JPH05111387A - シス−4−ヒドロキシ−l−プロリンの製法 - Google Patents

シス−4−ヒドロキシ−l−プロリンの製法

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JPH05111387A
JPH05111387A JP3274032A JP27403291A JPH05111387A JP H05111387 A JPH05111387 A JP H05111387A JP 3274032 A JP3274032 A JP 3274032A JP 27403291 A JP27403291 A JP 27403291A JP H05111387 A JPH05111387 A JP H05111387A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの製法に
関する。 【構成】L−プロリンを、ヘリコセラス属に属する微生
物を用いて水酸化して、シス−4−ヒドロキシ−L−プ
ロリンに変換し、次いで変換反応物を含む系よりシス−
4−ヒドロキシ−L−プロリンを採取することからなる
シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの製法。 【効果】カルバペネム系抗生物質などの医薬品原料とし
て重要な化合物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(2S、4S)−
(−)−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボン酸
[((2 S 、4 S )−(−)−4 −Hydroxypyrrolidine
−2 −carboxylicacid)、以下「シス−4−ヒドロキシ
−L−プロリン(cis −4 −Hydroxy −L−proline )
と略称する」]の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シス−4−ヒドロキシ−L−プロ
リンはビャクダンの葉(バイオケミカル ジャーナル
(Biochemical Journal)、117 巻、1013頁(1970
年))やアクチノマイシン等の抗生物質の構成成分(ア
ーチーブス オブ バイオケミストリー アンド バイ
オフィジクス(Archieves of Biochemistryand Biophys
ics)、131 巻、276 頁(1969 年))としてのみ、そ
の存在が知られている。そして、シス−4−ヒドロキシ
−L−プロリンは自然界には少量しか存在しないので、
合成化学の手法により供給されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ヘリコ
セラス属に属する微生物がL−プロリンをシス−4−ヒ
ドロキシ−L−プロリンに変換することを見出して本発
明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はL−プロリン
を、ヘリコセラス属に属する微生物を用いて水酸化し
て、シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンに変換し、次
いで変換反応物を含む系よりシス−4−ヒドロキシ−L
−プロリンを採取することからなるシス−4−ヒドロキ
シ−L−プロリンの製法に関する。
【0005】更に詳細には、 1)シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの製造におい
て、変換菌を培養した培養液にL−プロリンを添加して
変換培養させることからなる製法、 2)シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの製造におい
て、変換菌を培養・集菌し、得られた変換菌菌体をL−
プロリンと接触させることからなる製法、 3)シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの製造におい
て、変換菌菌体から調製した無細胞抽出液をL−プロリ
ンと接触させ、酵素的に水酸化することからなる製法、 等に関する。
【0006】ここに、シス−4−ヒドロキシ−L−プロ
リンは以下の構造式
【0007】
【化1】
【0008】で示される。
【0009】なお、トランス−4−ヒドロキシ−L−プ
ロリンは以下の構造式
【0010】
【化2】
【0011】で示される。
【0012】本発明に使用されるヘリコセラス属に属す
る微生物としては、例えばヘリコセラス オリザエ SA
NK 11458 株をあげることができる。本菌株は抗生物質
セルレニン(Cerulenin )の生産菌として公知である
(Ann.Sankyo Res.Lab.、19巻、86−90頁(1967
年))。
【0013】本菌株の菌学的性状は以下の通りである。
本菌株はイネの籾から分離された菌株で次のごとき形態
的特徴を有する。WSH 寒天培地上での生育は 25 ℃、1
週間で 40 〜 50 mm、綿毛状、薄く広がりコロニーの表
