JPH05257249A - 写真感光材料の処理方法 - Google Patents

写真感光材料の処理方法

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JPH05257249A
JPH05257249A JP8831592A JP8831592A JPH05257249A JP H05257249 A JPH05257249 A JP H05257249A JP 8831592 A JP8831592 A JP 8831592A JP 8831592 A JP8831592 A JP 8831592A JP H05257249 A JPH05257249 A JP H05257249A
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JP
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tank
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JP8831592A
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Takashi Nakamura
敬 中村
Hirohisa Ogawa
裕久 小川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 廃液が少なくかつ感光材料を良好に処理でき
感光材料処理方法を提供。 【構成】 現像処理装置における処理液を収容した処理
室48内に一方の電極50を設置し、前記処理室48と
陰イオン交換膜44で区画した補助室46に他方の電極
52を設置してなる処理槽30に通電することにより前
記処理室48への補充液の量を低減させることができ
る。漂白液及び/又は定着液は実質的にアンモニアイオ
ンを含有せず、チオ硫酸ナトリウム又はチオ硫酸カリウ
ムを含有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、現像処理装置における
処理室内に少なくとも一方の電極を設置して処理液に通
電することにより前記処理液の処理能力を改善せしめ
て、前記処理室への補充液の供給量を低減させるように
した写真感光材料の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料、例えばハロゲン化銀カラ
ー写真感光材料の湿式処理は、例えば発色現像、漂白定
着、水洗、安定などの各処理工程からなっており、この
うち漂白定着は漂白、定着と分けられたり、これらと組
み合わされて行われ、また各工程の間に必要により水洗
工程などが挿入される。これらの発色現像、漂白定着な
どにはそれぞれ発色現像液、漂白定着液が使用される
が、前記感光材料を処理するに伴い、前記発色現像液中
の現像主薬が酸化されることにより消耗し、あるいは漂
白定着液中には脱銀作用により銀イオンが蓄積し、また
漂白剤が消費して減少するなどにより、それらの処理能
力が低下するので、それぞれ各処理液にその処理液の組
成に近い組成をもち必要な成分を含有する補充液を供給
して、それらの処理能力が低下しないように維持される
ことが行われている。
【0003】しかし、各液にその処理能力が低下しない
程度に補充液を供給すると、ほぼその供給量に近い量の
オーバーフロー液が排出され、この液が廃液となる。廃
液は通常海中深くに投棄され、地球環境の汚染をできる
だけ少なくしている。近年、地球環境を保護しようとす
る考えが高まり、写真処理廃液の海洋投棄が見直されつ
つある。海洋投棄の代わりに代えて写真処理廃液を焼却
する方法もあるが、炭酸ガスの発生により別な地球環境
汚染を招く結果となる。したがって、これらの方法に代
わる廃液の無害化技術と、廃液の少量化技術が要望され
ている。
【0004】無害化技術としては、生物処理による活性
汚泥法や湿式酸化法などがある。しかし、これらは処理
装置が大きいので廃液を回収して一括集中処理する必要
がある。また、少量化技術としては、低補充システム、
オンサイト液再生システム(自動現像機と処理液再生装
置が一体化されている装置)、オンサイト廃液処理シス
テム(自動現像機と廃液処理装置が一体化されている装
置)などが知られている。しかしこれらは大手の処理ラ
ボに対してのみ有効な技術である。一方、写真処理は技
術の進歩により大ラボレベル、中ラボレベル、小ラボレ
ベル、更にはミニラボレベル、マイクロラボレベルでも
処理され、写真処理の分散化が進み、特にミニラボ、マ
イクロラボレベルでは廃液の問題がクローズアップされ
てきた。すなわち、ミニラボレベルではオンサイトで廃
液処理できにくいこと、更には交通渋滞などで廃液回収
コストが急増し、廃液処理コストが高いこと、かつ実質
上廃液回収ができにくくなっていることなど、ミニラボ
レベルでの処理がしにくい状況になりつつある。
【0005】こういう状況の中で、ミニラボの自動現像
機本体内で処理液を再生し、廃液を少なくできる技術開
発が要望されている。このような要求に対応して、本発
明者らは、特開平3−209471号、同3−2732
37号、同3−293661号により写真処理液の電解
方法を提案した。これらの技術によれば、発色現像槽に
電極を設けて通電して電解還元するときには、酸化され
た発色現像主薬がある程度還元されて元の発色現像主薬
に戻り、また漂白定着槽に電極を設けて通電するときに
は、陰極に銀が析出して漂白定着液中の銀イオン濃度を
低減でき、陽極では還元された漂白剤が酸化されてもと
の漂白剤に戻り、発色現像液あるいは漂白定着液の処理
能力をかなり回復させることが出来る。
【0006】この方法では、例えば発色現像槽では隔膜
として陰イオン交換膜を用い、補助室に陽極を設置し電
解質溶液を入れ、発色現像液室に陰極を設置して通電す
るときには、感光材料の処理によって発色現像液に溶出
したハロゲンイオンが陽極に向かって移動し、陰イオン
交換膜を選択的に通って補助室に入るので、発色現像液
中の余分なハロゲンイオンを除去することが出来るし、
また発色現像液はその室に設置された陰極によって還元
作用を受け、酸化されている発色現像主薬がある程度還
元されることにより、発色現像液の性能を回復すること
が出来る。漂白定着液についても通電の仕方によって同
様な効果を得ることが出来る。この方法によれば各処理
槽への補充液の量を著しく減少させることが出来る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、補助室の電
解質溶液を別に作製して使用するとすれば、それに基づ
く新たな廃液が出ることになるので好ましくなく、これ
に対し水洗水のオーバーフロー液を電解質溶液として用
