JPH05290320A - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JPH05290320A
JPH05290320A JP36000892A JP36000892A JPH05290320A JP H05290320 A JPH05290320 A JP H05290320A JP 36000892 A JP36000892 A JP 36000892A JP 36000892 A JP36000892 A JP 36000892A JP H05290320 A JPH05290320 A JP H05290320A
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JP
Japan
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magnetic
thin film
metal thin
ferromagnetic metal
ferromagnetic
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Application number
JP36000892A
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English (en)
Inventor
Junichi Honda
順一 本多
Yoshito Ikeda
義人 池田
Michi Itou
美知 伊藤
Yoko Kato
洋子 加藤
Miho Suzuki
美保 鈴木
Masatoshi Hayakawa
正俊 早川
Seiji Kumagai
静似 熊谷
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一対のコア半体の互いの突き合わせ面に臨ん
で斜面を有する溝が設けられ、該斜面に形成された強磁
性金属薄膜の端面が互いに突き合わされて両者間に作動
磁気ギャップを形成する磁気ヘッドにおいて、コア半体
の材料である磁性基板に蒸着によって強磁性金属薄膜を
成膜する際、上記溝の斜面(強磁性金属薄膜形成面)の
法線方向に対する蒸着粒子の主たる飛来方向が10°以
内となるようにしたものである。 【効果】 磁気特性に優れた磁気ヘッドとなる。また、
多数の磁性基板に対して同時に蒸着を行っても安定して
ほぼ同一の特性を有する磁気ヘッドを構成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッド、特に対の
コア半体の互いの突き合わせ面に強磁性金属薄膜が形成
され、両コア半体の強磁性金属薄膜の端面間が突き合わ
されて両端面間に作動磁気ギャップが形成されてなる狭
トラック磁気ヘッドに係わる。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、先に特開昭60−2292
10号において、例えばメタルテープ等の高い保磁力を
有する磁気記録媒体に高密度記録再生するに適した磁気
ヘッドを提案した。
【0003】この磁気ヘッドは、図1にその拡大斜視図
を示し、図2に更にその一部の拡大正面図を示すように
メタル・イン・ギャップ型の構成を採る。即ち、一対の
磁気コア半体1及び2を高透磁率の例えばMn−Zn等
の強磁性酸化物により形成するとともに、これら磁気コ
ア半体1及び2の接合面を斜めに切り欠いた強磁性金属
薄膜形成面1a,2aには、フロントギャップ形成面か
らバックギャップ形成面に至るまで連続して、FeAl
Si系合金等の飽和磁束密度Bsの高い強磁性金属薄膜
3が被着形成されている。
【0004】そして、これら一対の磁気コア半体1,2
をSiO2 等のギャップ材を介して突き合わせ、上記強
磁性金属薄膜3の当接面がトラック幅Twの作動磁気ギ
ャップgとなるように構成されている。また、上記磁気
コア半体1,2の突き合わせ面には、当該磁気ギャップ
gのデプスを規制するとともにコイル8を巻回させるた
めの巻線溝6,7が形成されている。
【0005】ここで、上記各磁気コア半体1,2に被着
