JPH0526870B2

JPH0526870B2 -

Info

Publication number: JPH0526870B2
Application number: JP60190090A
Authority: JP
Inventors: Yasuhei Sakamoto; Sachiko Iwama; Shigeru Kobayashi; Toshiro Ichida
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1985-08-29
Filing date: 1985-08-29
Publication date: 1993-04-19
Also published as: JPS6250480A

Description

【発明の詳細な説明】

＜産業上の利用分野＞本発明は耐食性、塗装性、耐溶剤性、耐アルカ
リ性および耐指紋性に優れ、家電、建材製品など
に使用されるZnまたはZn系合金めつき鋼板に関
するものである。＜従来技術とその問題点＞家電や建材製品に使用されるZnまたはZn系合
金めつき鋼板は、無塗装または塗装されて使用さ
れるが、それまでに種々の工程を通り、しかもそ
の間にはかなりの長期間にわたつて無塗装の状態
でおかれる。そのため、その間に錆が発生した
り、めつき鋼板表面に種々の物質が吸着、付着し
たりして塗料の密着性が悪くなるなどの問題があ
る。従つて一般に、ZnまたはZn系合金めつき鋼板
が需要家で使用されるまでの一次防錆としてクロ
メート処理が施される。しかし、このクロメート
処理の耐食性は一般的に塩水噴霧試験で24〜48時
間程度であり、また、特殊クロメートとして、シ
リカゾルを添加した塗布型クロメートでも塩水噴
霧試験で100〜200時間の耐食性しか得られないも
のであり、長期にわたつて苛酷な腐食環境下で使
用される製品では不十分な耐食性である。このような苛酷な腐食環境下で使用される場合
には、クロメート処理の代りにリン酸塩処理を施
したのち、20μｍ程度の塗装を施し、腐食を防止
する方法があるが、このような厚塗り塗装を施し
た場合には、プレスなどの加工で塗膜の剥離や亀
裂を生じ、その部分で局部的な耐食性の低下を生
じる。また、塗装板では、スポツト溶接などの溶接が
不可能になり、溶接部はあらかじめ塗膜の除去が
必要になる。さらに、塗膜を厚くするほど塗料の
コストアツプになるなどの問題もあり、塗料を用
いることなく優れた耐食性を有するZn系めつき
鋼板の開発が望まれている。また、従来のZn系めつき鋼板を用いて需要家
で種々の工程を経て製品を製造する場合、作業者
のハンドリングなどによつてめつき鋼板の表面に
指紋等の汚れが付着し、商品価値を著しく低下さ
せるおそれがあり、ハンドリング時に指紋等の汚
れのつきにくいZn系めつき鋼板の開発が望まれ
ている。さらに、最終製品とする工程で必ず脱脂処理が
行なわれる。脱脂処理は、有機溶剤脱脂、アルカ
リ脱脂が一般に行なわれる。従つて、耐溶剤性、
耐アルカリ性の優れたZn系めつき鋼板の要求が
高い。このような目的に対し、従来技術として、 (イ) 特開昭57−185987、 (ロ) 特開昭58−100685、 (ハ) 特開昭58−153785、 (ニ) 特開昭58−177476、 (ホ) 特開昭59−189975、 (ヘ) 特開昭59−140050、 (ト) 特開昭60−50179等がある。 (イ)は、クロメート皮膜上にポリアクリル酸と
CrO₃の混合物を塗布するだけで、耐食性が塩水
噴霧試験で150時間程度で耐食性が不十分である。 (ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)はカルボキシル化ポリエチレ
ン
樹脂を使用する点で本発明に近いものであるが、
これらの処理は最終工程での乾燥が130℃以上の
板温までの加熱する必要があり、めつきラインで
のオンライン処理が不可能である。処理する場合
には、塗装ラインで行なう必要があり処理コスト
が高くなる欠点がある。 (ヘ)、(ト)は最終乾燥温度が100℃以下で可能な点、
耐食性も良好な点では、優れた方法であるが、両
者共に耐食性が悪く、有機溶剤脱脂工程で皮膜が
溶解または膨潤して耐食性の低下または板どうし
の接着を生じるために、製品製造工程の制約があ
る欠点を有している。＜発明の目的＞本発明の目的は、このような従来のZn系めつ
き鋼板の欠点を改良し、耐食性、塗装性、耐溶剤
性、耐アルカリ性、耐指紋性に優れ、さらに溶接
性をも兼備する改良されたZnまたはZn系合金め
つき鋼板を提供することにある。＜発明の構成＞従来技術は前記の通り、耐食性の優れているも
