JP3061821B2 - ポリエステルの製造方法およびポリエステル組成物 - Google Patents

ポリエステルの製造方法およびポリエステル組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はフィルムとして形成した時に、耐摩耗性、走
行性および表面特性が改良された二軸延伸ポリエステル
フィルムを製造しうるポリエステルの製造方法およびポ
リエステル組成物に関する。
[従来の技術] ポリエチレンテレフタレ−トやポリエチレンナフタレ
−トで代表されるポリエステルフィルムは、優れた力学
特性,耐候性,電気絶縁性,耐薬品性を有するため磁気
テープ用フィルム、コンデンサ用フィルム、写真用フィ
ルム等に広く利用されている。
これらポリエステルフィルムは、製造工程での工程通
過性や高次加工時の取扱い性、さらには最終製品の滑り
性や表面特性を改良するため、ポリエステル中に微粒子
を含有させフィルム表面に適度な凹凸を形成せしめる方
法が通常用いられている。
このような微粒子含有ポリエステルとしては、大きく
分けて、ポリエステルの合成時に添加したアルカリ金
属化合物やアルカリ土類金属化合物さらにはリン化合物
を構成成分の一部とする析出粒子を重縮合反応系で生成
せしめたポリエステル組成物、酸ケイ素、二酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、タルク、クレ−等の不活性無機粒
子を含有せしめたポリエステル組成物、の2とおりが知
られている。
このうち、の方法で得られるポリエステル組成物
は、析出粒子の構造が基材を構成するポリエステルの構
造に近似しているものの、粒子径が反応系の僅かな変動
によりバラツキ、得られるフィルム表面凹凸コントロ−
ルが不安定であるという欠点を有していた。
このような粒子径のバラツキをなくす方法としては、
の方法が有効である。つまり、この方法は、あらかじ
め粒子径や粒度分布をコントロ−ルしておくことが可能
なため、フィルムの表面凹凸をコントロ−ルすることが
できる訳である。
しかしながら、一般にこれらの不活性無機粒子は、ポ
リエステルに比較して表面張力がかなり大きく、ポリエ
ステル中での分散系は、かなり不安定である。また、粒
子とポリエステルの界面で親和性も好ましくないため、
の内部粒子析出系に比較して、粒子の脱落等が多いと
いう問題がある。
これらの問題を解決するための粒子の表面処理をする
ことが従来よりこころみられている。例えば、特開昭62
−235353号公報では、リン化合物で表面処理した炭酸カ
ルシウムをポリエステルに配合することが提案されてい
るが、表面処理による粒子とポリエステルの親和性改良
効果は不十分である。更には、ポリエステルに炭酸カル
シウムを配合する際に酸化合物で表面処理することも、
特開昭60−71632号公報、特開昭64−4239号公報、特開
昭64−4240号公報で提案されている。しかしながら、特
開昭60−71632号公報では、主としてカルボン酸金属塩
を表面処理剤として、また、特開昭60−4239、4240号公
報では、カルボン酸化合物を用いて水系で表面処理した
後グリコ−ル分散しているため、いずれの場合も表面処
理によるポリエステルとの親和性改良効果がいまだ不十
分であった。
これに反して、特に近年、磁気テ−プ用途では高記録
密度化の要請が著しく、フィルム表面凹凸の均一化とあ
わせて、高速走行させたときのフィルムの耐摩耗性の改
良が要求されており、添加した不活性無機粒子とポリエ
ステルとの親和性を向上させることがますます重要な課
題となってきている。本願発明者らは、鋭意検討した結
果、特定のポリエステルに特定の条件下の粒子を配合す
ることにより、これらの問題点を解決することを見い出
した。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、高速走行させても耐摩耗性が改良された二
軸延伸ポリエステルフィルムを提供しうるポリエステル
