JPH05125586A - プレス成形性に優れた表面処理AlまたはAl合金材 - Google Patents
プレス成形性に優れた表面処理AlまたはAl合金材Info
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- JPH05125586A JPH05125586A JP11397892A JP11397892A JPH05125586A JP H05125586 A JPH05125586 A JP H05125586A JP 11397892 A JP11397892 A JP 11397892A JP 11397892 A JP11397892 A JP 11397892A JP H05125586 A JPH05125586 A JP H05125586A
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- alloy
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- coating
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 本発明の表面処理AlまたはAl合金材は、
AlまたはAl合金基材の表面がビッカース硬さが10
0以上のめっき材により被覆されている。また該めっき
材がZn系又はFe系合金であるもの、該めっき材の下
に中間層としてビッカース硬さや膜厚の特定されたアル
マイト皮膜を形成したものは、プレス成形性や塗装後耐
食性、耐傷つき性等においても非常に優れたものであ
る。 【効果】 耐傷付き性を高めることができると同時に、
表面潤滑性を改善しプレス成形性を高めることができ
る。更にアルマイト皮膜を有するものは摺動性がよくプ
レス成形性が一層改善されると共に、塗装後耐食性も優
れたものとなる。また、Fe系もしくはZn系めっき層
を有するものはりん酸塩等による化成処理性に優れたも
のであり、塗装性及び塗装後耐食性も大幅に改善するこ
とができる。
AlまたはAl合金基材の表面がビッカース硬さが10
0以上のめっき材により被覆されている。また該めっき
材がZn系又はFe系合金であるもの、該めっき材の下
に中間層としてビッカース硬さや膜厚の特定されたアル
マイト皮膜を形成したものは、プレス成形性や塗装後耐
食性、耐傷つき性等においても非常に優れたものであ
る。 【効果】 耐傷付き性を高めることができると同時に、
表面潤滑性を改善しプレス成形性を高めることができ
る。更にアルマイト皮膜を有するものは摺動性がよくプ
レス成形性が一層改善されると共に、塗装後耐食性も優
れたものとなる。また、Fe系もしくはZn系めっき層
を有するものはりん酸塩等による化成処理性に優れたも
のであり、塗装性及び塗装後耐食性も大幅に改善するこ
とができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車等の各種車輛や家
庭電化製品、建築材料等の様に、プレス成形等の加工を
施して使用される分野において利用される加工性等に優
れた表面処理AlまたはAl合金材に関するものであ
る。
庭電化製品、建築材料等の様に、プレス成形等の加工を
施して使用される分野において利用される加工性等に優
れた表面処理AlまたはAl合金材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】AlまたはAl合金材(以下Al合金材
で代表する)は軽量でしかも優れた耐食性及び意匠性を
有することから、家庭電気製品や建材等の幅広い分野で
用いられてきた。また最近では自動車分野等においても
公害防止、省資源の観点から車体の軽量化ひいては燃費
向上を目的としてAl合金材が利用される機会が増えて
いる。この様な分野においてはプレス成形等の成形加工
が施されることが多いが、Al合金材は従来の冷延鋼板
や表面処理鋼板に比べて加工性に劣るという欠点があっ
た。またAl合金材は材料自身が柔らかいため傷つき易
くなるという欠点があった。更に上記分野においては塗
装が施されることも多いが、Al合金材の表面には安定
な酸化物皮膜が形成されているため、塗装前処理として
行なわれるりん酸塩処理等の化成処理性が悪く、その結
果塗装後耐食性が悪くなるという問題がある。
で代表する)は軽量でしかも優れた耐食性及び意匠性を
有することから、家庭電気製品や建材等の幅広い分野で
用いられてきた。また最近では自動車分野等においても
公害防止、省資源の観点から車体の軽量化ひいては燃費
向上を目的としてAl合金材が利用される機会が増えて
いる。この様な分野においてはプレス成形等の成形加工
が施されることが多いが、Al合金材は従来の冷延鋼板
や表面処理鋼板に比べて加工性に劣るという欠点があっ
た。またAl合金材は材料自身が柔らかいため傷つき易
くなるという欠点があった。更に上記分野においては塗
装が施されることも多いが、Al合金材の表面には安定
な酸化物皮膜が形成されているため、塗装前処理として
行なわれるりん酸塩処理等の化成処理性が悪く、その結
