JPH05336879A - 漬物の製法 - Google Patents

漬物の製法

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JPH05336879A
JPH05336879A JP14944992A JP14944992A JPH05336879A JP H05336879 A JPH05336879 A JP H05336879A JP 14944992 A JP14944992 A JP 14944992A JP 14944992 A JP14944992 A JP 14944992A JP H05336879 A JPH05336879 A JP H05336879A
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vegetable
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radish
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JP14944992A
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Takenori Okudaira
武則 奥平
Kumiko Kamine
久美子 上根
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Fujicco Co Ltd
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Fujicco Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 野菜を、糖アルコールと、塩類および昆布ミ
ネラルの少なくとも一方とを含む混合溶液に浸漬し、こ
れを加圧したのち、0℃以下で保蔵する。ついで、上記
保蔵した野菜を取り出して上記野菜と調味料とを混合す
ることにより漬物を製造する。 【効果】 含有塩分が少なく、野菜本来の有する色調お
よび呈味成分等を損なわずに風味豊かな漬物が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、容易に低塩分の漬物
を作製する漬物の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば漬物等の原料である野
菜の保蔵方法としては、そのまま塩蔵したり、あるいは
大根の場合には乾燥させたのち塩蔵したり、塩蔵して冷
蔵するという方法等が採られている。上記塩蔵による保
蔵においては、微生物的な問題から高い塩分濃度にして
保蔵せざるを得ず、これをそのまま漬物に用いれば塩辛
く塩分の取り過ぎから健康を損ないかねないため脱塩処
理を行う場合が多い。しかし、この脱塩処理の操作は手
間を要する上に野菜の呈味成分,風味,香りも脱塩時の
水分中に流出してしまい、しかもこの脱塩水の排水は公
害問題となっている。また、このような高塩分下におい
ても、微生物的な問題である味(下漬臭等)や風味、素
材のきめ(テクスチャー)の劣化や褐変問題等が生じ
る。すなわち、緑色野菜については明るい色調を保持す
ることができず、特に葉菜類の緑色が褪色しやすい。ま
た、大根では黄色に変色してしまうという問題が生じ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記問題は、例えば、
冷蔵するという手段を採ることによって、若干解決する
ことができるが、長期保存する場合には、やはり高塩分
による保存方法を採らざるをえないため、上記脱塩処理
の工程を免れることはできない場合が多い。そして、上
記冷蔵時の冷蔵温度はできるだけ低温で行うことが理想
であるが、野菜を例えば0℃付近以下で冷蔵すると、中
身まで凍結してしまう。したがって、これを解凍した時
に水が分離して流れ出すドリップ現象や、多孔質状にな
