JP3316300B2 - 耐久性に優れたポリビニルアルコール系繊維およびその製造法 - Google Patents

耐久性に優れたポリビニルアルコール系繊維およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、長時間くり返し屈曲や
摩擦を受けるタイヤ、ベルト、ホースなどのゴム補強材
や漁網、ロープ、テント、土木シートなどの一般産業資
材に適した、耐久性に優れたポリビニルアルコール(以
下PVAと略記する)系繊維およびその製造法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来PVA系繊維は、強度、弾性率や耐
候性、耐薬品性、接着性などの点でポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて優れてお
り、産業資材分野を中心に独自の用途を開拓してきた。
最近では耐アルカリ性の特徴を生かしたセメント補強用
繊維(アスベスト代替)やアルカリ電池用セパレーター
などに注目されている。しかしながら、長時間くり返し
使用する場合、繊維同志が摩擦したり、融着が起こって
性能が低下し易い欠点があった。また、タイヤコードと
して使用した場合、屈曲によりキンクが発生し強力低下
を起こすという問題であった。このような、長時間の疲
労性が改良されれば、ゴム補強材や一般産業資材として
付加価値の高い繊維が期待できる。
【0003】高強力、高弾性率なPVA系繊維を得る方
法は、特開昭59−130314号公報、特開昭61−
289112号公報、特開平2−74606号公報など
に例示されているが、これらの方法により製造される高
強力・高弾性率繊維はいずれも長時間くり返し使用時の
耐摩擦性や耐疲労性が十分でなかった。一方、ゴムとの
接着性が悪い芳香族ポリアミドやポリエステルは通常エ
ポキシ樹脂を付着し、熱処理したあと、レゾルシン−ホ
ルマリン−ゴムラテックス(RFL)を付着して熱処理
することが特開昭59−94640号公報、特開昭61
−146876号公報、特開平1−207480号公報
などに開示されているが、これらはいずれも耐ゴム疲労
性の点で満足できるものではなかった。その後芳香族ポ
リアミドの耐ゴム疲労性を向上させるものとして、特開
平6−25977号公報及び特開平6−25978号公
報には、エポキシ化合物付着−熱処理−RFL付着−熱
処理−撚糸−RFL付着−熱処理の方法が示されている
が、工程が複雑であり、かつ、撚糸する前に樹脂のみ付
着している為、撚糸コードにした時の強力が低く(コー
ド強力利用率が低い)、さらに耐ゴム疲労性の改善程度
も不十分であるという欠点を有していた。
【0004】一方、PVA繊維は、ゴムとの接着性が良
いため、通常撚糸コードにRFL処理だけを施す。この
場合、RFL処理前又は後に張力をかけて強度を高める
方法が、特開昭63−162303号公報、特開昭63
−165548号公報、特開昭64−52842号公
報、特開平1−207435号公報、特開平2−216
288号公報などで公知である。しかし、これらはいず
れもRFL液が撚糸コード内部まで浸透しずらい為、く
り返し屈曲に対し、コード撚合わせ部が摩擦したり、融
着し、さらにはキンクバンドの成長を促して、疲労性を
悪化させる。また、PVA系コードのRFL処理前に液
状ゴムを含浸させ、耐疲労性を向上させる方法も特開昭
63−66382号公報、特開昭63−196778号
公報で公知であるが、耐疲労性の改善の程度は十分とは
言えず、さらにその後の工程性通過性やコードの強力利
用率低下を招き高強度、高弾性率なコードが得難かっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PVA系繊
維の耐摩擦や耐屈曲疲労性を向上させることを目的とす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、PV
A系繊維表面が該繊維に対して0.5〜10重量%の樹
脂でコートされており、さらにF/F静摩擦係数が0.
