JPH053014Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は魚釣用スピニングリールの糸落ち防止
機構に関する。

〔従来の技術〕

上記スピニングリールは、ローターにスプール
が外装された状態でメインシヤフトにて前後方向
に往復移動される構成であるので、糸がふけた
時、ローターとスプールとの隙間から糸がロータ
ー内に入り、さらに最悪の状態であるところのメ
インシヤフトに絡み付くトラブルが屡々発生し、
為に糸巻取り動作ができなくなつたり、糸を損傷
したり、又絡んだ糸の取り出しに手間どる等の問
題点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕 本考案は上記問題点を解消しようとしたもの
で、糸がふけてローターとスプール間に入つても
メインシヤフトまで糸落ちしないようにすると共
に、ローター内に入つた糸を簡単に取り出し易く
し、しかもローターを管軸に固定するローター固
定用ナツトの緩み防止を兼用することができるよ
うに成し、部品点数を少なくし、組立工数が削減
でき、製造が容易にできる魚釣用スピニングリー
ルの糸落ち防止機構を提供しようとするのが、そ
の目的である。

〔問題点を解決する為の手段〕

即ち本考案は、ローターの先端部内に糸落ち防
止リングをビス止めにて固定し、該糸落ち防止リ
ングの先端にリング部を設けて該リング部をロー
ター筒部の先端部外周に周設すると共に、該リン
グ部における内端周面の上記筒部外周面とのなす
角度を鋭角に形成する一方、上記糸落ち防止リン
グの後端壁に多角形孔を設けて該多角形孔を管軸
にローターを固定するローター固定用のナツトに
係嵌可能に構成し、上記２つの問題点を一部品に
よつて同時に解決したのである。

〔実施例〕

以下、アウタースプールタイプの魚釣用スピニ
ングリールを示した本考案の実施例を図面に基づ
いて詳述すれば第１図、第２図イ，ロ，ハに示し
たようにローター１は管軸２の先端部にナツト３
止めにて固定されているもので、該ローター１の
先端筒部４内にあつて、その実質的に底部を構成
する前壁５には糸落ち防止リング６がその後端壁
６ａをビス７，７……止めして固定させてあり、
該糸落ち防止リング６の先端に設けたリング部８
を上記ローター１における筒部４の先端部外周に
周設させてあると共に、該リング部８における内
端周面８ａのローター筒部外周面４ａとのなす角
度θを鋭角に形成させてある。つまり、スプール
９に巻装させてある糸ａがふけて上記ローター１
とスプール９との間の隙間１０に第１図中実線で
示したように入つた場合、糸ａが引つかかり易く
して、かつ一旦引つかかつた糸がさらに乗り越え
にくくするよう上記内端周面８ａの角度θを鋭角
に設けてあり、当該糸ａが第１図中二点破線で示
したようにメインシヤフト１１まで落ち込むのを
阻止できるようにしてある。

従つて、上記リング部８は、当然のことながら
糸ａの太さよりも相当に厚肉に設けられる。

又、上記糸落ち防止リング６には、ローター１
を管軸２に固定する為のナツト３の緩み止め機能
を持たせてあるもので、その緩み止め手段は、上
記糸落ち防止リング６における後端壁５の中心に
多角形孔１２を設けて、該多角形孔１２を上記ナ
ツト３に係嵌することにより当該ナツト３の螺動
を阻止する構成としてある。

又、上記ナツト３にて管軸２にローター１を締
め付け固定する際、各部材の精度上の誤差等によ
り当該ナツト３の締め付け位置が周方向に変わる
ので、これに対応できるよう上記多角形孔１２は
第２図イに示した如く複数箇の多角形孔を周方向
へ適宜角度毎に変位させてだぶらせて設けてあ
る。