果塗装後耐食性が悪くなるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みてなされたものであって、加工性や耐傷つき性、塗
装後耐食性等に優れた表面処理Al合金材を提供しよう
とするものである。
鑑みてなされたものであって、加工性や耐傷つき性、塗
装後耐食性等に優れた表面処理Al合金材を提供しよう
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る表面処理AlまたはAl合金材の
構成は、AlまたはAl合金材の表面に、ビッカース硬
さ:100以上の硬質層が形成されたものであるところ
に要旨を有するものである。また、該硬質層が硬質めっ
き材であってそのめっき付着量が1〜50g/m2であり、
且つ該めっき硬さ(H)及びめっき付着量(W)が下記
式を満足する場合は摺動性が良好となり、加工性が向上
する。 0.125H + W ≦ 100
のできた本発明に係る表面処理AlまたはAl合金材の
構成は、AlまたはAl合金材の表面に、ビッカース硬
さ:100以上の硬質層が形成されたものであるところ
に要旨を有するものである。また、該硬質層が硬質めっ
き材であってそのめっき付着量が1〜50g/m2であり、
且つ該めっき硬さ(H)及びめっき付着量(W)が下記
式を満足する場合は摺動性が良好となり、加工性が向上
する。 0.125H + W ≦ 100
【0005】さらに上記硬質めっき層とAl合金基材と
の中間層としてビッカース硬さが200以上のアルマイ
ト皮膜を形成すると摺動性が更に改善され、加工性を一
段と優れたものにすることができる。更にまた該硬質め
っき材がFe系或いはZn系めっき材である場合は、り
ん酸塩などによる化成処理性が改善され、塗装後耐食性
を一段と良好なものとすることができる。
の中間層としてビッカース硬さが200以上のアルマイ
ト皮膜を形成すると摺動性が更に改善され、加工性を一
段と優れたものにすることができる。更にまた該硬質め
っき材がFe系或いはZn系めっき材である場合は、り
ん酸塩などによる化成処理性が改善され、塗装後耐食性
を一段と良好なものとすることができる。
【0006】また中間層として形成されるアルマイト皮
膜の厚さを0.05μm以上とし、その上にビッカース
硬さが100以上で且つめっき付着量が0.5〜10g/
m2のZn系もしくはFe系めっき層を形成したものは、
プレス成形性、摺動性及び塗装耐食性の非常に優れたも
のとなる。
膜の厚さを0.05μm以上とし、その上にビッカース
硬さが100以上で且つめっき付着量が0.5〜10g/
m2のZn系もしくはFe系めっき層を形成したものは、
プレス成形性、摺動性及び塗装耐食性の非常に優れたも
のとなる。
【0007】
【作用】本発明者らは、Al合金板のプレス成形性を改
善すべく種々の観点から検討を行った。その結果、無処
理のAl合金は、高面圧下における表面潤滑性が悪く、
これがプレス成形性を悪化させる最大の原因になってい
ることを知った。従って、優れたプレス成形性を確保す
るには、Al合金材の表面に、高面圧下においても優れ
た潤滑性を発揮させる様な何らかの処理を施す必要があ
る。
善すべく種々の観点から検討を行った。その結果、無処
理のAl合金は、高面圧下における表面潤滑性が悪く、
これがプレス成形性を悪化させる最大の原因になってい
ることを知った。従って、優れたプレス成形性を確保す
るには、Al合金材の表面に、高面圧下においても優れ
た潤滑性を発揮させる様な何らかの処理を施す必要があ
る。
【0008】冷延鋼鈑のプレス成形性に関しては様々の
研究が行われており、例えばFe−Zn系合金めっきを
施すことによりプレス成形性を改善し得ることが確認さ
れている。そこでAl合金材についてもめっき処理を行
うことによってプレス成形性を改善し得るのではないか
と考え、種々のめっき材について検討を行った。
研究が行われており、例えばFe−Zn系合金めっきを
施すことによりプレス成形性を改善し得ることが確認さ
れている。そこでAl合金材についてもめっき処理を行
うことによってプレス成形性を改善し得るのではないか
と考え、種々のめっき材について検討を行った。
【0009】その結果、Al合金材の表面に硬質層を形
成してやれば、プレス成形性を大幅に改善し得ることが
分かった。これは、表面に形成された硬質層によって高
面圧下での摺動特性が向上し、被加工面と工具との滑り
が良くなるためと考えられる。そしてこうした表面潤滑
性を有効に発揮させるには、硬質層のビッカース硬さ
(Hv)を100以上、より好ましくは150以上にす
べきであることが確認された。またこの様な硬質層を有
するAl合金材は耐傷つき性においても優れていた。
成してやれば、プレス成形性を大幅に改善し得ることが
分かった。これは、表面に形成された硬質層によって高
面圧下での摺動特性が向上し、被加工面と工具との滑り
が良くなるためと考えられる。そしてこうした表面潤滑
性を有効に発揮させるには、硬質層のビッカース硬さ
(Hv)を100以上、より好ましくは150以上にす
べきであることが確認された。またこの様な硬質層を有
するAl合金材は耐傷つき性においても優れていた。
【0010】ビッカース硬さが100以上である硬質層
としては、例えばNi系やZn系、Fe系、Cu系、C
