JPH05156140A - 熱可塑性ポリエステル組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル組成物

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JPH05156140A
JPH05156140A JP32474591A JP32474591A JPH05156140A JP H05156140 A JPH05156140 A JP H05156140A JP 32474591 A JP32474591 A JP 32474591A JP 32474591 A JP32474591 A JP 32474591A JP H05156140 A JPH05156140 A JP H05156140A
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JP
Japan
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zirconium oxide
film
polyester
thermoplastic polyester
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JP32474591A
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English (en)
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Jun Sakamoto
純 坂本
Minoru Yoshida
実 吉田
Masaru Suzuki
勝 鈴木
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Priority to EP19920924895 priority patent/EP0577838B1/en
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸化ジルコニウム粒子と不活性無機粒子を含
有するポリエステル組成物。酸化ジルコニウムは比表面
積と添加量を規定、不活性無機粒子は平均径と添加量を
規定。 【効果】 耐摩耗性、易滑性、巻き特性に優れた成形品
を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性ポリエステル組
成物に関するものであり、さらに詳しくは、酸化ジルコ
ニウム粒子と特定の粒子径を有する不活性無機粒子を熱
可塑性ポリエステルに配合した耐摩耗性、易滑性および
巻き特性に優ぐれたフイルムあるいは繊維を得るに適し
た熱可塑性ポリエステル組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポ
リエチレンテレフタレートは優れた力学特性を有してお
り、フィルム、繊維などの成形品として広く用いられて
いる。通常、該ポリエステルは、成形品に易滑性を付与
する目的でポリエステル中に不活性粒子を含有せしめ、
成形品の表面に凹凸を付与する方法が行なわれている。
このような不活性粒子としては種々あるが、一般に不活
性粒子は該ポリエステルと親和性に欠け、耐摩耗性に劣
るといった問題があった。
【0003】従来からこの問題を解決すべく、不活性粒
子の表面処理の検討がなされており、例えば、特開昭6
3−221158号公報や特開昭63−280763号
公報(コロイダルシリカ粒子表面をグリコール基で改質
する。)、特開昭63−312345号公報(コロイダ
ルシリカ粒子表面をカップリング剤で改質する。)、特
開昭62−235353号公報(炭酸カルシウム粒子を
リン酸化合物で表面処理する。)ことなどが提案されて
いる。
【0004】しかしながら、このような公知の方法をも
ってしても磁気テープのように繰り返し摩擦使用される
ような場合は、粒子の脱落を生じる。このため特殊な粒
子を使用することが最近提案されてきており、例えば、
特開昭62−172031号公報(シリコン粒子)、特
開平2−129230号公報(デルタ型酸化アルミニウ
ム粒子)などが提案されているが、いまだ不十分であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
した従来技術の欠点を解消することにあり、特に酸化ジ
ルコニウム粒子と特定の粒子径を有する不活性無機粒子
を熱可塑性ポリエステルに配合せしめて、耐摩耗性、易
滑性および巻き特性に優れたフィルム、繊維を製造し得
るポリエステル組成物を得ることにある。
【0006】
【課題を解消するための手段】前記した本発明の目的
は、B.E.T法における比表面積が10m2 /g以上
である酸化ジルコニウム粒子および平均粒子径0.01
〜5.0μmである不活性無機粒子を、それぞれ0.0
1〜10wt%含有してなる熱可塑性ポリエステル組成
物によって達成される。
【0007】酸化ジルコニウム粒子をポリエステルに配
合すると、繊維やフィルムにした際の耐摩耗性に非常に
優れたものとなる。
【0008】酸化ジルコニウム粒子の比表面積としては
10m2 /g以上が必要であり、好ましくは20〜40
0m2 /gである。比表面積が10m2 /g未満では、
ポリエステル中での親和性が低く好ましくない。
【0009】酸化ジルコニウム粒子単体を一次粒子と呼
び、一次粒子が複数個集合したものを二次粒子と呼ぶ
が、本発明においては酸化ジルコニウム粒子が二次粒子
を形成していることが好ましい。
【0010】この二次粒子径は、熱可塑性ポリエステル
組成物からの成形品の目的に応じて任意に選ぶことがで
きる。フィルムあるいは繊維に用いる際には、0.01
μmから3.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.