るスポンジ現象を生起してしまい、野菜のテクスチャー
を著しく低下させ、呈味成分,栄養成分,香り風味を野
菜から流失させてしまう。特に、大根の場合は、乾燥に
よる保存方法も採られるが、この乾燥を気温の温暖な時
期に行うと、大根に、いわゆる「す」が入るために、寒
い季節に行わなければならない。また、寒冷地において
は逆に凍結してしまい上記問題が生じるために、地域等
が限定されてしまう。このように、野菜の冷蔵に関して
は、乾燥時の気温,地域等を適切に選択せざるをえず、
乾燥中に変色する問題の他に、非常に煩雑で手間のかか
る作業を伴うという問題がある。しかも、大根は乾燥す
ると、成分濃縮等の理由により、甘味,旨味等の呈味成
分,風味,香り等は増すが、この呈味成分や風味も、長
期保存のために塩蔵すると、脱塩処理の工程を経由しな
ければならず、脱塩水とともに、流出してしまう。この
ように、従来の漬物は、いずれにしても原料となる野菜
の保存という観点から、高濃度の塩分を添加して塩蔵す
るため、変色および風味等の低下が生じ、高塩分を避け
るためには脱塩処理という煩雑な工程を経由しなければ
ならなかった。
【0004】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、野菜本来の色調,呈味成分および風味等を損
なうことなく、しかも含有塩分の少ない漬物の製法の提
供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の漬物の製法は、野菜を、糖アルコール
と、塩類および昆布ミネラルの少なくとも一方とを含む
混合溶液に浸漬し、これを加圧したのち、0℃以下で保
蔵し、ついで野菜を取り出して上記野菜と調味料とを混
合するという構成をとる。
【0006】
【作用】すなわち、本発明者らは、野菜の呈味成分や風
味等を損なわずに、かつ低塩分の漬物を得る方法につい
て一連の研究を重ねた。この研究の過程で、まず野菜の
保蔵方法について研究を重ねた。そして、野菜は、その
まま冷凍庫等で冷凍すると凍ってしまい、前記ドリップ
現象やスポンジ現象等の問題が生じるために、例えば不
凍液を用いて野菜内部を不凍状態にすることが必要では
ないかと想起した。この不凍液に用いる物質としては、
食品および食品添加物等の安全性の高い物質であるこ
と、凝固点降下作用が高いこと、保水効果の高い物
質であること、低分子量で、野菜内部に浸透し易いこ
と等の特性を有するものがあげられる。そして、本発明
者らは、さらに研究を進める過程で、上記不凍液の使用
とともに、野菜内部の水分を脱水させ濃縮させることに
より糖度を上げ、さらに凝固点降下作用の高い物質を野
菜内部に浸透させることが必要であることを突き止め、
このような特性を有する物質について研究を重ねた。そ
の結果、糖アルコールと塩類を含む混合溶液が好適であ
ることを見出した。すなわち、野菜を保蔵する際に、糖
アルコールと塩類を含む混合溶液に野菜を浸漬し、これ
を加圧して野菜内部に上記混合溶液を浸透させたのち、
温度を0℃以下の低温に保つと、低濃度の塩分で野菜の
呈味成分や風味等を損なわず、また変色せずに野菜を保
蔵できることを突き止めた。これは、つぎのような理由
によると考えられる。すなわち、上記糖アルコールは高
い保水性を有し、しかも高分子量のものは野菜の組織内
部にまで浸透せず、高い保水効果によって野菜内部から
水分を引き出す。また、糖アルコールのなかでも低分子
量のものは、野菜内部に浸透し保水性を発揮する。そし
て、上記塩類は、浸透圧差により野菜内部から水分を引
き出すとともに、低分子量であるため、野菜の組織内部
に浸透し凝固点降下を示す。このため、上記塩類は、野
菜の組織内部に浸透し、浸透圧差により脱水する。この
ように、上記糖アルコールを用いることにより少量の塩
類の使用ですみ、冷凍指させずにしかも呈味成分や風味
等を損なわずに野菜を保蔵することが可能となると考え
られる。ついで、この混合溶液により保蔵された野菜を
