JPH0517870B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (A) 産業上の利用分野 本発明は直描型オフセツト印刷原板に関し、詳
しくは日本語ワードプロセツサの熱転写方式のプ
リンターで製版可能でかつ印刷汚れの出ない、耐
刷性が良好な直描型オフセツト印刷原板に関する
ものである。

現在、軽印刷分野で使用されているオフセツト
印刷原板には、(1)耐水性支持体上に画像受理層を
設けた直描型のもの、(2)耐水性支持体上に光導電
層を設けた電子写真型のもの、(3)耐水性支持体上
にハロゲン化銀乳剤層を設けた銀塩写真型のもの
等があげられる。中でも上記(1)の印刷原板は、画
像受理層上に親油性のインキで手書きするか、プ
リンターで印字するか、あるいはPPC複写機に
より製版が直接に行なえるので、他の上記(2)、(3)
の印刷原板に比較して有利な面がある。

最近OA化が進みまた日本語ワードプロセツサ
の高性能化（文書作成、編集校正、印字機構）に
伴ない、オフイスで(1)の原板を用いて日本語ワー
ドプロセツサに入力した原稿をプリンターから直
接製版してオフセツト印刷する傾向が増加してき
ている。プリンターの印字方式は、ワイヤードツ
ト、シヤトル、活字、レーザ、熱転写等の方式が
あるが、日本語ワードプロセツサには、シリア
ル・ワイヤードツトまたはシリアル・熱転写方式
が採用されている場合が多い。

(B) 従来技術 従来の直描型オフセツト印刷原板は、特公昭40
−23581、特開昭48−9802、特開昭57−205196等
数多く出されており、一般に耐水性支持体上に無
機顔料・水溶性バインダー・耐水化剤等からなる
画像受理層塗液を塗布し親水性かつ耐水性のある
画像受理層をつくつたものが用いられていた。こ
の印刷原板に熱転写プリンターにより製版する
時、すなわち感熱プリンターヘツドが熱転写イン
キリボンを介して印刷原板表面に１行ずつ文字あ
るいは図形を印字する際、印字部の周辺も同時に
感熱インキリボンがこすりつけられるため印字部
以外に汚れを生じやすく、これを印刷すると汚れ
の部分が明瞭に印刷汚れとなる欠点があつた。市
販のフアツクスマスター用の親水化液で版面を不
感脂化しても、印字部周辺の熱転写リボンインキ
を除くことができず、印刷汚れを減らすことはで
きなかつた。そこで直描型オフセツト印刷原板の
画像受理層中に酸化亜鉛を添加して、親水化液に
よる不感脂化効果を強めて汚れをなくすことが試
みられてきた。しかしながらこの方法でも完全に
印刷汚れをなくすことができなかつた。

(C) 発明の目的 本発明の目的は、日本語ワードプロセツサ等の
熱転写プリンターによる製版の際、感熱プリンタ
ーヘツドにより熱転写インキが印字部周辺にこす
りつけられて生じる印刷汚れの出にくい画像受理
層を有する直描型オフセツト印刷原板を提供する
ことにある。

本発明の他の目的は、感熱プリンターヘツドに
よる印字部周辺に熱転写インキの汚れが画像受理
層に生じても、簡単に親水化液により除去できて
印刷初期より汚れのない鮮明な印刷物が得られる
直描型オフセツト印刷原板を提供することにあ
る。

さらに本発明の別の目的は、耐刷性の良好な直
描型オフセツト印刷原板を提供することにある。

(D) 発明の構成 本発明の直描型オフセツト印刷原板は、耐水性
支持体上に無機顔料、水溶性バインダー、及び耐
水化剤を含む画像受理層塗液を塗布した後、ヘキ
サシアノ金属酸塩、リン酸アンモニウムの少なく
とも１つから成る親水化液と反応して、親水性か
つ水不溶性の沈殿物を形成するような金属化合物
を溶解させてなる溶液を塗布してオーバーコート
層を設けたことを特徴としている。

ヘキサシアノ金属酸塩たとえばヘキサシアノコ
バルト（）、（）酸、フエロシアン酸、フエリ
シアン酸などのアルカリ金属塩、リン酸アンモニ
ウムの少なくとも１つから成る親水化液と反応し
て、親水性かつ水不溶性の沈殿物を形成するよう
な金属化合物としては、Be、Mg、Zn、Hg、In、
Cu、Ag、Al、Tl、Th、Sn、Pb、Bi、Zr、Co、
Cr、Cd、Ni、Fe、Mn、Gaのいずれかを含有す
る化合物などをあげることができるが、前記親水
化液との反応が強いZn化合物が特に本発明には
好ましい。またアルカリ金属及びアルカリ土類金
属の一部（Ca、Sr、Ba）の化合物は親水化液の
反応しても水不溶の沈殿物を作らないので本発明
には使えない。