r系合金めっき等が挙げられ、更にこれら金属めっき層
中にPやB等を含有させてものや、SiO2 ,Al2 O
3 ,Al(OH)3 等のセラミックスを含有させたもの
を利用することもできる。即ち、例えばNi−P系の合
金めっき材は通常ビッカース硬さが150以上を示し、
めっき後の熱処理条件などによっては300以上の硬度
を示すものとなり、且つめっき条件によっては、表面滑
性の指針となる見掛け摩擦係数(μ;動摩擦係数)を
0.1以下の小さなものとすることができ、プレス成形
性を著しく改善することが可能となる。また後記実験例
5でも明らかにする様に、AlまたはAl合金基材の表
面にN,C,Si,Oなどをイオン注入することによっ
て硬質の硬化層を形成すれば、特に摺動性を改善するこ
とができ、本発明においてはこの様な表面硬化層も硬質
層の一態様として包含される。
としては、例えばNi系やZn系、Fe系、Cu系、C
r系合金めっき等が挙げられ、更にこれら金属めっき層
中にPやB等を含有させてものや、SiO2 ,Al2 O
3 ,Al(OH)3 等のセラミックスを含有させたもの
を利用することもできる。即ち、例えばNi−P系の合
金めっき材は通常ビッカース硬さが150以上を示し、
めっき後の熱処理条件などによっては300以上の硬度
を示すものとなり、且つめっき条件によっては、表面滑
性の指針となる見掛け摩擦係数(μ;動摩擦係数)を
0.1以下の小さなものとすることができ、プレス成形
性を著しく改善することが可能となる。また後記実験例
5でも明らかにする様に、AlまたはAl合金基材の表
面にN,C,Si,Oなどをイオン注入することによっ
て硬質の硬化層を形成すれば、特に摺動性を改善するこ
とができ、本発明においてはこの様な表面硬化層も硬質
層の一態様として包含される。
【0011】尚、めっきによって硬質層を形成する場合
のめっき付着量は1〜50g/m2であることが好ましい。
めっき付着量が少な過ぎる場合は充分な効果が得られ
ず、また多過ぎる場合は加工時にめっきが剥離し易くな
る。更に上記めっき硬さ(H)とめっき付着量(W)が
下記式を満足することが好ましい。下記式を満足しない
場合にはAl合金基材とめっき層の硬さが余りに違い過
ぎるため、加工時にめっき層に割れを生じ、めっき剥離
の原因となり易い。 0.125H + W ≦ 100
のめっき付着量は1〜50g/m2であることが好ましい。
めっき付着量が少な過ぎる場合は充分な効果が得られ
ず、また多過ぎる場合は加工時にめっきが剥離し易くな
る。更に上記めっき硬さ(H)とめっき付着量(W)が
下記式を満足することが好ましい。下記式を満足しない
場合にはAl合金基材とめっき層の硬さが余りに違い過
ぎるため、加工時にめっき層に割れを生じ、めっき剥離
の原因となり易い。 0.125H + W ≦ 100
【0012】また上記めっき層とAl合金基材との中間
層としてビッカース硬さが200以上のアルマイト皮膜
を形成すると摺動性は更に向上し、加工性を一段と改善
することができる。その際、アルマイト皮膜の表面に形
成される上記硬質めっき材によるプレス成形性改善効果
を有効に発揮させるためには、Al合金材の表面積の1
%以上を該硬質めっき材によって被覆することが好まし
い。被覆面積が少な過ぎると表面潤滑効果が有効に発揮
されず、本発明の目的が達成できなくなる。より好まし
い表面被覆率は10%以上である。加工性が改善される
理由は、アルマイト皮膜が施されることにより基材とめ
っき層の密着性が向上し耐剥離性が高まるばかりでな
く、アルマイト皮膜自身の硬さとも相まって優れたプレ
ス成形性が得られるためであると考えられる。
層としてビッカース硬さが200以上のアルマイト皮膜
を形成すると摺動性は更に向上し、加工性を一段と改善
することができる。その際、アルマイト皮膜の表面に形
成される上記硬質めっき材によるプレス成形性改善効果
を有効に発揮させるためには、Al合金材の表面積の1
%以上を該硬質めっき材によって被覆することが好まし
い。被覆面積が少な過ぎると表面潤滑効果が有効に発揮
されず、本発明の目的が達成できなくなる。より好まし
い表面被覆率は10%以上である。加工性が改善される
理由は、アルマイト皮膜が施されることにより基材とめ
っき層の密着性が向上し耐剥離性が高まるばかりでな
く、アルマイト皮膜自身の硬さとも相まって優れたプレ
ス成形性が得られるためであると考えられる。
【0013】また中間層として形成されるアルマイト皮
膜は、Al合金基材と硬質めっき層の間で形成されるこ
とのある局部電池のバリア層としても作用し、塗装後耐
食性(耐塗膜ふくれ性や耐穴あき性など)を高める効果
も発揮する。こうした効果はアルマイト層の厚さを0.
05μm以上とすることによって有効に発揮される。該
アルマイト層の厚さの上限は特に存在しないが、あまり
厚くなり過ぎるとプレス成形性に悪影響が現われてくる
ので、好ましくは5μm以下に抑えることが望まれる。
膜は、Al合金基材と硬質めっき層の間で形成されるこ
とのある局部電池のバリア層としても作用し、塗装後耐
食性(耐塗膜ふくれ性や耐穴あき性など)を高める効果
も発揮する。こうした効果はアルマイト層の厚さを0.