取り出して、これと調味料とを混合すると、低塩分で、
しかも野菜本来の色および風味等を有した漬物が得られ
ることを見出しこの発明に到達した。しかも、上記糖ア
ルコールおよび塩類に昆布ミネラルを加えた混合溶液、
あるいは塩類は用いず上記糖アルコールと昆布ミネラル
を含む混合溶液を用いると、より効果的な保存、冷凍さ
せずしかも野菜本来の呈味成分や風味等に加えて、天然
の旨味成分およびミネラル分が加わるようになる。
【0007】つぎに、この発明を詳しく説明する。
【0008】この発明の漬物の製法における原料となる
野菜は、特に限定するものではなく従来から漬物等に用
いられる野菜類および一般に野菜と称されるもの、例え
ば白菜,ひろしま菜等の葉菜類、蕪,日の菜,赤蕪,大
根等の根菜類、瓜,胡瓜等の果菜類等があげられる。
【0009】上記野菜を浸漬する混合溶液は、糖アルコ
ールを必須成分とし、これと塩類および昆布ミネラルの
片方もしくは双方とを用いて得られる。この混合溶液
は、野菜内部に浸透して不凍液の作用を示す。
【0010】上記糖アルコールは、保水性の高い物質で
あり、具体的にはソルビトール,マルチトール,還元澱
粉分解物等があげられ、単独でもしくは併せて用いられ
る。そして、上記還元澱粉分解物は、高分子量を有する
ために野菜の組織内部に浸透せず、その高い保水効果に
よって野菜内部から水分を引き出す特性を有する。ま
た、上記ソルビトール,マルチトールは、低分子量を有
するため、野菜内部に浸透し野菜内部で保水効果を示
す。
【0011】上記塩類は、低分子であり野菜内部に浸透
し、浸透圧差により野菜内部から水分を引き出す脱水効
果を有する。また、凝固点降下作用をも有する。そし
て、具体的には、塩化ナトリウム,塩化カリウム等があ
げられ、これらは単独でもしくは併せて用いられる。
【0012】そして、上記昆布ミネラルを配合すること
により野菜の保蔵等が一層効果的となる。すなわち、上
記昆布ミネラルを添加することで、下記の〜の特性
を付与することができるからである。 昆布ミネラルは、ミネラル成分を多く含有するために
塩類の効果である凝固点降下としての作用を有する。 低分子量の糖アルコールのマンニトールを多く含有す
るため、保水性の機能を有する。 昆布からの抽出物であるため、天然の旨み成分を野菜
に添加することができる。 ミネラル成分が豊富であり、現代人に不足がちな多用
のミネラルを補給することができる。 同じ塩味のNa成分が少ないため、減塩効果がある。
【0013】上記昆布ミネラルは、全量100重量部
(以下「部」と略す)当たり、下記の(a)〜(j)に
示す成分を含有する。 (a)カリウムが10〜60部。 (b)ナトリウムが4〜20部。 (c)カルシウムが0.2〜3.5部。 (d)マグネシウムが0.4〜2.5部。 (e)鉄が0.0005〜0.01部。 (f)ヨウ素が15部以下。 (g)マンニトールが50部以下。 (h)アスパラギン酸が0.5部以下。 (i)グルタミン酸が1.5部以下。 (j)アラニンが0.8部以下。
【0014】このような昆布ミネラルは、例えば、原料
昆布を酸性溶液中で抽出し、この抽出液を活性炭処理す
る。ついで、上記活性炭処理された抽出液を、限外濾過
および電気透析法のいずれか一方により精製,濃縮処理
し、この濃縮液を乾燥粉末化することにより調製され
る。
【0015】この発明の漬物の製法に用いられる混合溶
液は、例えば、水性媒体中に、上記糖アルコールと、塩
類および昆布ミネラルの片方もしくは双方とを配合し、
混合することにより得られる。すなわち、上記糖アルコ
ールと、塩類と、昆布ミネラルを用いて混合溶液を作製
する際、下記の3通りの配合方法があげられる。(a)
糖アルコールと塩類の2種類を配合する方法、(b)糖
アルコールと塩類と昆布ミネラルの3種類を配合する方
法、(c)糖アルコールと昆布ミネラルの2種類を配合
する方法である。
【0016】上記(a)および(b)における配合方法
において、糖アルコール(A)と塩類(B)との配合割
