JPH05247719A - 高強度ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法 - Google Patents

高強度ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法

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JPH05247719A
JPH05247719A JP8447092A JP8447092A JPH05247719A JP H05247719 A JPH05247719 A JP H05247719A JP 8447092 A JP8447092 A JP 8447092A JP 8447092 A JP8447092 A JP 8447092A JP H05247719 A JPH05247719 A JP H05247719A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度・高弾性率で耐湿熱性に優れ、長時間
高温や水にさらされる環境でも使用可能な、ゴム、プラ
スチック、セメントなどの補強繊維として、またロープ
や漁網、土木資材として適したポリビニルアルコール系
繊維を提供する。 【構成】 粘度平均重合度が3000以上にポリビニル
アルコール系重合体とそれに対して極少量のイソブチレ
ンと無水マレイン酸の共重合体が溶解されている溶液を
紡糸したのち220℃以上の乾熱延伸を行い、該共重合
体を架橋させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度で耐湿熱性に優
れたポリビニルアルコール(以下PVAと略記する)系
繊維とその製造法に関するものである。本発明の繊維
は、高温で長時間使用される、タイヤ、自動車ホース、
消防ホース、コンベアベルト、Vベルトなどのゴム資材
の補強材あるいはプラスチックやセメントの補強材さら
にはロープ、テント、帆布、漁網、テンションメンバー
などの一般産業資材に適している。
【0002】
【従来の技術】従来PVA系繊維は、強度、弾性率、耐
候性、耐薬品性、接着性などの点で、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて優れて
おり産業資材分野を中心に独自の用途を開拓してきた。
そして、さらに強度、耐湿熱性、耐ゴム疲労性などの性
能が向上したPVA系繊維が開発されればゴムやプラス
チックスの補強材あるいは一般産業資材において、苛酷
な条件下での安全性、耐久性、軽量性を満足した商品が
期待される。
【0003】高重合度PVAを用いて高強力、高弾性率
繊維を得る方法が特開昭59−130314号公報、特
開昭61−289112号公報、特開昭62−8501
3号公報等で開示され、強度19〜29g/d、弾性率
550〜650g/dの繊維が得られている。これらの
数値は、用いられているPVAが高重合度であるほど高
くなるが、分子鎖が長い為に1分子鎖当たりのからみ点
が多く、延伸されずらいものであった。これを高倍率に
延伸するには希薄溶液でからみ点を少ない紡糸原糸を用
いるかあるいは高温で延伸する方法を用いるのが一般的
である。しかし、前者は紡糸ノズルから吐出されるポリ
マー流の曳糸性が低下し、毛羽、断糸を起こし易く、後
者は熱又は酸化による分解を伴ない常法ではいずれも高
強度、耐湿熱性が不十分であり耐ゴム疲労性も今一歩満
足され難かった。
【0004】一方、乾熱延伸時や乾熱放置時の着色や強
力低下を抑えようとする試みは古くから行なわれ、特公
昭35−1669号公報、特公昭45−7691号公
報、特公昭47−29048号公報などで開示されてい
る。しかしこれらの方法では最近の高重合度PVAで強
度低下や乾熱老化性を十分抑えがたくかつ耐湿熱性も不
十分であり、耐ゴム疲労性も劣っていた。
【0005】耐湿熱性を向上させる為の架橋処理は、特
開昭63−120107号公報記載のアセタール化処理
や特開平1−156517号公報記載のパーオキサイド
などの架橋薬剤処理あるいは特開平1−207435号
公報記載のイソシアネート化合物処理などが公知である
が、架橋と共にPVAの分解が起こり、繊維強度、弾性
率、耐乾熱老化性などが低下する問題を有していた。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】以上の背景を踏まえ
て、本発明の目的は高強度で耐湿熱性に優れる高性能P