いれば廃液量が増加しないので好ましい。しかし、水洗
水のオーバーフロー液を電解質溶液として用いて処理液
の再生処理を行って感光材料を処理したところ、カブリ
が著しく高くなり、階調が低下して軟調になってしまっ
た。また、数ヶ月間の処理により、処理槽内壁の4隅に
かなりの析出が発生していた。
【0008】したがって、これらの技術はまだ基本的な
処理液再生技術でしかなく、写真処理性が低下すること
のない、より具体化した処理液再生技術の開発が望まれ
ている。本発明は、現像処理装置において、処理室に付
属した補助室にそれぞれ電極を設置して通電することに
より、処理液性能を回復させる感光材料の処理方法にお
いて、回復処理効率の促進、写真処理効率の促進を図る
処理方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る上記目的
は、下記(1)〜(6)により達成される。 (1) 処理液を収容した処理室内に一方の電極を設置
し、前記処理室と隔膜で区画した補助室に他方の電極を
設置し、該補助室に次段以降の処理槽のオーバーフロー
液を導入してなる処理槽の両電極に通電し、かつ補充液
を供給して処理液性能を回復させながら写真感光材料を
処理する方法において、前記補充液として実質的にアン
モニウムイオンを含有しない漂白液及び/又は定着液を
用いることを特徴とする感光材料の処理方法。
【0010】(2) 処理液を収容した処理室内に一方
の電極を設置し、前記処理室と隔膜で区画した補助室に
他方の電極を設置し、該補助室に次段以降の処理槽のオ
ーバーフロー液を導入してなる処理槽の両電極に通電
し、処理液性能を回復させながら写真感光材料を処理す
る方法において、前記通電処理している処理槽内の定着
液中の定着剤濃度が0.03〜0.3モルであること、
及び/又は漂白液中の有機酸第2鉄塩濃度が0.01〜
0.1モルでかつ再ハロゲン化剤としての臭素イオン濃
度が0〜0.2モルであることを特徴とする写真感光材
料の処理方法。
【0011】(3) 処理液に通電して性能を回復した
処理液を用いてハロゲン化銀写真感光材料を処理する方
法において、処理液への通電量をアンメーターにより測
定し、積算電流量に基づいて通電条件を制御することを
特徴とする写真感光材料の処理方法。
【0012】(4) 処理液に通電して処理液の性能を
回復させながら写真感光材料を処理する方法において、
前記処理液の酸化還元電位を検出し、検出した電位に基
づいて通電条件を制御することを特徴とする写真感光材
料の処理方法。
【0013】(5) 定着液を収容した処理室内に正負
一対の電極を設置し、前記処理室と隔膜で区画した補助
室に正電極を設置し、該補助室に電解質液を収容してな
る処理槽の両電極に通電して定着液性能を回復させなが
ら写真感光材料を処理する写真感光材料の処理方法。
【0014】(6) 請求項5における定着処理過程が
現像処理又は漂白処理に連続し、現像液又は漂白液にも
同時に通電することを特徴とする写真感光材料の処理方
法。
【0015】迅速処理の要望に対して、例えば定着液濃
度を濃くすれば、定着時間を速めることができるが、濃
度を濃くする場合、用いるチオ硫酸塩としては溶解度の
高いチオ硫酸アンモニウムが処方の設計上好ましかっ
た。また低補充化のためには、定着成分を多くする必要
があり、この場合アンモニウム塩しか使えない。ところ
が、廃液を投棄した際の環境への影響を考えると、アン
モニウム塩はできる限り使用しないのが好ましい。この
ような要望に対し本発明者は、通電処理することにより
チオ硫酸塩が再生されるためにタンク液や補充液中のチ
オ硫酸塩が少なくても済むことを見出した。また、通電
処理により銀が析出しているので定着も速く、ナトリウ
ム塩でも十分であることを見出した。したがって、排水
規制のあるアンモニウム塩を使わなくても迅速かつ良好
に定着処理をできるようになる。
【0016】本発明において、実質的にアンモニウムイ
オンを含有しないとは、漂白液及び/又は定着液中のア
ンモニウムイオン含有量が、好ましくは0.1モル/リ
ットル以下、より好ましくは0.01モル/リットル以
下、特に好ましくはゼロであることを意味する。漂白液
及び/又は定着液の補充液には、アンモニウムイオンを
まったく含有させないことができる。これに対し、処理
槽内の母液には感光材料による現像液の持込みによりわ
ずかにアンモニウムイオンが含まれてしまうが、母液に
おいては現像液の持込みを考慮してもアンモニアイオン
を実質的に含有しないことが好ましい。また本発明にお
いて、漂白液中に実質的に臭素イオン及び硝酸イオンも
含有しないことが好ましく、漂白液中のアンモニウムイ
オン含有量が、好ましくは0.1モル/リットル以下、
より好ましくは0.01モル/リットル以下、特に好ま
しくはゼロである。
【0017】通電処理における電源としては、高価な定
電流装置を用いなくても、安価な半導体整流器を用いた
電源でも安定して通電処理でき、更に、安価な電池又は
2次電池を用いることができる。このような電源を用い
ると、ヒーター電源のON/OFFがあった場合に電圧
が変動することがあるが、本発明のように積算電流量に
基づいて通電条件を制御することにより、定電流装置を
用いたと同様に安定に処理液を再生することができる。
上記通電条件とは、時間、電流値等であり、好ましくは
時間を制御する。
【0018】本発明を詳細に説明すると、まず、通電を
行う処理槽としては、前述したように発色現像、漂白定
着または漂白、定着などの各処理を行うものが適してい
るが、通電を行うのはその一つの処理についてのみでも
よく、また二つ以上の処理について行ってもよい。発色
現像液について通電処理を行うと、処理の休止中などに
空気酸化を受けた発色現像主薬や保恒剤が電極(陰極)
面で還元される反応が起こり、現像力が回復する。これ
により、十分な画像濃度が得られ、感度の低下及び階調
の軟調化を防止できる。
【0019】漂白液について通電処理を行うと、感光材
料の処理によって還元状態にあった漂白剤が再び酸化さ
れる反応が起こり、漂白力が回復する。これにより、復
色不良や脱銀不良を防止できる。定着液について通電処
理を行うと、空気酸化を受けた定着剤や保恒剤が電極
(陰極)面で還元される反応が起こり、硫化物の生成が
防止され、かつ定着の安定性が増す。更に、陰極では液
中の銀が析出するので定着剤が再生される。これによ
り、脱銀不良が防止される。また、場合によっては使用
定着剤が少なくても済む。
【0020】また、隔膜としては陰イオン交換膜を用い
るのが好ましい。現像液と電解質溶液との間に陰イオン
交換膜を設けることにより、現像処理によって発色現像
液中に蓄積したBr- 等のハロゲン化物イオンが陰イオ
ン交換膜を選択的に通過するので、発色現像液では不要
なハロゲン化物イオンの蓄積が防止され、現像阻害の発