28以下の油剤が付与されているPVA系繊維であり、
そしてこのような繊維の製造方法として、PVA系繊維
に繊維重量に対して0.5〜10重量%の樹脂をコート
し、0.2g/d以上の張力下で熱処理を施した後、F
/F静摩擦係数が0.28以下の油剤を付与する方法に
関するものである。
【0007】以下、本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVAは粘度平均重合度が1500以
上のものであり、ケン化度が98モル%以上で分岐度の
低い直鎖状のものである。PVAの重合度が高いほどネ
ットワーク構造で多くの結晶を貫通するタイ分子の数が
多くなり、高強度、高弾性率で摩擦や屈曲疲労に耐える
ものが得やすい。好ましくは3000以上、さらに好ま
しくは6000以上である。PVA系重合体には5重量
%以下の顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶化抑制
剤、架橋剤、界面活性剤など必要に応じて添加しても支
障ない。また、5モル%以下の改質剤を共重合したもの
も含まれる。
【0008】PVA系繊維の製造法としては、PVAを
溶剤に溶解したのち、紡糸し延伸する方法が用いられ
る。PVA系重合体の溶剤としては、グリセリン、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオ
ールなどの多価アルコールやジメチルスルホキシド(D
MSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、N−メチルピロリドン、1.3ジメチル2−イミダ
ゾリジノン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン
および水などが単独または混合して使用される。さらに
塩化亜鉛、塩化マグネシウム、ロダンカルシウム、臭化
リチウムなどの無機塩水溶液など該重合体を溶解するも
のも使用可能である。冷却でゲル化するような多価アル
コールやそれらと水との混合溶剤あるいはジメチルスル
ホキシド、ジメチルホルムアミドやそれらと水との混合
溶剤などが紡糸安定となり易いので好ましい。
【0009】紡糸方式としては湿式、乾式、乾湿式など
一般に用いられるいずれの方式でも何んら支障ない。中
でも、乾湿式法を用い、PVA系重合体の溶液を紡糸ノ
ズルより吐出させ、直ちに低温のメタノールやエタノー
ルなどアルコール類あるいはそれらと該溶剤との混合液
さらには無機塩やアルカリを含む水溶液に浸漬して急冷
し均質で透明なゲル繊維を得る方法が好ましい。また、
ゲル繊維の断面変形や膠着を防止し、かつ紡糸時の微結
晶を破壊して延伸倍率を向上させるために溶剤を含んだ
ままで2倍以上、好ましくは4倍以上湿延伸するのが良
い。続いてメタノール、エタノールなどのアルコール類
やアセトン、水などの抽出剤で該溶剤のほとんど全部を
除去したあと、乾燥により該抽出剤を蒸発させる。
【0010】以上の方法により得られた紡糸原糸を常法
により220℃以上の高温で総延伸倍率16倍以上の乾
熱延伸を施す。総延伸倍率は前記湿延伸倍率と乾熱延伸
倍率の積で表されるが、総延伸倍率が16倍未満ではP
VA分子鎖の配向が不十分となり、高強度、高弾性率繊
維が得難い。また、乾熱延伸温度が220℃未満では倍
率が低下し、結晶化も不十分となって、寸法安定性が不
十分となる。なお、高温での延伸をスムーズに行った
り、PVAの着色分解を抑える為に延伸前までに油剤や
酸化防止剤などを付着しても何んら問題ない。このよう
な方法を用いることにより、粘度平均重合度1500〜
3000の範囲のPVAからはヤーンとして、引張り強
度12g/d以上、初期弾性率200g/d以上のPV
A系繊維が、また粘度平均重合度3000〜6000の
範囲のPVAからはヤーンとして、引張り強度15g/
d以上、初期弾性率250g/d以上のPVA系繊維
が、粘度平均重合度6000以上のPVAからはヤーン
として、引張り強度17g/d以上、初期弾性率300
g/d以上のPVA系繊維がそれぞれ得られる。
【0011】次いで本発明では耐摩耗性、耐屈曲疲労
性、防融性など長期間使用される時の耐久性を付与する
為に、得られた高強度、高弾性率のPVA系延伸糸に
0.5〜10重量%の樹脂をコートする必要がある。樹
脂としては例えば1分子中に2個以上のエポキシ基を含
有するエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹
脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱
硬化性樹脂、又はアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、塩
化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、更
