JPH05134429A - 電子写真式平版印刷用原版、及び印刷版の製造方法 - Google Patents

電子写真式平版印刷用原版、及び印刷版の製造方法

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JPH05134429A
JPH05134429A JP29724491A JP29724491A JPH05134429A JP H05134429 A JPH05134429 A JP H05134429A JP 29724491 A JP29724491 A JP 29724491A JP 29724491 A JP29724491 A JP 29724491A JP H05134429 A JPH05134429 A JP H05134429A
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group
resin
printing
acid
binder resin
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JP29724491A
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Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子写真式平版印刷用原版、及び該原版から
の印刷版の製法、特に該印刷用原版の光導電層形成用組
成物及び不感脂化処理方法を改良する。 【構成】 導電性支持体上に光導電性無機化合物と結着
樹脂とを含有してなる光導電層を少なくとも1層設けて
なり、該結着樹脂が−SO2 C(X)(X′)R0 (X,
X′は少なくとも一方が電子吸引基であり、両者のHamm
etσP 値の和が0.45以上である)で示される官能基含有
重合体成分の少なくとも1種を含有する樹脂を含有して
成る電子写真式平版印刷用原版、及び該原版を画像露光
してトナー画像を形成後に、該光導電層の非画像部を少
なくともパーソンの求核定数nが5.5 以上の値を有する
置換基含有の親水性化合物含有処理液で不感脂化処理し
て印刷版とする。本発明原版は過酷な条件で保管しても
安定で、親水化処理時には短時間で容易に親水性を発現
でき、耐刷性、印刷特性の優れた印刷版が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式で製版さ
れる電子写真式平版印刷用原版、及び印刷版の製造方法
に関するものであり、特に該平版印刷用原版の光導電層
形成用結着樹脂及び不感脂化処理方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】現在ダイレクト製版用のオフセット原版
には多種のものが提案され且つ実用化されているが、中
でも、導電性支持体上に酸化亜鉛のごとき光導電性粒子
及び結着樹脂を主成分とした光導電層を設けた感光体に
おいて、通常の電子写真工程を経てその感光体表面に親
油性の高いトナー画像を形成させ、続いて該表面をエッ
チ液と言われる不感脂化液で処理し、非画像部分を選択
的に親水化することによってオフセット原版を得る技術
が広く用いられている。
【0003】良好な印刷物を得るには、先ずオフセット
原版に原画が忠実に複写されると共に、感光体表面が不
感脂化処理液となじみ易く、非画像部が充分に親水化さ
れると同時に耐水性を有し、更に印刷においては画像を
有する表面導電層が離脱しないこと、及び湿し水とのな
じみがよく、印刷枚数が多くなっても汚れが発生しない
ように充分に非画像部の親水性が保持されること、等の
性能を有する必要がある。
【0004】これらの性能には、光導電層中の酸化亜鉛
と結着樹脂の比率が影響することは既に知られている。
例えば、光導電層の酸化亜鉛粒子に対する結着樹脂の比
率を小さくすれば、光導電層表面の不感脂化性が向上し
地汚れは少なくなるが、他方で光導電層自体の内部凝集
力が低下し、機械的強度不足による耐刷力の低下が生じ
る。逆に、結着樹脂の比率を大きくすると、耐刷力は向
上するが、地汚れが増大する。特に地汚れは、光導電層
表面の不感脂化性の良否に関係する現象であることは言
うまでもないが、光導電層表面の不感脂化性は光導電層
中の酸化亜鉛と結着樹脂の比率のみによって左右される
ものではなく、結着樹脂の種類によっても大きく左右さ
れることが明らかになってきている。
【0005】古くから公知の結着樹脂として、例えばシ
リコーン樹脂(特公昭34−6670号公報)、スチレ
ン−ブタジエン樹脂(特公昭35−1950号公報)、
アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド(特公昭
35−11219号公報)、酢酸ビニル樹脂(特公昭4
1−2425号公報)、酢酸ビニル共重合体(特公昭4
1−2426号公報)、アクリル樹脂(特公昭35−1
1216号公報)、アクリル酸エステル共重合体(例え
ば特公昭35−11219、同36−8510、同41
−13946各号公報等)等が知られている。しかし、
これらを結着樹脂として用いた電子写真感光材料におい
ては、1)光導電層の帯電性が低い、2)複写画像の画
像部の品質(特に網点再現性・解像力)が悪い、3)露
光感度が低い、4)オフセットマスターとして用いるた
めに不感脂化処理しても不感脂化が行われず、このため
オフセット印刷した際に印刷物に地汚れを生ずる、5)
感光層の膜強度が充分でなく、オフセット印刷すると感
光層の脱離等が生じ、印刷枚数を多くできない、6)複
写画像作成時の環境(例えば高温高湿)にその画質が影
響されやすい、等のいずれかの問題があった。
【0006】特に、オフセット原版としては、前記のよ
うに不感脂化性不充分による地汚れ発生が大きな問題で
あり、これを改良するために、不感脂化性を向上させる
酸化亜鉛結着用樹脂の開発が種々検討されてきている。
例えば、特公昭50−31011号公報では、フマル酸
存在下で(メタ)アクリレート系モノマーと他のモノマ
ーを共重合させた、重量平均分子量が1.8〜10×1
4でガラス転移点Tgが10〜80℃の樹脂と、(メ
タ)アクリレート系モノマーとフマル酸以外の他のモノ
マーとから成る共重合体とを併用したもの、特開昭53
−54027号公報では、カルボン酸基をエステル結合
から少なくとも原子数7個離れて有する置換基をもつ
(メタ)アクリル酸エステルを含む3元共重合体を用い
るもの、特開昭54−20735、同57−20254
4各号公報では、アクリル酸及びヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートを含む4元又は5元共重合体を用いる
もの、特開昭58−68046号公報では、炭素数6〜
12のアルキル基を置換基とする(メタ)アクリル酸エ
ステル及びカルボン酸含有のビニルモノマーを含む3元
共重合体を用いるもの等が、光導電層の不感脂化性の向
上に効果があると記載されている。しかし、これらの不
感脂化性向上に効果があるとされる樹脂であっても、現
実に評価してみると、地汚れ、耐刷力において不充分で
あった。
【0007】更に、結着樹脂として、分解により親水性
基を生成する官能基を含有する樹脂を用いるものが検討
されており、例えば分解によりヒドロキシル基を生成す
る官能基を含有するもの(特開昭62−195684、
同62−210475各号公報、特願昭63−8446
号明細書等)や、分解によりカルボキシル基を生成する
官能基を含有するもの(特開昭62−212669、特
開平1−63977各号公報、特願昭63−14576
号明細書等)等が挙げられる。これらの樹脂は不感脂化
液又は印刷時に用いる浸し水により加水分解又は加水素
分解されて親水性基を生成する樹脂であり、これらを平
版印刷用原版の結着樹脂として用いると、親水性基自身
をはじめから含有する樹脂を用いた場合に該親水性基と
光導電性酸化亜鉛粒子表面との強い相互作用によって生
ずると思われる種々の問題(平滑性の悪化、電子写真特
性の悪化等)を回避できるとともに、不感脂化液により
親水化される非画像部の親水性が、樹脂中において分解
により生成される上記親水性基によってより一層高めら
れる為、画像部の親油性と非画像部の親水性が明確とな
り、印刷時に非画像部に印刷インキが付着するのを防止
し、その結果として地汚れのない鮮明な画質の印刷物を
多数枚印刷することが可能となると記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の分解反応により
親水性基を生成する型の樹脂は、予め保護基でマスクさ
れたカルボキシル基あるいはヒドロキシル基を処理液で
分解反応させて該保護基を脱離させるものである。した
がって、この型の結着樹脂には、保存時には大気中の湿
度(水分)の影響を受けて加水分解することなく安定に
存在し、また親水化処理時には速やかに脱保護基反応が
進行して親水性基を生成し、非画像部の親水性を向上で
きることが重要な特性として要求される。本発明はこの
ような現状に鑑み、非画像部の親水性による効果がより
向上し、更に非常に過酷な条件下で保管しても安定で、
且つ親水化処理時には短時間で容易に親水性を発現でき
る電子写真式平版印刷用原版、及びこれを用いた印刷版
の製造方法を提供することを課題としてなされたもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を、導
電性支持体上に光導電性無機化合物と結着樹脂とを含有
してなる光導電層を少なくとも1層設けてなる電子写真
感光体を利用した平版印刷用原版において、該結着樹脂
が下記一般式(I)で示される官能基を有する重合体成
分の少なくとも1種を含有する樹脂を少なくとも1種含
有して成る電子写真式平版印刷用原版により解決するも
のである。 一般式(I)
【化3】 〔ただし、上記式(I)において、−X,−X′は、少
なくとも一方が電子吸引基であり、−X,−X′のHa
mmet σP の値の和が0.45以上であるならば、
