JP2016056111A - ナノエマルションを調製するための方法 - Google Patents

ナノエマルションを調製するための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016056111A
JP2016056111A JP2014181470A JP2014181470A JP2016056111A JP 2016056111 A JP2016056111 A JP 2016056111A JP 2014181470 A JP2014181470 A JP 2014181470A JP 2014181470 A JP2014181470 A JP 2014181470A JP 2016056111 A JP2016056111 A JP 2016056111A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nanoemulsion
surfactant
emulsion
fatty
rotational speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014181470A
Other languages
English (en)
Inventor
英俊 山田
Hidetoshi Yamada
英俊 山田
三栖 大介
Daisuke Misu
大介 三栖
裕子 上川
Hiroko Kamikawa
裕子 上川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
LOreal SA
Original Assignee
LOreal SA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by LOreal SA filed Critical LOreal SA
Priority to JP2014181470A priority Critical patent/JP2016056111A/ja
Publication of JP2016056111A publication Critical patent/JP2016056111A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】ナノエマルション、特に、たとえば、200nm以下の小平均液滴径を有するエマルションを、高エネルギー撹拌又は特定の大がかりな器具を必要としない方法を通じて製造する。【解決手段】ナノエマルションを形成するための方法は、少なくとも1種の脂肪物質、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の共界面活性剤、及び水を、60から90℃の温度で、200nm以下の平均粒径を有する混合物が得られるような第1の回転速度を有する第1の混合条件下で均質化する工程、並びに該混合物を室温まで、200nm以下の平均粒径を有する安定化ナノエマルションが得られるような第2の回転速度を有する第2の混合条件下で冷却する工程を含む。脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪アルコールを含み、共界面活性剤は、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドのうちの少なくとも1つを含む。第2の回転速度は、第1の回転速度未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、ナノエマルション、特に200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm未満の平均液滴径を有するナノエマルションを調製するための方法に関する。本発明はまた、かかる方法により製造されるナノエマルションに関する。
ナノエマルションは、典型的には20〜200nmの範囲の小径液滴、及び狭い液滴径分布を有するエマルションである。ナノエマルションはその高い動力学的安定性及び光透過性ゆえに、様々な工業的用途、たとえば製薬分野における薬物送達システム、化粧品におけるパーソナルケア配合、農業用化学製品における農薬送達システムにとって魅力的である。特に、それらの小さい液滴径ゆえに、ナノエマルションは一般に、柔らかく滑らかなテクスチャーを有し、したがって、化粧、皮膚科、又はメイクアップ製品を調製するために好ましく使用されてきた。
小径液滴、たとえばナノエマルションを有するエマルションを調製するための従来の方法には、高エネルギー乳化法及び低エネルギー乳化法が含まれる。しかしながら、かかる従来の方法は、大きな欠点を有しうる。高エネルギー乳化法は、液滴をナノサイズ粒子に物理的に破砕して、エマルションを形成するための大がかりな器具を必要とすることが多い。たとえば、高圧ホモジナイザー、高剪断ミキサー、又は超音波発生器を、ナノエマルションを調製するために使用しなければならない。他方、従来の低エネルギー乳化法、たとえば自然乳化法、溶媒拡散法、及び転相温度(PIT)法は通常、成分を乳化するための大規模な器具を必要としない。しかしながら、かかる低エネルギー法を通じて調製されるエマルションが、たとえば、100nm以下、特に90nm未満の液滴を有することはほとんどない。
たとえば、US2006/0217283は、いわゆるPIT法を通じて調製されたエマルションを開示しており、この場合、最初に油相と水性相との混合物を混合して油中水エマルションを形成し、次に冷却して水中油エマルションへと転相させる。このように調整されたエマルションの平均粒径は、90nm程度もの小ささである。
US2006/0217283
「The correlation between phase inversion temperature in emulsion and cloud point in solution of nonionic emulsifier」、J. Phys. Chem.、68、3485〜3490頁(1964年)
したがって、ナノエマルション、特に、たとえば200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm未満の小平均液滴径を有するエマルションを、高エネルギー撹拌又は特定の大がかりな器具を必要としない方法を通じて製造する必要がある。
本発明の一態様は、高エネルギー撹拌又は大がかりな器具を必要とせず、したがって先行技術の方法と比較して実施が容易である、200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm未満の平均粒径を有するナノエマルションを調製するための方法を提供することである。
本発明の別の一態様は、化粧用又は皮膚科用組成物として好適な、200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm未満の平均粒径を有するナノエマルションを提供することである。
本発明の一態様によれば、ナノエマルションを形成するための方法は、少なくとも1種の脂肪物質、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の共界面活性剤、及び水を、60から90℃の温度で、200nm以下の平均粒径を有する混合物が得られるような第1の回転速度を有する第1の混合条件下で均質化する工程、並びに該混合物を室温まで、200nm以下の平均粒径を有する安定化ナノエマルションが得られるような第2の回転速度を有する第2の混合条件下で冷却する工程を含む。脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪アルコールを含み、共界面活性剤は、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドのうちの少なくとも1つを含む。第2の回転速度は、第1の回転速度未満である。
本発明の一態様において、第1の回転速度は、100から800rpmである。別の一態様において、第2の回転速度は、150rpm未満である。本発明の一態様において、本方法は、室温で、100から800rpmの第3の回転速度で、ナノエマルションを感熱物質と混合する工程を更に含む。第3の回転速度は、第2の回転速度以上である。
本発明の別の一態様によれば、ナノエマルションは、少なくとも1種の脂肪物質、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の共界面活性剤、及び水を、60から90℃の温度で、200nm以下の平均粒径を有する混合物が得られるような第1の回転速度を有する第1の混合条件下で均質化する工程、並びに該混合物を室温まで、200nm以下の平均粒径を有する安定化ナノエマルションが得られるような第2の回転速度を有する第2の混合条件下で冷却する工程を含む方法により製造される。脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪アルコールを含み、共界面活性剤は、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドのうちの少なくとも1つを含む。第2の回転速度は、第1の回転速度未満である。
本発明の別の一態様によれば、ナノエマルションは、化粧用又は皮膚科用組成物に好適である。
前述の一般的説明及び以下の詳細な説明はいずれも例示的及び説明的なものにすぎず、本発明を限定しないことが理解されるものとする。
上の教示に照らして、本発明の数多くの修正及び変形が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲内において、本発明を具体的に本明細書に記載した以外の仕方で実施できることが理解されるものとする。
本願において、「室温」という用語は、通常条件下の温度を指し、一般に、約15℃から約27℃の温度を意味するものと理解される。
本明細書において使用される「油相」は、下に定義する脂肪物質、又は任意の他の親油性物質を含有する相を意味する。