生が防止される。これにより、不要なハロゲン化物イオ
ンをオーバーフロー等により除去しなくてもよく、廃液
量及び補充量を減少させることができる。また、定着液
と電解質溶液との間に陰イオン交換膜を設けることによ
り、定着処理によって定着液中に蓄積したBr- 等のハ
ロゲン化物イオンが陰イオン交換膜を選択的に通過する
ので、定着液では不要なハロゲン化物イオンの蓄積が防
止され、定着阻害の発生が防止される。一方、定着液か
らは銀が析出し、系からなくなることにより定着剤が再
生される。
【0021】本発明による通電処理とは、実質上、処理
槽の一部が陰イオン交換膜で仕切られ、かつ片方に処理
液、他方に電解質溶液を有する処理槽において、処理液
に対して陰極又は陽極を設け、電解質溶液に対してその
対極を設け、感光材料の処理に応じて通電し、陰イオン
交換膜を通して不要物又は必要物を所望の側に移動さ
せ、かつ電極面反応により液成分の酸化又は還元を行う
処理方法である。電極反応やイオン化合物の陰イオン交
換膜を通して移動するイオンの数は、ファラデーの法則
に従って電極面に流れる電流量に比例する。この電流を
起こすためには電圧をかけるが、電圧は適正でなければ
ならず、通常は0.1〜10V、好ましくは0.3〜5
Vである。この値より低い電圧だと電流が流れず、高け
れば不必要な電極反応が発生し、目的物に対する反応効
率(電流効率)が低下する。
【0022】したがって、定電流電源を用いれば、通電
処理は時間制御のみで適正に制御できる。しかし、停電
時や電源を一時的に切断する場合には、設定通りに通電
されないことになるのでこの方法は不適である。また、
このような定電流電源は高価であるので、できるだけ廉
価な電源を採用するほうが好ましい。電源として電池又
は2次電池を用いるときは、電圧低下による電流低下が
起こり電流管理が難しい。この場合には、感光材料の所
定処理量に対して電流値×時間が一定になるように通電
する必要がある。電流値×時間を測定するには、積算電
流計(積算アンメーター)を用いて電流値の積算量を測
定すればよい。積算アンメーターとしては、定電流電源
使用のときには、市販の各種電流計を用いることがで
き、電流計を流れた時間のみを積算すればよい。定電流
電源でないときは、市販のクーロンメーター又は積算電
流計を用いることができる。例えば、松下電工製TH7
0、TH40、ATH2140等のアワーメーターを用
いたり、鶴賀電機製電流計3108の出力を記録積分し
て使うことができる。
【0023】例えば撮影用フィルム1本の処理に対して
所定クーロンの電気量を処理液に与えるように通電する
ことにより、処理液を適正に再生することができる。通
電処理の対象となる処理槽が多い自動現像装置では、通
電処理を同時に行わず時間をずらして行えば電源のコス
トが安く行える。また、陰イオン交換膜を連続使用する
と、目詰まり等により膜抵抗が上昇することがある。こ
の場合、一定電流値を流そうとすると印加電圧が上昇し
て好ましくない場合がある。このようなことを防止する
ために、膜抵抗を一定以下にしておく必要がある。逆
に、この場合、一定電圧を印加すると電流値が順次低下
する。この時にも、感光材料の所定処理量に対する電流
×時間が一定になるようにコントロールすると、通電処
理が可能となる。
【0024】以上のように通電処理は、ファラデーの法
則に従い電流量でコントロールすればよいが、場合によ
っては、被処理液のバルク電位の変化を検出し、このデ
ータと電流量を合体して通電量を決定してもよい。この
ときの制御手段では、ファジー判断をしてもよい。水洗
槽からの水洗廃水を電解室へ送る手段を採用する場合、
例えば水洗が4段階でカスケード水洗されるときには水
洗の第1段階のオーバーフロー液を電解室へ送り込むの
が好ましい。
【0025】また、前記補助室へ送るオーバーフロー液
を出す次段以降の処理槽としては、他に安定槽を選択し
てもよい。この場合についても、安定槽への供給量をあ
まり少なくすると安定化効果を充分達成することができ
ないので、少なくなりすぎないようにしなければならな
い。そして、これらの水洗槽や安定槽としては現像処理
工程における最終的な段階のものだけでなく、発色現像
槽の後や漂白定着槽の後にあるものであってもよい。こ
の次段以降の処理槽としては、次浴の処理槽であること
が好ましい。ただし、漂白定着槽の廃液を発色現像槽の
補助室に送ることはこの液が酸化剤を高濃度で含有して
いるから好ましくない。しかし、陰イオン交換膜を二重
にするとか、補助室の液面を下げるとかすると、これら
の心配を解消できる。
【0026】本発明における酸化還元電位はミクロ的な
電位ではなく、結果としての総合的なバルク電位であ
る。前記処理液の酸化還元電位を測定することは、既に
特開昭60−195544号、同60−195545号
公報に記載された酸化還元電位測定器を用いることがで
きる。しかもこの電位は該公報に記載された制御法で検
出制御すればよい。
【0027】例えば、漂白定着液の場合、酸化還元電位
が所定範囲内にあるように通電を制御し、酸化還元電位
が設定された上限値を上回ったら通電を中断して処理液
の酸化を中断する。通電中断中に感光材料を処理するに
従い処理液の酸化還元電位は下降して行くが、酸化還元
電位が下限値を下回ったら通電を開始して処理液を酸化
して電位を上げる。
【0028】本発明において、通電を行うために補助室
を区画するのに用いる隔膜としては、陽イオン交換膜、
陰イオン交換膜、その他の透過性膜が挙げられ、これら
の中陰イオン交換膜が好ましく用いられるが、その陰イ
オン交換膜は陰イオンを選択的に透過するものであれ
ば、いずれのものを用いてもよく、市販のものをそのま
ま用いることができる。このような陰イオン交換膜とし
ては、SelemionAWV/AMR(旭硝子製)、
Aciplex A201、A172(旭化成製)、N
eosepta AM−1〜3(徳山曹達製)、Ion
ac MA−3148(Ionac Chemical
s製)、Nepton AR103PZL(Ionic
s製)なども用いることもできるが、特に発色現像槽に
補助室を設けて通電を行う場合には、Br- 等のハロゲ
ン化物イオンの透過をさせるため、一価の陰イオンを選
択的に透過させるSelemion ASV/ASR
(旭硝子製)、Neosepta AFN−7、Neo
septa ACS(徳山曹達製)などの商品名で市販
されているものを用いることが好ましい。
【0029】なお、本発明においては、上記の陰イオン
交換膜は、陰イオンを選択的に透過させる膜を総称する
ものとし、このような意味において、孔径0.2〜20
μmの多孔性セラミックスの膜状体も包含するものとす
る。通電のために用いる電極として、その一方である陰
極は、長時間の使用に耐えうる電気伝導体または半導体