の、乾燥温度の低いもの等の性能を有するものが
あるが、低温乾燥を行なうものは耐食性、耐溶剤
性、耐アルカリ性、耐指紋性、溶接性等の性能を
有する技術の確立がない。本発明者等は上記の性能を総合的に有するよう
鋭意検討し、特に100℃以下の乾燥温度で性能が
得られる処理剤の開発を進めた。従来技術に見られるように、ZnまたはZn系合
金めつき鋼板にクロメート処理後、水性有機樹脂
系皮膜を形成させることで耐食性を向上させるこ
とができる。本発明者らは、これら従来技術を参
考に、低温乾燥化、および耐溶剤性、耐アルカリ
性に優れた樹脂系を鋭意研究した結果、カルボキ
シル化ポリオレフイン系樹脂に液体エポキシ樹脂
を混合することで低温乾燥が可能となり、かつ、
耐溶剤性、耐アルカリ性が優れた皮膜を形成する
ことを見い出した。さらに、カルボキシル化ポリ
オレフイン系樹脂−エポキシ樹脂混合系にコロイ
ダルシリカを添加することにより耐食性、耐指紋
性の向上を図ることができることを見い出し本発
明に至つた。すなわち、本発明は、ZnまたはZn系合金めつ
き鋼板の表面に、クロム付着量が５〜200mg／m²
であるクロメート皮膜を形成し、その上にカルボ
キシル基を３〜20モル％含有するカルボキシル化
ポリオレフイン系水溶性または水分散性樹脂の固
形分100重量部に対し、液前エポキシ樹脂５〜50
重量部およびコロイダルシリカを固形分で５〜60
重量部の範囲に含む組成の水性液を塗布し、板温
60℃以上になるように乾燥して皮膜を形成し、そ
の付着量が0.3〜３ｇ／m²となるよう処理するこ
とを特徴とする耐食性、塗装性、耐溶剤性、耐ア
ルカリ性および耐指紋性に優れたZn系合金めつ
き鋼板の製造方法を提供するものである。以下に本発明を更に詳細に説明する。本発明は、ZnまたはZn系合金めつき鋼板の耐
食性、塗装性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐指紋
性および溶接性を飛躍的に向上させる表面処理法
に関するものである。本発明で対象とする、ZnまたはZn系合金めつ
き鋼板とは、電気Znめつき鋼板、電気Zn−Ni合
金めつき鋼板、電気Zn−Fe合金めつき鋼板、電
気Zn−Co−Mo合金めつき鋼板、溶融Znめつき
鋼板、溶融５％Al−Znめつき鋼板等が挙げられ
るが、これらに限定されることはない。また、クロメート処理も通常の処理方法でよ
く、無水クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸等を
主剤とした水溶液中での浸漬クロメート処理、電
解クロメート処理およびこれらの溶液にコロイダ
ルシリカ等を混合した液を塗布する塗布型クロメ
ート処理等で、めつき層上にクロム水和酸化物を
主体とする皮膜を形成するものである。そのクロム付着量は５〜200mg／m²程度が適当
であり、５mg／m²未満では十分な耐食性が得られ
ない。また200mg／m²をこえるとクロム付着量の
割りに耐食性の向上効果が少なく処理液の老化が
激しくなり、表面外観も悪くなる。クロメート処理面に塗布する上塗り皮膜はカル
ボキシル基を３〜20モル％含有するカルボキシル
化ポリオレフイン系の水溶性または水分散性樹脂
の固形分100重量部に対し、液体エポキシ樹脂を
５〜50重量部およびコロイダルシリカを固形分で
５〜60重量部の範囲に含む組成の水性液を塗布
し、板温60℃以上になるように乾燥して皮膜を形
成させる。その付着量は0.3〜３ｇ／m²となるよ
うに処理する。カルボキシル化ポリオレフイン樹脂のカルボキ
シル化率が３モル％より低いと、ポリオレフイン
樹脂の乳化重合ができない上に、液体エポキシ樹
脂の乳化が不可能となり、かつ皮膜密着性が悪く
なる。20モル％をこえるカルボキシ基の導入は、
水溶性が高くなり、乾燥後の皮膜の水透過性が高
くなり耐食性が低下する。次に液体エポキシ樹脂を５〜50重量部添加混合
する理由を記す。５重量部未満では、板温100℃
以下の乾燥温度では皮膜が乾燥せず表面にベトツ
キが残る。また皮膜の架橋が不十分なために耐食
性、耐溶剤性が悪くなる。50重量部を超えるとや
はり皮膜の乾燥性が悪く、低温乾燥では耐食性、
耐溶剤性が悪く、乾燥温度を高くし、架橋を十分
に行なうと、皮膜硬度が高くなり、加工時に皮膜
に亀裂が生じ耐食性が著しく低下する。次に、コロイダルシリカを５〜60重量部の範囲
に添加混合する理由を記す。５重量部未満では、
耐指紋性が不十分であり、かつ耐食性も悪くな
る。60重量部を超えると溶接性が著しく悪くな
る。カルボキシル化ポリオレフイン樹脂としては、
水分散性または、水溶性のカルボキシル化ポリエ