本明細書において使用される「水相」又は「水性相」は、親水性物質、特に油相を構成する物質以外の物質を含有する相を意味する。
本願において組成物は、組成物がそれ自体の質量で流動せず、特定の形状のままであるとき、「固体」であると考えられる。ペースト状化合物は、その粘度に応じて、固体と考えられる場合もあるし、又は固体と考えられない場合もある。
本発明の一態様によれば、上述の方法を通じて調製されるナノエマルションは、少なくとも1種の脂肪物質、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の共界面活性剤、及び水を含む。
(脂肪物質)
ナノエマルションは、少なくとも1種の脂肪物質を含む。本明細書において使用される「脂肪物質」という用語は、室温及び大気圧(760mmHg)で、水に不溶性(溶解度が5%未満、好ましくは1%未満、より一層好ましくは0.1%未満)である有機化合物を意味する。脂肪物質は、その構造中に、少なくとも1つの、連続する少なくとも2つのシロキサン基、又は少なくとも1つの、少なくとも6個の炭素原子を含有する炭化水素系鎖を含んでいてもよい。脂肪物質は、一般に親油性物質であり、室温及び大気圧で有機溶媒、たとえばクロロホルム、エタノール、ベンゼン、液状ワセリン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性であってもよい。
脂肪物質は、好ましくは油である。本明細書において使用される「油」は、室温及び大気圧で固体形態でない任意の脂肪物質を意味する。化粧又は皮膚科使用に好適な任意の油を、本発明において使用できる。好適な油には、揮発性及び不揮発性油の両方が含まれていてもよい。
本発明において有用でありうる脂肪物質は、好ましくは、室温、大気圧下で液状形態であるか、又は固体ではない。脂肪物質は、炭化水素油、シリコーン油、及び含フッ素油(fluoro oils)から、好ましくは炭化水素油及びシリコーン油から、より好ましくは炭化水素油から選択されてもよい。
炭化水素油は、動物、植物、鉱物、又は合成由来の炭化水素系油であってもよい。本明細書において使用される「炭化水素系油」は、直鎖状又は分枝状、揮発性又は不揮発性の、炭素及び水素原子、並びに場合によってエステル、エーテル又はフルオロ基を主に含有する、任意の油を意味する。
動物由来の炭化水素系油の例には、スクアレン、ペルヒドロスクアレン及びスクアランが含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。
植物由来の炭化水素系油には、植物油又は野菜油として知られている油が含まれていてもよい。植物由来の炭化水素系油の例には、スイートアーモンド油、コリアンダー油、落花生油、ヤシ油、シア脂油、パーム油、亜麻仁油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、ヒマワリ油、杏仁油、ダイズ油、アララ油(arara oil)、ヘイゼルナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、アーモンド油、ブドウ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、ゴマ種子油、キャノーラ油、杏仁油、マンゴー油、クルミ油、ケシ種子油、オオムギ油、ライムギ油、及びそれらの混合物が含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。
鉱物又は合成由来の炭化水素系油は、揮発性でも不揮発性でもよく、かかる油の例には、流動パラフィン、ワセリン、液状ワセリン(鉱油)、水添イソパラフィン又は水添ポリイソブテン、たとえばParleam(登録商標)、ペルヒドロスクアレン、ポリデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン及びそれらの混合物が含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。それらのなかでも特に好ましくは、鉱油が使用できる。
好ましくは、炭化水素油は、動物、植物、又は鉱物由来の炭化水素系油から選択される。本発明において、特に好ましい炭化水素油は、鉱物由来の炭化水素系油、特に鉱油である。
脂肪物質はまた、合成エステル及びエーテル、脂肪アルコール並びに脂肪アミドから選択されてもよい。
合成エステル及びエーテルの例には、式R1COOR2及びR1-OR2(式中、R1は、8個から29個の炭素原子を含む脂肪酸又は脂肪アルコールの残基を表し、R2は、3個から30個の炭素原子を含む分枝状又は非分枝状炭化水素鎖を表す)の油が含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。たとえば、ピュアセリンオイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル(又はパルミチン酸オクチル)、ラノリン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル又はイソステアリン酸イソステアリル、ヒドロキシル化エステル、たとえば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル又は脂肪アルコールのヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル若しくはデカン酸エステル、ポリオールエステル、たとえばジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコール、並びにペンタエリスリトールエステル、たとえばテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、又はアミノ酸の親油性誘導体、たとえばラウロイルサルコシンイソプロピルを使用できる。
他の例示的エステルには、たとえば、カプリン酸/カプリル酸2-エチルヘキシル(又はカプリン酸/カプリル酸オクチル)、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、モノヤシ油脂肪酸2-エチルヘキシル(又はモノヤシ油脂肪酸オクチル)、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル(又はステアリン酸オクチル)、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、ペラルゴン酸2-エチルヘキシル(又はペラルゴン酸オクチル)、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル(又はヒドロキシステアリン酸オクチル)、オレイン酸デシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)(又はアジピン酸ジオクチル)、アジピン酸ジイソセチル、コハク酸2-エチルヘキシル(又はコハク酸オクチル)、セバシン酸ジイソプロピル、リンゴ酸2-エチルヘキシル(又はリンゴ酸オクチル)、カプリン酸/カプリル酸ペンタエリスリチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、(又はヘキサン酸オクチル)、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸セテアリル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル(又は2-エチルヘキサン酸オクチル)、オクタン酸2-エチルヘキシル(又はオクタン酸オクチル)、及び2-エチルヘキサン酸セチルが含まれていてもよい。
本発明において有用でありうる脂肪アルコールは、非アルコキシル化、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状で、6個から30個の炭素原子、より具体的には8個から30個の炭素原子を有していてもよい。本発明において好ましく使用される脂肪アルコールは、室温で液状形態であるか、又は固体ではない。脂肪アルコールの例には、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール(oleic alcohol)及びリノレイルアルコール(linoleic alcohol)が含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びミリシルアルコールもまた使用できる。
脂肪アミドの例には、ラウロイルサルコシンイソプロピルが含まれる。
脂肪物質はまた、揮発性又は不揮発性シリコーン油であってもよい。本発明において好ましく使用される揮発性又は不揮発性シリコーン油の例には、シクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、たとえばシクロヘキサシロキサン、アルキル、アルコキシ又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、たとえばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート及びポリメチルフェニルシロキサンが含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。
本発明に好適でありうる含フッ素油には、ペルフルオロメチルシクロペンタン及びノナフルオロメトキシブタンが含まれていてもよい。
本発明の一態様によれば、室温、大気圧下で液状形態である炭化水素油、シリコーン油、及び含フッ素油が好ましく使用されるとはいえ、他のタイプの脂肪物質もまた使用できる。たとえば、本発明のナノエマルションには、化粧品及び皮膚科製品において好適に使用されるワックスが含まれていてもよい。本明細書において使用される「ワックス」は、室温、大気圧下で実質的に固体であり、たとえば30℃以上の融点を有する脂肪物質を意味する。かかるワックスの代表的な例には、動物、植物、又は鉱物由来のワックス、たとえばビーズワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、ラノリンワックス、モンタンワックス、及びオゾケライト(ozolerites)、水添油、たとえば水添ホホバ油、合成由来のワックス、たとえばポリエチレンワックス、並びにシリコーンワックス、たとえばアルキル-及びアルコキシ-ポリ(ジ)メチルシロキサン又はポリ(ジ)メチルシロキサンエステルが含まれていてもよい。