であればいずれでもよく、例えば、ステンレス鋼、アル
ミニウム、銀、ニッケル、銅、亜鉛、真鍮、チタン等の
金属材料が挙げられ、特にステンレス鋼が好ましい。ま
た、陽極としては、不溶性の材質でかつ電気伝導体であ
ればよく、具体的には炭素(黒鉛)、二酸化鉛、白金、
金、チタン鋼が挙げられ、場合によってはステンレス鋼
を用いてもよい。両電極の形状は、槽内に設置し易い板
状か網目入りの板状または突起付きの板状が好ましい。
大きさは、槽容量により適宜選択すればよい。
【0030】前記電解室に設ける電極は、処理室側に陽
極を設けるようにするか、又は陰極を設けるようにする
かによって、その逆の電極を設けるようにする。前述し
たように、発色現像槽の場合には発色現像液中のハロゲ
ンイオンを電解室側に移動させるためにも、電解室に陽
極を設ける。また、定着槽でも同様に処理液側に陰極
を、補助室側に陽極を設ける。これとは逆に、漂白槽で
は処理液側に陽極を、補助室側に陰極を設ける。具体的
には例えば、特開平3−209471号公報、同3−2
73237号公報、同3−293661号公報に記載の
方法で電極を設けることができる。
【0031】発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理さ
れる。漂白剤としては、例えば鉄(III) 、コバルト(II
I) 、クロム(VI)、銅(II)などの多価金属の化合物、過
酸類、キノン類、ニトロ化合物等が用いられる。代表的
漂白剤としてはフェリシアン化物;重クロム酸塩;鉄(I
II) もしくはコバルト(III) の有機錯塩、例えばエチレ
ンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シク
ロヘキサンジアミン四酢酸、メチルイミノ二酢酸、1,
3−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジア
ミン四酢酸、などのアミノポリカルボン酸類もしくはク
エン酸、酒石酸、リンゴ酸などの錯塩;過硫酸塩;臭素
酸塩;過マンガン酸塩;ニトロベンゼン類などを用いる
ことができる。これらのうちエチレンジアミン四酢酸鉄
(III) 錯塩を始めとするアミノポリカルボン酸鉄(III)
錯塩及び過硫酸塩は迅速処理と環境汚染防止の観点から
好ましい。更にアミノポリカルボン酸鉄(III) 錯塩は漂
白液においても、漂白定着液においても特に有用であ
る。
【0032】漂白液及びこの前浴には、必要に応じて漂
白促進剤を使用することができる。有用な漂白促進剤の
具体例は、特に米国特許第3,893,858号、西独
特許第1,290,812号、特開昭53−95,63
0号に記載の化合物が好ましい。漂白後に用いられる定
着剤としては、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエー
テル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物塩等を挙げる
ことができるが、チオ硫酸塩の使用が一般的であり、特
にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用できる。定着
液の保恒剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルフィ
ン酸類、あるいはカルボニル重亜硫酸付加物が好まし
い。
【0033】本発明に用いられるハロゲン化銀カラー写
真感光材料は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を
経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、感光
材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)、用
途、更には水洗水温、水洗タンクの数(段数)、向流、
順流等の補充方式、その他種々の条件によって広範囲に
設定し得る。本発明に用いられる感光材料としては、カ
ラー感光材料の他、黒白感光材料がある。例えば、カラ
ーペーパー、カラー反転ペーパー、撮影用カラーネガフ
ィルム、カラー反転フィルム、映画用ネガもしくはポジ
フィルム、直接ポジカラー感光材料などの他に、Xレイ
フィルム、印刷用感光材料、マイクロフィルム、撮影用
黒白フィルムなどを挙げることができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。 実施例1 現像処理装置として図1に示す構成のものを用いた。図
1は、現像処理装置の模式図を示したものであって、黒
白現像槽2、定着槽4、水洗槽6、8の順に並んでお
り、黒白現像槽2及び定着槽4は陰イオン交換膜10に
よって区画された共通の補助室12が設けられ、現像槽
2及び定着室4のそれぞれの処理室14、15に陰極1
6、17が、また補助室12に陽極20が設けられ、各
電極16、17、20はそれぞれ電源22、24に接続
されて通電されるようになっている。また、水洗槽6か
らのオーバーフロー液がオーバーフロー管18により補
助室12へ導入できるようになっている。なお、定着槽
4には後述する実施例9で用いる電位コントローラーが
設けられている。電位コントローラーは電位計220と
制御装置222とからなり、電位計220により測定し
た電位は制御装置222に供給され、制御装置222は
電源24の電圧をコントロールできるようになってい
る。感光材料は特開平3−273237号公報の実施例
8の感光材料(Xレイ感光材料)を用いた。
【0035】(処理1A)比較例 特開平3−273237号公報の実施例8の処理液(た
だし、チオ硫酸アンモニウム70wt/モル%7.6k
g)及び処理工程に従い、5ヶ月ランニング処理を行っ
た。電解質溶液として5%Na2 CO3 液を用い、感光
材料四つ切りサイズ1枚当たりの処理で20ml補充。
【0036】(処理1B)比較例 処理1Aで陽極20が浸漬される電解質液として水洗
(W1)のオーバーフロー液を用いて5ケ月ランニング
処理した。
【0037】(処理1C)本発明 特開平3−273237実施例8の定着液組成(ただ
し、チオ硫酸アンモニウム70wt/vol%7.6k
g)を無水チオ硫酸ナトリウム149.5gに変更して
処理と同様5ケ月ランニング処理した。上記各処理の結
果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、電解質液に水洗
(W1)のオーバーフローを用いると(処理1B)、特
にカブリが著しく高くなりかつ階調も軟かくなる。とこ
ろが定着液中のチオ硫酸アンモニウムをチオ硫酸ナトリ
ウムに代えるだけで(処理1C)、カブリの上昇、階調