形成される強磁性金属薄膜3は、磁気テープ対接面から
見たときに、一直線状に連なっており、磁気コア半体
1,2の突き合わせ面である接合面、すなわち磁気ギャ
ップ形成面10に対してθなる角度で傾斜している。
【0006】なお、上記磁気コア半体1,2の接合面に
はトラック幅を規制するための第2の切溝1b,2bを
設け、この溝1b,2bに臨む強磁性酸化物とこれに対
向する強磁性金属薄膜3との距離を確保するとともに、
この溝の対称バランスによって加工時の強磁性酸化物に
対するストレスを小さなものとなし、磁気コア半体1,
2のマイクロクラックの発生を防止するようにしてもよ
い。
【0007】また、上記磁気ギャップgの形成面近傍、
すなわち磁気テープ対接面における磁気ギャップgの両
側部には、トラック幅を規制し上記強磁性金属薄膜3の
摩耗を防止するための非磁性材4,5が溶融充填されて
いる。
【0008】さらに、この種の狭トラック磁気ヘッドの
製造方法としては、例えば同様に本出願人の出願に係わ
る特開昭61−105710号公報に開示されている方
法がある。
【0009】この製造方法を図3〜図8を参照して説明
する。この場合、まず図3に示すようにMn−Znフェ
ライトよりなる磁性基板20を用意し、この磁性基板2
0の上面20a、すなわち磁気コア半体突き合わせ時の
接合面に、回転砥石等により断面略V字状の第1の切溝
21を全体に亘って複数平行に形成し、強磁性金属薄膜
形成面21aを形成する。なお、上記強磁性金属薄膜形
成面21aは、上記磁性基板20の磁気ギャップ形成面
に対応する上面20aと所定の角度θで傾斜するように
斜面として形成され、その角度θは、ここではおよそ4
5°に設定されている。
【0010】次に、図4に示すように、上記磁性基板2
0の全面に亘ってFeAlSi系合金や非晶質合金等を
スパッタリング、イオンプレーティング、蒸着等の真空
薄膜形成技術を用いて被着し、強磁性金属薄膜23を形
成する。
【0011】そして、図5に示すように、金属薄膜23
が被着形成された第1の切溝21内に、非磁性材24を
充填した後、上記磁性基板20の上面20aを平面研磨
し、その上面20a上の余分な金属薄膜23を除去す
る。さらに、平滑度良く面出しを行い、上記磁性基板2
0の上面20aに上記強磁性金属薄膜形成面21a上に
被着される強磁性金属薄膜23の端面を露出させる。
【0012】さらに、図6に示すように、上記強磁性金
属薄膜23が被着形成された強磁性金属薄膜形成面21
aに隣接して、上記第1の切溝21の一側縁21bと若
干オーバーラップするように第1の切溝21と平行に第
2の切溝25を切削加工し、上記磁性基板20の上面2
0aに対して鏡面加工を施す。この結果、上記強磁性金
属薄膜23のみにより磁気ギャップgが構成されるよう
にトラック幅Twが規制される。
【0013】上述のような工程により作成される一対の
磁性基板20のうち一方もしくは両方に対して、図7に
示すように、上記第1の切溝21及び第2の切溝25と
直交する方向に溝加工を施し、複数の巻線溝26、及び
接合の際ガラス棒を挿入するためのH溝27を形成す
る。その後、上記磁性基板20を切断することによって
コアブロック29を切り出す。
【0014】続いて、図8に示すように、一対のコアブ
ロック29を対向させ、ギャップスペーサを介して、上
記強磁性金属薄膜23同士が突き合わされるように接合
配置する。そして、これらコアブロック29をガラスに
より融着すると同時に、上記第2の切溝25内に上記非
磁性材28を充填する。
【0015】そして、磁気テープ摺接面を円筒研磨した
後、図8中A−A線及びA’−A’線の位置でスライシ
ング加工し、複数個のヘッドチップを切り出して図1及
び図2に示すような磁気ヘッドを完成する。なお、この
とき接合したコアブロック29に対するスライシングの
方向を突き合わせ面に対して傾斜させることにより、ア
ジマス記録用の磁気ヘッドを作成することができる。
【0016】このように形成された磁気ヘッドは、その
強磁性金属薄膜3と強磁性酸化物との接合面即ち強磁性