同じでも異なっていても良い。−R0 は水素原子又は炭
素数1〜6のアルキル基を表す〕 本発明において、上記一般式(I)で示される官能基を
有する重合体成分の少なくとも1種を含有する樹脂が予
め架橋されているものであってもよく、この場合は親水
性処理液と反応して親水性を発現した際に、該樹脂は耐
水性を有するので好ましい。また、本発明の上記一般式
(I)で示される官能基を有する重合体成分の少なくと
も1種を含有する樹脂が、さらに熱及び/又は光で硬化
反応を起こす官能基を少なくとも1種含有する樹脂であ
ってもよい。また更に、本発明においては、導電性支持
体上に光導電性無機化合物と結着樹脂とを含有してなる
光導電層を少なくとも1層設けてなり、該結着樹脂が上
記一般式(I)で示される官能基を有する重合体成分の
少なくとも1種を含有する樹脂を少なくとも1種含有し
てなる電子写真感光体を利用した平版印刷用原版を、画
像露光してトナー画像を形勢した後、該光導電層を少な
くともパーソンの求核定数nが5.5以上の値を有する
置換基含有の親水性化合物を含有する処理液で不感脂化
処理することにより印刷版とすることを特徴とする電子
写真式平版印刷版の製造方法を提供する。
【0010】
【作用】本発明は平版印刷用原版の光導電層の結着樹脂
の少なくとも一部に、上記一般式(I)で示される官能
基を少なくとも一種含有する樹脂を有し、好ましくは成
膜後の光導電層の結着樹脂が架橋されていることによ
り、印刷用原版として不感脂化処理をした後に該樹脂が
親水性を発現しても耐水性を有する。本発明の結着樹脂
は不感脂化処理時の加水分解反応で親水性を発現する
が、更に好ましくは、求核反応性の親水性化合物を少な
くとも1種含有する処理液で処理することにより、不感
脂化されるものであり、これにより結着樹脂が親水性を
発現できると同時に、このとき親水性を有しつつ水に対
して不溶もしくは難溶であることを特徴としている。こ
れにより本発明による平版印刷用原版は、光導電層の平
滑性及び静電特性が良好であり、原画に対して忠実な複
写画像を再現し、非画像部の親水性が良好であるため地
汚れも発生せず、更に耐刷力が優れているという利点を
有する。更に、本発明の平版印刷用原版は製版処理時の
環境に左右されず、また処理前の保存性にも非常に優れ
ているとともに、親水化の処理が迅速に行われるという
特徴を有する。
【0011】本発明の、一般式(I)で示される官能基
を含有する結着樹脂について説明する。一般式(I)の
官能基は不感脂化処理によって求核反応性の親水性化合
物(求核試薬)と反応し、スルフィン酸基を生成するこ
とを特徴とする。式(I)中、−X,−X′は、少なく
とも一方が電子吸引基であり、−X,−X′のHamm
etの置換基定数σP 値の和が0.45以上であるなら
ば同じでも異なってもよい。HammetのσP 値は、
通常置換基の電子吸引・供与の度合いを見積もる指標と
して用いられており、+側に大きいほど強い電子吸引基
として扱われる。各置換基に対する具体的な数値につい
ては、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性」丸善
(1984年刊)等に記載されている。また、この系に
おけるHammetのσP 値は加成性が成り立つと考え
られ、−X,−X′の両方が電子吸引基である必要はな
い。従って、一方例えば−Xが電子吸引基である場合、
他方の−X′の置換基は、−X,−X′のσP 値の和が
0.45以上になるものであればいずれでもよく、特に
制限されるところはない。電子吸引基としての−X及び
/又は−X′の具体的な例としては、ハロゲン原子(例
えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、−CF3
−CN、−NO2 、−COR、−COOR、−SO2
等が挙げられる。但し、上記Rとしては、炭素数1〜1
8の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1〜18の置
換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テ
トラデシル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル
基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シ
アノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシ
エチル基、2−エトキシエチル基、3−ヒドロキシプロ
ピル基、2−メトキシカルボニルエチル基等)、炭素数
2〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えばビニ
ル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキ
セニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等)、炭素数7
〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えばベンジ
ル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、2−ナフチル
エチル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、
メチルベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよ
いシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基、シクロヘプチル基等)、置換されてもよい
アリール基(例えばフェニル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフ
ェニル基、ブロモフェニル基、クロロフェニル基、ジク
ロロフェニル基、ヨードフェニル基、メトキシカルボニ
ルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、シアノ
フェニル基等)等が挙げられる。また、−X及び−X′
の他の置換基としては、前記の如く−X及び−X′の各
置換基のHammettの置換基定数σP 値の総数が
0.45以上を満足するものであればいずれでもよい。
好ましい例としては、水素原子、
【化4】 等が挙げられる。ここでR1 ,R2 は同じでも異なって
もよく、水素原子又は炭化水素基を表し、更にR1 ,R
2 が炭化水素基の場合は前記したRと同一の内容のもの
が挙げられる。また、式(I)中−R0 は水素原子又は
炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)
を表す。
【0012】以下に一般式(I)で示される官能基の具
体例を示すが、本発明の範囲はこれに限定されるもので
はない。a−1)〜a−28)において、Rは−Cm
2m+1(mは1〜4の整数を表す)を表す。
【化5】
【化6】
【化7】
【0013】本発明において用いられる一般式(I)で
示される官能基を含有する共重合体成分としては、下記
一般式(II)で示すものが挙げられる。 一般式(II)
【化8】 〔上記式(II)中、Zは−COO−、−OCO−、−O
−、−CO−、
【化9】 −CONHCOO−、−CONHCONH−、CH2
OO−、CH2 OCO−、
【化10】 を表す。Yは、−Z− と −W0 を直接結合する又は
連結する有機残基を表す。さらに
【化11】
【化12】 と−W0 を直接結合してもよい。−W0 は一般式(I)
で示される官能基を表す。a1 ,a2 は互いに同じでも
異なってもよく、各々、水素原子、ハロゲン原子、シア
ノ基、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表
す。〕
【0014】一般式(II)を更に詳細に説明する。好ま
しくは、Zは
【化13】 を表す。但し、r1 は前記R1 ,R2 と同一の内容を表
す。
【0015】Yは連結する直接結合か、−Z−と−W0
を連結する有機残基を表す。Yが連結する有機残基を表
す場合、この連結基はヘテロ原子を介していてもよい炭
素−炭素結合を表し(ヘテロ原子としては、酸素原子、
イオウ原子、窒素原子を示す)、例えば
【化14】 等の結合単位の単独又は組合わせの構成より成るもので
ある(但しr2 ,r3 ,r4 ,r5 ,r6 は、各々前記
のr1 と同一の内容を表す)。
【0016】a1 ,a2 は同じでも異なってもよく、水
素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子
等)、シアノ基、炭化水素基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、メトキシカルボニル基、エ
トキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキ
シカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、メトキ
シカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、
ブトキシカルボニルメチル基等の置換されてもよい炭素
数1〜12のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等
のアラルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、
クロロフェニル基等のアリール基等)を表す。
【0017】更に又、一般式(II)中の
【化15】
【化16】 と−W0 を直接連結させてもよい。
【0018】以下に本発明の一般式(II)で表される
【化17】 の部分についての具体例を示す。但し、本発明の範囲は