合は、重量比で、A:B=60:1〜1:1の範囲に設
定することが好ましい。すなわち、両者の配合割合にお
いて、A:B=1:1を外れ糖アルコールが少ないと、
塩類の割合が高く、脱塩工程が必要となり、この発明の
目的とする低塩効果が期待できず、逆にA:B=60:
1を外れ糖アルコール(A)が多くなると、脱水効果が
低下し、−10℃以下で冷蔵すると野菜が凍結してしま
う傾向がみられるからである。
【0017】そして、上記(b)および(c)の配合方
法において、昆布ミネラルの配合量は、上記(c)の場
合は糖アルコール100部に対して、また上記(b)の
場合は糖アルコールと塩類の合計量100部に対してそ
れぞれ3〜50部に設定することが好ましい。
【0018】この発明による漬物は、例えばつぎのよう
にして製造される。すなわち、野菜を、上記混合溶液に
浸漬し、これを加圧して、0℃以下で保蔵する。つい
で、保蔵した野菜を取り出し、これと調味料とを混合す
ることにより得られる。
【0019】上記保蔵において、野菜(X)に対する混
合溶液(Y)の配合量は、重量比で、X:Y=5:1〜
1:1の範囲に設定することが好ましく、特に好ましく
は5:2〜5:4である。
【0020】上記加圧方法としては、特に限定するもの
ではなく通常の方法があげられ、例えば保蔵する野菜と
同重量程度の重石を載せる方法があげられる。この他、
適宜の方法により17g/cm2 程度の圧力をかける加
圧方法があげられる。このように、混合溶液に浸漬して
加圧することにより、野菜内部に上記混合溶液が効果的
に浸透し0℃以下での保蔵においても野菜が不凍状態に
保たれるようになる。
【0021】上記0℃以下での保蔵において、野菜の種
類,混合溶液の特性(凝固点降下等)等によるが、−2
0〜0℃に設定することがより好ましい。
【0022】上記保蔵した野菜と混合する調味料として
は、特に限定するものではなく、従来からの漬物を製造
する際に用いられるもの、例えば醤油,味醂,砂糖,食
塩,米糠麹,クエン酸,食酢,アミノ酸系調味料等の各
成分を含有する調味液等があげられる。
【0023】そして、上記野菜と調味料との混合の態様
としては、特に限定するものではなく、野菜と調味料と
が接触すればよく、例えば保蔵から取り出した野菜を調
味料に浸漬する、または取り出した野菜を袋等に詰めて
これに調味液を充填する等の態様があげられる。
【0024】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0025】
【実施例1】まず、大根100gに対して下記に示す成
分および配合割合からなる混合溶液を作製した。
【0026】 還元澱粉分解物 20g ソルビトール 5g 食塩(塩化ナトリウムを95%以上含有) 6g
【0027】大根の葉,ひげ等を切り落とし洗浄した
後、適当な大きさに切断した。この大根を漬物槽に並べ
上記混合溶液を添加し浸漬した。ついで、大根と同じ重
量の重石を載せて3日間放置し、大根内部に上記混合溶
液を浸透させた。そして、この混合溶液ごと−18〜0
℃の冷凍庫に入れた。数日後、大根の状態を観察する
と、冷凍庫に入れる前と何ら変化なく外観も黄変せず不
凍状態で保蔵されていた。つぎに、保蔵した大根を必要
量取り出して、大根100部に対して、クエン酸を0.
5部,砂糖12部,米糠発酵調味液10部からなる調味
料に漬けた後、袋詰め殺菌して大根の漬物を製造した。
この大根の漬物は、保蔵時において塩分が少量のため脱
塩処理する必要がなく、呈味成分や風味等が流出せず
に、原料の大根の風味がそのまま残り、変色せずに歯応
えのよいものであった。
【0028】
【比較例1】まず、大根100gに対して下記に示す成
分および配合割合からなる混合溶液を作製した。
【0029】 塩化カリウム 4g アルコール 4ml ソルビトール 1g グリセリン 0.5g 食塩(塩化ナトリウムを95%以上含有) 2g 水 92g
【0030】大根の葉,ひげ等を切り落とし洗浄した
後、適当な大きさに切断した。この大根を漬物槽に並べ