の製造方法およびポリエステル組成物に関する。さらに
詳しくは添加した不活性無機粒子とポリエステルとの親
和性が改良され、かつ粒子径が微細で均一であることに
より、フィルムに成形した時の表面凹凸の均一性か優
れ、高速走行させても耐摩耗性が改良された二軸延伸ポ
リエステルフィルムを提供しうるポリエステルの製造方
法およびポリエステル組成物に関する。
[課題を解決するための手段] 前記した本発明の目的は、次の構成によって達成でき
る。
(1)主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコ−ル成
分を重合し主たる繰り返し単位が芳香族ジカルボキシレ
−トからなるポリエステルを製造するに際し、 純水中でのζ−電位が+チャ−ジである平均粒子径10〜
3000mμの不活性無機粒子を、あらかじめ、 (a)ポリエステルの原料であるグリコール系化合物
と、 (b)次の(I)式を満足する範囲のパラメーターを有
しかつ末端および/または側鎖に酸官能基を有する分子
量1000〜500000の高分子化合の存在下で表面処理し、か
つ分散あるいは粉砕処理した後、 ポリエステルの重合が完結する以前の任意の段階で、反
応系にポリエステル100重量部に対し、0.01〜5.0重量部
添加し、かつポリエステル中のカルボキシル末端基を20
eq/t以上とすることを特徴とするポリエステルの製造方
法。
σ−1.5≦σ≦σ+1.5 (I) (σ1:高分子化合物の溶解パラメータ σ2:ポリエステルの溶解パラメータ) (2)主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成
分を重合して得られる、主たる繰り返し単位が芳香族ジ
カルボキシレートからなる、カルボキシル末端基量が20
eq/t以上で、かつ純水中でのζ−電位が+チャージであ
る平均粒子径10〜3000mμの不活性無機粒子を0.01〜5.0
重量部含有するポリエステル組成物であって、該不活性
無機粒子があらかじめポリエステルの原料であるグリコ
ール系化合物と、前記(I)式を満足する範囲のパラメ
ーターを有しかつ末端および/または側鎖に酸官能基を
有する分子量1000〜500000の高分子化合物の存在下で表
面処理され、かつ分散あるいは粉砕処理されたものであ
ることを特徴とするポリエステル組成物。
本発明におけるポリエステルとは、主として芳香族ジ
カルボン酸成分とグリコール成分を重合したもので、主
たる繰返し単位が芳香族ジカルボキシレートからなるも
のである。すなわち、テレフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸,イソフタル酸
などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸,セバシン酸な
どの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、
ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸な
どで示されるジカルボン酸成分と、エチレングリコ−
ル,ブタンジオ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ルなど
のグリコ−ル成分とから得られるポリエステルであり、
具体的にはポリエチレンテレフタレ−ト,ポリブチレン
テレフタレ−ト,ポリエチレンナフタレ−トなどを挙げ
ることができる。またこれらポリエステルはホモポリマ
であっても共重合ポリマであってもよく、共重合成分と
しては、上記したジカルボン酸成分およびジオ−ル成分
を一種類以上使用することもできる。さらには、ポリエ
チレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ルなどのポリ
アルキレングリコ−ル、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸などのジカルボン酸
なども使用することができる。
本発明における不活性無機粒子は、純水中でのζ−電
位が+チャ−ジであることが必須である。このような粒
子としては、天然物の中から該当するものを選択しても
よいし、また人工的に作ったものであってもよい。具体
的な粒子種としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸
化亜鉛などおよびこれらの複合酸化物や硫酸バリウム、
炭酸カルシウムなどがある。一例として、酸化アルミニ
ウムについて更に詳しく述べると、該粒子は、一般に、
ρ型で代表されるアモルファスのものから、γ、δ、
η、θ、κ、χで表される活性アルミナ、および、セラ
ミック業界で持ちいられるα型のものまでがあり、中で
も、α、γ、δ、θ型酸化アルミニウムが好ましい。ま
た、人工的にこれらの粒子を合成する際は、その粒子に
合わせて一般的に知られている方法で合成することがで
きるが、この際粒子表面に硝酸根などのアニオンが多く
残存するとチャージを打ち消す方向に働くので注意を要
する。
また、本発明における不活性無機粒子は、平均粒子径
を10〜3000mμの範囲である必要がある。さらに好まし
くは15〜2000mμである。粒子径が10mμ未満の場合は、
表面凹凸が微細すぎてフィルムの走行性に劣り、また逆
に3000mμを越える場合は、表面凹凸が粗すぎて、本発
明の構成でもっても粒子の耐摩耗性を維持するのが難し
い。なお、これらの粒子群の中から少なくとも一種を用
いれば良いが、場合によっては、二種以上を併用しても
構わない。なお、フィルムや繊維などの成形品の表面突
起をコントロ−ルする必要に応じて、平均粒子径10〜30
00mμの範囲で選択すれば良い。
一般に成形品から粒子の抜け落ちを生じるという問題
は、粒子とポリマの親和性が悪いことが原因である。本
発明による方法でポリエステルに粒子を配合することに
より粒子とポリマとの親和性が向上し、この問題を解決
することができる。すなわち、高表面エネルギ−をもつ
不活性無機粒子をポリマ系に配合すると、ポリマの表面
エネルギ−が小さいため系の自由エネルギ−を下げるよ
うに粒子界面にポリマが吸着する。この状態で粒子の純
水中でのζ−電位が+チャ−ジである、すなわち塩基性
粒子の場合は、ポリマのカルボキシル末端基を水素結合
により取り組み、ポリマと粒子が結合した状態となる。
したがって、成形品にした場合、粒子とポリマの親和性
が高まり、粒子が抜け落ちにくくなる訳である。逆に言
うと、純水中でのζ−電位が−チャ−ジの場合は、ポリ
マのカルボキシル末端基との結合が不十分であり、粒子
とポリマの親和性を高めるには至らない。
なお、一般に、上述したζ−電位が+チャ−ジである
粒子表面の反応サイト量はポリマのカルボキシル末端基
量に比較してかなり過剰量の状態にある。したがって、
ポリエステル中のカルボキシル末端基濃度を20eq/t以上
にしておく必要がある。ただし、このような特殊なポリ
マと粒子の組み合わせを行っても系内には、粒子の反応
サイトがかなり残っている。そこで、該不活性無機粒子
をポリエステル系に添加する前に、あらかじめ粒子を末
端あるいは側鎖に酸官能基を持つような高分子化合物で
処理して、あますところなく反応サイトを埋めておくこ
とが必要である。該高分子化合物としては、カルボン
酸、スルホン酸などの反応性官能基を持つ高分子、具体
的には、アクリル酸、スルホイソフタル酸などの共重合
化合物が考えられる。この場合は、表面処理高分子化合
物と該ポリエステルとの親和性を考える必要がある。具
体的には、表面処理共重合高分子化合物と該ポリエステ
ルの溶解パラメ−タが近くなるように高分子設計をする
必要がある。本発明においては、該高分子化合物と該ポ
リエステルとの溶解パラメ−タを各々δ、δとした
場合に次の(I)式を満足するような範囲とする。
δ−1.5≦δ≦δ+1.5 (I) ここで言う溶解パラメ−タとは、ポリマアロイなどの
分野で公知であり、種々の方法がこれまでに提案されて
