JP3210785B2 - ポリビニルアルコール系コード及びその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系コード及びその製造方法

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JP3210785B2
JP3210785B2 JP22590993A JP22590993A JP3210785B2 JP 3210785 B2 JP3210785 B2 JP 3210785B2 JP 22590993 A JP22590993 A JP 22590993A JP 22590993 A JP22590993 A JP 22590993A JP 3210785 B2 JP3210785 B2 JP 3210785B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温で長時間くり返し
屈曲を受けるタイヤ、オイルブレーキホース、ラジエー
ターホース、消防ホース、高圧ホース、コンベアベル
ト、Vベルト、タイミングベルトなどの繊維補強ゴム製
品の補強材に適した高強度にして高耐疲労性に優れたポ
リビニルアルコール(以下PVAと略記する)系コード
およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来PVA系繊維は、強度、弾性率、接
着性、耐候性、耐薬品性などの点でポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて、優れて
おり、産業資材分野を中心に独自の用途を開拓してき
た。特にゴム補強材として、強度、弾性率、耐ゴム疲労
性などの性能が向上したPVA系コードが開発されれ
ば、苛酷な条件下での安全性、耐久性、軽量性を満足し
たゴム資材が期待される。高重合度のPVA系重合体を
用い、高強度、高弾性率繊維を得る方法が特開昭59−
130314号公報、特開昭61−289112号公
報、特開昭62−85013号公報などで開示され、強
度19〜29g/d、弾性率550〜650g/dの繊
維が記載されている。
【0003】本発明者らは、該高強度、高弾性率繊維を
用い、公知の方法で撚糸し、RFL処理によりディップ
コードを作製したところ、確かに強度や弾性率が高くな
るものの、耐ゴム疲労性は今一歩満足されず、撚数を増
加させることで疲労性を向上させると今度は逆に強度や
弾性率が不十分となる事が判明した。一方、高温での耐
疲労性や耐湿熱性を向上させる目的でPVA系繊維を架
橋させる方法として、特開昭63−120107号公報
(アセタール化処理)、特開平1−156517号公報
(パーオキサイドなどの架橋薬剤処理)、特開平1−2
07435号公報(イソシアネート化合物による架橋処
理)、特開平2−84587号公報や特開平4−100
912号公報(酸などによる架橋処理)等が公知であ
る。さらに、特開平3−287812号公報に記載の方
法の如く、界面活性剤と脱水反応触媒を付与し、延伸熱
処理で架橋させる方法も公知であるが、これらはいずれ
もレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液(以下
RFLと略す)処理前の撚糸コードまでで架橋を終了さ
せる為、その後のRFL付着熱処理で、さらにPVA系
繊維の分解が促進されて強度や弾性率の低下が激しく、
架橋を抑えると、強度や弾性率の低下は少ないが、高温
での耐疲労性や耐湿熱性が増大しないという問題点を有
していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の背景を踏えて、
本発明者らは、如何に強度低下を抑えて、耐疲労性、耐
湿熱性を向上させるか鋭意検討を重ねた結果、PVA系
重合体の水酸基と直接架橋し、酸などの脱水触媒の如き
繊維分解をできるだけ抑えることができる架橋剤を用い
る事、架橋する時期を出来るだけ遅くして途中の熱処理
