JPH0529786Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、NCワイヤ放電加工機に関し、更に
詳しくはワイヤ放電加工によつて生ずる中子（切
り出し片）を一時的に受け止めて支持し、更に収
集するための装置を備えたNCワイヤ放電加工機
に関する。

（従来の技術） この種の装置はドイツ特許第2755724号によつ
て周知されている。しかしながら、同特許によれ
ば、中子の支持板は被加工物を載置する載置テー
ブルの一部によつて構成されている。言うなれ
ば、中子は被加工物の載置テーブルの一部によつ
て支持される。この載置テーブルは被加工物と共
に一方向、例えばＹ軸方向に移動可能に構成され
ており、その結果ワイヤ電極に対しても相対的に
移動することになる。それ故、この載置テーブル
はＹ軸方向にワイヤ電極・被加工物間の全運動経
路に対応した長さの細長いスロツトを備えていな
ければならないことになる。しかしながら、載置
テーブルはその他の運動方向、例えばＸ軸方向に
は移動可能にはなつていないため、この運動方向
の切断加工運動では、被加工物は載置テーブルに
関して滑動によつて相対的に移動するようになつ
ている。換言すれば、載置テーブルはＸ軸方向の
切断加工送りではワイヤ電極に関して静止状態を
保つている。従つて、この装置においては、載置
テーブル（又は中子支持板）用として二個の滑り
受けの追加が必要になる。即ち、一つは載置テー
ブルの機械本体部に対するＹ軸方向移動を可能に
する滑り受けが必要であり、第二の滑り受けとし
ては、被加工物の直角座標支えに対して載置テー
ブルがＸ軸方向に相対移動するための滑り受けが
必要となる。従つて、こうした構成は非常に複雑
となり、高価につくことになる。そのうえ、Ｙ軸
方向に設けたスロツトのために、載置テーブルを
その運動経路よりも大きくして、充分な安定性を
保証しなければならなくなる。従つて、可能な運
動経路が制限されたり、機械が複雑化、大型化さ
れることになる。さらに、この構造では中子は上
方向にだけしか除去することが出来ない。

一般的に、ワイヤ放電加工機によつて被加工物
に幾つかの輪郭を自動的に切断形成する場合（例
えば、連続ダイス切断加工）、切り出された「中
子」は一時的に受け止められ、支持されて、最終
的には収集されなければならない。

こうした目的では、前述のドイツ特許第
2755724号とは別に、次の方式が公知となつてい
る。この方式では、被加工物材料を加工を受ける
輪郭中で完全に電食し、狭い意味で中子が残らな
いようにすると言う方式である。しかしながら、
この方式はより長い電食時間を必要とし、不必要
なエネルギーを消費し、不必要に多大なワイヤ電
極の消費と言う結果につながることになる。

また、その他の方法においては、輪郭のワイヤ
放電加工に当たつて、輪郭がまだ完全に切断され
ていない間に、中子を被加工物に一時的に保持ウ
エブにより保持する。そして、その後の作業工程
で、輪郭の未切断部分と共に保持ウエブを切断除
去する。しかしながら、この方法は追加の作業工
程を必要とし、また通常は、保持ウエプの切断除
去後に残る「まくれ」の再加工が必要となる。

（考案が解決しようとする課題） 本考案の目的は前述の従来技術の欠点を除去す
ることにある。それ故、本考案の課題は前述の形
式の装置を改善し、ワイヤ放電加工による輪郭形
成によつて生ずる中子を安定に受け止め、支持
し、かつ容易にそれを収集し、除去する簡単な構
造の装置を備えたワイヤ放電加工機を提供するこ
とにある。

（課題を解決するための手段） 本考案によれば、上記の目的・課題は、上方及
び下方アームにそれぞれ設けた上方及び下方ワイ
ヤ案内装置によつてワイヤ電極を案内し、このワ
イヤ電極を加工液を満たした微小間隙を介して固
定装置に固定した被加工物に対向させながらワイ
ヤ電極供給装置から同巻き取り手段に向かつてワ
イヤ電極の軸方向に前進移動させ、加工電源から
前記微小間隙に対して、被加工物に輪郭を電気加
工するための電気パルスを供給し、前記固定装置
は送り台上に設けられ、この送り台が数値制御装
置の制御のもとに固定装置に固定した被加工物を
ワイヤ電極に対して相対的に移動させるワイヤ放
電加工機であつて、ワイヤ放電加工によつて所期
の輪郭を形成する毎に生ずる中子を支持し、かつ
被加工物とワイヤ電極との相対運動によつて中子
を収集する装置が設けられ、この装置は中子を支
持する支持板と、中子を受け入れる開口を有する
収集容器とからなり、前記支持板はワイヤ電極を
通過させる小穴を備え、充分な数の中子を安定に
支持できる表面寸法を有し、かつ被加工物の直下
に水平に延在して前記下方アームに固定的にまた
は着脱自在に着接され、前記収集容器は支持板の
下方にあつて、かつ前記送り台の制御された運動
に対して障害とならない位置に、前記支持板の周
縁部が中子の受け入れ開口の少なくとも一部に被
るようにして設けられていることを特徴とするワ
イヤ放電加工機によつて達成され、解決される。

