JPH0523891Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、軸受を介してシヤフトを支えるハウ
ジング及びシヤフト間の密封手段として使用され
るオイルシールに関し 更に詳しくは、ハウジン
グに対する被装着部の周囲にゴム様弾性材料によ
り被着を施されているオイルシール装置の構造に
関する。

（従来の技術） ゴム様弾性材料によるシールリツプのシヤフト
の周面に対する弾性摺動によつてシヤフト及びハ
ウジング間の間隙をシールさせるようになしたオ
イルシールにおいて、第３図に例示するように、
径方向部分１１の端部にシヤフト７の周面と弾性
摺動するシールリツプ６を接合されてハウジング
５に固定される被装着部１を構成する補強環２の
円筒形状部分３に、ゴム様弾性材料による外周被
覆４を施し、装着に伴う外周被覆４の弾性的な圧
縮変形によつてハウジング５及び被装着部１間の
シール機能を確保するようになしたものが広く使
用されている。

すなわち、上記した従来例のオイルシールは、
図上左方に２点鎖線をもつて示したハウジング５
への挿入前の自由状態における補強環２の円筒形
状部分３の外周面から被装着部１の外周面に至る
外周被覆４の厚さt₀と、同図上に実線をもつて示
したハウジング５への装着状態における外周被覆
４の厚さt₁との差（t₀−t₁）の自由状態における
厚さt₀に対する比（t₀−t₁）／t₀をもつて表示さ
れる外周被覆４の圧縮率を高く設定することによ
つてハウジング５及び被装着部１間のシール機能
及び結合強度の確保を期するものである。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来例のオイルシール装置において
は、ハウジング５及び被装着部１間のシール機能
及び結合強度を確保するために、外周被覆４に弾
性的な圧縮変形を強いられるので、ハウジング５
への圧入の際に被装着部１の外周面にゴムむしれ
を生じてシール機能及び結合力の低下を来すおそ
れがあつた。

上記した圧入時の外周被覆４の損傷の危険性
は、高圧の密封対象流体による押圧力に耐え得る
結合強度をねらつて外周被覆４の圧縮率を高く設
定したオイルシールにおいて更に増大するもので
ある。

本考案は、上記したハウジングへの挿入時にお
ける外周被覆のゴムむしれを生じることなく、し
かも、高いシール機能及び結合強度をもたらし得
るオイルシール装置の構造を提示することを目的
とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記した従来の技術によるオイルシ
ールにおける問題点を考慮して、少なくとも外周
面の一部がゴム様弾性材料により外周被覆を施さ
れた軸方向部分と、該軸方向部分の軸方向一端か
ら径方向内方に伸びる径方向部分とより成る金属
材製補強環、及び前記径方向部分の内端部にゴム
様弾性材料によるシールリツプを付してなるオイ
ルシールをハウジングに設けた段部に挿着してな
るオイルシール装置において、前記軸方向部分は
その略中央部が最大径となる膨出部分を備え、該
軸方向部分に前記段部に向かう軸方向押圧力を作
用させることにより、前記膨出部分が更に拡開
し、前記ハウジング内周面との圧接力を増大でき
る構成としたことを特徴とするものである。

（作用） 上記した構成を備えた本考案によるオイルシー
ル装置においては、ゴム様弾性材料による外周被
覆を施された補強環の軸方向部分はその略中央部
が最大径となる膨出部分を備え、ハウジングへの
挿入時に軸方向押圧力を作用させることにより、
前記膨出部が更に拡開し、軸方向中央部分を外方
に湾曲させて外周被覆をハウジングの内周面に圧
接させ、ハウジング及び被装着部間のシール機能
及び結合力を強化させる。

（実施例） 第１図の実施例においては、略Ｌ字様の断面形
状を呈する環状体に製せられ、外周面にゴム様弾
性材料による外周被覆４を施されて被装着部１を
形成し、径方向部分１１の内端部にゴム様弾性材
料によるシールリツプ６を付された補強環２の軸
方向部分８にはその略中央部が最大径となる膨出
部分３が形成されている。

上記の実施例は、第２図に示すように、ハウジ
ング５へ挿入された後に、リング状の装着用工具
９及びハウジング５の段部１０間に挟圧され、軸
方向部分８の略中央部分を径方向外方に湾曲させ
て外周被覆４をハウジングの内周面に強力に圧接
させる。

（考案の効果） 本考案によるオイルシールが、上記したよう
に、少なくとも外周面の一部がゴム様弾性材料に
より外周被覆を施された軸方向部分と、該軸方向
部分の軸方向一端から径方向内方に伸びる径方向
部分とより成る金属材製補強環、及び前記径方向
部分の内端部にゴム様弾性材料によるシールリツ
プを付してなるオイルシールをハウジングに設け
た段部に挿着してなるオイルシール装置におい
て、前記軸方向部分はその略中央部が最大径とな
る膨出部分を備え、該軸方向部分に前記段部に向
かう軸方向押圧力を作用させることにより、前記
膨出部分が更に拡開し、前記ハウジング内周面と
の圧接力を増大できる構成としたことにより、補
強環の円筒形状部分が装着用工具及びハウジング
の段部間に挟圧された際に、径方向外方に湾曲し
て外周被覆をハウジングの内周面に強力に圧接さ
せるので、ハウジングへの挿入時におけるゴムむ
しれを避けるために被装着部とハウジングとの締
め代を抑制しても、被装着部及びハウジング間に
強固なシール機能及び結合力が確保される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の装着前の断面
図、第２図は、同実施例の装着後の断面図、第３
図は、従来の技術によるオイルシールの一例の断
面図である。 １……被装着部、２……補強環、３……膨出部
分、４……外周被覆、５……ハウジング、６……
シールリツプ、７……シヤフト、８……軸方向部
分、９……装着工具、１０……段部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも外周面の一部がゴム様弾性材料によ
   り外周被覆４を施された軸方向部分８と、該軸方
   向部分８の軸方向一端から径方向内方に伸びる径
   方向部分１１とより成る金属材製補強環２、及び
   前記径方向部分１１の内端部にゴム様弾性材によ
   るシールリツプ６を付してなるオイルシールをハ
   ウジング５に設けた段部１０に挿着してなるオイ
   ルシール装置において、前記軸方向部分８はその
   略中央部が最大径となる膨出部分３を備え、該軸
   方向部分８に前記段部１０に向かう軸方向押圧力
   を作用させることにより、前記膨出部分３が更に
   拡開し、前記ハウジング５内周面との圧接力を増
   大できる構成としたことを特徴とするオイルシー
   ル装置。