による繊維損傷を少なくする事、および強力利用率の高
い油剤との混在で、適度の架橋点を作る事が、高強度
で、耐疲労性に優れたディップコードを得るのに有効で
あることを見出し、本発明に至ったものである。すなわ
ち本発明の目的は、高強度で耐疲労性および耐湿熱性に
優れる高性能PVA系コードを提供する事にあり、タイ
ヤ、ベルト、ホースなどのゴム補強材として付加価値の
高いコードを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、粘度平均重合
度が1500以上のPVA系繊維から構成され、かつ撚
係数(Ke)が4〜11の撚がかけられており、さらに
RFL処理されたコードであって、コード強度が下記式
Iを満足しかつ低歪ベルト屈曲疲労における100℃×
25万回後の強力保持率が80%以上であるPVA系コ
ードである。 DT≧5.6(PA)0.13−0.8Ke・・・・・・・・I 但し、DTはRFL処理後のコード強度(g/d)、P
Aは繊維を構成するPVA系重合体の粘度平均重合度、
Keは上記撚係数を意味する。また本発明は、このよう
なPVA系コードを製造する方法として、粘度平均重合
度が1500以上のPVA系重合体を紡糸し、乾熱処理
したのち、得られる延伸糸に下記化学式Aで表される有
機系金属キレート化合物及びコード強力利用率向上油剤
を付与して150℃以下の温度で乾燥を行い、そして撚
係数(Ke)が4〜11の撚を付与し、次いでRFL液
を付与し、しかる後に180〜220℃で熱処理を行う
方法である。
【0006】
【化1】 但し、上記化学式Aにおいて、Mはキレート形成能を有
する金属原子、Rはアルキル基、X1〜X4は同一又は異
なっていてもよいハロゲン原子または水酸基を表す。
【0007】すなわち本発明は、粘度平均重合度が15
00以上のPVA系延伸繊維に分解を出来るだけ抑えた
有機系金属キレート化合物と、コード強力利用率の高い
油剤を付与せしめ、150℃以下で乾燥を行なうことに
より、架橋を抑えながら、撚糸したあと、RFL付着
後、180℃以上の熱処理により該金属キレート化合物
と繊維の架橋反応及びRFLと繊維の固着反応をほぼ同
時に進める事により上記式Iで表わされるディップコー
ド強度と低歪ベルト屈曲疲労における100℃×25万
回後の強力保持率が80%以上である高性能ポリビニル
アルコール系コードを得るものである。
【0008】以下本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVA系重合体とは、粘度平均重合度
が1500以上のものであり、好ましくはケン化度が9
8モル%以上で分岐度の低い直鎖状のものである。PV
A系重合体の重合度が高いほど多くの結晶を貫通するタ
イ分子の数が多くなり、高強度、高弾性率、高耐疲労性
が得やすくなる。したがって好ましくは3000以上、
さらに好ましくは8000以上である。PVA系重合体
には、少量(例えば3重量%以下)の顔料、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、結晶化抑制剤、界面活性剤などを必
要に応じ添加しても支障ない。また本発明で言うPVA
系重合体には、5モル%以下の改質剤を共重合したもの
も含まれる。
【0009】本発明に用いられるPVA系繊維はこのよ
うなPVA系重合体を溶剤に溶解し、湿式、乾湿式、乾
式のいずれかの方法により紡糸し、乾熱延伸する事によ
り得られる。PVA系重合体の溶剤としては、グリセリ
ン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、3−メチルペンタン−1,3,5
−トリオールなどの多価アルコールやジメチルスルホキ
シド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノン、エチレンジアミン、ジエチレ
ントリアミンおよび水などが単独又は混合して使用され
