JPH05133129A - 複層式地下駐車設備の据付方法およびそれに用いる運搬装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 省力化を計り、安全性を向上させ、効率的な
２層目の駐車フレームの据付方法およびそれに用いる運
搬装置を提供する。 【構成】 駐車フレーム群を渡るようにガイドレールを
配設する工程、載置面が前記支柱の上端より高い位置と
低い位置とをとりうるように載置部を昇降する昇降装置
を備えた運搬台車を前記ガイドレール上に配備する工
程、運搬台車に上層の駐車フレームを載置し、昇降装置
を上昇位置にセットして、運搬台車をガイドレールに沿
って所望の据付位置まで移動させる工程、所定の据付位
置で運搬台車の昇降装置を下降位置まで操作しながら、
２層目の駐車フレームを支柱の上端に据付ける工程、お
よび運搬台車を据付けた駐車フレームの下から移動させ
る工程からなるからなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は複層式地下駐車設備の据
付方法およびそれに用いる運搬装置に関する。近時、都
市部の土地不足と自動車の増大に伴ない、建物の地下ス
ペースにできるだけ多量の自動車を収納するため、以下
のような地下駐車場が採用され始めている。その地下駐
車場の一例は図６〜７に示されるように、地下にエレベ
ータピット101 と駐車スペース102 を掘り、エレベータ
ピット101 には、ガイドレール103 を設置してリフト10
4 を昇降自在に取付けている。また駐車スペース102 に
は、駐車フレームＦを碁盤目状に並べ、かつ１層または
２層以上に設置している。たとえば、図示の例ではピッ
ト101 の部分を除いて駐車スペース102 の床面107 に19
台の駐車フレームＦを設置しており、さらに支柱108 で
支えられた２層目にも19台の駐車フレームＦを搭載して
いる。そして、「空」で示した２カ所を残してパレット
ＰのNo. １〜17を１層目の駐車フレームＦ上に、No.18
〜35を２層目の駐車フレームＦ上に載せている。このパ
レットＰは駐車フレームＦに取付けられている駆動輪で
前後方向（パレットＰの長手方向をいう）および横方法
（パレットＰの幅方向をいう）に動かされ、各パレット
Ｐを縦横に動かして、自動車の出し入れをするようにな
っている。なお、前記駐車フレ―ムの層数と台数はもち
ろん任意である。

【０００２】

【従来の技術】ところで、上記のような複層式の地下駐
車場では、床面107上に並べられた多数の駐車フレーム
Ｆの間に支柱108 を立て、その上に２層目の駐車フレー
ムＦを固定して工事を進めなければならない。３層目以
上の駐車フレームも同様にして工事する必要がある。し
かるに、地下駐車場は天井高さが低いため、クレーン車
などを持ち込むことができない。また、ユニット式の駐
車フレームＦを床面 107上に多数配列すると、通常の台
車やフォークリフトはまったく使えなくなる。そこで、
従来は、２層目の駐車フレームなどは図８に示すように
天井にあらかじめ取り付けた多数の吊りピース116 に順
次チェンブロック115 を吊り、それらのチェンブロック
115 を利用して吊り下げながら搬送し、据え付けるよう
にしていた。

【０００３】なお、２層目の駐車フレームをいったん所
定位置に搬入してからチェーンブロック 115などで吊り
上げようとすれば支柱 108が邪魔になり、２層目の駐車
フレームを吊り上げた後に、支柱を立設することは困難
である。そこで、図８に示すように、支柱108 をまず立
設し、２層目の駐車フレームＦは支柱108 の頭越しにチ
ェ―ンブロック 115で空中移動させるしかなかったので
ある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
工法によれば、あらかじめ地下室の天井全体に多数の吊
りピース116 を取りつけなければならず、きわめて繁雑
である。さらに駐車フレームＦは通常１トン強の重量が
あるが、そのような重量部品をチェ―ンブロック115 か
ら隣接のチェ―ンブロック115 へ空中移動を繰り返しな
がら所望位置まで運ぶのは危険であり、作業性が悪く、
労力がかかすぎるという問題があった。

