JP5833784B1 - クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物、及び化粧料 - Google Patents
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Abstract
Description
また、常温で液状を呈する化粧用油成分と、常温で固形状を呈する化粧用油成分の両者を用い、これらの油成分を、カルボキシビニルポリマーのアルカリ中和塩水溶液(水性ゲル)により加温条件下で高速撹拌することにより、合成界面活性剤を含有させることなく、化粧料用乳化組成物を製造することも提案されている(特許文献3参照)。
さらに、カラギーナンなどの水溶性高分子を含有させることによって、合成界面活性剤を含有させることなく、化粧料用乳化組成物を製造することも提案されている(特許文献4参照)。
また、常温で液状を呈する化粧用油成分と常温で固形状を呈する化粧用油成分を水性ゲルにより加温条件下で高速撹拌する方法では、水性ゲルの調整が必要であるため製造工程がやや煩雑になる。また、乳化組成物に水性ゲルが多量に含まれると、使用感の調整が難しくなるという問題もあった。
さらに、水溶性高分子を使用すると、経時的に乳化物の粘度や硬度が変化し、保存上の問題を生じることがある上に、水相、油相共に溶解しづらく、膨潤してダマを生じやすいため、グリセリンなどの多価アルコールに事前に溶解させたり、ホモジナイザー等の機械的な力を加えるなどの処理が必要となるため、工程が煩雑になるという問題があった。
また、特許文献7には、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びこれらのアルカリ塩を含む水中油型乳化物を睫用化粧料に用いる旨が記載されている。しかし、当該技術では、合成界面活性剤を使用していたり、アルカリ塩としてトリエタノールアミン塩を使用しており、特許文献5に係る発明とは実質的に組成が異なるものである。
すなわち、このような乳化組成物においては脂肪酸アルカリ塩が乳化剤としての役割を果たすため、脂肪酸アルカリ塩の組成が脂肪酸の組成よりも乳化安定性に強い影響を及ぼすことが推定される。しかしながら、驚くべきことに、実際にはその反対に脂肪酸の組成が脂肪酸アルカリ塩の組成よりも乳化安定性に強い影響を及ぼすという知見が得られた。
そして、本発明者らは、乳化組成物におけるベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸を特定の割合で含有させることで、幅広い範囲の脂肪酸アルカリ塩を用いて乳化安定性が飛躍的に向上したクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を得ることに成功した。
また、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を除く油性成分を、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中2〜20重量%含有するものとすることが好ましく、前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸のみを含むものとすることが好ましい。
また、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、前記脂肪酸アルカリ塩を含む水相に前記脂肪酸を含む油相を添加し、乳化して得られるものとすることが好ましい。
本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、水、油性成分、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩を含有し、粘度が500〜100,000mPa・sのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物であって、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、合成界面活性剤を実質的に含有せず、脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸を含み、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含有量が3〜11重量%であり、脂肪酸中のベヘン酸/ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が15〜65/5〜85/0〜80であり、脂肪酸アルカリ塩がC12〜C22の飽和脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩であり、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量に対して、脂肪酸アルカリ塩を20〜45重量%含有することを特徴とする。
また、従来、合成界面活性剤を使用しない乳化安定化のアプローチとして知られている高級アルコールの併用では、高級アルコールが比較的多量(1%以上)必要となることで、被膜感や粉っぽさといった使用感の低下が起こりやすい。これに対し、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物によれば、高級アルコール無添加の状態でも十分な乳化安定性を得ることができるため、乳化安定性と使用感の両面で優れた乳化物を得ることが可能となる。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物からなる製品としては、例えばモイスチャークリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、バニシングクリーム、ナリシングクリーム、ファンデーションクリーム、ひげそり用クリーム、ヘアクリーム、ハンドクリーム、ボディークリーム、シャンプー、コンディショナー、乳液等を挙げることができる。
また、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、「脂肪酸アルカリ塩」として、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等のC12〜C22の飽和脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩を含有する。
また、予め調製された脂肪酸アルカリ塩を配合することにより、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させることもできる。
さらに、系内での脂肪酸とアルカリとの反応、及び予め調製された脂肪酸アルカリ塩の配合を併用することにより、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させることも可能である。
まず、油性成分として、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を含むA相を準備する。
また、アルカリと反応させて脂肪酸アルカリ塩を得るためのC12〜C22の飽和脂肪酸を含むB相を準備する。