05μm以上とすることによって有効に発揮される。該
アルマイト層の厚さの上限は特に存在しないが、あまり
厚くなり過ぎるとプレス成形性に悪影響が現われてくる
ので、好ましくは5μm以下に抑えることが望まれる。
【0014】そして該アルマイト皮膜の上に、ビッカー
ス硬さが100以上で且つめっき付着量が0.5〜10
g/m2のZn系もしくはFe系めっき[以下、Zn(また
はFe)系めっき、ということがある]層を形成する
と、表面の摺動性や耐傷つき性が改善されると共に化成
処理性も高められ、プレス成形性や塗装後耐食性におい
ても非常に優れた表面処理Al合金材を得ることができ
る。
ス硬さが100以上で且つめっき付着量が0.5〜10
g/m2のZn系もしくはFe系めっき[以下、Zn(また
はFe)系めっき、ということがある]層を形成する
と、表面の摺動性や耐傷つき性が改善されると共に化成
処理性も高められ、プレス成形性や塗装後耐食性におい
ても非常に優れた表面処理Al合金材を得ることができ
る。
【0015】ここでアルマイト皮膜上に形成されるZn
(またはFe)系めっき層のめっき付着量を上記範囲に
定めたのは、0.5g/m2未満では十分な摺動性が得られ
ないためプレス成形性が不足気味となるばかりでなく、
りん酸塩などによる化成処理性も悪くなって塗装後耐食
性も不十分になる傾向があり、一方10g/m2を超える場
合は、りん酸塩処理等の後も該めっき材の一部が金属の
まま(即ちりん酸塩系化成皮膜になり切れないで)残存
し、塗装後耐食性がかえって悪くなるからである。
(またはFe)系めっき層のめっき付着量を上記範囲に
定めたのは、0.5g/m2未満では十分な摺動性が得られ
ないためプレス成形性が不足気味となるばかりでなく、
りん酸塩などによる化成処理性も悪くなって塗装後耐食
性も不十分になる傾向があり、一方10g/m2を超える場
合は、りん酸塩処理等の後も該めっき材の一部が金属の
まま(即ちりん酸塩系化成皮膜になり切れないで)残存
し、塗装後耐食性がかえって悪くなるからである。
【0016】尚ここで用いられるZn系めっき材として
は、純Znの他、Fe,Ni,Cr,Mn,Mg等の1
種以上を含むZn系合金めっき材が挙げられ、またFe
系めっき材としては、純Feの他、Ni,Cr,Mn,
Mg,Zn,P,B,C等の1種以上を含むFe系合金
めっき材が挙げられる。
は、純Znの他、Fe,Ni,Cr,Mn,Mg等の1
種以上を含むZn系合金めっき材が挙げられ、またFe
系めっき材としては、純Feの他、Ni,Cr,Mn,
Mg,Zn,P,B,C等の1種以上を含むFe系合金
めっき材が挙げられる。
【0017】上記の様に硬質めっき層がZn(またはF
e)系めっきである場合は、それ自身がりん酸塩等に対
して優れた化成処理性を有しているので、塗装後耐食性
についても良好な結果を得ることができる。しかしなが
ら硬質めっき層がZn(またはFe)系めっき以外のも
のである場合は、化成処理性に問題が残ってくる。そこ
でこのような場合は、Al合金材の表面に先ずZn(ま
たはFe)系めっき層を形成しておき、その上に上記の
Ni系合金等の硬質めっき層を被覆してやれば、プレス
成形性と共に化成処理性も大幅に改善され、塗装後耐食
性も著しく改善することができる。そしてこうしたZn
(またはFe)系めっき層による化成処理性改善効果を
有効に発揮させるには、その付着量を 0.1g/m2以上、よ
り好ましくは 0.5g/m2以上とすべきであるが、多過ぎる
とプレス成形性に悪影響が表れてくるので5g/m2程度以
下に抑えることが望まれる。尚特にZn系めっきを施し
た場合には、上記化成処理性の改善以外に加工時のパウ
ダリングを抑制する効果を得ることもできる。
e)系めっきである場合は、それ自身がりん酸塩等に対
して優れた化成処理性を有しているので、塗装後耐食性
についても良好な結果を得ることができる。しかしなが
ら硬質めっき層がZn(またはFe)系めっき以外のも
のである場合は、化成処理性に問題が残ってくる。そこ
でこのような場合は、Al合金材の表面に先ずZn(ま
たはFe)系めっき層を形成しておき、その上に上記の
Ni系合金等の硬質めっき層を被覆してやれば、プレス
成形性と共に化成処理性も大幅に改善され、塗装後耐食
性も著しく改善することができる。そしてこうしたZn
(またはFe)系めっき層による化成処理性改善効果を
有効に発揮させるには、その付着量を 0.1g/m2以上、よ
り好ましくは 0.5g/m2以上とすべきであるが、多過ぎる
とプレス成形性に悪影響が表れてくるので5g/m2程度以
下に抑えることが望まれる。尚特にZn系めっきを施し
た場合には、上記化成処理性の改善以外に加工時のパウ
ダリングを抑制する効果を得ることもできる。
【0018】また上記Zn(またはFe)系めっき層の
形成による化成処理性改善効果は、Zn(またはFe)
系めっき層が表面に露出することによって有効に発揮さ
れるものであるから、その上に被覆される硬質めっき材
の被覆率は該Zn(またはFe)系めっき層の表面積の
80%程度以下に抑えるべきである。尚硬質めっき層の
効果を得るためには1%以上被覆する必要がある。こう
した条件を設定すれば、硬質めっき層がどの様な種類の
ものであっても優れた化成処理性を得ることができる。
もちろんAl合金表面に形成されるビッカース硬度10
0以上の硬質めっき層がZn(またはFe)系合金であ
る場合は、それ自身が優れた化成処理性を有しているの
