JPH05276860A - 冷凍クラゲの製造方法及び冷凍クラゲ - Google Patents

冷凍クラゲの製造方法及び冷凍クラゲ

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JPH05276860A
JPH05276860A JP4106127A JP10612792A JPH05276860A JP H05276860 A JPH05276860 A JP H05276860A JP 4106127 A JP4106127 A JP 4106127A JP 10612792 A JP10612792 A JP 10612792A JP H05276860 A JPH05276860 A JP H05276860A
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長弥 細川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期保存が可能で且つ、解凍時の変質が防止
され、調理に際しての前処理が簡単な冷凍クラゲの製造
方法及び冷凍クラゲを提供しようとするものである。 【構成】 上記目的を解決するために、本発明方法は、
塩漬けされたクラゲを塩抜きした後、主に有機酸と糖質
類を溶質とする水溶液に漬け込み、漬け込み後のクラゲ
をそのまま冷凍する方法である。また、結果としての冷
凍クラゲは、塩抜きされ、有機酸0.3〜0.04重量
%、糖質類5〜0.5重量%を含有して冷凍されたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍による長期保存が
でき、解凍時の変質が防止され、調理に際しての前処理
が簡単な冷凍クラゲの製造方法及び冷凍クラゲに関す
る。
【0002】
【従来の技術】クラゲは短冊状に裁断され長期保存が可
能な状態で流通過程に乗せられる。そして、一般家庭な
どでこのクラゲに前処理を施して、調味料を加えて酢ク
ラゲなどの嗜好品に調理される。このような嗜好品とし
てのクラゲは大量に消費されるものではないため、長期
保存が可能な状態で流通過程に乗せることが必須となっ
ている。クラゲの長期保存の方法として最も一般的なも
のは塩漬け方法であり、クラゲに20重量%程度の塩分
を含有させて塩クラゲにする方法である。
【0003】この塩漬け方法は簡便確実であるものの、
食品として調理しようとすると、多量の塩を含有したま
までは到底口に出来るものでは無いため、塩クラゲを水
に晒しておく等の塩抜きが必要となる。ところが、しっ
かりした組織を有するクラゲの塩抜きは短時間では行え
ず、通常30分程度は必要とされる。つまり、この塩ク
ラゲは、調理にたいへん手間ひまの掛かる食品であり、
それがためにクラゲの調理が敬遠されることの原因とな
っている。
【0004】そこで、水洗いなどの簡単な前処理で調理
可能であると共に、長期保存が可能なクラゲの流通が望
まれるようになった。そのためには、塩抜きされた状態
での長期保存に工夫をこらす必要がある。クラゲ以外の
通常の魚介類ではマイナス50°C以下に凍らせる冷凍
保存が行われているが、クラゲを冷凍すると、解凍時に
著しい離水を生じテクスチャー(繊維組織)が変質し、
クラゲ独特の歯切れのよさが失われる。そのため、塩漬
け方法に代わる保存方法として、塩抜きクラゲを0〜1
0°Cの凍結に至らないチルド状態で冷蔵保存して流通
過程に乗せることが従来試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、塩抜き
クラゲをチルド状態で冷蔵保存する従来方法では、塩を
抜いた状態のクラゲであって冷凍されているわけではな
いため、微生物による変敗を受けやすく、約1ヵ月の賞
味期限が限度であり、長期保存に限度があるという問題
点を有している。
【0006】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、長期保存が可能で且つ、解凍時の変質が防止さ
れ、調理に際しての前処理が簡単な冷凍クラゲの製造方
法及び冷凍クラゲを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、本発明方法は、塩漬けされたクラゲを塩抜きした
後、主に有機酸と糖質類を溶質とする水溶液に漬け込
み、漬け込み後のクラゲをそのまま冷凍する方法であ
