JPH05314457A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH05314457A
JPH05314457A JP14647692A JP14647692A JPH05314457A JP H05314457 A JPH05314457 A JP H05314457A JP 14647692 A JP14647692 A JP 14647692A JP 14647692 A JP14647692 A JP 14647692A JP H05314457 A JPH05314457 A JP H05314457A
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Japan
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magnetic
sqr
recording medium
recording
resin
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JP14647692A
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English (en)
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Tsuneo Komoritani
恒男 籠谷
Kenji Yokoyama
研二 横山
Keiji Koga
啓治 古賀
Yasumichi Tokuoka
保導 徳岡
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 出力が高く記録密度の大きい垂直磁気記録媒
体と、これを容易に製造する方法とを提供する。 【構成】 実質的に六方晶系フェライト粒子から構成さ
れる磁性粉末とバインダとを含む塗布型の磁性層を有す
る磁気記録媒体において、記録トラック方向の角形比を
SQRx、磁性層面内で記録トラック方向に垂直な方向の角
形比をSQRy、磁性層に垂直な方向の角形比をSQRzとした
とき、SQRy≦0.35、SQRz≧0.7、SQRz/SQRx
2.0とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオテープや磁気デ
ィスク等の高密度記録用塗布型磁気記録媒体とその製造
方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来からγ−Fe23 等の針状強磁性
粉末を用いた塗布型磁気記録媒体が、オーディオテー
プ、ビデオテープ、磁気ディスク等に利用されている。
これらの塗布型磁気記録媒体では、磁化容易軸を磁性層
面内方向に配向し、面内磁化による磁気記録が行なわれ
る。しかし、面内磁化による記録では、記録密度が高く
なるにつれて自己減磁が大きくなるため、高記録密度化
には限界がある。
【0003】このような事情から、磁性層に垂直な方向
に磁性粉末を配向させた媒体と単磁極ヘッドとの組み合
わせで、垂直磁化により磁気記録を行なう、いわゆる垂
直磁気記録方式が提案されている。垂直磁気記録方式で
は、記録密度が高くなるほど磁性層内の減磁界が零に近
づく性質があるため、記録密度の大幅な向上が可能であ
る。塗布型垂直磁気記録媒体用の磁性粉末としては、垂
直方向の配向が容易であることから、バリウムフェライ
ト粉末等の六角板状の六方晶系フェライト粉末が用いら
れている。
【0004】磁性層中の磁性粉末の配向を示すパラメー
タとしては、角形比(残留磁化/飽和磁化)や配向度
(配向方向の角形比/配向方向に垂直な方向の角形比)
があるが、垂直磁気記録媒体における好ましい角形比や
配向度の提案はなされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、垂直磁気記
録媒体において角形比および配向度を限定することによ
り、出力が高く記録密度の大きい垂直磁気記録媒体を提
供することを目的とし、また、このような垂直磁気記録
媒体を容易に製造することのできる方法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0007】(1)実質的に六方晶系フェライト粒子か
ら構成される磁性粉末とバインダとを含む塗布型の磁性
層を有する磁気記録媒体であって、記録トラック方向の
角形比をSQRx、磁性層面内で記録トラック方向に垂直な
方向の角形比をSQRy、磁性層に垂直な方向の角形比をSQ
Rzとしたとき、 SQRy≦0.35、 SQRz≧0.7、 SQRz/SQRx≧2.0、 であることを特徴とする磁気記録媒体。
【0008】(2)磁性層に垂直な方向の保磁力が10
00 Oe 以上である上記(1)に記載の磁気記録媒体。
【0009】(3)前記六方晶系フェライト粒子がBa
フェライト粒子である上記(1)または(2)に記載の
磁気記録媒体。
【0010】(4)記録トラック方向の磁界を印加して
配向を行なった後、磁性層に垂直な方向の磁界を印加し
