JPH051013B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、複数個のシヤワーノズルを備え多種
のシヤワー噴射ができる多機能シヤワー装置に関
するものである。

［従来の技術］ 最近では、シヤワー装置は入浴準備の手軽さ、
節水、省エネルギ等の特徴が認められ、簡便な入
浴手段として定着している。一方、健康増進に対
する社会的ニーズが高まり、シヤワーの噴射圧に
よつて水圧刺激と温熱刺激効果が注目されてき
た。即ち、刺激感のある温浴によつて血流量を増
加させ、循環器系、呼吸器系、自律神経系等の諸
機能を活性化させ、心身のリラツクス、疲労回
復、美容に効果的であることが認められてきた。

これらの効果を大きくするために、身体の広い
範囲に渡つてシヤワーを浴びせるようにして、温
浴感を高めたり、シヤワー温度に変化を与え、皮
膚への温熱刺激効果を向上させる等の試みが為さ
れている。

従来では複数個のシヤワーノズルを設け、全身
にシヤワーを浴びせるようにしたもの（実開昭61
−115388号）がある。しかし、このシヤワー装置
では、各シヤワーノズルの噴射制御を手動弁で行
うため、噴射ノズルを切り換える際の操作が繁雑
になるという問題があつた。しかも、このように
操作が繁雑であると、その結果ノズルを切り換え
るという操作者の意識が強くなるため、従来のハ
ンドシヤワーの固定位置を変えている程度の入浴
感しか使用者に与えなかつた。また、全てのシヤ
ワーノズルを同時に開動作し、全身に一度期にシ
ヤワー噴射しようとしても、設置場所の給湯能力
には限度があるため、結果として出湯量不足とな
り、満足な入浴感が得られなかつた。

そこで、以上の問題点を改良する試みとして、
複数個のシヤワーノズルの噴射制御はスイツチ操
作により電磁弁を作動させて行うもの（実開昭62
−70879号）がある。このシヤワー装置では比較
的に安価な電磁弁を使用するだけで、上記問題点
であるシヤワーノズルの切換操作の繁雑さが無く
なり、あまり意識せずにシヤワーノズルの噴射制
御が可能となる。しかしながら、電磁弁の閉動作
時には必ずウオータハンマ現象が発生するため、
騒音が発生したり、電磁弁の一次側の圧力が急に
上昇したり、振動により配管部材の劣化が促進さ
れたりして、シヤワー装置の寿命を著しく短くし
ていた。また、ウオータハンマ現象の防止対策と
して、アキユムレータを設置したり、電磁弁の代
わりに電磁弁（モータ弁）を使用する方法がある
が、いずれも大きなコストアツプや装置の大形化
につながり、現実的ではなかつた。

ところで、シヤワー水温度を変化させ、温熱効
果を高める試みとしては、冷水と高温水との混合
比率を電磁弁によつて制御し、混合水温を変化さ
せ、これをシヤワー噴射させるもの（特開昭61−
109986号）や、比例燃焼式給湯器により出湯温度
を変動させるもの（特開昭61−170466号）などが
ある。しかしながら、いずれの方法も連続的で緩
やかに出湯温度を変化させることしかできず、こ
のため身体には緩慢な温度変化刺激しか与えられ
ず、効果的な温熱効果を得ることができなかつ
た。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明は上述の点に鑑みて為されたものであ
り、その目的とするところは、耐久性が向上し、
且つ良好な入浴生理効果が得られるシヤワー装置
を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は耐久性を向上させるために、複数個の
シヤワーノズルと、各シヤワーノズルからのシヤ
ワー水の噴射を制御する電磁弁と、いずれかの電
磁弁が閉動作する前の他のいずれかの電磁弁を開
動作させるオーバラツプ開動作によつて各電磁弁
の開閉動作を制御すると共に、プログラムに従つ
て自動的に電磁弁の開閉動作を制御している。

また、良好な入浴生理効果を得る一方法とし
て、コントローラで各電磁弁を逐一切り換えるよ
うにプログラムパターン制御しても良い。

さらに、良好な入浴生理効果を得る他の方法と
して、高温水と冷水とを混合する複数個のサーモ
ミキシング弁を備え、夫々のサーモミキシング弁
につながる配管系を複数に分岐し、夫々の分岐管
に電磁弁を設けても良い。

