JPH0470940B2

JPH0470940B2 -

Info

Publication number: JPH0470940B2
Application number: JP58012283A
Authority: JP
Inventors: Masahiro Tajima; Yoshimaru Kumano
Original assignee: Shiseido Co Ltd
Current assignee: Shiseido Co Ltd
Priority date: 1983-01-28
Filing date: 1983-01-28
Publication date: 1992-11-12
Also published as: JPS59139920A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、高級脂肪酸塩乳化型の乳化組成物に
関する。さらに詳しくは、経時で高級脂肪酸及び
高級脂肪酸塩の結晶が析出しにくく、安定性が良
好な改良された特定高級脂肪酸塩乳化型の水中油
型乳化組成物に関する。一般に、高級脂肪酸塩は、10wt％以下の水溶
液において、チクソトロピー性のあるゲル状また
はコアゲル状を呈し、皮膚への塗布感触が良いこ
と、及び油分の乳化性が良好なことから、化粧
品、医薬品等の乳化剤として有用である。特に、
トリエタノールアミンなどの弱塩基を対イオンと
した塩は室温付近に安定なゲル領域が広がるので
経時安定性が良く、しかも乳化性も良好なので乳
化剤として汎用されてきた。しかし、最近、トリ
エタノールアミンに関しては皮膚安全性的に疑問
が持たれてきており、これに代つてナトリウム
塩、カリウム塩を使いこなそうという試みが盛ん
に行われている。しかしながら、炭素数16以上の直鎖脂肪酸のナ
トリウム塩あるいはカリウム塩は、乳化性が良好
でしかも皮膚安全性的に問題ないが、クラフト点
が室温以上であり、室温では結晶を生じてしま
う。一方、イソステアリン酸、オレイン酸などの
室温で液状を呈する高級脂肪酸のナトリウム塩あ
るいはカリウム塩は、クラフト点は室温より低い
が、粘稠なゲルは得られず、しかも乳化性にとぼ
しい。このため、従来、高級脂肪酸のナトリウム
塩あるいはカリウム塩を乳化剤として使用する場
合は、乳化性の良好な直鎖脂肪酸塩を用いて、こ
れに結晶析出をおさえる目的で脂肪酸モノグリセ
リドなどの界面活性剤を併用することが一般的で
あるが、この方法によつても長期間結晶析出をお
さえることはむずかしい。また、液状脂肪酸の塩
は、乳化性不良なため、ほとんど乳化剤として利
用されておらず、わずかに、乳化系の粘度調整剤
として利用例が知られているのみである。本発明者らは、こうした事情にかんがみ、上記
の欠点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素
数16から22の直鎖脂肪酸のナトリウムあるいはカ
リウム塩と、イソステアリン酸、オレイン酸、パ
ルミトオレイン酸から選ばれる脂肪酸のナトリウ
ムあるいはカリウム塩とを、上手に組み合せたな
らば皮膚への塗布感触が良く、結晶析出がなく、
経時安定性に優れ、かつ乳化性も良好な乳化組成
物が得られることを見い出し、この知見に基づい
て本発明を完成するに至つた。一方、混合脂肪酸の例として、天然由来の牛
脂、ヤシ油、米糖油等が挙げられるが、これら
は、本発明の脂肪酸の範囲外であるラウリン酸、
ミリスチン酸、リノール酸を多量に含有してお
り、これらの塩を用いた水中油型乳化組成物は、
経時安定性の悪いものであつた。又、特に牛脂を
用いた場合には臭いの点で問題があり、化粧品、
医薬品、食品等としては全く不適当な物しか得ら
れない。すなわち本発明は（）Ａ炭素数16から22の直
鎖飽和脂肪酸のナトリウム塩およびカリウム塩か
ら選ばれたすくなくとも１種と、Ｂイソステアリン酸、オレイン酸およびパルミ
トオレイン酸のナトリウム塩およびカリウム塩か
ら選ばれた少なくとも１種とからなり、かつ前記
Ａ群から選ばれた脂肪酸塩と前記Ｂ群から選ばれ
た脂肪酸塩との合計数が３種以上である脂肪酸塩
の混合物と、（）油分と、（）水とを含有する
ことを特徴とする水中油型乳化組成物である。以下、本発明の構成について詳述する。本発明で用いられる炭素数16から22の直鎖飽和
脂肪酸は、パルミチン酸、ｎ−ヘプタデカン酸、
ステアリン酸、ｎ−ノナデカン酸、アラキジン
酸、ｎ−ヘネアイコサン酸、ベヘン酸である。本発明においては上記の直鎖飽和脂肪酸とイソ
ステアリン酸、オレイン酸およびパルミトオレイ
ン酸のうちから、直鎖飽和脂肪酸の少なくとも１
種とイソステアリン酸、オレイン酸およびパルミ
トオレイン酸から選ばれる少なくとも１種とを含
む合計３種以上の脂肪酸が選ばれて用いられる。
例えば３種を選んで用いる場合、直鎖飽和脂肪酸
２種とイソステアリン酸、オレイン酸およびパル
ミトオレイン酸のうちから選ばれる１種の組み合
せでも良いし、直鎖飽和脂肪酸１種と、イソステ
アリン酸、オレイン酸およびパルミトオレイン酸
のうちから選ばれる２種の組み合せでも構わな
い。上記３種以上の脂肪酸の合計の配合量は0.5〜
5wt％である。0.5wt％以下では乳化が良くなく
5wt％以上では皮膚安全性的に好ましくない。イソステアリン酸、オレイン酸およびパルミト
オレイン酸のうちから選ばれる液状脂肪酸の配合
量は、上記３種以上の脂肪酸の総重量を１とした
とき0.2〜0.6である。これはナトリウム塩あるい
はカリウム塩としたときに、この脂肪酸混合比の
範囲で、長期間にわたつて結晶が析出しない良好
なゲルが生成するからである。イソステアリン
酸、オレイン酸およびパルミトオレイン酸のうち
から選ばれる液状脂肪酸の脂肪酸総量中に占める
割合が20wt％未満では脂肪酸の結晶が析出しや