これらに限定されるものではない。また、例(b−1)
〜(b−17)中、bは−H又は−CH3 を表し、nは
2〜8を表す。
【化18】
【化19】
【0019】以上のような本発明の一般式(I)で表さ
れる官能基を有する重合体成分を含有する樹脂は、従来
公知の合成方法によって合成することができる。即ち、
一般式(I)で表される官能基と、重合性二重結合基を
分子内に含有する単量体(例えば一般式(II)の繰り返
し単位に相当する単量体)を重合反応する方法及び一般
式(I)の官能基を含有する低分子化合物と、該低分子
化合物と化学反応する官能基を含有する重合体成分を含
有する高分子化合物とを反応させる(即ち高分子反応)
ことで合成する方法が可能である。上記した単量体合成
あるいは高分子反応による合成においてのスルホン化合
物の合成に関する従来公知の方法で容易に合成できる。
例えば、日本化学会編「新実験化学講座第14巻、有機
化合物の合成と反応(III)」p1761,丸善(株)
(1978年刊)等に具体的に記載の方法と同様の方法
で合成できる。
【0020】本発明の結着樹脂における一般式(I)で
示される官能基を含有する重合体成分は、該樹脂が共重
合体である場合には、全共重合体中の1〜95重量%、
特に5〜90重量%であることが好ましい。また、該樹
脂の重合体の分子量は103 〜106 、特に3×103
〜5×10 5 であることが好ましい。
【0021】本発明の樹脂は更に、電子写真式平版印刷
用原版において、少なくともその一部分が架橋されてい
てもよい。かかる樹脂としては、製版工程における感光
層形成物塗布時に予め架橋されている樹脂を用いてもよ
いし、あるいは熱及び/又は光で硬化反応を起こすよう
な架橋性官能基を含有する樹脂を用いて平版印刷用原版
製造工程中(例えば乾燥工程中)に架橋させてもよい。
更にこれらを併用してもよい。
【0022】重合体の一部分が予め架橋された樹脂(重
合体中に架橋構造を有する樹脂)を結着樹脂として用い
る場合には、該樹脂中に含有される前記(I)式の官能
基が不感脂化処理をして親水性を発現したときに、酸性
及びアルカリ性の水溶液に対して難溶もしくは不溶性で
ある樹脂が好ましい。具体的には、蒸留水に対する溶解
度が、20〜25℃の温度において好ましくは90重量
%以下、より好ましくは70重量%以下の溶解性を示す
ものである。
【0023】重合体中に架橋構造を導入する方法として
は、通常知られている方法を利用することができる。即
ち、上記式(I)の官能基を含有する単量体の重合反応
において多官能性単量体(重合性官能基を2個以上含有
する単量体)あるいは多官能性オリゴマーを共存させて
重合することにより分子間に架橋を行う方法、及び重合
体中に架橋反応を進行する官能基を含有させ、しかる後
に上記式(I)の基を含有する化合物と高分子反応させ
架橋する方法である。
【0024】具体的には、多官能性単量体を本発明の一
般式(I)の官能基を少なくとも1種含有する単量体と
ともに重合する方法、あるいは該多官能性単量体を一般
式(I)の官能基を導入できる極性基(例えば
【化20】 等)を含有する単量体とともに重合して共重合体とした
後、一般式(I)の官能基を含有した低分子化合物を高
分子反応により導入する方法によって、本発明の樹脂を
製造することができる。
【0025】該重合性官能基として具体的には、
【化21】 等を挙げることができるが、上記の重合性官能基を2個
以上有する単量体は、これらの重合性官能基の同一のも
のあるいは異なったものを2個以上有した単量体であれ
ばよい。
【0026】重合性官能基を2個以上有した単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体とし
て、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のスチレ
ン誘導体:多価アルコール(例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール♯200,♯400,♯60
0、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、ペンタエリスリトール等)又は、ポリヒドロキシフ
ェノール(例えばヒドロキノン、レゾルシン、カテコー
ル及びそれらの誘導体)のメタクリル酸、アクリル酸又
はクロトン酸のエステル類、ビニルエーテル類又はアリ
ルエーテル類:二塩基性酸(例えばマロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン
酸、フタル酸、イタコン酸等)のビニルエステル類、ア
リルエステル類、ビニルアミド類又はアリルアミド類:
ポリアミン(例えばエチレンジアミン、1,3−プロピ
レンジアミン、1,4−ブチレンジアミン等)とビニル
基を含有するカルボン酸(例えば、メタクリル酸、アク
リル酸、クロトン酸、アリル酢酸等)との縮合体などが
挙げられる。
【0027】また、異なる重合性官能基を有する多官能
性単量体又はオリゴマーとして、例えばビニル基を含有
するカルボン酸〔例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アクリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等とアルコール又はアミンの反応体(例えばアリル
オキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニ
ル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリル
アミノカルボニルプロピオン酸等)等のビニル基を含有
したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメタクリ
ル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、メ
タクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリ
ル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロピ
オン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、メ
タクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、ア
クリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニ
ルエチルエステル、N−アリルアクリルアミド、N−ア
リルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミド、
メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等)又はアミ
ノアルコール類(例えばアミノエタノール、1−アミノ
プロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノヘキ
サノール、2−アミノブタノール等)とビニル基を含有
したカルボン酸との縮合体などが挙げられる。
【0028】本発明に用いることのできる2個以上の重
合性官能基を有する単量体あるいはオリゴマーは、全単
量体の10モル%以下、好ましくは5モル%以下用いて
重合し、予め架橋された樹脂を形成することができる。
【0029】一方、架橋反応を進行する官能基を含有さ
せた重合体を高分子反応で架橋する方法では、該官能基
は、分子間で化学反応を生じ化学結合を形成し得るもの
であればいずれでもよい。即ち、縮合反応、付加反応等
による分子間の結合あるいは重合反応による架橋等を熱
及び/又は光によって生じさせる反応様式を利用するこ
とができる。具体的には、解離性の水素原子を有する官
能基{例えば−COOH基、−PO3 2 基、
【化22】 〔R3 は脂肪族基を表し、好ましくは置換されてもよい
炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ジ
クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメ
チル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピル基等)又
は−OR4 基(R4 はR3 の基と同一の内容を表す)を
表す〕、−OH基、−SH基、−NH・R5基(R5
水素原子又はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基等の炭素数1〜4のアルキル基を表す)}と、
【化23】 等の群れから各々選ばれた官能基の組合わせを少なくと
も1組含有する場合、あるいは−CONHCH2 OR6
(R6 は水素原子又はメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル
基を表す)又は
【化24】 (R7 は、−OR6 又は炭素数1〜6のアルキル基を表
す)重合性二重結合基等が挙げられる。該重合性二重結
合基としては具体的には、前記の重合性官能基の具体例
として挙げたものを挙げることができる。
【0030】更には、例えば、遠藤剛「熱硬化性高分子
の精密化」,C. M. C (株)(1986年刊)、原崎勇
次「最新バインダー技術便覧」第II−1章,総合技術セ
ンター(1985年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合
成・設計と新用途開発」中部経営開発センター出版部
(1985年刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」
テクノシステム(1985年刊)、乾英夫, 永松元太郎
「感光性高分子」講談社(1977年刊)、角田隆弘
「新感光性樹脂」印刷学会出版部(1981年刊)、G.