て配向を行なう配向工程を経て製造された上記(1)な
いし(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【0011】(5)垂直磁化による記録が行なわれる上
記(1)ないし(4)のいずれかに記載の磁気記録媒
体。
【0012】(6)上記(1)ないし(5)のいずれか
に記載の磁気記録媒体を製造する方法であって、磁性塗
膜形成工程と配向工程と乾燥工程とをこの順で有し、前
記配向工程が面内配向工程とこれに続く垂直配向工程と
を有し、前記面内配向工程において記録トラック方向に
磁界を印加し、前記垂直配向工程において磁性塗膜に垂
直な方向に磁界を印加することを特徴とする磁気記録媒
体の製造方法。
【0013】
【作用および効果】垂直磁気記録媒体では、SQRzを大き
くすることが望ましいが、本発明者らは、SQRzが高い場
合でもSQRyが0.35を超えていると高出力が得られず
記録密度を高くすることができないこと、また、SQRy
0.35以下であれば高いSQRzが容易に実現すること、
また、SQRyが0.35以下であっても、SQRzまたはSQRz
/SQRxが所定の範囲にない場合には、やはり高出力が得
られず、記録密度も高くできないことを見いだし、六方
晶系フェライト粉末を含有する磁性層について、角形比
を上記のように設定した。
【0014】各方向の角形比および配向度を上記範囲と
するためには、磁性塗膜中の磁性粒子を配向する際に、
記録トラック方向の磁界を印加した後、磁性塗膜に垂直
な方向の磁界を印加することが好ましい。記録トラック
方向の磁界を印加することにより、磁性粒子の磁化容易
軸が記録トラック方向に揃ってSQRyが減少する。次いで
磁性塗膜に垂直な方向の磁界を印加することにより、SQ
Rzが増加すると共にSQRxおよびSQRyが減少する。最初に
記録トラック方向に配向させてSQRyを減少させることに
より垂直方向の配向が極めて容易になり、配向磁界の強
度が小さくて済む。また、最初に記録トラック方向に配
向させることにより、六角板状のフェライト粒子の揃い
がよくなり、良好なS/Nが得られる。しかもこの場
合、SQRxは、記録トラック方向の磁界を印加せずに垂直
方向の磁界だけを印加した場合に比べてより小さくな
り、SQRzの向上に寄与する。
【0015】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。本発明の磁気記録媒体は、実質的に六方晶
系フェライト粒子から構成される磁性粉末とバインダと
を含む塗布型の磁性層を有し、垂直磁化により記録が行
なわれる垂直磁気記録媒体である。
【0016】この磁性層では、記録トラック方向の角形
比をSQRx、磁性層面内で記録トラック方向に垂直な方向
の角形比をSQRy、磁性層に垂直な方向の角形比をSQRz
したとき、 SQRy≦0.35、好ましくはSQRy≦0.33、 SQRz≧0.7、好ましくはSQRz≧0.80、 SQRz/SQRx≧2.0、好ましくはSQRz/SQRx≧2.3 である。なお、本明細書において、SQRzは反磁界補正後
の値である。
【0017】SQRyが上記範囲を超えると垂直記録の際に
高出力および高記録密度が得られなくなり、また、SQRz
を上記範囲とすることが困難となる。SQRzまたはSQRz
SQRxが上記範囲未満となると、垂直記録の際に高出力お
よび高記録密度が得られなくなる。
【0018】なお、好ましくはSQRx≦0.4、より好ま
しくはSQRx≦0.35とする。また、通常、SQRx≧0.
1、SQRy≧0.1およびSQRz≦0.95である。
【0019】磁性層に垂直な方向の保磁力は、1000
Oe 以上とすることが好ましく、また、磁気ヘッドの記
録能力との関係から、通常、4000 Oe 以下とするこ
とが好ましい。
【0020】本発明で用いる六方晶フェライト粒子に特
に制限はなく、Baフェライト、Srフェライト、Ca
フェライト、Pbフェライト等の各種フェライト粒子か
ら適宜選択すればよく、また、これらの2種以上を混合
して使用してもよいが、好ましくはBaフェライトを用
いる。Baフェライトは、通常、BaFe1219で表わ
される組成を有する六方晶系酸化物であるが、BaやF
eの一部を、Ca、Sr、Pb、Co、Ni、Ti、C
r、Zn、In、Mn、Cu、Ge、Nb、Zr、Sn
その他の金属から選ばれる1種以上で置換したものであ
ってもよい。
【0021】六方晶系フェライト粒子の寸法は目的に応
じて適宜選定すればよいが、電磁変換特性上、平均粒径
が0.15μm 以下、特に0.02〜0.10μm 程
度、板状比は2以上、特に3〜10程度であるものが好
ましい。この場合の平均粒径とは、電子顕微鏡写真{走
査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(T
EM)}によって、例えば50個程度以上の粒子を観察
し、粒径の測定値を平均したものである。また板状比と
は、平均粒径/平均厚さである。
【0022】なお、磁化量増大や温度特性改善のため、
