JPS6218520Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両緊急時の乗員保護用シートベルト
装置に用いられて乗員拘束用ウエビングを巻取る
ウエビング巻取装置に関する。

シートベルト装置に用いられるウエビング巻取
装置は乗員拘束用ウエビングの端部を付勢力で巻
取ると共に車両緊急時にはロツク装置でウエビン
グの巻出しを瞬時に停止させるようになつてい
る。

このロツク装置は車両緊急時に衝突方向へ激し
く移動する乗員の慣性力を確実に支持する必要が
あるので大きな強度を有するようになつている。
このため従来、巻取軸へラチエツトホイルを固着
し、このラチエツトホイルへフレームに軸支され
たロツクバーを噛合させるロツク手段が広く用い
られている。

しかしこの巻取軸へ固着されたラチエツトホイ
ルとロツクバーによる噛合い手段は巻取軸のロツ
クを確実にすることが可能であるが、ウエビング
巻取装置の外径を大きくする不具合を有してい
る。

また巻取軸へ固着されたラチエツトホイルとロ
ツクバーによる組合せを用いないロツク機構にお
いては巻取軸と共に回転するロツク部材に不釣合
いを生じたり、ロツク部材が巻取軸との間にガタ
ツキを生じて応答加速度を不安定にする原因とな
つている。さらにロツク部材が加速度作用時に回
転するものにあつては、一定加速度による巻取軸
の回転時に遠心力で不用意に回転してロツクする
原因となる。

本考案は上記事実を考慮し、小形であり、ロツ
ク時の強度が大きくかつ応答加速度が安定したウ
エビング巻取装置を得ることが目的である。

本考案に係るウエビング巻取装置は慣性板に形
成された長孔が巻取軸回りに一対設けられたロツ
クプレートから突出するピンを互に反対方向へ略
直線的に移動可能に案内しており、車両緊急時に
巻取軸の回転力を受ける係合手段が慣性板の回転
遅れによつてロツクプレートを互に慣性板の遠心
力作用方向と交差してかつ反対方向へ駆動すると
共に内歯ラチエツトホイルへ押圧して巻取軸のウ
エビング巻出し回転を停止させるようになつてい
る。

以下本考案の実施例を図面に従い説明する。

第１図乃至第３図に示される如く本実施例に係
るウエビング巻取装置１０はフレーム１２が取付
ボルト１４により車体１６へ固着されている。

このフレーム１２の両側部から互いに平行に延
長される脚部１８，２０には巻取軸２２が軸支さ
れている。この巻取軸２２の中央部には乗員拘束
用ウエビング２４の一端が層状に巻取られてい
る。また巻取軸２２は脚部２０を通過した端部に
ぜんまいばね２６の内端が取付けられ、このぜん
まいばねの外端は脚部２０へ固着されたばねケー
ス２８へ係止されている。従つて巻取軸２２はウ
エビング２４の巻取方向（第２、第３図矢印Ａ方
向）に付勢されている。脚部１８の外側には内歯
ラチエツトホイル３０が４個のリベツト３２で固
着されている。この内歯ラチエツトホイル３０内
には第４図にも示される一対のロツクプレート３
４，３６が対応している。

これらのロツクプレート３４，３６は中央部に
巻取軸２２の放射方向突起である矩形状突出部３
８を受け入れる凹部４０が設けられており、これ
によつてロツクプレート３４，３６の全体形状が
略Ｃ字状となつている。またこのＣ字状両端部、
即ち巻取軸２２を挟んだロツクプレート３４，３
６の端面４２は巻取軸２２の軸心を含む直線上に
配置されて他方のロツクプレートとの当接面とな
つている。

こゝにこの端面４２は第５図に示されるロツク
状態へ移動する場合に一対のロツクプレートが滑
りながら互に反対方向へ移動する摺動面とされて
いる。

一対のロツクプレート３４，３６の外周部の一
部にはロツク爪４４が形成されており、ロツクプ
レート３４，３６が端面４２で互いに摺動して反
対方向へ移動した場合に内歯ラチエツトホイル３
０と噛合つてロツクプレート３４，３６の巻取軸
２２回りの回転が停止するようになつている。さ
らにこれらのロツクプレート３４，３６の一側か
らはそれぞれ一対のピン４６が巻取軸２２と平行
に突出している。

巻取軸２２の矩形状突出部３８へは支軸４８が
同軸上に配置されて巻取軸２２と一体的に回転す
るようになつている。この支軸４８には慣性板５
０が支軸４８と相対回転可能に軸支されており、
第６図に示される如くこの慣性板５０のロツクプ
レート側表面には４個の長穴５２が形成されてい
る。これらの長穴５２内へはそれぞれロツクプレ
ート３４，３６から突出したピン４６が収容され
て一対のロツクプレート３４，３６が端面４２で
滑りながら互に反対方向へ長穴５２のストローク
だけ移動可能となつている。