05μmから1.0μmである。
【0011】なお、ここでいう二次粒子径とは、透過型
電子顕微鏡で粒子を1000個観察した際の粒度積算分
布50%の点とした。
【0012】また酸化ジルコニウム粒子の添加量として
は、熱可塑性ポリエステル組成物に対して0.01〜1
0wt%が好ましく、さらには0.05〜5.0wt%
が耐摩耗性の点で好ましい。0.01wt%未満では耐
摩耗性が不足し、10wt%を越える場合、他の物性の
低下が見られ好ましくない。
【0013】本発明においては、酸化ジルコニウム粒子
と不活性無機粒子を併用することが必須であり、このこ
とによって各々単独系ではなし得なかった易滑性、耐摩
耗性および巻き特性をを得ることができる。
【0014】本発明における不活性無機粒子とは、酸化
アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタンなどの酸化物、
カオリン、タルクなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、
炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸マグネ
シウムなどの硫酸塩、螢石に代表されるフッ化物、その
他カーボンブラックなど一般的な無機微粒子を意味する
が、酸化ジルコニウムと併用して易滑性、耐摩耗性およ
び巻き特性に関して著しい効果を得るためには、中でも
酸化物、複合酸化物および炭酸塩が好ましく、さらには
酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭酸カル
シウムがより好ましい。なお、これらの不活性無機粒子
は少なくとも1種を用いればよく、2種類以上を用いて
も構わない。
【0015】これらの不活性無機粒子の平均粒子径は、
0.01〜5.0μmであることが必要であり、さらに
好ましくは0.05〜3.0μmである。0.01μm
未満であると易滑性、巻き特性が悪化し、逆に5.0μ
mを越える場合は、成型品表面に粗大突起を生じ、特に
磁気テープ用途などの場合は電磁変換特性の低下や耐摩
耗性が悪化するために好ましくない。
【0016】なお、ここでいう平均の粒子径とは、透過
型電子顕微鏡で粒子を1000個観察し、ふるい下粒度
分布の50%の点の粒子径を意味している。
【0017】不活性無機粒子は、易滑性、耐摩耗性、巻
き特性のバランスの点から、ふるい下粒度積算分布25
%の径D1 と75%の径D2 の比、D1 /D2 の値が1
〜10が好ましく、さらには1〜5が好ましい。
【0018】不活性無機粒子の添加量は、熱可塑性ポリ
エステル組成物に対して、0.01〜10wt%である
ことが必要であり、さらに好ましくは0.05〜7wt
%である。0.01wt%未満であると成型品の易滑
性、巻き特性が悪化し、逆に10wt%を越える場合、
成型品表面に粗大突起を生じ、特に磁気テープ用途など
の場合には電磁変換特性の低下や耐摩耗性が悪化するた
めに好ましくない。
【0019】本発明における熱可塑性ポリエステルと
は、芳香族ジカルボン酸あるいはそのジアルキルエステ
ルなどの二官能性成分とグリコール成分を原料として、
重縮合反応によって製造されるものである。
【0020】特にこのうち、ポリエチレンテレフタレー
トを主体とするものが好ましい。該ポリエステルは、ホ
モポリエステルであってもコポリエステルであってもよ
く、共重合の例としては、アジピン酸、セバシン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボ
ン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカル
ボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多
価カルボン酸成分、およびテトラメチレングリコール、
ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリオ
キシアルキレングリコール、p−キシリレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタール、5−ナトリウ
ムスルホレゾルシンなどのジオール成分が挙げられる。
【0021】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は、
例えば酸化ジルコニウム粒子や不活性無機粒子を目的と
するポリエステルの出発原料であるグリコール溶媒で混