面は淡褐色(3 −4B)、裏面もほぼ同様である。 25 −
30 日培養を続けると分生子の形成が見られる。PDA 培
地上での生育は 25 ℃、1週間で 50 〜 60 mm、綿毛状
でコロニーの中央部は灰緑褐色(25−3C)、周辺部は橙
褐色(11−2B)、裏面もほぼ同様である。分生子の形成
は見られない。WSH 培地でも PDA 培地でも可溶性色素
の産生は見られない。 37 ℃ではほとんど生育しない。
光学顕微鏡での観察によると、菌糸は淡褐色、平滑で隔
壁を有しその径は 1.5〜4.0 μm である。分生子柄は短
く先端がやや膨らみ、ときに分枝する。分生子はコイル
状、褐色、表面は粗で 5−15 細胞よりなり、隔壁部分
がややくびれ、80〜150 × 7〜11 μm であるが不規則
な形のものも多く見られる。
【0014】以上の形態をもとに R.T.Moore 著、「My
cologia 」第 47 巻、90−103 頁(1955 年)に掲載の
論文、「Index to the Helicosporae 」を検索の結果、
本菌株を Helicoceras oryzaeLinder et Tullis と同
定した。
【0015】なお、コロニーの色調のカッコ内の数値は
A.Kornerup and J.H.Wansher 著「Methuen Handbook o
f Colour」 3rd ed.,Eyre Methuen、London(1978
年)に準拠した表示である。
【0016】また、WSH 寒天培地の組成は次の通りであ
る。 オートミール 10 g NaNO3 1 g KH2PO4 1 g MgSO4・7H2O 1 g 寒天 20 g 水道水 1000 ml ───────────────────────────── pH 無修正。
【0017】上記ヘリコセラス オリザエ SANK 11458
株は 寄託番号、微工研条寄第3603 号(FERM BP −
3603)(寄託機関、工業技術院微生物工業技術研究所:
寄託日、1991 年 10 月 14 日)として寄託されてい
る。
【0018】周知のとおり、糸状菌は自然界において、
または人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照
射、化学薬品処理等)により、変異を起こし易く、本発
明のSANK 11458 株もこの点は同じである。本発明にい
うSANK 11458 株はそのすべての変異株を包含する。ま
た、これらの変異株の中には、遺伝学的方法、例えば、
組み替え、形質導入、形質転換等により得られたものも
包含される。即ち、L−プロリンをシス−4−ヒドロキ
シ−L−プロリンに変換する、SANK 11458株、その変異
株およびそれらと明確に区別されない菌株は、すべて S
ANK 11458株に包含されるものである。
【0019】本発明の方法を実施するにさいして、酵素
的に水酸化する方法としては、変換菌をその生育に適し
た培養条件下で培養し、 変換菌の培養の中間におい
て、L−プロリンを培地中に添加してさらに培養し接触
させる方法、 変換菌を培養・集菌し、得られた変換
菌菌体をL−プロリンと接触させる方法、 変換菌菌
体から調製した無細胞抽出液をL−プロリンと接触させ
る方法、などで行なわれる。
【0020】変換菌の培養方法としては、通常微生物が
利用できる栄養物を含有する培地中で培養することによ
り行なわれる。栄養源としては、一般の微生物の培養に
使用される公知のものを使用することができる。
【0021】一般に、炭素源としてグルコース、フラク
トース、マルトース、シュークロース、マンニトール、
グリセロール、デキストリン、オート麦、ライ麦、トウ
モロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆
粉、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸等を単一に、ある
いは併用して用いる事ができる。一般には、培地量の1
−10 重量%で変量する。
【0022】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を醗酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実油、綿実粉、カゼイン加水
分解物、ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、
ペプトン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マル
トエキス、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ア
ンモニウム等である。窒素源は、単一または併用して培
地量の 0.2−6 重量%の範囲で用いる。
【0023】培地中にとり入れる栄養無機塩は、ナトリ
ウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェート、サ
ルフェート、クロライド、カーボネート等のイオンを得
ることのできる通常の塩類である。また、カリウム、カ
