JP3112718B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP3112718B2
JP3112718B2 JP03221296A JP22129691A JP3112718B2 JP 3112718 B2 JP3112718 B2 JP 3112718B2 JP 03221296 A JP03221296 A JP 03221296A JP 22129691 A JP22129691 A JP 22129691A JP 3112718 B2 JP3112718 B2 JP 3112718B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは静電特性及び耐湿性に優れた電子写真感光体に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、所定の特性を得るた
め、あるいは適用される電子写真プロセスの種類に応じ
て、種々の構成をとる。
【0003】電子写真感光体の代表的なものとして、支
持体上に光導電層が形成されている感光体及び表面に絶
縁層を備えた感光体があり、広く用いられている。支持
体と少なくとも1つの光導電層から構成される感光体
は、最も一般的な電子写真プロセスによる、即ち帯電、
画像露光及び現像、更に必要に応じて転写による画像形
成に用いられる。
【0004】更には、ダイレクト製版用のオフセット原
版として電子写真感光体を用いる方法が広く実用されて
いる。特に近年、ダイレクト電子写真平版は数百枚から
数千枚程度の印刷枚数で高画質の印刷物を印刷する方式
として重要となってきている。こうした状況の中で、電
子写真感光体の光導電層を形成するために使用する結着
樹脂は、それ自体の成膜性および光導電性粉体の結着樹
脂への分散能力が優れるとともに、形成された記録体層
の基材に対する接着性が良好であり、しかも記録体層の
光導電層は帯電能力に優れ、暗減衰が小さく、光減衰が
大きく、前露光疲労が少なく、且つ、撮影時の湿度の変
化によってこれら特性を安定に保持していることが必要
である等の各種の静電特性および優れた撮像性を具備す
る必要がある。
【0005】更に、電子写真感光体を用いた平版印刷用
原版の研究が鋭意行なわれており、電子写真感光体とし
ての静電特性と印刷原版としての印刷特性を両立させた
光導電層用の結着樹脂が必要である。
【0006】無機光導電材料、分光増感色素及び結着樹
脂を少なくとも含有する光導電層において、結着樹脂の
化学構造によって、平滑性のみならず静電特性が大きく
影響を受けることが判ってきた。特に静電特性におい
て、暗中電荷保持率(D.R.R.)や光感度が大きく
左右される。
【0007】これに対し、特開昭63−217354
号、同64−70761号、特開平2−67563号及
び同2−247656号等の記載の技術によれば、酸性
基含有重合成分が重合体主鎖にランダムに存在する低分
子量の樹脂あるいは重合体主鎖の片末端に酸性基を結合
して成る低分子量の樹脂或いは酸性基を重合体主鎖の片
末端に結合して成る低分子量のグラフト型共重合体の樹
脂、酸性基をグラフト部に含有する低分子量のグラフト
型共重合体の樹脂等を結着樹脂として用いる事で平滑性
及び静電特性を良化できる様になった。これらは、該低
分子量の樹脂が、光導電体の分散を充分に行ない光導電
体同志の凝集を抑制する効果を有すること及び光導電体
と分光増感色素との吸着を疎外しないで該無機光導電体
の化学量論的な欠陥に充分に吸着するとともに光導電体
の表面をゆるやかに且つ充分に被覆していることによる
と推定される。
【0008】その作用機構により、無機光導電体の化学
量論的な欠陥部が多少変動しても、充分な吸着領域をも
つ事から比較的安定した無機光導電体、分光増感色素及
び樹脂同志の相互作用が保たれると推論される。
【0009】そして、これらの低分子量の樹脂のみでは
不充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめるため
に、中〜高分子量の他の樹脂を併用する技術あるいは硬
化性基を含有した樹脂を併用して成膜後に硬化する技術
等が特開昭64−564号、同63−220149号、
同63−220148号、特開平1−280761号、
同1−116643号、同1−169455号、同1−
211766号、同2−34859号、同2−5306
4号、同2−56558号、特願平1−163796
号、同1−212994号、同1−229379号、同
1−189245号等に記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の樹脂又は樹脂の組合せを用いても、環境が高温・高湿
から低温・低湿まで著しく変動した場合における安定し
た性能の維持においてはいまだ不充分であることが判っ
た。半導体レーザー光を用いたスキャンニング露光方式
では、従来の可視光による全面同時露光方式に比べ、露
光時間が長くなり、また露光強度にも制約があることか
ら、静電特性、特に暗電荷保持特性、光感度に対して、
より高い性能が要求される。
【0011】特に、電子写真式平版印刷用原版におい
て、半導体レーザー光を用いたスキャンニング露光方式
を採用した場合,従来の感光体で実際に試験してみる
と、上記の静電特性が十分に満足できるものでなく、特
にE1/2 とE1/10との差が大きく複写画像の階調が軟調
となり、更には露光後の残留電位を小さくするのが困難
となり、複写画像のカブリが顕著となってしまい、又、
オフセットマスターとして印刷しても、印刷物に印刷原
稿の貼り込み跡が出てしまう等の問題が現れた。
【0012】更に、近年、線画及び網点から成る画像の
複写画像のみならず、連続階調から成る高精細な画像を
液体現像剤を用いて忠実に再現する技術の実現が望まれ
ているが、前記公知の技術はこれらの要望まで十分に満
足できるものではなかった。
【0013】従来公知の技術においては、低分子量の樹
脂と併用する中〜高分子量の樹脂によって、上記低分子
量の樹脂で高性能化された静電特性が低下することがあ
り、実際に前記した様なこれら公知の樹脂の組合せで用
いた光導電層を有する電子写真感光体は、前述の様な高
精細な画像(特に連続階調画像)の忠実な複写画像の再
現性あるいは、低出力のレーザー光を用いたスキャンニ
ング露光方式による撮像性に対して、問題を生じ得るこ
とが明らかになった。
【0014】本発明は、以上の様な従来公知の電子写真
感光体の有する課題を改良するものである。本発明の目
的は、複写画像形成時の環境が低温低湿あるいは高温高
湿の如く変動した場合でも、常に安定して良好な静電特
性を維持し、鮮明で良質な画像を有する電子写真感光体
を提供することである。
【0015】本発明の他の目的は、静電特性に優れ且つ
環境依存性の小さいCPC電子写真感光体を提供するこ
とである。本発明の他の目的は、半導体レーザー光を用
いたスキャンニング露光方式に有効な電子写真感光体を
提供することである。
【0016】本発明の更なる目的は、電子写真式平版印
刷原版として、静電特性(特に暗電荷保持性及び光感
度)に優れ、原画(特に高精細な連続階調画像)に対し
て忠実な複写画像を再現し、且つ、印刷物の全面一様な
地汚れはもちろん点状の地汚れをも発生させず、また耐
刷性の優れた平版印刷原版を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的は無機光導電
体、分光増感色素及び結着樹脂を少なくとも含有する光
導電層を有する電子写真感光体において、該結着樹脂
が、下記に示される樹脂〔A〕の少なくとも1種及び下
記樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有して成る事を特徴
とする電子写真感光体により達成されることが見出され
た。 樹脂〔A〕 1×103 〜2×104 の重量平均分子量を有し、下記
一般式(I)で示される繰り返し単位を重合体成分とし
て30重量%以上含有し、且つ重合体主鎖の片末端に−
PO3 2 、−SO3 H、−COOH、−P(=O)
(OH)R1 〔R1 は炭化水素基又は−OR2 (R2
炭化水素基を表す)を表す〕及び環状酸無水物基から選
択される少なくとも1種の極性基を結合してなる樹脂。
【0018】
【化4】
【0019】〔式(I)中、a1、a2は各々水素原子、
ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COOR4
は炭化水素基を介した−COOR4(ここで、R4炭化
水素基を表す)を表す。R3は炭化水素基を表す。好ま
しくはa1が水素原子、a2がメチル基の場合である。〕 樹脂〔B〕 2×104〜1×106の重量平均分子量を有し、上記樹
脂〔A〕における一般式(I)で示される繰り返し単位
からなる重合体成分(イ)と上記樹脂〔A〕で示される
特定の極性基のうちから選択される少なくとも1種の極
性基を含有する重合体成分(ロ)とを少なくとも含有す
ることから成る高分子鎖を少なくとも3個同一の有機分
子に結合して成り、該重合体成分(イ)を30重量%以
上及び該重合体成分(ロ)を0.05〜10重量%含有
するスタ−型共重合体から成る樹脂。
【0020】即ち、本発明の結着樹脂は、上記一般式
(I)で示される重合体成分を含有する重合体主鎖の片
末端に上記特定の極性基を結合してなる低分子量重合体
(樹脂〔A〕)と、上記一般式(I)で示される重合体
成分と上記特定の極性基含有成分を含有する高分子鎖
少なくとも3個同一の有機分子中に結合して成るスタ−
型共重合体(樹脂〔B〕)とから少なくとも構成され
る。
【0021】種々検討の結果、前述の如く、低分子量の
極性基末端結合樹脂を中〜高分子量の樹脂と併用する公
知の技術においては、併用する中〜高分子量の樹脂によ
り、上記低分子量の樹脂で高性能化された静電特性が低
下してしまうことのあることが判った。そして、これら
の中〜高分子量樹脂が、該光導電層中で、光導電体、分
光増感色素及び低分子量の樹脂同志の相互作用に更に適
切に相互作用させることも、予想以上に重要な原因であ
ることが明らかになってきた。
【0022】かかる検討を重ねた結果、極性基を末端
に結合する低分子量の樹脂〔A〕と併用すべき中〜高分
子量の樹脂として、本発明に従う一般式(I)で示され
る成分と極性基含有成分とを含有する高分子鎖を3個以
同一の有機分子に特定量結合してなるスタ−型共重合
体を用いることにより、前記課題が有効に解決されるこ
とが見出されたものである
【0023】この事は、本発明の結着樹脂〔A〕及び
〔B〕の相乗効果により、光導電体粒子が充分に分散さ
れ且つ凝縮しない状態で存在し、更に分光増感色素が光
導電体粒子表面に充分に吸着されていること及び光導電
体表面の余分な活性サイトを結着樹脂が充分に吸着して
トラップを補償していること等によるものと推定され
る。
【0024】即ち、特定の極性基を末端に結合した低
分子量体の樹脂〔A〕は、光導電体粒子に充分吸着して
該粒子を均一に分散し、その高分子鎖が非常に短いこと
により凝集を抑制すること、又、分光増感色素の吸着疎
外を起こさないこと等の重要な作用を有する。
【0025】更に、特定の重合体成分を含有する高分子
鎖が少なくとも3個同一分子に結合されたスタ−型共重
合体を用いることで、光導電層の機械的強度が充分に保
持されると同時に静電特性(特に光感度)の向上及び撮
像性(特に連続階調画像の再現性)の向上が図られた。
これは、詳細は不明であるが、この樹脂の重合体成分ブ
ロックがスタ−型に規制されたことによる高分子の絡み
合い効果の向上とともに、更に静電特性が良化する効果
に寄与していることから、光導電層粉末、分光増感色素
及び樹脂〔A〕の相互作用において、この樹脂が該色素
の吸着疎外の抑制あるいは電子写真的な相互作用に適切
に関与しているものと考えられる。
【0026】これらのことより、その詳細は不明である