本発明の一態様によれば、脂肪物質には、上述の少なくとも1種の脂肪アルコールが含まれる。好ましくは、脂肪アルコールは、室温で液状形態であるか、又は固体ではない。
室温で液状形態である脂肪アルコールの例には、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール及びリノレイルアルコールが含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。脂肪アルコールは単独で使用でき、又は2種以上の異なるタイプの脂肪アルコールを組み合わせて使用できる。
脂肪アルコールの量は、ナノエマルションの質量に対して、0.1から50質量%、好ましくは0.5質量%から15質量%、好ましくは1質量%から10質量%であってもよい。
好ましくは、本発明のナノエマルションは、2種以上の脂肪物質を含む。すなわち、ナノエマルションは、少なくとも1種の脂肪アルコール及び少なくとも1種の異なる脂肪物質を含んでいてもよい。たとえば、ナノエマルションは、脂肪アルコールに加えて、脂肪アルコール以外の少なくとも1種の脂肪物質を含んでいてもよい。脂肪物質の代表的な組合せは、たとえば、脂肪アルコール及び炭化水素油、特に、脂肪アルコール及び動物、植物、鉱物、又は合成由来の炭化水素系油、脂肪アルコール及び合成エステル及びエーテル、脂肪アルコール及びシリコーン油、並びに脂肪アルコール及び含フッ素油である。ここで、脂肪アルコール及び炭化水素油の組合せは、2種以上の異なるタイプの脂肪アルコールの組合せを含んでいなくてもよい。上述の組合せのなかでも、脂肪物質の好ましい組合せには、たとえば、脂肪アルコール及び動物、植物、鉱物、又は合成由来の炭化水素系油、脂肪アルコール及びシリコーン油、好ましくは脂肪アルコール及び鉱物由来の炭化水素系油、特に鉱油が含まれていてもよい。
ナノエマルションが、脂肪アルコールに加えて少なくとも1種の脂肪物質を含むとき、追加の脂肪物質は、単一のタイプの脂肪物質、又は2種以上の異なるタイプの脂肪物質の組合せであってもよい。たとえば、脂肪アルコールに加えて、ナノエマルションは、炭化水素油、シリコーン油、含フッ素油、ワックス等、及びそれらの組合せを含んでいてもよい。ナノエマルションが脂肪アルコールに加えて1種又は複数の脂肪物質を含むとき、それぞれの追加の脂肪物質の量の比は限定されない。
追加の脂肪物質の総量は、ナノエマルションの質量に対して、0.5質量%から70質量%、好ましくは5から50質量%、より好ましくは10から50質量%であってもよい。本明細書において使用される「追加の脂肪物質の総量」は、脂肪アルコールに加えてナノエマルション中に含まれる脂肪物質の量の総和を意味することが意図されている。したがって、かかる量は、脂肪アルコールの質量を含まない。
ナノエマルションが、脂肪アルコール及び炭化水素油、たとえば動物、植物、鉱物、若しくは合成由来の炭化水素系油、又は脂肪アルコール及びシリコーン油を含むとき、炭化水素油又はシリコーン油の量は、ナノエマルションの質量に対して、0.5質量%から70質量%、好ましくは5から50質量%、より好ましくは10から50質量%であってもよい。
好ましくは、ナノエマルションにおいて組み合わせられた脂肪アルコールの任意の他の追加の脂肪物質に対する質量比は、0.5から20、好ましくは1から20である。
脂肪物質の総量は、ナノエマルションの質量に対して、好ましくは5質量%から80質量%、好ましくは5質量%から50質量%である。本明細書において使用される「脂肪物質の総量」という用語は、上述の脂肪アルコール及び任意の他の脂肪物質を含む、ナノエマルション中に含有されるすべての脂肪物質の量の総和を指す。
(非イオン性界面活性剤)
ナノエマルションは、下に定義するとおり、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。本発明によれば、化粧又は皮膚科製品において望ましく使用される任意の非イオン性界面活性剤を利用できる。非イオン性界面活性剤の例には、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化されている、たとえば、8個から18個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有する、アルコール、アルファ-ジオール、アルキルフェノール及び脂肪酸のエステルが含まれていてもよいが、これらに限られるものではなく、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数は2個から50個の範囲であり、グリセロール基の数は2個から30個の範囲であることが可能である。マルトース誘導体もまた挙げられる。非限定的な例にはまた、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと脂肪アルコールとの縮合物、たとえば、2から30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド、たとえば1個から5個、たとえば1.5個から4個のグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド、2から30molのエチレンオキシドを含むソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル、植物由来のエトキシル化油、スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、グリセロールの脂肪酸モノ又はジエステル、N-(C6〜C24)アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド、たとえば(C10〜C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10〜C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド、並びにそれらの混合物も含まれていてもよい。
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、オキシアルキレン化(モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化)、及びグリセロール化(モノグリセロール化又はポリグリセロール化)非イオン性界面活性剤から選択されてもよい。オキシアルキレン単位は、より具体的には、オキシエチレン単位若しくはオキシプロピレン単位、又はそれらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
挙げられるオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下が含まれる。すなわち、
とりわけ単独で又は混合物として、オキシアルキレン化(C8〜C24)アルキルフェノール、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状のオキシアルキレン化C8〜C30アルコール、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状のオキシアルキレン化C8〜C30アミド、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状のC8〜C30酸とポリエチレングリコールとのエステル、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状のC8〜C30酸とソルビトールとのポリオキシアルキレン化エステル、飽和又は不飽和、オキシアルキレン化植物油、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
界面活性剤は、1から100の間、好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有していてもよい。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を一切含まない。
好ましくは、オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化C8〜C30アルコール又はエトキシル化脂肪エステルから選択される。
挙げられるエトキシ化(又はオキシエチレン化)脂肪アルコール(又はC8〜C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、9個から50個のオキシエチレン基を含有するもの、より具体的には、10個から12個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではラウレス-10からラウレス-12)、ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、9個から50個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではベヘネス-9からベヘネス-50)、セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ、10個から30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではセテアレス-10からセテアレス-30)、セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、10個から30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではセテス-10からセテス-30)、ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、10個から30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではステアレス-10からステアレス-30)、イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、10個から50個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではイソステアレス-10からイソステアレス-50)、及びそれらの混合物が含まれる。