にはエチレン−プロピレン共重合体、ビニルピリジン系
樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などのゴム弾性体
から成る1種又は2種以上を用いる事が出来る。但し、
耐熱性や耐摩耗性の低いものは望ましくなく、100℃
以上に耐えるもの(すなわち100℃で溶融せず、かつ
実質的に熱分解しない樹脂)で、かつ、摩耗しずらいも
のが好ましく、PVA系繊維と架橋したり、樹脂自身が
架橋し、被膜を形成するもの、例えば2官能基以上のエ
ポキシ系樹脂化合物、不飽和ポリエステル化合物、イソ
シアネート系樹脂化合物、メチロールメラミン化合物、
ビニルピリジン系樹脂化合物、ポリアミド系化合物など
がより好ましい。但し、繊維自身が硬くなりすぎて、耐
屈曲疲労性や強伸度、弾性率が大きく低下するのは好ま
しくなく、上記の好適樹脂はいずれもこの要件を満足す
るものである。
【0012】また、必要に応じ、酸、アルカリ、硬化
剤、分散剤などを樹脂と一緒に混合し、水や有機溶剤に
溶解又は乳化した液を用いて、繊維表面にコートする。
コートする方法はローラタッチ方式やデイップニップ方
式、ギアポンプオイリング方式などいずれでも支障な
い。該樹脂の付着量が繊維に対し0.5重量%未満で
は、耐摩耗性や耐屈曲疲労性の効果が不十分であり、1
0重量%を超えると繊維の強度や弾性率の低下あるいは
PVAの分解を誘発し易く、さらに繊維が硬くなって逆
に耐摩耗性や耐屈曲疲労性が悪化する。好ましい付着量
は1〜5重量%である。
【0013】次いで樹脂付着後、乾燥を含めた熱処理を
施し、樹脂と繊維を反応させたり樹脂の被膜を形成させ
るが、その場合少なくとも0.2g/d以上の張力下で
処理するのが良い。0.2g/d未満の張力では、繊維
の収縮が起こり易く、強度、弾性率の低下を来たす。ま
た、高張力で単糸切れが生じる事も性能低下につなが
り、好ましくは0.5〜1.5g/dである。熱処理温
度としては、樹脂が架橋または乾燥固化される温度、す
なわち100℃以上が採用される。
【0014】本発明では、樹脂付着−熱処理後に後述す
る方法で測定した繊維−繊維間の静摩擦係数が0.28
以下の油剤を付着させる。この目的は、それ以降の工程
通過性を良好にさせる事とタイヤコードやロープ、漁網
などの撚糸コードを作成した時の強力利用率(ヤーン強
度に対するコード強度の比)を高めて強度低下を抑える
事にある。従って、樹脂のみで油剤がない場合、又は静
摩擦係数が0.28を超える油剤を付着した場合は上記
の効果が期待できない。低摩擦油剤としては、例えば鋳
物油系、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキ
サイドの共重合物(PO/EO系)、多価アルコールの
脂肪酸エステル系、シリコン系、フッ素系などに属する
ものが挙げられる。付着量は繊維重量に対して0.1〜
1重量%が良く、付着後乾燥時には張力下で行うのが好
ましい。
【0015】本発明により、高強度、高弾性率を維持
し、かつ耐摩耗性や耐屈曲疲労性に優れた耐久性のある
PVA系繊維が得られ、タイヤ、ホース、ベルトなどの
ゴム資材やロープ、漁網など一般産業資材に適したもの
となった。
【0016】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。なお実施例中における各種の物性値は以下の方法に
より測定された。 (1)PVA系重合体の粘度平均重合度(PA) JIS K−6726に準じて、PVA系重合体を熱水
に溶かして希薄水溶液を作製し、30℃における比粘度
を3点測定し、それらの値から固有粘度〔η〕を求め、
PA=(〔η〕×104/8.29)1.63により粘度平
均重合度を求めた。 (2)繊維対繊維静摩擦係数(F/Fμs) 油剤を固形分で1.0重量%付与した繊維を用いて、J
IS L−1015に準拠して測定。但し、ステープル
による円筒スライバーの代わりに両ツバ針付ボビンにフ
ィラメントを平行に鼓状に捲き付けたものを用いた。
【0017】(3)樹脂付着量 試料約5gを精秤し、熱水にて繊維のみを溶解してその
残査重量より算出するか、又は樹脂のみを溶解して試料
の重量減少より求めた。 (4)ヤーン引張強度、初期弾性率 JIS−L1013に準じ,ヤーンに予め80回/mの
撚りをかけ、20℃、65%RHにて24時間放置後、
20℃、65%RHの標準状態で、試長20cm、引張
速度10cm/min、初荷重1/20g/dにて、イ
ンストロンTN−M型エアー式コード用グリップを用い
て、切断強力及び伸度を測定した。さらに該80回/m
撚りのヤーンを1/20g/d張力下で90m長のかせ
捲きを作り、重量測定によりヤーンデニールを算出し、
該切断強力をデニールで除して強度(g/ar)を求め
た。また、強力−伸度曲線の初期勾配より伸度100%
に相当する強力を求め、それを該デニールで除して初期