VA系繊維を提供するものである。本発明者らは、高重
合度PVA系重合体を用い、如何に分子鎖からみの少な
い低濃度溶液を安定に紡糸するか、さらに如何に耐湿熱
性向上の架橋において延伸性を阻害せずに分解を抑える
かについて鋭意検討を重ねた。その結果低濃度の紡糸原
液に特定の架橋剤を適正量添加して増粘効果と曳糸性向
上効果で安定に紡糸し、かつ高温高倍率延伸時の分解を
抑えて架橋を促進する事により強度、弾性率、耐湿熱
性、さらには耐ゴム疲労性を良好にならしめる事を見出
し、本発明に至ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、粘度
平均重合度が3000以上のポリビニルアルコール系重
合体およびイソブチレンと無水マレイン酸の共重合体系
化合物からなり、該共重合体系化合物の量が該ポリビニ
ルアルコール系重合体に対して0.05〜2重量%であ
ることを特徴とするポリビニルアルコール系繊維であ
り、また粘度平均重合度が3000以上のポリビニルア
ルコール系重合体およびイソブチレンと無水マレイン酸
の共重合体系化合物を含む溶液を紡糸したのち延伸して
ポリビニルアルコール系合成繊維を製造する方法におい
て、該ポリビニルアルコール系重合体に対する該共重合
体系化合物の添加量が0.05〜2重量%であり、かつ
該延伸の少なくとも一部を220℃以上の乾熱条件下で
行うことを特徴とするポリビニルアルコール系繊維の製
造方法である。
【0008】なお、PVA系重合体にイソブチレンと無
水マレイン酸の共重合化合物を添加し、繊維化またはフ
ィルム化することは特公平2−48024号公報や特開
平1−192815号公報に記載されている。しかしな
がら、これら公報に記載された技術は、PVA系繊維や
フィルムに高度な吸水性を与えるために、該イソブチレ
ンと無水マレイン酸の共重合体として、カルボキシル基
がアルカリ金属塩となっているものを用い、そしてPV
A系繊維やフィルムに添加するイソブチレンと無水マレ
イン酸の共重合体の量をPVA系重合体に対して10〜
900重量%とするものである。したがって、上記の公
知の技術は本発明とは、構成においてまた目的において
大きく異なる。
【0009】以下本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVAとは、粘度平均重合度が300
0以上のものであり、ケン化度が98.5モル%以上、
好ましくは99.0モル%以上で、分岐度の低い直鎖状
のものである。PVAの重合度が高いほど高強度、高弾
性率、高耐湿熱性が得やすく、好ましくは6000以
上、更に好ましくは10000以上である。なお高重合
度になるほどPVA濃度を低下させ、紡糸し易い溶液粘
度を維持するが、低濃度ほど曳糸性が低下し安定に紡糸
しずらい問題を有している。また本発明の如く更に高強
度を狙い分子鎖からみの少ないより低濃度な溶液を紡糸
するには分子鎖間を架橋させ、曳糸性(糸条の連続性)
を向上させる必要がある。もちろんPVAには性能を大
きく損なわない範囲内で他のモノマーが共重合されてい
てもよい。
【0010】本発明に言う架橋剤(イソブチレンと無水
マレイン酸の共重合体系化合物)とは、少なくともイソ
ブテンと無水マレイン酸が共重合したものであり、一部
イミド化合物やアミド化合物など他の化合物が共重合さ
れているもの、あるいは無水マレイン酸の一部がエステ
ル化されているものなどを含む。但し、PVAの溶剤と
相溶性があり、均一な溶液を作ると共に増粘効果を有し
て、曳糸性を向上させるものであり、かつ乾熱延伸時強
度低下が少ないものが好ましい。
【0011】イソブチレンと無水マレイン酸の共重合体
中におけるイソブチレン単位と無水マレイン酸単位のモ
ル比としては、無水マレイン酸1モルに対してイソブチ
レンが0.2〜5モル存在する程度が本発明の目的を達
成する上で好ましく、特に無水マレイン酸1モルに対し
てイソブチレンを0.5〜3モル存在させるのが好まし
い。イソブチレンと無水マレイン酸の共重合体は、
(株)クラレからイソバンの商品名で販売されており、
本発明においては、これを用いてもいいしあるいはイソ
ブチレンと無水マレイン酸を共重合させて用いてもよ
い。
【0012】架橋剤の含有量はPVAポリマーに対し
0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%であ
る。紡糸延伸時に架橋剤が一部脱落する事があればその
分予め溶液への添加量を増加しても支障ないが3重量%
