JPH0529540U

JPH0529540U - 芳香剤等充填容器

Info

Publication number: JPH0529540U
Application number: JP2186491U
Authority: JP
Inventors: 治大平; 毅岩崎
Original assignee: 日東電工株式会社
Priority date: 1991-03-11
Filing date: 1991-03-11
Publication date: 1993-04-20

Abstract

(57)【要約】芳香剤等充填容器【構成】芳香剤等の充填剤が収納されたガスバリアー性
本体容器の開口部に多孔性シートを被覆し、この多孔性
シートの上に、下層の剥離性接着剤層と上層のガスバリ
アー性部材層とからなる被覆シートを被覆した芳香剤等
充填容器である。【効果】保管時の保存性に優れ且つ使用する際はガスバ
リアー性部材層を剥離して簡便に使用でき、しかも芳香
剤等の香調等を一定に持続させるよう揮散調整可能な芳
香剤等充填容器である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は芳香剤等充填容器に係り、その目的は保管時の保存性に優れ且つ使用する際は簡便に使用でき、しかも芳香剤等の充填剤の香調等の揮散速度を一定に持続させるよう揮散調整可能な芳香剤等充填容器を提供することにある。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、芳香剤等の充填剤は各種芳香剤等充填容器に収納されて、トイレ、その他の屋内及び車内等で臭消用、或いは快適な環境をつくり出すという用途に汎用されている。この芳香剤等充填容器の代表的なものとしては、蓋付きの容器で保管時は蓋を締め、使用時に蓋を開けて芳香剤等を揮散させるという技術、或いはシートやフィルムで容器の開口部をシールし、使用時にこれらのシールを剥がすことにより使用するという技術が例示できる。しかしながら、これらの技術は、唯単に使用時にのみ芳香剤等を揮散させて保管時の保存性がよいという技術であり、芳香剤の揮散を調整して長期間香りを醸し出させるという技術ではなかった。

【０００３】また、特公平１−３３１７９号公報（考案の名称：芳香剤容器）には多孔性シートを用いた芳香剤容器に関する技術が開示されている。しかし、この技術は容器を唯単に多孔性シートで被覆した構造となっており、常に芳香剤が揮散しているため保管時の保存性に問題があり、不経済な芳香剤容器であった。

【０００４】尚、この技術に於いては、蓋を使用して多孔性シートからの芳香剤の揮散を抑えるかの如く技術も開示されているが、この技術には蓋と多孔性シートとの間には空間部が存在し、多孔性シートから揮散した芳香剤はその空間部に充満して蓋を開けた時に芳香剤が大量に放出されるという欠点があった。従って、この技術は本質的に芳香剤容器からの芳香剤の揮散を抑えられるものではなく、効率の悪い芳香剤容器であった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記実情に鑑み、保管時の保存性に優れ且つ使用する際は簡便に使用でき、しかも芳香剤等の充填剤の香調等の揮散速度を一定に持続させるよう揮散調整可能な芳香剤等充填容器の創出が望まれていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る芳香剤等充填容器は、芳香剤等の充填剤と、この芳香剤等の充填剤が収納されたガスバリアー性本体容器と、この本体容器の開口部に被覆された多孔性シートと、この多孔性シートの上に積層されたガスバリアー性シートとからなり、このガスバリアー性シートが下層の剥離性接着剤層と上層のガスバリアー性部材層とからなる芳香剤等充填容器であるから、上記課題を悉く解決する。

【０００７】

【実施例】

以下、この考案に係る芳香剤等充填容器を図面に基づいて説明する。図１はこの考案の一実施例に係る芳香剤等充填容器の斜視図であり、図２は図１に示す芳香剤等充填容器の横断面図である。図１及び図２に於いて、(1) は本体容器、(2) は開口部、(3) はフランジ、(4 ) は多孔性シート、(5) は被覆シート、(6) は剥離性の接着剤層、(7) はアルミ箔、(8) はポリエステルフィルム、(9) は芳香剤である。