挙げられるエトキシル化脂肪エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルのエチレンオキシド付加物、及びそれらの混合物、とりわけ、9個から50個のオキシエチレン基を含有するもの、たとえばラウリン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ラウリン酸PEG-9からラウリン酸PEG-50のもの)、パルミチン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:パルミチン酸PEG-9からパルミチン酸PEG-50のもの)、ステアリン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ステアリン酸PEG-9からステアリン酸PEG-50のもの)、パルミトステアリン酸PEG-9からPEG-50、ベヘン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ベヘン酸PEG-9からベヘン酸PEG-50のもの)、及びそれらの混合物が含まれる。
これらの脂肪アルコール及び脂肪エステルのオキシエチレン化誘導体の混合物もまた使用できる。
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールが好ましく使用される。
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールは、下式
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
に相当し、
式中、Rは、直鎖状又は分枝状C8〜C40、好ましくはC8〜C30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1から30、好ましくは1から10の範囲の数を表す。
好適な化合物には、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールが含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。
mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールはアルコールの混合物を表しうるのであり、このことは、市販品において、複数種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存しうることを意味する。
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールのなかでも、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが一層特に好ましい。
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、室温、大気圧下で液状形態であるか、又は固体ではない。非イオン性界面活性剤は、上に定義した脂肪物質の一部を形成しない。
非イオン性界面活性剤は、15以下、好ましくは7から12のHLB値を有してもよい。
非イオン性界面活性剤の量は、ナノエマルションの質量に対して、3質量%から20質量%、好ましくは5質量%から15質量%であってもよい。
本発明の一態様によれば、脂肪物質の非イオン性界面活性剤に対する比は、1から7、好ましくは2から6、好ましくは2から5であってもよい。
(共界面活性剤)
ナノエマルションは、少なくとも1種の共界面活性剤を含む。共界面活性剤には、両性界面活性剤、アルキルポリグルコシド、又は両方の組合せが含まれる。本明細書において使用される両性界面活性剤には、双性イオン性界面活性剤が含まれていてもよい。
共界面活性剤は、化粧又は皮膚科使用に望ましい任意の両性界面活性剤であってもよい。両性界面活性剤は、たとえば、アミン誘導体、たとえば、脂肪族第二級又は第三級アミン、及び任意選択で四級化アミン誘導体であってもよく、これらにおいて、脂肪族基は、8個から22個の炭素原子を含み、少なくとも1種の水溶性化アニオン性基(たとえば、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン又はホスホン酸イオン)を含有する直鎖状又は分枝状鎖である。
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン、アンホ酢酸塩、及びヒドロキシスルタインから選択されてもよい。両性界面活性剤は、単独で、又は異なるタイプの両性界面活性剤と組み合わせて使用できる。
ベタイン型両性界面活性剤の例には、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン、及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、特に、(C8〜C24)アルキルベタイン、(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、及び(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルスルホベタインが含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。ベタイン型の両性界面活性剤は、(C8〜C24)アルキルベタイン、(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン、及びホスホベタインから選択されてもよい。
ベタイン型両性界面活性剤非限定的な例は、単独で又は混合物として、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、及びココスルタインである。
両性界面活性剤はまた、(C8〜C24)アルキルアンホ一酢酸塩、(C8〜C24)アルキルアンホ二酢酸塩、(C8〜C24)アルキルアンホ一プロピオン酸塩、及び(C8〜C24)アルキルアンホ二プロピオン酸塩から選択されてもよい。
かかる化合物の例には、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホ二プロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホ二プロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホ二プロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホ二プロピオン酸、及びココアンホ二プロピオン酸が含まれていてもよい。
両性界面活性剤は、単独で、又は異なるタイプの両性界面活性剤と組み合わせて使用できる。
共界面活性剤は、アルキルポリグルコシドであってもよい。本発明において好ましく使用されるアルキルポリグルコシドには、6個から30個の炭素原子、好ましくは8個から16個の炭素原子、より好ましくは8個から14個の炭素原子を有するアルキル基を含有し、1.2から3グルコシド単位を好ましくは含む親水基(グルコシド)を含有するものが含まれていてもよい。アルキルポリグルコシドの例には、デシルグルコシド[アルキル-C9/C11-ポリグルコシド(1.4)]、たとえばKao Chemicals社によりMydol 10(登録商標)の名称で販売されている製品、Cognis社によりPlantaren 2000 UP(登録商標)の名称で販売されている製品、及びSEPPIC社によりOramix NS 10(登録商標)の名称で販売されている製品、カプリリル/カプリルグルコシド、たとえばSEPPIC社によりOramix CG 110(登録商標)の名称で販売されている製品、ラウリルグルコシド、たとえば、Cognis社によりPlantaren 1200 N(登録商標)及びPlantacare 1200(登録商標)の名称で販売されている製品、並びにココグルコシド、たとえばCognis社によりPlantacare 818/UP(登録商標)の名称で販売されている製品が含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。
アルキルポリグルコシドは、単独で、又は異なアルキルポリグルコシドと組み合わせて使用できる。アルキルポリグルコシドは、上に定義した非イオン性界面活性剤の一部を形成しない。
共界面活性剤には、両性界面活性剤、アルキルポリグルコシド、又は両方の組合せが含まれていてもよい。両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドの両方が組み合わせて使用されるとき、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドの混合比は限定されない。
共界面活性剤の総量は、ナノエマルションの質量に対して、0.5質量%から10質量%、好ましくは0.5質量%から5質量%であってもよい。本明細書において使用される「共界面活性剤の総量」は、ナノエマルション中に含有される、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドを含む共界面活性剤の量の総和を指す。
