JPH0525105Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、VTR（ビデオテープレコーダ）等に
使用される磁気テープカセツトに係り、特にカセ
ツト本体の前部に被着された前蓋を付勢する前蓋
スプリングに関する。

〔従来の技術〕

家庭用のVTRに使用される従来の磁気テープ
カセツトでは、カセツト本体からその前部に繰り
出される磁気テープを開閉可能に覆う前蓋が被着
され、この前蓋は前蓋スプリングによつて常時閉
方向に付勢されている。

第６図及び第７図は、この種の磁気テープカセ
ツトを示し、第６図に磁気テープカセツトを下ハ
ーフ側から見た一部切欠き背面図を、第７図に第
６図の−断面図を示す。

磁気テープカセツト１は、上ハーフ２と下ハー
フ３とで形成したカセツト本体４内に、磁気テー
プ５を巻装する供給リール６と巻取りリール７と
が収納され、VTR挿入側となるカセツト本体４
の前部には、両リール６，７から繰り出されて、
テープガイド部４ａ，４ａの前面を走行する磁気
テープ５を開閉可能に覆う前蓋８が被着されてい
る。

上記前蓋８は、前板８ａと天板８ｂの両側に側
板８ｃ，８ｃを延設し、該側板８ｃの内側に突設
した回動支軸９，１０を、上ハーフ２の側壁２
ａ，２ａの前部側に軸支して取付けられるもの
で、長軸の回動支軸９には、前蓋８を閉方向に付
勢する前蓋スプリング１１が装着されている。

この前蓋スプリング１１は、線ばね材を折曲し
て形成されるもので、コイル部１１ａを回動支軸
９に外嵌して、固定端１１ｂを該支軸９に突設し
た係止ピン１２に係止し、自由端１１ｃを上ハー
フ２の内面に形成したガイド溝１３に遊嵌して取
付けられる。

そして、前蓋スプリング１１を装着した前蓋８
は、上ハーフ２の一方の側壁２ａに形成した装着
凹部１４に回動支軸９を支持し、回動支軸１０を
他方の側壁２ａの軸孔に軸支して上ハーフ２に組
付けられ、両ハーフ２，３をビス１５で螺着して
カセツト本体４を構成したのち、前蓋スプリング
１１のトーシヨン力によつて、前蓋８が常時閉方
向に付勢される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら上述の前蓋スプリング１１では、
形状が特異であることから、割高な外注品となつ
てコストダウンが図りにくく、また、回動支軸９
にコイル部１１ａを外嵌して、固定端１１ｂを回
動支軸９の係止ピン１２に係止するため、前蓋ス
プリング１１の回動支軸９への取付けに手間を要
していた。

本考案は、かかる実情を背景にしてなされたも
ので、容易に形成できて廉価な前蓋スプリング
を、回動支軸に簡単、確実に係止できる磁気テー
プカセツトを提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上述の目的を達成するため、上ハー
フと下ハーフからなるカセツト本体の前部を開閉
可能に覆う前蓋の回動支軸に、該前蓋を閉方向に
付勢する前蓋スプリングを係止した磁気テープカ
セツトにおいて、前記回動支軸に、抜け止め用の
頭部を軸部の先端に有する係止ピンを突設すると
共に、前記前蓋スプリングを、回動支軸の外周の
略半周を抱持する固定端と、上ハーフの前部内面
に形成されるストツパ突起に当接する自由端と、
固定端と自由端との間に下ハーフ側へ膨出形成さ
れる湾曲部とを有する板ばねで形成し、前記固定
端に前記係止ピンの軸部が挿通し且つ頭部を抜け
止めする小通孔と、該頭部が挿通する大通孔とを
連接した取付け孔を設けたことを特徴とするもの
である。

〔作用〕

したがつて、前蓋スプリングは、板ばね材を所
要長さに切断して曲げ加工するのみで容易に形成
でき、これにより仕掛かりコストを低減できてコ
ストダウンが図れる。

また、係止ピンと取付け孔との係合により、前
蓋スプリングを回動支軸にワンタツチで確実に係
止でき、前蓋開閉時に連動して伸縮する際にも係
止状態を脱落なく確実に保持できる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第３図に
基づいて説明する。