【０００５】本発明は叙上の事情に鑑み、２層目以上の
駐車フレームの据付け作業において、省力化を計り、
安全性を向上させ、搬送と据付け作業の一体化を計
り、効率的な２層目の駐車フレームの据付方法およびそ
れに用いる運搬装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の複層式地下駐車
設備の据付方法は、(a) 下層の駐車フレームを設置する
と共に、該下層の駐車フレームの各コーナ部に支柱を立
設する工程、(b) 前記駐車フレーム上に、駐車フレーム
群を渡るようにガイドレールを配設する工程、(C) 載置
面が前記支柱の上端より高い位置と低い位置とをとりう
るように載置部を昇降する昇降装置を備えた運搬台車を
前記ガイドレール上に配備する工程、(d) 運搬台車に上
層の駐車フレームを載置し、昇降装置を上昇位置にセッ
トして、運搬台車をガイドレールに沿って所望の据付位
置まで移動させる工程、(e) 所定の据付位置で運搬台車
の昇降装置を下降位置まで操作しながら、２層目の駐車
フレームを支柱の上端に据付ける工程、および(f) 運搬
台車を据付けた駐車フレームの下から移動させる工程か
らなるからなることを特徴とする。また、本発明にかか
わる運搬装置は、上端に駐車フレームを載置する載置部
を有し、下端に垂直軸まわりに旋回自在の車輪を有し、
前記載置部と車輪の間に載置部の昇降装置が介在されて
いる運搬台車と、前記車輪をガイドすると共に、下層の
駐車フレーム上に配設される分割可能なガイドレールと
からなることを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明の方法では、先に据え付けた下層（たと
えば１層目）の駐車フレームの上面を渡っていくように
ガイドレールを設け、そのガイドレール上に運搬台車を
走行させるようにしているので、所定の位置まで上層
（たとえば２層目）の駐車フレームを自由に搬送しう
る。なお、２層目の駐車フレーム上にガイドレールを設
けると、３層目の駐車フレームを同様にして据付けるこ
とができ、４層目以上も同様の工法を用いて据付けるこ
とができる。また、本発明の運搬装置を用いれば、上層
側の駐車フレームを支柱よりも高く持ち上げた状態で安
全かつ迅速に所定位置まで搬送でき、かつ運搬台車の昇
降装置を下降させてそのまま上層の駐車フレームを支柱
上に据付けることができる。したがって、上層側の駐車
フレームの運搬と据付けとを一連の作業で行いうる。

【０００８】

【実施例】つぎに図面を参照しながら本発明の方法およ
び運搬装置を説明する。まず図１〜２に基づき、２層目
の駐車フレームＦを据付ける場合を例にとって説明す
る。図１〜２は本発明の据付方法が適用される地下駐車
場の断面図および平面図を示している。本発明の方法で
は、まず地下駐車場の床面107 に車１台分のスペースご
とにユニット化された１層目の駐車フレームＦを配設
し、支柱108 を立設する。その工程では駐車フレームＦ
を敷き並べた後に支柱108 を立設してもよく、支柱108
をたとえば２本ずつ取り付けた駐車フレームＦを地下駐
車場の奥から順に並べていってもよい。なお、この設置
作業の方法については特に制限はないが、本出願人の特
願平3-272009号『地下駐車設備の搬送台車、降下装置お
よびそれを用いた搬送据付け方法』によるのが労力が少
なくてすみ、安全であるので好ましい。また、この支柱
108を立設する工程も特に制限はないが、本出願人の平
成３年１０月２５日付特許願『地下駐車設備の据付方法
およびそれに用いる据付作業車』によるのが労力が少な
くてすみ、安全であるので好ましい。