［作用］ 本発明は、上述のようにコントローラでいずれ
かの電磁弁を閉動作する前に他のいずれかの電磁
弁を閉動作させるオーバラツプ開動作によつて各
電磁弁の開閉動作を制御することにより、ウオー
タハンマ現象を低減してシヤワー装置の耐久性を
向上させるようにしたものである。

また、コントローラで各電磁弁を逐一切り換え
るようにプログラムパターン制御すれば、使用者
が意識しない内にシヤワーノズルが切り換わり、
変化に富んだ入浴感が得られ、刺激効果が大幅に
維持できるようになる。さらに、高温水と冷水と
を混合する複数個のサーモミキシング弁を備え、
夫々のサーモミキシング弁につながる配管系を複
数に分岐し、夫々の分岐管に電磁弁を設ければ、
温水と冷水とを交互に噴射して身体に温度的な刺
激を与えることができて、刺激感が高まり、良好
な入浴生理効果が得られるようになる。

実施例 １ 本実施例のシヤワー装置では、第１図に示すよ
うにシヤワー水を供給する給湯配管４を４つの分
岐管５ａ〜５ｄに分岐してシヤワー室６内に導入
してあり、各分岐管５ａ〜５ｄの先端には夫々シ
ヤワーノズル２ａ〜２ｄを取り付けてある。上記
各分岐管５ａ〜５ｄには夫々電磁弁１ａ〜１ｄを
設けてあり、この電磁弁１ａ〜１ｄの開閉制御を
コントローラ３によつて行つている。

上記各電磁弁１ａ〜１ｄのコントローラ３によ
る開閉制御は第２図に示すように行う。つまり、
第２図中の斜線部に示すように、一つの電磁弁１
が閉動作する前には必ず他の電磁弁１を開動作さ
せる所謂オーバラツプ開動作させている。このオ
ーバラツプ開動作を行うことにより、電磁弁１ａ
〜１ｄが閉動作する際に発生するウオータハンマ
現象を低減することができる。この理由を以下に
説明する。ジユーコフスキーの水撃の式による圧
力上昇の式は、 但し、H_MAX：圧力上昇、Ｖ：水の当初の流速
（ｍ／ｓ）、ｇ：重力加速度（ｍ／s²）、ｋ：水の
体積ヤング率（Kg／m²）、γ：水の比重量（Kg／
m³）、Ｅ：配管材料のヤング率（Kg／m²）、Ｄ：配
管の内径（ｍ）、Ｓ：管壁の厚さ（ｍ） のように表される。つまり、一つの電磁弁１が閉
動作する前に他の電磁弁１を開動作すれば、電磁
弁１を流れるシヤワー水の流速Ｖが減少し、閉動
作の際の圧力上昇H_MAXを少なくすることができ、
同時に閉動作による電磁弁１の一次側の分岐管５
内の圧力上昇は、他の電磁弁１が開動作している
ことにより、電磁弁１の一次側の圧力が給湯管４
を介してシヤワーノズル２に抜けるため、一層低
減される。尚、ここで使用する電磁弁１やシヤワ
ーノズル２は４つに限定されるものではなく、異
種パターンの噴射ノズルを適宜数個備えるもので
も良い。

ところで、電磁弁１として第３図に示すパイロ
ツト式電磁弁を使用しており、上記ウオータハン
マ現象の低減効果を一層高めることができる。パ
イロツト式電磁弁は、ソレノイド７に電流を流す
ことで、プランジヤ８を上下動させてパイロツト
管９を開閉し、主弁室１０内の圧力操作を行つ
て、主弁１１による流路１２の開閉制御を行うも
のである。つまり、直動式電磁弁のようにプラン
ジヤ８で直接に主弁１１を閉動作せず、間接的に
主弁室１０内の圧力を操作することで主弁１１を
閉動作するため、閉動作に比較的に時間がかか
る。従つて、主弁１１が急に閉じることによるウ
オータハンマ現象を低減するとができ、このパイ
ロツト式電磁弁を使用することにより、電磁弁１
を上述のようにオーバラツプ開動作させること相
まつてウオータハンマ現象の低減に相乗的に役立
つのである。