六方晶系フェライト粒子の表面をスピネルフェライトで
変成してもよい。さらに、耐候性や分散性の向上のため
に、粒子表面に酸化物や有機化合物の被膜を形成しても
よい。
【0023】六方晶系フェライト粒子の製法としては、
セラミック法、共沈−焼成法、水熱合成法、フラックス
法、ガラス結晶化法、アルコキシド法、プラズマジェッ
ト法等があるが、いずれの方法を用いてもよい。これら
の方法の詳細については小池吉康、久保修共著“セラミ
ックス18(1983)No. 10”などに記載されてい
る。
【0024】磁性層形成に用いるバインダは特に限定さ
れず、通常のバインダ用各種樹脂から適宜選択すればよ
い。
【0025】磁性層が形成される非磁性基体は、磁気デ
ィスクや磁気テープ等の用途に応じて各種樹脂フィルム
や金属、セラミックス、ガラスなどから適宜選択すれば
よい。
【0026】以下、剛性基板の主面に塗布型の磁性層を
有する磁気ディスクに本発明を適用する場合の製造方法
について説明する。
【0027】ディスク状の剛性基板は、例えば、アルミ
ニウムやアルミニウム合金等の金属、ガラス、セラミッ
クス、エンジニアリングプラスチックス等の各種非磁性
材料により構成すればよい。これらの中では、機械的剛
性が高く加工性が良好なアルミニウムやアルミニウム合
金などを用いることが好ましい。基板の寸法は目的に応
じて選定すればよいが、通常、厚さ0.5〜1.9mm程
度、直径40〜130mm程度である。また、基板のRma
x は0.005〜0.070μm 程度であることが好ま
しい。
【0028】磁性塗膜は、磁性粉末とバインダとを含有
する磁性塗料を塗布して形成される。磁性塗料は、少な
くとも磁性粉末とバインダと溶剤とを混練して調製され
る。磁性粉末には上記した六方晶系フェライト粒子から
構成される磁性粉末を用いる。バインダに特に制限はな
く、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、放射線硬化性樹脂等か
ら目的に応じて選択すればよいが、薄層で十分な膜強度
を確保し、高い耐久性を得る必要があることから熱硬化
性樹脂あるいは放射線硬化性樹脂を用いることが好まし
い。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、ビニル共重合系樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、
メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリ
ル系反応樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド
樹脂、飽和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹
脂などの縮重合系の樹脂あるいは高分子量ポリエステル
樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリ
ル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合
物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混
合物、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフ
ェニルメタントリイソシアネートの混合物など、上記の
縮重合系樹脂とイソシアネート化合物などの架橋剤との
混合物、ビニル共重合系樹脂と架橋剤との混合物、ニト
ロセルロース、セルロースアセトブチレート等の繊維素
系樹脂と架橋剤との混合物、ブタジエン−アクリロニト
リル等の合成ゴム系と架橋剤との混合物、さらにはこれ
らの混合物が好適である。特に、エポキシ樹脂とフェノ
ール樹脂との混合物、米国特許第3,058,844号
に記載のエポキシ樹脂とポリビニルメチルエーテルとメ
チロールフェノールエーテルとの混合物、また特開昭4
9−131101号に記載のビスフェノールA型エポキ
シ樹脂とアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステ
ル重合体との混合物等が好ましい。
【0029】放射線硬化性化合物の具体例としては、ラ
ジカル重合性を示す不飽和二重結合を有するアクリル
酸、メタクリル酸、あるいはそれらのエステル化合物の
ようなアクリル系二重結合、ジアリルフタレートのよう
なアリル系二重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等
の不飽和結合等の放射線照射による架橋あるいは重合す
る基を熱可塑性樹脂の分子中に含有または導入した樹脂
である。その他放射線照射により架橋重合する不飽和二
重結合を有する化合物であれば用いることができる。放
射線硬化性バインダーとして用いられる樹脂としては、
上記不飽和二重結合を樹脂の分子鎖中や末端、側鎖に有
する飽和、不飽和のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、