以上は好ましくない。0.05重量未満では架橋度が不
十分であり、本発明の目的である増粘効果と曳糸性向上
効果、さらには耐湿性向上効果が少なく好ましくない。
2重量%を越えると増粘効果が激しく紡糸困難になった
り、延伸時の架橋が進みすぎて強度低下を起し易い。
【0013】PVA系重合体の溶剤としては、グリセリ
ン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、3−メチルペンタン−1,3,5
−トリオールなどの多価アルコールやジメチルスルホキ
シド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N−メチルピロリドン、1,3ジメチル2
−イミダゾリジノン、エチレンジアミン、ジエチレント
リアミンおよび水などが単独または混合して使用され
る。さらに塩化亜鉛、塩化マグネシウム、ロダンカルシ
ウム、臭化リチウムなどの無機塩水溶液など該重合体を
溶解するものも使用可能である。冷却でゲル化するよう
な多価アルコールやそれらと水との混合溶剤あるいはジ
メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドやそれらと
水との混合溶剤などが紡糸安定となり易いので好まし
い。
【0014】紡糸方式としては湿式、乾式、乾湿式など
一般に用いられるいずれの方式でも何んら支障ない。中
でも、乾湿式法を用い、PVA系重合体の溶液を紡糸ノ
ズルより吐出させ、直ちに低温のメタノールやエタノー
ルなどアルコール類あるいはそれらと該溶剤との混合液
さらには無機塩やアルカリを含む水溶液に浸漬して急冷
し均質で透明なゲル繊維を得る方法が好ましい。
【0015】またゲル繊維の断面変形や膠着を防止し、
かつ紡糸時の微結晶を破壊して延伸倍率を向上させるた
めに溶剤を含んだままで2倍以上、好ましくは4倍以上
湿延伸するのが良い。続いてメタノール、エタノールな
どのアルコール類やアセトン、水などの抽出剤で該溶剤
のほとんど全部を除去したあと、乾燥により該抽出剤を
蒸発させる。
【0016】乾式紡糸では溶剤を乾燥により蒸発除去さ
せるが、いずれの紡糸方式においても、乾燥前から乾熱
延伸直前までにフェノール系、ホスファイト系、チオエ
ステル系、ヒンダードアミン系などの有機系酸化防止剤
やCu,Mn,Ti,Sn,Pb,Zn,Crなどの硫
酸塩、硝酸塩などの無機系金属塩、さらにはチッ素含有
界面活性剤などを付着させ、乾熱延伸時のPVA分解を
抑制させる事は望ましい。
【0017】乾熱延伸は、熱板や熱ローラを用いた接触
タイプと熱風炉を用いた非接触タイプがあるがどちらで
も使用可能である。温度は220℃以上、好ましくは2
30℃以上であり、重合度が増大するにつれて高温にし
総延伸倍率の低下を抑えるのが良い。220℃未満で
は、PVA分子鎖の運動を十分に高める事が出来ず、総
延伸倍率が低下して、分子配向が悪く、低強度となる。
また、熱処理が不十分の為架橋が進みずらく耐湿熱性も
不十分なものとなって好ましくない。一方、延伸温度が
265℃を越えると架橋が進みすぎて分解を起こし強度
低下を来たす。
【0018】総延伸倍率は、湿延伸倍率と乾熱延伸倍率
の積で表わされるが、好ましくは18倍以上、さらに好
ましくは20倍以上である。本発明により得られるPV
A系繊維は、重合度が3000以上では単繊維強度が1
8g/d以上、熱水溶断温度が140℃以上を示し、重
合度が6000以上では該強度が20g/d以上、該温
度が150℃以上を示し、さらに重合度が10000以
上では該強度が22g/d以上、該温度が160℃以上
を示す高強度、高耐湿熱性繊維であった。
【0019】これら高性能PVA繊維は、高温又は湿潤
状態で使用されるタイヤ、ホース、ベルトなどのゴム補
強材、オートグレーブ養生されるセメント補強材、プラ
スチック補強材、さらにはロープ、漁網、テント、テン
ションメンバー、ジオテキスタイルなどの一般産業資材
などに使用される。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。なお実施例中における各種の物性値は以下の方法
により測定された。 1) PVAの粘度平均重合度(P)および重合度低下
率 PVA系重合体を酢化して得た酢酸ビニルの30℃にお
けるPVA希薄アセトン溶液の比粘度η↓spを5点測定
し、〔η〕=Lim↓c→oη↓sp/Cより〔η〕を求
め、さらにP=(〔η〕×1000/7.94)↑1/0.