また、B相における飽和脂肪酸を、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸からなるものとした場合、これらの含有割合は、A相における脂肪酸のベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の含有割合と異なるものとしても良い。
すなわち、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸アルカリ塩として、ベヘン酸アルカリ塩、ステアリン酸アルカリ塩、及びパルミチン酸アルカリ塩が含有される場合、ベヘン酸アルカリ塩/ステアリン酸アルカリ塩/パルミチン酸アルカリ塩の重量比が、脂肪酸中のベヘン酸/ステアリン酸/パルミチン酸の重量比と異なっていてもよい。
そして、C相にB相の飽和脂肪酸を添加して混合撹拌し、脂肪酸アルカリ塩を含む混合物を調製した後、得られた混合物にA相を添加し、乳化機を用いて均一に乳化することにより、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造することができる。
脂肪酸アルカリ塩の組成をこのようにすると、得られるクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を離水しにくく、使用感に優れ、粘度も適切なものとすることができるためである。
このような観点から、脂肪酸アルカリ塩の組成を、C12〜C18の飽和脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩とすることがより好ましく、C14〜C18の飽和脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩とすることがさらに好ましい。
すなわち、図4において、以下の4点:(B=65,S=35,P=0);(B=65,S=5,P=30);(B=15,S=5,P=80);及び(B=15,S=85,P=0)で囲まれる範囲内の重量比で脂肪酸を含有する。
ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の含有割合をこのようにすると、得られるクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を離水しにくく、使用感に優れ、粘度も適切なものとすることができる。
すなわち、図4において、以下の4点:(B=60,S=40,P=0);(B=60,S=10,P=30);(B=20,S=10,P=70);及び(B=20,S=80,P=0)で囲まれる範囲内の重量比で脂肪酸を含有することがより好ましい。
すなわち、図4において、以下の5点:(B=60,S=30,P=10);(B=60,S=20,P=20);(B=20,S=20,P=60);(B=20,S=50,P=30);及び(B=40,S=50,P=10)で囲まれる範囲内の重量比で脂肪酸を含有することがさらに好ましい。
脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量をこのようにすると、得られるクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を離水しにくく、使用感に優れ、粘度も適切なものにすることができるためである。
このような観点から、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量を、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、4〜11重量%とすることがより好ましく、5〜11重量%とすることがさらに好ましく、8〜10重量%とすることがより一層好ましい。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、脂肪酸アルカリ塩の含量を、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量に対して、20〜45重量%とすることが好ましい。
脂肪酸アルカリ塩の含量をこのようにすると、得られるクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を離水しにくく、使用感に優れ、粘度も適切なものとすることができるためである。
このような観点から、脂肪酸アルカリ塩の含量を、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量に対して、20〜42重量%とすることがより好ましく、20〜40重量%とすることがさらに好ましい。
また、アルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を用いることができ、水酸化カリウムを用いることが好ましい。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を除く油性成分の含量は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、例えば2〜20重量%とすることが好ましい。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、保湿剤の含量は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、例えば2〜25重量%とすることができる。
具体的には、例えばショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE−ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、POE−アルキルエーテル、POE−アルキルフェニルエーテル、POE・POP−グリコール、POE・POP−アルキルエーテル、及びそれらの誘導体等が挙げられる(POEはポリオキシエチレン鎖、POPはポリオキシプロピレン鎖を表す)。
なお、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸アルカリ塩は、界面活性剤の一種であるが、家庭用品品質表示法において「純石けん分」として合成界面活性剤とは明確に区別されており、合成界面活性剤とは別種のものである。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における水の含量は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、例えば、50〜90重量%とすることができる。
なお、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に、その他に一般的に使用されている酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤、無機鉱物、美白剤、香料、色素等を含有させても良い。
[試験1]