で、化成処理性改善の為の下地めっき層は全く不要であ
り、該硬質めっき層を形成するだけでプレス成型性と塗
装後耐食性の両方を十分に高めることができる。
形成による化成処理性改善効果は、Zn(またはFe)
系めっき層が表面に露出することによって有効に発揮さ
れるものであるから、その上に被覆される硬質めっき材
の被覆率は該Zn(またはFe)系めっき層の表面積の
80%程度以下に抑えるべきである。尚硬質めっき層の
効果を得るためには1%以上被覆する必要がある。こう
した条件を設定すれば、硬質めっき層がどの様な種類の
ものであっても優れた化成処理性を得ることができる。
もちろんAl合金表面に形成されるビッカース硬度10
0以上の硬質めっき層がZn(またはFe)系合金であ
る場合は、それ自身が優れた化成処理性を有しているの
で、化成処理性改善の為の下地めっき層は全く不要であ
り、該硬質めっき層を形成するだけでプレス成型性と塗
装後耐食性の両方を十分に高めることができる。
【0019】本発明に係る表面処理Al合金材の製造方
法ついては特に制限されるものではなく、例えば置換め
っき法、化学めっき法、電気めっき法あるいはこれらを
適宜組み合わせて実施する方法などを採用することがで
きる。置換めっき法としてはジンケート処理法等、化学
めっき法では無電解Ni−Pめっき法等、電気めっき法
では各種イオンを含む溶液中での電解法等を、夫々所定
の条件で実施することにより目的にかなうめっき層を形
成することができる。また上記めっき処理の後、加熱処
理などを行ってめっき層を更に硬質化したり、イオン注
入によって硬質層を形成することが有効であることは先
に述べた通りである。
法ついては特に制限されるものではなく、例えば置換め
っき法、化学めっき法、電気めっき法あるいはこれらを
適宜組み合わせて実施する方法などを採用することがで
きる。置換めっき法としてはジンケート処理法等、化学
めっき法では無電解Ni−Pめっき法等、電気めっき法
では各種イオンを含む溶液中での電解法等を、夫々所定
の条件で実施することにより目的にかなうめっき層を形
成することができる。また上記めっき処理の後、加熱処
理などを行ってめっき層を更に硬質化したり、イオン注
入によって硬質層を形成することが有効であることは先
に述べた通りである。
【0020】尚本発明が適用されるAl合金基材として
は、銅、マンガン、珪素、マグネシウム、亜鉛、クロ
ム、ニッケル等の1種もしくは2種以上を合金成分とし
て含む様々のAl合金が包含され、その形状も、最も一
般的な板状物のほか、棒状物、線状物、管状物等、用
途、目的に応じて種々の形状のものに適用することが可
能である。
は、銅、マンガン、珪素、マグネシウム、亜鉛、クロ
ム、ニッケル等の1種もしくは2種以上を合金成分とし
て含む様々のAl合金が包含され、その形状も、最も一
般的な板状物のほか、棒状物、線状物、管状物等、用
途、目的に応じて種々の形状のものに適用することが可
能である。
【0021】以下実施例によって本発明を更に詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。
【0022】
【実施例】実験例1 Al板およびAl−Mg系、Al−Si系のAl合金板
に、置換めっき法、化学めっき法、電気めっき法によっ
てめっきを施たものについて、耐傷つき性、プレス成形
性及び耐めっき剥離性を下記の方法で調べた。結果を表
1に示す。 [評価方法] 耐傷つき性:バウデン試験によるめっき表面の傷付き状
況をSEM観察により評価した。 〇:優 △:良 ×:劣 プレス成形性:エリクセン円筒深絞り試験による最大絞
り加重によって評価した。 〇:優…冷延鋼鈑以下 △:良…冷延鋼鈑と同等 ×:劣…冷延鋼鈑以上 耐めっき剥離性:ドロービード試験後のめっき剥離量で
評価した。 〇:優…0.2g/m2以下 △:良…0.2〜0.5g/m2 ×:劣…0.5g/m2以上
に、置換めっき法、化学めっき法、電気めっき法によっ
てめっきを施たものについて、耐傷つき性、プレス成形
性及び耐めっき剥離性を下記の方法で調べた。結果を表
1に示す。 [評価方法] 耐傷つき性:バウデン試験によるめっき表面の傷付き状
況をSEM観察により評価した。 〇:優 △:良 ×:劣 プレス成形性:エリクセン円筒深絞り試験による最大絞
り加重によって評価した。 〇:優…冷延鋼鈑以下 △:良…冷延鋼鈑と同等 ×:劣…冷延鋼鈑以上 耐めっき剥離性:ドロービード試験後のめっき剥離量で
評価した。 〇:優…0.2g/m2以下 △:良…0.2〜0.5g/m2 ×:劣…0.5g/m2以上
【0023】
【表1】
【0024】表1に示される様に実施例 No.1〜6は耐
傷付き性、プレス成形性及び耐めっき剥離性のいずれも
が優れていた。一方参考例である No.7はめっき付着量
が多過ぎるため、また No.8及び9は前記0.125H+Wの値
が100を超えているので耐傷付き性及びプレス成形性
は優れているが耐めっき剥離性に劣っている。また No.
10はめっき付着量が少な過ぎるため、また比較例である
No.11はめっき硬さが低過ぎるため充分な耐傷つき性、
プレス成形性及び耐めっき剥離性が得られなかった。
傷付き性、プレス成形性及び耐めっき剥離性のいずれも
が優れていた。一方参考例である No.7はめっき付着量
が多過ぎるため、また No.8及び9は前記0.125H+Wの値
が100を超えているので耐傷付き性及びプレス成形性
は優れているが耐めっき剥離性に劣っている。また No.