好ましくは、ナノエマルション中に存在する共界面活性剤に対する非イオン性界面活性剤の質量比は、1.5から20、より好ましくは5から15であってもよい。
(水)
ナノエマルションは水を含む。水の量は、ナノエマルションの質量に対して、5から90質量%、好ましくは10から80質量%であってもよい。水の量は、所望のナノエマルションの濃度を提供するよう調整又は修正されてもよい。任意の当業者は、ナノエマルション製品、たとえば皮膚用クレンジング製品及び化粧用組成物次第で水の量を容易に修正できる。
(他の成分)
ナノエマルションはまた、化粧用又は皮膚科用組成物において望ましく使用される様々な添加剤を含んでいてもよい。たとえば、分散剤、抗酸化剤、pH調節剤、保存剤、中和剤、香料、充填剤、化粧用及び皮膚科用活性剤、たとえば皮膚軟化剤、保湿剤、ビタミン、UV遮蔽剤、及び日焼け止め、並びにそれらの混合物が、ナノエマルション中に含まれていてもよい。
追加成分の他の例には、1種又は複数の有機溶媒が含まれていてもよい。好適な有機溶媒は、意図される使用に基づいて選択でき、有機溶媒は水混和性であっても、水混和性でなくてもよい。有機溶媒の例には、アルコール、たとえば変性アルコール、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、フェニルエチルアルコール、グリコール又はグリコールエーテル、たとえばプロピレングリコール、ブトキシジグリコール、エトキシジグリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、それらの類似生成物、並びにそれらの混合物が含まれていてもよいが、これらに限られるものではない。有機溶媒は、上に定義した脂肪物質、非イオン性界面活性剤、又は共界面活性剤の一部を形成しない。有機溶媒は、単独で、又は2種以上のそれを組み合わせて使用できる。ナノエマルションは、水及び有機溶媒の両方を含んでいてもよい。
本発明の一態様は、化粧用又は皮膚科用組成物として好ましく使用されることが意図されたナノエマルションであってもよいので、ナノエマルションは、好ましくは、生理的に許容される成分のみを実質的に含有する。本明細書において使用される「生理的に許容される成分」という用語は、皮膚、粘膜、ケラチン繊維、爪等への局所適用に好適な組成物、構成成分、又は成分を意味することが意図されている。
本発明のナノエマルションは、好ましくは、化粧又は皮膚科製品中で利用される。上述のとおりナノエマルションへの添加剤を選択することにより、ナノエマルションを組成物、たとえば化粧用組成物、及び衛生用品、たとえばメイクアップリムーバー、スキンクレンジング組成物、シェービング製品、及びケラチン繊維のための化粧製品として利用できる。加えて、ナノエマルションの構成成分又は成分を選択することにより、ナノエマルションはまた、様々な産業分野、たとえば医薬品及び農業用化学製品において利用できる。
本発明のナノエマルションは、少量のアンモニア水を含んでいてもよい。好ましくは、ナノエマルションはアンモニア水を含まない。
本発明のナノエマルションは、油中水又は水中油型エマルション、好ましくは水中油ナノエマルションであってもよい。
本発明の一態様によれば、ナノエマルションは、たとえばNicomp380(Particle Sizing Systems社)を使用した光散乱により測定するとき、10から200nm、好ましくは10から100nm、より好ましくは90nm未満の平均粒径を有する。平均粒径の測定は、水で希釈されたエマルションで実施される。かかる平均粒径を有するナノエマルションは通常、水、油、水性溶液、又は有機溶媒と高度に混和性であり、したがって、油、水、有機溶媒、若しくは他の水性溶液中に容易且つ均質に希釈したり、又はそれらによりすすぎ落としたりすることができる。したがって、本発明によるナノエマルションは、好ましくは、化粧用組成物、たとえばケラチン繊維のための化粧用組成物、毛髪パーマネントウェーブ形成製品、並びに衛生用品、たとえばメイクアップリムーバー、スキンクレンジング組成物、シェービング製品、並びに睫毛、眉毛、及び頭髪を含む毛髪のための着色、脱色、又はトリートメント組成物を調製するために利用できる。本明細書において使用される「毛髪」という用語は、任意のケラチン繊維、たとえば生体毛髪、たとえば頭髪、及び非生体毛髪、たとえば毛髪スワッチ、ウィッグ、及びエクステンションを含む。本発明のナノエマルションの可能な使用を下に説明する。
本発明のナノエマルションは、肉眼的に半透明又は透明であってもよい。本明細書において使用される「肉眼的に半透明」は、可視光の少なくとも一部が、散乱又は反射することなしに対象を貫通しうることを意味すると意図されている。更に、「肉眼的に透明」は、可視光の実質的な部分が、散乱又は反射することなしに対象を貫通しうることを意味すると意図されている。他方、「肉眼的に不透明」は、可視光の実質的に全部が対象を貫通しないことを意味すると意図されている。
ナノエマルションはまた、その濁度を、Hach社製2100Pモデル濁度計を使用して、NTU法により、室温で測定することにより特徴付けられてもよい。本発明のナノエマルションは一般に、400NTU単位未満、好ましくは50から250NTU単位の間の濁度を有する。
本発明のナノエマルションの粘度は、粘度に応じて2、3、又は4番のスピンドルを備えたRheomat 180粘度計(Rheometric Scientific社)を200rpmで使用して室温で測定するとき、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは3Pa・s以上、更により好ましくは4Pa・s以上である。
本発明の一態様によれば、このようにして調製されるナノエマルションは室温で安定である。本明細書において使用される「安定」又は「安定化」という用語は、45℃で2ヶ月間の貯蔵後、エマルションが肉眼的に均一なままであることを意味する。たとえば、45℃で2ヶ月間エマルションを貯蔵した後に、エマルションが肉眼的に水相及び油相に分離していないとき、エマルションのテクスチャーが変化しないとき、又はエマルションの色、明度、光透過性等が肉眼的に均一であるとき、エマルションは「安定」であるか又は「安定化」されている可能性がある。
(方法)
本発明の一態様は、上述のナノエマルションを調製するための方法に関する。本発明の一態様によれば、ナノエマルションは、高エネルギー撹拌又は特定の器具、たとえば超音波発生器、高圧ホモジナイザー、若しくは高剪断ミキサーなしに調製されうる。
本発明のナノエマルションを調製するため、感熱物質以外の成分が存在するならそのすべてを、最初に容器内で混合及び均質化する。本明細書において使用される「感熱物質」は、熱、たとえば55℃以上の温度の適用時に不都合な化学的変化を経る物質を意味する。ここで、本発明の一態様によれば、成分には、少なくとも1種の脂肪物質、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の共界面活性剤、及び水が含まれる。脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪アルコールを含み、共界面活性剤は、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドのうちの少なくとも1つを含む。
成分の混合物は、混合物を撹拌することにより、好ましくは混合物を回転、混合、振盪、又は揺動することにより、混合及び均質化されてもよい。成分は、たとえば、化粧用組成物を混合するために好適に使用される、ブレンダー、シェーカー、スターラー、電磁スターラー、ミキサー、乳化機、コロイドミル、又は任意の他の機器若しくは器具を使用することにより混合される。本発明において必要とされないとはいえ、従来の高圧ホモジナイザー、高剪断ミキサー又は超音波発生器を任意選択で使用できる。好ましくは、混合物は、100から800、好ましくは400から600回転毎分(rpm)の回転速度で回転させることにより均質化される。かかる均質化条件、特に回転速度は、たとえば混合物中の成分又は各成分の量に応じて変更してもよい。回転速度は、均質化プロセスを通じて均一に維持されてもよい。任意選択で、回転速度はプロセスを通じて変更してもよい。たとえば、回転速度は、均質化プロセス中に徐々に増加又は減少してもよい。
本発明の一態様によれば、少なくとも1種の脂肪物質、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の共界面活性剤、及び水を含むすべての成分は、60から90℃、好ましくは60から80℃の温度で、成分が均質化するまで混合される。容器又は水槽内の混合物の温度は、混合物の均質化中、一定のままでもよいし、又はそうでなくてもよい。たとえば、容器内の混合物の温度は、たとえば、混合中に徐々に増加又は減少する。温度は、たとえば、水槽を使用して混合物の容器を継続的に加熱することにより維持されてもよい。
好ましくは、感熱物質以外の成分を、油相及び水相、特に脂肪物質及び水が乳化するまで混合する。成分は、混合物が肉眼的に透明又は半透明になるまで混合されてもよい。乳化混合物において、脂肪物質又は水の平均粒径は、200nm以下に減少してもよい。一般に、エマルションの平均液滴径が100nm以下である場合、可視光の少なくとも一部がエマルションを貫通する可能性があり、したがってエマルションは肉眼的に半透明であると考えられうる。
感熱物質以外の成分が均質化され、エマルションが得られた後、エマルションを、好ましくは室温まで冷却する。好ましくは、エマルションは、下に説明するエマルションの転相温度より低い温度まで冷却される。エマルションは、たとえば、水槽の熱を止めるか、又はエマルションの容器を水槽から取り出すことにより冷却される。
本発明の一態様によれば、エマルションの冷却中の回転速度は、均質化プロセスの回転速度より低い。冷却するとき、エマルションを800rpm未満の回転速度で撹拌又は混合する。好ましくは、エマルションは、150rpm未満、好ましくは5rpm以上、好ましくは60rpm以下の回転速度で穏やかに撹拌しながら、室温まで冷却されてもよい。
