニルナフタレン等)、ビニルスルホン
含有化合物、ビニルケトン含有化合物、複素環ビニル類
(例えばビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイ
ミダゾール、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、
ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、ビニルキノリ
ン、ビニルテトラゾール、ビニルオキサジン等)等が挙
げられる。
【0072】樹脂〔A〕は重量平均分子量が1×103
〜2×104 の低分量のランダム共重合体であるが、こ
れらの重合方法は、従来公知の方法において、重合条件
を選択することでラジカル重合、イオン重合等の方法で
容易に合成することができる。重合する単量体、重合溶
媒、反応設定温度等から、ラジカル重合反応を行なうこ
とが精製、装置、反応方法等の点から有利で好ましい。
【0073】具体的には、重合開始剤として、通常知ら
れているアゾビス系開始剤、過酸化物等が挙げられる。
特に低分子量体を合成する特徴としては、該開始剤の使
用量の増量あるいは重合設定温度を高くするといった公
知の方法を適用すればよい。具体的には、開始剤使用量
としては全単量体に対して、0.1〜20重量%の範囲
で、重合設定温度は30℃〜200℃の範囲で行なうこ
とができる。
【0074】更には、連鎖移動剤を併用する方法も知ら
れている。例えばメルカプト化合物、ハロゲン化化合物
等を全単量体量に対して0.01〜10重量%の範囲で
用いることで所望の重量平均分子量に調整することがで
きる。
【0075】次に本発明の樹脂〔B〕について説明す
る。樹脂〔B〕は、上記一般式(I)で示される重合体
成分(イ)と特定の極性基含有の重合体成分(ロ)とを
少なくとも含有する高分子鎖を少なくとも3個同一有機
子に結合した、いわゆるスター型共重合体からなる樹
脂である。即ち、該重合体を模式的に示すと例えば下記
のように表される。
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】上記において、Xは有機分子を表し、〔P
olymer〕は高分子鎖を表す。ここで、有機分子に
結合した3個以上存在する高分子鎖は、それぞれ構造的
に同一であっても異なっていてもよく、それぞれ少なく
とも一般式(I)で示される重合体成分と極性基含有成
分とを上記割合で含有していればよい。またそれぞれの
高分子鎖の長さも同じであっても異なっていてもよい。
【0079】樹脂〔B〕の重量平均分子量は2×104
〜1×106 、好ましくは3×104 〜5×105 であ
る。樹脂〔B〕の分子量が2×104 より小さくなる
と、皮膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、また分
子量が1×106 より大きくなると本発明の樹脂〔B〕
の効果が少なくなり、従来公知の樹脂と同程度の電子特
性になってしまう。
【0080】該樹脂〔B〕のガラス転移点は、−10℃
〜100℃の範囲のものが好ましいが、より好ましくは
0℃〜90℃である。樹脂〔B〕は、上記の様に枝分れ
したスター型共重合体となっているが共重合体全体とし
ての各重合体成分の割合は上記の内容と同一のものであ
る。
【0081】上記樹脂〔B〕中に含有される共重合成分
である一般式(I)で示される重合成分及び特定の極性
基含有成分の具体的内容は、樹脂〔A〕において説明し
たと同様のものが挙げられる。
【0082】スター型共重合体〔B〕における、特定の
極性基含有成分の重合体成分量は、共重合体〔B〕10
0重量部当り0.05〜10重量部、より好ましくは
0.1〜5重量部の割合で含有される。
【0083】樹脂〔B〕における極性基含有量が0.0
5重量%より少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃
度を得ることができず、該極性基含有量が10重量%よ
りも多いと、分散性が低下し、膜平滑度及び電子写真特
特性の高温高湿が低下し、更にオフセットマスターとし
て用いるときに地汚れが増大するため、好ましくない。
【0084】更に、樹脂〔B〕中に含有される特定の極
性基含有の重合体成分は、樹脂〔A〕中に含有される特
定の極性基含有重合体成分の総量に対して10重量%〜
50重量%の範囲で用いられることが好ましい。該量が
10重量%より少ないと、電子写真特性(特に暗中電荷
保持率、光感度)の低下が著しく、膜の強度も低下す
る。また、50重量%を超えると、分散の均一化が不充
分となり、電子写真特性が低下し、オフセット原版とし
ては保水性が低下する。
【0085】上記の如き特定の極性基を含有する重合成
分は該高分子鎖中に2種以上含有されていてもよい。一
方、樹脂〔B〕において一般式(I)で示される繰り返
し単位からなる重合体成分の量は、その全共重合体重量
中30重量パーセント以上、好ましくは30重量%〜9
9.95重量%、より好ましくは50重量%〜99.5
重量%である。
【0086】また、樹脂〔B〕は、上記した重合体成分
以外に他の共重合体成分を含有してもよく、かかる重合
体成分としては好ましくは下記一般式(II)の繰り返
し単位に相当する重合体成分が挙げられる。
【0087】
【化27】
【0088】〔式(II)中、X1 は−COO−、−O
CO−、−(CH2 p −OCO−、−(CH2 p
COO−(pは1〜3の整数を表わす)、−O−、−S
2−、−CO−、−CON2 −、−SO2
2 −、−CONHCOO−、−CONHCONH
−又は−C6 4 −を表わす(ここでQ2 は水素原子又
は炭化水素基を表わす。)Q1 は炭化水素基を表わす。
【0089】m1 及びm2 は、互いに同じでも異なって
もよく、前記式(I)中のa1 、a2 とそれぞれ同一の
内容を表わす。〕ここで、Q2 は水素原子のほか、好ま
しい炭化水素基としては、炭素数1〜18の置換されて
もよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデ
シル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2
−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、
2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭
素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例え
ば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、
2−ぺンテニル基、3−メチル−2−ぺンテニル基、1
−ぺンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル
基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜1
2の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチル
メチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、
ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル
基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメト
キシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい
脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキ
シルエチル基、2−シクロぺンチルエチル基等)、又は
炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、
フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロ
ピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル
基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキ
シフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェ
ニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロ
モフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル
基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボキ
シフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセト
アミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシ
ロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0090】X1 が−C6 4 −を表わす場合、ベンゼ
ン環は置換基を有してもよい。置換基としては、ハロゲ
ン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、アルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アルコキシ基
(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブ
トキシ基等)等が挙げられる。Q1 は、炭化水素基を表
わし、好ましい炭化水素基としては、炭素数1〜22の
置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル
基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シ
アノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−
メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数
4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2
−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペ
ンテニル基、3−メチル−2−ぺンテニル基、1−ぺン
テニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−
メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換
されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェ
ネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル
基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモ
ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メ
トキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベ
ンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式
基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエ
チル基、2−シクロぺンチルエチル基等)、炭素数6〜
12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル
基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェ
ニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデ
シルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニ
ル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、
クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニ
ル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキ
シカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル
基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェ
ニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミ
ドフェニル基等)が挙げられる。
【0091】更に好ましくは、一般式(II)におい
て、X1 は−COO−、−OCO−、−CH2 OCO
−、−CH2 COO−、−O−、−CONH−、−SO
2 NH−又は−C6 4 −を表わす。
【0092】更には、式(II)に示される重合体成分
とともに該樹脂〔B〕中に含有され得る重合体成分とし
て、該式(II)の重合体成分と共重合しうる他の繰り
返し単位に相当する単量体、例えばアクリロニトリル、
メタクリロニトリル、複素環ビニル類(例えばビニルピ
リジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、ビニ
ルチオフェン、ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、
ビニルオキサジン等)等が挙げられる。これら他の単量
体は樹脂〔B〕の全重合体成分100重量部中20重量
部を超えない範囲で用いられる。
【0093】本発明のスター型共重合体〔B〕は、従来
公知の極性基含有で且つ重合性二重結合基をもつ単量体
のスター型ポリマーの合成法を利用して合成することが
できる。例えばその一つとしてカルバニオンを開始剤と
する重合反応が挙げられる。具体的には、M.Mort
on、T.E.Helminiak etal、J.P
olym.Sci.、57、471(1962)、B.
GordonIII、M.Blumenthal、J.
E.Loftus、etal、Polym.Bul
l.、11、349(1984)、R.B.Bate
s、W.A.Beavers、etal、J.Org.
Chem.、44、3800(1979)に記載の方法
に従って合成できる。
【0094】但し、本反応を用いる際には、本発明の
「特定の極性基」は、保護した官能基として用いて重合
させた後、保護基の脱離を行う。これらの、本発明の特
定の極性基の保護基による保護及びその保護基の脱離
(脱保護反応)については、従来公知の知見を利用して
容易に行なうことができる。例えば前記引用文献にも種
々記載されており、更には、岩倉義男、栗田恵輔、「反
応性高分子」(株)講談社刊(1977年)、T.W.
Greene、「Protective Groups
in Organic Synthesis」,Jo
hnWiley & Sons(1981年)、J.