金属薄膜形成面1a又は2a、更に、強磁性金属薄膜3
と非磁性材4又は5との接合面による疑似ギャップが作
動磁気ギャップgのギャップ面と非平行に形成されるこ
とからアジマス損が大となり、この疑似ギャップによる
実質的影響を回避できるというものである。
【0017】このようなメタル・イン・ギャップ型の磁
気ヘッドの図6で示した工程における強磁性金属薄膜2
3の形成は、物理的蒸着、通常は、マグネトロン型スパ
ッタリング装置によって行われ、例えば図9にその構成
を模式的に示すように、金属薄膜3のスパッタ源すなわ
ち蒸発源となる複数のターゲット31を、所定の中心軸
0に垂直の平面内において中心軸0を中心とする所定の
一円周線b上にその中心位置が存在するように所要の角
間隔を保持して配置し、これに対向して複数の被スパッ
タ体すなわち図3で説明した多数の磁性基板20を上述
の中心軸0を中心として回転する支持台32上に配置す
る。
【0018】これら磁性基板20の配置は、図10に示
すように、支持台32上に軸心0を中心とし、同心円的
に例えば3列に配置する。そして、この状態でターゲッ
ト31に対するArイオンの衝撃によって強磁性金属の
蒸着粒を発生させ、これによって回転支持台32に配置
されたの磁性基板20の主面20aに強磁性金属薄膜2
3を被着形成する。
【0019】この場合図17に1つのターゲット31の
中心01 及び前述の中心軸0を含む面内での図9中Cで
示す断面を示すように、ターゲット31の配置面に対し
て平行な支持台32に主面20aが平行をなすように磁
性基板20が並置配置される。なお、上記磁性基板20
は、支持台32の半径方向に切溝21の長手方向(図中
矢印e)が一致する向きで置かれている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
して得た磁気ヘッドは、その磁気ヘッドの性能にばらつ
きが多く、必ずしも十分な再生特性が得られなかった。
【0021】そこで本発明は、かかる従来の実情を鑑み
て提案されたものであり、安定した性能を有する記録再
生特性に優れた磁気ヘッドを提供することを目的とす
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために提案されたものである。本発明は、一対
のコア半体の互いの突き合わせ面に臨んで斜面を有する
溝が設けられ、該斜面に形成された強磁性金属薄膜の端
面が互いに突き合わされて両者間に作動磁気ギャップを
形成する磁気ヘッドにおいて、上記強磁性金属薄膜は、
主たる蒸着粒子の飛来方向を上記斜面の法線に対する傾
斜角10°以内として被着されたものであることを特徴
とするものである。
【0023】従来の磁気ヘッドにおける特性のばらつ
き、更に十分な記録再生特性が得られないことについて
の研究考察を行った結果、図4において強磁性金属薄膜
23を成膜する際、図17のように、磁性基板20は単
にターゲット面と平行に配置されるために強磁性金属薄
膜形成面21aに対して蒸着粒子が必ずしも垂直入射さ
れていないこと、上記強磁性金属薄膜形成面21aは支
持台32の回転方向を向いているため支持台32の回転
とともに蒸着粒子の入射方向が変わり、磁性基板20の
配置位置によっても入射方向が変わること等が問題であ
ることを見い出し、これを改善するために本発明の磁気
ヘッドが提案された。
【0024】即ち、本発明においては、図11に強磁性
金属薄膜23の蒸着態様を模式的に示すように、磁性基
板20の強磁性金属薄膜形成面21aに対する矢印で示
す蒸着粒子の主たる飛来方向の角度βを80°≦β≦1
00°とする。つまり、具体的には上記強磁性金属薄膜
形成面21aを物理的蒸着源、例えばスパッタのターゲ
ット31の中心部01 に向かって傾ける。
【0025】
【作用】被スパッタ面に対する蒸着粒子の入射角と透磁
率の関係を図12に示すように、強磁性金属薄膜形成面
21aの法線方向に対する入射角αが0°即ち法線方向
に近い方向から入射するときほど高い透磁率を示す。更
に機械的強度、被着強度に優れ、磁歪の低減化が図られ
ることにより、磁気ヘッドの記録再生特性の向上が図ら