又、上記糸落ち防止リング６は、第２図イ，
ロ，ハに明示した如く、中心に上記多角形孔１２
を、その上下両側にビス孔１３，１３を夫々設け
た略帯状をなす後端壁６ａの両端部を夫々前方へ
並行に曲設して連設壁６ａ，６ｂを設け、該各連
設壁６ｂ，６ｂの前端部外側に上記リング部８を
横断面略Ｌ字形状に一体に、又は別部材を上記連
設壁６ａ，６ｂに溶着等にて固定して形成させて
あり、上記連設壁６ｂ，６ｂの先端部外側面と、
上記リング部８との間には、上記ローター１にお
ける筒部４の先端部を嵌合可能な凹溝１４が設け
てある。

又、上記管軸２はリール本体１５側に軸受１６
を介在して軸方向移動が阻止された状態で支持さ
れており、図示しないハンドルによつて回転され
ると共に、該管軸２には上記メインシヤフト１１
が貫通させてあつて、その先端部にスプール９が
ノブ１７にて脱着自在に、かつ上記ローター１に
外装して設けられている。

又、上記リング部８における内端周面８ａの角
度θは、該内端周面８ａ自体を第１図、第２図に
示した如く傾斜形成することにより鋭角に設ける
ようにしてもよく、又はリング部８自体を第３図
に示したように前部から後部外側へ傾斜上昇させ
てその内側面を内端周面８ａとし、その角度θを
鋭角に設けるようにすればよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る魚釣用スピニ
ングリールの糸落ち防止機構は構成されたもので
あるから、スプール９に巻装させてある糸ａがふ
けてローター１とスプール９間の隙間１０に入つ
ても、ローター１における筒部４の先端部外周に
周設したリング部８の鋭角に設けた内端周面８ａ
に引つかかり易く、かつ一旦引つかかつた糸がさ
らに乗り越えにくくし、当該糸ａがメインシヤフ
ト１１まで落ち込むのを阻止するようにしたの
で、糸ふけによつて当該糸ａがメインシヤフト１
１に絡み付く等のトラブル発生を未然に防止する
ことができると共に、上記ローター１のリング部
８まで入り込んだ糸８はノブ１７を緩め、スプー
ル９を外すだけで簡単に取り出すことができ、又
糸落ち防止リンク６は、その後端壁６ａに多角形
孔１２を設けて、該多角形孔１２を、管軸２にロ
ーター１を固定するナツト３に係嵌し、該ナツト
３の緩み防止機能を持たせたから、従来のように
別体のナツト緩み止め板等を必要とせずにナツト
３、ローター１の緩みを防止でき、又、糸落ち防
止リング６はローター１にビス７……のみにて脱
着できるので、部品点数が少なくなり組立工数が
削減され、製造が容易となり、さらにメンテナン
スが簡単で安価に提供できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る魚釣用スピニングリール
の糸落ち防止機構の実施例を示す従断側面図、第
２図イ，ロ，ハは同糸落ち防止機構における糸落
ち防止リングの正面図と、同図イにおけるロ−ロ
線、ハ−ハ線各矢視縦断面図、第３図は同糸落ち
防止機構の他の実施例を示した一部の断面図であ
る。 １……ローター、２……管軸、３……ナツト、
４……筒部、４ａ……筒部外周面、６……糸落ち
防止リング、６ａ……後端壁、７……ビス、８…
…リング部、８ａ……内端周面、１２……多角形
孔、θ……内端周面の角度。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ローター１の先端筒部４内に糸落ち防止リング
   ６をビス７……止めにて固定し、該糸落ち防止リ
   ングの先端にリング部８を設けて該リング部をロ
   ーター筒部の先端部外周に周設すると共に、該リ
   ング部における内端周面８ａの上記筒部外周面４
   ａとのなす角度θを鋭角に形成する一方、上記糸
   落ち防止リングの後端壁６ａに多角形孔１２を設
   けて該多角形孔を、管軸２にローターを固定する
   ローター固定用のナツト３に係嵌可能にしてなる
   ことを特徴とする魚釣用スピニングリールの糸落
   ち防止機構。