JPH0225014Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は船尾管軸封装置の改良に係り、さらに
詳しくはセグメントシールを用いた船尾管軸封装
置において、その分解ならびに組み込みの簡易化
を計るとともにセグメントシールの作動性を向上
させることを目的とする。

近年、この種セグメントシールを用いた船尾管
軸封装置として第１図に示すような構造になるも
のが知られている。すなわち１はシヤフトスリー
ブ、２は船舶本体の一部を示し、前記シヤフトス
リーブ１に対して２個のリツプシール３，４と軸
方向前後一対のセグメントシール５，６が摺接す
るようになる。７ないし１１は前記シヤフトスリ
ーブ１の外周に配設され、前記船舶本体２に対し
て気密的に固着される固定側（非回転側）のケー
ス部材であつて、各各環状を呈するとともに先端
側（海水側）に位置する第１のケース部材７と第
２のケース部材８間に対海水用の第１のリツプシ
ール３が挾着され、第４のケース部材１０と第５
のケース部材１１間に対機内油用の第２のリツプ
シール４が挾着されている。また第３のケース部
材９の内径は、その前後に位置する第２および第
４のケース部材８，１０の内径に比して大径にな
り、該内周に環状の凹部１２が形成され、該環状
凹部１２内に一対のセグメントシール５，６が配
設されている。該セグメントシール５，６には同
心状の貫通孔１３，１４が穿たれ、両貫通孔１
３，１４に貫挿したノツクピン１５を前記第４の
ケース部材１０に固定して、該セグメントシール
５，６をケース部材１０に対し回り止めしてな
る。また両セグメントシール５，６の間にはコイ
ルスプリング１６が介装されてなり、これにより
両セグメントシール５，６はその端面を前記第
２、第４のケース部材８，１０の端壁８ａ，１０
ａに押し付けられるとともに、両セグメントシー
ル５，６の外周にはガータスプリング１７，１８
が嵌着され、両セグメントシール５，６をシヤフ
トスリーブ１に対して圧接摺動させるようにな
る。また１９は、船舶本体（機内）側から、前記
セグメントシール５，６によつて封塞される前記
環状凹部１２の環状底部に連通する加圧流体の送
入ラインであつて、第３および第４のケース部材
９，１０から船舶本体２へいたるパイプラインが
配され、図示しない送入機器を用いて環状凹部１
２内へ加圧流体を送入し、該流体によりセグメン
トシール５，６をシヤフトスリーブ１やケース部
材８，１０に強く圧接させる。また２０は前記加
圧流体送入ライン１９とは別途に形成される漏液
回収ラインであつて、前記セグメントシール６と
第２のリツプシール４間の空間に開口し、該空間
までいたつた漏液を図示しないポンプ等にて船内
に吸入するものである。

上記構成の船尾管軸封装置は、海水の船内への
漏入と機内油の船外への漏出の双方を阻止せんと
するものであり、一方の海水に対しては第１のリ
ツプシール３とセグメントシール５，６によるシ
ール部が順次漏入を阻止するようになり、万一、
セグメントシール６を通過する海水があつた場合
にも漏液回収ライン２０からこれを回収して船内
へいたらすことなく不測の事故を防止し、他方の
機内油に対しては第２のリツプシール４とセグメ
ントシール５，６によるシール部が順次漏出を阻
止するようになり、前記第２のリツプシール４を
通過した機内油を前記漏液回収ライン２０から回
収し船外まで漏出させることなく海域の汚染を防
止する。このように上記船尾管軸封装置は対海水
および対機内油の双方のシールについて優れた作
用効果を奏するが、コイルスプリング１６の両端
がセグメントシール５，６に直接接触しているた
めにセグメントシール５，６を傷付けてしまう。
また、セグメントシール５，６がコイルスプリン
グ１６によつて局部的に押圧されるので、セグメ
ントシール５，６の端面の接触圧が一様ではなく
密封性に問題を有している。そこで、バネ受けが
使用されることとなるが、部品点数が多くなり分
解、組み込み作業が難しくなる。

本考案の船尾管軸封装置は以上の点に鑑み、前
記複数のコイルスプリングの代わりにウエーブス
プリング部材を用いることにより、部品点数を減
らして分解、組み込み作業の簡易化を計るととも
に、該ウエーブスプリング部材にある程度多めの
ウエーブ（波）を形成してセグメントシールに対
する圧力集中を避け、その変形を防止するように
構成したものである。