弾性率を求めた。いずれもn=10の平均値を採用し
た。高温性能は100℃又は150℃の熱風炉中で上記
20℃の場合と同様に測定した。
【0018】(5)耐ゴム疲労性 約1500drの樹脂付着PVAヤーンを31t/10
cmZ方向に下撚したあと2本合わせて31t/10c
mS方向に上撚して生コードを作成する。次いでRFL
(レゾルシン、ホルマリン、ゴム乳液)を付着してデイ
ップコードを作成する。次いで圧縮側と伸長側に該コー
ドを20本並べた2つのコード層を作成し、その中間及
び外側にゴム層を配して、サンドイッチ状の巾25.4
mm×長420mm×厚さ約8mmのゴムシートを作成
したあと、150℃×45分90kg/cm2で加硫し
てベルトを作成する。該ベルトをプーリー径25mmの
ベルト屈曲試験機で室温、20万回屈曲させたあと、圧
縮側のコードをベルトより取出し、屈曲前後のコード強
力より、保持率を求め耐ゴム疲労性を評価した。 (6)耐摩耗性(撚合せ摩耗) 約1500drの樹脂付着PVAヤーンを80t/mZ
方向に撚をかけて輪を作成したあと、輪の中央部で3回
S方向に撚をかけ、室温で上下に糸同志を摩耗させ、切
断する時の回数を読んだ。
【0019】実施例1,2および比較例1 粘度平均重合度が4000(実施例1)と8000(実
施例2)でケン化度がいずれも99.5モル%のPVA
をそれぞれ濃度10重量%と7重量%になるようにジメ
チルスルホキシド(以下DMSOと略記)に100℃で
溶解し、得られた各溶液を500ホールのノズルより吐
出させ、メタノール/DMSO=7/3重量比、5℃の
凝固浴で湿式紡糸した。さらに40℃メタノール浴で4
倍湿延伸したあと、メタノールで該溶剤をほとんど全部
除去した。得られた紡糸原糸を、実施例1は170、2
00℃、240℃の3セクションからなる熱風炉で総延
伸倍率19倍になるように乾熱延伸した。実施例2は1
70、200℃、250℃にて総延伸倍率18.5倍の
延伸を施した。得られた延伸糸はいずれも1500d/
500fで、実施例1の強度は17.6g/d、弾性率
は350g/dを示し、実施例2は強度20.3g/
d、弾性率380g/dであった。
【0020】次いで該延伸糸にデイップ方式で2〜3官
能基(エポキシ基)を有するグリセロールポリグリシジ
ルエーテル4%と架橋促進のNaON0.03%及び分
散剤のジオクチルスルホサクシネートNa塩0.1%を
含む水溶液を付着せしめ、張力0.8g/d下で100
℃乾燥−220℃熱処理を施した。樹脂付着量は実施例
1が2.5重量%、実施例2が2.1重量%であった。
次いで引き続き静摩擦係数が0.21のシリコン系油剤
(ポリジメチルシリコンの水分散液)を0.7重量%付
着させ100℃にて乾燥した。
【0021】実施例1で得た樹脂付着ヤーンの強度は、
17.0g/d、弾性率は320g/dを示し、実施例
2では強度19.4g/d、弾性率340g/dと、樹
脂付着前の性能と大差なかった。また、耐ゴム疲労性を
評価すべく1500d/1×2,31t/10cmの生
コードをRFL処理して、デイップを作成したがコード
の強力利用率(ヤーン強度に対するコード強度の割合)
は85%と高い値であった。また室温、25φ、20万
回ベルト屈曲後の強力保持率を測定したところ、実施例
1は71%、実施例2は80%と屈曲疲労性に優れてお
り、タイヤコードとして付加価値の高い繊維となった。
また撚合せ摩耗の切断回数は実施例1が2850回、実
施例2が3210回と耐摩耗性も良好であった。
【0022】なお比較例1として実施例1でエポキシ樹
脂を付着しない場合を実施したが強度、弾性率は実施例
1より若干高いもののベルト屈曲の強力保持率は52
%、撚合せ摩擦回数は1100回と屈曲疲労性及び耐摩
耗性に劣る事が判明した。
【0023】実施例3及び比較例2 粘度平均重合度が17000、ケン化度99.8モル%
のPVAを用い、濃度5.5重量%になるようにDMS
Oにて110℃で溶解し、得られた溶液を200ホール
のノズルより吐出させ、メタノール/DMSO=7/3
重量比、7℃の凝固浴で乾湿式紡糸した。さらに40℃
メタノール浴で4倍湿延伸したあとメタノールで該溶剤
をほとんど全部除去した。得られた紡糸原糸を170℃
−255℃の輻射炉で総延伸倍率18.5倍になるよう
に乾熱延伸した。得られた延伸糸は750d/200f
で強度22.4g/d、弾性率490g/dを示した。
次いで該延伸糸を2本合せて1500d/400fと
し、ローラータッチ方式でビニルピリジンとスチレンブ
タジエンの共重合体であるゴム4%エマルジョンを付着
させ、張力1.2g/d下で100℃乾燥−200℃熱
処理を施した。ゴム付着量は5.0重量%であった。引
続き静摩擦係数が0.24のPO/EO共重合の油剤
〔PO:EO=25:75(モル比)、分子量1万のラ
ンダム共重合体の水溶液〕を0.5重量%付着させ10
0℃にて乾燥した。
【0024】得られた樹脂付着ヤーンの強度は、21.