E.Green and B.P.Star, R.J. Macro. Sci. Revs.Macro.
Chem.,C21(2), 187〜273頁(1981〜
82年)、C.G.Roffey「Photopolymerization of Surfa
ce Cortings 」, A.Wiley Interscience Pub. (198
2年刊)等の総説に引例された官能基、化合物等を用い
ることができる。
【0031】これらの架橋性官能基は、一般式(I)で
示される官能基と共に、一つの共重合体成分中に含有さ
れてもよいし、式(I)の官能基を含有する共重合体成
分とは別個の共重合体成分中に含有されてもよい。
【0032】これらの架橋性官能基を含有する共重合体
成分に相当する単量体の具体的なものとしては、例えば
前記一般式(II)の重合体成分と共重合し得る該官能基
を含有するビニル系化合物であればよい。このようなビ
ニル系化合物は、例えば高分子学会編「高分子データ・
ハンドブック〔基礎編 」培風館(1986年刊)等に
記載されている。具体的には、アクリル酸、α及び/又
はβ置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−ア
セトキシメチル体、α−(2−アミノ)エチル体、α−
クロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチ
ルシリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ
体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体
等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステ
ル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケ
ニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル
−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−
ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイ
ン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド
類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン
酸塩類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体、及
びこれらのカルボン酸又はスルホン酸のエステル誘導
体、アミド誘導体の置換基中に該架橋性官能基を含有す
る化合物等が挙げられる。本発明の樹脂における「架橋
性官能基を含有する共重合体成分」の割合は、該結着樹
脂全量中好ましくは1〜60重量%である。より好まし
くは、5〜40重量%である。
【0033】また、膜の硬化性を向上させるために光及
び/又は熱硬化性樹脂及び/又は架橋剤を少量含有させ
てもよい。その使用量は、本発明の式(I)の官能基含
有の結着樹脂(以下樹脂〔P〕とも称する)の総量10
0重量部に対して0.01〜20重量%であり、好まし
くは0.1〜15重量%である。光及び/又は熱硬化性
樹脂としては、従来公知の硬化性樹脂のいずれでもよ
く、例えば本発明の結着樹脂〔P〕で説明した硬化性基
と同様の官能基含有の樹脂が挙げられる。具体的には、
遠藤剛「熱硬化性高分子の精密化」(C.M.C
(株),1986年刊)、原崎勇次「最新バインダー技
術便覧」第II−1省(総合技術センター,1985年
刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開
発」(中部経営開発センター出版部,1985年刊)、
大森英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシステム,
1985年刊)等の総説に引例された従来公知の樹脂が
用いられる。
【0034】また架橋剤としては、通常架橋剤として用
いられる化合物を使用することができる。具体的には、
山下晋三, 金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊
(1981年)、高分子学会編「高分子データハンドブ
ック 基礎編」培風館(1986年)等に記載されてい
る化合物等を用いることができる。例えば、有機シラン
系化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシ
ラン等のシランカップリング剤等)、ポリイソシアナー
ト系化合物(例えばトルイレンジイソシアナート、o−
トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソ
シアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、
ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキサメチ
レンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、
高分子ポイソシアナートイソシアナート等)、ポリオー
ル系化合物(例えば1,4−ブタンジオール、ポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシアルキレングリコ
ール、1,1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリ
アミン系化合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒド
ロキシプロピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラ
ジン、変性脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップ
リング系化合物(例えば、テトラブトキシチタネート、
テトラプロポキシチタネート、イソプロピルトリステア
ロイルチタネート等)、アルミニウムカップリング系化
合物(例えば、アルミニウムブチレート、アルミニウム
アセチルアセテート、アルミニウムオキシドオクテー
ト、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)等)、
ポリエポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、
垣内弘編著「エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、
橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(196
9年刊)等に記載された化合物類)、メラミン樹脂(例
えば、三輪一郎,松永英夫編著「ユリア・メラミン樹
脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化
合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例え
ば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」講
談社(1976年刊)、大森英三「機能性アクリル樹
脂」テクノシステム(1985年刊)等に記載された化
合物類が挙げられる。また、多官能重合性基含有の単量
体(ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、エ
チレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコ
ールジアクリレート、ジビニルコハク酸エステル、ジビ
ニルアジピン酸エステル、ジアリルコハク酸エステル、
2−メチルビニルメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエ
リスリトールポリアクリレート等)等が挙げられる。
【0035】以上の如く、本発明の光導電層の結着樹脂
は、更には硬化性化合物共存下での架橋反応は、高分子
鎖間の化学結合が進行し易い組み合せで用いることが好
ましい。例えば官能基の組み合せによる高分子反応とし
ては、通常よく知られた方法が挙げられ、下記表−1の
ようなA群の官能基とB群の官能基の組合せが例示され
る。但し、これらに限定されるものではない。
【0036】
【表1】 表−1において、R8 ,R9 はアルキル基を表す。R10
〜R12はアルキル基又はアルコキシ基を表し、且つ置換
基中少なくとも1つはアルコキシ基を表す。
【0037】本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、結着樹脂に必要に応じて反応促進剤を
添加してもよい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成
する反応様式の場合には、例えば有機酸(酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスル
ホン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェノ
ール、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモフ
ェノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有機
金属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、ア
セチルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバル
ト塩等、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカル
バミン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、
チウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジ
スルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル酸、無
水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無水物
等、3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフェ
ノンジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げられ
る。架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開始剤
(過酸化物、アゾビス系化合物等が挙げられる)を用い
ることができる。
【0038】本発明の結着樹脂は、感光層形成物を塗布
した後、光及び/又は熱硬化される。熱硬化を行なうた
めには、例えば、乾燥条件を従来の感光体作製時の乾燥
条件によ厳しくする。例えば、乾燥条件を高温及び/ま
たは長時間とする。あるいは、塗布溶剤の乾燥後、更に
加熱処理することが好ましい。例えば60℃〜150℃
で5〜120℃間処理する。上述の反応促進剤を併用す
ると、より穏やかな条件で処理することができる。
【0039】本発明の樹脂中の特定の官能基を光照射で
硬化する方法としては、「化学的活性光線」で光照射す
る工程を入れるようにすればよい。本発明に用いられる
「化学的活性光線」としては、可視光線、紫外線、遠紫
外線、電子線、X線、γ線、α線などいずれでもよい
が、好ましくは紫外線が挙げられる。より好ましくは、
波長310nmから波長500nmの範囲での光線を発
しうるものであり、一般には低圧、高圧あるいは超高圧
の水銀ランプ、ハロゲンランプ等が用いられる。光照射
の処理は通常5cmから50cmの距離から10秒〜1
0分間の照射で充分に行なうことができる。
【0040】以上で説明した本発明に供される結着樹脂
と共に、従来公知の樹脂も併用することができる。例え
ば、前記した如きシリコーン樹脂、アルキッド樹脂、酢
酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエ
ン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、具体的には、栗田
隆治・石渡次郎、高分子、第17巻、第278頁(19
68年)、宮本晴視、武井秀彦、イメージング、197
(No. 8)第9頁等の総説に引例の公知材料等が挙げ
られる。本発明に係る樹脂と公知の樹脂とは任意の割合
で混合することができるが、全樹脂量中に本発明の官能
基成分の含有量が1〜95重量%、好ましくは5〜90
重量%含有されている必要がある。
【0041】以上の本発明の結着樹脂は、不感脂化処理
により親水性基が発現することにより、非画像部の親水
性をより良好にする作用を有する。更に本発明の原版に
おいて、結着樹脂が架橋構造を重合体の少なくとも一部
に有するものでは、親水性を保持したまま、不感脂化処
理により生成した親水性基含有の樹脂が水溶性となり画
像部から溶出してゆくことを防止する作用、すなわち耐
水性をも有するものである。従って、非画像部の親水性
が樹脂中に生成される親水性基によって、より一層高め
られる効果が向上し且つ持続性が向上することとなっ
た。あるいは印刷機の大型化あるいは印圧の変動等印刷
条件が厳しくなった場合でも、地汚れのない鮮明な画質
の印刷物を多数枚印刷することが可能となる。
【0042】本発明の光導電層は少なくとも光導電性無
機化合物と上述したような結着樹脂とを含有して成るも
のである。本発明に供される光導電性無機化合物として
は、従来公知のものを使用できるが、公害性等の観点か
ら酸化亜鉛、酸化チタンが好ましく、より好ましくは酸
化亜鉛である。本発明の平版印刷用原版においては、光
導電酸化亜鉛100重量部に対して上記した結着樹脂を
10〜60部なる割合、好ましくは15〜40重量部な
る割合で使用する。好ましくは、本発明の感光材料の不
感脂化処理において、光導電性化合物の不感脂化処理
(詳しくは後述する)を併用する場合には、本発明で用
いる一般式(I)の官能基を含有する結着樹脂中の一般
式(I)で示される官能基含有量は1〜80重量%であ
り、好ましくは5〜70重量%である。一方、本発明の
結着樹脂の働きのみで不感脂化する場合は、該式(I)
の官能基含有量は50〜95重量%であり、好ましくは
60〜90重量%である。本発明の光導電性酸化亜鉛と
しては、この種の技術分野において従来公知のものを使
用すればよく、いわゆる酸化亜鉛のみならず、酸化亜鉛
を酸処理したものでもよく、特に限定されるところはな
い。
【0043】本発明では、必要に応じて各種の色素を分
光増感剤として併用することができる。例えば、例え
ば、宮本晴視,武井秀彦:イメージング1973(No.
8)第12頁、C.J.Young 等:RCA Review 15,46
9(1954年)、清田航平等:電気通信学会論文誌
J63−C(No.2),97頁(1980年)、原崎勇次
等:工業化学雑誌 66,78及び188頁(1963
年)、谷忠昭:日本写真学会誌 35,208頁(19
72年)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジフェニ
ルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン系
色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例えばオキ
ソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色素、ロダ
シアニン色素、スチリル色素等) 、フタロシアニン色素
( 金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0044】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとしては、特公昭51−4
52、特開昭50−90334、同50−11422
7、同53−39130、同53−82353各号公
報、米国特許第3052540、同第4054450各
号明細書、特開昭57−16456号公報等に記載のも
のが挙げられる。
【0045】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F. M. Harmer「 The Cyanine Dyes and Relat
ed Compounds」等に記載の色素類が使用可能であり、更
に具体的には、米国特許第3047384、同3110
591、同3121008、同3125447、同31
28179、同3132942、同3622317各号
明細書、英国特許第1226892、同130927
4、同1405898各号明細書、特公昭48−781
4、同55−18892各号公報等に記載の色素が挙げ
られる。
【0046】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜
赤外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭
47−840、同47−44180、特公昭51−41
061、特開昭49−5034、同49−45122、
同57−46245、同56−35141、同57−1
57254、同61−26044、同61−27551
各号公報、米国特許第3619154、同417595
6各号明細書、「 Research Disclosure 」1982
年,216,第117〜118頁等に記載のものが挙げ
られる。本発明の感光体は種々の増感色素を併用させて
も、その性能が増感色素により変動しにくい点において
も優れている。
【0047】更には、必要に応じて、化学増感剤等の従
来知られている電子写真感光層用各種添加剤を併用する
こともできる。例えば、前記した総説:イメージング
973(No. 8)第12頁等の総説引例の電子受容性化
合物(例えば、ハロゲン、ベンゾキノン、クロラニル、
酸無水物、有機カルボン酸等)、小門宏等、「最近の光
導電材料と感光体の開発・実用化」第4章〜第6章:日
本科学情報(株)出版部(1986年)の総説引例のポ
リアリールアルカン化合物、ヒンダートフェノール化合
物、p−フェニレンジアミン化合物等が挙げられる。こ
れら各種添加剤の添加量は、特に限定的ではないが、通
常光導電体100重量部に対して0.001〜2.0重
量部である。
【0048】光導電層の厚さは1〜100μ、特に10
〜50μが好適である。また、電荷発生層と電荷輸送層
の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使用する
場合は、電荷発生層の厚さは0.01〜1μ、特には
0.05〜0.5μが好適である。
【0049】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般に云って電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プ
ラスチックシート等の基体に低抵抗性物質を含浸させる
などして導電処理したもの、基体の裏面(感光層を設け
る面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を
図る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、
前記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支
持体の表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレ
コート層を設けたもの、Al等を蒸着した基体導電化プ
ラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用できる。
