JPH051486Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両用シートベルト装置に用いられ、
乗員拘束用ウエビングの一端を付勢力で巻取軸へ
巻き取るウエビング巻取装置に関する。

［従来の技術］ 車両用シートベルト装置には、乗員拘束用ウエ
ビングの一端を付勢力で巻取軸へ巻き取つてウエ
ビングを格納するウエビング巻取装置が設けられ
ており、乗員はこのウエビング巻取装置からウエ
ビングを引き出して装着できるようになつてい
る。

ウエビング巻取装置には、車両緊急時にウエビ
ングの引出しを瞬時に停止させるイナーシアロツ
ク機構が設けられており、これによつて、車両緊
急時に乗員をウエビングで拘束できるようになつ
ている。

ところが、従来のウエビング巻取装置では、ウ
エビング巻取時に巻取軸が回転慣性力で必要以上
にウエビング巻取方向へ回転し、その後その反力
でウエビング引出方向へ逆転し、この時の加速度
でイナーシアロツク機構が作動してウエビング巻
取後にウエビングの引出が阻止されてしまうこと
があつた。このような場合には、ウエビング装着
時に一旦ウエビングを巻き戻してから引き出さな
ければならない。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は上記事実を考慮し、ウエビング巻取時
にウエビングの引出が阻止されることがないウエ
ビング巻取装置を得ることが目的である。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、車両用シートベルト装置に用いられ
乗員拘束用ウエビングの一端を付勢力で巻取軸へ
巻き取るウエビング巻取装置であつて、巻取軸の
ウエビング巻取方向への回転慣性力が所定値に達
した時に巻取軸のウエビング巻取回転に抵抗力を
付与する制限手段を設けたことを特徴としてい
る。

［作用］ 上記構成のウエビング巻取装置では、ウエビン
グ巻取時に巻取軸の回転慣性力が所定値に達する
と、制限手段が巻取軸に回転抵抗を付与するた
め、ウエビング巻取時に巻取軸の回転慣性力が所
定値以上になることがない。したがつて、ウエビ
ング巻取時の巻取軸の回転が抑制され、イナーシ
アロツク機構によつてウエビングの引出が阻止さ
れることはない。

［実施例］ 第１図及び第２図には、本考案が適用された巻
取装置１０が示されている。

この巻取装置１０では、第１図に示される如
く、フレーム１２へ互いに平行とされた脚板部１
４，１６が形成され、されらの脚板部１４，１６
へ巻取軸１８の両端近傍部が回転可能に軸支され
ている。この巻取軸１８へはウエビングＷの一端
が係止されるようになつており、ウエビングＷは
巻取軸１８が第２図矢印Ａ方向へ回転されること
で巻取軸１８へ巻き取られ、巻取軸１８を第２図
矢印Ｂ方向へ回転して引き出されるようになつて
いる。

この巻取軸１８の脚板部１４を貫通した先端部
は脚板部１４に取り付けれたカバー２０内に入り
込んでいる。このカバー２０内には、車両緊急時
等にウエビングＷが急激に引き出された時に巻取
軸１８のウエビング引出方向回転（第２図矢印Ｂ
方向回転）を阻止してウエビングＷの引出を瞬時
に停止させる図示しないイナーシアロツク機構が
設けられている。

一方、脚板部１６を貫通した巻取軸１８の先端
部はさらに脚板部１６に取り付けられたばねカバ
ー２２を貫通し、ばねカバー２２に取り付けられ
たブレーキカバー２４内に入り込んでいる。

ばねカバー２２内には、ぜんまいばね２６が設
けられている。ぜんまいばね２６は内端部が巻取
軸１８に係止され、外端部がばねカバー２２に係
止されて巻取軸１８をウエビング巻取方向（第２
図矢印Ａ方向）へ付勢回転している。これによ
り、ウエビングＷがぜんまいばね２６の付勢力で
巻取軸１８へ巻取られるようになつている。