すく、また60wt％を超えると乳化性が著しく劣
化する。本発明においては上述の通り、例えば脂肪酸３
種を組み合せる場合、直鎖飽和脂肪酸を２種用い
るか、イソステアリン酸、オレイン酸およびパル
ミトオレイン酸のうちから選ばれる液状脂肪酸を
２種用いることになる。この場合の配合比率は、
例えば、直鎖飽和脂肪酸を２種用いるのであれ
ば、一方の直鎖飽和脂肪酸と他方の直鎖飽和脂肪
酸を重量比で８：２〜２：８の比で混合すれば良
い。さらに直鎖飽和脂肪酸の種類を増やして、３
種以上を用いようとするのであれば、一方の脂肪
酸の混合比率である８、あるいは他方の脂肪酸の
配合比率である２を任意の比率で分割すれば良
い。このことはイソステアリン酸、オレイン酸お
よびパルミトオレイン酸のうちから選ばれる液状
脂肪酸を２種以上組み合せて用いる場合も同じで
ある。本発明においては上述の通り、脂肪酸３種以上
を組み合せることにより、脂肪酸の結晶析出がな
く、しかも乳化性良好な乳化組成物が得られる
が、これは乳化性は良いが結晶が析出しやすい直
鎖飽和脂肪酸のクラフト点が、液状脂肪酸と組み
合わされ、さらにもう１種の直鎖飽和脂肪酸ある
いはイソステアリン酸、オレイン酸およびパルミ
トオレイン酸のうちから選ばれる液状脂肪酸と組
み合わされてより低下するためと考えられる。本発明においては上記３種以上の脂肪酸のナト
リウム塩および／またはカリウム塩が用いられ
る。脂肪酸をナトリウム塩あるいはカリウム塩に
するには常法通り水酸化カリウム、水酸化ナトリ
ウムあるいは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リ
ン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、グルタミン
酸ナトリウム、カゼインナトリウム、ヒアルロン
酸カリウム等水溶液系で塩基性を示すナトリウム
塩あるいはカリウム塩等の塩形成物質の任意の１
種または２種以上を用いる。脂肪酸は塩にしてから３種以上を混合しても良
いし、混合してから中和してもよい。さらに、塩
にしてから本発明の水中油型乳化組成物中に配合
しても良いし、脂肪酸は油分と混合し、一方、塩
形成物質は水に混合して、乳化時に塩を形成する
方法をとつても構わない。上記塩形成物質の配合量は、脂肪酸に対して1/
１０当量以上である。配合量が1/10当量以下である
とイオン化しない脂肪酸が結晶化しやすく、低温
経時にて結晶が析出し、安定な乳化組成物が得ら
れない。本発明で用いられる水の配合量は30〜90wt％
である。本発明で用いられる油分は、スクワラン、オリ
ーブ油などの油脂および炭化水素、流動パラフイ
ン、ワセリンなどの鉱物油、イソプロピルミリス
テート、ペンタエリスリトールーテトラー２−エ
チルヘキサノエート、ビタミンＡパルミテート、
ビタミンＥアセテートなどのエステル油、メチル
フエニルシリコン、ジメチルシリコンなどのシリ
コン油等の、化粧品、医薬品、食品等の業界で一
般に利用される油分である。上記油分の配合量は一般的に0.1〜70wt％であ
る。本発明に係る乳化組成物には前記の必須成分の
他に使用目的に合わせて、多価アルコール等の保
湿剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性
剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ビタ
ミンを始めとする薬剤類、紫外線吸収剤、防腐
剤、酸化防止剤、粉末成分等を混合添加しても良
い。また、均質安定化、粘度調整の目的で、アル
コール、他の脂肪酸、水溶性高分子などを添加し
ても良い。また脂肪酸の対イオンとして、ナトリウムおよ
びカリウムの他にアルギニン、リジン、ヒスチジ
ン等の塩基性アミノ酸、及びこれらの１種または
２種以上を含む塩基性オリゴペプチド、アミノ糖
などの塩基性物質を添加すると、さらに良好な乳
化組成物が得られる。本発明で得られた水中油型乳化組成物は、均一
な微細粒子を分散した乳白色のゲル状あるいは粘
稠な乳化組成物であり、乳液、クリーム、フアウ
ンデーシヨンなどの化粧品、シヤンプー、リンス
などのトイレタリー製品、尿素クリーム、アクネ
クリームなどの医薬品、マヨネーズなどの食品等
として、また、これらの基剤として好適に使用す
ることができる。以下、本発明を実施例及び比較例によつてさら
に詳細に説明する。本発明はこれにより限定され
るものではない。実施例１〜５、比較例１〜５表−１に各成分の配合量を重量％で示す。 (B)部を80℃に加熱溶解した後、70℃に加熱溶解
した(A)部に、撹拌しながら添加し、乳化した。ホ
モミキサー処理をおこなつた後、30℃に急冷し、
水中油型乳化組成物を得た。乳化組成物の状態を
観察し、特性値を測定し、さらに、０℃、室温、
40℃、各３か月経時後の状態を観察し評価し、結
果を表−１に示した。パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸を１種
または２種以上、イソステアリン酸、オレイン酸
を１種または２種含み合計３種以上の混合脂肪酸
を配合した本発明にかかる実施例１〜５は、乳液
あるいはクリーム状の乳化組成物であるが、経時
３か月の安定性は非常に良好であり、高級脂肪酸
および高級脂肪酸塩の結晶は中性付近のPHでも全
く見られなかつた。これに対して１種または２種
の脂肪酸を配合した比較例１〜４は、脂肪酸以外
の成分の配合量は実施例１〜５と全く同じにした
ものであり、乳化はできたものの、０℃経時３か
月で、高級脂肪酸塩または高級脂肪酸の結晶が析
出した。また、比較例５は、液状脂肪酸であるオ
レイン酸のみを脂肪酸とした例だが、この場合
は、乳化がうまくゆかず、乳化組成物が得られな
かつた。