る。また、結果としての冷凍クラゲは、塩抜きされ、有
機酸0.3〜0.04重量%、糖質類5〜0.5重量%
を含有して冷凍されたものである。
【0008】
【作用】塩抜きしたクラゲを主に有機酸と糖質類を溶質
とする水溶液に漬け込むことにより、クラゲの組織が有
機酸と糖質類の所定量を含有することになる。有機酸は
PHを調整しクラゲの主成分である蛋白質の構造を変化
させ、クラゲの親水性を高め水分の吸収を良くし、解凍
時の著しい離水を防止する。糖質類はクラゲ中の水分が
凍結するのを防いでテクスチャーの変質を少なくする。
この有機酸と糖質類の相乗作用により、解凍後も適当な
水分と組織を保ち、クラゲ特有の歯切れのよさを維持す
る。そして、冷凍することにより塩抜きクラゲの微生物
による変敗を防ぎ長期保存を可能とする。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。まず本発
明方法を説明し、ついでその方法による冷凍クラゲを説
明する。
【0010】本発明の冷凍クラゲの製造方法は、塩漬け
クラゲから塩を抜く工程と、塩抜きしたクラゲを主に有
機酸と糖質類を溶質とする水溶液に漬け込む工程と、水
溶液に漬け込まれたクラゲを冷凍する工程とからなる。
以下に各工程の詳細を説明する。
【0011】漁獲後のクラゲはそのままの姿で塩漬けさ
れて肉厚が約4〜5mmに縮んだ状態で輸入される。こ
の塩漬けクラゲを短冊状に寸法・形状が揃うように裁断
し、水で良く洗浄し、そのまま1時間程度水に晒して塩
を抜く。そして、短冊状の塩抜きクラゲの水切りを充分
に行い塩抜き工程を終える。
【0012】この塩抜きクラゲを主に有機酸と糖質類を
溶質とする水溶液に漬け込む。そして、漬け込み後のク
ラゲのPHが4.1〜4.4となるように、有機酸によ
り水溶液のPHを3.2〜3.7に調整して塩抜きクラ
ゲの親水性を高め水分の吸収を良くするものであり、酢
酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、グ
ルコノデルタラクトン等を単独に或いは適宜組み合わせ
て併用したものが用いられ、特に酢酸は水分吸収率が高
く好ましい。この有機酸は漬け込み液に0.6〜0.0
8重量%混合させる。0.08重量%未満では漬け込み
後のクラゲのPHが4.4より高くなり、水分吸収率の
向上が少なくなる。0.6重量%を越えると漬け込み後
のクラゲのPHが4.1より低くなり水分吸収率が高す
ぎて柔らかくなり過ぎるうえ有機酸の濃度が濃いため食
味を損なう。尚、漬け込み後のクラゲのPHの適正値は
クラゲ自身の持つ弾性、クラゲの原産地、クラゲの品質
により異なり、漬け込み後のクラゲのPHが3.9〜
4.7でも良好な歯切れを有する場合がある。
【0013】糖質類は水分結晶を微細化して冷凍による
テクスチャーの変質を少なくするものであり、砂糖、エ
チルアルコール、ソルビトール、マルトース、還元マル
トース、還元水飴、プロピレングリコール等を単独に、
或いは適宜組み合わせて併用したものが用いられ、特に
エチルアルコールは食味に加えて解凍後の保存性にも好
影響を与えるので好ましい。この糖質類は漬け込み液に
10〜1重量%混合する。1重量%未満ではテクスチャ
ーの変質が著しく、10重量%を越えると濃度が濃いた
め食味を損なう。上述した水溶液とクラゲの割合は好ま
しくは1:1であり、水切り後のクラゲを15時間程度
漬け込むと飽和状態となり、漬け込み工程を終える。
【0014】水溶液に漬け込まれたクラゲを冷凍する工
程は、塩抜きクラゲの微生物による変敗を防ぎ長期保存
を可能にする為の工程で、水溶液を切ったクラゲだけを
袋詰めし冷凍するだけでも良いが、好ましくはクラゲ1
に対して上記水溶液を1〜0.1の割合で一緒に袋詰め
し冷凍すると、成分の均一性が保たれる。
【0015】そして、上記工程により製造された冷凍ク
ラゲは水溶液中に含まれている溶質の約1/2の量が塩
抜きクラゲに浸透するので、クラゲ本来の食味が損なわ
れない範囲の含有量は、有機酸0.3〜0.04重量
%、糖質類5〜0.5重量%である。何故ならば、適切
な水溶液は有機酸0.6〜0.08重量%及び糖質類1
0〜1重量%を含有しているからである。この冷凍クラ
ゲは解凍後、水溶液を切った状態のものに直接好みの調
味料を加えることができ、調理が簡単にでき、嗜好品と
してのクラゲの一層の普及が期待できる。
【0016】次に、有機酸として酢酸、糖質類としてエ