れる。
【0026】また、更に強磁性金属薄膜の透磁率は、こ
れに接触するフェライトコアのインダクタンス変化と相
関性があることから、このインダクタンス変化をもっ
て、スパッタによる強磁性金属薄膜の面内透磁率分布を
みると、図13に示すように、図9で示したスパッタ装
置において、ターゲット31の配置面に対して平行をな
す面と、ターゲット31の中心に向けて傾けられた面と
では、それぞれ破線曲線及び実線曲線で示すように、異
なる分布を示す。図13において横軸は、図9で示した
スパッタ装置において、その中心軸0を中心とする円の
半径方向を0°、接線方向を90°とする各面内方向を
示すもので、ターゲット31に向けて傾けられたことに
よってその透磁率が等方性に近づくことが分かる。
【0027】このように、作動磁気ギャップgの構成部
となる強磁性金属薄膜形成面21aに対する蒸着粒子の
主たる飛来方向が90°に近い、即ち上記面21aの法
線方向に対する入射角が0°に近い強磁性金属薄膜23
は、透磁率が等方性を示し、これによって安定して優れ
た記録、再生特性を示すものとなる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】先ず、本発明による磁気ヘッドの一構成例
を説明する。この磁気ヘッドは、図1にその拡大斜視図
を示し、図2に更にその一部の拡大正面図を示すよう
に、一対の磁気コア半体1及び2が強磁性金属薄膜3、
例えばMn−Zn系フェライトのような強磁性酸化物で
形成され、これら磁気コア半体1,2の接合面を斜めに
切り欠いた強磁性金属薄膜形成面1a,2aには、フロ
ントギャップ形成面からバックギャップ形成面に至るま
で連続して、FeAlSi系合金等の飽和磁束密度Bs
の高い強磁性金属薄膜3が被着形成されている。
【0030】そして、これら一対の磁気コア半体1,2
をSiO2 等のギャップ材を介して突き合わせ、上記強
磁性金属薄膜3の当接面がトラック幅Twの作動磁気ギ
ャップgとなるように構成されている。また、上記磁気
コア半体1,2の突き合わせ面には、当該磁気ギャップ
gのデプスを規制するとともにコイル8を巻回させるた
めの巻線溝6,7が形成されている。
【0031】ここで、上記各磁気コア半体1,2に被着
形成される強磁性金属薄膜3は、磁気テープ対接面から
見たときに、一直線状に連なっており、磁気コア半体
1,2の突き合わせ面である接合面、すなわち磁気ギャ
ップ形成面10に対してθなる角度で傾斜している。
【0032】なお、上記磁気コア半体1,2の接合面に
はトラック幅を規制するための第2の切溝1b,2bを
設けられている。この切溝1b,2bは、上記非磁性材
5と強磁性酸化物との界面の形状が屈曲する如く形成さ
れているが、たとえば磁気ヘッドを磁気テープ対接面か
ら見たときに上記界面の形状が略円弧状となるような曲
面をもって切削加工し、この切溝1b,2bに臨む強磁
性酸化物とこれに対向する強磁性金属薄膜3との距離を
確保するとともに、この溝の対称バランスによって加工
時の強磁性酸化物に対するストレスを小さなものとな
し、磁気コア半体1,2のマイクロクラックの発生を防
止するようにしてもよい。
【0033】そして、上記強磁性金属薄膜3が形成され
ている溝と上記切溝1b,2bとにはそれぞれ非磁性材
4,5が充填されることにより、磁気ギャップgの形成
面近傍、すなわち磁気テープ対接面における磁気ギャッ
プgの両側部においてトラック溝を規制し上記強磁性金
属薄膜3の摩耗を防止している。
【0034】一方、上記強磁性金属薄膜形成面1a,2
aと磁気ギャップ形成面とがなす角θは、20°〜80
°の範囲内に設定することが好ましい。ここで20°以
下の角度であると隣接トラックからのクロストークが大
きくなるため、20°以上の角度を持たせることが望ま
しい。また、上記傾斜角度を90°にした場合は、耐摩
耗性が劣ることから80°程度以下とするのが良い。ま
た、傾斜角度を90°にすると、磁気ギャップgの近傍
部に形成される上述の強磁性金属薄膜3の膜厚をトラッ
ク幅Twに等しく形成する必要があり、真空薄膜形成技