F.W.McOmie、「Protective Gr
oups in Organic Chemistr
y」Plenum Press、(1973年)等の総
説に詳細に記載されている方法を適宜選択して行なうこ
とができる。
【0095】他の方法としては、本発明の特定の極性基
を保護しないままの単量体を用い、ジチオカメバメート
基を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する
化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行なって
合成することもできる。例えば、大津隆行、高分子、
,248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Pol
ym.Rep.Jap.37.3508(1988)、
特開昭64−111号、特開昭64−26619号、東
信行等、Polymer Preprints、Jap
an、36、(6)、1511(1987)、M.Ni
wa、N.Higashi、etal、J.Macro
mol.Sci.Chem.A24(5)、567(1
987)等に記載の合成方法に従って合成することがで
きる。
【0096】本発明の光導電層に供される結着樹脂とし
て、本発明の樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕以外に前記した
無機光導電体用の公知の樹脂を併用することもできる。
但し、これらの他の樹脂の使用割合は、全結着樹脂10
0重量部中30重量%を越えない範囲が好ましい。この
割合を越えると、本発明の効果は著しく低下してしま
う。
【0097】併用可能な他の樹脂としては例えば、代表
的なものは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン
−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリレート共重
合体、メタクリレート共重合体、アクリレート共重合
体、酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アル
キド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエ
ステル樹脂、ポリエステル樹脂等である。
【0098】具体的には、柴田隆治・石綿次郎「高分
子」第17巻、第278頁(1968年)、宮本晴視・
武井英彦「イメージング」1973(No.8)第9
頁、中村孝一編「絶縁材料用バインダーの実際技術」第
10章、C.H.C.出版(1985年刊)、D.D.
Tatt、S.C.Heidecker、Tappi、
49(No.10)、439(1966)、E.S.B
altazzi、R.G.Blanclotte et
al、Photo.Sci.Eng.16(No.
5)、354(1972)、グエン・チャン・ケー、清
水 勇、井上英一、電子写真学会誌18(No.2)、
28(1980)、特公昭50−31011号、特開昭
53−54027号、同54−20735号、同57−
202544号、同58−68046号各号公報等に開
示の樹脂が挙げられる。
【0099】本発明の光導電層において用いられる結着
樹脂の総量は、無機光導電体100重量部に対して、1
0重量部〜100重量部であることが好ましく、より好
ましくは15重量部〜50重量部である。
【0100】本発明の樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使用割
合は、樹脂〔A〕/樹脂〔B〕の重量比で0.05〜
0.8/0.95〜0.20であることが好ましく、よ
り好ましくは0.10〜0.50/0.90〜0.50
である。
【0101】結着樹脂の総量が10重量部以下となる
と、光導電層の膜強度が維持できなくなる。又100重
量部以上になると、静電特性が低下し、実際の撮像性に
おいても複写画像の悪化を生じてしまう。
【0102】又、本発明の樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使
用割合において樹脂〔A〕の重量比が0.05未満にな
ると、静電特性向上の効果が薄れてしまう。一方0.8
を超えると光導電層の膜強度が充分維持できなくなる場
合(特に電子写真式平版印刷用原版として)が生じる。
【0103】本発明に使用する無機光導電材料として
は、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウ
ム、炭酸カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウ
ム、セレン化テルル、硫化鉛等が挙げられる。
【0104】本発明に使用する分光増感色素としては、
必要に応じて各種の色素を単独又は併用して用いる。例
えば、宮本晴視、武井英彦、イメージング1973(N
o.8)第12頁、C.J.Young等、RCA R
eview 15、469(1054)、清田航平等、
電気通信学会論文誌J63C(No.2)、97
(1980)、原崎勇次等、工業科学雑誌6678及び
188(1963)、谷忠昭、日本写真学会誌35、2
08(1972)等の総説引例のカーボニウム系色素、
ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサ
ンテン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例
えば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン
色素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタロシ
アニン色素(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0105】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン色素、キサンテン系色素、フタレイン
系色素を中心に用いたものとしては、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号、
米国特許第3,052,540号、同4,054,45
0号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙げ
られる。
【0106】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F.M.Hamer 「The Cyanine
Dyes and Related Compoun
d」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的に
は、米国特許第3,047,384号、同3,110,
591号、同3,121,008号、同3,125,4
47号、同3,128,179号、同3,132,94
2号、同3,622,317号、英国特許第1,22
6,892号、同1,309,274号、同1,40
5,898号、特公昭48−7814号、同55−18
892号等に記載の色素が挙げられる。