上記混合溶液を添加し浸漬した。ついで、大根と同じ重
量の重石を載せて3日間放置し、大根内部に上記混合溶
液を浸透させた。そして、この混合溶液ごと−18〜−
8℃の冷凍庫に入れた。数日後、大根の状態を観察する
と、大根は透明となり、室温に放置するとドリップ現象
が生じ内部の水分が流出してきた。これは、大根内部の
水分の凝固点があまり下がっておらず、凍結してしまっ
たためと考えられる。そして、上記混合溶液に浸漬した
大根を−5℃の冷凍庫に入れ不凍状態で保蔵し、必要量
取り出して、実施例1と同様の調味料を用いて漬物を作
製した。得られた漬物は塩化カリウムの苦みが感じら
れ、大根本来の呈味成分や風味が損なわれていた。
【0031】
【実施例2】まず、白菜100gに対して下記に示す成
分および配合割合からなる混合溶液を作製した。
【0032】 還元澱粉分解物 20g ソルビトール 5g 食塩(塩化ナトリウムを95%以上含有) 3g
【0033】白菜の葉を一枚ずつ剥がし、洗浄した。こ
の白菜を漬物槽に並べ上記混合溶液を添加し浸漬した。
ついで、白菜と同じ重量の重石を載せて3日間放置し、
白菜内部に上記混合溶液を浸透させた。そして、この混
合溶液ごと−18〜0℃の冷凍庫に入れた。数日後、白
菜の状態を観察すると、冷凍庫に入れる前と何ら変化な
く外観も変色せず不凍状態で保蔵されていた。しかも、
塩分が少量のため脱塩処理する必要がなく、呈味成分や
風味等が流出することもない。つぎに、この白菜を必要
量取り出して、実施例1と同様の調味料に浸漬した後、
袋詰め殺菌することにより白菜の漬物を作製した。得ら
れた白菜の漬物は白菜本来の風味等が損なわれていなか
った。
【0034】
【比較例2】まず、実施例2と同様の混合溶液を作製
し、白菜を漬物槽に並べこの混合溶液を添加し浸漬し
た。ついで、加圧をせずにそのままの状態で3日間放置
した。そして、この混合溶液ごと−18〜0℃の冷凍庫
に入れた。数日後、白菜の状態を観察すると、凍結して
いないものと、凍結してしまったものとばらつきがみら
れた。つぎに、この白菜を必要量取り出して、実施例1
と同様の調味料に浸漬した後、袋詰め殺菌することによ
り白菜の漬物を作製した。得られた白菜の漬物におい
て、凍結してしまった白菜を用いて作製した漬物には、
歯切れ(テクスチャー)の軟化がみられた。
【0035】
【実施例3】まず、胡瓜100gに対して下記に示す成
分および配合割合からなる混合溶液を作製した。
【0036】 還元澱粉分解物 20g ソルビトール 5g 食塩(塩化ナトリウムを95%以上含有) 6g
【0037】胡瓜を洗浄し、適当な大きさに切断した。
この胡瓜を漬物槽に並べ上記混合溶液を添加し浸漬し
た。ついで、胡瓜と同じ重量の重石を載せて3日間放置
し、胡瓜内部に上記混合溶液を浸透させた。そして、こ
の混合溶液ごと−18〜0℃の冷凍庫に入れた。数日
後、胡瓜の状態を観察すると、冷凍庫に入れる前と何ら
変化なく外観も変色せず不凍状態で保蔵されていた。し
かも、塩分が少量のため脱塩処理する必要がなく、呈味
成分や風味等が流出することもない。つぎに、この胡瓜
を必要量取り出して、実施例1と同様の調味料に浸漬し
た後、袋詰め殺菌することにより胡瓜の漬物を作製し
た。得られた胡瓜の漬物は胡瓜本来の風味等が損なわれ
ていなかった。
【0038】
【実施例4】まず、胡瓜100gに対して下記に示す成
分および配合割合からなる混合溶液を作製した。
【0039】 還元澱粉分解物 20g ソルビトール 3g 食塩(塩化ナトリウムを95%以上含有) 3g
【0040】上記混合溶液を用い、それ以外は実施例3
と同様にして胡瓜を冷凍保蔵した。数日後、胡瓜の状態
を観察すると、冷凍庫に入れる前と何ら変化なく外観も
変色せず不凍状態で保蔵されていた。しかも、塩分が少
量のため脱塩処理する必要がなく、呈味成分や風味等が
流出することもない。つぎに、この胡瓜を必要量取り出
して、実施例1と同様の調味料に浸漬した後、袋詰め殺