以下、本考案の一実施例を図面にしたがつて説
明すると、第２図および第３図に示した本実施例
の船尾管軸封装置においては、第１図に示した公
知例のコイルスプリング１６に代わり、前後一対
のセグメントシール５，６の間にウエーブスプリ
ング部材２１が介装されてなり、該セグメントシ
ール５，６とウエーブスプリング部材２１に同心
状に穿設された貫通孔１３，１４，２２に対し第
４のケース部材１０に固着されるノツクピン１５
が遊挿されて、これら３部材５，６，２１のケー
ス部材１０に対する回り止めがなされている。こ
のウエーブスプリング部材２１は所要数のウエー
ブ（波）数を有して両セグメントシール５，６に
対する押し付け力を分散させるとともに、第４図
に示すように、２個ないし４個の範囲で円周方向
に適当な隙間を介して分割されている。

上記の船尾管軸封装置は、既述のとうり、多数
のコイルスプリングに代えてウエーブスプリング
部材２１を用いたのでバネ受けが必要なく、部品
点数が減少して分解、組み込み作業が容易になる
ほか、前記コイルスプリングの数よりも多くのウ
エーブ数を形成して各ウエーブとセグメントシー
ル５，６を接触させるように構成したため、スプ
リング力を分散して与えることができ、弗化樹脂
等の柔軟材をもつて製せられるセグメントシール
５，６の変形を防止し、ひいてはその作動性を向
上させることができる。そして、ウエーブスプリ
ング２１は周方向に適宜離隔して分割しており、
かつその貫通孔２２はノツクピン１５と遊嵌状態
にあるので、たとえばウエーブスプリング２１が
連続した環状体である場合のように圧縮により径
方向へ動作することがなく、周方向への伸縮動作
がきわめて円滑に行なわれる。したがつて、ばね
荷重の作用箇所が径方向に移動することがなく、
偏荷重によるセグメントシール５，６の変形の懸
念も生じない。また、大きな利点として安全性向
上が上げられる。船尾管軸封装置はきわめて金属
が腐食しやすい状態で使用されるため、スプリン
グも当然腐食されやすい。コイルスプリングを用
いる場合には、腐食によつて破損したコイルスプ
リングはただちにその取り付け位置近くのセグメ
ントに影響を与えるが、それに対してウエーブス
プリング部材を用いた場合には、ウエーブスプリ
ング部材全体が腐食しない限り、セグメントへの
押力は全体的に維持されることになるので、シー
ル性能を保つ効果はコイルスプリングに比べて大
きい。

以上説明したように、本考案の船尾管軸封装置
は両セグメントの間に環状のウエーブスプリング
部材を介装したのでバネ受けは必要なく、部品点
数が減少して分解、組み込み作業が容易となる。
そして、ウエーブスプリング部材は周方向に適宜
離隔して分割されており、かつ回り止め用のノツ
クピンと遊嵌状態にあるので、周方向伸縮動作に
よる良好なばね作動を行ない、コイルスプリング
を周方向に点在させた場合に比較してセグメント
シールが全周一様に押圧されるので、密封性の優
れた船尾管軸封装置を提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の船尾管軸封装置の一例を示す半
裁断面図、第２図は本考案の一実施例に係る船尾
管軸封装置の要部を示す断面図、第３図は同要部
斜視図、第４図はウエーブスプリング部材の正面
図である。 １……シヤフトスリーブ、２……船舶本体、
３，４……リツプシール、５，６……セグメント
シール、７，８，９，１０，１１……ケース部
材、８ａ，１０ａ……端壁、１２……環状凹部、
１３，１４，２２……貫通孔、１５……ノツクピ
ン、１６……コイルスプリング、２１……ウエー
ブスプリング部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シヤフトスリーブの外周に環状を呈する複数の
   ケース部材を配し、該ケース部材の軸孔内周面に
   環状凹部を設け、該環状凹部内に前記シヤフトス
   リーブの周面に摺接する軸方向前後一対のセグメ
   ントシールを配し、該両セグメントシールの間に
   周方向に適当な〓間を介して複数に分割された環
   状のウエーブスプリング部材を介装して該両セグ
   メントシールを前記環状凹部の両端壁に押し付
   け、前記ウエーブスプリング部材の各分割片に
   は、前記両セグメントシールを回り止めしている
   ノツクピンが遊挿される貫通穴が穿たれているこ
   とを特徴とする船尾管軸封装置。