JPH056613Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ビデオテープレコーダ（VTR）等
に使用される磁気テープカセツトのカセツト本体
前部に被着された前蓋を付勢する前蓋スプリング
の取付構造に関する。

〔従来の技術〕

家庭用のVTRに使用される従来の磁気テープ
カセツトでは、カセツト本体からその前部に繰り
出される磁気テープを開閉可能に覆う前蓋が被着
され、この前蓋は前蓋スプリングによつて常時閉
方向に付勢されている。

第４図及び第５図は、この種の磁気テープカセ
ツトを示し、第４図に磁気テープカセツトを下ハ
ーフ側から見た一部切欠き背面図を、第５図に第
４図の−断面図を示す。

磁気テープカセツト１は、上ハーフ２と下ハー
フ３とで形成したカセツト本体４内に、磁気テー
プ５を巻回する供給リール６と巻取りリール７と
が収納され、VTR挿入側となるカセツト本体４
の前部には、両リール６，７から繰り出されて、
テープガイド部４ａ，４ａの前面を走行する磁気
テープ５を覆うための前蓋８が開閉可能に被着さ
れている。

上記前蓋８は、前板８ａと天板８ｂの両側に側
板８ｃ，８ｃを延設し、該側板８ｃの内側に突設
した回動支軸９，１０を、上ハーフ２の側壁の前
部側に軸支して取付けられるもので、一方の回動
支軸９には、前蓋８を閉方向に付勢する前蓋スプ
リング１１が装着されている。

この前蓋スプリング１１は、線ばね材を折曲し
て形成されるもので、コイル状の固定部１１ａを
回動支軸９に外嵌して、係止端１１ｂが該支軸９
に突設した係止ピン１２に係止し、自由端１１ｃ
を上ハーフ２の内面に形成したガイド溝１３に遊
嵌して取付けられる。

そして、前蓋スプリング１１を装着した前蓋８
は、上ハーフ２の一方の側壁に形成した装着凹部
１４に回動支軸９を支持し、回動支軸１０を他方
の側壁の軸孔に軸支して上ハーフ２に仮止めさ
れ、両ハーフ２，３をビス１５で螺着してカセツ
ト本体４を構成したのち、前蓋スプリング１１の
トーシヨン力によつて、前蓋８が常時閉方向に付
勢される。

また、上記前蓋スプリング１１に対応する下ハ
ーフ３の隅部には、前蓋係止部材１６が上部両側
の支軸１６ａ，１６ａを下ハーフ３のリブ３ａ，
３ａに回動可能に吊持されており、一方の支軸１
６ａに装着される前蓋係止部材用スプリング１７
の付勢力によつて、前蓋を閉状態に保持してい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら上述の前蓋スプリングでは、形状
が特異であることから、割高な外注品となつてコ
ストダウンが図りにくく、また装着も面倒であつ
た。

本考案は、かかる実情を背景にしてなされたも
ので、前蓋スプリングを廉価で容易に形成し、そ
の装着を容易にした磁気テープカセツトを提供す
ることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上記の目的を達成するため、テープ
リールを収納したカセツト本体の前部を開閉可能
に覆う前蓋の回動支軸に、該前蓋を閉方向に付勢
する前蓋スプリングの固定部を係止した磁気テー
プカセツトの前蓋スプリング取付構造において、
前記前蓋スプリングを板ばねで形成して、その固
定部の端部に係止端を折曲形成し、一方前記回動
支軸に、幅広スリツト部と幅狭スリツト部を回動
支軸の径方向に連続させたスリツトを先端に開口
して設け、該幅狭スリツト部に前記前蓋スプリン
グの固定部を回動支軸の先端から挿通するととも
に、両スリツト部間に形成される段部に係止端を
係止したことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第３図に
基づいて説明する。

