JPH05133128A - 複層式地下駐車設備の据付方法およびそれに用いる据付作業車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 省力化を計り、安全性を向上させ、搬送と据
付け作業の一体化を計り、効率的な２層目以上の駐車フ
レームの据付方法、据付作業車を提供する。 【構成】 (a) 下層の駐車フレームを設置すると共に駐
車フレームの各コーナ部に支柱を立設する工程、(b) 下
層の駐車フレーム上に、ダミーパレットの上面に押上げ
リフト装置を設けた据付作業車を搭載する工程、(c) 前
記押上げリフト装置により上層の駐車フレームを支柱よ
りも高く押し上げ、据付作業車を据付位置まで走行させ
る工程、および(d) 据付位置で押上げリフト装置を降下
させ、上層の駐車フレームを前記支柱に取付ける工程か
らなる。押上げリフト装置を使うので作業が安全であ
り、吊りピースが不要となって、チェーンブロックによ
る不安定な空中移動をする必要もなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は地下駐車設備の据付方法
およびそれに用いる据付作業車に関する。近時、都市部
の土地不足と自動車の増大に伴ない、建物の地下スペー
スにできるだけ多量の自動車を収納するため、以下のよ
うな地下駐車場が採用され始めている。その地下駐車場
の一例は図10〜12に示されるように、地下にエレベータ
ピット101 と駐車スペース102 を掘り、エレベータピッ
ト101 には、ガイドレール103 を設置してリフト104 を
昇降自在に取付けている。また駐車スペース102 には、
駐車フレームＦを碁盤目状に並べ、かつ１層または２層
以上に設置している。たとえば、図示の例ではピット10
1 の部分を除いて駐車スペース102 の床面107 に19台の
駐車フレームＦを設置しており、さらに支柱108 で支え
られた２層目にも19台の駐車フレームＦを搭載してい
る。そして、「空」で示した２カ所を残してパレットＰ
のNo. １〜17を１層目の駐車フレームＦ上に、No.18 〜
35を２層目の駐車フレームＦ上に載せている。このパレ
ットＰは駐車フレームＦに取付けられている駆動輪で前
後方向（パレットＰの長手方向をいう）および横方法
（パレットＰの幅方向をいう）に動かされ、各パレット
Ｐを縦横に動かして、自動車の出し入れをするようにな
っている。なお、前記駐車フレ―ムの層数と台数などは
もちろん任意である。

【０００２】

【従来の技術】ところで、上記のような複層式の地下駐
車場では、床面107上に並べられた多数の駐車フレーム
Ｆの間に支柱108 を立て、その上に２層目の駐車フレー
ムＦを固定するという順序で工事を進めなければならな
い。３層目以上の駐車フレームも同様にして工事する必
要がある。しかるに、地下駐車場は天井高さが低いた
め、クレーン車などを持ち込むことができない。また、
ユニット式の駐車フレームＦを床面 107上に多数配列す
ると、通常の台車やフォークリフトはまったく使えなく
なる。そこで、従来は、２層目の駐車フレームを図13に
示すように天井にあらかじめ取り付けた多数の吊りピー
ス116 に順次チェ―ンブロック115 を吊り、それらのチ
ェ―ンブロック115 を利用して吊り下げながら搬送し、
据え付けるようにしていた。また、２層目の駐車フレー
ムをいったん所定位置に搬入してからチェーンブロック
115などで吊り上げようとすれば支柱 108が邪魔になる
ので、２層目の駐車フレームを設置することは困難であ
る。そのため、従来は２層目の駐車フレームを支柱 108
の頭越しにチェ―ンブロック 115で空中移動させるしか
なかったのである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
工法によれば、あらかじめ地下室の天井全体に多数の吊
りピース116 を取りつけなければならず、きわめて繁雑
である。さらに駐車フレームは通常１トン強の重量があ
るが、そのような重量部品をチェ―ンブロック115 から
チェ―ンブロック115 への空中移動を繰り返しながら所
望位置まで運ぶのは危険であり、作業性がわるく、労力
がかかすぎるという問題があった。

