JPH05321020A - ポリビニルアルコール系繊維の連続アセタール化処理方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系繊維の連続アセタール化処理方法

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JPH05321020A
JPH05321020A JP14864792A JP14864792A JPH05321020A JP H05321020 A JPH05321020 A JP H05321020A JP 14864792 A JP14864792 A JP 14864792A JP 14864792 A JP14864792 A JP 14864792A JP H05321020 A JPH05321020 A JP H05321020A
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JP
Japan
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pva
degree
strength
fiber
resistance
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JP14864792A
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Hirofumi Sano
洋文 佐野
Masahiro Sato
政弘 佐藤
Toshimi Yoshimochi
駛視 吉持
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粘度平均重合度が5,000以上のポリビニ
ルアルコール(PVA)系繊維を連続的に短時間で均一
にアセタール化させ、高強度、高弾性率を維持しつつ、
高耐湿熱性、高耐ゴム疲労性などに優れた繊維を得る。 【構成】 粘度平均重合度が5,000以上、熱水溶断
温度が110℃以上のPVA系延伸系をアセタール化処
理する方法において、予め40〜95℃の液浴(熱水)
中で膨潤処理し、次いで40〜90℃のアセタール化液
に浸漬してアセタール化度が2〜15モル%になるよう
に処理し、引き続き緊張下で水洗、乾燥を行うことを特
徴とするPVA系繊維の連続アセタール化方法。 【効果】 高強度、高弾性率でかつバラツキの少ない高
耐湿熱性、高耐ゴム疲労性に優れるPVA系繊維を連続
的に短時間のアセタール化処理で製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度、高弾性率で耐湿
熱性に優れ、耐ゴム疲労性や耐オートクレーブ養生性に
良好なポリビニルアルコール(以下PVAと略記する)
系繊維の製造法に関するものである。さらにより詳しく
は、本発明は、高温で長時間使用されるタイヤ、ホー
ス、コンベアベルトなどのゴム資材や、耐湿熱性も要求
されるセメントやプラスチックなどの補強材、さらには
耐水性が必要なロープ、帆布、テントなどの産業資材に
適した高強度、高弾性率なPVA系繊維を得るための連
続アセタール化処理法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、PVA系繊維は強度、弾性率や耐
候性、耐薬品性、接着性などの点でポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて優れてお
り、産業資材分野を中心に独自の用途の開拓がなされて
きた。最近では耐アルカリ性の特徴を生かしたセメント
補強用繊維(アスベスト繊維の代替)として注目されて
いる。そしてさらなる高強度、高弾性率と合わせて、高
耐湿熱性、高耐ゴム疲労性のPVA系繊維が開発されれ
ば、ゴムやプラスチックスの補強材、あるいはロープ、
漁網、テントなどにおいて、特に水や熱に厳しい条件下
でも使用可能となり、安全性、耐久性、軽量性などの点
で優れた商品が期待される。
【0003】高重合度PVAを用いて高強力、高弾性率
繊維を得る方法が特開昭59−190314号公報、特