が、光導電体粒子、分光増感色素、上記樹脂〔A〕及び
樹脂〔B〕が共存した時に、これらが特に該色素の光導
電体粒子への吸着疎外の抑制あるいは電子写真的な相互
作用に適切に関与し、且つ光導電層の強度向上に効果を
もたらすことができたものと推定される。
【0027】この作用は、近赤外〜赤外光の分光増感用
色素として特に有効なポリメチン色素あるいはフタロシ
アニン系顔料で特に顕著な効果を示した。一方、光導電
体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の電子写真感
光体を従来公知のダイレクト刷版として用いた場合には
優れた撮像性とともに著しく良好な保水性を示す。
【0028】即ち、電子写真感プロセスを経て複写画像
を形成した本発明の感光体を、従来公知の不感脂化処理
液により非画像部を化学処理により不感脂化して、印刷
用原版とし、これをオフセット印刷により印刷した時に
優れた印刷用原版としての性能を示すものである。
【0029】本発明の感光体を不感脂化処理すると、非
画像部の親水化が充分になされ、保水性が向上すること
から印刷枚数が飛躍的に向上した。このことは、不感脂
化処理で親水性表面に改質する働きをする酸化亜鉛の化
学反応が、容易に且つ多量に進行しうる状態を形成して
いることによるものと考えられる。即ち、結着樹脂とし
て用いた樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕の各々が酸化亜鉛粒
子を均一に充分分散していること及び酸化亜鉛粒子表面
・表面近傍の状態が不感脂化処理水溶液と迅速に相互作
用し反応を起こす様な分散状態を形成しているものと推
定される。
【0030】更には本発明において、低分子量の樹脂
〔A〕として、下記一般式(Ia)及び一般式(Ib)
で示される、2位に、及び/又は2位と6位に特定の置
換基を有するベンゼン環又は無置換のナフタレン環を含
有する、特定の置換基をもつメタクリレート成分を含有
する樹脂〔A〕(以降この低分子量体をとくに樹脂〔A
A〕と称する)であることが好ましい。
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】〔式(Ia)及び(Ib)中、R5 及びR
6 は互いに独立に、それぞれ水素原子、炭素数1〜10
の炭化水素基、塩素原子、臭素原子、−COR9 又は−
COOR9 (R9 は炭素数1〜10の炭化水素基を示
す)を表す。
【0034】R7 及びR8 はそれぞれ−COO−とベン
ゼン環を結合する、単結合又は連結原子数1〜4個の連
結基を表わす。〕上記特定の樹脂〔AA〕を用いると樹
脂〔A〕の場合よりもより一層電子写真特性(特に
10、D.R.R、E1/10)の向上が達成できる。
【0035】この事の理由は不明であるが、1つの理由
として、メタクリレートのエステル成分である、オルト
位に置換基を有する平面性のベンゼン環又はナフタレン
環の効果により、膜中の酸化亜鉛界面でのこれらポリマ
ー分子鎖の配列が適切に行なわれることによるものと考
えられる。
【0036】以下に、本発明の結着樹脂について詳しく
説明する。まず、本発明の樹脂〔A〕について説明す
る。樹脂〔A〕の重量平均分子量は1×103 〜2×1
4 、好ましくは3×103 〜1×104 であり、樹脂
〔A〕のガラス転移点は好ましくは−30℃〜110
℃、より好ましくは−20℃〜90℃である。
【0037】樹脂〔A〕の分子量が1×103 より小さ
くなると、皮膜形成能が低下し充分な膜強度を保てず、
一方分子量が2×104 より大きくなると、特に近赤外
〜赤外分光増感色素を用いた感光体において、高温・高
湿、低温・低湿の苛酷な条件下での暗減衰保持率及び光
感度の変動が多少大きくなり、安定した複写画像が得ら
れるいとう本発明の効果が薄れてしまう。
【0038】樹脂〔A〕における一般式(I)の繰り返
し単位に相当する重合体成分の存在割合は30重量%以
上、好ましくは50〜97重量%、重合体主鎖の末端に
結合する極性基の含有量は0.5〜15重量%、好まし
くは1〜10重量%である。
【0039】樹脂〔A〕における極性基含有量が0.5
重量%より少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度
を得ることができない。一方、該極性基含有量が15重
量%よりも多いと、いかに低分子量体といえども分散性
が低下し、更にオフセットマスターとして用いるときに
地汚れが増大する。
【0040】また、前記した一般式(Ia)又は(I
b)で示される特定のメタクリレ−ト成分を含有する、
末端に極性基を結合する樹脂〔AA〕において、式(I
a)及び/又は式(Ib)の繰り返し単位に相当するメ
タクリレ−ト成分の存在割合は30重量%以上、好まし
くは50〜97重量%、重合体主鎖の末端に結合する極
性基の存在割合は樹脂〔A〕中0.5〜15重量%、好
ましくは1〜10重量%である。
【0041】次に樹脂〔A〕中に30重量%以上含有さ
れる、前記一般式(I)で示される繰り返し単位を更に
説明する。a1及びa2は各々水素原子、ハロゲン原子
(例えば塩素原子、臭素原子)、シアノ基、炭素数1〜
4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等)、−COOR4又は炭化水素基を介し
た−COOR4(ここで、R4 は炭素数1〜18のアルキ
ル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基又はアリ
−ル基を表し、これらは置換されていてもよく、具体的
には下記R3で説明するものと同様のものを挙げられ
る)を表す。
【0042】R3 は炭素数1〜18の置換されていても
よいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシ
ル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−
シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキ
シエチル基、2−エトキシエチル基、3−ヒドロキシプ
ロピル基等)、炭素数2〜18の置換されてもよいアル
ケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニ
ル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オク
テニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラ
ルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチ
ルメチル基、2−ナフチルエチル基、メトキシベンジル
基、エトキシベンジル基、メチルベンジル基等)、炭素
数5〜8の置換されてもよいシクロアルキル基(例え
ば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプ
チル基等)又は炭素数6〜12の置換されてもよいアリ
−ル基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、
メシチル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、エトキ
シフェニル基、フロロフェニル基、ジフロロフェニル
基、ブロモフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフ
ェニル基、ヨ−ドフェニル基、メトキシカルボニルフェ
ニル基、エトキシカルボニルフェニル基、シアノフェニ
ル基等)等が挙げられる。
【0043】このような置換基R3 を有する成分である
一般式(I)の繰り返し単位において、より好ましくは
前記一般式(Ia)及び/又は一般式(Ib)で示され
る繰り返し単位の重合体成分が挙げられる。
【0044】式(Ia)において、好ましいR5 及びR
6 として、互いに独立に各々水素原子、塩素原子及び臭
素原子の外に、炭素数1〜10の炭化水素基として、好
ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、炭素数7〜9のア
ラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フ
ェニルプロピル基、クロロベンジル基、ジクロロベンジ
ル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、メトキシ
ベンジル基、クロロメチルベンジル基)及びアリール基
(例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ブロモフ
ェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジ
クロロフェニル基)、並びに−COR9及び−COOR
9 (好ましいR9 としては上記の炭素数1〜10の好ま
しい炭化水素基として記載したものを挙げることができ
る)を挙げることができる。
【0045】式(Ia)及び(Ib)において、R7
びR8 は各々−COO−とベンゼン環を結合する単結合
又は−(CH2 a −(aは1〜3の整数を表す)、−
CH2 OCO−、−CH2 CH2 OCO−、−(CH2
b −(bは1又は2の整数を表す)、−CH2 CH
2 O−等の如き連結原子数1〜4個の連結基であり、よ
り好ましくは単結合又は結合原子数1〜2個の連結基を
挙げることができる。
【0046】本発明の樹脂〔A〕で用いられる式(I
a)又は(Ib)で示される繰り返し単位の具体例を以
下に挙げる。しかし、本発明の範囲はこれに限定される
ものではない。また、以下の(a−1)〜(a−20)
において、cは1〜4の整数、dは0又は1〜3の整
数、eは1〜3の整数、R10はいずれも−CcH2c+1
は−(CH2 d −C6 5 (ただし、c、dは上記と
同じ)を表し、R11及びR 12は同じでも異なってもよ
く、水素原子、−Cl、−Br、−Iのいずれかを表
す。
【0047】
【化7】
【0048】
【化8】
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】
【化11】
【0052】次に低分子量の樹脂〔A〕の重合体主鎖の
片末端に結合する極性基について説明する。該極性基
は、−PO3 2 、−SO3 H、−COOH、−P(=
O)(OH)R1 −、環状酸無水物含有基から少なくと
も選ばれる。
【0053】ここで、−P(=O)(OH)R1 は、下
記化12で表わされる基を示し、ここにおいて該R1
炭化水素基又は−OR2 基(R2 は炭化水素基を表す)
を表し、具体的にはR1 は置換されていてもよい炭素数
1〜12の脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル
基、2−メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、
アリル基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル
基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、メチルベンジル基、クロロベンジル基、フロロベン
ジル基、メトキシベンジル基等)又は置換されていても
よいアリ−ル基(フェニル基、トリル基、エチルフェニ
ル基、プロピルフェニル基、クロロフェニル基、フロロ
フェニル基、ブロモフェニル基、クロロ−メチル−フェ
ニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル基、シ
アノフェニル基、アセトアミドフェニル基、アセチルフ