いる中のFedorsの方法による計算値を言う。この方法は
具体的には、Polymer Engineering and ScienceのFe
bruary,1974,vol 14,No.2の147ペ−ジから154ペ−ジに
開示されている。例えば、この方法を用いると、ポリエ
チレンテレフタレ−ト(以下PETと略す)の場合は、δ
=約12.2となり、ポリアクリル酸単独系ではδ=約
14.0と離れているため、ポリアクリル酸単独ではPETと
の親和性があまり好ましくない。そこで、アクリル酸系
ポリマを表面処理高分子としてPET系に使用する際は、
メタクリル酸やメタクリル酸エステル、または、アクリ
ル酸エステルなどと共重合して(I)式の範疇に入るよ
うに高分子設計する。さらに好ましくは、次の(II)式
の範囲である。
δ−1.0≦δ≦δ+1.0 (II) δが、δ−1.5より小さかったり、δ+1.5より
大きい場合は、該ポリエステルと該表面処理高分子化合
物との相液性に劣るため、親和性が悪くなる。その結
果、粒子とポリエステルの親和性が悪くなり、フィルム
に成型した際に粒子の脱落につながる。なお、該表面処
理高分子化合物の分子量としては1000〜500000の範囲で
ある。好ましくは3000〜300000である。分子量1000未満
では、表面処理層の厚みが薄く効果が小さい。逆に分子
量500000以上だと、いわゆるル−プと呼ばれる吸着状態
になり、これもまた、表面処理層の厚みが増えなく、効
果が小さい。
また、このような表面処理をする際は、表面処理剤を
粒子のまわりに効率よく集めることが好ましい。したが
って、このような表面処理剤の溶解度が大きい水系など
で行うよりも、溶解度の低い溶媒系で行うことが必要で
ある。プロセスとして、このスラリ−を反応系に添加す
ることも考えると、ポリエステルの品質低下を抑えるた
めには、原料であるグリコール系化合物で行うことが必
要である。このようなグルコール系化合物としては、具
体的にはエチレングルコール、ブタンジオール、シクロ
ヘキサンジメタノール等があげられる。
さらに、グリコール系化合物で表面処理をする際は、
表面処理する面積を多くするため、粒度分布を調整する
ための分散あるいは粉砕処理する必要がある。分散およ
び粉砕の方法としては様々な方法が公知であるが、例え
ば、超音波によるものや高速攪拌によるもの、また、媒
体型のミルによるものなど、目的とする粒度にあわせて
選択すると良い。
また本発明においてポリエステルは、カルボキシル末
端基濃度が、20eq/t以上とすることが必須である。更に
好ましくは25eq/t以上である。20eq/t未満である場合
は、後述するように、ポリエステルと不活性無機粒子と
の相互作用が低く、その結果、粒子とポリマの親和性が
悪くなって、フィルムや繊維にした際の粒子の抜け落ち
を生じ、好ましくない。
カルボキシル末端基を20eq/t以上にするためには、上
述した金属化合物およびリン化合物の添加量、添加量
比、添加順序、添加間隔などでコントロ−ルすることが
可能である。また、20eq/t以上の場合においては、オキ
サゾリン系などの末端封鎖剤を添加しても構わない。具
体的には、リン化合物の点か量を下げるか、重合時の減
圧どをさげ重合時間を長くする、もしくは重合温度をあ
げるなどでで行う。さらに具体的には、例えば、リン化
合物の添加量をポリエステルに対して1000ppm以下、重
合温度を260〜320℃、特に280〜320℃とするのが好まし
い。また、重合時に若干の酸素もしくは空気を混入させ
ても効果的である。
次に本発明のポリエステルの製造方法の具体例をポリ
エチレンテレフタレート(以下PETと略記する)により
詳述する。本発明の条件で粒子をPETに含有させる場合
は、テレフタル酸とエチレングリコ−ルとをエステル化
反応によって得た反応生成物を重縮合反応せしめる方法
(直重法)およびテレフタル酸ジメチルとエチレングリ
コ−ルとをエステル交換反応によって得た反応生成物を
重縮合反応せしめる方法(エステル交換法)のいずれの