合撹拌して分散スラリーとし、熱可塑性ポリエステルの
反応系に添加する製造方法などで得ることができる。な
お、この際の処理方法は撹拌によらずとも、例えば超音
波などによっても構わなく、またサンドグラインダーな
どの媒体型ミルを用いても構わない。
【0022】ポリエステルへの配合にあたっては、上記
した重合反応系に直接添加する方法以外にも、例えば酸
化ジルコニウム粒子や不活性無機粒子を溶融状態のポリ
エステルへ練り込む方法などでも可能である。前者の重
合反応系に添加する際の添加時期は任意であるが、エス
テル交換反応前から重縮合反応の減圧開始前までの間が
好ましい。後者の練り込みの場合は、粒子を乾燥してポ
リエステルに練り込む方法でも、スラリ状態で減圧しな
がら直接練り込む方法でも構わない。なお、分散性を考
えると高剪断力の練り込み機にスラリ状態で減圧しなが
ら直接練り込む方が好ましい。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較実施例によ
り具体的に説明する。
【0024】(1) 不活性無機粒子の平均粒子径の評価 ポリエステルを0.2μm厚みの超薄切片にカッティン
グ後、透過型電子顕微鏡で1000個観察し、粒度積算
分布50%の点を平均粒子径とした。
【0025】(2) 耐摩耗性の評価 得られたポリエステル組成物を実施例に示す方法で二軸
延伸フィルムとし、細幅にスリットしたテープ状ロール
を、ステンレス鋼SUS−304製ガイドロールに一定
張力で高速、長時間こすりつけ、ガイドロール表面に発
生する白粉量によって次のようにランク付けし、2級以
上を合格とした。 1級……白粉発生まったくなし 2級……白粉発生がわずかに見られる 3級……白粉発生が見られる 4級……白粉発生がかなり多い
【0026】(3) 表面凹凸の評価 得られたポリエステル組成物を通常の方法で二軸延伸フ
ィルムとし、JISB−0601に準じ、サーフコム表
面粗さ計を用い、針径2μm、荷重70mg、測定基準
長0.25mm、カットオフ0.08mmの条件下で中
心線平均粗さ(Ra)を測定した。
【0027】(4) 静摩擦係数の測定 (2) または(3) と同様にして得たフィルムはスリップテ
スタを用い、ASTMD−1894B法に従って測定
し、静摩擦係数を得た。
【0028】(5) 巻き特性 フィルムを幅800mm、長さ5000mのロールに巻
き上げ、この巻き上げロール端面の幅方向のずれの距離
により、下記のようにランク付けした。 1級……0.5mm未満 2級……0.5〜1.0mm未満 3級……1.0〜3.0mm未満 4級……3.0〜8mm未満 5級……8mm以上 このうち2級以上を合格とした。
【0029】実施例1 酸化ジルコニウム粒子を10重量部、エチレングリコー
ル90重量部を混合して、常温下1時間ディゾルバーで
撹拌処理し、酸化ジルコニウム/エチレングリコールス
ラリー(A)を得た。
【0030】次に、炭酸カルシウム粒子を10重量部、
エチレングリコール90重量部を混合して、常温下1時
間ディゾルバーで撹拌処理し、炭酸カルシウム/エチレ
ングリコールスラリー(B)を得た。
【0031】他方、ジメチルテレフタレート100重量
部、エチレングリコール64重量部に、触媒として酢酸
マグネシウム0.06重量部を加えてエステル交換反応
を行なった後、反応生成物に先に調製したスラリー
(A)5重量部とスラリー(B)3重量部、さらに触媒
の酸化アンチモン0.03重量部、および耐熱安定剤と
してトリメチルホスフェート0.03重量部を加え重縮
合反応を行ない、固有粘度0.645のポリエチレンテ
レフタレート組成物を得た。透過型電子顕微鏡によって
観察したところ酸化ジルコニウムは0.2μm、炭酸カ
ルシウムは0.6μmの平均径であった。
【0032】このポリエチレンテリフタレート組成物を
290℃で溶融押し出しし、その後90℃で縦横それぞ
れ3倍延伸し、さらにその後220℃で15秒熱処理
し、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート二軸延
伸フィルムを得た。このフィルムを評価したところ、R
a=0.015μm、耐摩耗性評価1級であり、耐摩耗
性に非常に優れたフィルムであった。
【0033】実施例2〜9 ポリエチレンテレフタレート組成物中の酸化ジルコニウ
ム粒子の平均径、添加量、不活性無機粒子の種類、平均
径、添加量などを変更し、実施例1と同様の方法で二軸
配向ポリエステルフィルムを得た。これらのフィルムの
評価結果を表1〜3に示したが、耐摩耗性に優れたフィ
