JP3021859B2 - 高性能ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法 - Google Patents

高性能ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法

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JP3021859B2
JP3021859B2 JP3292326A JP29232691A JP3021859B2 JP 3021859 B2 JP3021859 B2 JP 3021859B2 JP 3292326 A JP3292326 A JP 3292326A JP 29232691 A JP29232691 A JP 29232691A JP 3021859 B2 JP3021859 B2 JP 3021859B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度、高弾性率で耐
湿熱性に優れ、耐ゴム疲労性や耐オートクレーブ養生性
に良好なポリビニルアルコール(以下PVAと略記す
る)系繊維とその製造法に関するものである。本発明の
繊維は、高温で長時間使用されるタイヤ、ホース、コン
ベアベルトなどのゴム資材や、耐湿熱性にも要求される
セメントやプラスチックなどの補強材、さらには耐水性
が必要なロープ、帆布、テントなどの産業資材に適した
高強度、高弾性率を有するPVA系繊維である。
【0002】
【従来の技術】従来、PVA繊維は、強度、弾性率や耐
候性、耐薬品性、接着性などの点で、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて優れて
おり、産業資材分野を中心に独自の用途を開拓してき
た。最近では耐アルカリ性の特徴を生かしたセメント補
強用繊維(アスベスト繊維の代替)として注目されてい
る。そしてさらなる高強度、高弾性率と合わせて、高耐
湿熱性、高耐ゴム疲労性のPVA系繊維が開発されれ
ば、ゴムやプラスチックの補強材あるいはロープ、漁
網、テントなどにおいて、特に水や熱に厳しい条件でも
使用可能となり、安全性、耐久性、軽量性などの点で優
れた商品が期待される。
【0003】高重合度PVAを用いて高強力、高弾性率
繊維を得る方法が特開昭59−190314号、特開昭
61−289112号、特開昭62−85013号で開
示され、強度19〜29g/d、弾性率550〜650
g/dの繊維が得られている。しかしこれらの繊維は、
耐湿熱性や耐オートクレーブ性あるいは耐ゴム疲労性の
点で十分とは言い難い。
【0004】一方、乾熱延伸時や乾熱放置時の着色や強
力低下を抑えようとする試みは古くから行なわれ、特公
昭35−1669号、特公昭45−7691号、特公昭
47−29048号などで開示されている。しかしこれ
らの方法では最近の高重合度PVAで強度低下や乾熱老
化性を十分抑制しがたく、かつ耐湿熱性も不十分であ
る。
【0005】耐湿熱性を向上させるため架橋を施す方法
として、特開昭63−120107号のアセタール化処
理や特開平1−156517号におけるパーオキサイド
などの架橋性薬剤処理あるいは特開平1−207435
号のイソシアネート化合物処理などが公知であるが、架
橋と共にPVAの分解が起こり、繊維強度、弾性率、耐
熱老化性などが低下する問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の背景を踏まえ、
本発明の目的は、耐湿熱性や耐オートクレーブ性以上あ
るいは耐ゴム疲労性に優れ、かつ高強度、高弾性率を有
するPVA系繊維を得んとするものである。
【0007】強度、弾性率および耐湿熱性は一般に重合
度が高いほど増大する。この理由は明らかでないが結晶
と結晶を結ぶタイ(tie)分子の強化と、欠陥になる
分子末端数の減少などが考えられる。しかし、一方では
高重合度ほど1分子鎖のからみ点が多く延伸されずら
い。配向と結晶化を向上させ、強度、弾性率を高める為
に高温高倍率延伸が一般に用いられるが、この場合PV