ェニル基、ブトキシフェニル基等)等であり、R2 はR
1 と同一の内容を表す。
【0054】
【化12】
【0055】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0056】脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、
コハク酸無水物、、グルタコン酸無水物環、マレイン酸
無水物環、シクロぺンタン−1,2−ジカルボン酸無水
物環、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物
環、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物環、
2,3−ビシクロ〔2.2.2〕オクタジカルボン酸無
水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原子、
臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチ
ル基、ヘキシル基等のアルキル基等が置換されていても
よい。
【0057】また、芳香族ジカルボン酸無水物の例とし
ては、フタル酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無
水物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン
−ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、
例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、
ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカル
ボニル基(アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、
エトキシ基等)等が置換されていてもよい。
【0058】樹脂〔A〕においては、該極性基は重合体
主鎖の末端に結合されて含有される。該極性基は重合
体主鎖の末端に直接結合してもよいし、連結基を介し
て結合してもよい。かかる連結基としては、いずれの結
合する基でもよいが、例えば具体的に挙げるとすれば、
−CR1314−〔ここでR13、R14は同じでも異なって
いてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(塩素原子、
臭素原子等)、OH基、シアノ基、アルキル基(メチル
基、エチル基、2−クロロエチル基、2−ヒドロキシエ
チル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)、アラ
ルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)、フェニル基
等を表す〕、−(CHR13−CHR14)−、−C610
−、−C64−、−O−、−S−、−NR15−〔ここで
15は水素原子又は炭化水素基{炭化水素基として具体
的には炭素数1〜12の炭化水素基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、2−メトキシエチル基、
2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、ベンジル
基、メチルベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ト
リル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ブチ
ルフェニル基等)が挙げられる}を表す〕、−CO−、
−COO−、−OCO−、−CONR15−、−SO2
15−、−SO2−、−NHCONH−、−NHCOO
−、−NHSO2−、−CONHCOO−、−CONH
CONH−、複素環(ヘテロ原子としてO、S、N等を
少なくとも一種含有する5もしくは6員環又はこれらの
縮合環であればいずれでもよく、例えばチオフェン環、
ピリジン環、フラン環、イミダゾール環、ピペリジン
環、モルホリン環等が挙げられる)又は−Si R1617
−〔ここでR16、R17は同じでも異なっていてもよく、
各々炭化水素基又は−OR18(ここでR18は炭化水素基
を表す)を表す。これらの炭化水素基としては、R15
挙げたものと同様のものを挙げることができる〕等の結
合基の単独又はこれらの2以上の組合せにより構成され
た連結基等が挙げられる。
【0059】更に好ましくは 樹脂〔A〕は上記式
(I)で示される重合体成分〔式(Ia)又は(Ib)
で示されるものを含む〕とともに,これと共重合する重
合体成分として上記と同様の極性基のうちの少なくとも
一種を含有する共重合成分を0.05〜10重量%含有
することが、より静電特性を向上する上で好ましい。
【0060】これらの共重合成分中の極性基は、前記し
た重合体主鎖の末端に結合する極性基と同様の内容を
示すが、これらは互いに同じでも異なっていてもよい。
樹脂〔A〕において、共重合成分として含有される極性
基と重合体主鎖の末端に結合される極性基の存在割合
は、本発明の光導電層を構成する他の結着樹脂、分光増
感色素、化学増感剤又はそれ以外の添加剤の種類、量に
よって異なり、その割合は任意に調節することが好まし
い。重要なことは、両者の極性基の総量が0.5〜15
重量%の範囲内で使用されることである。
【0061】このような樹脂〔A〕における任意の極性
基含有の共重合成分の具体例は、例えば一般式(I)
〔一般式(Ia)、(Ib)も含む〕で示される繰り返
し単位に相当する単量体と共重合し得る該極性基を含有
するビニル系化合物であればいずれでもよく、例えば、
高分子学会編「高分子データ・ハンドブック〔基礎
編〕」培風館(1986年刊)等に記載されている。具
体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換アクリル酸
(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシメチル体、
α−(2−アミノ)チル体、α−クロロ体、α−ブロ
モ体、α−フルオロ体、α−トリブチルシリル体、α−
シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−クロロ−
β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、メタクリル
酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、イタコン酸
半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカルボン酸類
(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセン
酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、4
−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、マレイン
酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニルベンゼ
ンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボン酸類のビニル基
又はアリル基の半エステル誘導体及びこれらのカルボン
又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導体の置換
基中に該極性基を含有する化合物等が挙げられる。
【0062】以下に極性基含有の共重合成分について例
示する。ここで、R19−H又は−C3 を示し、R20
−H−C3 又は−CH 2 COOCH3 を示し、R
21は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R22は炭素数1
〜6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、
fは1〜3の整数を示し、gは2〜11の整数を示し、
hは1〜11の整数を示し、iは2〜4の整数を示し、
jは2〜10の整数を示す。
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
【化15】
【0066】
【化16】
【0067】
【化17】
【0068】
【化18】
【0069】
【化19】
【0070】
【化20】
【0071】
【化21】
【0072】
【化22】
【0073】
【化23】
【0074】
【化24】
【0075】更に低分子量体の樹脂〔A〕は、前記した
一般式(I)、(Ia)及び/又は(Ib)に相当する
単量体及び任意の前記極性基を含有する重合体成分に相
当する単量体と共に、これら以外の他の単量体を共重合
成分として含有してもよい。このような他の共重合成分
としては、例えば一般式(I)で説明した以外の置換基
を含有するメタクリル酸エステル類、アクリル酸エステ
ル類、クロトン酸エステル類に加え、α−オレフィン
類、カルボン酸ビニル又はアリル酸エステル類(例えば
カルボン酸として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草
酸、安息香酸、ナフタレンカルボン酸等)、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、ビニルエーテル類、イタ
コン酸エステル類(例えばジメチルエステル、ジエチル
エステル等)、アクリルアミド類、メタクリルアミド
類、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、イタコン酸無水物、スチレン類(例えばスチレン、
ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレ
ン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、メトキシ
カルボニルスチレン、メタンスルホニルオキシスチレ
ン、ビニルナフタレン等)、ビニルスルホン含有化合
物、ビニルケトン含有化合物、複素環ビニル類(例えば
ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾー
ル、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、ビニルピ
ラゾール、ビニルジオキサン、ビニルキノリン、ビニル
テトラゾール、ビニルオキサジン等)等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。 これら他の単
量体は樹脂〔A〕中30重量%を超えないことが好まし
い。
【0076】樹脂〔A〕において、重合体主鎖の片末端
に極性基を結合する方法としては、従来公知のアニオン
重合あるいはカチオン重合によって得られるリビングポ
リマ−の末端に種々の主薬を反応させる方法(イオン重
合法による方法)、分子中に特定の極性基を含有した重
合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いてラジカル重合さ
せる方法(ラジカル重合法による方法)、あるいはイオ
ン重合法もしくはラジカル重合法によって得られた末端
に反応基(例えばアミノ基、ハロゲン原子、エポキシ
基、酸ハライド基等)含有の重合体を高分子反応によっ
て本発明の特定の極性基に変換する方法等の合成法によ
って容易に製造することができる。
【0077】具体的には、P.Dreyfuss an
d R.P.Quirk、Encycl.Polym.