の低下が防止できた。また、処理1Cでは処理1Aのよ
うに電解質液を特に作る(5%Na2 CO3液を四つ切
り1枚当り20ml補充)必要もなく、また廃液量を四
つ切り1枚当たり20ml減少できる。したがって、総
廃液量(補充量は四つ切り1枚当たり現像液45ml、
定着液30ml、水洗水45ml、電解質液20mlな
ので計140ml)については約15%の減少となっ
た。
【0040】実施例2 感光材料は特開平3−273237号公報の実施例8の
感光材料(カラーネガフィルム)を用いた。 (処理2A)比較例 現像処理装置として図2に示す構成のものを用いた。図
2は、現像処理装置の模式図を示したものであって、発
色現像槽30、漂白槽32、水洗槽34、定着槽36、
水洗槽38、40、安定化槽42の順に並んでおり、発
色現像槽30及び漂白槽32は陰イオン交換膜44によ
って区画された共通の補助室46が設けられ、処理室4
8に陰極50が、また補助室46に陽極52が設けら
れ、両電極50、52は電源54に接続されて通電され
るようになっている。また、水洗槽38からのオーバー
フロー液がオーバーフロー管56により補助室46へ導
入できるようになっている。処理は特開平3−2732
37号公報の実施例1の処理液及び処理工程に従った。
負極はSUS316、正極はカーボン電極を用い、2
V,1A(0.5A/dm2 )でカラーネガフィルム
(135×24EXP)1本当たり16秒間通電して、
1日に40本の割合で処理しつつ3週間ランニングを行
った。
【0041】(処理2B)比較例 現像処理装置として図3に示す構成のものを用いた。図
3は、現像処理装置の模式図を示したものであって、発
色現像槽60、漂白槽62、水洗槽64、定着槽66、
水洗槽68、70、安定化槽72の順に並んでいる。発
色現像槽60は陰イオン交換膜74によって区画された
補助室76が設けられており、処理室78に陰極80
が、また補助室76に陽極82が設けられ、両電極8
0、82は電源84に接続されて通電されるようになっ
ている。また、漂白槽62及び定着槽66は陰イオン交
換膜86、87により区画された共通の補助室88が設
けられている。補助室88には陰極94が設けられ、漂
白槽62の処理室90には陽極96が設けられている。
両電極94、96は電源98に接続されて通電されるよ
うになっている。また、定着槽66と水洗槽68との境
の一部は陰イオン交換膜99で仕切られており、定着槽
66には陰極100が、水洗槽68には陽極102が設
けられている。両電極100、102は電源104に接
続されて通電されるようになっている。
【0042】図3に示す構成の装置を用い、以下の条件
で通電して1日当たり40本の割合で処理しつつ3週間
ランニングした。 通電条件 カラーネガフィルム(135×24EXP)1本当たり
の処理に対して、各槽において下記の時間通電した。 現像槽部分 16秒 漂白槽部分 16秒 定着槽、水洗槽部分 35秒
【0043】(処理2C)本発明 処理2Aにおいて、漂白液中の下記成分、、、
を下記の様に変更して処理2Aと同様にランニングし
た。 処理2Aの成分 処理2Cでの変更内容 エチレンジアミン四酢酸 エチレンジアミン四酢酸 第二鉄アンモニウム・二水塩 第2鉄ナトリウム・三水塩 120g/リットル 127g/リットル(0.3M) 臭化アンモニウム 臭化アンモニウム 100g/リットル 0g/リットル 硝酸アンモニウム 硝酸アンモニウム 10g/リットル 0g/リットル アンモニア水(27%) NaOHを加えてpH6.3とする。 15ml/リットル (処理2D)本発明 処理2Cにおいて、臭化アンモニウムを15g/リット
ル(0.15モル/リットル相当)にして処理2Cと同
様にランニングした。
【0044】(処理2E)本発明 処理2Bにおいて、漂白液中の成分を処理2Cと同じに
し、かつ定着液中の下記成分、を下記の様に変更し
て処理2Bと同様にランニングした。 処理2Bの成分 処理2Dでの変更内容 チオ硫酸アンモニウム水溶液 チオ硫酸ナトリウム無水塩 (70wt/vol%) 209g/リットル(1.3M) 280ml/リットル アンモニア水(27%) NaOHを加えてpH6.7にする。 6ml/リットル 処理2A、2B、2C、2D、2Eの結果を表2に示
す。表2に各処理における青感発色層(BL)、緑感発
色層(GL)でのカブリの状態を示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2から明らかなように、電解質液に水洗
槽のオーバーフローを用いると(処理2A、2B)著し
いカブリ増加を起こしたが、漂白液中及び定着液中の成
分を前記のように変更し、アンモニアの代わりにチオ硫
酸ナトリウムを用い、臭素イオンを含有しないことによ
り(処理2C、2E)カブリ発生を防止できた。また、
臭素イオンをわずかに含んでいても(処理2D)カブリ
発生を防止できた。
【0047】実施例3 実施例2における、図3に示す構成の現像処理装置を用
いて以下の処理を行った。 (処理3A)比較例 実施例2の処理2Dで4ケ月ランニングした。4ケ月目
で処理上蓋を開け内部を調べたところ漂白槽内の搬送ラ
ックや処理槽4隅の部分にかなりの析出が発生してい
た。
【0048】(処理3B)本発明 処理3Aにおいて、漂白液、定着液中の下記成分を下記
のように減らした。 漂白液 エチレンジアミン四酢酸 第2鉄ナトリウム・二水塩 30g/リットル
(0.07M) 定着液 チオ硫酸ナトリウム・無水塩 40g/リットル
(0.25M)
【0049】(処理3C)本発明 処理3Bの成分、を更に下記のように減らした。 漂白液 エチレンジアミン四酢酸 第2鉄ナトリウム・二水塩 10g/リットル
(0.02M) 定着液 チオ硫酸ナトリウム・無水塩 10g/リットル
(0.06M)
【0050】(処理3D)比較例 処理3Cの成分、を更に下記のように減らした。 漂白液 エチレンジアミン四酢酸 第2鉄ナトリウム・二水塩 3g/リットル
(0.007M) 定着液 チオ硫酸ナトリウム・無水塩 3g/リットル
(0.02M) 処理3A、3B、3C、3Dの結果を表3に示す。
【0051】
【表3】 *蛍光X線による銀分析で6μg/cm2以上を×とす
る。
【0052】実施例2の処理2Aではそれ程析出は発生
しなかったが、処理2Dで長期間ランニングすると(処
理3A)明らかに析出性が悪化した。しかし前記漂白成
分及び定着成分を減らすと(処理3B、3C)、脱銀不
良を発生することなく、析出発生を防止することがわか
った。ただし、漂白成分及び定着成分を減らし過ぎると
(処理3D)脱銀性が低下した。上記の結果から、漂白
成分(キレート鉄成分)は0.01〜0.1M、定着成
分(チオ硫酸イオン)は0.03〜0.3Mが実用的で
あることがわかった。