ルムであった。
【0034】比較実施例1〜6 不活性無機粒子の種類、平均径、添加量などを変更し、
実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルを得た。
これらの評価結果を表4〜5に示すが、本発明の範囲で
ないために耐摩耗性および易滑性が満足できるフィルム
でなかった。
【0035】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0036】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物中へ酸化ジ
ルコニウム粒子、不活性無機粒子をポリエステルへ配合
したポリエステル組成物は、繊維やフィルムなどに成形
した際の耐摩耗性、易滑性および巻き特性が良好とな
る。従って、本発明のポリエステル組成物は、繊維、フ
ィルムあるいはその他の成形品においても有効である
が、特に繰り返し摩擦使用される磁気テープに好ましく
用いることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性ポリエステル組
成物に関するものであり、さらに詳しくは、酸化ジルコ
ニウム粒子と特定の粒子径を有する不活性無機粒子を熱
可塑性ポリエステルに配合した耐摩耗性、易滑性および
巻き特性に優ぐれたフイルムあるいは繊維を得るに適し
た熱可塑性ポリエステル組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポ
リエチレンテレフタレートは優れた力学特性を有してお
り、フィルム、繊維などの成形品として広く用いられて
いる。通常、該ポリエステルは、成形品に易滑性を付与
する目的でポリエステル中に不活性粒子を含有せしめ、
成形品の表面に凹凸を付与する方法が行なわれている。
このような不活性粒子としては種々あるが、一般に不活
性粒子は該ポリエステルと親和性に欠け、耐摩耗性に劣
るといった問題があった。
【0003】従来からこの問題を解決すべく、不活性粒
子の表面処理の検討がなされており、例えば、特開昭6
3−221158号公報や特開昭63−280763号
公報(コロイダルシリカ粒子表面をグリコール基で改質
する。)、特開昭63−312345号公報(コロイダ
ルシリカ粒子表面をカップリング剤で改質する。)、特
開昭62−235353号公報(炭酸カルシウム粒子を
リン酸化合物で表面処理する。)ことなどが提案されて
いる。
【0004】しかしながら、このような公知の方法をも
ってしても磁気テープのように繰り返し摩擦使用される
ような場合は、粒子の脱落を生じる。このため特殊な粒
子を使用することが最近提案されてきており、例えば、
特開昭62−172031号公報(シリコン粒子)、特
開平2−129230号公報(デルタ型酸化アルミニウ
ム粒子)などが提案されているが、いまだ不十分であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
した従来技術の欠点を解消することにあり、特に酸化ジ
ルコニウム粒子と特定の粒子径を有する不活性無機粒子
を熱可塑性ポリエステルに配合せしめて、耐摩耗性、易
滑性および巻き特性に優れたフィルム、繊維を製造し得
るポリエステル組成物を得ることにある。
【0006】
【課題を解消するための手段】前記した本発明の目的
は、B.E.T法における比表面積が10m2 /g以上
である酸化ジルコニウム粒子および平均粒子径0.01
〜5.0μmである不活性無機粒子を、それぞれ0.0
1〜10wt%含有してなる熱可塑性ポリエステル組成
物によって達成される。
【0007】酸化ジルコニウム粒子をポリエステルに配
合すると、繊維やフィルムにした際の耐摩耗性に非常に
優れたものとなる。
【0008】酸化ジルコニウム粒子の比表面積としては
10m2 /g以上が必要であり、好ましくは20〜40
0m2 /gである。比表面積が10m2 /g未満では、
ポリエステル中での親和性が低く好ましくない。
【0009】酸化ジルコニウム粒子単体を一次粒子と呼
び、一次粒子が複数個集合したものを二次粒子と呼ぶ
が、本発明においては酸化ジルコニウム粒子が二次粒子
を形成していることが好ましい。
【0010】この二次粒子径は、熱可塑性ポリエステル
組成物からの成形品の目的に応じて任意に選ぶことがで
きる。フィルムあるいは繊維に用いる際には、0.01
μmから3.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.