チレン、カルボキシル化ポリプロピレン、カルボ
キシル化ポリブチレン等が挙げられる。液体エポキシ樹脂としては、商品名（シエル化
学(株)）でエピコート812、エピコート815、エピコ
ート819、エピコート827、エピコート828、エピ
コート832、エピコート834、エピコート871、エ
ピコート872等が使用でき、これらを同等品であ
れば使用できる。コロイダルシリカとしては、例えば日産化学(株)
製スノーテツクス−Ｏ、スノーテツクス−Ｎ、ス
ノーテツクス−20、スノーテツクス−30、等が使
用できる。皮膜付着量を0.3〜３ｇ／m²と規定した理由は、
0.3ｇ／m²未満では、Zn結晶の凹凸を埋めきれず、
耐食性、耐指紋性の向上効果が小さい。３ｇ／m²
をこえると耐食性の向上は大きいが、溶接性が悪
くなり、かつ経済的でない。＜実施例＞次に本発明を実施例および比較例をあげて具体
的に説明する。実施例１〜24 下記の供試材を用い、クロメート処理および樹
脂皮膜処理を下記のようにして行つた、 (1) 供試材（めつき板の種類）Ａ：電気Znめつき鋼板 Zn付着量20ｇ／m²板
厚0.8mm Ｂ：電気Zn−Niめつき鋼板めつき付着量20
ｇ／m² 板厚0.8mmNi含有量12％Ｃ：溶融Znめつき鋼板 Zn付着量60ｇ／m²板
厚0.8mm (2) クロメート処理前記供試材にCrCO₃20ｇ／、Na₂ Al F₆4
ｇ／からなるクロメート処理液をスプレー処
理した後フラツトゴムロールで絞り、熱風乾燥
した。クロム付着量はスプレー処理時間で５〜200
mg／m²の範囲で表−１に示すように塗布した。 (3) 樹脂皮膜処理表−１に示す処理液組成、塗布量（乾燥重
量）、乾燥温度で処理した。比較例１供試材Ａに塗布型クロメート処理液をCr付着
量で60mg／m²塗布、乾燥した。クロメート処理液組成はCrO₃20ｇ／、
SiO₂40ｇ／であつた。比較例２、３、４供試材Ａに実施例の(2)に記載したと同様のクロ
メート処理を行ない、特開昭60−50179号等に使
用されているアクリル複合シリケートとエポキシ
複合シリケート（各々有機樹脂：シリカゾル＝
60：40）とを70：30の割合で混合した有機複合シ
リケート処理液を600、1000、1500mg／m²（乾燥
重量）塗布し、120℃で乾燥した。比較例５、６、７供試材Ｂに比較例２、３、４と同様に処理し
た。比較例８供試材Ａに実施例の(2)に記載のクロメート処理
でCr付着量を40mg／m²とし、その上にカルボキ
シル基を12モル％含有するカルボキシル化ポリエ
チレン系樹脂デイスパージヨンの固形分100重量
部に対し、水溶性メラミン樹脂を固形分として、
15重量部及びコロダイルシリカを固形分として20
重量部含む水性液を塗布し、乾燥した。乾燥時の
板温を90℃とし、皮膜付着量は２ｇ／m²であつ
た。性能試験方法および評価方法は次の通りであ
る。 (1) 耐食性塩水噴霧試験（JIS Ｚ−2371）による白錆発
生時間で表わした。 (2) 塗装性アクリル系塗料（日本ペイント(株)製スパーラ
ツクF47）塗膜厚30μ、乾燥150℃×20分 ○イ塗膜密着性１mm角の升目を100個カツターナイフで鋼
板素地に達する切り込みを入れた後、エリク
セン試験機で７mm押出し、この凸部テープ剥
離し、塗膜の残り個数で評価した。 ○ロ塗装後の耐食性塗膜にカツターナイフで鋼板素地に達する
までのクロスカツトを入れて、塩水噴霧試験
を行ない、クロスカツト部の塗膜ふくれの程
度で評価した。試験時間は500Hrであつた。 ◎ 塗膜ふくれ巾 1.5mm以内〇塗膜ふくれ巾 1.6〜2.5mm △ 塗膜ふくれ巾 2.6〜3.5mm × 塗膜ふくれ巾 3.6mm以上 (3) 耐溶剤性アセトンをしみこませた脱脂綿でラビングテ
ストを行つた。〇変化なし × 溶解 (4) 耐アルカリ性３％NaOH溶液を60℃に加温し、この液中
に３分間浸漬後水洗乾燥し、処理前後の被膜量
から残存量を算出した。被膜量は、Ｘ線マイクロアナライザーでＣカ
ウントで測定した。 (5) 耐指紋性ゴム栓に人工汗液（NaCl、乳酸、尿素、ラ
ノリン含有液）を湿潤させ、めつき表面に強く
スタンプし、人工汗液のスタンプ跡の付着残存
程度を下記のランクに分けて評価した。 ◎ スタンプの跡が全く残らない〇スタンプの跡がごく軽度に残る △ スタンプの跡が軽度に残る × スタンプの跡がはつきり残る (6) 溶接性連続スポツト溶接条件溶接電流 9500A 加圧力 250Kg 電極 Cr−Cu CF型６mmφ 溶接時間８Hz 上記条件で連続打点数を測定した。連続打点数：１対の電極で正常なナゲツト形成
ができなくなり、鋼板と電極が溶着するまで
の溶接回数