【0107】更に700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号、米国特許第3,619,154
号、同4,175,956号、「Research D
isclosure」1982年、216、第117〜
118頁等に記載のものが挙げられる。本発明の感光体
は種々の増感色素を併用させても、その性能が増感色素
により変動しにくい点において優れている。更には、必
要に応じて、化学増感剤等の従来知られている電子写真
感光層用各種添加剤を併用することもできる。例えば、
前記した総説:イメージング1973(No.8)第1
2頁等の総説引例の電子受容性化合物(例えば、ハロゲ
ン、ベンゾキノン、クロラニル、酸無水物有機カルボン
酸等)、小門宏等、「細菌の光導電材料と感光体の開発
・実用化」第4章〜第6章・日本科学情報(株)出版部
(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化合
物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジア
ミン化合物等が挙げられる。
【0108】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
001〜2.0重量部である。光導電層の厚さは1〜1
00μ、特に10〜50μが好適である。
【0109】また、電荷発生層と電荷輸送層の積層型感
光体の電荷発生層として光導電層を使用する場合は電荷
発生層の厚さは0.01〜1μ、特に0.05〜0.5
μが好適である。
【0110】感光体の保護および耐久性、暗減衰特性の
改善等を主目的として絶縁層を付設させる場合もある。
この時は絶縁層は比較的薄く設定され、感光体を特定の
電子写真プロセスに用いる場合に設けられる絶縁層は比
較的厚く設定される。
【0111】後者の場合、絶縁層の厚さは、5〜70
μ、特には、10〜50μに設定される。積層型感光体
の電荷輸送材料としてはポリビニルカルバゾール、オキ
サゾール系色素、ピラゾリン系色素、トリフェニルメタ
ン系色素などがある。電荷輸送層の厚さとしては5〜4
0μ、特には10〜30μが好適である。
【0112】絶縁層あるいは電荷輸送層の形成に用いる
樹脂としては、代表的なものは、ポリスチレン樹脂、ポ
リエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、
塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体
樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂の
熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂が適宜用いられる。
【0113】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般に云って電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プ
ラスチックシート等の基に低抵抗性物質を含浸させる
などして導電処理したもの、基の裏面(感光層を設け
る面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を
図る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、
前記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支
持体の表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレ
コート層が設けられたもの、Al等を蒸着した基体導電
化プラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用でき
る。
【0114】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例としては、坂本幸男、電子写真、14(No.
1)、P2〜11(1975)、森賀弘之、「入門特殊
紙の化学」高分子刊行会(1975)、M.F.Hoo
ver、J.Macromol.Sci.Chem.A
−4(6)、第1327〜第1417頁(1970)等
に記載されているもの等を用いる。
【0115】本発明の電子写真感光体は、従来公知のあ
らゆる電子写真プロセスを利用した用途において利用す
ることができる。即ち、本発明の感光体はPPC方式お
よびCPC方式のいずれの記録方式にも利用でき、又、
現像剤として乾式現像剤あるいは液体現像剤のいずれの
組合せにも用いることができる。
【0116】特に、高精細なオリジナルの忠実な複写画
像形成が可能なことから、液体現像剤との組合せで利用
すると、本発明の効果がより発揮される。又カラー現像
剤との組合せとすることで、黒白複写画像のみならず、
カラー複写画像にも応用することができる(例えば、滝
沢九郎、「写真工業」33、34(1975年)、安西
正保、「電子通信学会技術研究報告77、17(197
7年)等に記載の方法)。
【0117】更に近年の電子写真プロセスを利用した他
の用途への利用のシステムにおいても有効である。例え
ば光導電体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の感
光体は、オフセット平版印刷用原版として、又無公害で
白色度の良好な光導電性酸化亜鉛あるいは光導電性酸化
チタンを用いた感光体は、オフセット印刷プロセスで用
いられる版下用記載材料あるいはカラープループ等に用
いることができる。
【0118】
【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
の内容がこれらに限定されるものではない。
【0119】〔樹脂〔A〕の合成〕 樹脂〔A〕の合成例1:〔A−1〕 ベンジルメタクリレート95g、アクリル酸5g及びト
ルエン200gの混合溶液を窒素気流下90℃の温度に
加温した後、A.I.B.N.6.0gを加え4時間反
応させた。更にA.I.B.N.2gを加え2時間反応
させた。得られた共重合体〔A−1〕の重量平均分子量
(Mwと略称する)は8500であった。
【0120】
【化28】
【0121】樹脂〔A〕の合成例2〜28:〔A−2〕
〜〔A−28〕 樹脂〔A〕の合成例1の重合条件と同様に操作して下記
表−Aの各樹脂〔A−2〕〜〔A−28〕を合成した。
【0122】各樹脂〔A〕のMwは5.0×103
9.0×103 であった。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
【表4】
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
【表7】
【0130】樹脂〔A〕の合成例29:〔A−29〕 2,6−ジクロロフェニルメタクリレート95g、アク
リル酸5g、n−ドデシルメルカプタン2g及びトルエ
ン200gの混合溶液を窒素気流下80℃の温度に加温
した後、A.I.B.N.2gを加え4時間反応し、次
にA.I.B.N.0.5gを加え2時間、更にA.