05μmから1.0μmである。
【0011】なお、ここでいう二次粒子径とは、透過型
電子顕微鏡で粒子を1000個観察した際の粒度積算分
布50%の点とした。
【0012】また酸化ジルコニウム粒子の添加量として
は、熱可塑性ポリエステル組成物に対して0.01〜1
0wt%が好ましく、さらには0.05〜5.0wt%
が耐摩耗性の点で好ましい。0.01wt%未満では耐
摩耗性が不足し、10wt%を越える場合、他の物性の
低下が見られ好ましくない。
【0013】本発明においては、酸化ジルコニウム粒子
と不活性無機粒子を併用することが必須であり、このこ
とによって各々単独系ではなし得なかった易滑性、耐摩
耗性および巻き特性をを得ることができる。
【0014】本発明における不活性無機粒子とは、酸化
アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタンなどの酸化物、
カオリン、タルクなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、
炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸マグネ
シウムなどの硫酸塩、螢石に代表されるフッ化物、その
他カーボンブラックなど一般的な無機微粒子を意味する
が、酸化ジルコニウムと併用して易滑性、耐摩耗性およ
び巻き特性に関して著しい効果を得るためには、中でも
酸化物、複合酸化物および炭酸塩が好ましく、さらには
酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭酸カル
シウムがより好ましい。なお、これらの不活性無機粒子
は少なくとも1種を用いればよく、2種類以上を用いて
も構わない。
【0015】これらの不活性無機粒子の平均粒子径は、
0.01〜5.0μmであることが必要であり、さらに
好ましくは0.05〜3.0μmである。0.01μm
未満であると易滑性、巻き特性が悪化し、逆に5.0μ
mを越える場合は、成型品表面に粗大突起を生じ、特に
磁気テープ用途などの場合は電磁変換特性の低下や耐摩
耗性が悪化するために好ましくない。
【0016】なお、ここでいう平均の粒子径とは、透過
型電子顕微鏡で粒子を1000個観察し、ふるい下粒度
分布の50%の点の粒子径を意味している。
【0017】不活性無機粒子は、易滑性、耐摩耗性、巻
き特性のバランスの点から、ふるい下粒度積算分布25
%の径D1 と75%の径D2 の比、2 /D1 値が1
〜10が好ましく、さらには1〜5が好ましい。
【0018】不活性無機粒子の添加量は、熱可塑性ポリ
エステル組成物に対して、0.01〜10wt%である
ことが必要であり、さらに好ましくは0.05〜7wt
%である。0.01wt%未満であると成型品の易滑
性、巻き特性が悪化し、逆に10wt%を越える場合、
成型品表面に粗大突起を生じ、特に磁気テープ用途など
の場合には電磁変換特性の低下や耐摩耗性が悪化するた
めに好ましくない。
【0019】本発明における熱可塑性ポリエステルと
は、芳香族ジカルボン酸あるいはそのジアルキルエステ
ルなどの二官能性成分とグリコール成分を原料として、
重縮合反応によって製造されるものである。
【0020】特にこのうち、ポリエチレンテレフタレー
トを主体とするものが好ましい。該ポリエステルは、ホ
モポリエステルであってもコポリエステルであってもよ
く、共重合の例としては、アジピン酸、セバシン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボ
ン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカル
ボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多
価カルボン酸成分、およびテトラメチレングリコール、
ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリオ
キシアルキレングリコール、p−キシリレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタール、5−ナトリウ
ムスルホレゾルシンなどのジオール成分が挙げられる。
【0021】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は、
例えば酸化ジルコニウム粒子や不活性無機粒子を目的と