ポリビニルブチラール系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキ
シ樹脂、繊維素系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、ポリブタジエン等が好適である。さらに、オ
リゴマー、モノマーとして用いられる放射線硬化性化合
物としては、単官能また多官能のトリアジン系アクリレ
ート、多価アルコール系アクリレート、ペンタエリスリ
トール系アクリレート、エステル系アクリレート、ウレ
タン系アクリレートおよび上記系の単官能または多官能
のメタクリレート化合物等が好適である。
【0030】磁性塗料中のバインダの含有量に特に制限
はないが、磁性粉末100重量部に対し、10〜50重
量部程度とすることが好ましい。
【0031】磁性塗料の調製に用いる溶剤に特に制限は
なく、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、イ
ソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコー
ル系、エチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソル
ブ系、トルエン等の芳香族系等の各種溶剤を目的に応じ
て選択すればよい。磁性塗料中の溶剤の含有量に特に制
限はないが、磁性粉末100重量部に対し、400〜7
00重量部程度とすることが好ましい。磁性塗料には、
必要に応じα−Al23 等の研磨剤、シリコーンオイ
ル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
【0032】磁性塗料は、ポリッシングなどにより平滑
化された基板表面に塗布される。基板の表面は、アルマ
イト等の陽極酸化膜、クロム酸等の酸化膜、Ni−P−
Cu等の無電解めっき膜、カップリング剤、硬化性樹脂
などで処理されていてもよい。
【0033】磁性塗膜はスピンコート法により形成する
ことが好ましい。スピンコート法による磁性塗膜の形成
工程は、基本的には、比較的低い回転数での磁性塗料の
塗布と、より高い回転数での振り切りとで構成される。
塗布および振り切りの際の基板の回転数やその回転数に
保持する時間は、目的とする塗膜厚さ、塗料の粘度、塗
料の組成、スピンコート時の雰囲気などの各種条件によ
って大きく異なるため、これらの条件に応じて適宜設定
すればよく特に制限はないが、通常、塗布時の回転数お
よびその保持時間は200〜2000rpm 程度で1秒間
〜1分間程度であり、振り切り時の回転数およびその保
持時間は1000〜7000rpm 程度で5秒間〜1分間
程度である。
【0034】磁性塗膜形成後、磁性粒子の配向を行なう
が、配向工程の前に、塗膜の平滑化のためのレベリング
工程を設けてもよい。レベリング工程では、基板を20
0〜3000rpm 程度の低回転数で回転させ、この回転
を1秒間〜5分間程度保持することが好ましい。
【0035】磁性塗膜の形成は空気中で行なってもよい
が、溶剤蒸気を含む雰囲気中で行なうことが好ましい。
この場合に用いる溶剤は、磁性塗料を調製する際に使用
可能なものであれば特に制限はなく、2種以上を用いて
もよい。この場合、雰囲気の温度は20〜50℃程度と
することが好ましい。このように溶剤蒸気を含む雰囲気
中で磁性塗膜を形成すれば磁性塗膜の乾燥を防止できる
ため、配向工程において磁性粉末を十分に配向させるこ
とができ、高い保磁力角形比S* を有する磁性層を形成
できる。なお、レベリング工程を設ける場合には、レベ
リング工程も溶剤を含む雰囲気中で行なうことが好まし
い。
【0036】磁性塗膜形成後、あるいはレベリング工程
後、磁性塗膜中の磁性粒子の配向処理を行なう。塗膜中
の磁性粒子は、その磁化容易軸が垂直方向成分をもつよ
うに配向され、これにより、磁性塗膜乾燥後の各方向の
角形比は、上記した関係となる。このような配向を行な
うためには、面内配向工程とこれに続く垂直配向工程と
から配向工程を構成することが好ましい。面内配向工程
では磁性塗膜面内の記録トラック方向に磁界を印加し、
垂直配向工程では磁性塗膜に垂直な方向に磁界を印加す
る。記録トラック方向、すなわちディスク周方向の磁界
を印加する方法は特に限定されず、例えば、磁性塗膜を
挟んで同極同士が対向するように少なくとも一対の配向
用磁石を設け、これらの磁石間で基板を回転させること
が好ましい。また、磁性塗膜に垂直な方向の磁界を印加
するためには、磁性塗膜を挟んで異極同士が対向するよ
うに少なくとも一対の配向用磁石を設け、これらの磁石
間で基板を回転させればよい。また、このような磁石対
を2対以上設け、周方向において隣り合う磁石が異極と
なるように配設してもよい。
【0037】配向用磁石による磁界は、塗膜中にて10
00〜10000G 程度、基板の回転数は100〜50
0rpm 程度、配向時間は10秒間〜10分間程度とする
ことが好ましい。配向時の雰囲気中には、前述した溶剤