ルシウム、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム等の
微量の金属も含む。
【0024】液体培養に際しては、シリコン油、植物
油、界面活性剤等が、消泡剤として使用される。
【0025】SANK 11458 株を培養し、シス−4−ヒド
ロキシ−L−プロリンを生産する培地の pH は、 5.0−
7.0 に変化できる。
【0026】菌の生育は 20 ℃から 37 ℃の範囲が良好
であり、更にシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの生
産には 25 ℃から 30 ℃が好適である。シス−4−ヒド
ロキシ−L−プロリンは、好気的に培養して得られる
が、通常用いられる好気的培養法、例えば固体培養法、
振盪培養法、通気撹拌培養法等が用いられる。
【0027】小規模な培養においては、 26 ℃で数日間
振盪培養を行うのが良好である。
【0028】培養は、バッフル( 水流調節壁) のついた
三角フラスコ中で、 1−2 段階の種の発育工程により開
始する。種発育段階の培地は、炭素源および窒素源を併
用できる。種フラスコは定温インキュベーター中で 26
℃、2 〜 3 日間振盪するか、または充分に成長するま
で振盪する。成長した種は第二の種培地または生産培地
に接種するのに用いる。中間の発育工程を用いる場合に
は、本質的に同様の方法で成長させ生産培地に接種する
ために、それを部分的に用いる。接種したフラスコを一
定温度で数日間振盪し、インキュベーションが終わった
らフラスコの含有物を遠心分離またはろ過する。
【0029】大量培養の場合には、撹拌機、通気装置を
付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法
によれば、栄養培地をタンクの中で作成できる。栄養培
地を125 ℃ まで加熱して滅菌し、冷却後、滅菌培地に
あらかじめ成長させてあった種を接種する。培養は 26
℃で通気撹拌して行う。この方法は、多量の化合物を得
るのに適している。
【0030】通常は 48 時間から 72 時間の培養でシス
−4−ヒドロキシ−L−プロリンの生産量は最高値に達
する。
【0031】法は、L−プロリンを添加して培養する
ことにより行なわれる。添加の時期は、使用する変換菌
の至適培養条件、特に培養装置、培地組成、培養温度等
により異なるが、変換菌の水酸化能が高まり始める時期
がよく、通常は変換菌の培養開始後 1−5 日 経過した
時点が好ましい。L−プロリン、すなわち基質の添加量
は、培地に対して 0.01 − 1.0 %の範囲から選ばれる
が、 0.025 − 0.5% の範囲が好適である。L−プ
ロリン添加後の培養は、好気的条件下で上記の培養温度
で行なわれる。培養期間は原料化合物添加後、 1−5 日
程度である。
【0032】法は、上記の方法により変換菌を少量
のL−プロリンの存在下で培養し、変換菌の水酸化能が
最大となるまで培養することにより行なわれる。すなわ
ち、水酸化能は培地の種類、温度等によって異なるが、
通常は培養開始後2 −3 日で最大となるので、この時点
で培養を終了する。集菌は培養物を遠心分離、ろ過等の
方法に付すことによって行なわれる。集菌された変換菌
菌体は、通常、生理食塩水、緩衝液等で洗浄して使用す
るのが好ましい。このようにして得られた変換菌菌体を
L−プロリンと接触させるには、通常は水性媒体中、例
えば pH 5−7の燐酸緩衝液中で行なわれる。反応温度
は、通常 20− 37 ℃ 、好適には 25− 30 ℃で行な
われる。L−プロリンの濃度は、通常培地に対して 0.0
1 − 1.0% である。反応時間は、L−プロリンの濃
度、反応温度等によるが、通常は 1−5 日位である。
【0033】法での無細胞抽出液は、上記の方法で得
られた変換菌菌体に物理的または化学的手法を適用し、
例えば、磨砕、超音波処理等によって菌体破砕物とし
て、または有機溶剤、界面活性剤、酵素処理等によって
菌体溶解液として得られる。このようにして得られた無
細胞抽出液をL−プロリンと接触させるには、上記の変
換菌菌体をL−プロリンと接触させる方法と同様にして
行なわれる。
【0034】培養終了後、目的化合物は既知の方法で採
取、定量分析、分離、精製することができる。
【0035】すなわち、培養終了後、培養液中の液体部
分 (および菌体内) に存在するシス−4−ヒドロキシ−
L−プロリンは、培養液にアセトンなどの有機溶剤を添
加した後、菌体、その他の固形部分を珪藻土をろ過助剤
とするろ過操作または遠心分離によって分別し、そのろ
液または上清中に存在するシス−4−ヒドロキシ−L−
プロリンを、その物理化学的性状を利用し抽出精製する
ことにより得られる。
【0036】例えば、ろ液または上清中に存在するシス
−4−ヒドロキシ−L−プロリンをイオン交換樹脂、例
えばアンバーライト IRC−50、CG−50(ローム・アンド
・ハース社製)、ダウエックス 50W×4 、ダウエックス
SBR−P (ダウ・ケミカル社製)の層を通過させて不純
物を吸着させて取り除くか、またはシス−4−ヒドロキ