10はめっき付着量が少な過ぎるため、また比較例である
No.11はめっき硬さが低過ぎるため充分な耐傷つき性、
プレス成形性及び耐めっき剥離性が得られなかった。
【0025】実験例2 Al板およびAl−Mg系、Al−Si系のAl合金板
に、陽極酸化を施し、アルマイト皮膜を形成した後、置
換めっき法、化学めっき法、電気めっき法によってめっ
きを施したものについて、耐傷つき性、プレス成形性及
び塗装後耐食性を下記の方法で調べた。結果を表2に示
す。 [評価方法] 耐傷つき性:実験例1と同様の方法で実施した。 プレス成形性:実験例1と同様の方法で実施した。 摺動性:HEIDON−14D型表面性測定器にて測定
した動摩擦係数により評価した。 〇:優…0.3以下 △:良…0.5以下 ×:劣…0.5より大
に、陽極酸化を施し、アルマイト皮膜を形成した後、置
換めっき法、化学めっき法、電気めっき法によってめっ
きを施したものについて、耐傷つき性、プレス成形性及
び塗装後耐食性を下記の方法で調べた。結果を表2に示
す。 [評価方法] 耐傷つき性:実験例1と同様の方法で実施した。 プレス成形性:実験例1と同様の方法で実施した。 摺動性:HEIDON−14D型表面性測定器にて測定
した動摩擦係数により評価した。 〇:優…0.3以下 △:良…0.5以下 ×:劣…0.5より大
【0026】
【表2】
【0027】表2に示される様に中間層としてビッカー
ス硬さが200以上のアルマイト皮膜を有するNo.12 〜
15は耐傷つき性、プレス成形性及び摺動性のいずれもが
優れていたが、参考例である No.16はアルマイト皮膜の
硬さが低いため摺動性が充分でなく、また No.17はめっ
き層の被覆率が低いため、 No.18はめっき層の硬さが低
いため夫々耐傷つき性、プレス成形性及び摺動性におい
て劣っていた。
ス硬さが200以上のアルマイト皮膜を有するNo.12 〜
15は耐傷つき性、プレス成形性及び摺動性のいずれもが
優れていたが、参考例である No.16はアルマイト皮膜の
硬さが低いため摺動性が充分でなく、また No.17はめっ
き層の被覆率が低いため、 No.18はめっき層の硬さが低
いため夫々耐傷つき性、プレス成形性及び摺動性におい
て劣っていた。
【0028】実験例3 Al板およびAl−Mg系、Al−Si系のAl合金板
に、置換めっき法、化学めっき法、電気めっき法によっ
てめっきを施し、更に熱処理を加えたものについて、耐
傷つき性、プレス成形性及び塗装後耐食性を下記の方法
で調べた。結果を表3に示す。 [評価方法] 耐傷つき性:実験例1と同様の方法で実施した。 プレス成形性:実験例1と同様の方法で実施した。 塗装後耐食性:電着塗装およびスプレー塗装を施したサ
ンプルに、塗膜表面からクロスカットを入れた後、下記
の腐食サイクル試験を8サイクル実施し、クロスカット
部からの塗膜ふくれ幅によって評価した。 〇:優 △:良 ×:劣 腐食サイクル試験(1サイクル) 塩水噴霧試験(35℃×24h) ↓ 湿潤試験(80%RH,50℃×120h) ↓ 室内放置(RT×24h)
に、置換めっき法、化学めっき法、電気めっき法によっ
てめっきを施し、更に熱処理を加えたものについて、耐
傷つき性、プレス成形性及び塗装後耐食性を下記の方法
で調べた。結果を表3に示す。 [評価方法] 耐傷つき性:実験例1と同様の方法で実施した。 プレス成形性:実験例1と同様の方法で実施した。 塗装後耐食性:電着塗装およびスプレー塗装を施したサ
ンプルに、塗膜表面からクロスカットを入れた後、下記
の腐食サイクル試験を8サイクル実施し、クロスカット
部からの塗膜ふくれ幅によって評価した。 〇:優 △:良 ×:劣 腐食サイクル試験(1サイクル) 塩水噴霧試験(35℃×24h) ↓ 湿潤試験(80%RH,50℃×120h) ↓ 室内放置(RT×24h)
【0029】
【表3】
【0030】表3に示される様に上層のめっき層にZn
及びFeを含有するもの、及び含有しないものであって
も下層めっきとしてZn及びFeを含有するめっきが施
されたもの(No.19〜27) は、耐傷つき性、プレス成形性
及び塗装後耐食性において優れていたが、上層のめっき
層にZn及びFeを含有しないもので下層めっきとして
Zn及びFeを含有するめっきが施されていないもの(N
o.28) は耐傷付き性及びプレス成形性は優れていたが塗
装後耐食性が充分でなく、上層めっき層の被覆率が低い
もの(No.29〜31) 、上層めっき層の硬さが低過ぎるもの
(No.32〜34) 及びめっきの施されていないもの(No.35)
は耐傷つき性、プレス成形性及び塗装後耐食性に劣って
いた。
及びFeを含有するもの、及び含有しないものであって
も下層めっきとしてZn及びFeを含有するめっきが施
されたもの(No.19〜27) は、耐傷つき性、プレス成形性
及び塗装後耐食性において優れていたが、上層のめっき
層にZn及びFeを含有しないもので下層めっきとして
Zn及びFeを含有するめっきが施されていないもの(N
o.28) は耐傷付き性及びプレス成形性は優れていたが塗
装後耐食性が充分でなく、上層めっき層の被覆率が低い
もの(No.29〜31) 、上層めっき層の硬さが低過ぎるもの
(No.32〜34) 及びめっきの施されていないもの(No.35)
は耐傷つき性、プレス成形性及び塗装後耐食性に劣って
いた。
【0031】実験例4 表面清浄化処理を施したAl板、Al−Mg系合金板ま
たはAl−Mg−Si系合金板に、各種アルマイト皮膜
形成処理を行った後、その上に電気めっき法あるいは化
学めっき法によって種々の組成及び付着量のめっきを形
成したものについて、プレス成形性、摺動性、耐傷つき
性、耐塗膜ふくれ性、耐穴あき性を調べ、表4,5に示
す結果を得た。 [評価方法] プレス成形性:実験例1と同じ方法で行った。 摺動性:実験例1と同じ方法で行った。 耐傷つき性:鉛筆硬度試験による表面硬さで評価した。 ○ 表面硬さ6H以上 △ 表面硬さ5H × 表面硬さ4H以下 耐塗膜ふくれ性:電着塗装およびスプレー塗装を施した