蒸気を存在させてもさせなくてもよい。
【0038】配向後、磁性塗膜を乾燥させる。乾燥は自
然乾燥であっても加熱による強制乾燥であってもよい
が、加熱する場合には100℃程度以下の温度で乾燥さ
せることが好ましい。
【0039】乾燥後、硬化処理を行なって磁性塗膜を硬
化し、磁性層とする。バインダが熱硬化性樹脂の場合、
熱処理温度、熱処理時間等の各種条件はバインダの種類
に応じて適宜設定すればよいが、通常、150〜300
℃程度にて1〜5時間程度である。また、放射線硬化性
樹脂の場合には、常温において3〜10Mradの線量に設
定すればよい。硬化処理時の雰囲気は不活性ガス雰囲気
中、特に窒素雰囲気中であることが好ましい。磁性塗膜
硬化後の磁性層の膜厚は、0.6μm 以下、特に0.3
μm 以下とすることが好ましい。
【0040】硬化後、磁性層表面のポリッシングを行な
うことが好ましい。ポリッシングは研磨テープ等の各種
研磨材により行なえばよい。このポリッシングにより磁
性層の表面粗さを所望の値とすることができ、また、こ
れにより磁性層の厚さを調整することも可能である。
【0041】研磨後、磁性層表面に液体潤滑剤を塗布
し、磁性層中に含浸させることが好ましい。用いる液体
潤滑剤に特に制限はないが、潤滑性が良好であることか
ら、フッ素を含む有機化合物を含有する液体潤滑剤を用
いることが好ましい。液体潤滑剤の塗布方法に制限はな
く、例えば、ディップ法、スピンコート法等を用いれば
よい。なお、このような液体潤滑剤は、磁性塗料に含有
させてもよい。
【0042】液体潤滑剤の含浸後、バニッシングを行な
うことにより、磁気ディスク表面の平滑性をさらに向上
させることが好ましい。
【0043】以上では本発明を磁気ディスクに適用する
場合の製造方法について説明したが、磁気テープなどに
ついても上記した配向方法に準じて製造することによ
り、各方向の角形比および配向度を上記した関係とする
ことができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 <実施例1>下記表1に示される磁気ディスクサンプル
を下記のようにして作製した。
【0045】磁性塗料用組成物 磁性粒子 100重量部 組成 :Baフェライト(940 Oe ) 平均粒径:0.05μm 板状比 :3 α−Al23 3重量部 エポキシ樹脂 14重量部 (エピコート1004、シェル化学社製) フェノール樹脂 6重量部 (スミラックPC25、住友ベークライト社製) 溶剤 280重量部 シクロヘキサノン/イソホロン (1/1混合)
【0046】上記磁性塗料用組成物をボールミル中にて
140時間混合、分散し、磁性塗料を調製した。塗料の
粘度は400cps であった。
【0047】次に、スピンコーターを用いて基板の両主
面に磁性塗膜を形成した。基板には、外径95mm、内径
25mm、厚さ1.28mmのアルミニウム板を用いた。基
板の回転数を1000rpm として10秒間磁性塗料を塗
布し、次いで、基板の回転数を4000rpm まで上昇さ
せて5秒間保ち、磁性塗料を振り切った。なお、塗膜形
成は、空気中にシクロヘキサノン蒸気を存在させた雰囲
気中で行なった。
【0048】次に、磁性塗膜中の磁性粒子を配向した。
まず、同極同士を対向させた一対の磁石間で基板を回転
させ、磁性粒子の磁化容易軸を基板の周方向に配向させ
た。次いで、異極同士を対向させた一対の磁石間で基板
を回転させて、磁性塗膜に垂直な方向に磁界を印加し
た。磁性塗膜中の配向磁界強度を表1に示す。表1にお
いて、x方向とは基板の周方向であり、z方向とは塗膜
に垂直な方向である。磁界印加時間はx方向で20秒
間、z方向で60秒間とした。サンプルNo. 1−2およ
び2−2はz方向の配向だけを行なった比較サンプルで
あり、それぞれサンプルNo. 1−1および2−1と同強
度のz方向磁界を印加している。なお、基板の回転数は
200rpm とした。
【0049】次に、磁性塗膜を乾燥させ、窒素気流中で
200℃にて3時間熱処理を施し、磁性塗膜を硬化して
磁性層とした。この後、研磨テープWA10000 (日本ミク
ロコーティング社製)を用いて研磨量が約0.05μm
となるように磁性層を研磨して、磁性層の厚さを調整す
ると共に表面を平滑化した。各サンプルの磁性層の厚さ
を表1に示す。
【0050】次いで、基板表面および磁性層表面を洗浄
し、濃度0.1%のフルオロカーボン(KRITOX 143CZ:
デュポン社製)のフロン溶液をディップ法により塗布し
て含浸させた。
【0051】各サンプルについて、表1に示される磁気
特性を測定した。SQRxおよびHcxはそれぞれ基板の周方
向の角形比および保磁力、SQRyおよびHcyはそれぞれ基
板の径方向の角形比および保磁力、SQRzおよびHczはそ
れぞれ磁性層に垂直な方向の角形比および保磁力であ
る。測定は振動試料型磁力計(VSM)により行なっ
た。なお、SQRzは反磁界補正後の値である。
【0052】また、各サンプルについて下記の特性を測
定した。結果を表1に示す。
【0053】(1)S/N 各サンプルの最内周でS/Nを測定した。記録・再生に