る。さらに塩化亜鉛、塩化マグネシウム、ロダンカリ、
臭化リチウムなどの無機塩水溶液などの該重合体を溶解
するものも使用可能である。特に冷却でゲル化するよう
な多価アルコールやそれらと水との混合溶剤、あるいは
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドやそれら
と水との混合溶剤などが紡糸性が安定となり易いので好
ましい。
【0010】紡糸方式としては、湿式、乾湿式、乾式な
ど一般に用いられるいずれの方式でも何んら支障ない
が、特に乾湿式法を用い、PVA系重合体の溶液を紡糸
ノズルより空中へ吐出させ、直ちに、低温のメタノール
やエタノールなどのアルコール類あるいは、それらと該
溶剤との混合液、さらには、無機塩やアルカリを含む水
溶液に浸漬して急冷し、均質で透明なゲル繊維を得る方
法が好ましい。またゲル繊維の断面変形や膠着を防止
し、かつ紡糸時の微結晶を破壊して延伸倍率を向上させ
る為に、溶剤を含んだまま2倍以上好ましくは4倍以上
湿延伸するのが良い。続いて、メタノールやエタノール
などのアルコール類あるいはアセトン−水などの抽出剤
で該溶剤のほとんど全部を除去したあと、乾燥により該
抽出剤を蒸発させる。これにより紡糸原糸が得られる。
【0011】得られた紡糸原糸を常法により220℃以
上の高温で総延伸倍率(上記湿延伸倍率と乾熱延伸倍率
の積)が16倍以上となるように乾熱延伸を施したあと
本発明の特徴の1つである、前記化学式Aの有機系金属
キレート化合物及びコード強力利用率の高い油剤を付与
する。本発明の繊維では、化学式Aで表わされる化合物
の1種又は2種以上のものが付与されている。なおRに
より示されるアルキル基は、炭素原子数5〜20の高級
アルキル基であるのが好ましい。また、キレート形成能
を有する金属原子Mとしては、クロム,鉄,ジルコニウ
ム,コバルト,ニッケル,アルミニウム,チタン,錫な
どの金属原子を挙げる事が出来、特にクロムとアルミニ
ウムが好ましい。X1,X2,X3,X4は塩素,ヨウ素,
臭素,フッ素などのハロゲン原子、又は水酸基であり、
ハロゲン原子の中では塩素が好ましい。またX1,X2
3,X4はすべて同一であっても良く、またハロゲン原
子と水酸基が混在していても良い。
【0012】該キレート化合物とPVA系繊維との架橋
反応は必ずしも、明確ではないが、例えば化学式Aにお
いてX1とX3の塩素がPVA系繊維の水酸基と脱塩酸反
応して下記、化学式Bの如き結合したり、化学式Aの化
合物同志が反応して、キレート化合物の被膜を形成し、
それが繊維と架橋している場合が考えられる。
【0013】
【化2】 但し、上記式中、M,R,X2,X4は前記した通りの基
又は原子を表わす。
【0014】キレート化合物の付着量は、PVA系繊維
に対して金属として0.01〜0.5重量%が好まし
い。0.01重量%未満では架橋程度が低く、耐疲労
性、耐湿熱性に劣る。0.5重量%を超えると、PVA
系重合体の分解も起こり易く強度低下を招いたり、RF
Lと繊維が反応固着することを阻害してゴムとの接着
性、ひいては耐疲労性を低下させるので好ましくない。
より好ましい付着量は金属として0.05〜0.3重量
%である。該キレート化合物は水溶液やアルコール溶液
にして延伸後の繊維にローラータッチ方式やギヤポンプ
方式、あるいはディップニップ方式などのいずれかの方
法で付与すれば良い。
【0015】また本発明ではコード強力利用率の高い油
剤を該キレート化合物を付着したあと、あるいは両者の
混合液として同時に付与するのが好ましい。油剤付与の
目的は、繊維同志の摩擦係数を下げて、その後の撚糸を
スムーズにし、撚斑を少なくしてコードにした時の強力
を高める事および該キレート化合物による架橋点を散在
させ、その後、RFLが繊維に固着するのを大きく防げ
ない事にある。該油剤としては、摩擦係数を低下させる
ものであれば、いずれでも良いが、該キレート化合物と
相溶性がなく混合液で分離するものあるいは、両者が付