【0053】実施例4 処理装置として図4に示す構成の現像処理装置を用い
た。図4は、現像処理装置の模式図を示したものであっ
て、発色現像槽110、漂白定着槽112、水洗槽11
4、116、118の順に並んでおり、発色現像槽11
0と漂白定着槽112との境の一部は陰イオン交換膜1
20によって仕切られている。発色現像槽110には陰
極122が、漂白定着槽112には陽極124が設けら
れている。両電極122、124は電源125に接続さ
れて通電されるようになっている。
【0054】また、漂白定着槽112は外部に設けた処
理液再生槽126と接続されており、再生槽126は陰
イオン交換膜128により仕切られている。そして、漂
白定着槽112からオーバーフローにより液が供給され
る側の再生室129には陰極130が設けられ、漂白定
着槽112に液を供給する側の再生室132には陽極1
34が設けられている。しかも陰極130側の液が陽極
134へオーバーフローするような構造になっている。
この具体的な構成は、陰極130側の液面は陽極134
側の液面より高くなっており、陰イオン交換膜128の
仕切りの一部がくびれている。両電極130、134は
電源136に接続され通電されるようになっている。通
電により機能を回復した陽極側の処理液はポンプ138
により漂白定着槽112に戻されるようになっている。
【0055】すなわち、陰極130側では使用済み漂白
定着液から銀イオンを陰極面で還元析出させてチオ硫酸
根を再生させる。しかしこの液は還元的雰囲気にあるた
め、酸化剤のEDTA・Fe塩が2価体になっており、
漂白特性が失われている。そこで、この液を陽極134
側へオーバーフローさせ、陽極134でEDTA・Fe
塩を酸化し3価体として再生させる。このチオ硫酸根を
再生し、かつEDTA・Fe塩を再生した漂白定着液を
ポンプ138で漂白定着槽112へ戻すようになってい
る。なお、発色現像槽110、漂白定着槽112の開口
面積(液が空気と接する面積)は200cm2 であり、
各槽の液量は4リットルである。感光材料として特開昭
63−70857号公報の実施例4の試料P4(カラー
ペーパー)を使用した。処理は特開昭63−70857
号公報の実施例3の処理液及び処理工程に従った。
【0056】(処理4A)比較例 感光材料を1日当たり0.2m2 の割合で処理し2ケ月
間ランニングした。但し、現像補充液、漂白定着補充液
の補充量をそれぞれ6ml、2mlとした。 通電条件 発色現像槽110と漂白定着槽112との間は、感光材
料0.1m2 の処理当たり2V,1A(0.5A/dm
2 )で30秒間通電した。漂白定着槽112と再生槽1
26との間は、感光材料1m2 の処理当たり2V,1A
(0.5A/dm2 )で90秒間通電した。2ケ月後に
再生槽126に析出が発生した。漂白定着槽112にも
わずかに析出物が発生した。脱銀性は問題なかった。
【0057】(処理4B)本発明 処理4Aにおいて、漂白定着液中のEDTA・Fe(II)
・NH4 ・2H2 OをEDTA・Fe(II)・Na・2H
2 Oに代え、しかも下記のようにEDTA・Fe(II)・
Na・2H2 Oの添加量を3種に変えて処理した。 (処理4B1) 添加量30g(0.074M) (処理4B2) 添加量10g(0.025M) (処理4B3) 添加量 3g(0.007M) また、漂白定着液中のチオ硫酸アンモニウム(70%)
を無水チオ硫酸ナトリウムに代え、しかも下記のように
無水チオ硫酸ナトリウムの添加量を3種に変えて処理し
た。 (処理4B1) 添加量40g(0.25M) (処理4B2) 添加量13g(0.08M) (処理4B3) 添加量 4g(0.025M) これらの処理を処理4Aと同様に2ケ月間ランニングし
た。結果を表4に示す。
【0058】
【表4】 *蛍光X線分析による残銀性評価 ○:Ag≦3μg/cm2 △:3<Ag≦6μg/cm2 ×:Ag>6μg/cm2
【0059】表4から明らかなように、漂白定着液中に
アンモニアを含有した処理(4A)では脱銀性は良かっ
たが、析出が見られた。これに対し、漂白定着液中にア
ンモニアを含まず、かつEDTA・Fe(II)イオン濃度
が低い処理(4B1、4B2)では、析出もなく脱銀性
も良かった。また、EDTA・Fe(II)イオン濃度が低
すぎると析出はないが脱銀性も低下してしまった。これ
らの結果から、漂白定着液中のキレート鉄イオン濃度が
0.01〜0.1モルであり、かつチオ硫酸イオン濃度
が0.03〜0.3モルであれば、析出がなくしかも脱
銀性も低下しないことがわかった。
【0060】実施例5 実施例1において、通電装置の定電流装置の代わりに
0.8Vの電池にて通電した。四つ切り感光材料1枚当
たりの処理量に対して所定の通電時間(58秒)を与え
るように制御して処理したところ、2週間ランニングで
感度が40%低下し、階調も23%低下した。これに対
し積算電流計を設置し、四つ切り感光材料1枚当たりの
処理量に対して、電流積算量(電流値×通電時間)を一
定(11.6クーロン)にして管理したところ感度、階
調の低下を抑えることができた。
【0061】実施例6 実施例2において、処理2Dの通電装置の定電流装置の
代りに2Vの電池にて通電したところ、2週間のランニ
ングで感度低下が約30%低下したが、積算電量計を取
り付けて以下のように電流値×通電時間が一定になるよ
うに管理したところ感度低下はみられなくなった。 通電条件 カラーネガフィルム(135×24EXP)1本当たり
の処理に対して、各槽に通電した電流量が一定になるよ
うに通電した。 現像槽部分 1A×16秒=16クーロン 漂白槽部分 1A×16秒=16クーロン 定着槽、水洗槽部分 1A×35秒=35クーロン
【0062】実施例7 (処理7A)本発明 実施例4B3において、漂白定着槽に東亜電波(株)製
pHメーターModel HM−20Eガラス電極式p
Hメーター兼電位計(白金電極使用)を用いて酸化還元
電位も計測しながら、通電ランニング処理を行った。p
H=5.4〜5.9の時に酸化還元電位が0mV±20
mVを越えた時には通電を切断した。また電位が−50
mV±20mVを下回った時は再度通電を開始した。実
施例4の処理4B3では脱銀不良が発生したが、酸化還
元電位を所定の範囲に保持しながら通電することによ
り、完全に脱銀できるようになった。しかもイオウの析
出などの発生がなかった。
【0063】このように定着成分、酸化剤成分が少ない
ときは廃液成分は薄くて好ましいが、そのままでは処理
トラブル(イオウ析出、脱銀不良)が発生し使用できな
い。しかし、上記のように電位コントロールするとこれ
らのトラブルを解消できた。 (処理7B)比較例 処理7Aにおいて、電位コントロールせずに通電処理し
たところランニング中に2回脱銀不良が発生したし、4
