JPH05163645A - 丸編地 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビスコースレーヨン長繊維特有の風合や光沢
感等を損う事なく、製編地のわずかな編立テンションや
編機の調整不良等によって発生する横段の極めて少ない
高品位な丸編地を提供することを目的とする。 【構成】 クリンプ形状係数が０．０８〜０．２０のビ
スコースレーヨン長繊維の仮撚加工糸を単独、又は合成
繊維糸と交編又は交撚した丸編地。 【効果】 ビスコースレーヨン長繊維特有の風合や光沢
感等を損う事なく横段の極めて少ない高品位な丸編地を
工業的に提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はビスコースレーヨン長繊
維特有の風合や光沢感等を損う事なく、横段の極めて少
ない高品位な丸編地に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ビスコースレーヨン長繊維による
丸編地は、生糸使い（未捲縮糸）や生糸を撚糸した糸に
よるものがほとんどである。これ等、丸編地の欠点は製
編時のわずかな編立張力や編機の調整不良等によって、
ループ長のバラツキや網目ヨロケが発生し、これが、一
定の周期で横方向に連続的に発現した形態異常横段（以
下、横段と略記）となり、品位の良好な丸編地が得られ
なかった。

【０００３】特に、ポリエステル長繊維との丸編地や交
撚糸編地の場合はポリエステル長繊維が高い伸長弾性率
を持っている為、伸長弾性率の小さいビスコースレーヨ
ン長繊維はこのポリエステル長繊維の影響を受けて、ル
ープ長のバラツキや網目ヨロケが出来易すく横段が非常
に目立ってくる。この為、横段のない品位の良好なビス
コースレーヨン長繊維丸編地の生産は不可能であった。
更に、この横段は素材の異なる複数長繊維による、ポン
チローマや天竺、ダブルピケ等の表面のプレーンな自由
度の少ない編組織にて顕著に発生するものであり、現状
ではビスコースレーヨン長繊維による丸編地に関しては
高品位な丸編地の提供は極めて困難であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はビスコ
ース長繊維特有の風合や光沢感等を損う事なく、製編時
のわずかな編立テンションや編機の調整不良等によって
発生する横段の極めて少ない高品位な丸編地を提供する
ことである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、丸編地の
製編時に於けるループ長のバラツキや網目ヨロケについ
て鋭意検討した結果、網立時に発生するビスコースレー
ヨン長繊維のテンションのバラツキを吸収するゆとりを
糸に持たせればよいという結論に達した。即ち、ビスコ
ースレーヨン長繊維に、より多くの捲縮を与える事が、
その目的を達成する為により有効な手段である事が判っ
た。即ち本発明の目的はクリンプ形状係数が０．０８〜
０．２０のビスコースレーヨン長繊維の仮撚加工糸から
成る丸編地によって達成される。又本発明の丸編地が前
記仮撚加工糸と合成繊維糸とを交編した丸編地であって
もよく、あるいは前記仮撚加工糸と合成繊維糸の交撚糸
から成る丸編地でもよい。

【０００６】本発明で言う、クリンプ形状係数とは捲縮
伸長率（以下・ＣＥと略記）とクリンプ数（以下・Ｎと
略記）との比で定義される係数（以下・ＣＥ／Ｎと略
記）であり、捲縮伸長率をクリンプ数で除した値を指
し、各々〔％〕と〔個数／インチ〕を単位にした数値で
表す。尚、捲縮伸長率とは、ある一定の糸長をサンプリ
ングし一定荷重をかけた時の伸びを元の糸長で除した値
であり、又、クリンプ数とは糸長１インチあたりのクリ
ンプ数である。クリンプ形状係数（ＣＥ／Ｎ）は、仮撚
加工糸のもつバルキー性とビスコースレーヨン長繊維特
有の風合や光沢感を設計し、且つコントロールするのに
最も適したパラメータである。

【０００７】本発明において、ＣＥ／Ｎが０．０８未満
の場合は丸編地の製編時に於けるループ長のバラツキや
網目ヨロケによる横段が発生し好ましくない。一方、Ｃ
Ｅ／Ｎが０．２０を越えた場合は、横段の発生はないも
のゝ、加工糸のバルキー性が高すぎて、該諸特性を損な
い好ましくない。又、合成繊維糸とはポリエステル系合
成繊維、ポリアミド系合成繊維、ポリアクリル系合成繊
維等の長繊維糸である。

【０００８】

【実施例】以下本発明の実施例により詳述する。但し本
発明がこれら実施例によって限定れるものでないことは
明らかである。尚、実施例中に示される横段や風合、光
沢感、及び評価基準は以下の通りである。