着斑となるようなものは好ましくない。
【0016】油剤は、単一組成でも配合油でも良く、例
えば鉱物油、パラフィンワックス、グリセリン、脂肪酸
エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、高級脂肪酸エス
テル、ジメチルシリコン系、アミノ変性シリコン、テト
ラフロロエチレン系、あるいはこれらのエチレンオキサ
イド付加物などがあり、それらに乳化剤や浸透剤として
アニオン系、カチオン系、ノニオン系、界面活性剤を添
加しても良い。いずれにしても用いる油剤は、繊維−繊
維の静摩擦係数(JISL−1015に従って測定)を
0.27以下にする油剤が好ましい。該油剤の付着量は
繊維に対し0.3〜1.5重量%が好ましく、より好ま
しくは0.5〜1.0重量%である。また、前記キレー
ト化合物と該油剤の付着比率は2/8〜5/5が好まし
い。該油剤の付着量が0.3重量%未満では、コード強
力利用率の低下が起こり易く、さらに前記キレート化合
物と繊維との架橋を適度に散在させる事が難しく、ひい
ては疲労性の低下を招く。1.5重量%を超えると前記
キレート化合物やRFL液との相溶性が低下して、付着
斑を起こしたり、キレート化合物やRFLが繊維と架橋
して固着するのを防げるので好ましくない。
【0017】本発明では、該キート化合物及び油剤を繊
維に付着したあと、150℃以下の温度で乾燥する。1
50℃を越える温度ではキレート化合物が繊維と架橋し
その後のRFL付着後の熱処理でさらに架橋が進み、強
度低下を起こし易い、また強力利用率の高い油剤も16
0℃以上の高温では飛散し易くなり、その後撚糸工程で
撚斑などの問題を生じる。さらに、水分を含んで160
℃以上の高温におくと繊維同志の膠着を起こし、強度や
耐疲労性の低下を招き好ましくない。従って本発明の特
徴は、撚糸コードまでは、該有機系金属キレート化合物
による繊維の架橋を進めずにおき、RFL付着後の熱処
理で主として架橋させる点にあり、これにより強度低下
を出来るだけ少なくして耐疲労性や耐湿熱性を向上させ
る事が出来る。
【0018】該キレート化合物及び油剤を付与し150
℃以下で乾燥したあと、用途に合った撚数で撚糸コード
を作製する。例えばラジアルタイヤベルト部用タイヤコ
ードでは1500d/1×2で7〜9t/inchある
いは1500d/1×3で5〜7/inch、カーカス
部用タイヤコードでは、1500d/1×2で9〜13
t/inchなどの諸撚が用いられる。一般に撚数が多
くなると、強度や弾性率が低下するが耐疲労性が向上
し、撚数が少なくなるとその逆の傾向を示すが、本発明
では下記の式IIで表わされる撚係数Keを用い、Ke=
4〜11の範囲で強度と疲労性のバランスをとってい
る。
【0019】
【数1】 但し、T:撚数(t/inch) Dr:ヤーンデニール×コード構成本数
【0020】このようにして得られた生コードにゴムと
の接着性を向上させる為にRFL液を付着させ乾燥−熱
処理を施す。なおRFL液組成の代表例は後述の表2に
記載したものであるが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。RFL付着率は6〜20重量%、好ましくは
8〜15重量%である。付着率が20%を超えるとレゾ
ルシンとホルマリンの縮合反応を促進させる為に入れて
あるアルカリが多量に付着し、熱処理時PVA系繊維の
分解を伴って強度低下を来たす。また付着率が6重量%
未満の場合は、ゴムとの接着力が不十分となり耐疲労性
が改善されない。RFL付着後の乾燥は前述のキレート
化合物及び油剤府予後の乾燥と同じく150℃以下で行
なう。
【0021】次いでRFLの反応を完了させ、繊維に固
着させる為に、高温で熱処理するが、その温度は180
〜220℃が好ましく、処理時間は1〜2分である。1
80℃未満では該キレート化合物やRFLの架橋反応が
不十分となり、目的とする耐疲労性を得る事が難しい。