チルアルコールの混合水溶液を用いた本発明の具体例の
結果を表1により説明する。尚、表1には、比較例とし
て、エチルアルコールのみを含んだ水溶液を使用した比
較例2と、酢酸のみを含んだ水溶液を使用した比較例3
と、塩抜き後のクラゲを水溶液に漬けないでそのまま冷
凍し解凍した比較例1の結果も表1にまとめられてい
る。
【0017】表1は上記実施例の水溶液の酢酸及びエチ
ルアルコールの濃度別効果をまとめたものであり、上記
工程で冷凍した塩抜きクラゲを解凍し、水分含有率、P
H、パネラーによる食味テストの3点に於いて評価して
いる。水溶液中の濃度の単位:重量%は水溶液100g
中に何g含まれているかを示す。水分含有率の単位:%
は比較例1を除いて、塩抜きクラゲを水のみに漬け込ん
だ場合の水分量を100にしている。パネラーテストは
20人で行なった。良くないと感じた人数が0以上5人
未満が◎、5人以上10人未満が○又は●、10人以上
15人未満が△、15人以上20人以下が×である。●
は歯切れが少し柔らかい感じが加味されているものであ
る。又、PHは浸け込み後のクラゲのPH値である。
【0018】
【表1】
【0019】比較例1は塩抜き後のクラゲを水溶液に漬
けないで、そのまま冷凍し解凍したもので、水分含有率
は冷凍前と比較したものである。その水分含有率は74
%と少なくなっており、その為、食味が損なわれている
ことがパネラーテストから明らかである。
【0020】比較例2は溶質としてエチルアルコールの
みを含んだ水溶液を、比較例3は溶質として酢酸のみを
含んだ水溶液を使用したもので、歯切れにおいては良い
効果があらわれているが、味においては悪く、パネラー
テストの総合評価は悪い。その理由としては、水溶液中
のエチルアルコール及び酢酸のそれぞれの濃度が濃い
為、クラゲ本来の食味を損なっていることがあげられ
る。
【0021】其処で、本発明実施例1〜10は、エチル
アルコール及び酢酸を併用することによりそれぞれの濃
度を薄くして、クラゲ本来の食味が損なわれない範囲、
即ち、酢酸にあっては0.6〜0.08重量%、エチル
アルコールにあっては10〜1重量%の範囲で行われ
た。実施例2は水溶液中の酢酸及びエチルアルコールの
最少濃度で、実施例9は最大濃度を示している。実施例
5、実施例7、実施例9を除いてはパネラーテストの総
合評価でも良好であることがわかる。実施例5、実施例
7、実施例9は水分含有率が130重量%以上も有り、
水分含有率が多すぎるため歯切れが柔らかくなりすぎて
いると思われる。
【0022】ところで、表1の本発明例6で製造された
冷凍クラゲの成分含有量を分析したところ、エチルアル
コール約2重量%、酢酸約0.04重量%含有してお
り、塩抜きしたクラゲをエチルアルコールと酢酸の混合
水溶液に漬け込むと、水溶液中に含まれている濃度の約
1/2の量が塩抜きクラゲに浸透することが判る。
【0023】
【発明の効果】本発明の冷凍クラゲの製造方法及び冷凍
クラゲは、塩抜きしたクラゲを主に有機酸と糖質類を溶
質とする水溶液に漬け込んで、有機酸により水溶液のP
Hを調整して塩抜きクラゲの親水性を高め水分の吸収を
良くし、糖質類により塩抜きクラゲの冷凍による変質を
少なくし、有機酸と糖質類の相乗作用で解凍時の著しい
離水を防止してテクスチャーを維持し、冷凍することに
より塩抜きクラゲの微生物による変敗を防ぎ保存性を向
上させているので、長期保存が可能で且つ、クラゲ独特
のうま味を損なうことが無い。その結果、冷蔵庫の冷凍
室などで長期保存ができ、クラゲの料理に際しては解凍
した後直接調味料を加えることができ、手軽に調理可能
となり、クラゲの一層の普及が期待できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩漬けされたクラゲを塩抜きした後、主
    に有機酸と糖質類を溶質とする水溶液に漬け込み、漬け
    込み後のクラゲをそのまま冷凍することを特徴とする冷
    凍クラゲの製造方法。
  2. 【請求項2】 塩抜きされ、有機酸0.3〜0.04重
    量%、糖質類5〜0.5重量%を含有して冷凍された冷
    凍クラゲ。
JP4106127A 1992-03-30 1992-03-30 冷凍クラゲの製造方法及び冷凍クラゲ Expired - Lifetime JPH0775514B2 (ja)

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