Sci.Eng.、7、551(1987)、中篠善
樹、山下雄也「染料と薬品」30、232(198
5)、上田明、永井進「化学と工業」60、57(19
86)等の総説及びそれに引例の文献、特許等に記載の
方法にしたがって合成することができる。
【0078】用いることのできる連鎖移動剤としては、
例えば該極性基又は上記反応性基(即ち該極性基に誘導
しうる基)を含有するメルカプト化合物(例えばチオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メル
カプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3
−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニ
ル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−
(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン
酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロ
ピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニ
ン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプト
プロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン
酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,
2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノ
ール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフ
ェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプ
トイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、
4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)フタル
酸無水物、2−メルカプトエチルホスホノ酸、2−メル
カプトエチルホスホノ酸モノメチルエステル等)、ある
いは上記極性基又は置換基含有のヨード化アルキル化合
物(例えばヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨー
ドエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨー
ドプロパンスルホン酸等)等が挙げられる。好ましくは
メルカプト化合物である。
【0079】用いることのできる該極性基又は特定の反
応性基を含有する重合開始剤としては、例えば、4,
4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4’−アゾ
ビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2’−アゾ
ビス(2−シアノプロパノール)、2,2’−アゾビス
(2−シアノペンタノール)、2,2’−アゾビス〔2
−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンア
ミド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1
−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕
プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−〔1−
(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イ
ル〕プロパン}、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミ
ダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス
〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3
−ジアゾピン−2−イル)プロパン〕等又はこれらの誘
導体等が挙げられる。
【0080】これらの連鎖移動剤又は重合開始剤は、各
々全単量体100重量部に対して好ましくは0.1〜1
5重量部、より好ましくは2〜10重量部である。ま
た、他の製造方法としては、分子中に本発明の特定の極
性基を置換基として含有するジチオカルバメート基含有
化合物又はザンテ−ト基含有化合物を光開始剤として用
いる光重合法を用いることができる。具体的には、後述
の樹脂〔B〕の製造法で引例した文献によって容易に合
成することができる。
【0081】上記ジチオカルバメート基又はザンテ−ト
化合物として、例えば下記式(PI)又は(PII)で
示される化合物を挙げることができる。
【0082】
【化25】
【0083】
【化26】
【0084】上記式(PI)及び(PII)中のR23
25又はR26及びR27のいずれか一つの置換基中に前記
した特定の極性基のうちの少なくとも一つを含有するも
のである。ここで、R23〜R27は炭化水素基を表し、具
体的には前記一般式(I)のR3 と同一の内容のものを
挙げられる。次に本発明の樹脂〔B〕について説明す
る。
【0085】樹脂〔B〕は、上記一般式(I)で示され
る重合体成分(イ)と特定の極性基含有の重合体成分
(ロ)とを少なくとも含有する高分子鎖を少なくとも3
個同一有機分子に結合した、いわゆるスター型共重合体
からなる樹脂である。即ち、該重合体を模式的に示すと
例えば下記のように表される。
【0086】
【化27】
【0087】
【化28】
【0088】上記において、Xは有機分子を表し、〔P
olymer〕は高分子鎖を表す。ここで、有機分子に
結合した3個以上存在する高分子鎖は、それぞれ構造的
に同一であっても異なっていてもよく、それぞれ少なく
とも一般式(I)で示される重合体成分と極性基含有成
分とを上記割合で含有していればよい。またそれぞれの
高分子鎖の長さも同じであっても異なっていてもよい。
【0089】樹脂〔B〕の重量平均分子量は2×104
〜1×106 、好ましくは3×104 〜5×105 であ
る。
【0090】樹脂〔B〕の分子量が2×104 より小さ
くなると、皮膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、
また分子量が1×106 より大きくなると本発明の樹脂
〔B〕の効果が少なくなり、従来公知の樹脂と同程度の
電子特性になってしまう。
【0091】該樹脂〔B〕のガラス転移点は、−10℃
〜100℃の範囲のものが好ましいが、より好ましくは
0℃〜90℃である。樹脂〔B〕は、上記の様に枝分れ
したスター型共重合体となっているが共重合体全体とし
ての各重合体成分の割合は上記の内容と同一のものであ
る。
【0092】上記樹脂〔B〕中に含有される共重合成分
である一般式(I)で示される重合成分及び特定の極性
基含有成分の具体的内容は、樹脂〔A〕において説明し
たものと同様のものが挙げられる。
【0093】スター型共重合体〔B〕における、特定の
極性基含有成分の重合体成分量は、共重合体〔B〕10
0重量部当り0.05〜10重量部、より好ましくは
0.1〜5重量部の割合で含有される。
【0094】樹脂〔B〕における極性基含有量が0.0
5重量より少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃
度を得ることができず、該極性基含有量が10重量
りも多いと、分散性が低下し、膜平滑度及び電子写真特
特性の高温高湿が低下し、更にオフセットマスターとし
て用いるときに地汚れが増大するため、好ましくない。
【0095】更に、樹脂〔B〕中に含有される特定の極
性基含有の重合体成分は、樹脂〔A〕中に含有される特
定の極性基含有重合体成分の総量に対して10重量%〜
50重量%の範囲で用いられることが好ましい。該量が
10重量%より少ないと、電子写真特性(特に暗中電荷
保持率、光感度)の低下が著しく、膜の強度も低下す
る。また、50重量%を超えると、分散の均一化が不充
分となり、電子写真特性が低下し、オフセット原版とし
ては保水性が低下する。
【0096】上記の如き特定の極性基を含有する重合成
分は該高分子鎖中に2種以上含有されていてもよい。一
方、樹脂〔B〕において一般式(I)で示される繰り返
し単位からなる重合体成分の量は、その全共重合体重量
中30重量パーセント以上、好ましくは30重量%〜9
9.95重量%、より好ましくは50重量%〜99.5
重量%である。
【0097】また、樹脂〔B〕は、上記した重合体成分
以外に他の共重合体成分を含有してもよく、かかる重合
体成分としては好ましくは下記一般式(II)の繰り返
し単位に相当する重合体成分が挙げられる。
【0098】
【化29】
【0099】〔式(II)中、D1 は−COO−、−O
CO−、−(CH2 q −OCO−、−(CH2 q
COO−(qは1〜3の整数を表わす)、−O−、−S
2−、−CO−、−CON3 −、−SO2
3 −、−CONHCOO−、−CONHCONH
−又は−C6 4 −を表わす(ここでD3 は水素原子又
は炭化水素基を表わす。)D2 は炭化水素基を表わす。
【0100】m1 及びm2 は、互いに同じでも異なって
もよく、前記式(I)中のa1 、a2 とそれぞれ同一の
内容を表わす。〕ここで、D3 は水素原子のほか、好ま
しい炭化水素基としては、炭素数1〜18の置換されて
もよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデ
シル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2
−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、
2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭
素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例え
ば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、
2−ぺンテニル基、3−メチル−2−ぺンテニル基、1
−ぺンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル
基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜1
2の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチル
メチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、
ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル
基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメト
キシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい
脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキ
シルエチル基、2−シクロぺンチルエチル基等)、又は
炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、
フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロ
ピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル
基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキ
シフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェ
ニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロ
モフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル
基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボキ
シフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセト
アミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシ
ロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0101】D1 が−C6 4 −を表わす場合、ベンゼ
ン環は置換基を有してもよい。置換基としては、ハロゲ
ン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、アルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アルコキシ基
(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブ
トキシ基等)等が挙げられる。
【0102】D2 は、炭化水素基を表わし、好ましい炭
化水素基としては、炭素数1〜22の置換されてもよい
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチ
ル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、
3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換され
てもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロ
ペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メ
チル−2−ぺンテニル基、1−ぺンテニル基、1−ヘキ
セニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセ
ニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラル
キル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチ
ル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベ
ンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジ
メチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数
5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘ
キシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロぺ
ンチルエチル基等)、炭素数6〜12の置換されてもよ
い芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル
基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル
基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキ
シフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル
基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジク
ロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル
基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル
基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニ
ルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミ
ドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙
げられる。
【0103】更に好ましくは、一般式(II)におい
て、D1 は−COO−、−OCO−、−CH2 OCO
−、−CH2 COO−、−O−、−CONH−、−SO
2 NH−又は−C6 4 −を表わす。
【0104】更には、式(II)に示される重合体成分
とともに該樹脂〔B〕中に含有され得る重合体成分とし
て、該式(II)の重合体成分と共重合しうる他の繰り
返し単位に相当する単量体、例えばアクリロニトリル、
メタクリロニトリル、複素環ビニル類(例えばビニルピ
リジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、ビニ
ルチオフェン、ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、
ビニルオキサジン等)等が挙げられる。これら他の単量
体は樹脂〔B〕の全重合体成分100重量部中20重量
部を超えない範囲で用いられる。
【0105】本発明のスター型共重合体〔B〕は、従来
公知の極性基含有で且つ重合性二重結合基をもつ単量体
のスター型ポリマーの合成法を利用して合成することが
できる。例えばその一つとしてカルバニオンを開始剤と
する重合反応が挙げられる。具体的には、M.Mort
on、T.E.Helminiak etal、J.P
olym.Sci.、57、471(1962)、B.