220℃を超えると、PVAの分解やコード硬化により
耐ゴム疲労性が低下する。また熱処理は0.5〜1.5
g/d張力下で行なうのが好適であり、より好ましくは
0.8〜1.2g/dである。0.5g/d未満の張力
では撚斑や撚縮みの修正が不十分で本発明に言うコード
強度を得るのが難しい。1.5g/dを超えると単糸切
れや繊維断面の変形が激しく、コードが硬くなって、耐
疲労性が悪化する。
【0022】本発明により得られるRFL処理後のPV
A系ディップコードは強度が前記式Iを満足し、かつ、
低歪ベルト屈曲疲労における100℃×25万回後の強
力保持率が80%以上で耐ゴム疲労性に優れており、タ
イヤ、ホース、ベルトなどのゴム成型品の補強材に適し
た高性能PVA系コードであった。以上本発明コードの
製造方法について詳述したが、本発明はこれらの方法に
限定されるものではない。なお前記式Iは経験的に求め
ていたものであり、常法により得られるディップコード
は、式Iの強度より低いか又は耐疲労性に劣り、両性能
を同時に満足するものはない。また耐疲労性に関しては
前述の如くKeにより変化し、本発明では、実用評価に
近い繊維に対する圧縮歪の低い条件としてKeが4以上
7未満の低撚数(例えばタイヤのベルト部相当)ではプ
ーリー径80mmを用い、Ke=7〜11の高撚数(例
えばタイヤのカーカス部相当)ではプーリー径25mm
を採用した。
【0023】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。なお実施例中における各種の物性値は以下の方法に
より測定された。 (1)PVA系重合体の粘度平均重合度(PA) JIS−K 6726に準じて、PVA系重合体を熱水
に溶かして希薄水溶液を作製し、30℃における比粘度
を3点測定し、それらの値から固有粘度〔η〕を求め、
PA=(〔η〕×104/8.29)1.63により粘度平
均重合度を求めた。
【0024】(2)金属含有量 試料約1gを精秤し燃焼法で灰化したあと、硝酸水溶液
で希釈し、原子吸光法にて、検量線より金属含有量を算
出した。 (3)油剤付着量、RFL付着量 RFL付着後の試料5〜10gを105℃×4時間熱風
乾燥機で絶乾して、重量W、を精秤し、次いで、濃HC
l処理でPVA系繊維を溶解して、未溶解物の重量W2
を測定する。さらに該未溶解物を100℃の水に入れ、
溶解した部分をNMRで測定して検量線のピーク比か
ら、油剤及びキレート化合物の含有重量%を求める。R
FL付着量はW2/(W1−W2)×100─(油剤及び
キレート化合物の含有重量%)の式より算出した。
【0025】(4)ディップコード引張強度 JIS−L1017に準じ、試料を20℃、65%RH
の温調室に24時間放置後に試長20cm引張速度10
cm/分初荷重1/20g/dでインストロンTM−M
型、エアー式コード用グリップにて切断強力を測定し
た。一方、撚糸前の原糸ヤーンに予め80回/mの撚り
をかけ、20℃、65%RHに24時間放置後、1/2
0g/d強力下で90m長のかせ捲きを作り、重量測定
よりヤーンデニールを算出する。次いでヤーンデニール
×コード構成本数をコードデニールとし、前記コード切
断強力をコードデニールで割ったものをコード引張強度
と表示した。
【0026】(5)RFL付着率 ディップコードを濃HClで処理してPVA系繊維を溶
解し、未溶解物の重量よりRFL液付着率を算出した。 (6)耐湿熱性 ディップコードにデニール当り20mgの荷重をかけ
て、水を満したガラス製円筒状密封容器の中間に吊し、
周囲より水を1℃/minの速度で加熱昇温させてい
き、繊維が溶断した時の温度を測定した。
【0027】(7)耐ゴム疲労性 厚さ0.7mmの生ゴムにディップコードを20本並べ
てコード層を作り、その上に厚さ2.4mmのカバーゴ
ムを置き圧縮側の3層構造物を作製する。さらに伸長側
として同一の3層構造物を別に作製し、これら2枚の3
層構造物を生ゴム層が内側となるように、また厚さ0.