術を用いて薄膜を形成するにあたって、多くの時間を要
してしまうことや、膜構造が不均一化してしまう点で好
ましくない。
【0035】すなわち、上記磁気コア半体1,2に被着
形成される強磁性金属薄膜3の膜厚tは、 t=Tw sinθ でよいことから、トラック幅Twに相当する膜厚を膜付
けする必要がなく、ヘッド作成に要する時間を短縮でき
る。
【0036】さらに、上記磁気ヘッドの製造方法を図3
〜図8を参照して説明する。まず、磁性基板20を用意
する。この磁性基板20としては、例えば、Mn−Zn
フェライト、Ni−Znフェライト等の軟磁性酸化物が
適当であるが、結晶化ガラスや非磁性酸化物等の非磁性
基板も使用可能である。そして、このような材料によっ
て例えば長さ30.0mm、幅30.0mmの基板を構
成する。
【0037】そして、図3に示すように、上記磁性基板
20の上面20a、すなわち磁気コア半体突き合わせ時
の接合面に、回転砥石等により断面略V字状の第1の切
溝21を全体に亘って複数平行に形成し、強磁性金属薄
膜形成面21aを形成する。なお、上記強磁性金属薄膜
形成面21aは、上記磁性基板20の磁気ギャップ形成
面に対応する上面20aと所定の角度θで傾斜するよう
に斜面として形成され、その角度θは例えば40°〜5
0°、深さ200〜300μm程度とした。
【0038】次に、図4に示すように、上記磁性基板2
0の全面に亘って強磁性金属薄膜23を被着形成する。
具体的には、高透磁率、高飽和磁束密度の金属、例えば
FeAlSi系合金、あるいはFeGaSiRu系合
金、軟磁性アモルファス、さらに窒化系もしくは炭化系
等の軟磁性材料による強磁性金属薄膜23を物理的蒸着
法、例えば図9で示したマグネトロン型スパッタリング
法によって厚さ5〜40μmに形成する。
【0039】なお、磁性基板20に強磁性金属薄膜23
を形成する前に、磁性基板20と強磁性金属薄膜23間
の化学反応の防止や付着力改善のためにCr等を予め形
成しておくことも有効である。また、上記強磁性金属薄
膜23の形成後、表面の酸化防止のためにCrやSiO
2 等を形成しても良い。
【0040】そして、この場合の強磁性金属薄膜23の
スパッタリング成膜は以下に示すようにして行った。先
ず、スパッタ装置に強磁性金属薄膜5の原材料となる上
述した各軟磁性合金によるターゲット31を設置し、図
9,10に示すように、磁性基板20を中心軸0を中心
として回転する支持台32の中心軸0に対して例えば3
列の配置を行う。そのとき、各磁性基板20の強磁性金
属薄膜形成面21aがターゲット中心を向くようにし
た。
【0041】そして、磁性基板20が支持台32の回転
によって各ターゲット31の真上に到来するとき、つま
り、各ターゲット31の中心01 と支持台32の回転中
心軸0とを結ぶ半径方向の直線上(以下このときの磁性
基板20のターゲット31に対する位置を磁性基板20
の特定位置と称する)に到来した状態での断面(図9中
cで示す断面)を図14に示すように、各磁性基板20
をターゲット31の中心に向かって傾ける。このように
して切溝21の強磁性金属薄膜形成面21aに対して、
ターゲット31から飛来する蒸着粒子の主たる飛来方向
βが90°±10°の範囲内となるようにする。
【0042】上記の面21aへの蒸着粒子の飛来は、実
際上上述の磁性基板20の特定位置での物理的蒸着が、
主として強磁性金属薄膜23の生成に寄与することか
ら、ここにおける強磁性金属薄膜形成面21aに対する
蒸着粒子の主たる飛来方向即ちターゲット31のエロー
ジョン領域の中心とのなす角度βが90°±10°の範
囲内にあるようにする。
【0043】なお、生産効率を上げ1バッチ当たりの被
スパッタ基板20の数を増やすために複数のターゲット
31を同時にスパッタし、磁性基板20は支持台32に
より回転するような場合、回転方向に対する蒸着粒子の
被着方向の影響は回転により平均化される。よって、図
14に示すように、或る支持台32の回転中心軸0を含
む1断面に注目し、或るターゲット31に対して磁性基
板20が最近接となったときに、強磁性金属薄膜形成面
21aの法線方向に向かうように設置すればよいのであ