は、ギャップ長0.6μm のモノリシックタイプのMI
G型浮上型ヘッドを有する磁気ディスク装置を用いた。
サンプルの回転数は3600rpm 、ヘッドの浮上量は
0.25μm とした。まず、記録周波数3.3MHz で書
き込んだ後、再生出力(Vrms)を10MHz の帯域の交流電
圧計にて測定した。次に、このトラックで直流消去を3
回行なった後、交流電圧計で再生出力(VDCrms)を測定し
た。また、ヘッドをオンロードし、システムノイズ(Vno
ise)を測定した。そしてS/Nを下記式から求めた。 S/N=Vrms/(VDCrms2−Vnoise2)1/2
【0054】(2)再生出力 ディスク回転数3600rpm 、記録周波数3.3MHz の
ときのP−P値であり、単位は、kFRPI(kilo Flux Reve
rse Per Inch) である。
【0055】(3)D50 再生出力のP−P(peak to peak)値が孤立波再生出力
のP−P値の50%まで減少したときの記録密度であ
る。記録密度は、記録信号の周波数を変えることにより
変更した。
【0056】
【表1】
【0057】表1に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。すなわち、基板の周方向(SQRx測定方
向)の配向を行なったサンプルNo. 1−1および2−1
では、周方向の配向を行なわなかったサンプルNo. 1−
2および2−2に比べ、それぞれSQRyが小さくSQRzが大
きくなっており、また、SQRxも小さくなっている。そし
て、SQRy≦0.35、SQRz≧0.7およびSQRz/SQRx
2の全てを満足するサンプルNo. 1−1および2−1
は、サンプルNo. 1−2および2−2に比べ良好な磁気
特性が得られている。
【0058】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】磁性塗料の調製に用いる溶剤に特に制限は
なく、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、イ
ソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコー
ル系、エチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソル
ブ系、トルエン等の芳香族系等の各種溶剤を目的に応じ
て選択すればよい。磁性塗料中の溶剤の含有量に特に制
眼はないが、磁性粉末100重量部に対し、200〜7
00重量部程度とすることが好ましい。磁性塗料には、
必要に応じα−Al等の研磨剤、シリコーンオイ
ル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
フロントページの続き (72)発明者 徳岡 保導 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に六方晶系フェライト粒子から構
    成される磁性粉末とバインダとを含む塗布型の磁性層を
    有する磁気記録媒体であって、 記録トラック方向の角形比をSQRx、磁性層面内で記録ト
    ラック方向に垂直な方向の角形比をSQRy、磁性層に垂直
    な方向の角形比をSQRzとしたとき、 SQRy≦0.35、 SQRz≧0.7、 SQRz/SQRx≧2.0、 であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 磁性層に垂直な方向の保磁力が1000
    Oe 以上である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記六方晶系フェライト粒子がBaフェ
    ライト粒子である請求項1または2に記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 記録トラック方向の磁界を印加して配向
    を行なった後、磁性層に垂直な方向の磁界を印加して配
    向を行なう配向工程を経て製造された請求項1ないし3
    のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 垂直磁化による記録が行なわれる請求項
    1ないし4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の磁
    気記録媒体を製造する方法であって、 磁性塗膜形成工程と配向工程と乾燥工程とをこの順で有
    し、前記配向工程が面内配向工程とこれに続く垂直配向
    工程とを有し、前記面内配向工程において記録トラック
    方向に磁界を印加し、前記垂直配向工程において磁性塗
    膜に垂直な方向に磁界を印加することを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
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