菌することにより胡瓜の漬物を作製した。得られた胡瓜
の漬物は胡瓜本来の風味等が損なわれていなかった。
【0041】
【実施例5】乾燥昆布100gを、酢酸でpH4.0に
調整した水1リットルを用いて、80℃,30分間抽出
を行いブリックス(Brix)6.4の昆布水抽出液を
得た。得られた昆布水抽出液を粗濾過した後、真空濃縮
し乾燥粉末化した。そして、上記乾燥粉末化した昆布ミ
ネラルを用い、下記に示す成分および配合割合からなる
混合溶液を作製した。
【0042】 還元澱粉分解物 20g 昆布ミネラル 18g 食塩(塩化ナトリウムを95%以上含有) 4g
【0043】大根の葉,ひげ等を切り落とし洗浄した
後、適当な大きさに切断した。この大根を漬物槽に並べ
上記混合溶液を添加し浸漬した。ついで、大根と同じ重
量の重石を載せて3日間放置し、大根内部に上記混合溶
液を浸透させた。そして、この混合溶液ごと−18〜0
℃の冷凍庫に入れた。数日後、大根の状態を観察する
と、冷凍庫に入れる前と何ら変化なく外観も黄変せず不
凍状態で保蔵されていた。しかも、塩分が少量のため脱
塩処理する必要がなく、呈味成分や風味等が流出するこ
ともない。さらに、昆布ミネラルを含有する混合溶液が
大根内部に浸透したために、昆布風味が加わって天然の
旨味のある非常に風味の良好なものが得られた。つぎ
に、この大根を必要量取り出して、実施例1と同様の調
味料に浸漬した後、袋詰め殺菌することにより大根の漬
物を作製した。得られた大根の漬物は大根本来の風味等
が損なわれていなかった。しかも、昆布ミネラルの旨味
成分により一層風味の良好なものであった。
【0044】
【実施例6】実施例5で抽出した昆布水抽出液を粗濾過
した後、濾過液を分画分子量100000限外濾過膜
(アドバンテック東洋社製,UHP−76)によって限
外濾過処理を行った。これにより得られた濾過液を、真
空濃縮し乾燥粉末化した。そして、上記乾燥粉末化した
昆布ミネラルを用い、下記に示す成分および配合割合か
らなる混合溶液を作製した。
【0045】 還元澱粉分解物 15g 昆布ミネラル 10g 食塩(塩化ナトリウムを95%以上) 6g
【0046】大根の葉,ひげ等を切り落とし洗浄した
後、適当な大きさに切断した。この大根を漬物槽に並べ
上記混合溶液を添加し浸漬した。ついで、大根と同じ重
量の重石を載せて3日間放置し、大根内部に上記混合溶
液を浸透させた。そして、この混合溶液ごと−18〜0
℃の冷凍庫に入れた。数日後、大根の状態を観察する
と、冷凍庫に入れる前と何ら変化なく外観も黄変せず不
凍状態で保蔵されていた。しかも、塩分が少量のため脱
塩処理する必要がなく、呈味成分や風味等が流出するこ
ともない。さらに、昆布ミネラルを含有する混合溶液が
大根内部に浸透したために、清澄で海藻臭の少ない昆布
風味による天然の旨味が出て非常に風味の良好なものが
得られた。つぎに、この大根を必要量取り出して、実施
例1と同様の調味料に浸漬した後、袋詰め殺菌すること
により大根の漬物を作製した。得られた大根の漬物は大
根本来の風味等が損なわれていなかった。しかも、昆布
ミネラルの旨味成分により一層風味の良好なものであっ
た。
【0047】また、上記実施例5および実施例6の乾燥
粉末化した昆布ミネラルの成分分析を行い、その結果を
下記の表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【実施例7】実施例6の製法より得られた乾燥粉末の昆
布ミネラルを用い、下記に示す成分および配合割合から
なる混合溶液を作製した。
【0050】 還元澱粉分解物 20g 昆布ミネラル 20g
【0051】大根の葉,ひげ等を切り落とし洗浄した
後、適当な大きさに切断した。この大根を漬物槽に並べ
上記混合溶液を添加し浸漬した。ついで、大根と同じ重
量の重石を載せて3日間放置し、大根内部に上記混合溶
液を浸透させた。そして、この混合溶液ごと−18〜0
℃の冷凍庫に入れた。数日後、大根の状態を観察する