Aの分解や分子鎖の切断が起こり、これがその後の耐湿
熱性や耐オートクレーブ性あるいは耐ゴム疲労性を向上
させるアセタール化処理で加速され、強度や弾性率の低
下が激しくなる。
【0008】本発明者らは高重合度PVA系重合体を用
い、如何に熱分解を抑え、高温で高倍率延伸により高強
度、高弾性率繊維とするか、そしてその後のアセタール
化処理で如何に強度、弾性率の低下を抑えるか、につき
鋭意検討を重ねた。
【0009】
【課題を解決するための手段】その検討の結果、延伸前
の紡糸原糸に、少なくとも分解抑制剤を含有させてPV
Aの分解を抑える事により高強度、高弾性率繊維が得ら
れ、かつアセタール化処理時の性能低下も抑え得る事を
見出し、本発明に至ったものである。
【0010】すなわち本発明は、「(1)粘度平均重合
度が6000以上のポリビニルアルコール系重合体から
なり、分解抑制剤を0.01〜2.0重量%含有し、ア
セタール化度が2〜20モル%であって、単繊維強度が
18g/d以上、単繊維弾性率が450g/d以上、熱
水溶断温度が150℃以上である高性能ポリビニルアル
コール系繊維」および「(2)粘度平均重合度が600
0以上のポリビニルアルコール系重合体を溶剤に溶解
し、常法により紡糸して紡糸原糸を得る際、少なくとも
分解抑制剤を該原糸に対し0.01〜2.0重量%含有
せしめ、その後240℃以上の乾熱で総延伸倍率が18
倍以上になるように延伸し、次いでアセタール化度が2
〜20モル%になるように処理する事を特徴とする高性
能ポリビニルアルコール系繊維の製造法」を提供せんと
するものである。
【0011】以下本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVAとは、粘度平均重合度が600
0以上のものであり、ケン化度が98.5モル%以上、
好ましくは99.0モル%以上で、分岐度の低い直鎖状
のものである。PVAの平均重合度が高いほど高強度、
高弾性率、高耐湿熱性が得やすく、好ましくは8,00
0以上さらに好ましくは10,000以上である。
【0012】PVA系重合体には3重量%以下の顔料、
酸化紡糸剤、紫外線吸収剤、結晶化抑制剤、架橋剤、界
面活性剤など必要に応じて添加しても支障ない。
【0013】PVA系重合体の溶剤としては、グリセリ
ン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、3−メチルペンタン−1,3,5
−トリオールなどの多価アルコールやジメチルスルホキ
シド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン、1,3ジメチル2−イミダゾリ
ジノン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンおよ
び水などが単独または混合して使用される。さらに塩化
亜鉛、塩化マグネシウム、ロダンカルシウム、臭化リチ
ウムなどの無機塩水溶液など該重合体を溶解するものも
使用可能である。冷却でゲル化するような多価アルコー
ルやそれらと水との混合溶剤あるいはジメチルスルホキ
シド、ジメチルホルムアミドやそれらと水との混合溶剤
などが紡糸安定となり易いので好ましい。
【0014】紡糸方式としては湿式、乾式、乾湿式など
一般に用いられるいずれの方式でも何んら支障ない。中
でも、乾湿式法を用い、PVA系重合体の溶液を紡糸ノ
ズルより吐出させ、直ちに低温のメタノールやエタノー
ルなどアルコール類あるいはそれらと該溶剤との混合液
さらには無機塩やアルカリを含む水溶液に浸漬して急冷
し均質で透明なゲル繊維を得る方法が好ましい。
【0015】高シンジオPVA系重合体は、アタクチッ
クPVAに比べて結晶化し易いので、凝固時は20℃以
下の低温にして結晶化を抑え、かつ溶剤抽出をゆっくり
して均質なゲル繊維を得るのが、その後の高倍率延伸に
つながり、高機能性繊維となり易い。
【0016】ゲル繊維の断面変形や膠着を防止し、かつ
紡糸時の微結晶を破壊して延伸倍率を向上させるため
に、溶剤を含んだままで2倍以上、好ましくは4倍以上