【０００４】本発明は叙上の事情に鑑み、２層目の駐車
フレームの据付け作業において、省力化を計り、安
全性を向上させ、搬送と据付け作業の一体化を計り、
効率的な２層目の駐車フレームの据付方法およびそれに
用いる据付作業車を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の複層式地下駐車
設備の据付方法は、(a) 下層の駐車フレームをに設置す
ると共に駐車フレームの各コーナ部に支柱を立設する工
程、(b) 下層の駐車フレーム上に、ダミーパレットの上
面に押上げリフト装置を設けた据付作業車を搭載する工
程、(c) 前記押上げリフト装置により上層の駐車フレー
ムを支柱よりも高く押し上げ、据付作業車を据付位置ま
で走行させる工程、および(d) 据付位置で押上げリフト
装置を降下させ、上層の駐車フレームを前記支柱に取付
ける工程からなることを特徴とする。また、本発明の据
付作業車は、自動車積載用パレットと実質的に同構造の
ダミーパレットと、該ダミーパレット上に設置された押
上げリフト装置とからなることを特徴とする。

【０００６】

【作用】本発明の据付方法によれば、まず駐車フレーム
を１層目の地下駐車場の床面に据え付けておけば（工程
(a) ）、自動車を載置するパレットを仮設電源などで駐
車フレームの駆動輪を駆動して所望の位置に搬送できる
状態となる。本発明の据付方法では通常のパレットに代
えて、それと同構造のダミーパレットと押上げリフト装
置とからなる据付作業車を載置するので（工程(c) ）、
その据付作業車の押上げリフト装置に２層目の駐車フレ
―ムを載せて高く押し上げれば（工程（d)）、支柱と干
渉することなく容易に支柱の間を通って目的場所まで搬
送することができる。このため、支柱を立設した（工程
(b) ）後であっても簡単かつ安全に、自動的に所望位置
まで搬送しうる（工程(d) ）。さらに押上げリフト装置
により、２層目の駐車フレ―ムを支柱上に降ろし、その
場で据付けることができるので、多数の吊りピースが不
要となり、チェーンブロックによる不安定な空中移動を
する必要もなくなる。

【０００７】つぎに本発明の据付作業車は、実質的に通
常のパレットと同構造のダミーパレットを用いているの
で、仮設電源などを使って駐車フレ―ムの駆動輪を回転
させると駆動輪上に載置されているダミーパレットを所
定位置まで搬送することができる。また、押上げリフト
装置を設置しているので、重量物である駐車フレ―ムを
安定して高く押し上げたり、降ろしたりすることがで
き、２層目駐車フレ―ムの支柱上への据付けを容易に行
いうる。以上のように、本発明の方法は、もともと自動
車という重量物を所定位置まで搬送する設備である駐車
設備の部材のうち、先に据付けた下層の駐車フレームを
有効に利用し、後で据付けるべき上層の駐車フレームの
搬送、据付け作業を簡単にするものである。

【０００８】

【実施例】つぎに図面を参照しながら本発明の据付方法
および据付作業車の実施例を説明する。全体の搬送据付
工程を説明する前に、まず本発明で用いられる駐車フレ
―ムとパレットの構成を図６〜９を参照して説明する。
駐車フレームＦは、図６に示すように型鋼などで枠組み
したフレーム51とその上面に設けた４組の駆動輪52とか
ら構成されており、４組の駆動輪52のうち２組は直結さ
れた駆動モータ53で回転されるようになっている。ま
た、４組の駆動輪52には方向転換用のリンク54が連結さ
れており、該リンク54の一端にはリンク操作用のモータ
55が連結されている。このモータ55を駆動すると、リン
ク54を介して４組の駆動輪52が同時同方向に90度向きを
変えることができる。なお、各駆動輪52の両サイドには
次に述べるパレットＰの裏面に形成されたレール61を挟
むローラ56が設けられている。また、フレーム51の前縁
および一方の側縁には、隣接する駐車フレームＦ上に移
動途中のパレットＰを支えるための自由回転型の車輪57
が取り付けられている。