冷却プロセスの回転速度は、均質化プロセスの回転速度の1/5(5分の1)以下、好ましくは1/10(10分の1)以下であってもよい。冷却するとき、エマルションは、一貫して均一な回転速度で混合されてもよい。任意選択で、回転速度は、エマルションの冷却中に徐々に減少させてもよい。本発明の一態様において、冷却条件の回転速度は、0rpmであってもよい。
従来のPIT法とは異なり、本発明によれば、均質化プロセスを通じて調製されるエマルションは、室温までの冷却中に転相を引き起こさない可能性がある。「転相」は、水中油型エマルションが油中水型エマルションに戻る現象、及びその逆の現象を指す。いわゆるPIT法は、Shinodaら[「The correlation between phase inversion temperature in emulsion and cloud point in solution of nonionic emulsifier」、J. Phys. Chem.、68、3485〜3490頁(1964年)、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる]において説明されている。PIT法の原理は、以下のとおりである。すなわち、水相及び油相を含む混合物を、転相温度を超える温度で均質化することにより、油中水(又は水中油)エマルションが形成され、平衡に到達する。エマルションの冷却中、転相温度を通過するときに、油中水(又は水中油)エマルションが水中油(油中水)エマルションに転相する。エマルションの外観、テクスチャー、及び粘度は、冷却中に転相により変化しうる。
本発明によれば、均質化プロセスを通じて調製される水中油エマルションは、油中水エマルションに転相しない可能性があり、逆も同様である。そのようにして、エマルションの外観、テクスチャー及び/又は粘度の変化を防ぐことができる。これは、所望の外観、テクスチャー、又は粘度を有するエマルションが得られた時点で均質化プロセスを停止できることから特に好ましい。エマルションのかかる所望の外観、テクスチャー、及び/又は粘度は、エマルションの冷却中に実質的に変化しない可能性がある。いかなる理論にも束縛されないことを望むが、均質化プロセスにより生成された乳化混合物は、転相温度、又は水相及び油相が不安定な温度を過冷却状態で通過する可能性があることから、転相は、冷却中の回転速度を遅くすることにより回避できると考えられる。
エマルションをたとえば室温まで冷却した後、感熱物質が存在するなら、それをエマルションに添加する。この段階でエマルションに添加できる感熱物質の例には、過酸化水素及びビタミンが含まれていてもよい。エマルションは、室温で、100から800rpm、好ましくは400から600rpmの回転速度で混合されてもよい。好ましくは、この段階での回転速度は、エマルションの冷却中の回転速度以上であり、好ましくはそれを超える。この段階での回転速度は、均質化プロセスの回転速度と同じか、又は同等である。感熱物質が存在するなら、それのエマルションとの混合中の回転速度は、均一であってもよいし、又はそうでなくてもよい。たとえば、回転速度は、均一であってもよく、徐々に減少してもよい。
エマルション中に感熱物質が含まれないとき、上述のとおり室温でエマルションを混合する必要はなくてもよい。しかしながら、たとえば室温まで冷却されるエマルションは、室温で、冷却プロセスの回転速度よりも高い回転速度で、任意選択で混合されてもよい。たとえば、エマルションは、室温で、100から800rpm、好ましくは400から600rpmの回転速度で混合されてもよい。室温まで冷却されたエマルションを、冷却プロセスよりも高い回転速度で混合することにより、ナノエマルションを更に均質化してもよく、そのことによりエマルションのテクスチャーが改善されてもよい。ここでの回転速度は、エマルションの混合中に均一であってもよいし、又はそうでなくてもよい。
本発明の一態様によれば、このようにして調製されるナノエマルションは、10から200nm、好ましくは10から100nm、より好ましくは90nm未満の平均粒径を有する。かかるナノエマルションは、油、水、溶媒、又は他の水性溶液と迅速且つ均質に混合されてもよく、したがって、様々な組成物、たとえば化粧用組成物を調製するのに好ましい。
ナノエマルションの粘度は、上述のとおりRheomat 180粘度計(Rheometric Scientific社)を使用して室温で測定するとき、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは3Pa・s以上、更により好ましくは4Pa・s以上である。
本発明の一態様によれば、このようにして調製されるナノエマルションは室温で安定でありうる。したがって、ナノエマルションは、たとえば2ヶ月間以上の長期保存寿命を有する化粧、皮膚科製品として利用できる。
(使用)
本発明によるナノエマルションは、化粧用又は皮膚科用組成物を構成してもよい。それらは、ケラチン繊維、皮膚、粘膜、爪、頭皮等への局所適用のために使用できる。具体例には、ケラチン繊維のための化粧用組成物、毛髪パーマネントウェーブ形成組成物、並びに衛生用品、たとえばメイクアップリムーバー、スキンクレンジング組成物及びシェービング製品が含まれていてもよい。
ケラチン繊維のための化粧用組成物には、たとえば毛髪着色、毛髪脱色、毛髪パーマネントウェーブ形成、ヘアトリートメント等のための組成物が含まれていてもよい。また睫毛及び眉毛のための化粧用組成物も、ナノエマルションから調製されうる。本発明のナノエマルションは、好ましくは、毛髪着色組成物、特にアルカリ剤及び酸化剤を有する多剤式ヘアカラー組成物として利用できる。たとえば、ナノエマルションは、毛髪着色組成物の顕色剤とも呼ばれる酸化剤を含む組成物として使用できる。ナノエマルションを毛髪着色組成物の酸化剤を含む組成物として使用する場合、最初にナノエマルションをアルカリ剤と混合し、ケラチン繊維に適用し、毛髪が所望の色になった後に水ですすいでもよい。任意選択で、ナノエマルションをアルカリ剤を含む組成物として使用してもよい。
本発明によるナノエマルションは、その水及び/又は油との高い混和性ゆえに、好ましくは、衛生用品、たとえばスキンクレンジング組成物又はメイクアップリムーバーとして使用してもよい。ナノエマルションをスキンクレンジング組成物又はメイクアップリムーバーとして使用する場合、最初にナノエマルションを湿った又は乾燥した皮膚に適用し、満足いくクレンジング結果が得られるまでマッサージし、水ですすぎ落としてもよい。
本発明の広範な範囲を記載する数値的な範囲及びパラメーターは近似値であるとはいえ、具体例に記載された数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、そのそれぞれの測定値に見出される標準偏差により必然的に生じる誤差を本来的に含有する。
以下の実施例は、結果としてその範囲を限定することなく本発明を例示することが意図されている。パーセントは質量に基づき示される。
(実施例1(水中油ナノエマルション))
Table 1(表1)に示す成分を使用して、水中油ナノエマルションを調製した。Yamato Lab-stirrer LR500B(ヤマト科学株式会社)を使用して、水槽中80℃の温度で加熱しながら、500rpmの回転速度で、エマルションが得られるまで成分を均質化した。エマルションが得られたら、加熱を停止し、回転速度を50rpmまで減少させた。エマルションが室温に冷却されるまで、エマルションを継続的に混合した。次に混合速度を500rpmまで上昇し、混合物が均質になるまで混合した。
Figure 2016056111
このようにして得られたエマルションは光学的に半透明であった。エマルションの半透明な外観が、ナノエマルションがうまく得られたことを示しうる。
ナノエマルションの形成がまた、ナノエマルション中の平均粒径を測定することにより確証された。粒径の測定は、Nicomp380(Particle Sizing Systems社)を使用した光散乱により行われた。実施例1のエマルションの100倍水性希釈液を、測定のために使用した。ナノエマルション中の脂肪物質の平均体積加重液滴径は13.2nmであった。
4番のスピンドルを備えたRheomat 180粘度計(Rheometric Scientific社)を200rpmで、スピンドル回転のスイッチを入れた後30秒間使用し、25℃で測定したところ、ナノエマルションの粘度は6.0Pa・sであった。
(実施例2(メイクアップリムーバー))
メイクアップリムーバーのための組成物である実施例2のエマルションを、Table 2(表2)に示す成分を使用して調製した。実施例2のエマルションを、実施例1と同じ方法により調製した。実施例2のエマルションは、水中油ナノエマルションであった。
実施例2のエマルションの平均体積加重粒径及び粘度を、実施例1の場合と同じ方法により測定した。脂肪物質の平均粒径は20.5nmであった。エマルションの粘度は6.59Pa・sであった。
実施例2のエマルションのメイクアップ除去性能を評価するために、エマルションを乾燥した皮膚に適用し、満足いくメイクアップ除去結果が得られるまでマッサージし、水ですすぎ落とした。
実施例2のエマルションは、皮膚上に適用されたメイクアップの除去に優れていた。エマルション中の脂肪物質の小さい液滴径は極端に大きな表面積をもたらすために、かかる効果は、このような液滴径によって達成される可能性がある。実施例2のエマルションは、十分に水と混和性であり、皮膚から迅速にすすぎ落とされた。
Figure 2016056111
(実施例3〜5及び比較例1〜5(酸化ヘアカラーのための顕色剤))
Table 3(表3)に示す成分を使用して、実施例3から5及び比較例1から5を調製した。Yamato Lab-stirrer LR500Bにより、水槽中80℃の温度で加熱しながら、500rpmの回転速度で、エマルションが得られるまで過酸化水素以外の成分を均質化した。