7mmのクッションゴムを中間に挿入して7層からなる
ように重ね合わせ、サンドイッチ状の巾7cm×長42
cm、厚さ約8mmの矩形状シートを作製したあと15
0℃×45分、ゲージ圧90kg/cm2で加硫させ
る。次いで該矩形ベルトをたてに2分割したあとプーリ
ー径80mm又は25mmのベルト屈曲試験機で100
℃×25万回該ベルトを圧縮疲労させたあと、圧縮側の
コードをゴムより取出し、屈曲前後のコード強力より保
持率を算出した。
【0028】実施例1,2および比較例1,2 粘度平均重合度2400(実施例1)、7000(実施
例2)で、ケン化度がいずれも99.8モル%のPVA
をそれぞれ濃度14重量%、8重量%になるようにジメ
チルスルホキシド(DMSO)に添加し100℃にて溶
解し、メタノール/DMSO=7/3(重量比)、7℃
の凝固浴で湿式紡糸した。さらに40℃メタノール浴で
4倍湿延伸したあと、メタノール該溶剤をほとんど全部
除去し、90℃にて乾燥した。
【0029】得られた紡糸原糸を、実施例1は170℃
〜230℃で総延伸倍率が19.8倍、実施例2は17
0℃〜245℃、18.5倍になるように乾熱延伸し
た。次いで得られた延伸糸に表1の強力利用率の高い配
合油剤(繊維間摩擦係数0.23)及び化学式AでR=
1735、M=Cr、X1〜X4=Clのキレート化合物
(一方社油脂工業製、商品名 セブランCR−N)を純
分重量比で3:2になるように混合した、2%濃度の水
/メタノール=5/5液をローラタッチで付着させ13
0℃で乾燥した。
【0030】
【表1】
【0031】得られた延伸ヤーンは実施例1が1530
d/500fで油剤付着量0.84重量%、キレート化
合物のクロム付着量0.11重量%であり、実施例2が
1485d/500fで油剤付着量、0.65重量%、
クロム付着量0.08重量%であった。次いで該ヤーン
を用い実施例1,2共にリングツイスターで撚数12.
5t/inch、Z方向の下撚を施し、さらに該下撚糸
2本を合わせて、撚数12.5t/inch、S方向の
上撚をかけ生コードを作製した。撚係数は実施例1が
9.48、実施例2が9.34であった。次に表2に示
したRFL液を用い、浸漬法により該生コードにRFL
液を実施例1,2共に、8.1重量%付着させ、100
℃×2分間乾燥したあと、200℃×1分間、張力0.
6g/dで熱処理を施して、ディップコードを作製し
た。
【0032】
【表2】
【0033】実施例1では、ディップコード強度が8.
3g/dと式1を満足し、かつ25mm径プーリーで1
00℃×25万回ベルト屈曲後の強力保持率は86%と
高いものであった。実施例2ではディップコード強度が
11.2g/d、ベルト屈曲後の強力保持率は90%を
示し、軽量なタイヤのカーカス部材用コードとして、従
来にない高強力、高耐疲労性を有するものであった。
【0034】比較例1,2として、各々、実施例1,2
で該キレート化合物を付着させずに同様の実験を行なっ
たが、比較例1,2のディップコード強度は各8.2g
/d、11.4g/dで実施例1,2と同等になった
が、ベルト屈曲後の強力保持率は各71%、68%を示
し耐ゴム疲労性に劣るものであった。また耐湿熱性を表
わす、ディップコードの熱水溶解温度は、実施例1が1
48℃、実施例2が165℃であり、比較例1の124
℃及び比較例2の140℃に比べ、明らかに高い温度を
示し、キレート化合物の架橋による耐湿熱性の向上がみ
られた。
【0035】実施例3及び比較例3 粘度平均重合度17000のPVAを濃度5.0重量%
になるように190℃のグリセリンに溶解した。次いで
メタノール/グリセリン(重量比cc)=7/3,−1
0℃の凝固浴にて乾湿式紡糸し、湿延伸4倍、メタノー
ルによるグリセリン抽出、乾燥を施して紡糸原糸を得
た。該紡糸原糸を190℃−210℃−260℃で総延
伸倍率18.6倍になるように乾熱延伸したあと、化学
式AでR=C1327、M=Al、X1−X4=Clのキレ