こゝに慣性板５０は支軸４８との間にねじりコ
イルばね５４が介在されることにより第３図にお
いて巻取軸２２に対して時計方向に付勢されてい
る。従つて慣性板５０は巻取軸２２がウエビング
巻出方向に所定加速度以下で巻出される場合には
ばね付勢力を受けて巻取軸２２に追従して巻取軸
２２と一体的に回転するようになつているが、巻
取軸のウエビング巻出回転が所定値を越えるとね
じりコイルばね５４を撓ませて回転遅れを生ずる
ようになつている。この回転遅れを生じた場合に
は、第５図に示される如く巻取軸２２はロツクプ
レート３４，３６を互いに反対方向へ移動させる
ようになつており、この移動時にロツクプレート
３４，３６のピン４６は長穴５２内を移動する。

なお巻取軸が急激なウエビング巻出回転をして
いない平常状態においては、第３図に示される如
くロツクプレートのピン４６が長穴５２の一端へ
当接し、また凹部４０の一部がストツパ４０Ａと
して巻取軸矩形状突出部３８へ当接して停止して
いる。

慣性板５０にはその外周にラチエツト歯５６が
刻設されており、脚部１８へ軸支されたポール５
８と対応している。このポール５８は脚部１８の
ケース６０内へ収容された慣性ボール６２によつ
て押上げられ、ラチエツト歯５６と噛合うように
なつている。この慣性ボール６２は車両通常走行
状態でポール５８をラチエツト歯５６から離間さ
せているが、車両加速度が所定値に達すると移動
してポール５８をラチエツト歯５６と噛合せ、慣
性板５０のウエビング巻出方向回転を停止して巻
取軸２２との間に回転遅れを生じさせるようにな
つている。

このように構成された本実施例の巻取装置１０
では乗員がウエビング２４を巻取軸２２から巻出
して装着することができる。このウエビング２４
の通常使用状態における巻出し、巻取動作では巻
取軸２２に大きな回転加速度が生じないので慣性
板５０は巻取軸２２に追従して回転し、巻取軸２
２の巻出回転がロツクされることはない。

車両が衝突等の緊急状態に陥るとウエビング２
４を装着した乗員が衝突方向へ激しく移動するの
でウエビング２４が急激に巻取軸２２から巻出さ
れ、巻取軸２２には大きな巻出加速度が発生す
る。

このため慣性板５０は巻取軸２２と回転遅れを
生じ、矩形状突出部３８は凹部４０を介してロツ
クプレート３４，３６を互いに反対方向へ駆動
し、第５図に示される如く内歯ラチエツトホイル
３０と噛合せる。従つて巻取軸２２のウエビング
巻出回転が瞬時に停止され、乗員はウエビング２
４の確実な拘束状態となつて安全が確保できる。

この作動時に、ロツクプレート３４，３６は巻
取軸２２の軸心を中心に反対方向に配置されてい
るので回転時に不釣合が生じることはなく、また
慣性板５０の長穴５２に案内されてピン４６が移
動するようになつているためロツクプレート３
４，３６がガタツキを生じることもない。

またロツク状態においては巻取軸２２の矩形状
突出部３８が凹部４０とロツク爪４４との間に圧
縮力を加えて巻取軸２２の巻出回転を停止させる
のでロツクプレート３４，３６の強度は著しく大
きく、ロツクプレート３４，３６が破壊する虞れ
は少ない。さらにこのロツクプレート３４，３６
と内歯ラチエツトホイル３０との噛合いは一対の
ロツクプレートが巻取軸２２の軸心を中心として
対称形に配置されていることにより２個所でロツ
ク力を生ずることができ、これによつてもロツク
状態を安定にすることができる。

さらに、ロツクプレート３４，３６はピン４６
が長孔５２に案内されて慣性板の遠心力作用方向
と交差して略直線的にかつ反対方向へ移動するの
で、巻取軸２２の回転による遠心力が作用しても
不用意にロツクすることはなく、巻取軸２２の回
転加速度のみに応じて作動される。

このようなロツク状態は内歯ラチエツトホイル
３０とロツクプレート３４，３６との噛合によつ
て達成されるので巻取装置１０は著しく小形であ
る。

また車両緊急時に発生する車両加速度は慣性ボ
ール６２を移動させるのでポール５８はラチエツ
ト歯５６と噛合つて慣性板５０のウエビング巻出
回転が停止され、これによつても慣性板５０と巻
取軸２２との間に相対回転が発生し、乗員が衝突
方向に投げ出されない場合にも又は投げ出される
前に乗員をウエビング２４による拘速状態とする
ことができる。

