JPH0449411Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えばピストン及びシリンダ或いは
ピストンロツド及びシリンダーカバのように、互
いに同芯に組合されて軸方向の相対運動をなす２
部材間に使用される密封装置に関する。

（従来の技術） ピストン及びシリンダ或いはピストンロツド及
びシリンターカバのように、互いに同芯に組合さ
れて軸方向の相対運動をなす２部材間には、相対
運動を生じさせる圧力流体をシールするととも
に、相対運動をガイドするために、第３図に例示
するような密封装置が使用されている。

同図の密封装置は、相対運動２部材が、ピスト
ンロツド１及びシリンダーカバ２である機械装置
におけるもので、ゴム様弾性材料をもつて略Ｕ字
状の断面形状を呈する環状体に製せられ、シリン
ダーカバ２側に設けられたパツキン溝３内に挿入
されてピストンロツド１の周面と摺動するパツキ
ン４と、ゴム様弾性材料よりもやや硬質の材料を
もつて略円筒形状に製せられ、パツキン溝３に隣
接するウエアリング溝５内に挿入されてピストン
ロツド１の運動をガイドするウエアリング７とを
有している。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来技術による密封装置においては、
ピストンロツド１及びシリンダーカバ２間に隙間
Ｃが形成され、かつパツキン溝３及びウエアリン
グ溝５が互いに離れて位置しているために、高圧
力を受けたパツキン４が隙間Ｃにくい込まれ、く
い込みの繰返しにより破損してシール性を低下さ
せるおそれがあつた。

最近の油圧機器においては、著しい高圧化・高
温化の傾向が見られるので、上記したパツキン４
のくい込みによる破損の危険性が増大している。

本考案は、上記した問題点を解消して相対運動
２部材間の離間内へのくい込みによるパツキンの
損傷を防止した密封装置の構造を提示することを
目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記した従来の技術による密封装置
における問題点に鑑み、パツキン溝に隣接して設
けられるウエアリング溝に、前記パツキン溝側へ
向つて径方向の深さを漸増させながら伸び、前記
パツキン溝に連なる円錐形状周面を付設するとと
もに、ウエアリングに、前記ウエアリング溝の円
錐形状面に対応して伸び、パツキンの背面へ達す
る円錐形状部分を設け、かつウエアリングが、ウ
エアリング溝内において軸方向に移動し得る構成
となすものである。

（作用） 上記した構成を備えた本考案の密封装置におい
ては、作動流体の圧力に押されたパツキンがウエ
アリングの円錐形状部分の端面を押圧し、パツキ
ンに押されたウエアリングの円錐形状部分が、ウ
エアリング溝の円錐形状周面を滑つて縮径又は拡
径し、相対運動部材の相手周面に密接してパツキ
ンの背部を支える。

（実施例） 第１図及び第２図の実施例においては、ピスト
ンロツド１に貫通されたシリンダーカバ２の内周
にパツキン溝３とともに設けられたウエアリング
溝５から、末広がりの円錐形状周面６が伸びてパ
ツキン溝３に連なつており、略円筒形状を呈する
ウエアリング７の本体部分からウエアリング溝５
の円錐形状周面６と対応して伸びた円錐形状部分
８が、パツキン溝３内に挿入された断面略Ｕ字形
状のパツキン４の背部に達している。

本実施例において、パツキン４に対する作動流
体の圧力が低く保たれている間は、第２図に示さ
れるように、ウエアリング７の円錐形状部分８
が、ウエアリング溝５の円錐形状周面６に押され
てパツキン４の背部を押しながら図上で右方に滑
り、パツキン４に対する作動流体の圧力が高くな
つた場合には、第１図に示されるように、パツキ
ン４に押されてウエアリング溝５の円錐形状周面
６により縮径させられたウエアリング７の円錐形
状部分８が、内周面をピストンロツド１の周面と
密着させてパツキン４の背面を支える。

図示の実施例は、ピストンロツド及びシリンダ
ーカバ間に使用される密封装置であるが、本考案
は、ピストン及びシリンダ間の密封装置等にも有
効である。ただし、その場合には、ウエアリング
溝の円錐形状周面及びウエアリングの円錐形状部
分が、パツキン側へ向つて先細に形成され、パツ
キンに押されたウエアリングの円錐形状部分は、
ウエアリング溝の円錐形状周面により拡径させら
れる。

（考案の効果） 本考案の密封装置が、上記したように、互いに
同芯に組合されて軸方向の相対運動をなす２部材
の一方に設けられたパツキン溝内に挿入された弾
性材料製パツキン及びパツキン溝に隣接して設け
られたウエアリング溝内に挿入された硬質材料製
ウエアリングを有する密封装置において、ウエア
リング溝が、パツキン溝側へ向つて径方向の深さ
を漸増させながら伸び、パツキン溝に連なる円錐
形状周面を付設されるとともに、ウエアリング
が、ウエアリング溝の円錐形状面に対応して伸
び、パツキンの背面へ達する円錐形状部分を有し
て、ウエアリング溝内に軸方向移動可能に挿入さ
れた構成を備えていることにより、パツキンに対
し高圧の作動流体圧力が作用した場合に、パツキ
ンの背部に押されたウエアリングの円錐形状部分
が、ウエアリング溝の円錐形状周面を滑る際に縮
径又は拡径させられて内周面又は外周面を相手側
運動部材の周面に密着させるので、従来の技術に
よる密封装置において見られた相対運動２部材間
の隙間へのくい込みによるパツキンの損傷のおそ
れが完全に消滅する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本考案の一実施例を示す
断面図で、第１図は、作動流体の圧力を受けた場
合の状態を示し、第２図は、作動流体の圧力を受
けない場合の状態を示し、第３図は、従来の技術
による密封装置の一例の断面図である。 １……ピストンロツド、２……シリンダーカ
バ、３……パツキン溝、４……パツキン、５……
ウエアリング溝、６……円錐形状周面、７……ウ
エアリング、８……円錐形状部分。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに同芯に組合わされて軸方向の相対運動を
   なす２部材１，２の一方に設けられたパツキン溝
   ３内に挿入された弾性材料製パツキン４及び前記
   パツキン溝３に隣接して設けられたウエアリング
   溝５内に挿入された硬質材料製ウエアリング７を
   有する密封装置において、前記ウエアリング溝５
   が、前記パツキン溝３側へ向つて径方向の深さを
   漸増させながら伸び、前記パツキン溝３に連なる
   円錐形状周面６を付設されるとともに、前記ウエ
   アリング７が、前記ウエアリング溝５の円錐形状
   周面６に対応して伸び、前記パツキン４の背面へ
   達する円錐形状部分８を有して前記ウエアリング
   溝５内に軸方向移動可能に挿入されていることを
   特徴とする密封装置。