方法によっても得ることができる。
更に具体的には、まず第一に直重法の場合、テレフタ
ル酸とエチレングリコ−ルとを240〜280℃の温度で触媒
の存在下または無触媒でエステル反応せしめ、反応率95
%以上の反応生成物を得る。しかる後、エチレングリコ
−ル可溶性の金属,リン化合物および前記した不活性無
機粒子を添加した後、230〜300℃減圧下で重縮合反応を
行い目的とするPET組成物を得る。なお、これら化合物
の添加時期は同時に添加しても、いずれが先であっても
かまわないが、金属化合物およびリン化合物を添加した
後に不活性無機粒子を添加するのが好ましく、添加間隔
は、5〜60分、好ましくは10〜30分である。5分未満の
場合は、不活性無機粒子が凝集しやすく、60分を越える
とそれ以上分散性が向上しないばかりでなく、ポリエス
テルの軟化点が低下したり更にはタイムサイクルが遅延
し生産性の低下を引き起こすため好ましくない。また、
前記した不活性無機粒子は固有粘度が0.3に達する以前
に添加することが好ましい。固有粘度が0.3に達した以
降に不活性無機粒子を添加すると、反応系の溶融粘度が
高いため不活性無機粒子が均一に混合されず好ましくな
い。
第二にエステル交換反応法の場合、テレフタル酸ジメ
チルとエチレングリコ−ルとを140〜240℃でエステル交
換反応せしめ反応生成物を得る。エステル交換反応触媒
としては、通常の金属化合物を用いることができる。さ
らにエステル交換反応が実質的に終了した後、再度金属
化合物を添加することもできる。リン化合物はエステル
交換反応後に添加されるが、金属化合物をエステル交換
反応触媒以外にエステル交換反応後に添加する場合は、
金属化合物の添加後に添加するのが好ましい。不活性無
機粒子の添加の段階で添加するのが好ましい。上記した
反応生成物は230〜300℃減圧下で重縮合反応を行い目的
とするPET組成物を得る。
第一の方法および第二の方法において、PETのまた、
両者の方法において合成したポリエステル組成物を用い
てフィルムを製造する際には従来公知のフィルムの製造
法を適用できる。例えば、本明細書記載範囲の不活性無
機粒子を含有するポリエステルを溶融製膜して非晶質の
未延伸フィルムとし、次いで、該未延伸フィルムを二軸
方向に延伸し、熱固定し、必要であれば弛緩熱処理する
ことによって製造する。ここで、フィルム表面特性は、
ポリエステル中の不活性無機粒子の粒径や含有量など、
あるいは、延伸条件によって変化するので、延伸条件を
適宜選択する。また、フィルムのボイド、密度、熱収縮
率なども延伸倍率、延伸速度、熱処理温度などによって
変化するので、これらの特性を同時に満足するような条
件を選択する。例えば、延伸温度は、一段目の延伸温度
(例えば縦方向延伸温度:T1)が、(Tg−10)℃から(T
g+45)℃の範囲(但し、Tgはポリエステルのガラス転
移温度)から、二段目延伸温度(例えば横方向延伸温
度:T2)が、(T1+15)℃から(T1+40)℃の範囲から
選択するとよい。また、延伸倍率は、一軸方向の延伸倍
率が2倍以上、更に好ましくは2.5倍以上でかつ面積倍
率が6倍以上、更に好ましくは8倍以上となる範囲から
選択すると良い。また、熱固定温度は、180℃から250
℃、更に好ましくは、200℃から230℃の範囲から選択す
ると良い。
これにより高速走行させても耐摩耗性が改良された二
軸延伸ポリエステルフィルムを得ることができる。この
二軸延伸ポリエステルフィルムは、磁気記録媒体のベ−
スフィルム、特に磁気テ−プのベ−スフィルムに用いる
のが好ましいが、これに限定されるものではなく、電気
用途、包装用途および蒸着用途などの他の分野へも広く
適用することができる。また、本発明の熱可塑性ポリエ
ステル樹脂は、フィルム以外にも繊維やその他エンジニ
アリングプラスチックなどにも優れた効果を発揮する。
[実施例] 以下実施例で本発明を詳述する。なお、各特性値の測
定は次の方法にしたがって行った。