【表】

【表】＜発明の効果＞本発明によるZnまたはZn系合金めつき鋼板は、
従来のZnまたはZn系合金めつき鋼板に比べて、
低温乾燥で耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性に優
れた処理皮膜が得られ、メツキラインの大巾な設
備改造をしなくても容易に製造できる。従来の有機皮膜では耐溶剤性、耐アルカリ性能
を得るいは最低100℃以上の乾燥温度（板温到達）
が必要であつたが、本発明では、60℃以上の乾燥
温度でよい。ライン製造上100℃から60℃への低
温化は乾燥設備、エネルギーコスト面で非常に大
きなメリツトとなる。同様の有機処理でも従来の処理に比べ耐食性、
耐溶剤性、耐アルカリ性が著しく向上し、ユーザ
ーでの使用分野が広くなつた。従来製品は脱脂が
出きないめに使用分野の限定および取扱いに注意
を要した。本発明は、取扱い時の指紋等による汚れは付き
にくく、かつプレス等で油を付着させても最終的
には脱脂処硫を行なうことができる。脱脂処理
も、有機溶剤、アルカリ脱脂等の処理を行える。しかも、スポツト溶接の連続打点数も従来の
Znめつき鋼板と同等以上の性能が得られる。以上記述した通り、本発明によれば従来品より
も製造が容易で、かつ格段に優れた耐食性、塗装
性、耐溶剤性、耐アルカリ性および耐指紋性を具
備するZnまたはZn系合金めつき鋼板を提供する
ことができる。

Claims

【特許請求の範囲】

１ ZnまたはZn系合金めつき鋼板の表面に、ク
ロム付着量が５〜200mg／m²であるクロメート皮
膜を形成し、その上にカルボキシル基を３〜20モ
ル％含有するカルボキシル化ポリオレフイン系水
溶性または水分散性樹脂の固形分100重量部に対
し、液体エポキシ樹脂５〜50重量部およびコロイ
ダルシリカを固形分で５〜60重量部の範囲に含む
組成の水性液を塗布し、板温60℃以上になるよう
に乾燥して皮膜を形成し、その付着量が0.3〜３
ｇ／m²となるよう処理することを特徴とする耐食
性、塗装性、耐溶剤性、耐アルカリ性および耐指
紋性に優れたZn系合金めつき鋼板の製造方法。