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸アルカリ塩の組成の乳化安定性への影響を確認するために、各種脂肪酸アルカリ塩の組成毎にクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、それぞれの乳化安定性、粘度及び使用感についての評価を行った。
また、脂肪酸アルカリ塩としてラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ベヘン酸カリウム、オレイン酸カリウムをそれぞれ含有し、残留脂肪酸としてM2と同じものを含有する組成(M4〜M8)について試験を行った。
まず、油性成分として、M1〜M8のそれぞれについて、脂肪酸を7.5重量%、その他の油性成分として、ハイオレイックヒマワリ油、ホホバ油、オリーブスクワランからなる液体油を8重量%、防腐剤を0.12重量%、及び酸化防止剤を0.05重量%処方し、これらの油性成分を混合してA相とした。
また、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量に対する脂肪酸アルカリ塩の含量が29重量%となるように、アルカリと反応させてM1〜M8の脂肪酸アルカリ塩を得るための脂肪酸約2.5重量%を含むB相を準備した。
さらに、水溶性成分として、グリセリンを18重量%、エキス成分を0.1重量%、B相の脂肪酸と等量の48%KOH水溶液を処方し、全体の残量を水として、これらの水溶性成分を混合し、C相とした。
すなわち、製造後1日経過したクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を、チャック付きスタンドパック袋 ラミジップLZ−9(株式会社生産日本社製)の底部に40g入れ、ある程度袋を膨らませた状態でチャックをして、熱シールで密封した。これを10℃の恒温槽に入れて3時間以上放置した。次に加圧棒が固定されたレオメーター用昇降テーブルを恒温槽に入れ、上記の袋をテーブルに両面テープで固定した。テーブルを稼働させて加圧棒が袋の底部におけるクリームを十分に押圧できるように調整した。そして、この加圧装置を用いて、毎分24回、24時間加圧を行った。加圧終了後、クリームを底部に寄せて逆さにし、そのまま10℃の恒温槽で離水するまで保存した。
・加圧中 :非常に低い(図中の×)
・1〜3日 :比較的低い(図中の△)
・4〜9日 :比較的高い(図中の○)
・10〜29日 :高い (図中の◎)
・30日以上 :極めて高い(図中の☆)
また、この加圧試験における離水までの期間は、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の乳化安定性を加速的に評価したものであり、加圧試験で長期間離水しないものは、極めて長期間の保管に適するなど、乳化安定性に関する優れた効果を奏するものである。
・3.1以上 :良い (図中の◎)
・2.6〜3.0:普通 (図中の○)
・2〜2.5 :やや悪い(図中の△)
・1.9以下 :悪い (図中の×)
これに対して、脂肪酸アルカリ塩としてM1と同じものを含有し、脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を含有する組成(M2)のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、使用感が概ね良好であり、粘度も適切な値を示し、乳化安定性が極めて高いものであった。
また、脂肪酸アルカリ塩としてステアリン酸カリウムを含有し、脂肪酸としてM2と同じものを含有する組成(M3)のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物も、使用感が概ね良好であり、粘度も適切な値を示し、乳化安定性が極めて高いものであった。
一方、M2とM3とを比較すると、脂肪酸アルカリ塩の組成による大きな影響は見られず、M2とM3の乳化安定性は、ほぼ同等である結果となっている。
これらのことから、乳化剤である脂肪酸アルカリ塩の組成よりも、脂肪酸の組成が乳化安定性により強く影響していることが分かる。
一方、脂肪酸アルカリ塩として不飽和脂肪酸のアルカリ塩であるオレイン酸カリウムを含有し、脂肪酸としてM2と同じものを含有する組成(M8)のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、使用感が概ね良好であり、粘度も適切な値を示しているが、乳化安定性が非常に低いものであった。
したがって、脂肪酸アルカリ塩としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などのC12〜C22の飽和脂肪酸のアルカリ塩を用いることが好ましいことが明らかとなった。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に脂肪酸として含有させるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の3成分の好適な割合の範囲を特定するための試験を行った。
具体的には、以下のP1〜P18までの18通りの脂肪酸組成について、脂肪酸アルカリ塩としてパルミチン酸カリウムを用いると共に、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量を9.3重量%、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量に対する脂肪酸アルカリ塩の含量を29重量%として、各クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、乳化安定性、粘度、使用感についての評価を行った。
なお、本試験のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造方法、並びに乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。
P2(10:80:10)
P3(10:10:80)
P4(45:45:10)
P5(10:45:45)
P6(45:10:45)
P7(33:33:33)
P8(56:22:22)
P9(22:56:22)
P10(22:22:56)
P11(20:70:10)
P12(70:20:10)
P13(70:10:20)
P14(20:10:70)
P15(60:30:10)
P16(20:80:10)
P17(50:50:0)
P18(50:0:50)
これらの図において、P4(45:45:10)(実施例7)、P6(45:10:45)(実施例8)、P7(33:33:33)(実施例9)、P8(56:22:22)(実施例10)、P9(22:56:22)(実施例11)、P10(22:22:56)(実施例12)、P11(20:70:10)(実施例13)、P14(20:10:70)(実施例14)、P15(60:30:10)(実施例15)、P16(20:80:0)(実施例16)、及びP17(50:50:0)(実施例17)の脂肪酸組成のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、使用感が概ね良好であり、粘度も適切な値を示し、極めて高いか、又は高い安定性を示していた。