シ−L−プロリンを吸着させた後、アンモニア水を用い
て溶出させることにより得られる。あるいは吸着剤とし
て、例えば活性炭または吸着用樹脂であるアンバーライ
ト XAD−2 、XAD −4 (ローム・アンド・ハース社製)
等や、ダイヤイオンHP−10、HP−20、 CHP−20、HP−50
(三菱化成(株)社製)等が使用される。シス−4−ヒ
ドロキシ−L−プロリンを含む液を上記のごとき吸着剤
の層を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、また
はシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを吸着させた
後、メタノール水、アセトン水等の水と有機溶剤との混
合溶剤を用いて溶出させることにより得られる。
【0037】このようにして得られたシス−4−ヒドロ
キシ−L−プロリンは、更にシリカゲル、フロリジルの
ような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、ア
ビセル(旭化成工業(株)社製)、セファデックス G−
10 (ファルマシア社製)等を用いた分配カラムクロマ
トグラフィーおよび順相、逆相カラム、イオン交換カラ
ムを用いた高速液体クロマトグラフィー等で精製するこ
とができる。
【0038】なお、目的化合物の定量は以下の方法に従
った。すなわち、各アミノ酸をフェニルイソチオシアナ
ートにより対応するチオカルバモイル酸エステルとして
から逆相カラムクロマトグラフィーによる高速液体クロ
マトグラフィ−分析(ジャーナル オブ クロマトグラ
フィー(Journal of chromatography)、336 巻、93頁
(1984 年))により目的化合物を定量した(定量機
器:655 −020 型高速液体クロマトグラフィ−、日立
(株)社製)。
【0039】
【実施例】次に実施例をあげて、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0040】実施例 1.下記組成の培地 100 ml を
含有するへそ付き 500 ml 容三角フラスコにヘリコセラ
ス オリザエ SANK 11458 株を植菌し、26℃、 200 r
pmで振とう培養した。
【0041】培地組成 シュクロース 5.0 % ペプトン 2.0 コーンスチープリカー 0.3 水道水 残(pH 5.0−5.5 )。
【0042】培養 2 日後にL−プロリンをその 10 %
水溶液を用いて最終濃度 0.01 %になるように添加
し、更に1日間、 26 ℃、 200 rpmで培養した。培養終
了後、培養物に対して培養液と等容量のアセトンを添加
し、遠心上清に存在する目的化合物を定量した。
【0043】なお、定量はアミノ酸をフェニルイソチオ
シアネートとトリエチルアミンの存在下、反応させてそ
れぞれ対応するチオカルバモイル酸エステルに誘導体化
した後、逆相 HPLC により同定する方法によって実施し
た。すなわち、培養液 1 mlに対しアセトン 1 ml 添加
し遠心分離後、上清 25 μl を減圧乾固した。これに
エタノール:水:トリエチルアミン=2 :2 :1 の溶液
を 25 μl添加して減圧乾固した。更にこれにエタノー
ル:水:トリエチルアミン:フェニルイソチオシアネー
ト=7 :1 :1 :1 の溶液を25 μl 添加して 20 分
間、室温にて放置した後、減圧乾固した。次いでこれに
PICO-Tag 希釈液(アセトニトリル:リン酸緩衝液(pH
7.4)=5 :95)を 400 μl 添加して遠心上清をノバパ
ック C18(3.9 ×300 mm、ウォーターズ(ミリポア社
製))で HPLC で検定した。移動相としてアセトニトリ
ル:リン酸トリエチルアミン緩衝液(pH 3.2)=11:89
を使用した。流速 1.2 ml/分で 254 nm における吸収
強度によりヒドロキシプロリンのチオカルバモイル酸エ
ステルの検出を実施した。 HPLC における保持時間はシ
ス−4−ヒドロキシ−L−プロリンが 9.10 分であっ
た。
【0044】なお、この定量には日立 655-020 型高速
液体クロマトグラフィーが使用された。
【0045】次に定量の結果を表 1.に示す。
【0046】
【表1】 ヘリコラス オリザエ SANK 11458 株によ
るL−プロリンのシス−4−ヒドロキシ−L−プロリン
への水酸化
【0047】実施例 2.実施例 1.と全く同様な方
法でヘリコセラス オリザエ SANK 11458 株を26℃、
200 rpmで 3 日間振とう培養した。得られた微生物変
換培養液 2.8 リットルに対してアセトン 3 リットル
を添加し 4 ℃ にて一夜放置した。次いでこれをセラ
イトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた粗抽
出液 200ml をダウエックス 50 W のカラムに吸着せ
しめ、 0.5 N アンモニア水にて溶出した。得られた溶
出液を減圧下で濃縮し、残渣をさらにアンバーライトCG
−50 のカラムに付し非吸着画分を集めて減圧下で濃縮