【０００９】自動車積載用のパレットＰは、図７に示す
ように、平板状の搬送用部材であって前記駐車フレーム
Ｆとほぼ同じ大きさであり、その裏面には井桁状に組ま
れたレール61が取り付けられている。また、各レール61
の交差部分には旋回レール62が取り付けられている。旋
回レール62は図８〜９に示すように、軸63で旋回レール
62が回転自在に支持されており、その下面は駐車フレー
ムＦ側の駆動輪52に接し、その側面はローラ56が接する
ようになっている。したがって、駐車フレームＦ上にパ
レットＰを載せ駆動輪52を回転させれば、パレットＰは
駐車フレームＦ上を転動させられる。そして、旋回レー
ル62を駆動輪52上に位置させた状態で駆動輪52の向きを
変えればパレットＰの旋回レ―ル62も同方向に回転させ
られるので、パレットＰを前後方向にも横方向にも移送
することができる。

【００１０】図５には本発明の一実施例にかかわる据付
作業車６が示されている。この据付作業車６は自動車を
載せるべき前記パレットと基本的に同じ構造のダミーパ
レット７と、該ダミーパレット７上に設置された押上げ
リフト装置であるテ―ブルリフタ16とから構成されてい
る。前記ダミーパレット７の底面は、図７〜９のパレッ
トと同一構造であるので、駐車フレームＦに載せると前
後左右に走行させることができる。そして、テ―ブルリ
フタ16はダミーパレット７上に固定した架台17と、リフ
タ本体とからなり、リフタ本体はＸ字状に交差するレバ
―18と、そのレバ―18の交差部に渡される軸19と、軸19
と下板20との間に介在される油圧シリンダ21と、レバ―
18の上端に設けられる上板22とから構成されている。架
台17の四隅には、角筒状のガイド23が取付けられてお
り、その中に上端にＵ字状受具24を形成したステー25を
挿入して連結ピンなどで固定できるようになっている。
そして、駐車フレームＦは前記４本のステー25とテーブ
ルリフタ16とで共同して支持するようになっている。な
お、ステー25およびガイド23は円形パイプ製としてもよ
い。また、架台17は油圧シリンダ21の制御弁などを収納
するケ―スも兼ねている。

【００１１】さて、次に、図１〜４に基づき本発明にか
かわる搬送据付方法を説明する。図１は、１層目の駐車
フレームＦを地下駐車場の床面 107に配列設置する工程
を示している。この設置作業の方法については特に制限
はないが、本出願人の特願平3-272009号『地下駐車設備
の搬送台車、降下装置およびそれを用いた搬送据付け方
法』によるのが労力が少なくてすみ、安全であるので好
ましい。図２は引き続いて各駐車フレ―ムＦのコ―ナ部
に支柱 108を立設する工程を示している。この支柱 108
を立設する工程も特に制限はないが、本出願人の平成３
年１０月２５日付特許願『地下駐車設備の据付方法およ
びそれに用いる据付作業車』によるのが労力が少なくて
すみ、安全であるので好ましい。前記工程に続いて、据
付作業車６を１層目の駐車フレ―ムＦ上に搭載する工程
が行なわれる。このばあい、ダミ―パレット７、架台1
7、リフタ本体を別々にエレベ―タピット 101の開口部
から吊り降ろし、地下駐車場で組み立ててもよく、あら
かじめ地上で組み立てた据付作業車６を吊り降ろして駐
車フレ―ムＦ上に載せてもよい。

【００１２】つぎにいよいよ、２層目の駐車フレ―ムＦ
の据付工程に入る。この作業では、まずエレベ―タピッ
ト 101の開口部から地上クレ―ンなどで駐車フレ―ムＦ
を吊り降ろし、据付作業車６のテ―ブルリフタ16上に搭
載する。このばあい、据付作業車６は図11に示すリフト
104上に位置させておき、そのあと任意の駐車フレ―ム
Ｆ上に移動するようにすればよい。そして、駐車フレ―
ムＦを搭載するに当っては、図３に示すステー25で支持
するほか、駐車フレ―ムＦをワイヤおよびタ―ンバック
ルでテ―ブルリフト16上に縛着するようにしてもよい。