I.B.N.0.5gを加え3時間反応した。冷却後、
メタノール/水(9/1)の混合溶液2l中に再沈し、
沈殿物をデカンテーションで補集し、減圧乾燥した。得
られたワックス状の共重合体の収量は78gで、Mwは
6.3×103 であった。 〔樹脂〔B〕の合成〕 樹脂〔B〕の合成例1:〔B−1〕 メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート32
g、アクリル酸1g及び下記構造の開始剤〔I−1〕1
7.5g及びテトラヒドロフラン150gの混合溶液を
窒素気流下に温度50℃に加温した。この溶液に400
Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルター
を通して10時間光照射し光重合した。得られた反応物
をメタノール1リットル中に再沈し、沈殿物を補集し乾
燥して、収量72gで重量平均分子量(Mw:樹脂
〔B〕にいうMwはポリスチレン換算によるGPC法に
よる値)5×104 の重合体を得た。
【0131】
【化29】
【0132】
【化30】
【0133】樹脂〔B〕の合成例2:〔B−2〕 樹脂〔B〕の合成例1において、開始剤〔I−1〕1
7.5gの代わりに、下記構造の開始剤〔I−2〕10
gを用いた他は、合成例1と同様の条件で操作した。得
られた重合体の収量は75gでMw6×104 であっ
た。
【0134】
【化31】
【0135】
【化32】
【0136】樹脂〔B〕の合成例3〜9:〔B−3〕〜
〔B−9〕 メチルメタクリレート65g、メチルアクリレート30
g、N−ビニルピロリドン4g、メタクリル酸1g、下
記表−Bの開始剤0.0312モル及びテトラヒドロフ
ラン100gの混合溶液とした他は、合成例1と同様の
条件で操作し、各重合体を得た。
【0137】得られた各重合体のMwは6×104 〜8
×104 の範囲であった。
【0138】
【表8】
【0139】
【表9】
【0140】
【表10】
【0141】樹脂〔B〕の合成例10〜15:〔B−1
0〕〜〔B−15〕 樹脂〔B〕の合成例1において、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート及びアクリル酸の代わりに、表
−Cに記載の重合成分に相当する各単量体を用いた他
は、合成例1と同様の条件で操作して各重合体を得た。
得られた各重合体のMwは5×104 〜6×104 の範
囲であった。
【0142】
【表11】
【0143】
【表12】
【0144】樹脂〔B〕の合成例16〜19:〔B−1
6〕〜〔B−19〕 メチルメタクリレート71.5g、メチルアクリレート
25g、アクリロニトリル2.5g、アクリル酸1g、
下記表−Dの開始剤を0.0315モル及びテトラヒド
ロフラン100gの混合溶液とした他は、合成例1と同
様の条件で操作して各重合体を得た。
【0145】得られた各重合体のMwは5×104 〜8
×104 の範囲であった。
【0146】
【表13】
【0147】
【表14】
【0148】樹脂〔B〕の合成例20〜24:〔B−2
0〕〜〔B−24〕 前記開始剤〔I−2〕11.3g、及び下記表−Eが示
される各重合体成分に相当する単量体の混合物を、窒素
気流下、温度40℃に加温した。
【0149】以下の操作を合成例1と同様にして、光照
射し、重合させた後、固形分を取り出し、テトラヒドロ
フラン250mlに溶解した後、メタノール1.5リッ
トル中に再沈し、沈殿物を濾集・乾燥した。各重合体の
収量は60〜75gでMwは6×104 〜8×104
あった。
【0150】
【表15】
【0151】
【表16】
【0152】実施例1並びに比較例1及び2 樹脂〔A−1〕6g(固形分量として)、樹脂〔B−
1〕34g(固形分量として)、光導電性酸化亜鉛20
0g下記構造のシアニン色素〔I〕0.018g、無水
フタル酸0.15g及びトルエン300gの混合物を、
ホモジナイザー(日本精機(株)製)中、回転数6×1
3 rpmで10分間分散して、感光層形成物を調製
し、これを導電処理した紙に、乾燥付着量が18g/m
2 となる様に、ワイヤーバーで塗布し、110℃で10
秒間乾燥し、ついで暗所で20℃、65%RHの条件下
で24時間放置することにより、電子写真感光材料を作
製した。
【0153】
【化33】
【0154】比較例1:実施例1において、樹脂〔B−
1〕34gの代わりに下記構造の樹脂〔R−1〕34g
を用いた他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光
材料を作製した。
【0155】
【化34】
【0156】比較例2:実施例1において、樹脂〔B−
1〕34gの代わりに、下記構造の樹脂〔R−2〕34
gとした他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光
材料を作製した。
【0157】
【化35】
【0158】これらの感光材料について、静電特性、撮
像性及び環境条件(20℃、65%RH)及び(30
℃、80%RH)とした時の撮像性を調べた。以上の結
果をまとめて表−Fに示す。
【0159】
【表17】
【0160】表−Fに示した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1) 静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中