した。得られた残渣を移動相にn−ブタノール:酢酸:
水=4 :1 : 2 を用いてセファデックス G−10による
ゲルろ過を行なった。シス−4−ヒドロキシ−L−プロ
リンを含む画分をウォーターズ(ミリポア社製)のアミ
ノ酸分析用カラムにより精製した。シス−4−ヒドロキ
シ−L−プロリンを含む画分 100 mg を、再びセファデ
ックス G−10を移動相としてn−ブタノール:酢酸:水
=5 :1 : 2 を用いてゲルろ過を行なうと精製標品
8.1 mg が得られた。得られた精製標品の重水中におけ
る核磁気共鳴スペクトルは次の通りであった。
【0048】核磁気共鳴スペクトル:δ ppm 2.07(1 H 、dm、 J =14.2 Hz)、2.31(1 H 、ddd
、J =14.2、3.9 および 2.0 Hz )、3.18(1 H 、d
d、 J =12.7 および 3.9 Hz )、3.27(1 H 、ddd
、J =12.7、 1.9 および 1.5 Hz )、4.02(1 H 、d
d、 J =10.3 および 3.9 Hz )、4.40(1 H 、m ) 得られた核磁気共鳴スペクトルは、既知のシス−4−ヒ
ドロキシ−L−プロリンのそれと一致した。
【0049】
【発明の効果】シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン
は、これをトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンに
変換することによって、カルバペネム系抗生物質などの
医薬品原料として使用される重要な化合物である。
【0050】すなわち、シス−4−ヒドロキシ−L−プ
ロリンのアミノ基を保護し(例えば、p−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル)、カルボキシル基を保護し(例え
ば、p−ニトロベンジル)、次いで常法に従って反転反
応(例えば、光延ら、ビューレチン オブ ケミカル
ソサィエティー オブ ジャパン(Bulletinof chemica
l society of Japan)、44 巻、3427 頁(1971
年))に付し、最後に保護基を除去することによってト
ランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンが得られる。次
いでこれを中間体として例えば、N−p−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル−3−メルカプトピロリジンを合成
し(HETEROCYCLES、24巻、5 号、(1986 年))、さら
に(5R・6S・8R)−6−(1−ヒドロキシエチ
ル)−2−(ピロリジン−3−イルチオ)−2−カルバ
ペネム−3−カルボン酸(特公昭 61−29357 号)を合
成することによって有用なカルバペネム系抗生物質が得
られる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−プロリンを、ヘリコセラス属に属す
    る微生物を用いて水酸化して、シス−4−ヒドロキシ−
    L−プロリンに変換し、次いで変換反応物を含む系より
    シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを採取することか
    らなるシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの製法。
  2. 【請求項2】 シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの
    製造において、変換菌を培養した培養液にL−プロリン
    を添加して変換培養させることからなる[請求項1]記
    載の製法。
  3. 【請求項3】 シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの
    製造において、変換菌を培養・集菌し、得られた変換菌
    菌体をL−プロリンと接触させることからなる[請求項
    1]記載の製法。
  4. 【請求項4】 シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの
    製造において、変換菌菌体から調製した無細胞抽出液を
    L−プロリンと接触させ、酵素的に水酸化することから
    なる[請求項1]記載の製法。
  5. 【請求項5】 ヘリコセラス属に属する微生物がヘリコ
    セラス オリザエ SANK11458 株である[請求項
    1]、[請求項2]、[請求項3]または[請求項4]
    記載の製法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009139365A1 (ja) * 2008-05-12 2009-11-19 学校法人 早稲田大学 シス-4-ヒドロキシ-l-プロリン製造方法
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