JPH05295252A - 耐過酸化水素性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

耐過酸化水素性ポリアミド樹脂組成物

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JPH05295252A
JPH05295252A JP9530192A JP9530192A JPH05295252A JP H05295252 A JPH05295252 A JP H05295252A JP 9530192 A JP9530192 A JP 9530192A JP 9530192 A JP9530192 A JP 9530192A JP H05295252 A JPH05295252 A JP H05295252A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フェルト材料として好適な耐過酸化水素性に
優れたポリアミド樹脂組成物を提供する。 【構成】 (1)ポリアミド樹脂100重量部、(2)
ハイドロタルサイト類化合物0.03〜5.0重量部、
(3)硫黄系劣化防止剤0〜0.5重量部、(4)燐系
劣化防止剤0〜0.5重量部からなるポリアミド樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐過酸化水素性の改良
されたポリアミド樹脂組成物に関し、詳しくは、抄紙工
程において漂白の際に使用される過酸化水素に対して優
れた耐久性を有するポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱性
に優れているため、繊維加工を施し、タイヤコード、各
種衣料用繊維、釣り糸、テニスラケットのガット等様々
な用途に用いられている。このような用途の一つとして
抄紙工程における抄紙用ベルトのフェルト材料がある。
この抄紙用フェルトは、ポリアミド樹脂のモノフイラメ
ントの基布にポリアミド樹脂のマルチフィラメントのス
フをニードルパンチして得られたものが多用されてい
る。最近、抄紙工程で紙の漂白に使用されている塩素系
漂白剤が環境問題から過酸化水素に置換されつつある。
ポリアミド樹脂は、上述のような優れた特性を有する
が、一方、過酸化水素の雰囲気下においては分子量の低
下が促進され、著しい物性低下を起こすという欠点を持
ち合わせている為、これらの用途にポリアミド繊維を用
いるとフェルトが短時間のうちに劣化し、実用的な使用
に耐えられないという問題があった。
【0003】一般にポリアミド樹脂の劣化性を改善する
ため各種添加剤を配合することが行われている。この手
法を用いて耐過酸化水素性改善が試みられた。ポリアミ
ド樹脂に対する最も一般的な劣化防止剤は、酢酸銅、よ
う化銅などの耐熱エージング性を改善する銅化合物であ
るが、これらの銅化合物をポリアミド樹脂に配合した場
合、このような金属が逆に過酸化水素の活性触媒とな
り、ポリアミド樹脂の劣化を著しく促進するために、過
酸化水素の存在下で使用されるポリアミド樹脂にこの手
法は、用いることができないことが判った。又、ヒンダ
ードフェノール系、ヒンダードアミン系、硫黄系、燐系
等の劣化防止剤等もよく用いられているが、これらを単
に配合しただけでは、耐過酸化水素性に対してわずかな
改善効果しか得られない。以上のように、耐過酸化水素
性に優れたポリアミド樹脂およびそれから得られた繊維
は、従来知られておらず、特に、抄紙用フェルト分野に
おいて耐過酸化水素性に優れたポリアミド樹脂の出現が
強く期待されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、鋭意検討の結果、驚くべきことに、ハ
イドロタルサイト類化合物をポリアミド樹脂に添加する
ことにより、耐過酸化水素性が著しく改善され、さらに
硫黄系劣化防止剤、燐系劣化防止剤を併用することによ
りその効果が大きくなること、更にハイドロタルサイト
類化合物が過酸化水素からの活性酸素の発生を抑制する
という知見に基づいて本発明を完成した。すなわち本発
明は、(1)ポリアミド樹脂100重量部、(2)ハイ
ドロタルサイト類化合物0.03〜5.0重量部、
(3)硫黄系劣化防止剤0〜0.5重量部、(4)燐系
劣化防止剤0〜0.5重量部、からなるポリアミド樹脂
組成物、それからなる繊維及びフェルトに関する。
【0005】従来、難燃性ポリアミド樹脂組成物の金属
腐蝕性ガス発生の抑止剤として、ハイドロタルサイト類
化合物を用いることは知られていた(特開平2−142
852号公報)。しかし、ハイドロタルサイト類化合物
がハロゲン系難燃剤/ポリアミドからなる組成物におい
て抑制効果を示すものであり、ポリアミドとハイドロタ
ルサイトの組み合わせがポリアミドの耐過酸化水素性改
善に著しい効果を発現することなどは予想もできないこ
とであった。
【0006】本発明において、(1)成分は、ポリアミ
ド樹脂である。ポリアミド樹脂は、種々のものを使用す
ることができる。例えば、具体的には、ε−カプロラク
タム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミ
ノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノ
ノナン酸、α−ピロリドンなどの重合体、ヘキサメチレ
ンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレン
ジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンとテ
レフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、
ドデカン二酸、グルタール酸などのジカルボン酸とを重
合せしめて得られる重合体または、これらの共重合体、
例えば、ナイロン4、6、7、8、11、12、66、
69、610、611、612、6T(以下、Tは、テ
レフタル酸を表す。)、66/6、6/12、6/6