る。
【0044】そして、以上のようにして強磁性金属薄膜
23を成膜した後、図5に示すように、金属薄膜23が
被着形成された第1の切溝21内に、非磁性材24を充
填した後、上記磁性基板20の上面20aを平面研磨
し、その上面20a上の余分な金属薄膜23を除去す
る。さらに、平滑度良く面出しを行い、上記磁性基板2
0の上面20aに上記強磁性金属薄膜形成面21a上に
被着される強磁性金属薄膜23の端面を露出させる。
【0045】さらに、図6に示すように、上記強磁性金
属薄膜23が被着形成された強磁性金属薄膜形成面21
aに隣接して、上記第1の切溝21の一側縁21bと若
干オーバーラップするように第1の切溝21と平行に第
2の切溝25を切削加工し、上記磁性基板20の上面2
0aに対して鏡面加工を施す。この結果、上記強磁性金
属薄膜23のみにより磁気ギャップgが構成されるよう
にトラック幅Twが規制される。
【0046】なお、この第2の切溝25の溝形状として
は、単なるV字状であっても良いが、例えば断面多角形
状や半円形状とし、この切溝25の内壁面を2段階或い
はそれ以上に屈曲した形状とすることにより、強磁性酸
化物と強磁性金属薄膜との距離をある程度確保すること
ができる。このような溝形状とすることにより、長波長
成分の信号を再生することによるクロストーク成分を低
減することができ、さらに、トラック幅規制溝部の端面
がそれぞれ磁気ギャップのアジマス角と異なる方向で傾
斜されるので、隣接トラックあるいは隣々接トラックか
らのクロストークが減少される。
【0047】さらにまた、上記強磁性金属薄膜形成面2
1a上に強磁性金属薄膜23を被着形成した後、トラッ
ク幅を規制するための第2の切溝25を形成するという
工程となっているため、この第2の切溝25の切削位置
を調節することによりトラック幅を精度良く規制するこ
とが可能となり、強磁性金属薄膜のみで構成された磁気
ギャップ部から最短距離を通って強磁性酸化物に磁束を
通す形状の磁気ヘッドを歩留り良く製造できるととも
に、出力も大きくなり、生産性や信頼性、製造コストの
点で有利である。
【0048】上述のような工程により作成される一対の
磁性基板20のうち一方もしくは両方に対して、図7に
示すように、上記第1の切溝21及び第2の切溝25と
直交する方向に溝加工を施し、複数の巻線溝26、及び
接合の際にガラス棒を挿入するためのH溝27を形成す
る。そして、上記磁性基板20を切断することによって
コアブロック29を切り出す。
【0049】続いて、図8に示すように、一対のコアブ
ロック29を対向させ、ギャップスペーサを介して、上
記強磁性金属薄膜23同士が突き合わされるように接合
配置する。そして、これらコアブロック29をガラスに
より融着すると同時に、上記第2の切溝25内に上記非
磁性材28を充填する。
【0050】なお、上記ギャップスペーサとしては、S
iO2 ,ZrO2 ,Ta2 5 ,Cr等が使用される。
また、この製造工程において、上記第2の切溝25への
非磁性材28の充填は、コアブロック29同士の融着と
同時でなく、例えば図6の工程で予め第2の切溝25内
に非磁性材28を充填し、図8に示す工程ではガラス融
着のみとしてもよい。
【0051】そして、磁気テープ摺接面を円筒研磨した
後、図8中A−A線及びA’−A’線の位置でスライシ
ング加工し、複数個のヘッドチップを切り出して図1及
び図2に示すような磁気ヘッドを完成する。なお、この
とき接合したコアブロック29に対するスライシングの
方向を突き合わせ面に対して傾斜させることにより、ア
ジマス記録用の磁気ヘッドを作成することができる。
【0052】このように形成された磁気ヘッドは、その
強磁性金属薄膜3と強磁性酸化物との接合面即ち強磁性
金属薄膜形成面1a又は2a、更に、強磁性金属薄膜3
と非磁性材4又は5との接合面による疑似ギャップが作
動磁気ギャップgのギャップ面と非平行に形成されるこ
とからアジマス損が大となり、この疑似ギャップによる
実質的影響を回避できるというものである。
【0053】尚、上述の実施例においては、コア半体