で、各感光材料にペーパーアナライザー(川口電機
(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用い
て、−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間
放置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでその
まま暗中で90秒間静置させた後の電位V100 を測定
し、90秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔DRR(%)〕を(V100 /V10)×10
0(%)で求めた。
【0161】又コロナ放電により光導電層表面を−40
0Vに帯電させた後、該光導電層表面をガリウム−アル
ミニウム−ヒ素半導体レーザー(発振波長780nm)
光で照射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するま
での時間を求め、これから露光量E1/10(erg/cm
2 )を算出する。又、同様に表面電位(V10)が1/1
00に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E
1/100 (erg/cm2 )を算出する。測定時の環境条
件は、20℃、65%RH(I)と、30℃、80%R
H(II)で行なった。 注2) 撮像性:各感光材料を以下の環境条件で1昼夜
放置した後、各感光材料を−6kVで帯電し、光源とし
て2.8mW出力のガリウム−アルミニウム−ヒ素、半
導体レーザー(発振波長780nm)を用いて、感光材
料表面上で64erg/cm2 の照射量下、ピッチ25
μm及びスキャニング速度300m/secのスピード
露光後液体現像剤として、ELP−T(富士写真フイル
ム(株)製)を用いて現像し、イソパラスイコアイソパ
ーG(シェル化学(株)製)溶媒のリンス液で洗浄後定
着することで得られた複写画像(カブリ、画像の画質)
を目視評価した。
【0162】撮像時の環境条件は20℃65%RH
(I)と30℃80%RH(II)で実施した。表−F
に示す様に、本発明の感光材料は、静電特性が良好で、
実際の複写画像も地カブリがなく複写画質も鮮明であっ
た。一方、比較例1、2は、光感度(E1/10及びE
1/100 )の低下が生じ、実際の複写画像でも細線・文字
等のカスレや、リンス処理した後でも微かな地カブリが
除去されずに残存してしまった。
【0163】又、静電特性とは一致しないが、複写原稿
の連続階調部分の中間濃度でのムラ発生が生じてしまっ
た。本発明の感光体と比較例の感光体とではE1/100
が大きく異なる。E1/100 値は、実際の撮像性におい
て、露光後、非画像部(既に露光された部位)にどれだ
けの電位が残っているかを示すものであり、この値が小
さい程現像後の非画像部の地汚れが生じなくなる事を示
す。
【0164】具体的には−10V以下の残留電位
(V R にすることが必要となり、即ち実際にはVR
−10V以下とするために、どれだけ露光量が必要とな
るかということで、半導体レーザー光によるスキャンニ
ング露光方式では、小さい露光量でVR を−10V以下
にすることは、複写機の光学系の設計上(装置のコス
ト、光学系光路の精度等)非常に重要なことである。
【0165】以上のことより、本発明の樹脂を用いた場
合にのみ静電特性及び撮像性を満足する電子写真感光体
が得られ、特に半導体レーザー光スキャニング露光方式
の感光体システムに優位になることが明らかとなった。 実施例2 樹脂〔A−3〕5g(固形分量として)、樹脂〔B−
2〕35g(固形分量として)、光導電性酸化亜鉛20
0g、下記構造のメチン色素〔II〕0.020g、N
−ヒドロキシマレインイミド0.20g及びトルエン3
00gの混合物を、実施例1と同様に操作して、電子写
真感光材料を作製した。
【0166】
【化36】
【0167】この感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、
静電特性、撮像性及び環境条件を30℃、80%RHと
した時の静電特性、撮像性を調べた。更に、電子写真式
平版印刷用原版として用いた時の印刷性を調べた。
【0168】
【表18】
【0169】表−Gに示した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注3)表面層の平滑性:得られた感光材料は、ベック平
滑度試験機(熊谷理工(株)製)を用い、空気容量1c
cの条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定し
た。 注4)水との接触角:各感光材料を不感脂化処理液EP
L−EX(富士写真フィルム(株)製)を蒸留水で2倍
に希釈した溶液を用いて、エッチングプロセッサーに1
回通して光導電層面を不感脂化処理した後、これに蒸留
水2μlの水滴を乗せ、形成された水との接触角をゴニ
オメータで測定する。 注5)耐刷性:前記注2)の撮像性と同条件にして、製
版して、トナー画像を形成し、上記注4)と同条件で不
感脂化処理し、これをオフセットマスターとして、オフ
セット印刷機(桜井製作所(株)製オリバー52型)に
かけ、印刷物の非画像部の地汚れ及び画像部の画質に問
題が生じないで印刷できる枚数を示す(印刷枚数が多い