尚、上記従来例と同一構成部分については、同
一符号を付して詳細な説明を省略する。

上ハーフ２の前部に取付けられる前蓋８は、装
着凹部１４に係止される一方の回動支軸２０に係
止ピン２１が突設され、該係止ピン２１に前蓋ス
プリング２２が装着されている。

上記係止ピン２１は、軸部２１ａの先端にこれ
より大径の頭部２１ｂを有し、また回動支軸２０
に装着される前蓋スプリング２２は、所要長さに
切断した板ばね材を折曲して形成されるもので、
回動支軸２０の外周の略半周を抱持する固定端２
２ａと、上ハーフ２の前部内面に形成されるスト
ツパ突起２５に当接する自由端２２ｂと、固定端
２２ａと自由端２２ｂとの間に下ハーフ３側へ膨
出形成される湾曲部２２ｃとを有しており、固定
端２２ａには、上記係止ピン２１に係止される取
付け孔２３が穿設されている。

この取付け孔２３は、固定端２２ａの端部側
に、上記係止ピン２１の軸部２１ａを挿通し且つ
その頭部２１ｂを抜け止めする小通孔２３ａを、
湾曲部２２ｃ側に該ピン２１の頭部２１ｂが挿通
可能な大通孔２３ｂとを、前蓋スプリング２２の
長手方向に連接したもので、係止ピン２１の頭部
２１ｂに固定端２２ａの大通孔２３ｂを挿通して
前蓋スプリング２２を湾曲部２２ｃ側へ引くと、
固定端２２ａが回動支軸２０の略半周を抱持しな
がら小通孔２３ａが軸部２１ａに嵌入して、前蓋
スプリング２２が係止されると共に、係止ピン２
１の頭部２１ｂにて軸方向の抜けが防止される。

また、前蓋８を上ハーフ２に組付けられた際に
は、上ハーフ２のガイド溝２４に遊嵌される前蓋
スプリング２２の自由端２２ｂがストツパ突起２
５に当接し、その反力で固定端２２ａが係止ピン
２１に圧接されて、前蓋スプリング２２は前蓋８
の開閉時にもガタ付きなく更に確実に支持され
る。

前蓋スプリング２２の取付け部と対向する下ハ
ーフ３の隅部には、前蓋係止用の前蓋係止部材２
６が、上部両側の支軸２６ａ，２６ａを下ハーフ
３のリブ３ａ，３ａに回動可能に吊持されてお
り、該前蓋係止部材２６には、前蓋スプリング２
２のスプリング部２２ｃに押動される回動用の突
片２６ｂと、下ハーフ３の側壁から外部に突出す
るロツク用突起及び解除用突起とが設けられ、前
蓋８がロツク用突起と係合して閉状態が保持され
るもので、VTRの作用爪が解除用突起を押動し
て係合状態が解除される。

そして、以上のように構成された磁気テープカ
セツト１をVTRに装着して前蓋８が開かれると、
前蓋スプリング２２を係止した回動支軸２０は第
３図において時計方向に回動し、前蓋スプリング
２２が回動支軸２０に巻き込まれて、スプリング
部２２ｃがストツパ突起２５から離れると共に、
湾曲部２２ｃの膨出形状が上ハーフ２側に小さく
後退して前蓋係止部材２６の突片２６ｂから離間
する。

また磁気テープカセツト１をVTRから取り出
しして、前蓋８の開状態が解除されると、下方へ
脹らむ前蓋スプリング２２の湾曲部２２ｃの復元
力により、回動支軸２０が第３図の反時計方向に
回動され、該スプリング２２の自由端２２ｂが伸
長してストツパ突起２５に再び当接すると共に、
スプリング部２２ｃが前蓋係止部材２６の突片２
６ｂを押動して、前蓋８が閉位置に付勢される。