【００１３】図３は据付作業車６を駐車フレームＦの長
辺側から見た状態であり、図４は短辺側から見た状態で
ある。図４に示すように据付作業車６が移動する間２層
目の駐車フレ―ムＦはテ―ブルリフタ16で支柱 108より
高く持ち上げられているので支柱 108が２層目駐車フレ
―ムF の搬送の邪魔になることはない。そして、目的の
支柱 108の所まで駐車フレ―ムＦを搬送すると、ガイド
23から連結ピンを抜きとってそれぞれステー25を自重で
下げ、ついで油圧シリンダ21を作動させてテ―ブルリフ
タ16を下降させれば、駐車フレ―ムＦを支柱 108上に載
置することができ、その後はボルト締結などの作業によ
り、容易に駐車フレ―ムＦを支柱 108上に固定すること
ができる。

【００１４】以上のごとく本実施例によればチェ―ンブ
ロックを使う必要がないので据付作業が容易となり安全
性が高くなる。なお、前記据付作業車６においてはテ―
ブルリフタ16が押上げリフト装置として採用されている
が、本発明における押上げリフト装置はかかるものに限
定されるものではなく、真っすぐ上下にスライドするガ
イドを有するもの、空圧シリンダを採用するもの、モー
タの回転をボルトナットにより直行運動に変更するもの
などで、種々の機構を採用しうるものである。

【００１５】

【発明の効果】本発明の据付方法によれば、クレーンや
フォークリフトを用いることができない地下スペースに
おいて、複層の駐車設備における２層目以上の駐車フレ
―ムを安全に、かつ迅速に据付けることができる。本発
明の据付作業車を用いれば、２層目の駐車フレームを安
全かつ迅速に支柱の上に据付けることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の据付方法における１層目駐車フレーム
の据付工程の説明図である。

【図２】本発明の据付方法における支柱の据付工程を示
す説明図である。

【図３】本発明の据付方法における据付作業車に２層目
駐車フレ―ムＦを搭載する工程を示す説明図である。

【図４】本発明の据付方法における２層目駐車フレ―ム
の据付工程の立面図である。

【図５】本発明の据付作業車の一実施例を示す概略斜視
図である。

【図６】駐車フレームＦの平面図（Ａ）および側面図
（Ｂ）である。

【図７】パレットＰの側面図（Ａ）および裏面図（Ｂ）
である。

【図８】パレットＰの旋回レール部を示す裏面図であ
る。

【図９】旋回レール62と駆動輪52を示す側面図である。

【図１０】本発明が適用される地下駐車場の一例を示す
平面図である。

【図１１】図１１のＩＶ−ＩＶ線断面図である。

【図１２】図１１のＶ−Ｖ線断面図である。

【図１３】従来の地下駐車設備における２層目駐車フレ
―ムの据付方法を示す説明図である。

【符号の説明】

Ｆ 駐車フレーム ６ 据付作業車
７ ダミーパレット 16 テ―ブルリフタ 17 架台
18 レバ― 21 油圧シリンダ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】(a) 下層の駐車フレームを設置すると共
   に、下層の駐車フレームの各コーナ部に支柱を立設する
   工程、(b) 下層の駐車フレーム上に、ダミーパレットの
   上面に押上げリフト装置を設けた据付作業車を搭載する
   工程、(c) 前記押上げリフト装置により上層の駐車フレ
   ームを支柱よりも高く押し上げ、据付作業車を据付位置
   まで走行させる工程、および(d) 据付位置で押上げリフ
   ト装置を降下させ、上層の駐車フレームを前記支柱に取
   付ける工程からなることを特徴とする複層式地下駐車設
   備の据付方法。
2. 【請求項２】自動車積載用パレットと実質的に同構造の
   ダミーパレットと、該ダミーパレット上に設置された押
   上げリフト装置とからなることを特徴とする請求項１記
   載の方法に用いる据付作業車。