試験2により優れた乳化安定性、粘度及び使用感を示すことが確認された脂肪酸の組成を、三角図に表した。その結果を図4に示す。
図4の三角図において、(B)は、ベヘン酸を、(S)は、ステアリン酸を、(P)は、パルミチン酸を示し、右斜辺がベヘン酸の重量%を、左斜辺がステアリン酸の重量%を、底辺がパルミチン酸の重量%をそれぞれ示している。三角図内の任意の点により、これら3種類の脂肪酸の合計が100重量%となる脂肪酸組成を表すことができる。
このように、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、上記の脂肪酸の含有割合の範囲において、好適な乳化安定性、優れた粘度及び使用感を示すことが明らかとなった。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の好適な合計含量を特定するための試験を行った。
具体的には、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量が2.1重量%、4.2重量%、8.4重量%、9.2重量%、10.5重量%、12.6重量%である場合のそれぞれについて、脂肪酸アルカリ塩としてステアリン酸カリウムを用いると共に、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量に対する脂肪酸アルカリ塩の含量を29重量%、脂肪酸組成を(B=33,S=33,P=33)として、各クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、それぞれの乳化安定性、粘度及び使用感についての評価を行った。本試験のその他の点についてのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造方法、並びに乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。その結果を図5に示す。
一方、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量が4.2〜10.5重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、使用感が概ね良好であり、粘度も適切な値を示し、極めて高いか又は比較的高い安定性を示した(実施例18〜21)。
また、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量が12.6重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、極めて高い安定性を示したものの、粘度が極端に高く、実用に適さないものであった(比較例11)。
したがって、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量を3〜11重量%とすることが好適であることが分った。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸アルカリ塩の好適な含有割合を特定するための試験を行った。
具体的には、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量に対する脂肪酸アルカリ塩の含量(石けん分割合)が17重量%、21重量%、29重量%、36重量%、43重量%、50重量%である場合のそれぞれについて、脂肪酸アルカリ塩としてステアリン酸カリウムを用いると共に、脂肪酸組成を(B=33,S=33,P=33)として、各クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、それぞれの乳化安定性、粘度及び使用感についての評価を行った。本試験のその他の点についてのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造方法、並びに乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。その結果を図6に示す。なお、図6におけるS3のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、図5におけるT4(実施例20)のものと同一である。
一方、石けん分割合が21〜43重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物(実施例22、20、23、24)は、使用感が概ね良好であり、粘度も適切な値を示し、極めて高いか、高いか、又は比較的高い安定性を示した。
また、石けん分割合が50重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物(比較例13)は、粘度は適切な値であるものの、外観が悪く、比較的低い安定性を示した。
例えば、脂肪酸以外の油性成分として、実施例とは異なる他の液体油を含有させるなど適宜変更することが可能である。
Claims (4)
- 水、油性成分、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩を含有し、粘度が500〜100,000mPs・Sのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物であって、
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、合成界面活性剤を実質的に含有せず、
前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸を含み、前記脂肪酸及び前記脂肪酸アルカリ塩の合計含有量が3〜11重量%であり、
前記脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量に対して、前記脂肪酸アルカリ塩を20〜45%含有し、
前記脂肪酸アルカリ塩としてC12〜C22の飽和脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩を含む水相に、前記脂肪酸中のベヘン酸/ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が15〜65/5〜85/0〜80である脂肪酸を含む油相を添加し、乳化して得られる
ことを特徴とするクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。 - ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を除く油性成分を、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中2〜20重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
- 前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸のみを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物からなる化粧料。
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