尚、前記従来例と同一構成部分については、同
一符号を付して詳細な説明を省略する。

上ハーフ２の前部に取付けられる前蓋８は、装
着凹部１４に支持される一方の回動支軸２０に前
蓋スプリング２１が装着されている。

この前蓋スプリング２１は、所要長さに切断し
た板ばね材を折曲して形成されるもので、一端に
回動支軸２０に係止される直線状の固定部２１ａ
が形成され、該固定部２１ａと他端の係止部２１
ｂとの間にループ状のスプリング部２１ｃと回動
支軸２０の抱持部２１ｄとが形成されるととも
に、固定部２１ａの端部には係止端２１ｅが折曲
形成されている。

一方前記回動支軸２０には、該支軸２０の径方
向に幅広スリツト部２２ａと幅狭スリツト部２２
ｂを連続したスリツト２２を先端に開口して、前
記前蓋スプリング２１を所定位置にまで挿入でき
る深さで設けられており、これにより両スリツト
部２２ａと２２ｂの間に２つの段部２２ｃ，２２
ｃが形成される。

上記スリツト２２の幅狭スリツト部２２ｂは、
前蓋スプリング２１の厚さより広い開口幅と、前
記固定部２１ａの長さと略同じ半径方向の長さと
を有し。また幅広スリツト部２２ａは、段部２２
ｃに前記係止端２１ｅを係止できる幅を有するも
ので、この段部２２ｃは係止端２１ｅの折曲方向
に対応する片側のみに形成してもよい。

そして、前蓋スプリング２１を回転支軸２０の
先端側から、抱持部２１ｄを該支軸２０の外周に
抱持させながら、固定部２１ａを幅狭スリツト部
２２ｂの設定深さまで挿入し、挿入後前蓋スプリ
ング２１を第１図の想像線の位置に回動して係止
端２１ｅを段部２２ｃに係止するとともに、他端
の係止部２１ｂを前蓋８の天板８ｂの内面に係止
して、スプリング部２１ｃを撓ませてスプリング
力を持たせ、このスプリング力を利用して固定部
２１ａを幅狭スリツト部２２ｂに弾発係止する。

また、前蓋８を上ハーフ２に仮止めした際に
は、上ハーフ２のガイド溝２３に遊嵌される前蓋
スプリング２１の係止部２１ｂがストツパ突起２
４に当接し、その反力で固定部２１ａが幅狭スリ
ツト部２２ｂに圧接されて、前蓋スプリング２１
は前蓋８の開閉時にもガタ付きなくさらに確実に
支持される。

前蓋スプリング２１の装着部と対応する下ハー
フ３の隅部には、前蓋係止用の前蓋係止部材２５
が、上部両側の支軸２５ａ，２５ａを下ハーフ３
のリブ３ａ，３ａに回動可能に吊持されており、
該前蓋係止部材２５には、前蓋スプリング２１の
スプリング部２１ｃに押圧される突片２５ｂと、
下ハーフ３の側壁から外部に突出するロツク用突
起及び解除用突起（図示せず）とが設けられ、前
蓋８がロツク用突起と係合して閉状態が保持され
ている。

そして、以上のように構成された磁気テープカ
セツト１をVTRに装着すると、VTRの作用爪が
解除用突起を押動して前蓋係止部材２５を前蓋ス
プリング２１のスプリング部２１ｃの押圧力に抗
して回動し、係合状態を解除されて前蓋８が開か
れると、前蓋スプリング２１を係止した回動支軸
２０は第３図において時計方向に回動し、前蓋ス
プリング２１が該支軸２０に巻き込まれて、スプ
リング部２１ｃ中間のループ形状が上方に後退す
る。

また、磁気テープカセツト１をVTRから取り
出して、前蓋８の開状態が解除されると、下方へ
脹らむ前蓋スプリング２１のスプリング部２１ｃ
の復元力により、回動支軸２０が第３図の反時計
方向に回動されて、前蓋８が閉位置に付勢される
とともに、スプリング部２１ｃが前蓋係止部材２
５の突片２５ｂを押圧して、前蓋８が閉状態に保
持される。

