JPH0725482Y2 - オイルシール組合せ用治具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、円筒部及び径方向部を備え、略Ｌ字状の断面
形状を呈してシャフトに装着されるインナースリーブ及
びシャフトと同心に組み合わされたハウジングに装着さ
れてインナースリーブと密封摺動するシール部材より成
る組み合わせ型オイルシールの結合に使用されるオイル
シール組合せ用治具に関する。

第３図に、本考案によるオイルシール組合せ用治具が使
用されるオイルシールの一例を示す。

同図のオイルシールは、略Ｌ字状の断面形状を呈して図
示しないハウジングに装着される被装着部２並びにゴム
状弾性材料をもって成形され、被装着部２の内端部に接
着された周面シールリップ３、補助シールリップ４及び
端面シールリップ５を備えたシール部材１と、周面シー
ルリップ３と密封摺動する円筒部７及び端面シールリッ
プ５と密封摺動する径方向部８を備えて略Ｌ字状の断面
形状を呈し、シャフト10に装着されるインナースリーブ
６より成り、周面シールリップ３及び補助シールリップ
４間の環状空所９内に潤滑用グリースを充填されてい
る。

（従来の技術） 上記したオイルシールのシール部材１及びインナースリ
ーブ６の組み合わせ工程は、第４図に示すように、テー
パー周面12の最大径を、インナースリーブ６の円筒部７
の端部に形成されたテーパー部の最大径と略同径に設定
された組合せ用治具11を円筒部７に接続させ、テーパー
周面12によって周面シールリップ３を拡張させながら円
筒部７側へ移動させ、端面シールリップ５を径方向部８
に当接させるものである。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来の技術によるオイルシール組合せ用治具に
おいては、円筒部７の端部の最大径及びテーパー周面12
の端部の最大径が周面シールリップ３の内径よりも大き
く設定されているために、予め周面シールリップ３及び
補助シールリップ４間の環状空所９内に充填された潤滑
用グリースが、テーパー周面12の端部に掻き取られ、円
筒部７及び周面シールリップ４間の潤滑不足を惹起する
おそれが大であった。

本考案は、上記した潤滑用グリースの掻き取りによる潤
滑不足をもたらすことのないオイルシール組合せ用治具
の構造を提示することを目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記した従来の技術による組合せ用治具にお
ける問題点を考慮して、シール部材及びインナースリー
ブの組み合わせに当り、周面シールリップを拡張させる
ためにインナースリーブの円筒部に接続される組合せ用
治具に設定されたテーパー周面上に複数条の軸方向凹溝
を配設した構成となすものである。

（作用） 上記した構成を備えた本考案によるオイルシール組合せ
用治具においては、シール部材の周面シールリップ及び
補助シールリップ間の環状空所内に充填された潤滑用グ
リースが、テーパー周面上に配設された複数条の軸方向
凹溝内を滑ってテーパー周面の端部の大径部及びインナ
ースリーブの端部の大径部を越えて円筒部側へ送られ
る。

（実施例） 第１図及び第２図の実施例においては、シール部材１に
挿入されて周面シールリップ３を拡張させるオイルシー
ル組合せ用治具11に形成されたテーパー周面12上に多数
条の軸方向凹溝13が配設され、周面シールリップ３及び
補助シールリップ４間の環状空所９内に充填された潤滑
用グリースが、周面シールリップ３がテーパー面周12上
を移動する際に、軸方向凹溝13内を滑ってインナースリ
ーブ６の円筒部７側へ送られる。

図示の実施例においては、シール部材１の周面シールリ
ップ３だけがインナースリーブ６の円筒部７の周面と密
封摺動しているが、周面シールリップ３及び補助シール
リップ４が円筒部７と密封摺動する態様となすこともで
きる。

（考案の効果） 本考案によるオイルシール組合せ用治具が、上記したよ
うに、シール部材の周面シールリップを拡張させるテー
パー周面上に多数条の軸方向凹溝を配設された構成を備
えていることにより、周面シールリップ及び補助シール
リップ間の環状空所内に充填された潤滑用グリースが、
軸方向凹溝内を滑ってインナースリーブの円筒部側へ送
られるので、従来の技術による組合せ用治具を使用した
場合に避けられなかった摺動部の潤滑不足が効果的に防
止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例の断面図、第２図は、同実施
例の治具正面図、第３図は、本考案の対象となるオイル
シールの一例の断面図、第４図は、従来のオイルシール
組合せ用治具の断面図である。 １……シール部材、２……被装着部、３……周面シール
リップ、４……補助シールリップ、５……端面シールリ
ップ、６……インナースリーブ、７……円筒部、８……
径方向部、９……環状空所、10……シャフト、11……組
合せ用治具、12……テーパー周面、13……軸方向凹溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シャフト（10）と同心に組み合わされたハ
   ウジングに装着される被装着部（２） 並びにゴム状弾性材料をもって成形され、前記被装着部
   （２）の内周端部に接着された周面シールリップ（３）
   と補助シールリップ（４）を有するシール部材（１）
   と、 前記周面シールリップ（３）及び前記補助シールリップ
   （４）と密封摺動する円筒部（７） 及び該円筒部（７）の一端から径方向に伸びる径方向部
   （８）を有するインナースリーブ（６）とを組み合わせ
   る際に使用され、 前記周面リップ（３）を拡張させるテーパー周面（12）
   を備える環状部材であって、該テーパー周面の最大径
   が、前記円筒部（７）の端部に形成されたテーパー部の
   最大径と略同径であるオイルシール組み合わせ用治具に
   おいて、 前記テーパー周面（12）上に複数条の軸方向凹溝を配設
   したことを特徴とするオイルシール組合せ用治具。