64より粘度平均重合度を求めた。また重合度低下率は、
延伸糸のPを上述と同様に求めもとのPVA重合体のP
に対する低下率より求めた。
【0021】2) 架橋剤や分解抑制剤の含有量 乾燥後の未延伸糸を100〜130℃の熱水に溶解せし
めNMRよりPVAのCH↓2基に対する架橋剤や分解
抑制剤のピーク比を算出し予め作成した検量線より含有
量を求めた。
【0022】3) 熱水溶断温度(WTb) 単繊維25本にデニール当たり200mgの荷重をかけ
て、水を満たしたガラス製円筒状密封容器の中間に吊
し、周囲より水を1〜2℃/minの速度で加熱昇温さ
せていき、繊維が溶断したときの温度を測定した。
【0023】4) 単糸引張強伸度、弾性率 JIS L−1013に準じ、予め調湿された単繊維を
試長10cmになるように台紙に貼り、25℃×60%で
12時間以上放置。次いでインストロン1122で2kg
用チャックを用い、初荷重1/20g/d、引張速度5
0%/minにて、破断強伸度および初期弾性率を求
め、n≧20の平均値を採用した。デニールは1/10
g/d荷重下で30cmにカツトし、重量法により求め
た。なおデニール測定後の単繊維を用いて強伸度、弾性
率を測定し1本ずつデニールと対応させた。
【0024】5) 耐熱老化性(乾熱処理後の強力保持
率): ヤーンをフリーの状態で熱風炉に入れ、160℃×24
時間あるいは160℃×48時間乾熱処理した後のヤー
ン強力を測定し、乾熱処理前のヤーン強力に対する強力
保持率(%)を算出した。
【0025】6) 耐オートグレーブ養生性 試料を6mmにカツトし、試料2%、パルプ3%、ポート
ランドセメント95%のスレート板(60×200×4
mm)を作成し150〜180℃の蒸気下で10時間オー
トグレーブ養生したあとスレート板の曲げ強度(DB
S)を測定する。
【0026】7) 耐ゴム疲労性 約5000デニールの諸撚コードをRFL処理し、生ゴ
ムにコードを20本並べてその上に生ゴムを貼る。サン
ドウイッチ上に2層のコード層を作って加硫し、矩形状
のベルトを作成する。ついでプーリー径25φのベルト
屈曲試験機で100℃3万回該ベルトを圧縮疲労させた
あと、圧縮部のコードをゴムより取り出し疲労前後のコ
ード強力より保持率を算出した。
【0027】実施例1〜3および比較例1,2 粘度平均重合度4000(実施例1)、8000(実施
例2)、17000(実施例3)でケン化度がいずれも
99.8%のPVAをそれぞれ濃度9重量%、6重量
%、4重量%になるようにジメチルスルホキシドに添加
し同時にイソブテンと無水マレイン酸の共重合化合物
(モル比1:1)にN−フェニルマレイミドが30%共
重合している重量平均重合度が40000の架橋剤を
0.8重量%添加して均一溶液となした。得られた各溶
液の90℃での粘度は150〜250ポイズであった。
次いで各溶液を90℃にてそれぞれ孔径0.12、0.
15、0.18mmで150ホールのノズルより吐出さ
せ、メタノール/ジメチルスルホキシド=7/3(重量
比)、5℃の凝固浴で乾湿式紡糸した。ノズルより空中
に吐出した時の曳糸性(糸条の連続性)はいずれの場合
も良好で紡糸中1度も単糸切れはなく安定した紡糸であ
った。
【0028】次いで40℃メタノール浴で4倍湿延伸し
たあとメタノールで該溶剤をほとんど全部除去した。そ
の後ステアリルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキ
シエチルアンモニウム硝酸塩の分解抑制剤を1.0重量
%付着させ、90℃にて乾燥した。各紡糸原糸の架橋剤
含有量は実施例1が0.74重量%、実施例2が0.6
9重量%、実施例3が0.58重量%であった。次いで
2つの熱風炉を用い、乾熱延伸を行なったが、実施例1
は170℃〜232℃で総延伸倍率が21.0倍、実施
例2は170℃〜240℃,20.3倍、実施例3が1
80℃〜248℃,19.6倍であった。
【0029】一方比較例1として、実施例2で架橋剤を
添加しない場合を試みたが曳糸性が低い為PVA濃度を
7重量%に変更して同様の紡糸延伸を実施した。なお延
伸倍率は19.5倍に低下した。また比較例2として、
実施例3で架橋剤を3.0重量%添加したが、粘度増大