ところで、コントローラ３によつて第２図に示
すように各電磁弁１を逐一切り換えるようにプロ
グラムパターン制御すると、使用者が意識しない
内にシヤワーノズル２が切り換わり、変化に富ん
だ入浴感が得られ、刺激効果が大幅に維持でき
る。

実施例 ２ 本実施例では、第４図に示すようにサーモミキ
シング弁１３ａ，１３ｂに接続された配管４ａ，
４ｂはヘツダ構造で、夫々分岐管５ａ〜５ｃ及び
分岐管５ｄ，５ｅに分岐されている。これら分岐
管５ａ〜５ｅは夫々電磁弁１ａ〜１ｅを介してシ
ヤワー室６に導入され、夫々の先端にシヤワーノ
ズル２ａ〜２ｅを取り付けてある。上記電磁弁１
ａ〜１ｅも上述の第１の実施例と同様にコントロ
ーラ３によつてプログラムパターン制御できる構
成となつている。サーモミキシング弁１３ａ，１
３ｂには高温水供給管１４と市水管１５とが接続
されており、高温水供給管１４には給湯機などか
ら高温水が供給される。配管４ａ，４ｂに供給さ
れるシヤワー水の温度は、サーモミキシング弁１
３ａ，１３ｂを夫々操作することで予め設定して
おくことができる。これにより、２系統の温度配
管が構成される。従つて、一方の配管４を温水、
他方の配管４を冷水に設定して、分岐管５ａ〜５
ｅに設けた電磁弁１ａ〜１ｅをコントローラ３の
プログラムパターンに従つて交互に開動作すれ
ば、温水と冷水とを交互に噴射させることができ
る。

ところで、第５図はシヤワーの入浴生理効果の
うちリフレツシユ効果とリラツクス効果を脳波に
よつて確認したものである。図中のイは温水シヤ
ワー入浴を行つた場合を示し、脳波の周波数が低
くなつているということは眠りに近付く傾向にあ
り、これはリラツクスするために効果があると言
える。また、図中のロは温冷水を交互に噴出する
シヤワー入浴を行つた場合を示し、脳波の周波数
が高い方に移行しており、これは覚醒していく状
態であり、リフレツシユに効果があると言える。
つまり、本実施例のシヤワー装置では以下に説明
するようにすれば、リフレツシユ効果とリラツク
ス効果とを有効に引き出すことができる。ところ
で、リラツクスとはスポーツの後などに単に汗を
流すだけでなく、肉体的疲労をとることや、一日
の疲れを癒し、精神的な疲労をとることを意味す
る。また、リフレツシユとは、心身を共に活性化
し、次の行動がスムーズに行えるようにすること
を意味している。

例えば、コントローラ３によつて第６図に示す
ように電磁弁１ａ〜１ｅの開閉制御を行つて上記
リフレツシユ及びリラツクス効果を得ることがで
きる。なお、サーモミキシング弁１３ａの操作に
よつて配管４ａに温水を供給すると共に、サーモ
ミキシング弁１３ｂの操作によつて配管４ｂに冷
水を供給している。今、リラツクスしたい場合に
は、電磁弁１ａ〜１ｅを図中のＡ部に示すように
開閉制御、つまり温水噴射を行うと共に、シヤワ
ー切換の間隔を長くとる。また、リフレツシユし
たい時には、図中のＢ部に示すように温水及び冷
水を交互に噴射させ、シヤワー切換の間隔を短く
する。なお、上記電磁弁１ａ〜１ｅの開閉制御方
法やサーモミキシング弁１３ａ，１３ｂの操作方
法はあくまでも一例であり、他の開閉制御あるい
は操作方法によつてリフレツシユ効果及びリラツ
クス効果を得るようにしても良い。

ところで、従来のシヤワー温度を変化させるこ
とができるシヤワー装置では、シヤワー温度が連
続的に緩やかに変化して、温度刺激が緩慢になる
いという問題があつたが、本実施例のシヤワー装
置では温水と冷水とを交互に噴射するために、効
果的な温度刺激を与えることができる。しかし、
本実施例の場合には逆に温度の急変に伴う身体へ
の悪影響が心配されるが、電磁弁１ａ〜１ｄは上
述したようにオーバラツプ開動作されているの
で、電磁弁１ａ〜１ｄの切換の時には２つのシヤ
ワーノズル２から温水と冷水とが同時に噴出さ
れ、身体への急激な温度変化を和らげることがで
き、問題はない。