に湿延伸するのが良い。
【0017】続いてメタノール、エタノールなどのアル
コール類やアセトン、水などの抽出剤で該溶剤のほとん
ど全部を除去したあと、乾燥により該抽出剤を蒸発させ
る。
【0018】その後乾熱延伸するが、本発明では紡糸原
液から乾熱延伸直前までの間で、分解抑制剤を添加又は
/及び付着させ、延伸時のPVA分解とその後のアセタ
ール化処理での強度低下を抑えることがポイントであ
る。本発明においては、前記延伸時やアセタール化時ば
かりでなく、さらに実用時での熱老化性も抑え、寿命を
長くする効果も兼備する。
【0019】本発明に言う分解抑制剤とは、フェノール
系、ホスファイト系、チオエステル系、ベンゾトリアゾ
ール系、ヒンダードアミン系などの有機系酸化防止剤あ
るいはCu,Mn,Ti,Sn,Pb,Zn,Crなど
の硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物の無機系金属塩、さら
には次の3つに分類されるチッ素含有界面活性剤が挙げ
られ、これらの1種又は2種以上を用いることが出来
る。
【0020】(1) 分子内にアミド結合または尿素結
合を有するアンモニウム化合物。 例えば化学式1の構造式で表わされるカチオン界面活性
剤。
【0021】
【化1】
【0022】(2) 分子内にアミド結合または尿素結
合を有するスルホネート化合物。 例えば化学式2の構造式で表わされるアニオン界面活性
剤。
【0023】
【化2】
【0024】(3) スルホネートのアミン化合物。 例えば化学式3で表わされるアニオン活性剤。
【0025】
【化3】
【0026】これらの分解抑制剤を、平滑剤や乳化剤が
入った配合油剤に添加して繊維に付着しても良いが、付
着斑や紡糸から延伸までにおける脱落、あるいは延伸性
の阻害があるものは好ましくない。
【0027】該分解抑制剤の含有量はアセタール化処理
の繊維に対し0.01〜2.0重量%である。分解抑制
剤の含有量は種類によって異なるが、有機系酸化防止剤
では0.3〜1.5重量%が好ましく、無機系金属塩で
は0.01〜0.5重量%が好ましく、チッ素含有界面
活性剤では0.1〜1重量%が好ましい。分解抑制剤の
中には多すぎると逆に分解を促進する事があるので要注
意である。分解抑制剤の含有量が0.01重量%未満で
は分解抑制効果が少なく、2重量%を超えると紡糸時の
糸切れや延伸倍率の低下、あるいは逆に分解を促進する
場合があり好ましくない。なお、分解抑制剤を2種類以
上使用した時の含有量は総和量を意味する。
【0028】得られた紡糸原糸は、次に乾熱延伸する
が、この場合総延伸倍率を18倍以上にする必要があ
り、20倍以上が好ましい。18倍未満ではPVA分子
鎖の配向が不十分であり、より高い強度、弾性率を得る
のが難しい。総延伸倍率は湿延倍率と乾熱延伸倍率の積
で表わされる。また、延伸倍率や結晶化度を高め、強
度、弾性率、耐熱水性に優れたPVA繊維をつくる為に
は、延伸温度は240℃以上が必要であり、好ましくは
245℃以上である。
【0029】また高重合度ほど分子鎖のからみや微結晶
間を結ぶタイ分子が多い為か延伸倍率が低下し易く、そ
れをカバーする為には高温延伸が必要である。しかし、
従来高温になるほどPVAの着色分解が激しく、延伸張
力の低下、ひいては強度、弾性率の低下、さらには耐熱
老化性の悪化を招いた。
【0030】本発明では、分解抑制剤を添加又は/及び
付着させる事によって、より高い延伸温度でもPVA分
解を抑え、高倍率延伸が可能となった。すなわち本発明
の分解抑制剤の効果は高重合度PVA繊維において特に
発揮され、その後のアセタール化処理でも持続する事が
判明した。
【0031】延伸雰囲気は一般に空気、窒素などの不活
性ガス、水蒸気、油浴などが考えられるが、操作性、コ
ストなどの点で加熱空気が適している。また延伸は、熱
板や熱ローラを用いた接触タイプと熱風炉を用いた非接
触タイプがあり、どちらも可能である。
【0032】アセタール化処理に用いられるアルデヒド
化合物は特に限定されないが、強度、弾性率を大きく低
下させず、耐湿熱性や耐ゴム疲労性を高めるにはホルマ