3g/d、弾性率440g/dと高いレベルを維持して
いた。さらにRFL処理後のデイップコードの強力利用
率は82%と高い値であった。またベルト屈曲後の強力
保持率は73%と耐ゴム疲労性に優れておりタイヤのベ
ルトとして、従来にないものであった。また撚合せ摩耗
も2500回と良好で、産業資材として耐久性のある商
品が期待された。一方比較例3として実施例3で低摩擦
の油剤を付着しない場合を実施したが、コード作成時の
撚糸で張力斑が大きく、コード強力利用率が68%に低
下した。また耐ゴム疲労性及び撚合せ摩耗性も実施例3
に比べて2〜3割悪化した。
【0025】実施例4 粘度平均重合度が1700でケン化度が99.8モル%
のPVAを濃度23%になるように水に溶解し、常法に
より芒硝と苛性ソーダ水溶液を凝固浴として湿式紡糸し
た。得られた紡糸原糸を180−200−235℃の熱
風炉で総延伸倍率が19倍になるように延伸した。得ら
れた1800d/1000fの延伸糸の強度は15.1
g/d、弾性率は320g/dであった。次いで該延伸
糸をデイップニップ方式で耐熱性と耐摩耗性の良好なポ
リエーテル系ポリウレタン5%のDMF溶液を付着さ
せ、張力0.5g/d下で100℃乾燥−150℃熱処
理を施した。該ウレタン樹脂付着量は3.2重量%であ
った。引続き静摩耗係数が0.25の鉱物油(レッドウ
ッド粘度:150秒)と分散剤(ジオクチルスルホサク
シネート)が配合した水エマルジョン油剤を0.35重
量%付着させ100℃で乾燥した。得られた樹脂付着ヤ
ーンの強度は14.2g/d、弾性率は300g/dと
低重合度PVAにしては高い性能を維持していた。また
耐ゴム疲労性であるベルト屈曲の強力保持率は60%で
あり、摩耗性も高く、耐久性のあるPVA繊維が得られ
た。
【0026】
【発明の効果】本発明により、耐摩耗性や耐屈曲疲労性
に優れたPVA系繊維が得られ、しかも本発明の仕上げ
処理が付与されたPVA系繊維は、該処理によりPVA
系繊維の有している引張り強度や弾性率が大きく低下す
ることがなく、したがってPVA系繊維として高強力・
高弾性率のものを用いた場合には、高強力・高弾性率に
して、さらに耐摩耗性や耐屈曲疲労性に優れたPVA系
繊維が得られることとなり、このようなPVA系繊維
は、タイヤ、ベルト、ホースなどのゴム資材や、漁網、
ロープ、テント、土木シートなどの産業資材用の繊維と
して極めて優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−216588(JP,A) 特開 昭63−28931(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 15/72

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール系繊維表面が該繊
    維に対して0.5〜10重量%の樹脂でコートされてお
    り、さらにF/F静摩擦係数が0.28以下の油剤が付
    与されているポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系繊維に繊維重量
    に対して0.5〜10重量%の樹脂をコートし、0.2
    g/d以上の張力下で熱処理を施した後、F/F静摩擦
    係数が0.28以下の油剤を付与することを特徴とする
    ポリビニルアルコール系繊維の製造方法。
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