［発明の効果］ 本発明は上述のように、コントローラでいずれ
かの電磁弁が閉動作する前に他のいずれかの電磁
弁を開動作させるオーバラツプ開動作によつて各
電磁弁の開閉動作を制御しているので、いずれか
の電磁弁が閉動作する前に一時的にシヤワー水の
流速を下げてウオータハンマ現象を低減すること
ができ、また閉動作した電磁弁によるウオータハ
ンマ現象に伴う圧力を他の開動作した電磁弁から
逃がすことにより、配管や電磁弁に加わる圧力や
振動を少なくして、シヤワー装置の耐久性を向上
させることができる。また、電磁弁はソレノイド
に電流を流すことによりプランジヤを上下させて
パイロツト管を開閉し主弁室内の圧力操作を行つ
て主弁による流路の開閉を行うパイロツト式の電
磁弁としたので、プランジヤの動作にて間接的に
主弁室内の圧力を操作することで主弁を閉動作す
るため瞬時に閉じず、閉動作に時間がかかるもの
であつて、主弁が急激に閉じることによるウオー
タハンマ現象を低減でき、上記オーバラツプ開動
作させることを相俟つてウオータハンマ現象を一
層低減できるものである。

また、コントローラで各電磁弁を逐一切り換え
るようにプログラムパターン制御すれば、使用者
が意識しない内にシヤワーノズルが切り換わり、
変化に富んだ入浴感が得られ、刺激効果が大幅に
維持でき、このため良好な入浴生理効果を得るこ
とができる。

さらに高温水と冷水とを混合する複数庫のサー
モミキシング弁を備え、夫々のサーモミキシング
弁につながる配管系を複数に分岐し、夫々の分岐
管に電磁弁を設ければ、温水と冷水とを交互に噴
射でき、身体に温度的な刺激を与えることがで
き、これによつても刺激感を高めると共に、大幅
に刺激感を持続させることができ、このため良好
な入浴生理効果を得ることができる。なお、上記
コントローラによる一つの電磁弁だけを開動作す
る開閉動作方法と温冷水を交互に噴射する方法と
を組み合わせれば更に良好な効果が期待できる。
しかも、このように良好な入浴生理効果を得られ
れば、結果的に入浴時間が短くでき、省エネル
ギ、節水の効果も期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の構成図、第２図は
同上の電磁弁の開閉動作の説明図、第３図は電磁
弁の断面図、第４図は他の実施例の構成図、第５
図は入浴生理効果の説明図、第６図は動作説明図
である。 １ａ〜１ｅは電磁弁、２ａ〜２ｅはシヤワーノ
ズル、３はコントローラ、４，４ａ，４ｂは配
管、７はソレノイド、８はプランジヤ、９はパイ
ロツト管、１０は主弁室、１１は主弁、１３ａ，
１３ｂはサーモミキシング弁である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数個のシヤワーノズルと、各シヤワーノズ
   ルからのシヤワー水の噴射を制御する電磁弁と、
   いずれかの電磁弁が閉動作する前の他のいずれか
   の電磁弁を開動作させるオーバラツプ開動作によ
   つて各電磁弁の開閉動作を制御すると共に、プロ
   グラムに従つて自動的に電磁弁の開閉動作を制御
   するコントローラとを備え、上記電磁弁はソレノ
   イドに電流を流すことによりプランジヤを上下さ
   せてパイロツト管を開閉し主弁室内の圧力操作を
   行つて主弁による流路の開閉を行うパイロツト式
   の電磁弁として成るシヤワー装置。 ２ 上記コントローラで各電磁弁を逐一切り換え
   るようにプログラムパターン制御して成る請求項
   １記載のシヤワー装置。 ３ 高温水と冷水とを混合する複数個のサーモミ
   キシング弁を備え、夫々のサーモミキシング弁に
   つながる配管系を複数の分岐し、夫々の分岐管に
   電磁弁を設けた請求項１または請求項２記載のシ
   ヤワー装置。