ート化合物(一方社油脂工業製、商品名ゼブランA−M
L)をアルニミウム金属分として0.21重量%付着さ
せ、続けて表3の配合油剤(繊維間摩擦係数0.25)
を0.7重量%付着し、110℃で乾燥した。得られた
1400d/400fの延伸ヤーンに、リングツイスタ
ーを用いて、8t/inchの下撚と該下撚糸2本を合
わせて、さらに8t/inchの上撚をかけ、Ke=
5.80の生コードを作製した。
【0036】
【表3】
【0037】次に、表2に示したRFL液を用い浸漬法
により該生コードにRFL液を7.3重量%付着させ1
00℃×2分間乾燥したあと、210×1分間、張力
1.0g/dで熱処理してディップコードを作製した。
得られたディップコード強度は15.7g/d、80m
m径プーリーで100℃×25万回ベルト屈曲後の強力
保持率は84%、熱水溶解温度は178℃を示し、タイ
ヤのベルト部のタイヤコードに適した付加価値の高いも
のであった。比較例3は実施例3において、該キレート
化合物を付着後200℃×1分間で架橋したあと同様の
処理を施したが、RFL付着後の熱処理でさらに架橋が
進み、ディップコード強度は14.5g/dに低下し
た。
【0038】
【発明の効果】本発明は、詳述したように、重合度15
00以上のPVA系延伸繊維に有機系金属キレート化合
物およびコード強力利用率の高い油剤を付与し、150
℃以下で乾燥したのち、撚糸し、RFL液を付着させた
後の熱処理で該キレート化合物と繊維の架橋反応及びR
FLと繊維の固着反応を起こさせ、その結果高強度でか
つ高耐ゴム疲労性のディップコードを得るものである。
本発明のPVA系ディップコードは、タイヤ、オイルブ
レーキホース、ラジエーターホース、消防ホース、コン
ベアベルト、V−ベルトなどのゴム製品の補強材として
極めて適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 3/00 - 3/48 D01F 6/14 D07B 1/16 D06B 1/00 - 23/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均重合度が1500以上のポリビ
    ニルアルコール系繊維から構成され、かつ撚係数(K
    e)が4〜11の撚がかけられており、さらにレゾルシ
    ン−ホルムアルデヒド−ラテックス処理されたコードで
    あって、コード強度が下記式Iを満足しかつ低歪ベルト
    屈曲疲労における100℃×25万回後の強力保持率が
    80%以上であるポリビニルアルコール系コード。 DT≧5.6(PA)0.13−0.8Ke・・・・・・I 但し、DTはレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテック
    ス処理後のコード強度(g/d)、PAは繊維を構成す
    るポリビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度、K
    eは上記撚係数を意味する。
  2. 【請求項2】 粘度平均重合度が1500以上のポリビ
    ニルアルコール系重合体を紡糸し、乾熱延伸したのち、
    得られる延伸糸に下記化学式Aで表される有機系金属キ
    レート化合物及びコード強力利用率向上油剤を付与して
    150℃以下の温度で乾燥を行い、そして撚係数(K
    e)が4〜11の撚を付与し、次いでレゾルシン−ホル
    ムアルデヒド−ラテックス液を付与し、しかる後に18
    0〜220℃で熱処理を行うことを特徴とするポリビニ
    ルアルコール系コードの製造方法。 【化1】 但し、上記化学式Aにおいて、Mはキレート形成能を有
    する金属原子、Rはアルキル基、X1〜X4は同一又は異
    なっていてもよいハロゲン原子または水酸基を表す。
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