【０００９】ついで駐車フレームＦの上に、各駐車フレ
ームＦ間を渡すようにガイドレール６を設置する。ガイ
ドレール６はエレベータピット101 の下部（図２の７）
からすべての駐車フレームＦに行き渡るようにすなわち
少くとも１通りの通路が確保されるように配設する。し
たがって、駐車フレームＦが碁盤目上に配置されていれ
ば、ガイドレール６は井桁状に渡されことになる。ガイ
ドレール６は、縦方向のガイドレール6Aと横方向のガイ
ドレール6Bからなり、これらを組合わせて、たとえば井
桁状に配設される。そして、縦方向のガイドレール6Aと
横方向のガイドレール6Bの交差部には後述する方向転換
用のジョイント８が設けられる。ついで配設したガイド
レール６上に昇降機能を備えた運搬台車９を設置する。
運搬台車９は組み立てた状態でエレベータピット101 の
開口部109 から降ろしてもよく（図１の矢印Ａ）、部品
を降ろした後に地下駐車場で組み立ててもよい。ついで
運搬台車９上にＦ層目の駐車フレームＦを載置し、ずれ
ないようにワイヤなどで固定する。

【００１０】２層目の駐車フレームＦを載置した運搬台
車９は、もっとも奥の据付位置から据付るように駐車フ
レームＦを手押しなどで矢印Ｂで示すように移送する
（たとえば図２のＦ1 、Ｆ2 など）。そのとき運搬台車
９の昇降装置は上昇状態にして、２層目の駐車フレーム
Ｆが支柱108 の上端と干渉しないようにしておく。また
ジョイント８の上で方向転換させながら目的位置まで運
ぶ。所定位置に達した後に、矢印Ｃで示すように運搬台
車９の昇降装置を下降させ、運んできた２層目の駐車フ
レームＦを支柱108 の上端に据付ける。なお、昇降装置
を下降させた運搬台車９は、つぎの２層目の駐車フレー
ムＦを受け取るために、再び同じ経路を逆にたどって、
エレベータピット101 まで回送される。

【００１１】以上が本発明の方法の手順であるが、つぎ
にかかる方法に好適に用いられる本発明の装置について
図３〜５を参照しながら説明する。図３は前記ガイドレ
ール６とジョイント８の好ましい実施例を示している。
同図に示すように、ガイドレール６としては上方に開く
チャンネル材が好ましい。またジョイント８は鋼板など
から折り曲げと溶接などによって形成されるものであ
り、底板12と側壁13とからなる。側壁13は角部14をコー
ナーカットしたガイド板であり、それにより搬送台車９
の車輪15の旋回がしやすくなっている。また側壁13およ
びガイドレール６の立ち上がり壁の端部には、それぞれ
連結のためのボルト孔16が穿孔されている。なお、ガイ
ドレール６の長さも、地下駐車場への搬入および移送が
便利なように、短く（約２〜３ｍ）しておき、使用時に
接続して長いガイドレールにできるようにするのが好ま
しい。

【００１２】つぎに図４〜５を参照して運搬台車９の好
ましい実施例を説明する。図４に示す運搬台車９はチャ
ンネル材やアングル材を溶接して組み立てた箱状のフレ
ーム21と、その上端の四隅に設けた載置部22と、下端の
四隅に油圧シリンダ23を介して取り付けた旋回自在なキ
ャスタ24とから構成されている。キャスタ24はスラスト
ボールベアリングで旋回自在に荷重を支えるＵ字状のブ
ラケット25とそのブラケット25に軸26により回転自在に
設けられた車輪15とから構成される。前記油圧シリンダ
23を駆動するポンプ、オイルタンク、電磁弁などの駆動
ユニットはフレーム21内に設けられている。なお、駆動
ユニットはエア圧を油圧に変換するブースタポンプを用
いるものであってもよい。さらに、油圧シリンダ23に変
えて、エアシリンダやネジ、ナット式の昇降装置などを
用いることができる。また、図４の運搬台車９は、キャ
スタ24とフレーム21との間に油圧シリンダ23を介在させ
ているが、載置部22をフレーム21に対して昇降自在に取
り付け、載置部22を油圧シリンダなどの昇降位置で上下
駆動させるようにしてもよい。