以上のように本実施例によれば、所要長さに切
断した板ばね材を湾曲形成するのみで、前蓋スプ
リングを安価で容易に形成でき、磁気テープカセ
ツトのコストダウンを図れる。

更にこの前蓋スプリング２２は、固定端２２ａ
の取付け孔２３を回動支軸２０の係止ピン２１に
ワンタツチで係止するのみで脱落なく容易に取付
けでき、また前蓋８を上ハーフ２に組付けられた
際には、固定端２２ａに前蓋スプリング２２自身
のスプリング力が働いて弾発係止されるから、取
付けを更に確実にすることができる。

尚、係止ピン２１及び取付け孔２３の形状は上
記実施例に限定するものでなく、第４図に示すよ
うに係止ピン２１の頭部２１ｃを円錐に、或いは
第５図のように頭部２１ｄを略球状に形成し、こ
れに合わせて、取付け孔２３の大通孔を適宜変形
してもよい。

〔考案の効果〕

本考案の磁気テープカセツトは以上説明したよ
うに、前蓋の回動支軸に抜け止め用の頭部を軸部
の先端に有する係止ピンを突設し、前蓋スプリン
グを、回動支軸の外周の略半周を抱持する固定端
と、上ハーフの前部内面に形成されるストツパ突
起に当接する自由端と、固定端と自由端との間に
下ハーフ側へ膨出形成される湾曲部とを有する板
ばねで形成し、前記固定端に前記係止ピンの軸部
が挿通し且つ頭部を抜け止めする小通孔と、該頭
部が挿通する大通孔とを連接した取付け孔を設け
たので、従来の如くコスト高なつる巻き状のスプ
リングを用いることなく、板ばね材を所要長さに
切断して湾曲形成するのみで前蓋スプリングを容
易に加工でき、これにより仕掛かりコストを低減
できてコストダウンが図れる。

また、上記係止ピンと取付け孔との係合によ
り、前蓋スプリングを回動支軸にワンタツチで確
実に係止でき、前蓋開閉時に連動して伸縮する際
にもスプリング機能が有効に発揮されると共に、
係止状態を脱落なく確実に保持できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示し、
第１図は前蓋の要部と前蓋スプリングの斜視図、
第２図は前蓋を被着した上ハーフの要部を内面側
から見た断面背面図、第３図は第２図の−断
面図、第４図及び第５図はそれぞれ他の実施例を
示す要部平面図、第６図及び第図は従来例を示
し、第６図は磁気テープカセツトを下ハーフ側か
ら見た一部切欠き背面図、第７図は第６図の−
断面図である。 ２……上ハーフ、３……下ハーフ、４……カセ
ツト本体、５……磁気テープ、８……前蓋、２０
……回動支軸、２１……係止ピン、２１ａ……軸
部、２１ｂ，２１ｃ，２１ｄ……頭部、２２……
前蓋スプリング、２２ａ……固定端、２２ｂ……
自由端、２２ｃ……湾曲部、２３……取付け孔、
２３ａ……小通孔、２３ｂ……大通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上ハーフと下ハーフからなるカセツト本体の前
   部を開閉可能に覆う前蓋の回動支軸に、該前蓋を
   閉方向に付勢する前蓋スプリングを係止した磁気
   テープカセツトにおいて、前記回動支軸に、抜け
   止め用の頭部を軸部の先端に有する係止ピンを突
   設すると共に、前記前蓋スプリングを、回動支軸
   の外周の略半周を抱持する固定端と、上ハーフの
   前部内面に形成されるストツパ突起に当接する自
   由端と、固定端と自由端との間に下ハーフ側へ膨
   出形成される湾曲部とを有する板ばねで形成し、
   前記固定端に前記係止ピンの軸部が挿通し且つ頭
   部を抜け止めする小通孔と、該頭部が挿通する大
   通孔とを連接した取付け孔を設けたことを特徴と
   する磁気テープカセツト。