リンやベンズアルデヒド、グルタルアルデヒドなどが好
ましく用いられる。アセタール化度2モル%未満では、
耐湿熱性や耐オートクレーブ性さらには特に高温での耐
ゴム疲労性などが不十分となり好ましくない。アセター
ル化度が20モル%を越えると強度や弾性率の低下が大
きく、さらに実用時耐熱老化性を要求される分野では不
合格となる事が多い。
【0033】架橋剤としてはアルデヒド化合物以外に、
リン酸、硫酸、塩酸などの強酸やパーオキサイド化合
物、イソシアネート化合物などがあるが、いずれも強度
低下が大きかったり、耐湿熱性が不十分であったりする
問題を生じた。
【0034】本発明により得られる繊維は、単繊維強度
が18g/d以上、単繊維弾性率が450g/d以上、
熱水溶断温度が150℃以上であり、重合度が10,0
00以上になると強度20g/d以上、弾性率500g
/d以上、熱水溶断温度が165℃以上を示し、165
℃オートクレープ養生が可能になったり、100℃耐ゴ
ム屈曲疲労性が向上するなど、従来にみられない高性能
PVA繊維であった。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明は実施例にのみに限定されるものでは
ない。なお実施例中における各種の物性値は以下の方法
により測定した。
【0036】1)PVAの粘度平均重合度および重合度
低下率:PVA系重合体を酢化して得た酢酸ビニルの3
0℃におけるPVA希薄アセトン溶液の比粘度ηspを
5点測定し、以下の数式1より[η]を求め、さらに以
下の数式2より粘度平均重合度を求めた。また重合度低
下率は、延伸糸の重合度を上述と同様に求め、もとのP
VAの重合体に対する低下率より求めた。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】2)酸化防止剤および界面活性剤の付着
量:乾燥後の未延伸糸を100〜130℃の熱水に溶解
せしめ、NMRによりPVAのCH2基ピークに対する
酸化防止剤および界面活性剤のピーク比を算出し、予め
作成した検量線より付着量を求めた。
【0040】3)無機金属塩含有量:乾燥後の未延伸糸
を100〜130℃の熱水に溶解せしめ、蛍光X線で特
定元素のピークを測定し、検量線より求めた。
【0041】4)アセタール化度:試料約1gを希硫酸
の中に入れて加熱し、水蒸気を吹き込みながら遊離した
ホルマリンを溜出させて酸性亜硫酸ソーダと反応させ
る。次いで過剰の酸性亜硫酸ソーダをヨウ素溶液で酸化
したあと、炭酸ソーダを加えて、遊離した酸性亜硫酸ソ
ーダ1/50Nヨード溶液で逆滴定して次式より重量%
を求め、モル%に換算した。 HCHO(wt%)=0.3×a×f/W ここでW:絶乾試料重量(g) a:滴定所要量(ml) f:1/50Nヨード溶液の力価
【0042】5)熱水溶断温度(WTb):単繊維25
本にデニール当り200mgの荷重をかけて、水を満た
したガラス製円筒状密封容器の中間に吊し、周囲より水
を1〜2℃/minの速度で加熱昇温させていき、繊維
が溶断したときの温度を測定した。
【0043】6)単糸引張強伸度、弾性率:JIS L
−1013に準じ、予め調湿された単繊維を試長10c
mになるように台紙に貼り、25℃×60%で12時間
以上放置する。次いでインストロン1122で2kg用
チャックを用い、初荷重1/20g/d、引張速度50
%/minにて、破断強伸度および初期弾性率を求め、
n≧20の平均値を採用した。デニールは1/10g/
d荷重下で30cmにカットし、重量法より求めた。な
おデニール測定後の単繊維を用いて強伸度、弾性率を測
定し1本ずつデニールと対応させた。
【0044】7)耐熱老化性(乾熱処理後の強力保持
率):ヤーンをフリーの状態で熱風炉に入れ、160
℃、24時間あるいは160℃、48時間乾熱処理した
後のヤーン強力を測定し、乾熱処理舞えのヤーン強力に
対する強力保持率(%)を算出した。
【0045】8)耐オートクレーブ養生性:試料を6m
mにカットし、試料2%、パルプ3%、ポートランドセ
メント95%のスレート板(60×200×4mm)を