【０００８】本体容器(1) は開口部(2) を有し、図１に示す如く開口部(2) の周縁部にフランジ(3) が形成されおり、本体容器(1) 中には芳香剤(9) が収納されている。この本体容器(1) の素材はガスバリアー性の容器であればよく特に限定されるものではないが、多孔性シート(4) を熱圧着させる場合は、ポリピロピレン等の耐熱性プラスッチク等の耐熱性容器がよい。

【０００９】また、本体容器(1) に透明容器を使用し、芳香剤(9) として着色された担体に香料を担持させた芳香剤(9) 等を使用すれば、香料の揮散量が確認でき便利である。更には、本体容器(1) にエンドポイントを示す印が施されていれば、より便利であり商品価値を高めることができる。

【００１０】この芳香剤(9) の本体容器(1) に対する収納量は９０％（体積量）未満がよく、この理由は芳香剤(9) を大量に充填すると多孔性シート(4) と芳香剤(9) とが接し、その結果多孔性シート(4) の孔が塞がれたりして、多孔性シート(4) の揮散を調整するという機能が円滑に行われない場合があるからである。尚、この実施例ではフランジ(3) が形成された本体容器(1) を使用したが、特に限定されるものではなく、この考案において、フランジ(3) が形成されていない本体容器(1) でも好適に使用できる。

【００１１】この実施例では、フランジ(3) に多孔性シート(4) を接着する。この接着方法としては、特に限定されるものではないが、熱圧着する方法が作業性がよいので望ましい。

【００１２】この多孔性シート(4) は、多孔性シートで芳香剤(9) から揮散された香気を透過させるシートであればよく、その具体例としては次のような方法で得た耐熱性の有るシートが熱圧着による接着に適しているので望ましい。

【００１３】まず、第１に例示できるのは、無機充填剤を３０〜９０重量％含有させた熱可塑性プラスチック樹脂を約１００μm 膜厚に延伸させてフィルムを得る。このフィルムに坪量１０〜５０g/m²のポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリピロピレン等から成る乾式不織布、又はパルプ合成繊維等から成る湿式不織布をラミネートした多孔性シート(4) である。

【００１４】このシートの中で特に０．１〜２０μm の孔径を有してるものが好適に使用できる。この無機の充填剤としては、金属の酸化物や水酸化物、塩等が使用でき、その具体例としては、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト等が挙げられる。この多孔性シート(4) は耐熱性に優れたシートであり、多孔性シート(4) と被覆シート(5) とを同時に本体容器(1) に熱圧着させる際に好適に使用できる。

【００１５】第２に例示できるのは、１０〜５０g/m²のポリエルテル、ナイロン、レーヨン、ポリピロピレン等から成る乾式不織布、又はパルプ合成繊維等から成る湿式不織布単体からなる多孔性シート(4) である。

【００１６】第３に例示できるのは、ポリウレタン、ナイロン、アクリル系等の透湿性の大きいプラスチックフィルムからなるシート、又はこのプラスチックフィルムと上記(b) の不織布や布との複合体シートとしての多孔性シート(4) である。

【００１７】これら第２、第３例示の不織布ラミネートを使用する場合は、多孔性シート(4 ) 面は本体容器(1) にまず堅固に接着された後に、この接着された多孔性シート (4) 面上に被覆シート(5) を熱圧着させるのが望ましい。これらの多孔性シート(4) を本願考案に使用する理由は、その孔により芳香剤 (9) の揮散を調整して所期設定通りの芳香を一定に持続させるためであり、これら多孔性シート(4) の孔径、孔数等は、用途に応じて必要とする揮散量等を計算して設定すればよい。

【００１８】この実施例での被覆シート(5) は下層の剥離性の接着剤層(6) と中層のアルミ箔(7) と上層のポリエステルフィルム(8) とからなる。この剥離性の接着剤層(6) は剥離し易い接着剤層であればよく、ＥＶＡ（エチレン・酢酸ビニル共重合体、以下同様である。）、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂、ゴム、粘着付与樹脂、酸化防止剤等を熱融着させて形成された層、或いはＥＶＡ、ポリエチレン等の低融点樹脂を接着剤として用いて接着された層等であれば、前記多孔性シート(4) に熱圧着できるので望ましい。