開昭61−289112号公報、特開昭62−8501
3号公報で開示され、強度19〜29g/d、弾性率5
50〜650g/dの繊維が得られている。しかしこれ
らの繊維は耐湿熱性や耐オートクレーブ性あるいは耐ゴ
ム疲労性の点で十分とは言いがたかった。
【0004】耐湿熱性を向上させるために架橋を施す事
は特開平1−156517号公報の架橋性薬剤処理や特
開平1−207435号公報のイソシアネート化合物処
理、さらには特開昭53−110647号公報のチタン
化合物とジルコニウム化合物の処理などで公知である
が、架橋と共にPVAの分解が起こり、繊維強度、弾性
率、耐熱老化性などが低下する問題を有していた。
【0005】一方、アセタール化により耐湿熱性を高め
る考えは古くからあり、特公昭47−8186号公報、
特公昭47−8187号公報、特開昭63−12010
7号公報などに記載されている。しかし、これらのアセ
タール化条件は35〜60℃で60〜80分の処理を行
うバッチ方式であり、またPVA重合度も4500以下
であった。即ち、低重合度のPVAからなるPVA繊維
を長時間アセタール化すると、強度、弾性率などの低い
PVA繊維しか得られず、十分満足されるものではなか
った。またバッチ式のため生産性が低下しコスト面でも
不利であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の背景を踏まえ本
発明の目的は、高強度、高弾性率を有するPVA系繊維
をその機械的特性を維持したまま耐湿熱性や耐オートク
レーブ性あるいは耐ゴム疲労性に優れたPVA繊維を得
んとするものであり、そのための効果的なアセタール化
処理方法を提供せんとするものである。
【0007】強度、弾性率および耐湿熱性は一般に重合
度が高いほど増大する。この理由は明らかでないが、結
晶と結晶を結ぶタイ分子の強化と欠陥になる分子末端数
の減少などが考えられる。しかし一方では、高重合度ほ
ど1分子鎖のからみ点が多く延伸されずらい。配向と結
晶化を向上させ、強度、弾性率を高めるために高温高倍
率延伸が一般に用いられるが、この場合PVAの分解や
分子鎖の切断が起こり、これがその後の耐湿熱性や耐オ
ートクレーブ性あるいは耐ゴム疲労性を向上させるアセ
タール化処理で加速され、強度や弾性率の低下を激しく
している。
【0008】従って本発明のより詳しい課題は、高重合
度のPVA系重合体を用いた高強度高弾性率繊維で、そ
の耐湿熱性、耐オートクレーブ性あるいは耐ゴム疲労性
等を向上させるために行うアセタール化処理で、強度や
弾性率等の性能低下を如何に抑えるかにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等はこの課題に
対して、高重合度PVAを用いたPVA延伸糸を、短時
間で十分かつ均一にアセタール化出来れば、その目的が
達せられるとの考えの下に鋭意検討し、強度、弾性率の
低下を抑制し、かつ耐湿熱性や耐ゴム疲労性をバラツキ
の少ない範囲で向上させ、さらに生産性を高める本発明
に至ったものである。すなわち本発明は、「粘度平均重
合度が5,000以上、熱水溶断温度が110℃以上の
PVA系繊維をアセタール化処理する方法において、該
繊維を予め40〜95℃の液浴中で膨潤処理し、次いで
40〜90℃のアセタール化液に浸漬してアセタール化
度が2〜15モル%になるように処理し、引き続き緊張
下で水洗、乾燥を行う事を特徴とするPVA系繊維の連
続アセタール化処理方法。」を提供せんとするものであ
る。
【0010】以下本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明では粘度平均重合度が5,000以上のPV
Aを用いるものであり、またそのケン化度が98.5モ
ル%以上、好ましくは99.0モル%以上で分岐度の低
い直鎖状のPVAを用いるものである。PVAの平均重
合度が高いほど高強度、高弾性率、高耐湿熱性が得やす
く、好ましくは8,000以上さらに好ましくは10,
000以上である。PVA系重合体には3重量%以下の
顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶化抑制剤、架橋