GordonIII、M.Blumenthal、J.
E.Loftus、etal、Polym.Bul
l.、11、349(1984)、R.B.Bate
s、W.A.Beavers、etal、J.Org.
Chem.、44、3800(1979)に記載の方法
に従って合成できる。
【0106】但し、本反応を用いる際には、本発明の
「特定の極性基」は、保護した官能基として用いて重合
させた後、保護基の脱離を行う。これらの、本発明の特
定の極性基の保護基による保護及びその保護基の脱離
(脱保護反応)については、従来公知の知見を利用して
容易に行なうことができる。例えば前記引用文献にも種
々記載されており、更には、岩倉義男、栗田恵輔、「反
応性高分子」(株)講談社刊(1977年)、T.W.
Greene、「Protective Groups
in Organic Synthesis」,Jo
hnWiley & Sons(1981年)、J.
F.W.McOmie、「Protective Gr
oups in Organic Chemistr
y」Plenum Press、(1973年)等の総
説に詳細に記載されている方法を適宜選択して行なうこ
とができる。
【0107】他の方法としては、本発明の特定の極性基
を保護しないままの単量体を用い、ジチオカルバメート
基を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する
化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行なって
合成することもできる。例えば、大津隆行、高分子、
,248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Pol
ym.Rep.Jap.37.3508(1988)、
特開昭64−111号、特開昭64−26619号、東
信行等、Polymer Preprints、Jap
an、36、(6)、1511(1987)、M.Ni
wa、N.Higashi、etal、J.Macro
mol.Sci.Chem.A24(5)、567(1
987)等に記載の合成方法に従って合成することがで
きる。
【0108】本発明の光導電層に供される結着樹脂とし
て、本発明の樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕以外に前記した
無機光導電体用の公知の樹脂を併用することもできる。
但し、これらの他の樹脂の使用割合は、全結着樹脂10
0重量部中30重量部を越えない範囲が好ましい。この
割合を越えると、本発明の効果は著しく低下してしま
う。
【0109】併用可能な他の樹脂としては例えば、代表
的なものは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン
−ブタジェン共重合体、スチレン−メタクリレート共重
合体、メタクリレート共重合体、アクリレート共重合
体、酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アル
キド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエ
ステル樹脂、ポリエステル樹脂等である。
【0110】具体的には、柴田隆治・石綿次郎「高分
子」第17巻、第278頁(1968年)、宮本晴視・
武井英彦「イメージング」1973(No.8)第9
頁、中村孝一編「絶縁材料用バインダーの実際技術」第
10章、C.H.C.出版(1985年刊)、D.D.
Tatt、S.C.Heidecker、Tappi、
49(No.10)、439(1966)、E.S.B
altazzi、R.G.Blanclotte et
al、Photo.Sci.Eng.16(No.
5)、354(1972)、グエン・チャン・ケー、清
水 勇、井上英一、電子写真学会誌18(No.2)、
28(1980)、特公昭50−31011号、特開昭
53−54027号、同54−20735号、同57−
202544号、同58−68046号各号公報等に開
示の樹脂が挙げられる。
【0111】本発明の光導電層において用いられる結着
樹脂の総量は、無機光導電体100重量部に対して、1
0重量部〜100重量部であることが好ましく、より好
ましくは15重量部〜50重量部である。
【0112】本発明の樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使用割
合は、樹脂〔A〕/樹脂〔B〕の重量比で0.05〜
0.8/0.95〜0.20であることが好ましく、よ
り好ましくは0.10〜0.50/0.90〜0.50
である。
【0113】結着樹脂の総量が10重量部より少なく
ると、光導電層の膜強度が維持できなくなる。又100
重量部より多くなると、静電特性が低下し、実際の撮像
性においても複写画像の悪化を生じてしまう。
【0114】又、本発明の樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使
用割合において樹脂〔A〕の重量比が0.05より小さ
なると、静電特性向上の効果が薄れてしまう。一方
0.8より大きくなると光導電層の膜強度が充分維持で
きなくなる場合(特に電子写真式平版印刷用原版とし
て)が生じる。
【0115】本発明に使用する無機光導電材料として
は、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウ
ム、炭酸カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウ
ム、セレン化テルル、硫化鉛等が挙げられる。
【0116】本発明に使用する分光増感色素としては、
必要に応じて各種の色素を単独又は併用して用いる。例
えば、宮本晴視、武井英彦、イメージング1973(N
o.8)第12頁、C.J.Young等、RCA R
eview 15、469(1054)、清田航平等、
電気通信学会論文誌J63C(No.2)、97
(1980)、原崎勇次等、工業科学雑誌6678及び
188(1963)、谷忠昭、日本写真学会誌35、2
08(1972)等の総説引例のカーボニウム系色素、
ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサ
ンテン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例
えば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン
色素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタロシ
アニン色素(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0117】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン色素、キサンテン系色素、フタレイン
系色素を中心に用いたものとしては、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号、
米国特許第3,052,540号、同4,054,45
0号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙げ
られる。
【0118】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F.M.Hamer 「The Cyanine
Dyes and Related Compoun
d」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的に
は、米国特許第3,047,384号、同3,110,
591号、同3,121,008号、同3,125,4
47号、同3,128,179号、同3,132,94
2号、同3,622,317号、英国特許第1,22
6,892号、同1,309,274号、同1,40
5,898号、特公昭48−7814号、同55−18
892号等に記載の色素が挙げられる。
【0119】更に700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号、米国特許第3,619,154
号、同4,175,956号、「Research D
isclosure」1982年、216、第117〜
118頁等に記載のものが挙げられる。本発明の感光体
は種々の増感色素を併用させても、その性能が増感色素
により変動しにくい点において優れている。更には、必
要に応じて、化学増感剤等の従来知られている電子写真
感光層用各種添加剤を併用することもできる。例えば、
前記した総説:イメージング1973(No.8)第1
2頁等の総説引例の電子受容性化合物(例えば、ハロゲ
ン、ベンゾキノン、クロラニル、酸無水物有機カルボン
酸等)、小門宏等、「細菌の光導電材料と感光体の開発
・実用化」第4章〜第6章・日本科学情報(株)出版部
(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化合
物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジア
ミン化合物等が挙げられる。
【0120】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
001〜2.0重量部である。光導電層の厚さは1〜1
00μ、特に10〜50μが好適である。
【0121】また、電荷発生層と電荷輸送層の積層型感
光体の電荷発生層として光導電層を使用する場合は電荷
発生層の厚さは0.01〜1μ、特に0.05〜0.5
μが好適である。
【0122】感光体の保護および耐久性、暗減衰特性の
改善等を主目的として絶縁層を付設させる場合もある。
この時は絶縁層は比較的薄く設定され、感光体を特定の
電子写真プロセスに用いる場合に設けられる絶縁層は比
較的厚く設定される。
【0123】後者の場合、絶縁層の厚さは、5〜70
μ、特には、10〜50μに設定される。積層型感光体
の電荷輸送材料としてはポリビニルカルバゾール、オキ
サゾール系色素、ピラゾリン系色素、トリフェニルメタ
ン系色素などがある。電荷輸送層の厚さとしては5〜4
0μ、特には10〜30μが好適である。
【0124】絶縁層あるいは電荷輸送層の形成に用いる
樹脂としては、代表的なものは、ポリスチレン樹脂、ポ
リエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、
塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体
樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂の
熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂が適宜用いられる。
【0125】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般に云って電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プ
ラスチックシート等の基に低抵抗性物質を含浸させる
などして導電処理したもの、基の裏面(感光層を設け
る面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を
図る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、
前記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支
持体の表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレ
コート層が設けられたもの、Al等を蒸着した基体導電
化プラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用でき
る。
【0126】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例としては、坂本幸男、電子写真、14(No.