エマルションが得られたら、加熱を停止し、回転速度を50rpmまで減少させた。エマルションが室温まで冷却されるまで、エマルションを継続的に混合した。次に、過酸化水素をエマルションに添加し、混合物が均質になるまでエマルションを500rpmの回転速度で混合した。リン酸を使用してエマルションの酸性度をpH2に調整した。
比較例1から3におけるラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム及び塩化セトリモニウムのモル濃度は、実施例3におけるココベタインのモル濃度と等しかった。
Figure 2016056111
このようにして調製されたエマルションの外観を、研究者が肉眼で観察した。結果をTable 3(表3)に示した。エマルションが肉眼的に不透明で白色を有する場合、外観を「不透明」と示した。
比較例1及び2の肉眼的に不透明な外観は、両性界面活性剤又はアルキルポリグルコシド(すなわち、ココベタイン及びカプリルカプリリルグルコシド)の代わりにアニオン性界面活性剤(すなわちラウレス硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム)を使用したとき、ナノエマルションが得られなかったことを示す可能性がある。両性界面活性剤又はアルキルポリグルコシドの代わりにカチオン性界面活性剤(すなわち、塩化セトリモニウム)を使用して調製された比較例3もまた、ナノエマルションを提供できなかった。両性界面活性剤又はアルキルポリグルコシドを欠く比較例4、及び脂肪アルコールを欠く比較例5もまた、ナノエマルションを提供できなかった。
かかる結果は、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドのうちの少なくとも1つと脂肪アルコールとの組合せが、ナノエマルションを調製するために重要であることを示す可能性がある。
(比較例6)
実施例3の成分と同一の成分を使用して比較例6を調製した。Yamato Lab-stirrer LR500Bにより、500rpmの回転速度で、水槽中80℃の温度で加熱しながら、エマルションが得られるまで成分を撹拌及び均質化した。次に、加熱を停止し、500rpmの回転速度で混合しながらエマルションを室温まで冷却した。
このようにして得られたエマルションは、肉眼的に不透明な外観を有していた。比較例6のエマルションの平均粒径は208nmであり、実施例3のエマルションの平均粒径の約10倍大きかった。実施例3及び比較例6のエマルションの粘度は、2番のスピンドルが使用された以外は実施例1と同じ条件により測定した。比較例6のエマルションの粘度は、実施例3のエマルションの粘度よりも低かった。結果をTable 4(表4)に示した。
Figure 2016056111
Table 4(表4)に示すように、ナノエマルション、特に100nm以下の平均粒径を有するエマルションは、冷却プロセスの回転速度を制御することにより得られる可能性がある。
本明細書において使用される「からなる群から選択される」、「から選択される」等の文言は、特定された物質の混合物又は組合せを含む。「含む[comprise(s)]」、「含有する[contain(s)]」、及び「含む[include(s)]」等の用語は、述べられた特徴、要素、及び/又は成分の存在を意味する範囲を限定しない用語であり、特に指定しない限り、1つ又は複数の他の特徴、要素、成分及び/又はそれらの群の存在又は付加を除外しない。
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、1つ又は複数を意味し、それゆえ個別の成分を、混合物/組合せとともに含む。「a」又は「an」という表現は、特に文脈上そうでないことが明確に示されない限り、複数形も含むと意図されていることが更に理解されると考えられる。

Claims (18)

  1. ナノエマルションを形成するための方法であって、
    少なくとも1種の脂肪物質、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の共界面活性剤、及び水を、60から90℃の温度で、200nm以下の平均粒径を有する混合物が得られるような第1の回転速度を有する第1の混合条件下で均質化する工程、並びに
    該混合物を室温まで、200nm以下の平均粒径を有する安定化ナノエマルションが得られるような第2の回転速度を有する第2の混合条件下で冷却する工程
    を含み、
    少なくとも1種の脂肪物質が、少なくとも1種の脂肪アルコールを含み、
    少なくとも1種の共界面活性剤が、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドのうちの少なくとも1つを含み、
    第2の回転速度が、第1の回転速度未満である、方法。
  2. 第1の回転速度が、100から800rpmである、請求項1に記載の方法。
  3. 第2の回転速度が、150rpm未満である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第2の回転速度が、第1の回転速度の5分の1以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 室温で、100から800rpmの第3の回転速度で、ナノエマルションを感熱物質と混合する工程を更に含み、第3の回転速度が第2の回転速度以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 少なくとも1種の脂肪物質が、炭化水素油、シリコーン油、及びそれらの混合物からなる群から選択される油、好ましくは鉱油を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、7から12のHLB値を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、オキシエチレン化C8〜C30アルコールである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 少なくとも1種の共界面活性剤が、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 少なくとも1種の両性界面活性剤が、ベタイン、アンホ酢酸塩、ヒドロキシスルタイン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. アルキルポリグルコシドが、6個から30個の炭素原子を含むアルキル基及び1.2から3グルコシド単位を含む親水基を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. アルキルポリグルコシドが、デシルグルコシド、カプリル/カプリリルグルコシド、ラウリルグルコシド、及びココグルコシドからなる群から選択される少なくとも1種のアルキルポリグルコシドである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. ナノエマルションが、ナノエマルションの質量に対して5から50質量%の総量で脂肪物質を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ナノエマルションが、ナノエマルションの質量に対して0.5から5質量%の総量で共界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 共界面活性剤の総量に対する非イオン性界面活性剤の総量の質量比が、5から15である、請求項1に記載の方法。
  16. ナノエマルションが、ナノエマルションの質量に対して1から10質量%の総量で脂肪アルコールを含む、請求項1に記載の方法。
  17. ナノエマルションが、室温で3Pa・s以上の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
  18. 少なくとも1種の脂肪物質、アルキルポリグルコシド以外の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の共界面活性剤、及び水を、60から90℃の温度で、200nm以下の平均粒径を有する混合物が得られるような第1の回転速度を有する第1の混合条件下で均質化する工程、並びに
    該混合物を室温まで、200nm以下の平均粒径を有する安定化ナノエマルションが得られるような第2の回転速度を有する第2の混合条件下で冷却する工程
    を含む方法により製造されるナノエマルションであって、
    少なくとも1種の脂肪物質が、少なくとも1種の脂肪アルコールを含み、
    少なくとも1種の共界面活性剤が、両性界面活性剤及びアルキルポリグルコシドのうちの少なくとも1つを含み、
    第2の回転速度が、第1の回転速度未満である、ナノエマルション。
JP2014181470A 2014-09-05 2014-09-05 ナノエマルションを調製するための方法 Pending JP2016056111A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014181470A JP2016056111A (ja) 2014-09-05 2014-09-05 ナノエマルションを調製するための方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014181470A JP2016056111A (ja) 2014-09-05 2014-09-05 ナノエマルションを調製するための方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016056111A true JP2016056111A (ja) 2016-04-21

Family

ID=55757439