剤、界面活性剤など必要に応じて添加しても支障はな
い。
【0011】PVA系重合体の溶剤としては、グリセリ
ン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、3−メチルペンタン−1,3,5
−トリオールなどの多価アルコールやジメチルスルホキ
シド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N−メチルピロリドン、1,3ジメチル2
−イミダゾリジノン、エチレンジアミン、ジエチレント
リアミンおよび水などが単独または混合して使用され
る。さらに塩化亜鉛、塩化マグネシウム、ロダンカルシ
ウム、臭化リチウムなどの無機塩水溶液など該重合体を
溶解するものも使用可能である。冷却でゲル化するよう
な多価アルコールやそれらと水との混合溶剤あるいはジ
メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドやそれらと
水との混合溶剤などが紡糸安定となり易いので好まし
い。
【0012】紡糸方式としては湿式、乾式、乾湿式など
一般に用いられるいずれかの方式が用いられる。中で
も、乾湿式法を用い、PVA系重合体の溶液を紡糸ノズ
ルより吐出させ、直ちに低温のメタノールやエタノール
などアルコール類あるいはそれらと該溶剤との混合液さ
らには無機塩やアルカリを含む水溶液に浸漬して急冷
し、均質で透明なゲル繊維を得る方法が好ましい。凝固
時は、20℃以下の低温にして結晶化を抑え、かつ溶剤
抽出をゆっくり行って均質なゲル繊維を得るのが、その
後の高倍率延伸につながり、高機能性繊維となり易い。
またゲル繊維の断面変形や膠着を防止し、かつ紡糸時の
微結晶を破壊して延伸倍率を向上させるために、溶剤を
含んだままで2倍以上、好ましくは4倍以上湿延伸する
のが良い。続いてメタノール、エタノールなどのアルコ
ール類やアセトン、水などの抽出剤で該溶剤のほとんど
全部を除去したあと、乾燥により該抽出剤を蒸発させ
る。
【0013】次に得られた紡糸原糸を乾熱延伸するが、
この場合総延伸倍率を15倍以上、好ましくは18倍以
上、さらに好ましくは20倍以上とする。15倍未満で
はPVA分子鎖の配向が不十分であり、より高い強度、
弾性率を得るのが難しい。総延伸倍率は湿延伸倍率と乾
熱延伸倍率の積で表わされる。また、延伸倍率や結晶化
度を高め、強度、弾性率、耐熱水性に優れたPVA繊維
をつくるために、延伸温度は230℃以上とすることが
好ましく、さらに好ましくは240℃以上である。また
高重合度ほど分子鎖のからみや微結晶間を結ぶタイ分子
が多いためか延伸倍率が低下し易く、それをカバーする
ためには高温延伸が必要である。一方高温ほどPVAの
分解が起り易く、性能低下を招くので、分解抑制効果の
ある添加剤や油剤を含有させる事は何んら支障はない。
【0014】本発明の特徴は、高重合度PVAを用いた
PVA延伸糸を用い、連続的に短時間で均一にアセター
ル化処理を行ない、高強度、高弾性率で、かつ高耐湿熱
性の繊維を得る事にある。但し用いるPVA繊維が十分
延伸されていないと、後述する膨潤処理のための液浴処
理や、またアセタール化処理に耐えることが出来ず、性
能低下や膠着、溶断を起こすので好ましくない。従っ
て、熱水溶断温度(WTb)が110℃以上、好ましく
は120℃以上のPVA延伸糸が必要である。なおアセ
タール化処理後に追延伸するのは架橋が起っているため
困難であり、本発明では少なくとも15倍以上の延伸糸
を用いるのが良い。
【0015】一方、高重合度ほど非晶が緻密となるため
か水に対する膨潤度が低く繊維内部へアセタール化薬剤
が浸透しずらく、短時間で均一に高アセタール化を行な
うのが難しい。
【0016】従って本発明では、アセタール化処理を行
なう前に40〜95℃、好ましくは50〜90℃の液浴
中に浸漬して繊維を膨潤させることがその処理方法の特
徴点の1つである。即ち、本発明で用いるが如き高重合
度PVA繊維を用いる場合には、この膨潤処理を行わな
いで直接アセタール化を行っても、アセタール化が進ま