サンプルに、塗膜表面からクロスカットを入れた後、下
記の腐食サイクル試験を8サイクル実施し、クロスカッ
ト部からの塗膜ふくれ幅によって評価した。 〇:ふくれ幅2mm以下 △:ふくれ幅2〜5mm ×:ふくれ幅5mm以上 腐食サイクル試験(1サイクル) 塩水噴霧試験(35℃×24h) ↓ 湿潤試験(80%RH,50℃×120h) ↓ 室内放置(RT×24h)
たはAl−Mg−Si系合金板に、各種アルマイト皮膜
形成処理を行った後、その上に電気めっき法あるいは化
学めっき法によって種々の組成及び付着量のめっきを形
成したものについて、プレス成形性、摺動性、耐傷つき
性、耐塗膜ふくれ性、耐穴あき性を調べ、表4,5に示
す結果を得た。 [評価方法] プレス成形性:実験例1と同じ方法で行った。 摺動性:実験例1と同じ方法で行った。 耐傷つき性:鉛筆硬度試験による表面硬さで評価した。 ○ 表面硬さ6H以上 △ 表面硬さ5H × 表面硬さ4H以下 耐塗膜ふくれ性:電着塗装およびスプレー塗装を施した
サンプルに、塗膜表面からクロスカットを入れた後、下
記の腐食サイクル試験を8サイクル実施し、クロスカッ
ト部からの塗膜ふくれ幅によって評価した。 〇:ふくれ幅2mm以下 △:ふくれ幅2〜5mm ×:ふくれ幅5mm以上 腐食サイクル試験(1サイクル) 塩水噴霧試験(35℃×24h) ↓ 湿潤試験(80%RH,50℃×120h) ↓ 室内放置(RT×24h)
【0032】耐穴あき性:電着塗装およびスプレー塗装
を施したサンプルに、塗膜表面からクロスカットを入れ
た後、下記の腐食サイクル試験を100サイクル実施
し、クロスカット部の穴あき深さで評価した。 〇:穴あき深さ0.1mm以下 △:穴あき深さ0.1〜0.3mm ×:穴あき深さ0.3mm以上 腐食サイクル試験(1サイクル) 塩水噴霧試験(35℃×2h) ↓ 乾燥(60%RH×4h) ↓ 湿潤(50℃,95%RH×2h)
を施したサンプルに、塗膜表面からクロスカットを入れ
た後、下記の腐食サイクル試験を100サイクル実施
し、クロスカット部の穴あき深さで評価した。 〇:穴あき深さ0.1mm以下 △:穴あき深さ0.1〜0.3mm ×:穴あき深さ0.3mm以上 腐食サイクル試験(1サイクル) 塩水噴霧試験(35℃×2h) ↓ 乾燥(60%RH×4h) ↓ 湿潤(50℃,95%RH×2h)
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】表4,5からも明らかである様に、本発明
の規定要件を満たす実施例の表面処理Al合金板は、プ
レス成形性、摺動性、耐傷つき性、塗装後耐食性(耐塗
膜ふくれ性、耐穴あき性)のいずれも優れたものである
のに対し、アルマイト皮膜の厚さ、Zn(またはFe)
系めっき層の硬さ或はめっき付着量が適正範囲を外れる
比較例の表面処理Al合金板は、要求性能のいずれかが
不十分である。
の規定要件を満たす実施例の表面処理Al合金板は、プ
レス成形性、摺動性、耐傷つき性、塗装後耐食性(耐塗
膜ふくれ性、耐穴あき性)のいずれも優れたものである
のに対し、アルマイト皮膜の厚さ、Zn(またはFe)
系めっき層の硬さ或はめっき付着量が適正範囲を外れる
比較例の表面処理Al合金板は、要求性能のいずれかが
不十分である。
【0036】実験例5 表面清浄化処理を施したAl合金板(5000系)をア
ルカリ洗浄した後、電気めっき又は化学めっきを施し、
或いは陽極酸化処理によってアルマイト皮膜を形成し、
もしくはイオン注入によって表層に硬質皮膜を形成し、
夫々について前記実験例で採用したのと同じ方法で動摩
擦係数および摺動性を調べた。結果を表6および図1に
示す。
ルカリ洗浄した後、電気めっき又は化学めっきを施し、
或いは陽極酸化処理によってアルマイト皮膜を形成し、
もしくはイオン注入によって表層に硬質皮膜を形成し、
夫々について前記実験例で採用したのと同じ方法で動摩
擦係数および摺動性を調べた。結果を表6および図1に
示す。
【0037】
【表6】
【0038】表6からも明らかである様に、本発明によ
れば、AlまたはAl合金基材表面にビッカース硬さが
100以上である硬質層を形成することによって、摺動
性を著しく改善することができる。そして本発明による
摺動性改善効果は、要するに表面のビッカース硬さを1
00以上にすれば達成し得るものであって、硬質化手段
としては、硬質めっき層の形成、或いはアルマイト皮膜
の形成の他、イオン注入により表面を硬質化したものも
同様の摺動性改善効果が得られることが分かる。
れば、AlまたはAl合金基材表面にビッカース硬さが
100以上である硬質層を形成することによって、摺動
性を著しく改善することができる。そして本発明による
摺動性改善効果は、要するに表面のビッカース硬さを1
00以上にすれば達成し得るものであって、硬質化手段
としては、硬質めっき層の形成、或いはアルマイト皮膜
の形成の他、イオン注入により表面を硬質化したものも
同様の摺動性改善効果が得られることが分かる。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、A
lまたはAl合金材の表面をビッカース硬さが100以
上の硬質めっきで被覆することにより、摺動性や耐傷つ
き性を高めることができると同時に、表面潤滑性を改善
してプレス成形性を高めることができる。更にアルマイ
ト皮膜を中間層として形成してから上記硬質めっき層あ
るいはZn(またはFe)系めっき層を施すことによっ
て、加工性や塗装後耐食性を一段と高めることができ
る。また、Zn(またはFe)系めっき層で被覆した後
そのうえに上記と同じ硬質めっきを施せば、化成処理性
を更に改善して塗装性及び塗装後耐食性を大幅に改善す
ることができ、AlまたはAl合金材に指摘される種々
の欠点を一挙に解消することができる。
lまたはAl合金材の表面をビッカース硬さが100以
上の硬質めっきで被覆することにより、摺動性や耐傷つ
き性を高めることができると同時に、表面潤滑性を改善
してプレス成形性を高めることができる。更にアルマイ