するポリエステルの出発原料であるグリコール溶媒で混
合撹拌して分散スラリーとし、熱可塑性ポリエステルの
反応系に添加する製造方法などで得ることができる。な
お、この際の処理方法は撹拌によらずとも、例えば超音
波などによっても構わなく、またサンドグラインダーな
どの媒体型ミルを用いても構わない。
【0022】ポリエステルへの配合にあたっては、上記
した重合反応系に直接添加する方法以外にも、例えば酸
化ジルコニウム粒子や不活性無機粒子を溶融状態のポリ
エステルへ練り込む方法などでも可能である。前者の重
合反応系に添加する際の添加時期は任意であるが、エス
テル交換反応前から重縮合反応の減圧開始前までの間が
好ましい。後者の練り込みの場合は、粒子を乾燥してポ
リエステルに練り込む方法でも、スラリ状態で減圧しな
がら直接練り込む方法でも構わない。なお、分散性を考
えると高剪断力の練り込み機にスラリ状態で減圧しなが
ら直接練り込む方が好ましい。
【0023】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は、
例えば次のような方法によって成形し、フィルムとする
ことができる。重合反応で得られたポリエステルのペレ
ットを十分乾燥した後ただちに押出機に供給する。この
ペレットを260〜350℃で溶融し、ダイよりシート
状に押出しキャスティングロール上で冷却、固化させて
未延伸フィルムを得る。次に、この未延伸フィルムを二
軸延伸するのが好ましい。延伸方法としては逐次二軸延
伸法、同時二軸延伸法、あるいはこのように二軸に延伸
したフィルムを再度延伸する方法などを用いても良い。
ポリエステルの組成にもよるが、磁気記録媒体用 フィル
ムとして十分な弾性率を得るには最終的な延伸面積倍率
(縦倍率×横倍率)を6倍以上とすることが好ましい。
またフィルムの熱収縮率を小さく保つため150〜26
0℃の温度範囲で0.1〜60秒程度の熱処理を行うこ
とが好ましい。
【0024】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は、
単層フィルムとして、また2層以上の層から構成される
積層フィルムとして用いることができる。積層フィルム
の場合、本発明の熱可塑性ポリエステル組成物よりなる
層(以下積層部ともいう)を少なくとも一層配置し、他
層は用途に応じ任意のポリマから構成される。積層フィ
ルムを構成する積層部はフィルム表面の少なくとも一表
面を構成することが好ましいが、このような表面上にコ
ーティング等による層が存在しても良い。フィルムの積
層方法としては溶融共押出しなど公知の方法を用いるこ
とができる。
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較実施例によ
り具体的に説明する。
【0026】(1) 不活性無機粒子の平均粒子径の評価 ポリエステルを0.2μm厚みの超薄切片にカッティン
グ後、透過型電子顕微鏡で1000個観察し、粒度積算
分布50%の点を平均粒子径とした。
【0027】(2) 耐摩耗性の評価 得られたポリエステル組成物を実施例に示す方法で二軸
延伸フィルムとし、細幅にスリットしたテープ状ロール
を、ステンレス鋼SUS−304製ガイドロールに一定
張力で高速、長時間こすりつけ、ガイドロール表面に発
生する白粉量によって次のようにランク付けし、2級以
上を合格とした。 1級……白粉発生まったくなし 2級……白粉発生がわずかに見られる 3級……白粉発生が見られる 4級……白粉発生がかなり多い
【0028】(3) 表面凹凸の評価 得られたポリエステル組成物を通常の方法で二軸延伸フ
ィルムとし、JISB−0601に準じ、サーフコム表
面粗さ計を用い、針径2μm、荷重70mg、測定基準
長0.25mm、カットオフ0.08mmの条件下で中
心線平均粗さ(Ra)を測定した。
【0029】(4) 静摩擦係数の測定 (2) または(3) と同様にして得たフィルムはスリップテ
スタを用い、ASTMD−1894B法に従って測定
し、静摩擦係数を得た。
【0030】(5) 巻き特性 フィルムを幅800mm、長さ5000mのロールに巻
き上げ、この巻き上げロール端面の幅方向のずれの距離
により、下記のようにランク付けした。 1級……0.5mm未満 2級……0.5〜1.0mm未満 3級……1.0〜3.0mm未満 4級……3.0〜8mm未満 5級……8mm以上 このうち2級以上を合格とした。