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014181470A Pending JP2016056111A (ja) 2014-09-05 2014-09-05 ナノエマルションを調製するための方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016056111A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108249249A (zh) * 2018-03-27 2018-07-06 日立电梯(中国)有限公司 一种电梯上行超速保护触发装置
CN113795564A (zh) * 2019-05-28 2021-12-14 花王株式会社 助表面活性剂、表面活性剂组合物、及油回收用组合物
US11219581B2 (en) 2017-10-10 2022-01-11 Conopco, Inc. Nanoemulsions with neutralized fatty acid and a method producing the same
US11540984B2 (en) 2018-05-23 2023-01-03 Conopco, Inc. Nanoemulsions and a method for making the same
US11725143B2 (en) 2019-05-28 2023-08-15 Kao Corporation Rust inhibitor, rust inhibitor composition, coating formation material, coating, and metal component
US11739039B2 (en) 2019-05-28 2023-08-29 Kao Corporation Surfactant and surfactant composition
US11781084B2 (en) 2019-05-28 2023-10-10 Kao Corporation Oil agent additive and oil agent composition

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000086456A (ja) * 1998-09-09 2000-03-28 Shiseido Co Ltd 毛髪化粧料
JP2003503328A (ja) * 1999-06-29 2003-01-28 コグニス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト 化粧品エマルジョン
JP2004521136A (ja) * 2001-03-09 2004-07-15 ジヨンソン・アンド・ジヨンソン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング 改善された皮膚および材料の軟度を伴なう皮膚手入れ用製品
JP2005046841A (ja) * 2003-07-28 2005-02-24 Cognis Deutschland Gmbh & Co Kg 乳化剤組合せ、乳化剤組合せを含有するエマルジョンおよびその製造法
JP2007523106A (ja) * 2004-02-18 2007-08-16 コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング ナノエマルジョン

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000086456A (ja) * 1998-09-09 2000-03-28 Shiseido Co Ltd 毛髪化粧料
JP2003503328A (ja) * 1999-06-29 2003-01-28 コグニス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト 化粧品エマルジョン
JP2004521136A (ja) * 2001-03-09 2004-07-15 ジヨンソン・アンド・ジヨンソン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング 改善された皮膚および材料の軟度を伴なう皮膚手入れ用製品
JP2005046841A (ja) * 2003-07-28 2005-02-24 Cognis Deutschland Gmbh & Co Kg 乳化剤組合せ、乳化剤組合せを含有するエマルジョンおよびその製造法
JP2007523106A (ja) * 2004-02-18 2007-08-16 コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング ナノエマルジョン

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
化学大辞典2, JPN6018035486, 1997, pages 662, ISSN: 0004027936 *

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11219581B2 (en) 2017-10-10 2022-01-11 Conopco, Inc. Nanoemulsions with neutralized fatty acid and a method producing the same
CN108249249A (zh) * 2018-03-27 2018-07-06 日立电梯(中国)有限公司 一种电梯上行超速保护触发装置
US11540984B2 (en) 2018-05-23 2023-01-03 Conopco, Inc. Nanoemulsions and a method for making the same
CN113795564A (zh) * 2019-05-28 2021-12-14 花王株式会社 助表面活性剂、表面活性剂组合物、及油回收用组合物
CN113795564B (zh) * 2019-05-28 2023-05-19 花王株式会社 助表面活性剂、表面活性剂组合物、及油回收用组合物
US11702584B2 (en) 2019-05-28 2023-07-18 Kao Corporation Co-surfactant, surfactant composition, and composition for oil recovery
US11725143B2 (en) 2019-05-28 2023-08-15 Kao Corporation Rust inhibitor, rust inhibitor composition, coating formation material, coating, and metal component
US11739039B2 (en) 2019-05-28 2023-08-29 Kao Corporation Surfactant and surfactant composition
US11781084B2 (en) 2019-05-28 2023-10-10 Kao Corporation Oil agent additive and oil agent composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016056111A (ja) ナノエマルションを調製するための方法
TWI593428B (zh) α膠中間體組成物,及使用該組成物之含有α膠之O/W乳化化妝料的製造方法
WO2005051334A1 (ja) 水中油型乳化化粧料及びその製造方法
WO2016091939A1 (en) Composition comprising hesperetin, an oil, at least one fatty acid ester of (poly)glycerol, and a polyol
JP4963958B2 (ja) 安定した濃縮および希釈された水中油型エマルジョン、その調製プロセス、およびこれらのエマルジョンを用いた製剤プロセス
WO2017131217A1 (ja) リップル相含有組成物、αゲル形成用組成物、およびそれを用いた皮膚外用組成物およびαゲル組成物
US20150093348A1 (en) Self-foaming cleansing system
JP2014118400A (ja) 無水化粧料組成物
JP6386738B2 (ja) 水中油(o/w)型乳化組成物、水中油(o/w)型乳化組成物の製造方法、及び皮膚外用剤
US9526682B2 (en) Fine O/W emulsion
JP4405948B2 (ja) O/w型ファインエマルションと化粧品分野でのその使用
CN105030569A (zh) 分散组合物及化妆料
WO2013021775A1 (ja) 液状皮膚外用剤組成物
JP2002012517A (ja) 乳化化粧料
DE102010034389B4 (de) Stabilisierte W/O-Emulsionen
JP2015189764A (ja) 光学的効果を備える組成物
CN107592808A (zh) 化妆品纳米乳液
EP2934457A1 (en) Anhydrous cosmetic composition
CN111093598B (zh) 包含醚油的水包油乳液组合物
JP6081097B2 (ja) 水中油型乳化組成物
JP5632129B2 (ja) 整髪用乳化組成物
JP2003095845A (ja) 半透明液状化粧料
JPWO2019088056A1 (ja) 水中油型乳化固形化粧料
JP2006124319A (ja) 界面活性剤フリーの皮膚用乳化組成物および界面活性剤フリーの皮膚化粧料
JP7048935B2 (ja) ナノエマルション組成物およびそれを含む化粧料または外用剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180910

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181210

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190513