JPH0514384Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、VTR（ビデオテープレコーダ）等に
使用される磁気テープカセツトに係り、特にカセ
ツト本体の前部に被着される前蓋を閉方向へ付勢
する前蓋スプリングの係止構造に関する。

〔従来の技術〕

家庭用のVTRに使用される従来の磁気テープ
カセツトでは、カセツト本体前面に繰り出された
磁気テープを覆う前蓋が、カセツト本体の前部に
開閉可能に被着されている。

第８図及び第９図はこの種の磁気テープカセツ
トを示すもので、第８図に磁気テープカセツトを
下ハーフ側から見た一部切欠き背面図を、第９図
に第８図の−断面図を示す。

磁気テープカセツト１は、上ハーフ２と下ハー
フ３とで形成したカセツト本体４内に、磁気テー
プ５を巻装する供給リール６と巻取りリール７と
が収納され、VTR挿入側となるカセツト本体４
の前部には、両リール６，７から繰り出されて、
テープガイド部４ａ，４ａの前面を走行する磁気
テープ５を開閉可能に覆う前蓋８が被着されてい
る。

上記前蓋８は、前板８ａと天板８ｂの両側に側
板８ｃ，８ｃを延設した平面略コ字状に形成さ
れ、該側板８ｃの内側に突設した回動支軸９，１
０を、上ハーフ２の側壁２ａ，２ａの前部側に軸
支して取付けられるもので、長軸の回動支軸９に
は、前蓋８を閉方向に付勢する前蓋スプリング１
１が係止されている。

この前蓋スプリング１１は、線ばね材を折曲し
て形成されるもので、コイル部１１ａを回動支軸
９に外嵌して、固定端１１ｂを該支軸９に突設し
た係止ピン１２に係止し、自由端１１ｃを上ハー
フ２の内面に形成したガイド溝１３に遊嵌して取
付けられる。

そして、前蓋スプリング１１を係止した前蓋８
は、上ハーフ２の一方の側壁２ａに形成した装着
凹部１４に回動支軸９を係止し、回動支軸１０を
他方の側壁２ａの軸孔に軸支して上ハーフ２に仮
止めされ、両ハーフ２，３をビス１５で螺着して
カセツト本体４を構成したのち、前蓋スプリング
１１のトーシヨン力によつて、前蓋８が常時閉方
向に付勢される。

また、実開昭54−70515号公報には、前蓋スプ
リングの係止構造として、回動支軸の先端側に小
幅のスリツトを、基部側に大幅のスリツトを連結
して設け、前蓋スプリングの固定端を大幅のスリ
ツトに係止する技術が開示されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら上述の前者ものでは、前蓋スプリ
ングのコイル部にトーシヨン力を持たせるため
に、コイル部を回動支軸へ挿通する作業と、この
コイル部を回動して固定端を係止ピンに係止する
回動作業との２工程の取付け作業を必要とするた
め、取付けが面倒であり、また後者のものでは、
前蓋スプリングの固定端を係止する大幅スリツト
が幅広であることから、前蓋の開閉によつて固定
端に負荷がかかつた場合に、大幅スリツトから抜
け落ちる心配があつた。

そこで本考案は、前蓋スプリングの装着が容易
で、確実に係止できる磁気テープカセツトを提供
することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上述の目的を達成するため、上ハー
フと下ハーフからなるカセツト本体の前部を開閉
可能に覆う前蓋の回動支軸に、該前蓋を閉方向に
付勢する前蓋スプリングを装着した磁気テープカ
セツトにおいて、前記回動支軸の先端に開口する
挿入用スリツトと、該挿入用スリツトの一側方に
偏位して挿入用スリツトから挿入された前蓋スプ
リングの固定端を係止する装着用スリツトとを回
動支軸の軸方向に連設し、前記前蓋スプリングを
板ばねにて、平板状の固定端に続いて円弧状の抱
持部を連設し、抱持部と自由端の先端との間に下
ハーフ側に膨出する湾曲部を形成し、前記固定端
を挿入用スリツトから装着用スリツトへ係合する
と共に、前記抱持部にて回動支軸の外周面を抱持
したことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本考案の第１実施例を第１図乃至第３図
に基づいて説明する。