具体的に、導電性基体あるいは導電化材料の例として、
坂本幸男,電子写真,14,(No. 1),p2〜11
(1975)、森賀弘之,「入門特殊紙の化学」高分子
刊行会(1975)、M. F. Hoover, J. Macromol. Sc
i. Chem. A−4(6),第1327〜1417頁(1
970)等に記載されているもの等を用いる。
【0050】本発明の平版印刷用原版を用いた印刷版の
作製は、上記した構成から成る電子写真用原版に常法に
より複写画像を形成後、非画像部を不感脂化処理するこ
とで作成される。本発明に供される不感脂化処理は、酸
化亜鉛等の無機光導電体の不感脂化反応(以下A反応と
いう)と、結着樹脂の不感脂化反応(以下B反応とい
う)の両者が進行する。不感脂化の方法としては、例え
ばA反応処理をした後B反応処理する方法、B反応
処理をした後A反応処理する方法、あるいはA反応と
B反応を同時に処理する方法、があり、これらのいずれ
を用いてもよい。
【0051】酸化亜鉛等の光導電体の不感脂化方法とし
ては、従来公知の処理液のいずれをも用いることができ
る。例えば、フェロシアン系化合物を不感脂化の主剤と
して用いた、特開昭62−239158、同62−29
2492、同63−99993、同63−9994、特
公昭40−7334、同45−33683、特開昭57
−107889、特公昭46−21244、同44−9
045、同47−32681、同55−9315、特開
昭52−101102各号公報等が挙げられる。また、
フィチン酸系化合物を主剤として用いた、特公昭43−
28408、同45−24609、特開昭51−103
501、同54−10003号、同53−83805、
同53−83806、同53−127002、同54−
44901、同56−2189、同57−2796、同
57−20394、同59−207290各号公報に記
載のもの、金属キレート形成可能な水溶性ポリマーを主
剤として用いた、特公昭38−9665、同39−22
263、同40−763、同43−28404、同47
−29642、特開昭52−126302、同52−1
34501、同53−49506、同53−5950
2、同53−104302各号公報等に記載のもの、金
属錯体系化合物を主剤として用いた、特開昭53−10
4301、特公昭55−15313、同54−4192
4各号公報等に記載のもの、あるいは無機及び有機酸系
化合物を主剤として用いた、特公昭39−13702、
同40−10308、同46−26124、特開昭51
−118501、同56−111695各号公報等に記
載されたもの等が挙げられる。
【0052】一方、一般式(I)で示される官能基含有
の本発明の結着樹脂を不感脂化する(即ち親水性の付
与)方法としては、pH8〜14の水溶液、好ましくは
pH10〜13の水溶液でアルカリ加水分解する方法が
ある。更には、上記のpH条件下に、スルホニル基に容
易に求核反応する親水性基含有の化合物を有する溶液
(水溶液あるいは水溶性有機溶媒の混合溶液)で処理す
ることによって達成される。一般式(I)で示される官
能基に求核置換反応する親水性化合物としては、パーソ
ン(Pearson )等の求核定数n〔R. G .Pearson, H. So
bel, J. Songstad,J. Amer. Chem. Soc., 90,31
9(1968)〕が5. 5以上の値を有する置換基を含
有し、且つ蒸留水100重量部中に、1重量部以上溶解
する親水性化合物が挙げられる。具体的な化合物として
は、例えばヒドラジン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸塩
(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩
等)、チオ硫酸塩等が挙げられ、また、分子内にヒドロ
キシル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ア
ミノ基から選ばれた少なくとも1つの極性基を含有する
メルカプト化合物、ヒドラジド化合物、スルフィン酸化
合物、第1級アミン化合物あるいは第2級アミン化合物
等が挙げられる。
【0053】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)2−メルカプトエチルアミン、チオグリ
コール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプト
ベンゼンジカルボン酸、2−メルカプトエタンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシプロピルメル
カプタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢
酸等を、スルフィン酸化合物として2−ヒドロキシエチ
ルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として2−ヒドラジノエタン
スルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、ヒドラ
ジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンジスルホ
ン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒドラジノベンゼンジカル
ボン酸等を、第1級あるいは第2級アミン化合物とし
て、例えばN−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,
N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジ
(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリ(2
−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2,3
−ジヒドロキシプロピル)アミン、N,N−ジ(2,3
−ジヒドロキシプロピル)アミン、2−アミノプロピオ
ン酸、アミノ安息香酸、アミノピリジン、アミノベンゼ
ンジカルボン酸、2−ヒドロキシエチルモルホリン、2
−カルボキシエチルモルホリン、3−カルボキシピペラ
ジン等を挙げることができる。
【0054】これらの求核性化合物を前記した光導電体
の不感脂化処理液中に含有させて用いる(前記のの方
法)か、あるいは、結着樹脂を別に処理するための処理
液に含有させて用いる(又はの方法)。これら処理
液中の該求核性化合物の存在量は0.1モル/リットル
〜10モル/リットルで、好ましくは0.5モル/リッ
トル〜5モル/リットルである。処理の条件は、温度1
5℃〜60℃で浸漬時間は10秒〜5分間が好ましい。
該処理液は、上記した求核性化合物及びpH調整剤以外
に、他の化合物を含有してもよい。例えば水に可溶性の
有機溶媒を、水100重量部中に1〜50重量部含有し
てもよい。このような水に可溶性の有機溶媒としては、
例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパ
ノール、プロパギルアルコール、ベンジルアルコール、
フェネチルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチ
ルエチルケトン、アセトフェノン等)、エーテル類
(ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、テトラヒドロピラン等)、アミド類
(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、
エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル等)
等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して用
いてもよい。また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カチオン性あるいはノニオ
ン性の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新
界面活性剤」三共出版(株)、(1975年刊)、小田
良平、寺村一広「界面活性剤の合成とその応用」槇書店
(1980年刊)等に記載される化合物を用いることが
できる。本発明の範囲は、上記した具体的化合物に限定
されるものではない。
【0055】
【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
の内容がこれらに限定されるものではない。 樹脂の合成例1:樹脂〔P−1〕 下記構造の単量体(M−1)89g、グリシジルメタク
リレート10g、アクリル酸1.0g及びトルエン20
0gの混合溶液を攪拌しながら窒素気流下に温度60℃
に加温した。2,2′−アゾビス(イソバレロニトリ
ル)(以下A.I.V.N.と略称する)0.8gを加え4時間
反応し、更にA.I.V.N. 0.5gを加えて3時間反応し
た。得られた重合体〔P−1〕の重量平均分子量は、
7.3×10 4 であった。 単量体(M−1)
【化25】 樹脂〔P−1〕
【化26】
【0056】樹脂の合成例2:樹脂〔P−2〕 ベンジルメタクリレート63.5g、下記構造の単量体
(M−2)35g、アクリル酸1.5g及びトルエン2
00gの混合溶液を、窒素気流下に温度75℃に加温し
た。攪拌下に、アゾビスイソブチロニトリル(以下A.I.
B.N.と略記する)1.0gを加え4時間反応し、更にA.
I.B.N. 0.4gを加えて3時間反応した。得られた重
合体〔P−2〕の重量平均分子量は4.3×104 であ
った。 単量体(M−2)
【化27】 樹脂〔P−2〕
【化28】
【0057】樹脂の合成例3:樹脂〔P−3〕 下記構造の単量体(M−3)88g、3−(トリエトキ
シシリル)プロピルメタクリレート10g、ジビニルベ
ンゼン2.0g及びトルエン200gの混合溶液を窒素
気流下に温度60℃に加温した。攪拌下にA.I.V.N.