と、冷凍庫に入れる前と何ら変化なく外観も黄変せず不
凍状態で保蔵されていた。しかも、塩分が少量のため脱
塩処理する必要がなく、呈味成分や風味等が流出するこ
ともない。さらに、昆布ミネラルを含有する混合溶液が
大根内部に浸透したために、清澄で海藻臭の少ない天然
の旨味が出て非常に風味の良好なものが得られた。
【0052】
【発明の効果】以上のように、この発明は、野菜を、糖
アルコールと、塩類および昆布ミネラルの少なくとも一
方を含む混合溶液に浸漬し、これを加圧して、0℃以下
で保蔵する。ついで、保蔵した野菜を取り出して、この
野菜と調味料とを混合することにより漬物を製造すると
いうものである。このため、上記混合溶液が不凍液の役
割を果たし、0℃以下で保蔵しても野菜が凍ることがな
い。したがって、従来のように、冷凍保存した野菜を室
温に戻した場合に、水が分離して流れ出すドリップ現象
や、多孔質状になるスポンジ現象を生起することがな
く、また褐変,黄変等の変色問題および微生物的問題を
抑制することができる。このために、長期間保存するこ
とが可能となり、呈味成分,栄養成分,香り風味を流失
させることなく、しかも従来の塩蔵保存のように多量の
塩分を用いる必要がなく後の脱塩処理を省略することが
でき、しかも減塩効果が期待できる。そして、このよう
な野菜を用いることにより風味豊かな漬物が得られる。
さらに、上記混合溶液の成分原料に昆布ミネラルを添加
すると、昆布の持つ天然の旨味を付与することができ、
野菜本来の呈味成分等を損なうことなく、一層の減塩効
果が期待できる。そして、野菜の保蔵等が一層効果的に
なる。このように、この発明によれば、野菜を1年以上
のような長期間でも初期の新鮮な風味等を残したまま保
蔵することができ、しかもその野菜を用いて野菜本来の
有する呈味成分等を損なわずに野菜本来の色調を有し、
風味豊かな漬物が得られる。さらに、天然の産物である
野菜の価格変動に左右されにくく、その季節に応じて安
価に野菜を購入しそれを保存して必要な時期に取り出し
漬物等の様々な用途に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23B 7/157 9281−4B A23B 7/156

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 野菜を、糖アルコールと、塩類および昆
    布ミネラルの少なくとも一方とを含む混合溶液に浸漬
    し、これを加圧したのち、0℃以下で保蔵し、ついで野
    菜を取り出して上記野菜と調味料とを混合することを特
    徴とする漬物の製法。
  2. 【請求項2】 昆布ミネラルが、全量100重量部当た
    り、下記の(a)〜(j)に示す成分を含有する請求項
    2記載の漬物の製法。 (a)カリウムが10〜60重量部。 (b)ナトリウムが4〜20重量部。 (c)カルシウムが0.2〜3.5重量部。 (d)マグネシウムが0.4〜2.5重量部。 (e)鉄が0.0005〜0.01重量部。 (f)ヨウ素が15重量部以下。 (g)マンニトールが50重量部以下。 (h)アスパラギン酸が0.5重量部以下。 (i)グルタミン酸が1.5重量部以下。 (j)アラニンが0.8重量部以下。
JP14944992A 1992-06-09 1992-06-09 漬物の製法 Pending JPH05336879A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014100084A (ja) * 2012-11-19 2014-06-05 House Food Analytical Laboratory Inc 容器入り根菜類の製造方法及び容器入り根菜類の変色防止方法
CN112826057A (zh) * 2019-11-25 2021-05-25 洪江市酱香和有限公司 风味什锦酱菜

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