ブレーキカバー２８内には、制限手段であるブ
レーキ機構３０が設けられている。ブレーキ機構
３０は内歯ギアホイル３２と、慣性板３４と、回
転板３６と、リングアクチユーエータ３８とから
主要部が構成されている。

内歯ギアホイル３２及び慣性板３４は慣性板３
４が内歯ギアホイル３２の内側に配置されてとも
に回転板３６のボス部３６Ａに回転可能に軸支さ
れ、回転板３６はボス部３６Ａが巻取軸１８の先
端嵌合部４２に嵌合されて巻取軸１８とともに回
転されるようになつている。なお、巻取軸１８の
先端嵌合部４２には、Ｅ型止メ輪４４が嵌合され
ており、回転板３６、慣性板３４、内歯ギアホイ
ル３２の抜け止めとなつている。

この回転板３６と慣性板３４との間には引張コ
イルばね４６が設けられている。引張コイルばね
４６は第２図に示される如く一端が慣性板３４に
係止され、他端が回転板３６に係止されて慣性板
３４と回転板３６とを連結しており、慣性板３４
は巻取軸１８がウエビング巻取方向（第２図矢印
Ａ方向）へ回転されて回転板３６が回転された場
合に引張コイルばね４６によつて回転板３６に追
従して回転されるようになつている。しかし、慣
性板３４は巻取軸１８がぜんまいばね２６の付勢
力で急激にウエビング巻取方向（第２図矢印Ａ方
向）へ回転された時には回転板３６に対して引張
コイルばね４６の伸長によつて遅れて回転される
ようになつている。

また、回転板３６と慣性板３４との間には、パ
ウル４８が設けられている。パウル４８は慣性板
３４に形成されたガイド溝５０に収容され、ガイ
ド溝５０に案内されて回転板３６の接線方向へ移
動されて歯先が内歯ギアホイル３２のギア部３２
Ａと係止離脱可能とされている。このパウル４８
には、ピン５２が一体的に立設されて回転板３６
に形成された孔５４に回転可能に軸支されてお
り、巻取軸１８がぜんまいばね２６の付勢力で急
激にウエビング巻取方向（第２図矢印Ａ方向）へ
回転されて慣性板３４の回転が回転板３６の回転
に対して遅れた時にこの遅れによつて回転板３６
の接線方向に移動されて歯先が内歯ギアホイル３
２のギア部３２Ａと係合されるようになつてい
る。したがつて、巻取軸１８はぜんまいばね２６
の付勢力で急激にウエビング巻取方向（第２図矢
印Ａ方向）へ回転された時には、パウル４８の歯
先が内歯ギアホイル３２のギア部３２Ａに係合さ
れて内歯ギアホイル３２も回転されるようになつ
ている。

リングアクチユーエータ３８は図示しない固定
手段でブレーキカバー２４に固定されて内歯ギア
ホイル３２の外側に配置されている。このリング
アクチユーエータ３８は内歯ギアホイル３２の外
周面に摩擦摺動可能に接触されており、内歯ギア
ホイル３２は巻取軸１８がぜんまいばね２６の付
勢力で急激にウエビング巻取方向（第２図矢印Ａ
方向）へ回転された時にはリングアクチユーエー
タ３８に摩擦摺動されつつ回転されるようになつ
ている。

したがつて、このブレーキ機構３０では、巻取
軸１８がぜんまいばね２６に付勢されて急激にウ
エビング巻取方向へ回転された時に内歯ギアホイ
ル３２をリングアクチユーエータ３８に摩擦摺動
させつつ巻取軸１８と一体的に回転させてぜんま
いばね２６の付勢力に抗して巻取軸１８の回転に
抵抗力を付与できるようになつている。

次に本実施例の作用を説明する。

巻取軸１８に巻き取られたウエビングＷの一端
部は乗員がウエビングＷを装着する際に巻取軸１
８から引き出される。

乗員がウエビングＷを装着後、車両が緊急状態
に陥つた時には、乗員が車両前方へ移動されてウ
エビングＷが急激に引き出されるためイナーシア
ロツク機構が作動してウエビングＷの引出しを瞬
時に停止し、これによつて乗員がウエビングＷで
確実に拘束される。