作成し、150〜180℃の蒸気下で10時間オートク
レーブ養生したあと、スレート位置の曲げ強度(DB
S)を測定した。
【0046】9)耐ゴム疲労性:約5000デニールの
諸撚コードをRFL処理し、生ゴムにコードを20本並
べてその上に生ゴムをはる。サンドウィッチ上に2層の
コード層を作って加硫し、短形状のベルトを作成する。
ついでプーリー径25mmのベルト屈曲試験機で100
℃、3万回該ベルトを圧縮疲労させたあと、圧縮部のコ
ードをゴムより取り出し、疲労前後のコード強力より保
持率を算出した。
【0047】実施例1,2および比較例1: 粘度平均
重合度7,000(実施例1)と12,000(実施例
2)でケン化度がいずれも99.5モル%のPVAをそ
れぞれ濃度7重量%と6重量%になるようにジメチルス
ルホキシドに80℃で溶解し、得られた各溶液を300
ホールのノズルより吐出させ、メタノール/ジメチルス
ルホキシド=7/3重量比、5℃の凝固浴で湿式紡糸し
た。さらに40℃メタノール浴で4倍湿延伸したあと、
メタノールで該溶剤をほとんど全部除去した。
【0048】最後のメタノール抽出浴にはフェノール系
酸化防止剤である44’−チオビス−(6−tブチル−
3−メチルフェノール)を0.5重量%/浴になるよう
に添加し、均一溶液としたあと、繊維を3分間滞留させ
てメタノール含有繊維の内部および表面に付着させた。
次いでステアリルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロ
キシエチルアンモニウム硝酸塩のカチオン界面活性剤
0.5重量%とPOE(20)ソルビタンモノステアレ
ート3重量%のメタノール溶液を付着させ、80℃にて
乾燥した。
【0049】得られた紡糸原糸の酸化防止剤付着量は実
施例1が0.75重量%、実施例2が0.80重量%で
あり、界面活性剤付着量はそれぞれ0.45重量%、
0.51重量%であった。
【0050】次いで実施例1では、得られた紡糸原糸を
80℃、200℃、245℃の3セクションからなる熱
風炉で総延伸倍率20.1倍に、実施例2では180
℃、200℃、253℃、19.4倍になるように延伸
した。延伸糸はいずれも着色や膠着がなかった。なお、
延伸糸の重合度低下率はそれぞれ7%と9%であり、分
解抑制効果がみられた。
【0051】得られた2種の延伸糸を、HCHO 20
0g/l、H2SO4 50g/l、Na2SO4 50g
/lの水溶液の中に浸漬し、80℃、1時間ホルマール
化処理をしたあと、水洗を充分行ない60℃で熱風乾燥
した。ホルマール化度は実施例1が16モル%、実施例
2が12モル%であった。
【0052】単繊維強度はそれぞれ21.5g/d、2
3.1g/dであり、弾性率はそれぞれ495g/d、
530g/dと高い値を示した。また熱水溶断温度はそ
れぞれ162℃と173℃を示し、従来にみられない高
性能PVA繊維であった。また耐オートクレーブ性は実
施例1で160℃養生のスレート板曲げ強度が290k
g/cm2と合格基準の250kg/cm2を上廻り、実
施例2では170℃養生で278kg/cm2を示し
た。さらに耐ゴム疲労性では100℃、3万回のベルト
屈曲疲労後の強力保持率がそれぞれ71%、79%と高
い値を示し、FRCやFRPの補強材や産業資材用途に
高付加値なPVA繊維となった。
【0053】比較例1として実施例2で該フエノール系
酸化防止剤および界面活性剤を付着させない場合を実施
したが、延伸時に着色がみられ、重合度低下率も25%
に増大した。その後実施例2と同様にホルマール化処理
をしたが、得られた繊維の強度は18.3g/d、弾性
率は410g/dと低いものであった。
【0054】実施例3: 粘度平均重合度17,000
のPVAを濃度5重量%になるように180℃でグリセ
リンに溶解した。同時にフェノール系酸化防止剤のN
N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)をPVAに対し
0.7重量%とチオエステル系酸化防止剤のジラウリル
チオジプロピオネートを1.0重量%添加し、紡糸原糸