車両の緊急状態が終了した場合にはウエビング
２４の若干の巻取りによつてロツクプレート３
４，３６は再び内歯ラチエツトホイル３０から離
間して第１図および第３図図示状態となり、通常
の巻取装置として使用可能である。

次に第７図乃至第９図には本考案の第２実施例
が示されており、ロツクプレートの他の実施例が
示されている。

この実施例では前記実施例と異りロツクプレー
ト１３４，１３６はロツク時に巻取軸２２の放射
方向に移動してロツク爪４４が内歯ラチエツトホ
イル３０と噛合うようになつている。またロツク
プレート１３４，１３６間にはそれぞれのピン４
６に引張コイルばね６４が巻掛けられて両者を接
近させる方向に付勢しており、前記実施例におけ
るねじりコイルばね５４と同様の作用を果してい
る。

この実施例の慣性板５０はジヨイント７０のボ
ス部７２へ軸支されて自由に回転可能となつてお
り、このジヨイント７０に穿設された一対の矩形
孔７４へ巻取軸２２の矩形状突出部３８が挿入し
てこのジヨイント７０を巻取軸と一体的に回転さ
せるようになつている。

その他の構成は前記実施例と略同様であり、同
様の機能を果して同様の効果を得るようになつて
いる。

以上説明した如く本考案に係るウエビング巻取
装置は内歯ラチエツトホイルとロツクプレートと
の噛合いによつてロツク力を生ずるので装置全体
が小形となり、ロツク力はロツクプレートの圧縮
力として作用するのでロツクプレートの強度が大
きく、ロツクプレートは巻取軸の回りに一対設け
て慣性板に設けられた長穴で慣性板の遠心力作用
方向と交差して略直線的にかつ反対方向へ案内す
るので巻取軸回りの不釣合い及びガタツキがなく
作動が安定する優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るウエビング巻取装置の第
１実施例を示す断面図、第２図は第１図左側面
図、第３図は第１図−線断面図、第４図はロ
ツク機構部を示す分解斜視図、第５図はロツク機
構部のロツク状態を示す作動図、第６図は慣性板
を第１図−方向に見た側面図、第７図は本考
案の第２実施例を示す第３図に相当する側面図、
第８図は第７図の作動図、第９図は第２実施例に
用いる慣性板を示す斜視図である。 １０……ウエビング巻取装置、１２……フレー
ム、２２……巻取軸、２４……ウエビング、３０
……内歯ラチエツトホイル、３４，１３４，３
６，１３６……ロツクプレート、３８……矩形状
突出部、４０……凹部、４２……端面、４４……
ロツク爪、４６……ピン、５０……慣性板、５２
……長穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車体へ取付けられるフレームと、このフレー
   ムへ軸支されて乗員拘束用ウエビングの一端を
   巻取る巻取軸と、前記巻取軸と同軸上に支持さ
   れ巻取軸の急激なウエビング巻出回転により巻
   取軸と回転遅れを生ずる慣性板と、前記フレー
   ムへ固着された内歯ラチエツトホイルと、前記
   巻取軸を挟んで一対設けられるロツクプレート
   と、このロツクプレートから突出したピンが前
   記慣性板の長穴内に収容されてスライドし前記
   一対のロツクプレートを互に反対方向へ慣性板
   の遠心力作用方向と交差して略直線的に移動可
   能に案内するガイド手段と、前記巻取軸と慣性
   板との相対移動時に巻取軸の回転力を受けてロ
   ツクプレートを互に反対方向へ駆動しロツクプ
   レートを内歯ラチエツトへ押圧して噛合わせる
   係合手段と、を有するウエビング巻取装置。 (2) 前記係合手段は巻取軸から放射方向へ突出し
   た突起と、ロツクプレートへそれぞれ設けられ
   て前記突起を収容する凹部とを有することを特
   徴とした前記実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載のウエビング巻取装置。 (3) 前記一対のロツクプレートは内歯ラチエツト
   ホイルから離間した状態で互に当接しているこ
   とを特徴とした前記実用新案登録請求の範囲第
   １項または第２項に記載のウエビング巻取装
   置。 (4) 前記一対のロツクプレートは前記係合手段の
   係合時に摺動しながら互に反対方向へ移動する
   ことを特徴とした前記実用新案登録請求の範囲
   第３項に記載のウエビング巻取装置。 (5) 前記慣性板は車両緊急時に制動力を受けるこ
   とを特徴とした前記実用新案登録請求の範囲第
   １項乃至第４項のいずれかに記載のウエビング
   巻取装置。