ず、目的の耐湿熱性、耐ゴム疲労性等を改善することが
出来ない。また、長時間のアセタール化あるいは過酷な
条件下でのアセタール化を行えば、前述の如く高重合度
PVAで発揮される強度、弾性率等を低下させてしま
い、高重合度PVAを用いることのメリットをなくして
しまうのである。
【0017】この浴液は、引き続いて繊維が導入される
アセタール化処理に害のあるものでない限り使用するこ
とができるが、通常は水、すなわち本発明の場合、前記
温度範囲の熱水を用いるのが、操業上一番有利である。
【0018】浴液温度が40℃未満では本発明で用いる
高重合度なPVAを用いた繊維を短時間に膨潤させる事
は困難でアセタール化が不十分となる。また95℃を超
えると繊維の収縮や膠着、溶解が起り易くなり、性能低
下や単糸間の膠着を招くので好ましくない。浸漬時間
は、長すぎると膨潤や溶解が大きく、繊維性能が低下し
易く生産性も低下するので好ましくない。したがって浸
漬時間は10分以下が好ましく、より好ましくは7分以
下である。なおこの膨潤処理は、繊維の膨潤が進み、膠
着、溶解という段階に進むと繊維性能の低下となるの
で、この処理は一般的には緊張下での処理が行われる。
しかし、この膨潤処理の最初に10%以下の収縮を施
し、繊維の膨潤を促進しても良い。但し10%を超えた
収縮は強度や弾性率を低下させたり、溶解し易くなるの
で好ましくない。
【0019】次いでアセタール化を行なうため薬剤液に
浸漬させるが、処理温度は40〜90℃、好ましくは5
0〜80℃である。性能低下の抑制と連続化の点からア
セタール化処理時間は10分以下、好ましくは7分以下
である。本発明の如く、予備的に膨潤処理を行うもので
あっても、その処理温度が40℃未満ではアセタール化
が不十分で耐湿熱性の効果が出ない。また90℃を超え
るとアセタール化薬剤の蒸発が激しく、作業上および濃
度管理上問題を生じ易い。また、急激な架橋が不均一に
起こり、性能低下を招く。
【0020】アセタール化処理に用いられるアルデヒド
化合物は特に限定されないが、強度、弾性率を大きく低
下させず、耐湿熱性や耐ゴム疲労性を高めるにはホルマ
リンやベンズアルデヒド、グルタルアルデヒドなどが好
ましく用いられる。このアルデヒド化合物以外に架橋剤
としては、リン酸、硫酸、塩酸などの強酸やパーオキサ
イド化合物、イソシアネート化合物などがあるが、いず
れも強度低下が大きかったり、耐湿熱性が不十分であっ
たりする問題を生じた。
【0021】アセタール化度は2〜15モル%、好まし
くは5〜10モル%である。アセタール化度が2モル%
未満では耐湿熱性や耐オートクレーブ性さらには特に高
温での耐ゴム疲労性などが不十分となり好ましくない。
アセタール化度が15モル%を超えると、強度や弾性率
の低下が大きく、さらに実用時耐熱老化性を要求される
分野では、不合格となる事が多い。また長時間を要する
かまたは薬剤使用量が多くなり、コストアップの点でも
好ましくない。
【0022】アセタール化処理後、繊維表面に付着した
薬液や水を除去する必要があるが、強度や弾性率の低下
を防ぐために緊張下、好ましくは0.1g/d以上の張
力下で、または0.5%以上の伸長下で水洗、乾燥を施
し、表面付着薬剤や水を除去する必要がある。本発明の
処理方法での特徴点の1つは、この点にあり、この点が
満足されなければ、強度や弾性率が低下してしまうので
ある。
【0023】さらに本発明の処理方法の特徴点の1つ
は、予備膨潤処理からアセタール化処理、並びにその後
の水洗、乾燥処理までを連続して短時間に行う点であ
り、これにより、機械的特性を高度に維持したまま耐湿
熱性、耐ゴム疲労性等の性能を高度に改善できることで
ある。即ち、本発明の処理方法では、強度、弾性率を高
度に、例えばそれぞれ18g/d以上、450g/d以
上に維持させつつ熱水溶断温度を150℃以上といった
繊維になし得るものであり、かつ特性のバラツキの少な
い繊維とすることが出来るものである。また本発明にお
いて重合度が10,000以上のPVAからなる繊維を
用いれば、強度20g/d以上、弾性率500g/d以
上、熱水溶断温度が165℃以上をも示す繊維となし得