T、66/6Tなどを例示することができる。
【0007】本発明において、(2)成分は、ハイドロ
タルサイト類化合物である。ハイドロタルサイトとは、
ソ連のウラル地方やノルウェーのスナルムで産出される
天然鉱物であるハイドロタルサイト(化学構造[Mg6
Al2 (OH)16CO2 ・4H2 O])、およびその類
似構造を持つ合成品(化学構造[Mg4.5 Al2 (O
H)13CO3 ・3.5H2 O]、[Mg4.5 Al2 (O
H)13CO3 ]、[Mg 0.7 Al0.3 1.15]、[Mg
4.5 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 O]、[Mg0.75
Al0.251.125 ]:共和化学工業株式会社)等が挙げ
られ、通常粉末状にして使用に供する。
【0008】本発明において、(3)成分は、硫黄系劣
化防止剤である。硫黄系劣化防止剤は、通常の熱可塑性
樹脂に添加される劣化防止剤であれば特にその種類は限
定されないが、例えば、具体的には、チオビス(β−ナ
フトール)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルア
ミン)、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メル
カプトベンズイミダゾール、ドデシルメルカプタン、テ
トラメチルチウラムモノサルファイト、テトラメチルチ
ウラムジサルファイト、ニッケルジブチルジチオカルバ
メート、ニッケルイソプロピルキサンテート、ジラウリ
ルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオ
ネート等が例示できる。
【0009】本発明において、(4)成分は、燐系劣化
防止剤である。燐系劣化防止剤は、通常の熱可塑性樹脂
に添加されるものであれば特にその種類は限定されない
が、例えば、具体的には、トリフェニルフォスファイ
ト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルイソデシ
ルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t
−ブチルフェニル−ジトリデシルホスファイト)、ジス
テアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、トリ
ラウリトリチオホスファイト等が例示できる。
【0010】本発明において、(2)成分の配合量は、
(1)成分100重量部に対して、0.03〜5.0重
量部であり、0.1〜1.0重量部の範囲が好ましい。
(2)成分の配合量が0.03重量部未満であると耐過
酸化水素性の改良効果が得られない。5.0重量部を越
えると靱性が低下し、加工性が著しく悪化する等の好ま
しくない結果を招く。この(2)成分の添加によって過
酸化水素に対する耐久性の改善はなされるが、(3)、
(4)成分を併用すると更に耐過酸化水素性が向上す
る。
【0011】本発明において、(3)成分の配合量は、
(1)成分に対して、0〜0.5重量部であり、0.0
1〜0.1重量部の範囲が好ましい。(3)成分の配合
量が0.5重量部を越えると、発泡、分解、変色等の好
ましからざる結果を招く。本発明において、(4)成分
の配合量は、(1)成分に対して、0〜0.5重量部で
あり、0.01〜0.1重量部の範囲が好ましい。
(4)成分の配合量が0.5重量部の範囲を越えると、
発泡、分解、変色等の好ましからざる結果を招く。
【0012】本発明の組成物には、必要に応じて目的を
損なわない範囲で通常の熱可塑性樹脂に添加される添加
剤、例えば、染料、顔料、可塑剤、核材、滑材、難燃剤
や、(1)成分100重量部に対して100重量部以下
の他の熱可塑性樹脂等を配合することも特に制限される
ものではない。その他、ガラス繊維、セラミック繊維、
ミネラルフィラー、カーボンファイバーのような補強材
等も添加することができる。
【0013】本発明の組成物を調製するには、例えば、
ポリアミドの重合時に各成分を添加しても良く、ポリア
ミド重合後の押出し溶融混練時に添加することもでき、
その添加時期に何等制限を受けるものではない。本発明
の組成物は、成形加工することによって成形体や繊維
(モノフィラメント、マルチフィラメント、スフ、ウェ
ブ等)、さらにはフェルトとして使用することができ
る。耐過酸化水素性の要求される用途として抄紙用のフ
ェルト等があげられるが、この抄紙用フェルトとは、基
布とウェブの2つの繊維からなり基布は、マルチフィラ
メントおよびモノフィラメントが用いられる。基布の織
組織は、縦糸、横糸が順次上下に交絡する平組織のほか
何本かの糸を飛び越して交絡する種々の変化織りがあ
り、織り上がった基布に上下運動するニードルを用いて
ウェブ繊維を絡め基布の片面または、両面に締まったウ
ェブ層を形成したものが多く用いられる。
【0014】
〔原料〕
(1)ポリアミド;ナイロン66 硫酸相対粘度(JIS K6810 98%H2
4 )3.18 (2)ハイドロタルサイト;Mg4.5 Al2 (OH)
13CO3 :共和化学工業(株)製DHT−4A−2 (3)ハイドロタルサイト;Mg4.5 Al2 (OH)
13CO3 ・5H2 O:共和化学工業(株)製 DHT−
4A (4)HS−1;酢酸銅:和光純薬工業(株)製 (5)HS−2;よう化銅:和光純薬工業(株)製 (6)硫黄系劣化防止剤:2−メルカプトベンズイミダ
ゾール:住友化学(株)製 スミラスザーMB (7)燐系劣化防止剤:ビス(2,2,6,6−t−ブ
チル−4−・メチルフェニル)ペンタエリトール−ジ−
ホスファイト:旭電気化学(株)製 MARK PEP
−36 〔試験方法〕 (1)デニール 試料フィラメント900mをサンプリングし、メトラ天
秤にて測定し、求めた。 (2)強力 試料フィラメントを23℃および50%の相対湿度にお
いて48時間調湿した後、25.4mのセグメントにカ
ットし、23℃および50%の相対湿度において25.