【表】

【表】安定性 ○ 結晶を生じない
× 結晶を生じる
実施例６フアンデーシヨン wt％ (A) 精製水 43.45 カルボキシメチルセルロース 0.2 ベントナイト 0.5 ポリオキシエチレングリコール400 10.0 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05 水酸化カリウム 0.1 水酸化ナトリウム 0.1 (B) 酸化チタン（ルチル型） 2.9 タルク 10.0 酸化鉄（赤） 0.3 酸化鉄（黄） 0.6 酸化鉄（黒） 0.2 (C) ステアリン酸 1.0 ベヘン酸 1.0 パルミトオレイン酸 0.5 イソステアリン酸 0.5 モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0 セトステアリルアルコール 3.0 液状ラノリン 3.0 流動パラフイン 15.0 ミリスチン酸イソプロピル 5.0 プロピルパラベン 0.3 香料 0.3 (B)部をよく混合した後、粉砕機を通し粉砕す
る。これを、70℃に加熱しベントナイト、カルボ
キシメチルセルロースを良く溶解した(A)部に添加
し、ホモミキサー処理し分散した。さらに、80℃
で溶解した(C)部を添加し乳化した。ホモミキサー
処理後30℃に冷却し、フアンデーシヨンを得た。
このフアンデーシヨンは、25℃硬度15のクリーム
状のフアンデーシヨンであり、乳化粒子径１〜
5μであつた。さらに、経時安定性は良好であり、
肌へ塗布した仕上りが良好なものであつた。

Claims

【特許請求の範囲】

１（）A.炭素数16から22の直鎖飽和脂肪酸
のナトリウム塩およびカリウム塩から選ばれたす
くなくとも１種とB.イソステアリン酸、オレイ
ン酸およびパルミトオレイン酸のナトリウム塩お
よびカリウム塩から選ばれた少なくとも１種とか
らなり、かつ前記Ａ群から選ばれた脂肪酸塩と前
記Ｂ群から選ばれた脂肪酸塩との合計数が３種以
上である脂肪酸塩の混合物と（）油分と、（）
水とを含有することを特徴とする水中油型乳化組
成物。