尚、上記従来例と同一構成部分については、同
一符号を付して詳細な説明を省略する。

上ハーフ２の前部に取付けられる前蓋８は、装
着凹部１４に係止される一方の回動支軸２０に、
軸方向のスリツト２１が設けられ、該スリツト２
１に前蓋スプリング２２が装着されている。

上記スリツト２１は、回動支軸２０の先端に開
口する挿入用スリツト２１ａに、装着用スリツト
２１ｂを一側方に偏位させて段状に連設し、装着
用スリツト２１ｂに係止段部２３を形成したもの
で、各スリツト２１ａ，２１ｂの幅l₁は、後段で
詳述する前蓋スプリング２２の板厚よりもやや幅
広に、また両スリツト２１ａ，２１ｂを連結する
間隙l₂は、これより狭い前蓋スプリング２２を挿
通できる小幅に形成されている。

前蓋スプリング２２は、所要長さに切断した板
ばね材を折曲して形成されるもので、直線状の固
定端２２ａに続いて円弧状の抱持部２２ｂが連設
され、抱持部２２ｂと自由端の先端２２ｃとの間
に下ハーフ３側に膨出する湾曲部２２ｄが形成さ
れており、固定端２２ａと抱持部２２ｂとがなす
弓形は、挿入用スリツト２１ａの係止段部２３側
の面と同側の外周面とで囲繞される弓形よりも小
さく、装着用スリツト２１ｂの係止段部２３側の
面と同側の外周面とで囲繞される弓形と略同形に
形成されている。

そして、前蓋スプリング２２の湾曲部２ｄを下
ハーフ３側となるように向けて、固定端２２ａを
広げながら回動支軸２０の挿入用スリツト２１ａ
に挿通して行き、間隙l₂から装着用スリツト２１
ｂに入ると、拡開を解除された固定端２２ａはそ
の復元力により縮小して装着用スリツト２１ｂの
係止段部２３に落ち込み、前蓋スプリング２２が
抜け止め係止される。

また、前蓋８を上ハーフ２に装着した後には、
上ハーフ２のガイド溝２４に遊嵌される前蓋スプ
リング２２の自由端の先端２２ｃがストツパ突起
２５に当接して、前蓋スプリング２２が上ハーフ
２に圧接支持される。

前蓋スプリング２２の取付け部と対向する下ハ
ーフ３の隅部には、前蓋係止用の前蓋係止部材２
６が、上部両側の支軸２６ａ，２６ａを下ハーフ
３のリブ３ａ，３ａに回動可能に吊持されてお
り、該前蓋係止部材２６には、前蓋スプリング２
２の湾曲部２２ｄに押動される回動用の突片２６
ｂと、下ハーフ３の側壁から外部に突出するロツ
ク用突起及び解除用突起とが設けられ、前蓋８が
ロツク用突起と係合して閉状態が保持されるもの
で、VTRの作用爪が解除用突起を押動して係合
状態が解除される。

以上のように本実施例によれば、前蓋スプリン
グ２２は、固定端２２ａを広げながらスリツト２
１に挿入するのみで、その復元力により装着用ス
リツト２１ｂの係止段部２３に脱落なく確実に係
止でき、取付け作業性を向上することができる。

第４図、第５図は、上記第１実施例の変形例を
示す第２及び第３実施例で、第４図の第２実施例
は、装着用スリツト２１ｂの係止段部２３と半径
方向に対向する位置にガイド傾斜面２７を、また
第５図の第３実施例では、このガイド傾斜面２７
を同様に挿入用スリツト２１ａの奥部に形成し
て、それぞれガイド傾斜面２７にて固定端２２ａ
を装着用スリツト２１ｂへ円滑に案内するように
なしたもので、これにより両実施例では装着を更
に容易に行なうことができる。