1.5gを加え4時間反応した。更にA.I.V.N.を0.5
g加え3時間反応した。得られた重合体〔P−3〕の重
量平均分子量は2×105 であった。 単量体(M−3)
【化29】 樹脂〔P−3〕
【化30】
【0058】実施例1 樹脂〔P−1〕30g(固形分量として)、〔ベンジル
メタクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸
(79/20/1)重量比〕共重合体(重量平均分子
量:4.3×104 )である樹脂〔B−1〕10g、酸
化亜鉛200g、ローズベンガル0.05g、ウラニン
0.02g、テトラブロムフェノールブルー0.04
g、サリチル酸0.15g及びトルエン300gの混合
物を、ボールミル中で3時間分散した。次に、この分散
物に、無水フタル酸0.25g及びo−クロロフェノー
ル0.01gを添加し、更に10分間ボールミル中で分
散して、感光層形成物を調製し、これを導電処理した紙
に乾燥付着量が25g/m2 となるようにワイヤーバー
で塗布し、100℃で30秒間乾燥後、更に140℃で
1時間加熱した。ついで暗所で20℃、65%RHの条
件下で24時間放置することにより、電子写真感光材料
を作成した。
【0059】比較例1 実施例1において樹脂〔P−1〕30gの代わりに、下
記構造の比較用樹脂〔R−1〕30gを用いた他は、実
施例1と同様にして電子写真感光材料を作成した。 比較用樹脂〔R−1〕
【化31】
【0060】これらの感光材料の皮膜性(表面の平滑
度)、静電特性、撮像性、光導電層の不感脂化性(即ち
保水性)及び印刷性について、感光材料を作成直後と経
時した後について各々調べた。以上の結果をまとめて、
表−2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表−2に示した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:得られた感光材料は、ベック
平滑度試験機(熊谷理工(株)製)を用い、空気容量1
ccの条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定し
た。 注2) 静電特性:温度20℃,65%RHの暗室中で、
各感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)製
ペーパーアナライザー−SP−428型)を用いて−6
kVで20秒間コロナ放電をさせた後10秒間放置し、
この時の表面電位をV10を測定した。次いでそのまま暗
中で60秒間静置した後の電位V70を測定し、60秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔DRR(%)〕を〔(V70/V10)×100(%)〕
で求めた。また、コロナ放電により光導電層表面を−4
00Vに帯電させた後、照度2.0luxの可視光で照
射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するまでの時間を
求め、これから露光量E1/10(lux・sec)を算出
する。但し、各感光材料について、作成して2日後の試
料(I)と、〔45℃、75%RH〕条件下に2カ月経
時した後の試料(II)について、測定した。 注3) 撮像性:各感光材料及び全自動製版機ELP40
4V(富士写真フイルム(株)製)を1昼夜、常温・常
湿(20℃,65%RH)に放置した後、製版して複写
画像を形成し、得られた複写原版の画像(カブリ、画像
の画質)を目視で観察する。これを、上記注2)に記した
試料(I)及び試料(II)について行なう。 注4) 生版保水性:不感脂化処理液ELP−E(富士写
真フイルム(株)製、pH4.5)を蒸留水で5倍に希
釈し処理液を調製した。この処理液をエッチングプロセ
ッサーに入れ、各各感光材料を1回通した。次に、下記
処方の不感脂化処理液(E−1)を温度35℃にし、こ
の液に各感光材料を3分間浸漬した後、蒸留水で感光材
料を水洗した。 不感脂化処理液:(E−1) 亜硫酸ナトリウム 60g ベンジルアルコール 30g を、蒸留水1リットルに溶解した後、水酸化カリウムで
pH11.0に調整した。次に、浸し水として蒸留水を
用いて、オフセット印刷機((株)浜田印刷機械製造所
製、611XLA−II型)にかけ、刷り出しから50枚
目の印刷物の地汚れの程度を目視で評価した(不感脂化
処理された原版の保水性の度合いを調べる強制条件に相
当する)。 注5) 耐刷性:各感光材料の試料(II)を用いて、前記
注3)の撮像性と同条件にして、製版してトナー画像を形
成した後、ELP−Eを蒸留水で2倍に希釈した処理液
を入れたエッチングプロセッサーに2回通した後、不感
脂化処理液(E−1)中に1分間浸漬処理した。これを
オフセットマスターとして、オフセット印刷機(桜井製
作所(株)製オリバー52型)にかけ、印刷物の非画像
部の地汚れ及び画像の画質に問題が生じないで印刷でき
る枚数を示す(印刷枚数が多い程、耐刷性が良好なこと
を表す)。
【0063】表−2に示すように、本発明の実施例1及
び比較例1のいずれの感光材料も、作成直後の試料
(I)では良好な静電特性と撮像性を示した。しかし、
〔45℃,75%RH〕の過酷な条件で2カ月間保存後
の各試料(II)を用いて同様の評価をしたところ、公知
の親水性発現結着樹脂を用いた比較例1はその特性に低
下が見られ、撮像性も非画像部の地汚れ、画像部の濃度
低下、文字・細線の欠落が発生してしまった。更に、不
感脂化処理した作成直後の各感光材料の親水性の程度を
表す生版保水性は、従来公知の結着樹脂を用いた比較例
1でもインキ付着による地汚れは見られず良好であっ
た。しかし経時保存した試料(II)を用いてオフセット
印刷用マスタープレートとして印刷してみると、本発明
のプレートでは1万枚目の印刷物の画質でも良好で地汚
れが発生しなかった。他方、比較例1は製版後の地汚れ
が多いことから、不感脂化処理しても除去されず、刷り
出しから地汚れが発生した。以上の事実は、本発明の感
光材料のみが、長期の保存後でも常に鮮明な複写画像を
形成し、且つ地汚れの発生しない印刷物を1万枚以上得
ることができることを示す。
【0064】更に、本発明の実施例1の感光材料を用い
て、以下の条件で不感脂化処理して耐刷性を調べた。不
感脂化処理として、前記注5)において不感脂化処理液
(E−1)の代わりに下記の比較用処理液(E′−1)
を用いた他は、注5)と同様に行った。 比較用処理液(E′−1) ベンジルアルコール30gを蒸留水1リットルに溶解
し、水酸化カリウムでpH11.0に調整した。このよ
うな条件で処理したものの耐刷性は6000枚であっ
た。このような耐刷性の低下は、比較用処理液(E′−
1)中には求核性化合物が含有されていないことによ
り、本発明の結着樹脂の親水化が遅れてしまうものと考
える。
【0065】実施例2〜15 実施例1において、本発明の樹脂〔P−1〕の代わり
に、表−3に示される共重合体を用いた他は、実施例1
と同様に操作して、各電子写真感光材料を作製した。各
共重合体の重量平均分子量は4×104 〜6×104
範囲であった。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】各感光材料を、実施例1と同様に操作し
て、静電特性、撮像性及び印刷性を調べた。いずれも、
実施例1と同等の各性能を示した。また、これらの各感
光材料を〔45℃、75%RH〕下に4週間という強制
条件下に経時後、同様に実技特性を調べたが、いずれも
経時前との変化は見られず、良好な結果を示した。
【0070】実施例16 樹脂〔P−3〕36g(固形分量として)、〔ベンジル
メタクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸
(79/20/1)重量比〕共重合体(重量平均分子
量:6.8×104 )である樹脂〔B−2〕4g、酸化
亜鉛200g、ローズベンガル0.05g、ウラニン
0.02g、テトラブロムフェノールブルー0.04
g、無水フタル酸0.15g及びトルエン300gの混