回はイオウの析出を起こした。 (処理7C)本発明 実施例4の処理4B3において、特開昭60−1955
45号のように電位とpHをコントロールしながら、エ
アレーションの代わりに通電処理を行っても、処理7A
と同様に良好な結果が得られた。
【0064】実施例8 処理装置として図5に示す構成の現像処理装置を用い
た。図5は、現像処理装置の模式図を示したものであっ
て、黒白現像槽140、水洗槽142、発色現像槽14
4、水洗槽146、漂白定着槽148、水洗槽150、
定着槽152の順に並んでおり、感光材料は発色現像槽
144で処理される直前に反転露光される。漂白定着槽
148は外部に設けた処理液再生槽154と接続されて
おり、再生槽154は陰イオン交換膜156により仕切
られている。そして、漂白定着槽148からオーバーフ
ローにより液が供給される側の再生室158には陰極1
60が設けられ、漂白定着槽148に液を供給する側の
再生室162には陽極164が設けられている。なお、
陰極160側の漂白定着液は、陽極164側の漂白定着
液にオーバーフローするようになっている。両電極16
0、164は電源166に接続され通電されるようにな
っている。通電により機能を回復した陽極側の処理液は
ポンプ168により漂白定着槽148に戻されるように
なっている。
【0065】感光材料として特開平1−106050号
公報の実施例3の試料302(カラーリバーサルフィル
ム)を用いた。処理は特開平1−106050号公報の
実施例3の処理液及び処理工程P2に従った。実施例7
と同様に、電位コントロールをしてランニングすると析
出や脱銀不良のトラブルは生じないが、電位コントロー
ルをしない時はランニング2ケ月の間に脱銀不良トラブ
ルが4回、析出トラブルが3回発生した。
【0066】実施例9 実施例1Aの処理において、定着槽の通電部分に電位コ
ントローラー(電位の時間変化に対する微分値が変化し
たとき通電を遮断する)を設置して通電を行った。具体
的には、電位を微分演算して電位の減少又は増加を検出
し、電位が漸減又は漸増であれば通電を続行し、電位が
急減又は急増であれば通電を停止する。これは、通電時
に電位が漸増であれば処理液中で起こっている反応はあ
る一成分の変化と考えられるが、それが急増であれば他
の成分も変化していると考えられるからである。したが
って、目的とする反応(漸増反応)が続く限り通電を続
け、別反応(急増反応)が起きたら通電を停止する。例
えば定着槽中の銀を通電して陰極に析出させる場合、除
銀の間の酸化還元電位の時間に対する微分は一定値であ
るが、銀が少なくなり陰極でチオ硫酸塩の還元反応が併
発しだすと電位が急変する。この電位の急変時に電源を
遮断すると、余分の反応を防止でき、したがってチオ硫
酸塩の還元を防止でき、硫黄発生(イオンの分離析出や
硫化水素の発生)を防止できる。結果はランニング2ケ
月でも定着槽での析出トラブルは発生しなかった。一
方、電位コントローラーを切ってランニングするとラン
ニング1ケ月で析出トラブルが3回発生した。
【0067】実施例10 感光材料として特開平2−250052号公報の実施例
5の感光材料(カラーネガフィルム)を用いた。処理は
特開平2−250052号公報の実施例5の処理処方及
び処理工程に従った。 (処理10A)比較例 現像処理装置として図6に示す構成のものを用いた。図
6は、現像処理装置の模式図を示したものであって、現
像槽170、漂白槽172、定着槽174、水洗槽17
6、178、安定化槽180の順に並んでいる。この処
理装置を用いてカラーネガフィルムを1日当たり40本
ずつ処理し、これを3ケ月間ランニングした。
【0068】(処理10B)本発明 現像処理装置として図7に示す構成のものを用いた。図
7は、現像処理装置の模式図を示したものであって、図
6に示す装置を一部改良したものである。改良部分につ
いて説明すると、定着槽174は陰イオン交換膜182
によって区画された補助室184が設けられており、処
理室186に陰極188が、また補助室184に陽極1
90が設けられ、両電極188、190は電源192に
接続されて通電されるようになっている。また、電源1
92にはアンメーター224及びスイッチ223が接続
され、アンメーター224が所定量の電気量を積算する
と制御装置225によりスイッチ223を切るようにな
っている。この処理装置を用いてカラーネガフィルムを
1日当たり40本ずつ処理し、これを3ケ月間ランニン
グした。 通電条件 カラーネガフィルム(135×24EXP)1本当りの
処理に対して2V,1A(0.5A/dm2 )で150
【0069】(処理10C)本発明 現像処理装置として図8に示す構成のものを用いた。図
8は、現像処理装置の模式図を示したものであって、図
7に示す装置を一部改良したものである。改良部分につ
いて説明すると、定着槽174の処理室186内には、
前記陰極188の他に陽極194が対で設けられてい
る。そして、処理室186内の両電極188、194は
電源196に接続されて通電されるようになっている。
各電源192、196にはそれぞれアンメーター22
6、228及びスイッチ227、229が接続され、ア
ンメーター226、228が所定量の電気量を積算する
と、制御装置240、242がスイッチ27、229を
切るようになっている。この処理装置を用いてカラーネ
ガフィルムを1日当たり40本ずつ処理し、これを3ケ
月間ランニングした。 通電条件 カラーネガフィルム(135×24EXP)1本当たり
の処理に対して、 処理室内の通電: 2V,1A(0.5A/dm2 )で
50秒 補助室の通電: 2V,1A(0.5A/dm2 )で
100秒
【0070】処理10A、10B、10Cにおいて3ケ
月目の処理済み感光材料の残留銀量を調べた結果を下に
示す。 上記残留銀量の結果から明らかなように、定着槽で何ら
通電処理をしないと(処理10A)残留銀量が多いが、
定着槽で陰イオン交換膜を使って通電処理をすると(処
理10B)残留銀が著しく低下するが、更に定着槽内で
電解処理を併用すると(処理10C)残留銀が更に少な
くなる。
【0071】実施例11 実施例10において、処理装置として図9に示す構成の
ものを用いた。図9は、現像処理装置の模式図を示した
ものであって、図8に示す装置を一部改良したものであ
る。改良部分について説明すると、現像槽170と漂白
槽172の境の一部は陰イオン交換膜198で仕切ら
れ、漂白槽172と定着槽174の境の一部も陰イオン
交換膜200で仕切られている。そして、現像槽170
には陰極202が設けられ漂白槽172には陽極204
が設けられ、両電極202、204は電源206に接続
されて通電されるようになっている。また、漂白槽17
2には別の陽極208が設けられ、定着槽174には別
の陰極210が設けられ、両電極208、210は電源