るものであり、160℃オートクレーブ養生が可能にな
ったり、100℃耐ゴム屈曲疲労性が大きく向上するな
ど従来にみられない高性能PVA繊維が得られるもので
ある。
【0024】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。なお実施例中における各種の物性値は以下の方法に
より測定された。
【0025】1)PVAの粘度平均重合度および重合度
低下率 PVA系重合体を酢化して得た酢酸ビニルの30℃にお
けるPVA希薄アセトン溶液の比粘度ηspを5点測定
し、次式1より〔η〕を求める。
【0026】
【式1】
【0027】さらに得られた〔η〕を用い、次式2より
粘度平均重合度を求めた。また重合度低下率は、延伸糸
の粘度平均重合度を上述と同様に求めもとのPVA重合
体の粘度平均重合度に対する低下率より求めた。
【0028】
【式2】
【0029】2)アセタール化度 試料約1gを希硫酸の中に入れて加熱し、水蒸気を吹き
込みながら遊離したホルマリンを溜出させて酸性亜硫酸
ソーダと反応させる。次いで過剰の酸性亜硫酸ソーダを
ヨウ素溶液で酸化したあと炭酸ソーダを加えて遊離した
酸性亜硫酸ソーダを1/50Nヨード溶液で逆滴定して
次式より重量%を求め、モル%に換算した。 HCHO(wt%)=0.3×a×f/w ここでwは絶乾試料重量(g)、fは1/50Nヨード
溶液の力価、aは滴定所要量(ml)
【0030】3)熱水溶断温度(WTb) 単繊維25本にデニール当り200mgの荷重をかけ
て、水を満したガラス製円筒状密封容器の中間に吊し、
周囲より水を1〜2℃/minの速度で加熱昇温させて
いき、繊維が溶断したときの温度を測定した。
【0031】4)単糸引張強伸度、弾性率 JIS L−1013に準じ、予め調湿された単繊維を
試長10cmになるように台紙に貼り、25℃×60%
で12時間以上放置。次いでインストロン1122.2
kg用チャックを用い、初荷重1/20g/d、引張速
度50%/minにて、破断強伸度および初期弾性率を
求め、その試料数20個以上での平均値を採用した。デ
ニールは1/10g/d荷重下で30cmにカットし、
重量法により求めた。なおデニール測定後の単繊維を用
いて強伸度、弾性率を測定し1本ずつデニールと対応さ
せた。
【0032】5)耐熱老化性(乾熱処理後の強力保持
率) ヤーンをフリーの状態で熱風炉に入れ、160℃、24
時間あるいは160℃、48時間乾熱処理した後のヤー
ン強力を測定し、乾熱処理前のヤーン強力に対する強力
保持率(%)を算出した。
【0033】6)耐オートクレーブ養生性 試料を6mmにカットし、試料2%、パルプ3%、ポー
トランドセメント95%のスレート板(60×200×
4mm)を作成し、150〜180℃の蒸気下で10時
間オートクレーブ養生した後スレート板の曲げ強度(D
BS)を測定した。
【0034】7)耐ゴム疲労性 約5000デニールの諸撚コードをRFL処理し、生ゴ
ムにコードを20本並べて、その上に生ゴムをはる。サ
ンドウィッチ上に2層のコード層を作って加硫し、矩形
状のベルトを作成する。ついでプーリー径25mmのベ
ルト屈曲試験機で100℃3万回該ベルトを圧縮疲労さ
せた後、圧縮部のコードをゴムより取り出し疲労前後の
コード強力より保持率を算出した。
【0035】実施例1、2: 粘度平均重合度7,00
0(実施例1)と12,000(実施例2)でケン化度
がいずれも99.5モル%のPVAをそれぞれ濃度7重
量%と6重量%になるようにジメチルスルホキシドに9
0℃で溶解し、得られた各溶液を300ホールのノズル
より吐出させ、メタノール/ジメチルスルホキシド=7
/3重量比、5℃の凝固浴で湿式紡糸した。さらに40
℃メタノール浴で4倍湿延伸したあと、メタノールで該
溶剤をほとんど全部除去し、80℃にて乾燥した。次い
で実施例1では、得られた紡糸原糸を180℃、200
℃、245℃の3セクションからなる熱風炉で総延伸間
倍率20.1倍に、実施例2では180℃、200℃、
253℃で19.4倍になるように延伸した。
【0036】延伸糸はいずれも着色や膠着がなく、各実
施例の単繊維強度は、それぞれ22.7g/d、24.