程、耐刷性が良好なことを表わす)。
【0170】表−Gに示す様に、本発明の感光材料は、
光導電層の平滑性膜の機械的強度及び静電特性が良好
で、実際の複写画像も地カブリがなく複写画質も鮮明で
あった。このことは光導電体と結着樹脂が充分に吸着
し、且つ、粒子表面を被覆していることによるものと推
定される。同様の理由で、オフセットマスター原版とし
て用いた場合でも不感脂化処理液による不感脂化処理が
充分に進行し、非画像部の水との接触角が10度以下と
小さく、充分に親水化されていることが判る。実際に印
刷して印刷物の地汚れを観察しても地汚れは全く認めら
れず、鮮明な画質の印刷物が1万枚得られた。
【0171】以上の事は、本発明の樹脂〔A〕と樹脂
〔B〕が適切に酸化亜鉛粒子と相互作用し、不感脂化処
理液による不感脂化反応が容易に且つ充分に進行し易い
状態を形成している事及び樹脂〔B〕の働きによる膜強
度の著しい向上を達成していることを示すものである。 実施例3〜18 実施例2において、樹脂〔A−3〕及び樹脂〔B−2〕
に代えて、下記表−Hの各樹脂〔A〕及び各樹脂〔B〕
に代えた他は、実施例1と同様に操作して、各電子写真
感光体を作製した。
【0172】実施例2と同様にして静電特性を測定し
た。結果を表−Hに示す。
【0173】
【表19】
【0174】又、これらの感光材料の実際の撮像性を調
べた所、細線・文字の再現性良好で中間調のムラの発生
もない、地カブリの全くない鮮明な複写画像のものが得
られた。
【0175】又、オフセットマスター原版として用い
て、実施例2と同様にして印刷した所、いずれも少なく
とも1万以上印刷することができた。以上から、本発明
の各感光材料は光導電層の平滑性、膜強度、静電特性及
び印刷性の全ての点において良好なものであった。
【0176】さらに、樹脂〔AA〕を用いることにより
静電特性がさらに向上することが判った。 実施例19〜22 実施例1において用いた、シアニン色素〔I〕の代わり
に下記表−Iの色素に代えた他は、実施例1と同様の条
件で電子写真感光材料を作製した。
【0177】
【表20】
【0178】本発明の感光材料は、いずれも帯電性、暗
電荷保持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高
湿の(30℃、80%RH)の苛酷な条件においても、
地カブリの発生のない、鮮明な画像を与えた。 実施例23及び24並びに比較例3 樹脂〔A−2〕(実施例23)又は樹脂〔A−7〕(実
施例24)のいずれか6.5g、樹脂〔B−8〕33.
5g、酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、下記構
造のメチン色素〔VII〕0.03g、下記構造のメチ
ン色素〔VIII〕0.03g、p−ヒドロキシ安息香
酸0.18g及びトルエン300gの混合物をホモジナ
イザー中で回転数7×103 rpmで10分間分散して
感光層形成物を調整し、これを導電処理した紙に、乾燥
付着量が20g/m2 となる様にワイヤーバーで塗布
し、110℃で20秒間乾燥した。次いで暗所で20
℃、65%RHの条件下で24時間放置することにより
各電子写真感光体を作製した。
【0179】
【化37】
【0180】
【化38】
【0181】比較例3 実施例23において、樹脂〔B−8〕の代わりに、下記
構造の樹脂〔R−3〕を用いた他は、実施例23と同様
にして、感光材料を作製した。
【0182】
【化39】
【0183】実施例1と同様に、各感光材料の各特性を
調べた。その結果を下記表−Jにまとめた。
【0184】
【表21】
【0185】上記の測定において、静電特性及び撮像性
については下記の操作に従った他は、実施例1と同様の
操作で行った。 注6) 静電特性のE1/10及びE1/100 の測定方法 コロナ放電により光導電層表面を−400Vに帯電させ
た後、該光導電層表面を照度2.0ルックスの可視光で
照射し、表面電位(V10)が1/10又は1/100
減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10又は
1/100 (ルックス・秒)を算出する。 注7) 撮像性: 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、全自
動製版機ELP−404V(富士写真フィルム(株)
製)でELP−Tをトナーとして用いて製版して得られ
た複写画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。撮
像時の環境条件は、20℃65%RH(I)と、30℃
80%RH(II)で実施した。但し、複写用の原稿
(即ち、版下原稿)には、ほかの原版を切り抜いて、貼
り込みを行なって作成したものを用いた。
【0186】各感光材料において、光導電層の平滑性及
び強度において、その差は認められなかった。しかし、
静電特性において、比較例3は、特に光感度E1/100
値が大きく、これは高温、高湿になるとより一層助長さ
れ、劣化してしまった。本発明の感光材料の静電特性は
良好であり、更に、特定の置換基を有する樹脂〔A〕を
用いた実施例24は、非常に良好であり、特にE1/100
の値が小さくなった。
【0187】実際の撮像性を調べて見ると、比較例3
は、複写画像として原稿以外に、切り抜いて貼り込んだ
部分の枠(即ち、貼り込み跡)が非画像部の地汚れとし