ウエビング装着時に巻取軸１８から引き出され
たウエビングＷの一端部は、乗員がウエビング装
着状態を解除した後に、巻取軸１８へ巻き取られ
る。ウエビングＷは巻取軸１８がぜんまいばね２
６の付勢力でウエビング巻取方向（第２図矢印Ａ
方向）へ回転されることで巻取軸１８へ巻取ら
れ、ウエビング巻取開始時には、巻取軸１８がぜ
んまいばね２６の付勢力で急激にウエビング巻取
方向へ回転されることになる。巻取軸１８がぜん
まいばね２６の付勢力で急激にウエビング巻取方
向へ回転されると、回転板３６が巻取軸１８とと
もに回転しても慣性板３４が引張コイルばね４６
の伸長によつて停止したままとなり、これによつ
てパウル４８がガイド溝５０に案内されて回転板
３６の接線方向へ移動されてパウル４８の歯先が
内歯ギアホイル３２のギア部３２Ａと係合する。

パウル４８の歯先が内歯ギアホイル３２のギア
部３２Ａに係合されると回転板３６の回転力が内
歯ギアホイル３２に伝達され、内歯ギアホイル３
２が回転以下３４とともに回転する。内歯ギアホ
イル３２はリングアクチユーエータ３８に摩擦摺
動されつつ回転され、この摩擦摺動によつて巻取
軸１８の回転に抵抗力が付与される。

したがつて、ウエビング巻取時には、ぜんまい
ばね２６の付勢力に抗して巻取軸１８の回転が抑
制されることとなり、従来のようにウエビング巻
取時に巻取軸が回転慣性力で必要以上に回転し、
その後その反力で、ウエビング引出方向へ逆転す
ることがない。このため、ウエビング巻取時にイ
ナーシアロツク機構が作動することがなく、ウエ
ビング巻取後にイナーシアロツク機構によつてウ
エビングの引出しが阻止されることがない。な
お、ウエビング装着時にウエビングを駆動手段で
一時的に巻取軸から引き出すようになされたシー
トベルト装置（特願昭61−53260号［特開昭62−
210152号公報参照］）に適用した場合には、ウエ
ビング装着時におけるウエビング巻取時の巻取軸
の逆転が解消されてウエビング装着状態でのウエ
ビングの引出の停止も解消される。

なお、上記実施例では、内歯ギアホイル３２を
リングアクチユーエータ３８に摩擦摺動させて巻
取軸１８の回転に抵抗力を付与するようにした
が、内歯ギアホイル３２を固定し、ギア部３２を
第３図に示される如く、鈍角に形成して巻取軸１
８のウエビング巻取方向への回転時にパウル４８
の歯先をギア部３２Ａに摺動させて巻取軸１８の
回転に抵抗力を付与するようにしてもよい。この
場合、リングアクチユエータ３８は省略される。

［考案の効果］ 以上説明した如く、本考案に係るウエビング巻
取装置では、巻取軸のウエビング巻取方向への回
転慣性力が所定値に達した時に巻取軸のウエビン
グ巻取回転に抵抗力を付与する制限手段を設けた
ので、ウエビング巻取時にウエビングの引出が阻
止されることがない優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用された巻取装置の概略正
面図、第２図は第１図のブレーキ機構を第１図右
方からみた側面図、第３図は他の実施例を第２図
の部に対応して示した拡大側面図である。 １０……巻取装置、１８……巻取軸、３０……
ブレーキ機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車両用シートベルト装置に用いられ乗員拘束用
   ウエビングの一端を付勢力で巻取軸へ巻き取るウ
   エビング巻取装置であつて、前記巻取軸のウエビ
   ング巻取方向への回転慣性力が所定値に達した時
   に巻取軸のウエビング巻取回転に抵抗力を付与す
   る制限手段を設けたことを特徴とするウエビング
   巻取装置。