4m/分の速度でオートグラフを用い強力を測定した。 (3)伸度 試料フィラメントを23℃および50%の相対湿度にお
いて48時間調湿した後、25.4mのセグメントにカ
ットし、23℃および50%の相対湿度において25.
4m/分の速度でオートグラフを用い伸度を測定した。 (4)耐過酸化水素性 30%の過酸化水素溶液に試料を浸漬し、25℃で10
0時間放置した後の強力、伸度を上記と同様な方法で測
定した。 (5)繊維加工性 耐過酸化水素性ポリアミド樹脂繊維をモノフィラメント
として加工する際の加工特性について評価を行った。
【0015】
【実施例1】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット10kg、ハイドロタルサイト0.02kg
を計量し、ドライブレンドを行った。その後、池貝鉄鋼
(株)製PCM45押出し機を用いてブレンド物をシリ
ンダー温度設定270〜320℃にて溶融混合し、ペレ
タイジングを行い、試料ペレットを得た。この試料ペレ
ットを90℃で24時間真空乾燥し、吉井鉄鋼(株)製
35mmφ押出し機を用いて270〜290℃のシリン
ダー設定温度にて溶融混練し、紡糸したモノフィラメン
トを150〜200℃の熱板で加熱しながら3〜4倍に
延伸し、さらに160℃でリラックスし、試料モノフィ
ラメントを得た。
【0016】得られた試料モノフィラメントを前述の試
験方法にてデニール、強力、伸度、耐過酸化水素性につ
いて評価を行った結果を表2に示す。
【0017】
【実施例2】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、ハイドロタルサイトを計量し、ドライブレ
ンドを行う以外は、実施例1と同様に試料を作成し、評
価を行った。結果を表2に示す。
【0018】
【実施例3】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、ハイドロタルサイト、硫黄系劣化防止剤を
所定量計量し、ドライブレンドを行う以外は、実施例1
と同様に試料を作成し、評価を行った。結果を表2に示
す。
【0019】
【実施例4】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、ハイドロタルサイト、燐系劣化防止剤を所
定量計量し、ドライブレンドを行う以外は、実施例1と
同様に試料を作成し、評価を行った。結果を表2に示
す。
【0020】
【比較例1】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレットのみを用いる以外は、実施例1と同様に試料を
作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0021】
【比較例2】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、硫黄系劣化防止剤を所定量計量し、ドライブ
レンドを行う以外は、実施例1と同様に試料を作成し、
評価を行った。結果を表2に示す。
【0022】
【比較例3】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、燐系劣化防止剤を所定量計量し、ドライブレ
ンドを行う以外は、実施例1と同様に試料を作成し、評
価を行った。結果を表2に示す。
【0023】
【比較例4】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、ハイドロタルサイトを所定量計量し、ドラ
イブレンドを行う以外は、実施例1と同様に試料を作成
し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0024】
【比較例5】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、HS−1、HS−2を所定量計量し、ドライ
ブレンドを行う以外は、実施例1と同様に試料を作成
し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0025】
【比較例6】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、硫黄系劣化防止剤を所定量計量し、ドライブ
レンドを行う以外は、実施例1と同様に試料を作成し、
評価を行った。結果を表2に示す。
【0026】
【比較例7】表1に示す配合割合に従ってナイロン66
ペレット、燐系劣化防止剤を所定量計量し、ドライブレ
ンドを行う以外は、実施例1と同様に試料を作成し、評
価を行った。結果を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂組成物は、優れ
た加工性、耐過酸化水素性、繊維としての強靱性を示す
ため、抄紙用のフェルトを構成する繊維として用いるこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/60 311 A 7199−3B 6/90 301 7199−3B D21F 7/08 A 7199−3B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)ポリアミド樹脂100重量部、
    (2)ハイドロタルサイト類化合物0.03〜5.0重
    量部、(3)硫黄系劣化防止剤0〜0.5重量部、
    (4)燐系劣化防止剤0〜0.5重量部、からなるポリ
    アミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物
    からなるポリアミド繊維または、ポリアミド成形体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のポリアミド繊維からな
    るフェルト。
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