1)、P2〜11(1975)、森賀弘之、「入門特殊
紙の化学」高分子刊行会(1975)、M.F.Hoo
ver、J.Macromol.Sci.Chem.A
−4(6)、第1327〜第1417頁(1970)等
に記載されているもの等を用いる。
【0127】本発明の電子写真感光体は、従来公知のあ
らゆる電子写真プロセスを利用した用途において利用す
ることができる。即ち、本発明の感光体はPPC方式お
よびCPC方式のいずれの記録方式にも利用でき、又、
現像剤として乾式現像剤あるいは液体現像剤のいずれの
組合せにも用いることができる。
【0128】特に、高精細なオリジナルの忠実な複写画
像形成が可能なことから、液体現像剤との組合せで利用
すると、本発明の効果がより発揮される。又カラー現像
剤との組合せとすることで、黒白複写画像のみならず、
カラー複写画像にも応用することができる(例えば、滝
沢九郎、「写真工業」33、34(1975年)、安西
正保、「電子通信学会技術研究報告77、17(197
7年)等に記載の方法)。
【0129】更に近年の電子写真プロセスを利用した他
の用途への利用のシステムにおいても有効である。例え
ば光導電体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の感
光体は、オフセット平版印刷用原版として、又無公害で
白色度の良好な光導電性酸化亜鉛あるいは光導電性酸化
チタンを用いた感光体は、オフセット印刷プロセスで用
いられる版下用記載材料あるいはカラープループ等に用
いることができる。
【0130】
【実施例】以下実施例により本発明を例証する。
【0131】
【樹脂〔A〕の合成】 樹脂〔A]の合成例1:〔A−1〕 ベンジルメタクリレート96g、チオサリチル酸4g及
びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下に温度75
℃に加温した。A.I.B.N.1.0gを加え4時間
反応した。更にA.I.B.N.を0.4g加え2時
間、その後更にA.I.B.N.を0.2g加え3時間
攪拌した。得られた共重合体〔A−1〕は下記の構造を
有し、そのMwは6.8×103 であった。(Mwはポ
リスチレン換算によるGPC法の値を示す)。
【0132】
【化30】
【0133】樹脂〔A〕の合成例2〜13:〔A−2〕
〜〔A−13〕 樹脂〔A〕の合成例1において、ベンジルメタクリレー
ト96gに代えて、下記表−Aの単量体を用いて、その
他は合成例1と同様に操作して各樹脂〔A−2〕〜〔A
−13〕を合成した。各樹脂のMwは6.0×103
8×103 であった。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】樹脂〔A〕の合成例14〜24:〔A−1
4〕〜〔A−24〕 樹脂〔A〕の合成例1において、ベンジルメタクリレー
ト96g、チオサリチル酸4gに代えて、下記表−Bに
示すメタクリレート、メルカプト化合物を用い、またト
ルエン200gに代えてトルエン150g及びイソプロ
パノール50gとした他は、合成例1と同様に反応して
各樹脂[A−14]〜[A−24]を合成した。得られ
た各共重合体のMwは6.8×103 であった。
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】
【表6】
【0141】樹脂〔A〕の合成例25:〔A−25〕 1−ナフチルメタクリレート100g、トルエン150
g及びイソプロパノール50gの混合溶液を窒素気流下
に温度80℃に加温した。4,4′−アゾビス(4−シ
アノ)吉草酸(略称A.C.V.)5.0gを加え5時
間攪拌した。更にA.C.V.を1g加え2時間、その
後更にA.C.V.を1g加え3時間攪拌した。得られ
た重合体のMwは7.5×103 であった。
【0142】
【化31】
【0143】樹脂〔A〕の合成例26:〔A−26〕 メチルメタクリレート50g及び塩化メチレン150g
の混合溶液を窒素気流下−20℃に冷却した。直前に調
整した10%1,1−ジフェニルヘキシルリチウムヘキ
サン溶液を1.0g加え、5時間攪拌した。これに二酸
化炭素を流量10ml/ccで10分間攪拌下に流した
後、冷却をやめて、反応混合物が室温になるまで攪拌放
置した。次にこの反応混合物を、1N塩酸50ccをメ
タノール1リットル中に溶かした溶液中に再沈し、白色
粉末を濾集した。この粉末を中性になるまで水洗した
後、減圧乾燥した。収量18gで、Mwは6.5×10
3 であった。
【0144】
【化32】
【0145】樹脂〔A〕の合成例27:〔A−27〕 ベンジルメタクリレート97gアクリル酸、3g下記構
造の開始剤〔I−1〕9.7g及びテトラヒドロフラン
100gの混合溶液を窒素気流下に温度50℃に加温し
た。これを、400Wの高圧水銀灯で10cmの距離が
ガラスフィルターを通して12時間光照射し重合反応を
行なった。
【0146】得られた反応物をn−ヘキサン1リットル
中に再沈し、沈殿物を補集・乾燥して収量75gでMw
8×103 の重合体を得た。
【0147】
【化33】
【0148】
【化34】
【0149】樹脂〔A〕の合成例28〜33:〔A−2
8〕〜〔A−33〕 樹脂〔A〕の合成例27において、ベンジルメタクリレ
ート97gの代わりに下記表−Cの重合体成分に相当す
る単量体を97g及び開始剤〔I−1〕9.7gの代わ
りに下記表−Cの開始剤〔I〕を各0.044モルを用
いた他は、合成例27と同様に操作して、各重合体を得
た。各重合体のMwは7×103 〜9×103 の範囲で
あった。
【0150】
【表7】
【0151】
【表8】
【0152】〔樹脂〔B〕の合成〕 樹脂〔B〕の合成例1:〔B−1〕 メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート32
g、アクリル酸1g及び下記構造の開始剤〔I−2〕1
7.5g及びテトラヒドロフラン150gの混合溶液を
窒素気流下に温度50℃に加温した。この溶液に400
Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルター
を通して10時間光照射し光重合した。得られた反応物
をメタノール1リットル中に再沈し、沈殿物を補集し乾
燥して、収量72gで重量平均分子量(Mw:樹脂
〔B〕にいうMwはポリスチレン換算によるGPC法に
よる値)5×104 の重合体を得た。
【0153】
【化35】
【0154】
【化36】
【0155】樹脂〔B〕の合成例2:〔B−2〕 樹脂〔B〕の合成例1において、開始剤〔I−2〕1
7.5gの代わりに、下記構造の開始剤〔I−3〕10
gを用いた他は、樹脂〔B〕の合成例1と同様の条件で
操作した。得られた重合体の収量は75gでMw6×1
4 であった。
【0156】
【化37】
【0157】
【化38】
【0158】樹脂〔B〕の合成例3〜9:〔B−3〕〜
〔B−9〕 メチルメタクリレート65g、メチルアクリレート30
g、N−ビニルピロリドン4g、メタクリル酸1g、下
記表−Dの開始剤0.0312モル及びテトラヒドロフ
ラン100gの混合溶液とした他は、樹脂〔B〕の合成
例1と同様の条件で操作し、各重合体を得た。
【0159】得られた各重合体のMwは6×104 〜8
×104 の範囲であった。
【0160】
【表9】
【0161】
【表10】
【0162】
【表11】
【0163】樹脂〔B〕の合成例10〜15:〔B−1
0〕〜〔B−15〕 樹脂〔B〕の合成例1において、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート及びアクリル酸の代わりに、表
−Eに記載の重合成分に相当する各単量体を用いた他
は、合成例1と同様の条件で操作して各重合体を得た。
得られた各重合体のMwは5×104 〜6×104 の範
囲であった。
【0164】
【表12】
【0165】
【表13】
【0166】樹脂〔B〕の合成例16〜19:〔B−1
6〕〜〔B−19〕 メチルメタクリレート71.5g、メチルアクリレート
25g、アクリロニトリル2.5g、アクリル酸1g、
下記表−Fの開始剤を0.0315モル及びテトラヒド
ロフラン100gの混合溶液とした他は、樹脂〔B〕の
合成例1と同様の条件で操作して各重合体を得た。
【0167】得られた各重合体のMwは5×104 〜8
×104 の範囲であった。
【0168】
【表14】
【0169】
【表15】
【0170】樹脂〔B〕の合成例20〜24:〔B−2
0〕〜〔B−24〕 前記開始剤〔I−3〕11.3g、及び下記表−Gが示
される各重合体成分に相当する単量体の混合物を、窒素
気流下、温度40℃に加温した。
【0171】以下の操作を合成例1と同様にして、光照
射し、重合させた後、固形分を取り出し、テトラヒドロ
フラン250mlに溶解した後、メタノール1.5リッ
トル中に再沈し、沈殿物を濾集・乾燥した。各重合体の
収量は60〜75gでMwは6×104 〜8×104
あった。
【0172】
【表16】
【0173】
【表17】
【0174】実施例1並びに比較例1及び2 樹脂〔A−4〕6g(固形分量として)、樹脂〔B−
1〕34g(固形分量として)、光導電極酸化亜鉛20
g、下記構造のシアニン色素〔I〕0.018g、
水フタル酸0.45g及びトルエン300gの混合物を
ホモジナイザー(日本精機(株)製)中、回転数6×1
3 rpmで10分間分散して、感光層形成物を調製
し、これを導電処理した紙に、乾燥付着量が25g/m
2 となる様に、ワイヤーバーで塗布し、110℃で10