合物を、ボールミル中で3時間分散した。次に、この分
散物に、更にグルコン酸0.03gを添加し、5分間ボ
ールミル中で分散して、感光層形成物を調製した。これ
を導電処理した紙に、乾燥付着量が25g/m2 となる
ようにワイヤーバーで塗布し、110℃で60分間乾燥
し、ついで暗所で20℃、65%RHの条件下で24時
間放置することにより、電子写真感光材料を作製した。
これを実施例1と同様に製版、不感脂化処理、印刷を行
なったところ、1万枚印刷後の印刷物は非画像部のカブ
リがなく、画像も鮮明であった。
【0071】実施例17〜23 まず、本発明の樹脂〔P−3〕の合成例においてジビニ
ルベンゼン2.0gの代わりに下記表−4に示される多
官能性単量体2.0gを用いて樹脂〔P−18〕〜〔P
−24〕を合成した。各共重合体〔P〕の重量平均分子
量は8×104 〜20×104 の範囲であった。実施例
16において樹脂〔P〕の代わりに表−4の各樹脂
〔P〕を用いた他は、実施例16と同様に操作して、各
電子写真感光材料を作成した。
【0072】
【表6】
【0073】これらを実施例1と同様に全自動製版機E
LP404Vで製版したところ、得られたオフセット印
刷用マスタープレートの濃度は1.2以上で、画質は鮮
明であった。更に、エッチング処理をして印刷したとこ
ろ、1万枚印刷後の印刷物は非画像部のカブリがなく、
画像も鮮明であった。更に、この感光材料を〔45℃,
75%RH〕の条件下に2カ月間放置した後、上記と全
く同様の処理を行ったが、経時前と全く変化がなかっ
た。
【0074】実施例24 合成例2で得た本発明の樹脂〔P−2〕25g(固形分
量として)、実施例1で用いた樹脂〔R−1〕15g、
酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベンガ
ル0.04g、テトラブロムフェノールブルー0.03
g、無水マレイン酸0.20g及びトルエン300gの
混合物をボールミル中で2時間分散した。次に、この分
散物にメタクリル酸アリル4g及びA.I.B.N. 0.4g
を添加し、更に10分間ボールミル中で分散して感光層
形成物を調製し、これを導電処理した紙に乾燥付着量が
22g/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、10
5℃で2時間加熱した。次いで暗所で20℃、65%R
Hの条件下で24時間放置することにより、電子写真感
光材料を作成した。これを実施例1と同様の装置で製版
したところ、得られたマスタープレートの濃度は1.0
以上で画質は鮮明であった。
【0075】更に、チオグリコール酸55g、ベンジル
アルコール100gを蒸留水に溶解し、全量を1.0リ
ットルとし、更に水酸化ナトリウムでpHが11.0と
なるように調整した処理液(E−2)中、温度25℃で
1分間浸した後、ELP−Eを蒸留水で2倍に希釈した
液に20秒間浸してエッチング処理した。得られたプレ
ートの水との接触角は10°以下で、充分に親水化され
ていた。このプレートを実施例1と同様の印刷機で印刷
したところ、8千枚印刷後の印刷物は非画像部のカブリ
がなく、画像も鮮明であった。更に、この感光材料を
〔45℃,75%RH〕の条件下に2カ月間放置した
後、上記と全く同様の処理を行ったが、経時前と全く変
化がなかった。
【0076】実施例25〜34 実施例1において、本発明の樹脂〔P−1〕30g、無
水フタル酸0.25g及びo−クロロフェノール0.0
1gの代わりに、下記表−5の樹脂〔P〕を各30g及
び架橋用化合物の所定量を用いた他は、実施例1と同様
にして各感光材料を作製した。
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
【表9】
【0080】
【表10】
【0081】これを、実施例1と同様の装置で製版し、
次いでエッチング処理して印刷機で印刷した。製版後得
られたオフセット印刷用マスタープレートの濃度は1.
0以上で画質は鮮明であった。また一万枚印刷後の印刷
物の画質は、カブリのない鮮明なものであった。
【0082】実施例35〜40 実施例1〜13で作製した各感光材料を用い、エッチン
グ処理を下記のように操作してオフセット印刷用マスタ
ープレートを作成した。下記表−6の求核性化合物0.
5モル及び有機溶媒100g及びニューコールB4SN
(日本乳化剤(株)製)10gに蒸留水を加え1リット
ルとした後、各混合物のpHを10.0に調整した。各
感光材料をELP−Eを蒸留水で2倍に希釈した液に2
0秒間浸してエッチングした後、上記処理液中に25℃
で1分間浸した。得られたプレートを実施例1と同様の
印刷条件で印刷した。
【0083】
【表11】
【0084】製版後、得られたオフセット印刷用マスタ
ープレートの濃度は1.0以上で、画質は鮮明であっ
た。また、一万枚印刷後の印刷物の画質は、カブリのな
い鮮明な画像のものであった。
【0085】
【発明の効果】以上説明のように、本発明の電子写真式
平版印刷用原版は親水化処理時に短時間で親水性を発現
でき、非画像部の親水性による効果が向上しており、し
かも非常に過酷な条件下で保管しても安定であるため、
長期の保存後でも常に鮮明な複写画像を形成し、非常に
優れた静電特性、印刷性、耐刷性を有するものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に光導電性無機化合物と
    結着樹脂とを含有してなる光導電層を少なくとも1層設
    けてなる電子写真感光体を利用した平版印刷用原版にお
    いて、該結着樹脂が下記一般式(I)で示される官能基
    を有する重合体成分の少なくとも1種を含有する樹脂を
    少なくとも1種含有して成る電子写真式平版印刷用原
    版。 一般式(I) 【化1】 〔ただし、上記式(I)において、−X,−X′は、少
    なくとも一方が電子吸引基であり、−X,−X′のHa
    mmet σP の値の和が0.45以上であるならば、
    同じでも異なっていても良い。−R0 は水素原子又は炭
    素数1〜6のアルキル基を表す〕
  2. 【請求項2】 上記一般式(I)で示される官能基を有
    する重合体成分の少なくとも1種を含有する樹脂が予め
    架橋されていることを特徴とする請求項1記載の電子写
    真式平版印刷用原版。
  3. 【請求項3】 上記一般式(I)で示される官能基を有
    する重合体成分の少なくとも1種を含有する樹脂が、さ
    らに熱及び/又は光で硬化反応を起こす官能基を少なく
    とも1種含有する樹脂であることを特徴とする請求項1
    又は請求項2記載の電子写真式平版印刷用原版。
  4. 【請求項4】 導電性支持体上に光導電性無機化合物と
    結着樹脂とを含有してなる光導電層を少なくとも1層設
    けてなり、該結着樹脂が下記一般式(I)で示される官
    能基を有する重合体成分の少なくとも1種を含有する樹
    脂を少なくとも1種含有して成る電子写真感光体を利用
    した平版印刷用原版を、画像露光してトナー画像を形成
    した後、該光導電層を少なくともパーソンの求核定数n
    が5.5以上の値を有する置換基含有の親水性化合物を
    含有する処理液で不感脂化処理することにより印刷版と
    することを特徴とする電子写真式平版印刷版の製造方
    法。 一般式(I) 【化2】 〔ただし、上記式(I)において、−X,−X′は、少
    なくとも一方が電子吸引基であり、−X,−X′のHa
    mmet σP の値の和が0.45以上であるならば、
    同じでも異なっていても良い。−R0 は水素原子又は炭
    素数1〜6のアルキル基を表す〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2009087981A1 (ja) * 2008-01-11 2011-05-26 株式会社Kri 重合性化合物及びこの製造方法

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