て認められた。しかし、本発明のものは、いずれも、地
汚れのない、鮮明な画像のものが得られた。
【0188】更に、これらをオフセット印刷用原版とし
て不感脂化処理して印刷した所、本発明のものはいずれ
も地汚れのない鮮明な画質の印刷物が1万枚得られた。
しかし、比較例3は、上記の貼り込み跡が、不感脂化処
理でも除去されず、刷り出しの印刷物から発生してしま
った。
【0189】以上のことより、本発明の感光材料のみ
が、良好な特性を与えることができる。 実施例25 樹脂〔A−22〕5g及び樹脂〔B−11〕35g、酸
化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベンガル
0.04g、ブロムフェノールブルー0.03g、無水
フタル酸0.40g及びトルエン300gの混合物を、
実施例22と同様に以下操作して、感光材料を作成し
た。
【0190】本発明の感光材料を、実施例22と同様に
操作して各性能を調べた所、いずれも帯電性、暗電荷保
持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高湿の
(30℃、−80%RH)の過酷な条件においても、地
カブリの発生のない、鮮明な画像を与えた。
【0191】更に、これをオフセットマスターの原版と
して用いて印刷した所、1万枚の所でも鮮明な画質の印
刷物を得た。 実施例26〜37 実施例25において、樹脂〔A−22〕5g及び樹脂
〔B−11〕35gの代わりに、下記表−Kの樹脂
〔A〕5g及び樹脂〔B〕35gを用いた他は、実施例
25と同様にして各感光材料を作製した。
【0192】
【表22】
【0193】本発明の感光材料はいずれも帯電性、暗電
荷保持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温高湿
(30℃、80%RH)の過酷な条件においても地カブ
リの発生や細線飛びの発生等のない鮮明な画像を与え
た。
【0194】更にオフセットマスター原版として印刷し
た所、1万枚印刷しても地汚れの発生のない鮮明な画質
の印刷物が得られた。
【0195】
【発明の効果】本発明によれば、静電特性(とくに厳し
い条件下での静電特性)に優れた、鮮明で良質な画像を
有し、更に優れた機械的強度を有する電子写真感光体を
得ることができる。特に、半導体レーザー光を用いたス
キャニング露光方式に有効である。
【0196】式(Ia)又は(Ib)で示される特定の
メタクリレート成分を含有する繰り返し単位を本発明の
樹脂に用いることにより、更に静電特性が向上する。
【表23】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/05 101

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機光導電材料、分光増感色素及び結着
    樹脂を少なくとも含有する光導電層を有する電子写真感
    光体において、該結着樹脂が、下記樹脂〔A〕の少なく
    とも1種及び下記樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有し
    て成ることを特徴とする電子写真感光体。 樹脂〔A〕 1×103〜2×104の重量平均分子量を有し、下記一
    般式(I)で示される繰り返し単位からなる重合体成分
    30重量%以上と、−PO32、−SO3H、−COO
    H、−P(=O)(OH)R1〔R1は炭化水素基又は−
    OR2(R2は炭化水素基を表す)を表す〕及び環状酸無
    水物基から選択される少なくとも1種の極性基を有する
    重合体成分0.5〜15重量%とを含有することからな
    る共重合体。 【化1】 式(I)中、a1、a2は各々水素原子、ハロゲン原子、
    シアノ基又は炭化水素基を表す。R3は炭化水素基を表
    す。〕 樹脂〔B〕 2×104〜1×106の重量平均分子量を有し、上記樹
    脂〔A〕における一般式(I)で示される繰り返し単位
    からなる重合体成分(イ)と上記樹脂〔A〕で示される
    特定の極性基のうちから選択される少なくとも1種の極
    性基を含有する重合体成分(ロ)とを少なくとも含有す
    ることから成る高分子鎖を少なくとも3個同一の有機分
    子に結合して成り、該重合体成分(イ)を30重量%以
    上及び該重合体成分(ロ)を0.05〜10重量%含有
    するスター型共重合体。
  2. 【請求項2】 上記樹脂〔A〕が、一般式(I)で示さ
    れる共重合体成分として下記一般式(Ia)及び下記一
    般式(Ib)で示されるアリール基含有のメタクリレー
    ト成分のうちの少なくとも1つを含有することを特徴と
    する請求項1記載の電子写真感光体。 【化2】 【化3】 式(Ia)及び(Ib)中、A1及びA2は互いに独立に
    各々水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原
    子、臭素原子、−COR4又は−COOR4(R4は炭素
    数1〜10の炭化水素基を表す)を表し、B1及びB2
    各々−COO−とベンゼン環を結合する単結合又は連結
    原子数1〜4個の連結基を表す。〕
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