（作用） 本考案の基本原理は次の通りである。即ち、ワ
イヤ放電加工による輪郭形成の間に生ずる中子
を、先ず被加工物の直下に配置した支持板上に支
持する。ついで、ワイヤ電極・被加工物間の相対
運動によつてそれを除去するが、その間支持板と
ワイヤ電極との間には何らの相対運動も起こらな
い。それ故、被加工物は支持板に対して全ての切
断加工方向、即ちＸ，Ｙ軸方向に移動することが
出来るように構成される。言い換えると、支持板
を下部ワイヤ電極案内装置を有する下部アームに
しつかりと固定すると共に、先行技術に関連して
先に述べた、載置テーブルのほぼ全長にわたつて
延びるスロツトの代わりにワイヤ電極が通過する
ための比較的小さい穴を設けるだけでよいことに
なる。その上、支持板のために何ら滑り受けを追
加する必要もないことになる。

本考案の一実施例によれば、中子の収集は次の
ようにして行なわれる。即ち、落下する中子を受
け入れる受入口を有する中子の収集容器を、支持
板の下方であつて、かつ被加工物とワイヤ電極の
相対運動を干渉しない位置に、前記支持板の一周
縁と収集容器の受入口とが少なくとも重なり合う
位置関係で配置する。中子を内包する加工済みの
輪郭がワイヤ電極・被加工物間の相対運動によつ
て支持板上を滑動し、時として又は意図的に収集
容器の上方にもたらせると中子はその容器中に自
然落下し、その中に収集される。

かくして、従来技術によるワイヤ放電加工機と
は異なり、本考案は輪郭の完全切断を可能にし、
他の輪郭の切断加工作業時に中子が何等の不利を
及ぼすこともない。また、被加工物の再加工も必
要ではなくなることは当然である。

（実施例） 以下、本考案をその実施例を示す添付図面に基
づいて詳細に説明する。

添付の各図面において、同一部材には同一参照
番号を付してある。第１図において、ワイヤ放電
加工によつて多数の輪郭が加工される被加工物１
は、通常の方法によつて被加工物取り付け固定装
置２に固定され、この固定装置２が設けられてい
る被加工物送り台（図示せず）によつてはＸ，Ｙ
両軸方向に制御され、移動される。ワイヤ放電加
工は公知の方法、即ち被加工物の上方及び下方に
設けたワイヤ電極案内装置４，５を介して案内な
されるワイヤ電極３と被加工物１との間の微小間
隙に電気パルスを供給し、放電を発生させること
によつて実施される。このワイヤ電極３は公知の
方法でワイヤ電極供給装置（図示せず）から供給
され、略図的に示した案内プーリ６，７を通つて
供給・搬送される。ワイヤ電極案内装置４，５は
公知の方法によつて制御されて移動する上下アー
ム８，９上に設けられる。参照数字１０及び１１
はワイヤ放電加工によつて被加工物１に形成した
二個の離間した輪郭を示している。これら輪郭１
０，１１の中には、加工によつて生じた中子１
２，１３が残されている。これらの中子１２，１
３は一時的にその場に保持され、ついで収集され
なければならないものである。

中子１２，１３を保持するために、下アーム９
に固定的に、または着脱自在に着設され、被加工
物１の底面からごく限られた距離を保つて水平方
向に延在し、かつ少なくとも被加工物の底面より
大きい表面寸法の支持板１４が設けられる。支持
板１４の上表面と被加工物底面の距離は非常に短
く、例えば0.1〜0.2mm程度に保つことが好まし
い。また、この支持板１４には使用ワイヤ電極の
径より僅かに大きい径の穴Ｈが設けられ、上部ワ
イヤ電極案内装置４を通過したワイヤ電極はこの
穴Ｈを通つて下部ワイヤ電極案内装置５に送給さ
れる。中子を収集するために、支持板１４の下方
には収集容器１６が設けられる。この収集容器１
６は支持板１４から追い出され、そこから落下す
る中子の受入口を有し、被加工物とワイヤ電極と
の相対運動を干渉しない場所に、少なくとも支持
板１６の一周縁部が収集容器１６の受入口の一部
と重なるようにして配置される。