また第６図に示す第４実施例では、装着用スリ
ツト２１ｂを、挿入用スリツト２１ａに対しやや
傾斜させて角度を持たせることにより、両スリツ
ト２１ａ，２１ｂ間の折曲部２８にて抜け止めす
るようにしたもので、本実施例では、前蓋スプリ
ング２２の固定端２２ａを、傾斜する装着用スリ
ツト２１ｂに合わせて折曲げ形成される。

第７図は更に本考案の第５実施例を示すもの
で、装着用スリツト２１ｂを挿入用スリツト２１
ａから前蓋スプリング２２の固定端２２ａがスト
レートに挿入できないように一側方へ大きく偏位
して設け、両スリツト２１ａ，２１ｂ間を傾斜角
の大きな折曲部２９で連結したもので、装着用ス
リツト２１ｂに強制挿入された固定端２２ａは、
折曲部２９にて脱落なく抜け止め係止される。

〔考案の効果〕

本考案の磁気テープカセツトは以上説明したよ
うに、前蓋スプリングを装着する前蓋の回動支軸
に、支軸先端に開口する挿入用スリツトと、該ス
リツトの一側方に連設されて挿入用スリツトから
挿入された前蓋スプリングの固定端を係止する装
着用スリツトとを軸方向に連設し、前記前蓋スプ
リングを板ばねにて、平板状の固定端に続いて円
弧状の抱持部を連設し、抱持部と自由端の先端と
の間に下ハーフ側に膨出する湾曲部を形成し、前
記固定端を挿入用スリツトから装着用スリツトへ
係合すると共に、前記抱持部にて回動支軸の外周
面を抱持したので、前蓋スプリングは、その固定
端を挿入用スリツトから挿入するのみで、固定端
及び抱持部と、抱持部に続く湾曲部とにより、回
動支軸の装着用スリツトに脱落なく確実に係止で
き、取付け作業性の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の第１実施例を示
し、第１図は上ハーフの要部を内面側から見た断
面背面図、第２図は同じく斜視図、第３図は第１
図の−断面図、第４図は第２実施例を示す要
部平面図、第５図は第３実施例を示す要部平面
図、第６図は第４実施例を示す回動支軸の要部平
面図、第７図は第５実施例を示す回動支軸の要部
平面図、第８図及び第９図は従来例を示し、第８
図は磁気テープカセツトを下ハーフ側から見た一
部切欠き背面図、第９図は第８図の−断面図
である。 ２……上ハーフ、３……下ハーフ、４……カセ
ツト本体、５……磁気テープ、８……前蓋、８ｃ
……側板、１４……装着凹部、２０……回動支
軸、２１……スリツト、２１ａ……挿入用スリツ
ト、２１ｂ……装着用スリツト、２２……前蓋ス
プリング、２２ａ……固定端、２２ｂ……抱持
部、２３……係止段部、２７……ガイド傾斜面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上ハーフ２と下ハーフ３からなるカセツト本体
   ４の前部を開閉可能に覆う前蓋８の回動支軸２０
   に、該前蓋８を閉方向に付勢する前蓋スプリング
   ２２を装着した磁気テープカセツトにおいて、前
   記回動支軸２０の先端に開口する挿入用スリツト
   ２１ａと、該挿入用スリツト２１ａの一側方に偏
   位して挿入用スリツト２１ａから挿入された前蓋
   スプリング２２の固定端２２ａを係止する装着用
   スリツト２１ｂとを回動支軸２０の軸方向に連設
   し、前記前蓋スプリング２２を板ばねにて、平板
   状の固定端２２ａに続いて円弧状の抱持部２２ｂ
   を連設し、抱持部２２ｂと自由端の先端２２ｃと
   の間に下ハーフ３側に膨出する湾曲部２２ｄを形
   成し、前記固定端２２ａを挿入用スリツト２１ａ
   から装着用スリツト２１ｂへ係合すると共に、前
   記抱持部２２ｂにて回動支軸２０の外周面を抱持
   したことを特徴とする磁気テープカセツト。