(イ)平均粒子径 走行型電子顕微鏡を用いて粒子の一次径を測定した。
(ロ)粒子のζ−電位 純水中に粒子を添加して稀薄スラリ−とし、通常の電
気泳動法により測定した。
(ハ)ポリマの固有粘度 o−クロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(ニ)ポリマのカルボキシル末端基 Maurichの方法により測定し、ポリエステル中の濃度
をeq/tで示した。
(ホ)フィルムの平均表面粗さ(Ra) JIS−B−0601に規定された方法にしたがって、触針
式表面粗さ計を用いてカットオフ0.08mm,測定長4mmとし
て測定した。
(ヘ)フィルムの耐摩耗性(白粉の評価) 家庭用ビデオテ−プレコ−ダに硬質クロム製固定ピン
をセットし、実施例並びに比較実施例の方法で製造した
フィルムを幅1/2インチ長さ250mに切断してサンプルと
し、25℃、湿度45RHの条件下で引っ張り速度25mm/分で
走行させた時の固定ピンに付着した白粉量を次の4段階
の判定基準で評価し、2級以上を合格、3級以下を不合
格とした。
<判定基準> 1級:全く付着しない 2級:わずかん付着する 3級:付着量が多い 4級:前面に付着する (ト)フィルムの静摩擦係数 スリップテスタを用い、ASTM−D−1894B法にしたが
って測定し、静摩擦係数を用いた。数値が小さいほど走
行性が良好である。
実施例1 テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコ−
ル64重量部に酢酸カルシウム0.1重量部を触媒として添
加し、常法によってエステル交換反応を行い、三酸化ア
ンチモン0.04重量部を添加した後トリメチルホスフェ−
ト0.04重量部を添加し、反応生成物(X−1)を得た。
一方、一次粒子径20mμのδ型酸化アルミニウム(純
水系のζ−電位+72mV)(B−1)10重量部とエチレン
グリコ−ル90重量部およびアクリル酸とメタクリル酸メ
チル共重合体(共重合比4:1、分子量10000)(C−1)
0.2重量部を通常のサンドグライダ−で分散処理してス
ラリ−(Y−1)を得た。
次に、上記の反応生成物(X−1)を220℃の溶融状
態にして上記スラリ−(Y−1)を30重量部添加し、22
5℃で20分間攪拌保持した後、重縮合反応槽に移行し常
法によって固有粘度0.615、カルボキシル末端基濃度45e
q/tのポリエステル(A−1)を得た。次に得られたポ
リエステル組成物を290℃で押出機により溶融押し出し
し、キャステングドラムで急冷し未延伸シ−トを得た。
引き続づきこれを90℃で縦および横方向に各々3倍に延
伸し220℃で10秒間熱固定し、厚さ20μの二軸延伸フィ
ルムを得た。ポリマ特性とフィルム特性は表1に示すと
おり、Ra、耐摩耗性、走行性の良好な二軸延伸フィルム
であった。
比較実施例1 テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコ−
ル64重量部、酢酸カルシウム0.1重量部を触媒として常
法によってエステル交換反応を行い、その生成物に三酸
化アンチモン0.04重量部を添加した後トリメチルホスフ
ェ−ト0.04重量部を添加し反応生成物(X−1)を得
た。
一方、一次粒子径80mμの酸化ケイ素(純水系のζ−
電位−65mV)(B−2)10重量部とエチレングリコ−ル
90重量部およびアクリル酸とメタクリル酸メチル共重合
体(共重合比4:1、分子量10000)(C−2)0.2重量部
を通常のサンドグラインダ−で分散処理してスラリ−
(Y−1)を得た。
次に、上記の反応生成物(X−1)を220℃の溶融状
態にして上記のスラリ−(Y−1)を30重量部添加し、
225℃で20分間攪拌保持した後、重縮合反応槽に移行し
常法によって固有粘度0.613、カルボキシル末端基濃度2
8eq/tのポリエステル(A−2)を得た。次ぎに得られ
たポリエステル組成物を290℃で押出機により溶融押し
出しし、キャステングドラムで急冷し未延伸シ−トを得