秒間乾燥し、ついで暗所で20℃、65%RHの条件下
で24時間放置することにより、電子写真感光材料を作
製した。
【0175】
【化39】
【0176】比較例1:実施例1において、樹脂〔B−
1〕34gの代わりに下記構造の樹脂〔R−1〕34g
を用いた他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光
材料を作製した。
【0177】
【化40】
【0178】比較例2:実施例1において、樹脂〔B−
1〕34gの代わりに下記構造の樹脂〔R−2〕34g
とした他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光材
料を作製した。
【0179】
【化41】
【0180】これらの感光材料について、静電特性、撮
像性及び環境条件(20℃、65%RH)、(30℃、
80%RH)及び(15℃、30%RH)とした時の撮
像性を調べた。
【0181】以上の結果を表−Hに示す。
【0182】
【表18】
【0183】表−Hに示した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1)静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中で、
各感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)製
ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて−6k
Vで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、こ
の時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中で
90秒間静置させた後の電位V100 を測定し、90秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔DRR(%)〕を(V100 /V10)×100(%)で
求めた。
【0184】又コロナ放電により光導電層表面を−40
0Vに帯電させた後、該光導電層表面をガリウム−アル
ミニウム−ヒ素半導体レーザー(発振波長780nm)
光で照射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するま
での時間を求め、これから露光量E1/10(erg/cm
2 )を算出する。測定時の環境条件は、20℃、65%
RH(I)、30℃、80%RH(II)及び15℃、
30%RH(III)で行なった。 注2)撮像性:各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放
置した後、各感光材料を−6kVで帯電し、光源として
2.8mW出力のガリウム−アルミニウム−ヒ素、半導
体レーザー(発振波長780nm)を用いて、感光材料
表面上で64erg/cm2 の照射量下、ピッチ25μ
m及びスキャニング速度300m/secのスピード露
光後液体現像剤として、ELP−T(富士写真フイルム
(株)製)を用いて現像し、イソパラフィンアイソパー
G(エッソ化学(株)製)溶媒のリンス液で洗浄後定着
することで得られた複写画像(カブリ、画像の画質)を
目視評価した。
【0185】撮像時の環境条件は20℃65%RH
(I)、30℃80%RH(II)及び15℃、30%
RH(III)で実施した。表−Hに示す様に、本発明
の感光材料は、環境条件が変化しても静電特性は良好
で、実際の複写画像も地カブリがなく複写画質も鮮明で
あった。一方比較例1、2は、常温・常湿(I)の条件
下では良好な撮像性を示したが、高温・高湿(II)の
条件下では、静電特性とは必ずしも対応はしないが、高
精細な複写画稿である複写原稿の連続階調部分の中間濃
度でのムラ発生が生じてしまった。又、リンス処理した
後でも微かな地カブリが除去されずに残存してしまっ
た。
【0186】更に、低温・低湿(III)の条件下で
は、ベタ画像部に無秩序に微小な白ヌケのムラの発生を
生じてしまった。以上のことより、本発明の樹脂を用い
た場合にのみ静電特性及び撮像性(特に高精細な画像)
を満足する電子写真感光体が得られ、特に半導体レーザ
ー光スキャニング露光方式の感光体システムに優位にな
ることが明らかとなった。 実施例2並びに比較例3及び比較例4 樹脂〔A−19〕5g(固形分量として)、樹脂〔B−
2〕35g(固形分量として)、光導電性酸化亜鉛20
0g、下記構造のメチン色素(II)0.020g、N−
ヒドロキシマレインイミド0.20g及びトルエン30
0gの混合物を、実施例1と同様に操作して、電子写真
感光材料を作製した。
【0187】
【化42】
【0188】比較例3:実施例2において、樹脂〔B−
2〕35gの代わりに、下記構造の樹脂〔R−3〕35
gを用いる以外は、実施例2と同様の操作で電子写真感
光材料を作製した。
【0189】
【化43】
【0190】比較例4:実施例2において、樹脂〔B−
2〕35gの代わりに、下記構造の樹脂〔R−4〕35
gを用いる以外は、実施例2と同様の操作で、電子写真
感光材料を作製した。
【0191】
【化44】
【0192】各感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、光
導電層の機械的強度、静電特性、撮像性及び環境条件を
30℃、80%RHと15℃、30%RHとした時の静
電特性、撮像性を調べた。更に、電子写真式平版印刷用
原版として用いた時の印刷性を調べた。結果を表−Iに
示した。
【0193】
【表19】
【0194】表−Iに示した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注3)表面層の平滑性:得られた感光材料は、ベック平
滑度試験機(熊谷理工(株)製)を用い、空気容量1c
cの条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定し
た。 注4)光導電層の機械的強度:得られた感光材料表面を
ヘイドン−14型表面性試験材(新東化学(株)製)を
用いて荷重75g/cm2 のものでエメリ−紙(♯10
00)で1000回繰り返し探り摩耗粉を取り除き感光
層の重量減少から残膜率(%)を求め機械的強度とし
た。 注5)生版保水性:各感光材料(製版しないもの)を不
感脂化処理液EPL−EX(富士写真フイルム(株)
製)を蒸留水で5倍に希釈した溶液を用いて、エッチン
グプロセッサーに2回通して光導電層面を不感脂化処理
した後、湿し水として蒸留水を用いて、オフセット印刷
機((株)浜田印刷機械製造所製、611XLA−II
型)にかけ、刷り出しから50枚目の印刷物の地汚れの
程度を目視で評価した(不感脂化処理された原版の保水
性の度合を調べる強制条件に相当)。 注6)耐刷性:前記注2)の撮像性と同条件にして、製
版して、トナー画像を形成した後、ELP−EXを用い
て、エッチングプロセッサ−に2回通して不感脂化処理
し、これをオフセットマスターとして、オフセット印刷
機(桜井製作所(株)製オリバー52型)にかけ、印刷
物の非画像部の地汚れ及び画像部の画質に問題が生じな
いで印刷できる枚数を示す(印刷枚数が多い程、耐刷性
が良好なことを表わす)。
【0195】表−Iに示す様に、本発明の感光材料は、
光導電層の平滑性膜の機械的強度及び静電特性が良好
で、実際の複写画像も地カブリがなく複写画質も鮮明で
あった。このことは光導電体と結着樹脂が充分に吸着
し、且つ、粒子表面を被覆していることによるものと推
定される。同様の理由で、オフセットマスター原版とし
て用いた場合でも不感脂化処理液による不感脂化処理が
充分に進行し、強制条件での保水性を評価しても充分に
親水化され、インキ付着が全く認められなかった。実際
に印刷して印刷物の地汚れを観察しても地汚れは全く認
められず、鮮明な画質の印刷物が1万枚得られた。
【0196】一方、比較例3及び比較例4は、撮像時の
条件が過酷になると、非画像部に微かではあるが地汚れ
が発生し、又高精細な連続階調画像部でムラの発生ある
いはベタ画像部の白ヌケ、ムラ等の問題を生じた。
【0197】又、オフセットマスタ−原版として、不感
脂化処理した生版保水性は、インキ付着が現れた。実際
の耐刷性も、4〜6千枚止まりであった。以上の事は、
本発明の樹脂〔A〕と樹脂〔B〕が適切に酸化亜鉛粒子
と相互作用し、不感脂化処理液による不感脂化反応が容
易に且つ充分に進行し易すい状態を形成している事及び
樹脂〔B〕の働きによる膜強度の著しい向上を達成して
いることを示すものである。 実施例3〜22 実施例2において、樹脂〔A−19〕及び樹脂〔B−
2〕に代えて、下記表−Jの各樹脂〔A〕及び各樹脂
〔B〕に代えた他は、実施例2と同様に操作して、各電
子写真感光体を作製した。
【0198】
【0199】
【表20】
【0200】各感光材料の静電特性及び撮像性を実施例
1と同様にして測定した。いずれの感光材料も静電特性
良好で、又これらの感光材料の実際の撮像性を調べた
所、細線・文字の再現性良好で中間調のムラの発生もな
く、地カブリの全くない鮮明な複写画像のものが得られ
た。
【0201】又、オフセットマスター原版として用い
て、実施例2と同様にして印刷した所、いずれも少なく
とも1万枚以上印刷することができた。以上から、本発
明の各感光材料は光導電層の平滑性、膜強度、静電特性
及び印刷性の全ての点において良好なものであった。 実施例23〜26 実施例1において用いた、メチン色素〔I〕の代わりに