を作成した。次いで150ホールのノズルより吐出させ
乾湿式紡糸を行なった。凝固浴はメタノール/グリセリ
ン=8/2、−10℃にて、透明なゲル繊維を得たあ
と、40℃メタノール浴で4倍湿延伸した。その後、メ
タノールでグリセリンを抽出し、90℃で3%収縮を入
れながら熱風乾燥して、紡糸原糸を得た。
【0055】該原糸のフェノール系およびチオエステル
系酸化防止剤の含有量はそれぞれ0.31重量%および
0.55重量%であった。引続き、該原糸にローラータ
ッチ方式でオクチルメチルタウリンNa塩の界面活性剤
0.3重量%とグリセリントリオレエート1重量%を付
着させ、170℃と263℃の輻射炉を用い、総延伸倍
率19.8倍の乾熱延伸を行なった。得られた延伸糸の
重合度は14,600で低下率は14%に抑えられた。
【0056】得られた延伸糸をグルタルアルデヒド20
0g/l、H2SO4100g/l、Na2SO4100g
/lの水溶液中に浸漬し、90℃、1時間アセタール化
処理を行なって水洗乾燥した。アセタール化度は8モル
%であった。
【0057】単繊維強度は25.6g/d、弾性率は5
90g/d、熱水溶断温度は185℃と、従来にない高
性能を示した。またオートクレーブも180℃が可能と
なり、100℃、3万回のベルト疲労後の強力保持率も
82%を保持した。さらに160℃、24時間および4
8時間乾熱処理後の強力保持率はそれぞれ75%、62
%と高く、分解抑制剤の効果が持続している事がわかっ
た。
【0058】実施例4: 平均重合度23,000のP
VAを濃度4.2重量%になるように170℃のエチレ
ングリコールに溶解し、80ホールのノズルより乾湿式
法にて紡糸した。凝固温度はメタノール/エチレングリ
コール=8/2、0℃として急冷ゲル化させ、湿延伸を
4倍施した。次いでメタノールでエチレングリコールの
ほとんど全部を抽出したあと、最後のメタノール浴に塩
化マンガンを入れ0.03重量%含有させた。次いでジ
ステアリルジメチルアンモニウムクロライドの界面活性
剤およびPOE(150)カスターワックスをそれぞれ
繊維に対し0.6重量%および0.5重量%付着させて
80℃で乾燥した。その後190℃と265℃の2つの
熱風炉により総延伸倍率20.3倍で乾熱延伸した。次
いでHCHO150g/l、H2SO480g/l、Na
2SO480g/l90℃、30分処理によりホルマール
化度7モル%のPVA繊維を得た。得られた単繊維の強
度は26.8g/d、弾性率は655g/d、熱水溶断
温度は194℃と非常に高く、従来に見られない高付加
値繊維となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特許2911073(JP,B2) 特許2888503(JP,B2) 特許2851017(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 1/00 - 11/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均重合度が6000以上のポリビ
    ニルアルコール系重合体からなり、分解抑制剤を0.0
    1〜2.0重量%含有し、アセタール化度が2〜20モ
    ル%であって、単繊維強度が18g/d以上、単繊維弾
    性率が450g/d以上、熱水溶断温度が150℃以上
    である高性能ポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 粘度平均重合度が6000以上のポリビ
    ニルアルコール系重合体を溶剤に溶解し、常法により紡
    糸して紡糸原糸を得る際に、少なくとも分解抑制剤を該
    原糸に対し0.01〜2.0重量%含有せしめ、その後
    240℃以上の乾熱で総延伸倍率が18倍以上になるよ
    うに延伸し、次いでアセタール化度が2〜20モル%に
    なるように処理する事を特徴とする高性能ポリビニルア
    ルコール系繊維の製造法。
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