【００１９】この考案に於いて、剥離性の接着剤層(6) を設ける部位は、少なくとも多孔性シート(4) の周縁部を囲繞して多孔性シート(4) を密封できる部位であればよく、この実施例では図１に示す如く、本体容器(1) のフランジ(3) に対応する部分、即ち多孔性シート(4) の周縁部に対応する部位に設けられている。

【００２０】この剥離性の接着剤層(6) の外層には芳香剤の揮散を防ぐためにガスバリアー性部材層としてアルミ箔(7) が設けられ、このアルミ箔(7) の外層には強度を補強するためのポリエステルフィルム(8) が積層されている。このアルミ箔(7) とポリエステルフィルム(8) との積層体は、使用時に剥し易いようにつまみ部(T) が設けられている。

【００２１】この考案に於けるガスバリアー性部材層(7) は、芳香剤の揮散を防げればよく、このガスバリアー性部材層の具体例としてはアルミ箔等の金属からなるシート、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂等のガスバリアー性樹脂、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、イオン架橋樹脂、ポリアミド系樹脂又は紙及びこれらを組み合わせた積層体が好適に使用できる。また、ガスバリアー性部材層(7) の強度が不充分な場合には、この実施例の如くガスバリアー性部材層(7) の上層に補強層(8) を積層してもよい。

【００２２】上記の多孔性シート(4) と被覆シート(5) とを本体容器(1) に接着させる方法としては、本体容器(1) に多孔性シート(4) と被覆シート(5) とを重ね合わせ、熱圧着して一度に接着する方法、或いは、本体容器(1) に多孔性シート(4) を接着し、次いで多孔性シート(4) に被覆シート(5) を接着する方法等が例示でき、後者の方法は接着条件である湿度、時間、圧力等をその材質等に応じてそれぞれ別個に各シート毎に設定する必要がある場合に採用される方法である。

【００２３】このような芳香剤等充填容器(H) においては、本体容器(1) と多孔性シート(4 ) との接着力は多孔性シート(4) と被覆シート(5) との接着力より強く、剥離性の接着剤層(6) の集破壊又は接着破壊により被覆シート(5) が多孔性シート(4) から剥離した際に、本体容器(1) と多孔性シート(4) が強固に接着状態を保持していることが必須の条件である。

【００２４】尚、芳香剤として固型状の芳香剤を使用した場合は、使用時に於いても多孔性シートで開口部が被覆されているので、芳香剤等充填容器を横に設置したりして乱雑に扱っても中の固形式芳香剤が容器の外にでたりしないで容器内に維持出来る。

【００２５】以上のような構成からなる芳香剤等充填容器(H) は、使用時には被覆シート(5 ) が本体容器(1) の開口部(2) を被覆しているので、芳香剤(9) が揮散することがないので保存性がよく、使用時には多孔性シート(4) によって揮散量を調整することができるので、長期間一定に香気を与えることができる。また、この揮散量の調整に関しては、被覆シート(5) を半分残して剥す等すれば、より揮散量を細かく調整できる。

【００２６】図３は、この考案に係る芳香剤等充填容器の使用状態を示す図であり、芳香剤等充填容器(H) を美観のよいインテリアル容器(i) に収納した例であり、芳香はインテリアル容器(i) の開口(k) から揮散される。このようなインテリアル容器(i) に収納して使用すれば、より快適な環境を作りだせることができる。

【００２７】尚、この芳香剤等充填容器は、芳香剤に限らず消臭剤、除湿剤等の各容器にも応用可能である。

【００２８】（試験例）以下に試験例を示し、この考察に係る芳香剤等充填容器の持続時間を調べた。前記実施例に示す形状で耐熱性バリアー性を有するプラスチック容器を本体容器として使用した。この本体容器に香料１０％と、水５０％とをウレタンに担待させたゲル状の芳香担体を７０ｇ充填した。