1,2を磁性体によって構成した場合であるが、結晶化
ガラス、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム等の非磁
性体によって構成するときは、図1においてギャップデ
プス規制する巻線溝6,7が強磁性金属薄膜3を横切る
ことのない深さに選定し、強磁性金属薄膜3がバックギ
ャップにまで延在して作動磁気ギャップgを含む閉磁路
とすることが必須となる。
【0054】また、図1に示した例では、両コア半体
1,2の互いの対向方向にそれぞれ巻線溝6,7を形成
するようにした場合であるが、一方にのみこの溝6,7
の形成を行うようにした構成をとる磁気ヘッド等、上述
した例に限らず種々の変形変更がなされた磁気ヘッドに
本発明を適用することができる。
【0055】ここで、上述のような本発明の磁気ヘッド
を従来の磁気ヘッドと比較するために次のような実験を
行った。スパッタ装置としては、図9において、ターゲ
ット31と支持台32との距離が150mm、ターゲッ
ト31の数3個、各ターゲット31の中心01 間を結ぶ
円の半径が175mmのものを使用し、磁性基板20を
支持台32の回転中心軸0から100mmの位置に配置
してスパッタを行った。
【0056】先ず、従来行われてきたように、磁性基板
20に設けられた切溝21の長手方向が支持台32の半
径方向と平行となるように磁性基板20を支持台32に
水平に設置してスパッタを行った。このとき、強磁性金
属薄膜形成面21aの法線方向に対する蒸着粒子の入射
方向αは30°の角度であった。このようにして強磁性
金属薄膜23を形成したものを比較例1とする。
【0057】次に、磁性基板20に設けられた切溝21
の長手方向が支持台32の半径方向と直交するように磁
性基板20を支持台32に水平に設置してスパッタを行
った。このとき、強磁性金属薄膜形成面21aの法線方
向に対する蒸着粒子の入射方向αは20°の角度を持
つ。このようにして強磁性金属薄膜23が形成されたも
のを比較例2とする。
【0058】そして、図14のように本発明を適用して
強磁性金属薄膜形成面21aの法線方向が蒸着粒子の入
射方向に一致させるため、磁性基板20を支持台32の
面から20°傾けて設置し、強磁性金属薄膜23を形成
したものを実施例1とする。
【0059】上述のようにして形成した強磁性金属薄膜
は、比較例1においては強磁性薄膜形成面の法線方向か
ら30°傾いた柱状晶となり、比較例2においては同じ
く法線方向から20°傾いた柱状晶となり、実施例1に
おいては上記法線方向に一致した柱状晶となった。これ
ら強磁性金属薄膜を走査電子顕微鏡によって観察し、結
晶構造の写真を撮った。実施例1の金属薄膜を図18に
示し、比較例1の金属薄膜を図19(b)、比較例2の
金属薄膜を同じく図19(a)に示すように、実施例1
の膜表面が最も均一であることがわかる。
【0060】また、膜厚30μmに形成された強磁性金
属薄膜について5MHzで透磁率を測定したところ、強
磁性金属薄膜の柱状晶の傾きと透磁率との関係は図15
のようになった。図15より、上記柱状晶の傾きが10
°を越えると急激に透磁率が低下することがわかる。
【0061】さらに、5MHzにおける再生出力を測定
したところ、強磁性金属薄膜の柱状晶の傾きと再生出力
との関係は図16のようになった。図16より、比較例
1のようにして成膜した従来の磁気ヘッドの再生出力を
0とすると、実施例1の磁気ヘッドは1〜1.5dB向
上していることがわかる。
【0062】また、記録出力についても測定を行ったと
ころ、本発明の磁気ヘッドは、磁気特性が向上する結果
を反映して従来の磁気ヘッドより0.5dB程度向上す
ることがわかった。
【0063】
【発明の効果】上述したように本発明においては、強磁
性金属薄膜形成面1a,2aにおける強磁性金属薄膜3
が、蒸着粒子の飛来方向を選定したものとすることによ
って、その再生出力等の磁気特性の向上と安定化を図る
ことができ、また多数の磁性基板に対して同時にスパッ
タ等の物理的蒸着を行う場合においても安定してほぼ同
一の特性を有する磁気ヘッドを構成できる等、量産化に