2g/dであり、また弾性率は、それぞれ539g/
d、563g/dであった。WTbはそれぞれ138
℃、146℃の値を示した。また重合度低下率も8%、
11%と低いものであった。
【0037】得られた2種の延伸糸を、収縮が3%にな
るように70℃の熱水浴に入れ、該浴中にある2本の同
速ローラで20回捲いて、6分間滞留させたあと、次の
アセタール化浴へ同速で供給した。アセタール化浴の組
成はHCHO200g/l、H2SO450g/l、Na
2SO450g/lの水溶液であり、浴中の同速ローラで
65℃、7分間ホルマール化処理をした。引続いて張力
0.15〜0.2g/dの緊張下で水洗し、さらに10
0℃にて2%伸長になるようにして乾燥した。ホルマー
ル化度は実施例1が11モル%、実施例2が9モル%で
あった。
【0038】このホルマール化後の単繊維強度はそれぞ
れの21.8g/d、23.5g/dであり、弾性率は
それぞれ508g/dと541g/dと高い値を示し、
強度、弾性率の低下が少ないことが示される。またWT
bは、それぞれ160℃と171℃を示し、顕著に向上
しており、かつバラツキも±2℃とほぼ均一架橋され従
来にみられない高性能PVA繊維となった。
【0039】また耐オートクレーブ性は実施例1の場
合、155℃養生のスレート板曲げ強度が315kg/
cm2と合格基準の250kg/cm2を上まわり、実施
例2では165℃養生で300kg/cm2を示した。
耐ゴム疲労性では100℃33回のベルト屈曲後の強力
保持率がそれぞれ71%、79%と高い値を示し、さら
に160℃、24時間乾熱処理後の強力保持率は85
%、81%と高いものであった。これらの結果よりセメ
ントやゴムの補強材として優れたものであり、高付加値
なPVA繊維となった。
【0040】比較例1: 実施例2で70℃の熱水浴を
通さず実施例2と同浴のアセタール化浴に直接通した場
合を実施した。この場合、実施例2と同時間の7分間で
のホルマール化処理では、そのホルマール化度は1.5
モル%にしかならず、強度、弾性率はそれぞれ23.9
g/d、550g/dでほとんど低下しないが、WTb
は142〜160℃(平均152℃)で絶対値が低く、
かつバラツキの大きいものであり、耐湿熱性の改善はほ
とんど得られない。またこの場合は、不均一な架橋が起
っている事を示唆している。このことは、この繊維を用
いた耐オートクレーブ性が155℃養生で175〜26
0kg/cm2と変動が大きく、耐ゴム疲労性も45〜
59%と変動が大きくかつ低い値を示したことでも示さ
れる。
【0041】比較例2: この例は実施例1での熱水浴
を通さず実施例1のアセタール化浴に直接通し、ここ
で、ホルマール化度が実施例1と同じ11%となるよう
にホルマール化時間を長くした例である。この場合ホル
マール化時間は実施例1でのホルマール化処理時間7分
間から38分間となり、得られた繊維の単繊維強度並び
に弾性率は、それぞれ18.5g/d、437g/dと
大幅に性能低下を来す結果となる。
【0042】実施例3: 粘度平均重合度23,000
のPVAを濃度4.5重量%になるように180℃でグ
リセリンに溶解した。次いで150ホールのノズルより
吐出させ、乾湿式紡糸を行なった。凝固浴はメタノール
/グリセリン=8/2、−10℃にて、透明なゲル繊維
を得たあと、40℃メタノール浴で4倍湿延伸した。そ
の後メタノールでグリセリンを抽出し、90℃で3%収
縮を入れながら熱風乾燥して紡糸原糸を得た。該原糸を
180℃と264℃の輻射炉を用い、総延伸倍率19.