ト皮膜を中間層として形成してから上記硬質めっき層あ
るいはZn(またはFe)系めっき層を施すことによっ
て、加工性や塗装後耐食性を一段と高めることができ
る。また、Zn(またはFe)系めっき層で被覆した後
そのうえに上記と同じ硬質めっきを施せば、化成処理性
を更に改善して塗装性及び塗装後耐食性を大幅に改善す
ることができ、AlまたはAl合金材に指摘される種々
の欠点を一挙に解消することができる。
【図1】表面処理されたAl合金板表面のビッカース硬
さと動摩擦係数の関係を示すグラフである。
さと動摩擦係数の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武江 なぎさ 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所西神総合研究地区内 (72)発明者 植田 利樹 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所西神総合研究地区内
Claims (6)
- 【請求項1】 AlまたはAl合金基材の表面に、ビッ
カース硬さ:100以上の硬質層が形成されたものであ
ることを特徴とするプレス成形性に優れた表面処理Al
またはAl合金材。 - 【請求項2】 硬質層がZn系又はFe系合金めっきで
ある請求項1記載のプレス成形性に優れた表面処理Al
またはAl合金材。 - 【請求項3】 AlまたはAl合金基材の表面が、ビッ
カース硬さ:100以上、めっき付着量:1〜50g/m2
の硬質めっき材により被覆されてなり、めっき硬さ
(H)とめっき付着量(W)が下記式の関係を満たすも
のであることを特徴とするプレス成形性に優れた表面処
理AlまたはAl合金材。 0.125H + W ≦ 100 - 【請求項4】 AlまたはAl合金基材の表面が、ビッ
カース硬さ:200以上のアルマイト皮膜で被覆され、
更にその表面がビッカース硬さ:100以上の硬質めっ
き材で1%以上被覆されたものであることを特徴とする
プレス成形性及び摺動性に優れた表面処理AlまたはA
l合金材。 - 【請求項5】 AlまたはAl合金基材の表面が、厚
さ:0.05μm以上のアルマイト皮膜で被覆され、更
にその表面が、ビッカース硬さ:100以上で且つめっ
き付着量:0.5〜10g/m2のZn系もしくはFe系め
っき材で被覆されたものであることを特徴とするプレス
成形性、摺動性および塗装後耐食性に優れた表面処理A
lまたはAl合金材。 - 【請求項6】 AlまたはAl合金基材の表面がFe系
もしくはZn系めっき材により被覆され、更にその表面
がビッカース硬さ:100以上の硬質めっき材で1%以
上被覆されたものであることを特徴とするプレス成形性
及び塗装後耐食性に優れた表面処理AlまたはAl合金
材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11397892A JPH05125586A (ja) | 1991-04-10 | 1992-04-06 | プレス成形性に優れた表面処理AlまたはAl合金材 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10664591 | 1991-04-10 | ||
JP3-106645 | 1991-08-14 | ||
JP22947991 | 1991-08-14 | ||
JP3-229479 | 1991-08-14 | ||
JP11397892A JPH05125586A (ja) | 1991-04-10 | 1992-04-06 | プレス成形性に優れた表面処理AlまたはAl合金材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05125586A true JPH05125586A (ja) | 1993-05-21 |
Family
ID=27310792
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11397892A Withdrawn JPH05125586A (ja) | 1991-04-10 | 1992-04-06 | プレス成形性に優れた表面処理AlまたはAl合金材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05125586A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001241474A (ja) * | 2000-02-29 | 2001-09-07 | Aisin Seiki Co Ltd | ホイールシリンダ |
CN113811107A (zh) * | 2020-06-11 | 2021-12-17 | 维达力实业(赤壁)有限公司 | 壳体的制备方法、壳体以及电子产品 |
-
1992
- 1992-04-06 JP JP11397892A patent/JPH05125586A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001241474A (ja) * | 2000-02-29 | 2001-09-07 | Aisin Seiki Co Ltd | ホイールシリンダ |
JP4505928B2 (ja) * | 2000-02-29 | 2010-07-21 | 株式会社アドヴィックス | ホイールシリンダ |
CN113811107A (zh) * | 2020-06-11 | 2021-12-17 | 维达力实业(赤壁)有限公司 | 壳体的制备方法、壳体以及电子产品 |
CN113811107B (zh) * | 2020-06-11 | 2023-05-26 | 维达力科技股份有限公司 | 壳体的制备方法、壳体以及电子产品 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990608 |