おいて実用上の大きな利益をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッドの一例の斜視図である。
【図2】本発明の磁気ヘッドの一例の正面図である。
【図3】本発明の磁気ヘッドの製造工程を順に示すもの
であって、磁性基板に切り溝を設ける工程を示す斜視図
である。
【図4】強磁性金属薄膜を成膜する工程を示す斜視図で
ある。
【図5】非磁性材を充填する工程を示す斜視図である。
【図6】第2の切溝を設ける工程を示す斜視図である。
【図7】巻線溝とH溝を設ける工程を示す斜視図であ
る。
【図8】コアブロックを突き合わせて接合する工程を示
す斜視図である。
【図9】スパッタ装置の構成例を示す模式図である。
【図10】磁性基板の配置一例を示す模式図である。
【図11】蒸着粒子の入射を説明するための磁性基板の
拡大断面図である。
【図12】透磁率の入射角依存性を示す特性図である。
【図13】強磁性金属薄膜の面内の各方向におけるイン
ダクタンスを示す特性図である。
【図14】磁性基板に対する強磁性金属薄膜の物理的蒸
着態様の説明図である。
【図15】強磁性金属薄膜形成面の法線方向に対する入
射角と透磁率との関係を示す特性図である。
【図16】強磁性金属薄膜形成面の法線方向に対する入
射角と再生特性との関係を示す特性図である。
【図17】従来の磁気ヘッドの磁性基板に対する強磁性
金属薄膜の物理的蒸着態様の説明図である。
【図18】金属磁性薄膜の結晶構造を示す写真である。
【図19】金属磁性薄膜の結晶構造を示す写真である。
【符号の説明】
1,2・・・磁気コア半体 1a,2a・・・強磁性金属薄膜形成面 1b,2b・・・切溝 3・・・強磁性金属薄膜 4,5・・・非磁性材 6,7・・・巻線溝 8・・・コイル 10・・・作動磁気ギャップ形成面 20・・・磁性基板 21・・・切溝 21a・・・強磁性金属薄膜形成面 23・・・強磁性金属薄膜 24,28・・・非磁性材 25・・・第2の切溝 29・・・コアブロック 31・・・ターゲット 32・・・支持台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 洋子 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 鈴木 美保 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 早川 正俊 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 熊谷 静似 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のコア半体の互いの突き合わせ面に
    臨んで斜面を有する溝が設けられ、該斜面に形成された
    強磁性金属薄膜の端面が互いに突き合わされて両者間に
    作動磁気ギャップを形成する磁気ヘッドにおいて、 上記強磁性金属薄膜は、主たる蒸着粒子の飛来方向を上
    記斜面の法線に対する傾斜角10°以内として被着され
    たものであることを特徴とする磁気ヘッド。
JP36000892A 1992-02-14 1992-12-29 磁気ヘッド Pending JPH05290320A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-28440 1992-02-14
JP2844092 1992-02-14

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05290320A true JPH05290320A (ja) 1993-11-05

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JP36000892A Pending JPH05290320A (ja) 1992-02-14 1992-12-29 磁気ヘッド

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