第１図に示すように、輪郭１０が完全に形成さ
れると、中子１２，１３はその自重によつて短い
距離を収集板１４まで落下し、そこで保持され
る。ついで、他の輪郭１１をワイヤ放電加工する
ために、被加工物１はＸ，Ｙ両軸方向へ加工送り
される。この加工送りに伴う運動の間、中子１２
は支持板１４上を滑動する。また、ワイヤ放電加
工される被加工物１上の輪郭の配置パターンとそ
の加工順序によつては、被加工物１のＸ，Ｙ両軸
方向への加工送りによつて、一つ又は複数の既に
加工済み輪郭が支持板１４の周縁部１５に滑りな
がら進められ、さらに滑りながら進んでそこに設
けられている収集容器１６上にまで来ると、既に
加工済みの輪郭に残つている中子はその自重によ
つて収集容器１６中に落下する。第４図からもわ
かるとおり、この被加工物の運動は他の輪郭の切
断加工と同時に進行する。さらに、第２図及び第
３図に示すように、各々の輪郭の切断加工を次の
ようにすることも可能である。即ち、先ず最初に
全ての輪郭を順次ワイヤ放電加工し、それぞれの
輪郭に対応する中子（例えば第２図の１２，１
３）を支持板上に一旦支持し、全部の輪郭のワイ
ヤ放電加工の終了後に、被加工物１を第２図の矢
印１７の方向に移動し、第３図に示すように中子
１２，１３を連続的に収集容器１６中に落下させ
るようにすることも可能である。

第１図乃至第４図に関連してこれまでに述べて
きた中子の収集方法は、当然のことながら中子が
被加工物から落下可能であること、即ち輪郭のカ
ツト面が直方体形状であるか、正立の円錐又は角
錐形状、あるいはそれらの台形形状である場合に
限つて可能である。

（考案の効果） 以上説明の通り、本考案によれば、ワイヤ放電
加工によつて被加工物に複数の輪郭を連続して形
成する場合、輪郭の形成に伴つて生ずる中子の支
持・収集が極めて容易にかつ簡単な装置の構成に
よつて能率的に行なうことが出来、従来の中子の
一時保持のために用いられてきた保持ウエブを使
用する必要もなく、またその使用に伴う再加工を
省略でき加工時間の短縮を可能にすると言う効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案によるワイヤ放電加工によつ
て生ずる中子を支持し、収集する装置を備えたワ
イヤ放電加工機の略側面図、第２図は、第１図に
示すワイヤ放電加工機において、中子が収集容器
内に落下する様子を示す略側面図、第３図は、第
１図に示すワイヤ放電加工機において、中子を除
去する状態を示す略側面図であり、さらに、第４
図は、第１図に示すワイヤ放電加工機において、
放電加工を実施すると同時に中子を除去する様子
を示す略側面図である。 １……被加工物、２……被加工物取り付け固定
装置、３……ワイヤ電極、４，５……上下ワイヤ
電極案内装置、６，７……案内プーリ、８，９…
…上下アーム、１０，１１……輪郭、１２，１３
……中子、１４……支持板、１５……支持板周縁
部、１６……収集容器、Ｈ……穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上方及び下方アームにそれぞれ設けた上方及
   び下方ワイヤ案内装置によつてワイヤ電極を案
   内し、このワイヤ電極を加工液を満たした微小
   間隙を介して固定装置に固定した被加工物に対
   向させながらワイヤ電極供給装置から同巻き取
   り手段に向かつてワイヤ電極の軸方向に前進移
   動させ、加工電源から前記微小間隙に対して、
   被加工物に輪郭を電気加工するための電気パル
   スを供給し、前記固定装置は送り台上に設けら
   れ、この送り台が数値制御装置の制御のもとに
   固定装置に固定した被加工物をワイヤ電極に対
   して相対的に移動させるワイヤ放電加工機であ
   つて、ワイヤ放電加工によつて所期の輪郭を形
   成する毎に生ずる中子を支持し、かつ被加工物
   とワイヤ電極との相対運動によつて中子を収集
   する装置が設けられ、この装置は中子を支持す
   る支持板と、中子を受け入れる開口を有する収
   集容器とからなり、前記支持板はワイヤ電極を
   通過させる小穴を備え、充分な数の中子を安定
   に支持できる表面寸法を有し、かつ被加工物の
   直下に水平に延在して前記下方アームに固定的
   にまたは着脱自在に着接され、前記収集容器は
   支持板の下方にあつて、かつ前記送り台の制御
   された運動に対して障害とならない位置に、前
   記支持板の周縁部が中子の受け入れ開口の少な
   くとも一部に被るようにして設けられているこ
   とを特徴とするワイヤ放電加工機。 (2) 支持板の表面と被加工物の底面の距離が0.2
   mm以下、好ましくは0.1乃至0.2mmである実用新
   案登録請求の範囲第１項に記載のワイヤ放電加
   工機。 (3) 支持板が長方形または円形である実用新案登
   録請求の範囲第１項又は第２項に記載のワイヤ
   放電加工機。 (4) 支持板が被加工物の寸法または被加工物上の
   輪郭配置パターンに応じて交換可能である実用
   新案登録請求の範囲第１項ないし第３項のいず
   れかに記載のワイヤ放電加工機。 (5) 支持板が全ての輪郭が仕上がるまで全ての中
   子を支持し続けることが出来る表面寸法を備え
   ている実用新案登録請求の範囲第１項ないし第
   ４項のいずれかに記載のワイヤ放電加工機。