の為PVA濃度を3.7重量%に低下して、同様の紡糸
延伸を実施した。なお紡糸原糸の架橋剤含有量は2.4
重量%であり、延伸時分解が大きく、温度を180℃〜
245℃にし、18.2倍で延伸した。表1に得られた
評価結果を示す。
【0030】
【表1】
【0031】実施例1のPVA系繊維は単繊維強度2
0.3g/d、弾性率440g/d、耐湿熱性(WT
b)142℃を示し、耐熱老化性、耐ゴム疲労性、耐オ
ートグレーブ養生などに優れる事が判明した。重合度8
000の実施例2のPVA系繊維は、強度、弾性率、W
Tbがいずれも架橋剤未添加の比較例1より大きく、1
00℃×3万回ベルト屈曲疲労性や耐オートグレーブ養
生性に優れ、付加価値の高いものであった。実施例3の
PVA系繊維は重合度17000であるが、架橋剤添加
で低濃度紡糸が可能となり、高強度、高弾性率でかつW
Tbが178℃と高く、苛酷な条件にも耐えられる従来
にないPVA繊維として産業資材用途に期待できるもの
であった。なお比較例2は、架橋剤を多量に添加した場
合であるが延伸時着色分解が激しく、延伸倍率、強度、
弾性率が共に低下した。架橋は十分進んでいると思われ
るが分解により繊維欠陥が生じる為かWTb、耐熱老化
性、耐ゴム疲労性などいずれも実施例3に比較して劣っ
ていた。
【0032】実施例4 粘度平均重合度21000、ケン化度99.9モル%の
PVAを濃度4.5重量%になるようにグリセリンに添
加し、同時に架橋剤としてイソブテンと無水マレイン酸
の共重合化合物(モル比1:1)で重量平均分子量が6
0000のものを0.2重量%添加して180℃で溶解
した。180℃の溶液粘度は480ポイズで曳糸性の良
好な均一溶液であった。次いで200℃で400ホール
のノズルより吐出させ、乾湿式紡糸を行なった。凝固浴
はメタノール/グリセリン=8/2、−5℃にて透明な
ゲル繊維を得たあと40℃メタノール浴で4倍湿延伸し
た。 その後メタノールでグリセリンを抽出し、110
℃で熱風乾燥して紡糸原糸を得た。該原糸の架橋剤含有
量は0.18重量%であった。引き続き200℃と26
1℃の輻射炉を用い総延伸倍率19.8倍の乾熱延伸を
行なった。
【0033】得られた延伸糸の重合度は17800で重
合度低下率は15%であり、あまり分解が進んでいない
事が判った。単繊維強度は25.2g/d、弾性率は6
10g/d、WTbは182℃と従来にない高性能を示
した。また160℃×24時間および48時間乾熱処理
後の強力保持率はそれぞれ76%、62%と高く、10
0℃、3万回のベルト疲労後の強度保持率も81%を維
持した。ゴム、セメント、プラスチックなどの補強材は
もとより長時間高温や水にさらされる一般産業資材にも
適用可能となり高付加価値なPVA系繊維であった。
【0034】
【発明の効果】本発明により、高強度・高弾性率で耐湿
熱性に優れ、長時間高温や水にさらされる環境でも使用
可能な、ゴム、プラスチック、セメントなどの補強繊維
として、またロープや漁網、土木資材として適したポリ
ビニルアルコール系繊維が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均重合度が3000以上のポリビ
    ニルアルコール系重合体およびイソブチレンと無水マレ
    イン酸の共重合体系化合物からなり、該共重合体系化合
    物の量が該ポリビニルアルコール系重合体に対して0.
    05〜2重量%であることを特徴とするポリビニルアル
    コール系繊維。
  2. 【請求項2】 粘度平均重合度が3000以上のポリビ
    ニルアルコール系重合体およびイソブチレンと無水マレ
    イン酸の共重合体系化合物を含む溶液を紡糸したのち延
    伸してポリビニルアルコール系合成繊維を製造する方法
    において、該ポリビニルアルコール系重合体に対する該
    共重合体系化合物の添加量が0.05〜2重量%であ
    り、かつ該延伸の少なくとも一部を220℃以上の乾熱
    条件下で行うことを特徴とするポリビニルアルコール系
    繊維の製造方法。
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