下記表−Kの色素に代えた他は、実施例1と同様の条件
で電子写真感光材料を作製した。
【0202】
【表21】
【0203】
【表22】
【0204】本発明の感光材料は、いずれも帯電性、暗
電荷保持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高
湿の(30℃、80%RH)及び低温・低湿の(15
℃、30%RH)の過酷な条件においても、地カブリの
発生のない、鮮明な画像を与えた。 実施例27及び28並びに比較例5 樹脂〔A−1〕(実施例27)又は樹脂〔A−19〕
(実施例28)のいずれか6.5g、樹脂〔B−18〕
33.5g、酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、
下記構造のメチン色素〔VII〕0.03g、下記構造の
メチン色素〔VIII〕0.03g、p−ヒドロキシ安息香
酸0.18g及びトルエン300gの混合物をホモジナ
イザー中で回転数7×103 rpmで10分間分散して
感光層形成物を調整し、これを導電処理した紙に、乾燥
付着量が25g/m2 となる様にワイヤーバーで塗布
し、110℃で20秒間乾燥した。次いで暗所で20
℃、65%RHの条件下で24時間放置することにより
各電子写真感光体を作製した。
【0205】
【化45】
【0206】
【化46】
【0207】比較例5 実施例27において、樹脂〔B−18〕33.5gの代
わりに、下記構造の樹脂〔R−5〕33.5gを用いた
他は、実施例27と同様にして、感光材料を作製した。
【0208】実施例1と同様に、各感光材料の各特性を
調べた。その結果を下記表−Lにまとめた。
【0209】
【化47】
【0210】
【表23】
【0211】上記の測定において、静電特性及び撮像性
については下記の操作に従った他は、実施例1と同様の
操作で行なった。 注7)静電特性のE1/10の測定方法 コロナ放電により光導電層表面を−400Vに帯電させ
た後、該光導電層表面を照度2.0ルックスの可視光で
照射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するまでの
時間を求め、これから露光量E1/10(ルックス・秒)を
算出する。 注8)撮像性 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、全自
動製版機EPL−404V(富士写真フイルム(株)
製)でEPL−Tをトナーとして用いて製版して得られ
た複写画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。撮
像時の環境条件は、20℃65%RH(I)、30℃8
0%RH(II)及び15℃、30%RH(III)で
実施した。但し、複写用の原稿(即ち、版下原稿)に
は、ほかの原稿を切り抜いて、貼り込みを行なって作成
したものを用いた。
【0212】本発明の感光材料は、いずれも光導電層の
機械的強度は良好であったが、比較例5は、これらに比
べて低下した。静電特性は、常温・常湿(I)では、い
ずれも良好な性能を示したが、特に、低温・低湿(II
I)では、E1/10が低下した。
【0213】本発明の感光材料の静電特性は良好であ
り、更に、特定の置換基を有する樹脂〔A〕を用いた実
施例28は、非常に良好であり、特にE1/10 値が小さ
くなった。 実際の撮像性を調べて見ると、比較例5
は、複写画像として原稿以外に、切り抜いて貼り込んだ
部分の枠(即ち、貼り込み跡)が非画像部の地汚れとし
て認められた。更に撮像時の環境条件が、高温・高湿
(II)、低温・低湿(III)下で、複写画像の連続
階調部の中間調域にムラの発生、ベタ画像部の白ヌケの
微小のムラの発生等が見られた。
【0214】更に、これらをオフセット印刷用原版とし
て不感脂化処理して印刷した所、本発明のものはいずれ
も地汚れのない鮮明な画質の印刷物が1万枚得られた。
しかし、比較例5は、上記の貼り込み跡が、不感脂化処
理でも除去されず、刷り出しの印刷物から発生してしま
った。
【0215】以上のことより、本発明の感光材料のみ
が、良好な特性を与えることができた。 実施例29 樹脂〔A−4〕5g及び樹脂〔B−22〕35g、酸化
亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベンガル
0.04g、ブロムフェノールブルー0.03g、無水
フタル酸0.40g及びトルエン300gの混合物を、
実施例27と同様に以下操作して、感光材料を作成し
た。
【0216】本発明の感光材料を、実施例27と同様に
操作して各性能を調べた所、いずれも帯電性、暗電荷保
持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高湿の
(30℃、80%RH)及び低温・低湿(15℃、30
%RH)の過酷な条件においても、地カブリの発生のな
い、鮮明な画像を与えた。
【0217】更に、これをオフセットマスターの原版と
して用いて印刷した所、1万枚の所でも鮮明な画質の印
刷物を得た。 実施例30〜53 実施例29において、樹脂〔A−4〕5g及び樹脂〔B
−22〕35gの代わりに、下記表−Mの樹脂〔A〕5
g及び樹脂〔B〕35gを用いた他は、実施例27と同
様にして各感光材料を作製した。
【0218】
【表24】
【0219】本発明の感光材料はいずれも帯電性、暗電
荷保持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温高湿
(30℃、80%RH)及び低温・低湿(15℃、30
%RH)の過酷な条件においても地カブリの発生や細線
飛びの発生等のない鮮明な画像を与えた。
【0220】更にオフセットマスター原版として印刷し
た所、1万枚印刷しても地汚れの発生のない鮮明な画質
の印刷物が得られた。
【0221】
【発明の効果】本発明によれば、静電特性(とくに厳し
い条件下での静電特性)に優れた、鮮明で良質な画像を
有し、更に優れた機械的強度を有する電子写真感光体を
得ることができる。特に、半導体レーザー光を用いたス
キャニング露光方式に有効である。
【0222】式(Ia)又は(Ib)で示される特定の
メタクリレート成分を含有する繰り返し単位を本発明の
樹脂に用いることにより、更に静電特性が向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−330448(JP,A) 特開 平3−238462(JP,A) 特開 平3−249659(JP,A) 特開 平2−69759(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/05 101

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機光導電材料、分光増感色素及び結着
    樹脂を少なくとも含有する光導電層を有する電子写真感
    光体において、該結着樹脂が、下記樹脂〔A〕の少なく
    とも1種及び下記樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有し
    て成ることを特徴とする電子写真感光体。 樹脂〔A〕 1×103〜2×104の重量平均分子量を有し、下記一
    般式(I)で示される繰り返し単位を重合体成分として
    30重量%以上含有し、且つ重合体主鎖の片末端に−P
    32、−SO3H、−COOH、−P(=O)(O
    H)R1〔R1は炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素
    基を表す)を表す〕及び環状酸無水物基から選択される
    少なくとも1種の極性基を結合してなる樹脂。 【化1】 〔式(I)中、a1、a2は各々水素原子、ハロゲン原
    子、シアノ基、炭化水素基、−COOR4又は炭化水素
    基を介した−COOR4(ここで、 4 は炭化水素基を表
    )を表す。R3は炭化水素基を表す。〕 樹脂〔B〕 2×104〜1×106の重量平均分子量を有し、上記樹
    脂〔A〕における一般式(I)で示される繰り返し単位
    からなる重合体成分(イ)と上記樹脂〔A〕で示される
    特定の極性基のうちから選択される少なくとも1種の極
    性基を含有する重合体成分(ロ)とを少なくとも含有す
    ることから成る高分子鎖を少なくとも3個同一の有機分
    子に結合して成り、該重合体成分(イ)を30重量%以
    上及び該重合体成分(ロ)を0.05〜10重量%含有
    するスタ−型共重合体から成る樹脂。
  2. 【請求項2】 上記樹脂〔A〕が、一般式(I)で示さ
    れる共重合体成分として下記一般式(Ia)及び下記一
    般式(Ib)で示されるアリール基含有のメタクリレー
    ト成分のうちの少なくとも1つを含有することを特徴と
    する請求項1記載の電子写真感光体。 【化2】 【化3】 〔式(Ia)及び(Ib)中、R5及びR6は互いに独立
    に各々水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原
    子、臭素原子、−COR9又は−COOR9(R9は炭素
    数1〜10の炭化水素基を表す)を表し、R7及びR8
    各々−COO−とベンゼン環を結合する単結合又は連結
    原子数1〜4個の連結基を表す。〕
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