た。引き続づきこれを90℃で縦および横方向に各々3倍
に延伸し220℃で10秒間熱固定し、厚さ20μの二軸延伸
フィルムを得た。ポリマ特性とフィルム特性は表2に示
すとおり、Ra、走行性は良好であるが、耐摩耗性が不良
の二軸延伸フィルムであった。
実施例2〜8 粒子の純水中でのζ−電位、粒子径、表面処理高分子
およびポリエステル中のカルボキシル末端基濃度を変え
て実施例1の方法と同様にポリエステル組成物および二
軸延伸フィルムを得た。ポリマ特性とフィルム特性は表
1に示すとおり、Ra、耐摩耗性、走行性の良好な二軸延
伸フィルムであった。
比較実施例2〜8 粒子の純水中でのζ−電位、粒子径、表面処理高分子
およびポリエステル中のカルボキシル末端基濃度を変え
て実施例1の方法と同様にポリエステル組成物および二
軸延伸フィルムを得た。ポリマ特性とフィルム特性は表
1に示すとおり、Ra、耐摩耗性、走行性などの不良な二
軸延伸フィルムであった。
[発明の効果] 本発明におけるポリエステルと不活性無機粒子の組み
合わせは、ポリエステルとの親和性が良好であるため、
本発明の方法で得たポリエステル組成物を例えば二軸延
伸ポリエステルフィルムとした場合は、耐摩耗性が良好
となる。
したがって、本発明のポリエステルおよびポリエステ
ル組成物は、ポリエステル繊維、ポリエステルフィルム
あるいは、その他の成型品において有効に効果を発揮
し、特に、繰り返し摩擦使用される磁気テ−プ用として
好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 合議体 審判長 柿崎 良男 審判官 永田 雅博 審判官 中島 次一 審判官 竹之内 秀明 審判官 大橋 良三 (56)参考文献 特開 昭64−4239(JP,A) 特開 昭64−4240(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として芳香族ジカルボン酸とグリコール
    成分を重合し主たる繰り返し単位が芳香族ジカルボキシ
    レートからなるポリエステルを製造するに際し、純水中
    でのζ−電位が+チャージである平均粒子径10〜3000m
    μの不活性無機粒子を、あらかじめ、 (a)ポリエステルの原料であるグリコール系化合物
    と、 (b)次の(I)式を満足する範囲のパラメーターを有
    しかつ末端および/または側鎖に酸官能基を有する分子
    量1000〜500000の高分子化合の存在下で表面処理し、か
    つ分散あるいは粉砕処理した後、 ポリエステルの重合が完結する以前の任意の段階で、反
    応系にポリエステル100重量部に対し、0.01〜5.0重量部
    添加し、かつポリエステル中のカルボキシル末端基を20
    eq/t以上とすることを特徴とするポリエステルの製造方
    法。 σ−1.5≦σ≦σ+1.5 (I) (σ1:高分子化合物の溶解パラメータ σ2:ポリエステルの溶解パラメータ)
  2. 【請求項2】主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコ
    ール成分を重合して得られる、主たる繰り返し単位が芳
    香族ジカルボキシレートからなる、カルボキシル末端基
    量が20eq/t以上で、かつ純水中でのζ−電位が+チャー
    ジである平均粒子径10〜3000mμの不活性無機粒子を0.0
    1〜5.0重量部含有するポリエステル組成物であって、該
    不活性無機粒子があらかじめポリエステルの原料である
    グリコール系化合物と、前記(I)式を満足する範囲の
    パラメーターを有しかつ末端および/または側鎖に酸官
    能基を有する分子量1000〜500000の高分子化合物の存在
    下で表面処理され、かつ分散あるいは粉砕処理されたも
    のであることを特徴とするポリエステル組成物。
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