【0031】(6) 積層部の厚み 積層フィルムを断面方向が観察できるように超薄切片に
カッティング後、透過型電子顕微鏡で観察し、粒子濃度
の変化状態やポリマの違いによるコントラストの差から
界面を認識し厚みを測定した。
【0032】実施例1 酸化ジルコニウム粒子を10重量部、エチレングリコー
ル90重量部を混合して、常温下1時間ディゾルバーで
撹拌処理し、酸化ジルコニウム/エチレングリコールス
ラリー(A)を得た。
【0033】次に、炭酸カルシウム粒子を10重量部、
エチレングリコール90重量部を混合して、常温下1時
間ディゾルバーで撹拌処理し、炭酸カルシウム/エチレ
ングリコールスラリー(B)を得た。
【0034】他方、ジメチルテレフタレート100重量
部、エチレングリコール64重量部に、触媒として酢酸
マグネシウム0.06重量部を加えてエステル交換反応
を行なった後、反応生成物に先に調製したスラリー
(A)5重量部とスラリー(B)3重量部、さらに触媒
の酸化アンチモン0.03重量部、および耐熱安定剤と
してトリメチルホスフェート0.03重量部を加え重縮
合反応を行ない、固有粘度0.645のポリエチレンテ
レフタレート組成物を得た。透過型電子顕微鏡によって
観察したところ酸化ジルコニウムは0.2μm、炭酸カ
ルシウムは0.6μmの平均径であった。
【0035】このポリエチレンテリフタレート組成物を
290℃で溶融押し出しし、その後90℃で縦横それぞ
れ3倍延伸し、さらにその後220℃で15秒熱処理
し、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート二軸延
伸フィルムを得た。このフィルムを評価したところ、R
a=0.015μm、耐摩耗性評価1級であり、耐摩耗
性に非常に優れたフィルムであった。
【0036】実施例2〜9 ポリエチレンテレフタレート組成物中の酸化ジルコニウ
ム粒子の平均径、添加量、不活性無機粒子の種類、平均
径、添加量などを変更し、実施例1と同様の方法で二軸
配向ポリエステルフィルムを得た。これらのフィルムの
評価結果を表1〜3に示したが、耐摩耗性に優れたフィ
ルムであった。
【0037】実施例10〜12 ポリエチレンテレフタレート組成物中の酸化ジルコニウ
ム粒子の比表面積、平均径、添加量、不活性無機粒子の
種類、平均径、添加量などを変更し、実施例1と同様の
方法でポリマーAを得た。また有機粒子、無機粒子等を
含有するポリエチレンテレフタレート組成物を実施例1
と同様の方法によって得た(ポリマーB)。
【0038】ポリマーA、ポリマーBを290℃で溶融
し、これらの溶融ポリマーをダイに導き、ダイ内で積層
させ溶融押出しし、その後90℃で縦、横方向へそれぞ
れ3倍延伸した。その後220℃で15秒間熱処理し全
厚み15μmのポリエチレンテレフタレート二軸延伸積
層フィルムを得た。これらのフィルムの評価結果を表4
に示したが、耐摩耗性に優れたフィルムであった。
【0039】比較実施例1〜6 不活性無機粒子の種類、平均径、添加量などを変更し、
実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルを得た。
これらの評価結果を表5〜6に示すが、本発明の範囲で
ないために耐摩耗性および易滑性が満足できるフィルム
でなかった。
【0040】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0041】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物中へ酸化ジ
ルコニウム粒子、不活性無機粒子をポリエステルへ配合
したポリエステル組成物は、繊維やフィルムなどに成形
した際の耐摩耗性、易滑性および巻き特性が良好とな
る。従って、本発明のポリエステル組成物は、繊維、フ
ィルムあるいはその他の成形品においても有効である
が、特に繰り返し摩擦使用される磁気テープに好ましく
用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 B.E.T法における比表面積が10m
    2 /g以上である酸化ジルコニウム粒子および平均粒子
    径が0.01〜5.0μmである不活性無機粒子を、そ
    れぞれ0.01〜10wt%含有してなる熱可塑性ポリ
    エステル組成物。
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