【００２９】無機質炭酸カルシウム５０重量％含むポリエチレン樹脂他をシート厚１００μ m で孔径０．２〜５０μm になるようシート化して延伸したフィルムと、２０g/ m²坪量のポリエステル不織布とを一定パターン状に熱融着して積層し、多孔性シートを得た。この多孔性シートを開口部を被覆してフィルム面をフランジに接するようにして本体容器に重ねた。

【００３０】次いで、ポリエステルフィルム／アルミ箔／ＥＶＡからなる被覆シートをそのポリエステルフィルムと多孔性シートの不織布層とを合わせるようにして積層させ、多孔性シートと被覆シートとを同時に１８０℃、約５秒、５ｋg/cm²の圧力で熱接着して芳香剤等充填容器を得た。この芳香剤等充填容器は被覆シートを剥すとき、多孔性シートを残しきれいに剥すことができた。

【００３１】このようにして得た芳香剤等充填容器を使用した際の芳香の持続性を常温と５０℃の条件で測定した。尚、対照として本体容器に芳香担体を充填した芳香剤（多孔性シートと被覆シートが無いもの）を使用した。この結果を図４のグラフにまとめて示す。この結果、この考案の実施例品は多孔シートがないもの（対照）に比べ芳香が３倍に持続することが判明した。

【００３２】

【考案の効果】この考案に係る芳香剤等充填容器は、芳香剤等の充填剤と、この芳香剤等の充填剤が収納されたガスバリアー性本体容器と、この本体容器の開口部に被覆された多孔性シートと、この多孔性シートの上に積層されたガスバリアー性シートとからなり、このガスバリアー性シートが下層の剥離性接着剤層と上層のガスバリアー性部材層とからなる芳香剤等充填容器であるから、以下の効果を奏する。

【００３３】即ち、保存時には本体容器の開口部を被覆シートが被覆しているので、芳香剤等の充填剤が揮散することがなく保存性がよい。この被覆シートを剥すことにより多孔性シートが露出し、多孔性シートが芳香剤等の充填剤の揮散量を調整するので、芳香の持続性が長期にわたり一定に維持できる。

【００３４】また、被覆シートの剥離性接着剤層で多孔性シートと接着されているので、簡便に剥すことができ、しかも剥離の際に本体容器と多孔性シートとの接着を維持できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係る芳香剤等充填容器
の斜視図である。

【図２】この考案の一実施例に係る芳香剤等充填容器
の横断面図である。

【図３】この考案の一実施例に係る芳香剤等充填容器
の使用状態を示す図である。

【図４】この考案の一実施例に係る芳香剤等充填容器
を使用した際の芳香の持続期間を示す図である。

【符号の説明】

(1) 本体容器 (2) 開口部 (4) 多孔性シート (5) 被覆シート (6) 剥離性の接着剤層 (7) アルミ箔 (8) ポリエステルフィルム (9) 芳香剤 (H) 芳香剤等充填容器

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】芳香剤等の充填剤と、この芳香剤等の充
填剤が収納されたガスバリアー性本体容器と、この本体
容器の開口部に被覆された多孔性シートと、この多孔性
シートの上に積層されたガスバリアー性シートとからな
り、このガスバリアー性シートが下層の剥離性接着剤層
と上層のガスバリアー性部材層とからなる芳香剤等充填
容器。
【請求項２】前記多孔性シートが不織布、多孔性プラス
チックシートのいずれか又はこれらの積層体であること
を特徴とする請求項１記載の芳香剤等充填容器。
【請求項３】前記ガスバリアー性部材層の上に補強層を
積層させることを特徴とする請求項１又は２記載の芳香
剤等充填容器。
【請求項４】前記ガスバリアー性シートが下層の熱融着
性接着剤層と中層のアルミ層と上層のプラスチックフィ
ルム層とからなるガスバリアー性シートであることを特
徴とする請求項３記載の芳香剤等充填容器。
【請求項５】前記本体容器が空間を１０％以上残して芳
香剤等の充填剤が収納された本体容器であることを特徴
とする請求項１乃至４記載の芳香剤等充填容器。