【０００９】評価方法 ．横段 経流し検反機に於いて、頭上より光線を当て斜め横よ
り、官能検査に基づく判定による。 ．風合 手触りによる官能検査に基づき判定による。 ．光沢感 官能検査に基づく判定による。尚、判定については１０
人の検査員の判定結果を総じて次記ランク付けで表す。

【００１０】評価基準 ．横段 ２Ａ：横段の発生なし Ａ：横段の傾向あり Ｂ：
横段あり Ｃ：横段目立つ Ｄ：横段は甚しく目立つ ．風合、光沢感 Ａ：優 Ａ〜Ｂ：良 Ｂ：やゝ不良 Ｃ：不良

【００１１】本発明の編物を編成するに先立ち、ビスコ
ースレーヨン長繊維１５０ｄ／５０ｆを用いて、仮撚条
件の変更により表１に示す、各種のクリンプ形状係数を
有する仮撚加工糸を得た。

【００１２】

【表１】

【００１３】次に、これ等のクリンプ形状係数の異なる
ビスコースレーヨン長繊維による仮撚加工糸を使用し
て、下記の実施例１〜３に示すように、ビスコースレー
ヨン長繊維１００％の丸編地、ポリエステルマルチフィ
ラメントとの交編からなる丸編地及びポリエステルとの
交撚糸からなる丸編地を作成し、染色加工を行ない横段
や風合及び光沢感について評価した。

【００１４】実施例１ 表１に示すクリンプ形状係数の異なる各々の仮撚加工糸
を用いて、それぞれ密度２４ＧＧで図１に示す編成図の
４口ポンチローマ組織の丸編地を６０本給糸にて編成し
た。これを液流染色機にて反応染料で染色し横段や風合
及び光沢感を評価した。その結果を表２に示す。表２よ
り明らかな如く、クリンプ形状係数が０．０８以上のも
のは横段の発生はなく又風合や光沢感も優れた丸編地と
なった。

【００１５】

【表２】

【００１６】実施例２ 表１に示すクリンプ形状係数の異なる各々の仮撚加工糸
を用いて、それぞれ密度２４ＧＧで図２に示す編成図の
４口ポンチローマ組織のエステルマルチフィラメント１
５０ｄ／２４ｆ仮撚加工糸との交編丸編地を６０本給糸
にて編成した。これを液流染色機にて分散染料、反応染
料を用いた二浴染めで同色染色し、横段や風合及び光沢
感を評価した。その結果を表３に示す。表３より明らか
な如く、クリンプ形状係数が０．０８以上のものは横段
又風合及び光沢感共に良好な丸編地となった。

【００１７】

【表３】

【００１８】実施例３ 表１に示すクリンプ形状係数の異なる各々の仮撚加工糸
とポリエステルマルチフィラメント２０ｄ／１２ｆとの
Ｓ撚５８０Ｔ／Ｍ交撚糸を作くり、それぞれ密度２８Ｇ
Ｇの天竺組織の交撚丸編地を９０本給糸にて編成した。
これを液流染色機にて分散染料、反応染料を用いた二浴
染めで同色染色し、横段や風合及び光沢感を評価した。
その結果を表４に示す。表４より明らかな如く、クリン
プ形状係数が０．０８以上のものは横段又風合及び光沢
感共に良好な丸編地となった。

【００１９】

【表４】

【００２０】

【発明の効果】本発明は、クリンプ形状係数０．０８〜
０．２０のビスコースレーヨン長繊維の仮撚加工糸を単
独、又は交編、交撚で用いて、ビスコースレーヨン長繊
維特有の風合や光沢感等を損う事なく、横段の極めて少
ない高品位な丸編地を工業的に提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の編物の一実施例（ビスコースレーヨン
長繊維の仮撚加工糸１００％使い）の編成図である。

【図２】本発明の編物の一実施例（ビスコースレーヨン
長繊維の仮撚加工糸とポリエステルマルチフィラメント
仮撚加工糸の交編）の編成図である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クリンプ形状係数が０．０８〜０．２０
   のビスコースレーヨン長繊維の仮撚加工糸から成る丸編
   地。
2. 【請求項２】 クリンプ形状係数が０．０８〜０．２０
   のビスコースレーヨン長繊維の仮撚加工糸と合成繊維糸
   とを交編した丸編地。
3. 【請求項３】 クリンプ形状係数が０．０８〜０．２０
   のビスコースレーヨン長繊維の仮撚加工糸と合成繊維糸
   と交撚糸から成る丸編地。