上記金属化合物は、水あるいは水溶性の有機溶
剤たとえばメタノール、エタノールなどのアルコ
ールなどに溶解して塗布されればよい。また画像
受理層に対する金属化合物の接着性を向上させる
たコロイダルシリカなどの合成シリカを加えてオ
ーバーコート層塗布液としてもよい。

画像受理層の無機顔料としては、カオリン単独
系あるいはカオリンと他の無機顔料との混合系が
使えるが、特にカオリンと合成シリカの混合系が
好ましい。カオリンは一般に紙塗工用に用いられ
ているものが使える。カオリンの化学組成はケイ
酸アルミニウムであり、微細な六角板状をしてい
る。混合して用いる合成シリカとしては、ホワイ
トカーボン、シリカゾル、コロイダルシリカ、シ
リカゲル、合成モレキユラーシーブ等のケイ酸を
主体とする合成ケイ素化合物がある。本発明には
数μの無定形合成シリカが好ましい。

画像受理層の水溶性バインダーとしては、澱粉
又は澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロースのごときセルロース
誘導体、ポリビニルアルコール、カゼイン、酢酸
ビニル−クロトン酸共重合体、ポリアクリル酸ア
ンモニウムなどがあるが、特に酢酸ビニル−無水
マレイン酸共重合体の完全ケン化物、酢酸ビニル
−バーサチツク酸共重合体の完全ケン化物、酢酸
ビニル−アクリルアミド共重合体の完全ケン化
物、酢酸ビニルと分子内にケイ素を含むエチレン
性不飽和単量体との共重合体の完全ケン化物等の
変性ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニ
ルアルコールのアセトアセチル化物（アセトアセ
チル化ポリビニルアルコール）などが好ましい。

さらに画像受理層には、アルデヒド類、アミン
類、メラミンホルマリン樹脂、尿素ホルマリン樹
脂、ヒドラジド類、過硫酸塩等の耐水化剤、ある
いは消泡剤等を添加してもよい。

本発明原板は、既述のとおり、耐水性支持体上
に画像受理層およびその上にオーバーコート層を
設けた形態からなるものであるが、ここで使用さ
れる耐水性支持体としては、メラミンホルマリン
樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリアミドエピクロ
ルヒドリン樹脂等を用いて湿潤強化された上質
紙、レジンコート紙、プラスチツクフイルム等を
あげることができる。

本発明に係る直描型オフセツト印刷原板をつく
るには、カオリン、シリカ等からなる無機顔料、
水溶性バインダー、及び耐水化剤等を含む画像受
理層塗布液を耐水性支持体上に塗布乾燥して、３
〜20μ厚程度の画像受理層の形成した後、前記金
属化合物を溶解させた溶液を塗布しオーバーコー
ト層を形成すればよい。

この場合、支持体と画像受理層との間に耐水性
の中間層を設けて、より耐刷性の向上をはかるよ
うにしてもよく、また支持体の裏面のカール防止
のためにバツクコート層を設けるようにしてもよ
い。

中間層（１〜20μ厚）としてはアクリル樹脂、
SBR、MBR、NBR、酢酸ビニル−エチレン共
重合体のごときエマルジヨン型樹脂、あるいはエ
ポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリ塩化ビニルのごとき溶剤可溶性樹脂な
どが単独で又は２種以上が併用される。また、こ
の中間層には適量の顔料が加えられてよい。

バツクコート層（１〜20μ厚）としては澱粉又
は澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロースのごときセルロース誘
導体、ポリビニルアルコール、カゼイン、酢酸ビ
ニル−クロトン酸共重合体、ポリアクリル酸アン
モニウムのごとき水溶性樹脂、あるいアクリル樹
脂、SBR、MBR、酢酸ビニル−エチレン共重合
体のごときエマルジヨン型樹脂などが単独で又は
２種以上が併用される。また、このバツクコート
層には適量の顔料が加えられてよい。

(E) 実施例 実施例によつて本発明をさらに詳しく説明す
る。

実施例 １ 支持体（100ｇ／m²の湿潤強化紙）の表面に下
記組成の中間層塗布液を塗布乾燥して、約15ｇ／
m²の中間層を形成した。

〔中間層塗布液〕

カルボキシル変性SBRラテツクス（固形分50％）
120部 酸化澱粉の10％水溶液 100部 ジークライトの50％水分散液（セリサイト含有量
35％無機顔料、ジークライト化学(株)製） 200部 メラミン樹脂の80％水溶液（商品名スミレーヅレ
ジン−613、住友化学(株)製） 12部 硬化触媒の35％水溶液（商品名アクセラーター
ACX−Ｐ、住友化学(株)製） 1.2部 次いでこの支持体の裏面に下記組成からなるバ
ツクコート層塗布液の塗布乾燥して約15ｇ／m²の
バツクコート層を設け耐水性支持体を得た。