8倍で乾熱延伸した。得られた延伸糸の単繊維強度並び
に弾性率は、それぞれ28.0g/d、685g/dで
あり、またWTbは155℃を示した。
【0043】得られた延伸糸を収縮が5%になるように
80℃の熱水浴に20秒間入れ、続いて定長下で8分間
滞留させたあと、85℃、7分間実施例1と同じ組成液
でホルマール化処理を行なった。引続いて張力が0.2
〜0.3g/dの緊張下で水洗し、さらに120℃にて
3%伸長になるようにして乾燥した。
【0044】アセタール化度は7モル%で単繊維強度は
26.1g/d、弾性率は648g/d、WTbは18
5℃となり、強度、弾性率を低下させず耐湿熱性が大き
く改善され、従来にない高性能となった。
【0045】またこの繊維のオートクレーブも180℃
が可能となり、100℃33回のベルト疲労後の強力保
持率も82%を維持した。さらに160℃、24時間お
よび48時間乾熱処理後の強力保持率はそれぞれ77
%、65%と高く、産業資材用繊維として利用価値の高
いものとなった。
【0046】比較例3: この例は、実施例3と同じく
ホルマール化までを行い、その後の水洗と乾燥とを緊張
せずに行なった場合の例である。強度、弾性率は、それ
ぞれ22.3g/d、530g/dに低下した。
【0047】実施例4 粘度平均重合度5500のPV
Aを濃度11重量%になるように170℃のエチレング
リコールに溶解し、80ホールのノズルより乾湿式法に
て紡糸した。凝固浴はメタノール/エチレングリコール
=7/3、該浴温度0℃であり、ここで急冷ゲル化さ
せ、その後4.5倍の湿延伸を施し、次いで該溶剤をメ
タノールでほとんど全部抽出し、その後80℃で乾燥し
た。その後、170℃と250℃の2つの熱風炉で総延
伸倍率が20.3倍になるように乾熱延伸した。得られ
た延伸糸の単繊維強度並びに弾性率は、それぞれ22.
1g/d、516g/dであり、またWTbは132℃
であった。
【0048】次いでこの得られた延伸糸を60℃の熱水
で5分間処理し、グルタルアルデヒド200g/l、H
2SO4100g/l、Na2SO450g/lの水溶液に
浸漬し、60℃で8分間アセタール化処理したあと、緊
張下で水洗、乾燥した。アセタール化度は13モル%で
単繊維強度は20.2g/d、弾性率は485g/d、
WTbは160℃と高いものであった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均重合度が5,000以上、熱水
    溶断温度が110℃以上のポリビニルアルコール系繊維
    をアセタール化処理する方法において、該繊維を予め4
    0〜95℃の液浴中で膨潤処理し、次いで40〜90℃
    のアセタール化液に浸漬してアセタール化度が2〜15
    モル%になるように処理し、引き続いて緊張下で水洗、
    乾燥を行う事を特徴とするポリビニルアルコール系繊維
    の連続アセタール化処理方法。
JP14864792A 1992-05-14 1992-05-14 ポリビニルアルコール系繊維の連続アセタール化処理方法 Pending JPH05321020A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007303104A (ja) * 2006-05-09 2007-11-22 Shingo Kizai Kk レール継ぎ目用絶縁プレート

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JP2007303104A (ja) * 2006-05-09 2007-11-22 Shingo Kizai Kk レール継ぎ目用絶縁プレート

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