【００１３】叙上のごとく構成される運搬台車９は、そ
の車輪15をチャンネル材のガイドレール６の溝内に入れ
て載置され、ガイドレールの立ち上がり壁によって案内
されながらガイドレール６の方向に走行する。この運搬
台車９は、通常は手押しによって移動するが、モータに
よって車輪を駆動させてもよい。図５には前記運搬台車
９に据付の対象である駐車フレームＦを搭載した状態が
示されており、（Ａ）は平面図、（Ｂ）は側面図であ
る。同図に示すように駐車フレームＦは搬送台車９の上
面に載置されて運搬され、支柱（図１〜２の108 ）上に
据付けられる。

【００１４】以上に２層目の駐車フレームＦの据付方法
を説明したが本発明は３層目以上の駐車フレームの据付
作業にも適用することができる。そのばあいは、２層目
の駐車フレームＦ上にガイドレール６を設置して運搬台
車９を走行させ、３層目の駐車フレームを運搬据付すれ
ばよい。また、３層目以上の駐車フレームの据付も同様
の工法により順次上層側の駐車フレームを据付けことが
できる。

【００１５】

【発明の効果】本発明の方法によれば、上部空間に制限
があり、かつ床面の凹凸が大きい地下駐車場で、複層式
地下駐車設備を簡単に、かつ安全迅速に据付けることが
できる。また、本発明の運搬装置は、縦横に配設された
駐車フレームの上をガイドレールに案内されてスムーズ
に走行しうるので、前記本発明の据付方法に好適に用い
うるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の据付方法を示す地下駐車場の立断面図
である。

【図２】本発明にかかわるガイドレールの設置状態を示
す地下駐車場の平面図である。

【図３】本発明にかかわるガイドレールの一実施例を示
す斜視図である。

【図４】本発明にかかわる運搬台車の一実施例を示す斜
視図である。

【図５】駐車フレームＦを搭載した運搬台車９を示す平
面図（Ａ）および側面図（Ｂ）である。

【図６】本発明が適用される地下駐車場の一例を示す平
面図である。

【図７】図６のVII-VII 線断面図である。

【図８】従来の２層目の駐車フレームの据付方法を示す
説明図である。

【符号の説明】

Ｆ 駐車フレーム ６ ガイドレール
８ ジョイント ９ 運搬台車 15 車輪
21 フレーム 22 載置部 23 油圧シリンダ
24 キャスタ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】(a) 下層の駐車フレームを設置すると共
   に、該下層の駐車フレームの各コーナ部に支柱を立設す
   る工程、(b) 前記駐車フレームに上に、駐車フレーム群
   を渡るようにガイドレールを配設する工程、(C) 載置面
   が前記支柱の上端より高い位置と低い位置とをとりうる
   ように載置部を昇降する昇降装置を備えた運搬台車を前
   記ガイドレール上に配備する工程、(d) 運搬台車に上層
   の駐車フレームを載置し、昇降装置を上昇位置にセット
   して、運搬台車をガイドレールに沿って所望の据付位置
   まで移動させる工程、(e) 所定の据付位置で運搬台車の
   昇降装置を下降位置まで操作しながら、上層の駐車フレ
   ームを支柱の上端に据付ける工程、および(f) 運搬台車
   を据付けた駐車フレームの下から移動させる工程からな
   ることを特徴とする複層式駐車設備の据付方法。
2. 【請求項２】上端に駐車フレームを載置する載置部を有
   し、下端に垂直軸まわりに旋回自在の車輪を有し、前記
   載置部と車輪の間に載置部を昇降する昇降装置が介在さ
   れている運搬台車と、前記車輪をガイドすると共に、下
   層の駐車フレーム上に配設される分割可能なガイドレー
   ルとからなることを特徴とする請求項１記載の方法に用
   いる運搬装置。