〔バツクコート層塗布液〕

SBRラテツクス（固形分50％） 10部 ポリビニルアルコールの10％水溶液（商品名クラ
レポバール 117、クラレ(株)製） 50部 カオリンの50％水分散液 100部 メラミン樹脂の80％水溶液 ２部 塩化アンモニウムの10％水溶液 ２部 水 50部 次にこの上に下記組成の画像受理層塗布液を塗
布乾燥して約８ｇ／m²の画像受理層を形成した。

〔画像受理層塗布液〕

カオリンの50％分散液（商品名ウルトラホワイト
−90、エンゲルハード社製） 100部 合成シリカの20％分散液（商品名サイロイド
308、富士デヴイソン化学(株)製） 250部 ポリビニルアルコールの10％水溶液（商品名クラ
レポバール 117、クラレ(株)製） 200部 メラミン樹脂の80％水溶液（商品名スミレーヅレ
ジン−613、住友化学(株)製） 2.5部 塩化アンモニウムの10％水溶液 ２部 水 60部 さらにこの上に下記組成のオーバーコート層塗
布液を塗布乾燥し、約0.5ｇ／m²のオーバーコー
ト層を形成した。

〔オーバーコート層塗布液〕

塩化亜鉛 １部 水 99部 この直描型オフセツト印刷原板をキヤノン日本
語ワードプロセツサ・キヤノワード45S（キヤノ
ン(株)製）の熱転写プリンターで製版して印刷版を
つくつたところ、印字部周辺への熱転写インキの
転写も少なく、これを自動オフセツト印刷機（ゲ
ステツトナー339、ゲステツトナー社製）にかけ
て印刷したところ、エツチング工程でフエロシア
ン化カリウムおよびリン酸二アンモニウムを主成
分とする親水化液により印字部周辺の汚れは完全
になくなり、印刷初期より500枚以上の鮮明な印
刷物が得られた。

比較例 １ 実施例１のオーバーコート層を塗布しないこと
以外実施例１と同様にして直描型オフセツト印刷
原板を得た。この原板を実施例１の熱転写プリン
ターで製版したところ印字部周辺にかなりの熱転
写インキの転写が認められた。またオフセツト印
刷機にかけて印刷したところ、前記親水化液でも
十分に汚れをとることができず、印字部周辺にか
なりの印刷汚れがある印刷物しか得られなかつ
た。

実施例 ２ 実施例１のオーバーコート層塗布液を次のよう
な塗布液に置換える以外は実施例１と同様にして
直描型オフセツト印刷原板を得た。この原板を熱
転写ドツトプリンターにより製版したところ印字
部周辺への熱転写インキの転写は非常に少なく、
これを自動オフセツト印刷機にかけて印刷したと
ころ、前記親水化液により印字部周辺の汚れは完
全になくなり、印刷初期より500枚以上の鮮明な
印刷物が得られた。

〔オーバーコート層塗布液〕

塩化亜鉛 １部 コロイダルシリカ（固形分20％） 20％ 水 79部 実施例 ３ 実施例１のオーバーコート層塗布液の塩化亜鉛
を同量の酢酸亜鉛に置換える以外は実施例１と同
様にして直描型オフセツト印刷原板を得た。この
原板を日本語ワードプロセツサ・NEC NWP−
13N（日本電気(株)製）の熱転写プリンターにより
製版したところ印字部周辺への熱転写インキの転
写は非常に少なく、これを自動オフセツト印刷機
にかけて印刷したところ、前記親水化液により印
字部周辺の汚れは完全になくなり、初期より印刷
汚れのない500枚以上の鮮明な印刷物が得られた。

(F) 発明の効果 実施例から明らかなように、本発明の直描型オ
フセツト印刷原板は熱転写プリンターにより製版
しても印刷初期より印字部周辺の印刷汚れのな
い、かつ印字部の耐刷性が良好であるので、熱転
写方式のプリンターによる製版用直描型オフセツ
ト印刷原板としての価値が非常に大である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 耐水性支持体上に無機顔料、水溶性バインダ
   ー、及び耐水化剤を含む画像受理層塗液を塗布し
   た後、その上にヘキサシアノ金属酸塩、リン酸ア
   ンモニウムの少なくとも１つから成る親水化液と
   反応して、親水性かつ水不溶性の沈殿物を形成す
   るような金属化合物を溶解させてなる溶液を塗布
   することを特徴とする直描型オフセツト印刷原
   板。 ２ 金属化合物が亜鉛化合物である特許請求の範
   囲第１項記載の直描型オフセツト印刷原板。