212に接続されて通電されるようになっている。各電
源196、206、212にはそれぞれアンメーター2
30、232、234及びスイッチ221、233、2
35が接続され、アンメーター230、232、234
が所定量の電気量を積算すると制御装置244、24
6、248がスイッチ221、233、235を切るよ
うになっている。 通電条件 カラーネガフィルム(135×24EXP)1本当たり
の処理に対して、 漂白槽−定着槽の通電: 2V,1A(0.5A/dm
2 )で50秒 定着槽内の通電: 2V,1A(0.5A/dm2 )で
100秒 現像槽−漂白槽の通電: 2V,0.75A(0.5A
/dm2 )で50秒
【0072】本方式でカラーネガフィルムを処理しなが
ら通電処理し、1日当たり100本の処理を1ケ月ラン
ニングしたところ安定した性能が得られた。但し、この
時は現像補充液として以下のものをフィルム1本当たり
3mlずつ補充した。また、漂白補充液及び定着補充液
はフィルム1本当たり1mlずつ補充した。 (現像補充液処方) 4−(N−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ) −2−メチルアニリン・H2 SO4 6.5g 亜硫酸ナトリウム 0.1g 5%H2 SO4 に溶かして 400ml この通電条件では定電流装置を使って通電処理すると時
間管理が簡単になってシーケンスが簡単となった。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、処理槽に隔膜で区画さ
れた補助室を設けて、前記補助室に次段以降の処理槽か
らのオーバーフロー液、好ましくは水洗水のオーバーフ
ロー液を導入するようにして処理液に通電し、かつ補充
液を供給して処理液を再生させながら写真感光材料を処
理する方法において、前記補充液として実質的にアンモ
ニウムイオンを含有しない漂白液及び/又は定着液を用
いることにより、かぶりの上昇、階調の低下のない処理
を行うことができる。更に、定着液中の定着剤濃度、漂
白液中の有機酸第2鉄塩濃度及び再ハロゲン化剤として
の臭素イオン濃度を従来より低くしても、良好な処理を
行うことができる。
【0074】更に、アンメーターにより積算電流量を測
定し、所定フィルム処理量の処理液に対して一定の電流
量を与えるように通電制御することにより、高価な定電
流電源を用いずに、電池、2次電池等によっても適正に
通電することができ、更に、停電時や電源遮断時等にも
弊害がない。更に、処理液の酸化還元バルク電位を所定
範囲に保持しながら通電制御することにより、脱銀不良
や硫化物が発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、実施例5における現像処理
装置の模式図を示す。
【図2】本発明の実施例2の処理2A、処理2C、実施
例6における現像処理装置の模式図を示す。
【図3】本発明の実施例2の処理2B、処理2D、実施
例3における現像処理装置の模式図を示す。
【図4】本発明の実施例4及び実施例7における現像処
理装置の模式図を示す。
【図5】本発明の実施例8における現像処理装置の模式
図を示す。
【図6】本発明の実施例10の処理10Aにおける現像
処理装置の模式図を示す。
【図7】本発明の実施例10の処理10Bにおける現像
処理装置の模式図を示す。
【図8】本発明の実施例10の処理10Cにおける現像
処理装置の模式図を示す。
【図9】本発明の実施例11における現像処理装置の模
式図を示す。
【符号の説明】
30 発色現像槽 32 漂白槽 34、38、40 水洗槽 42 安定化槽 44 陰イオン交換膜 46 補助室 48 処理室 50 陰極 52 陽極 54 電源 56 オーバーフロー管 112 漂白定着槽 126 再生槽 138 ポンプ 170 発色現像槽 172 漂白槽 174 定着槽 176、178、180 水洗槽 182 陰イオン交換膜 188 陰極 190、194 陽極 192、196 電源 220 電位計 222、225、240、242 制御装置 226、228 アンメーター

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理液を収容した処理室内に一方の電極
    を設置し、前記処理室と隔膜で区画した補助室に他方の
    電極を設置し、該補助室に次段以降の処理槽のオーバー
    フロー液を導入してなる処理槽の両電極に通電し、かつ
    補充液を供給して処理液性能を回復させながら写真感光
    材料を処理する方法において、 前記補充液として実質的にアンモニウムイオンを含有し
    ない漂白液及び/又は定着液を用いることを特徴とする
    感光材料の処理方法。
  2. 【請求項2】 処理液を収容した処理室内に一方の電極
    を設置し、前記処理室と隔膜で区画した補助室に他方の
    電極を設置し、該補助室に次段以降の処理槽のオーバー
    フロー液を導入してなる処理槽の両電極に通電し、処理
    液性能を回復させながら写真感光材料を処理する方法に
    おいて、 前記通電処理している処理槽内の定着液中の定着剤濃度
    が0.03〜0.3モルであること、及び/又は漂白液
    中の有機酸第2鉄塩濃度が0.01〜0.1モルでかつ
    再ハロゲン化剤としての臭素イオン濃度が0〜0.2モ
    ルであることを特徴とする写真感光材料の処理方法。
  3. 【請求項3】 処理液に通電して性能を回復した処理液
    を用いてハロゲン化銀写真感光材料を処理する方法にお
    いて、処理液への通電量をアンメーターにより測定し、
    積算電流量に基づいて通電条件を制御することを特徴と
    する写真感光材料の処理方法。
  4. 【請求項4】 処理液に通電して処理液の性能を回復さ
    せながら写真感光材料を処理する方法において、前記処
    理液の酸化還元電位を検出し、検出した電位に基づいて
    通電条件を制御することを特徴とする写真感光材料の処
    理方法。
  5. 【請求項5】 定着液を収容した処理室内に正負一対の
    電極を設置し、前記処理室と隔膜で区画した補助室に正
    電極を設置し、該補助室に電解質液を収容してなる処理
    槽の両電極に通電して定着液性能を回復させながら写真
    感光材料を処理する写真感光材料の処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項5における定着処理過程が現像処
    理又は漂白処理に連続し、現像液又は漂白液にも同時に
    通電することを特徴とする写真感光材料の処理方法。
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