以上にように本実施例によれば、所要長さに切
断した板ばね材を折曲するのみで前蓋スプリング
２１を安価で容易に形成でき、磁気テープカセツ
ト１を廉価に提供できる。

さらにこの前蓋スプリング２１は、固定部２１
ａを回動支軸２０の先端から幅狭のスリツト部２
２ｂに挿通して、係止端２１ｅを段部２２ｃに係
止するのみで脱落なく容易に取付けでき、また前
蓋８を上ハーフ２に仮止めした際には、固定部２
１ａに前蓋スプリング２１自身のスプリング力が
働いて弾発係止されるから、取付けをさらに確実
にすることができる。

また、本実施例の前蓋スプリング２１は、前蓋
係止部材２５の押圧を兼ねるから、従来のように
前蓋係止部材用スプリングを用いる必要がなく、
部品点数の削減によつて、さらにコストダウンと
組付け作業性の向上を図ることができる。

尚、回動支軸やスリツト部あるいは前蓋スプリ
ングの形状は上記実施例に限定されるものでな
く、磁気テープカセツトの種類や形状等により適
宜決定される。

また、前蓋係止部材用スプリングは前記従来例
と同様に別のスプリングを用いてもよい。

〔考案の効果〕

本考案の磁気テープカセツトの前蓋スプリング
取付構造は、以上説明したように、前蓋スプリン
グを板ばねで形成して、その固定部の端部に係止
端を折曲形成し、一方回動支軸に幅広スリツト部
と幅狭スリツト部を回動支軸の径方向に連続させ
てスリツトを設け、該幅狭スリツト部に前記前蓋
スプリングの固定部を回動支軸の先端から挿通す
るとともに、両スリツト部間に形成された段部に
係止端を係止させたから、従来の如くコスト高な
つる巻き状の線ばね材を用いることなく、板ばね
材を所要長さに切断して曲げ加工するのみで容易
に形成でき、これにより仕掛かりコストを低減で
きてコストダウンが図れる。

また、回動支軸のスリツトに前蓋スプリングの
固定部を挿通し、スリツトの段部と係止端を係止
するだけで脱落なく確実に係止でき、前蓋開閉時
に連動して伸縮する際にも係止状態を確実に保持
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示し、
第１図は前蓋の要部と前蓋スプリングの斜視図、
第２図は前蓋を被着した上ハーフの要部を内面側
から見た断面背面図、第３図は第２図の−断
面図、第４図及び第５図は従来例を示し、第４図
は磁気テープカセツトを下ハーフ側から見た一部
切欠き背面図、第５図は第４図の−断面図で
ある。 １……磁気テープカセツト、２……上ハーフ、
３……下ハーフ、４……カセツト本体、８……前
蓋、８ｃ……側板、２０……回動支軸、２１……
前蓋スプリング、２１ａ……固定部、２１ｅ……
係止端、２２……スリツト、２２ａ……幅広スリ
ツト部、２２ｂ……幅狭スリツト部、２２ｃ……
段部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. テープリールを収納したカセツト本体の前部を
   開閉可能に覆う前蓋の回動支軸に、該前蓋を閉方
   向に付勢する前蓋スプリングの固定部を係止した
   磁気テープカセツトの前蓋スプリング取付構造に
   おいて、前記前蓋スプリングを板ばねで形成し
   て、その固定部の端部に係止端を折曲形成し、一
   方前記回動支軸に、幅広スリツト部と幅狭スリツ
   ト部を回動支軸の径方向に連続させたスリツトを
   先端に開口して設け、該幅狭スリツト部に前記前
   蓋スプリングの固定部を回動支軸の先端から挿通
   するとともに、両スリツト部間に形成される段部
   に係止端を係止したことを特徴とする磁気テープ
   カセツトの前蓋スプリング取付構造。