JPH0433293B2 - - Google Patents

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JPH0433293B2
JPH0433293B2 JP61025170A JP2517086A JPH0433293B2 JP H0433293 B2 JPH0433293 B2 JP H0433293B2 JP 61025170 A JP61025170 A JP 61025170A JP 2517086 A JP2517086 A JP 2517086A JP H0433293 B2 JPH0433293 B2 JP H0433293B2
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JP
Japan
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mol
aromatic
polymer
formula
hydroxyphenylthio
Prior art date
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Application number
JP61025170A
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English (en)
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JPS62184022A (ja
Inventor
Haruyuki Yoneda
Isaburo Fukawa
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP61025170A priority Critical patent/JPS62184022A/ja
Publication of JPS62184022A publication Critical patent/JPS62184022A/ja
Publication of JPH0433293B2 publication Critical patent/JPH0433293B2/ja
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は結晶性芳香族ポリケトンの製造方法に
関するものである。さらに詳しくいえば、本発明
は、新規なビスフエノ−ル単量体を用いて耐熱
性、耐薬品性、難燃性、機械的強度などに優れ
た、高分子量のチオエ−テル基を含有する高結晶
性芳香族ポリケトンを工業的有利に製造する方法
に関するものである。 従来の技術 近年、エーテル基及びケトン基を介してフエニ
レン基が連結された結晶性芳香族ポリエーテルケ
トンは、優れた耐熱性、耐薬品性、機械的強度な
どを有することから、各種分野における成形材料
として注目されている。 しかしながら、これらの高分子化合物は製造に
際して入手しにくい原料を用いなければならない
という欠点を有し、大量に生産するのに適した製
造方法はまだ知られていない。 例えば、式 (ただしnは2以上の整数) で示される高分子量ポリエーテル芳香族ケトン
は、ジハロベンゾフエノンとヒドロキノンとの縮
合反応により製造されているが、実用的な物性を
有するものとするには、ジハロベンゾフエノンと
してジフルオロベンゾフエノンを用いることが必
要となり(特開昭54−90296号公報)、原料コスト
が高くなるのを免れない。 また、ヒドロキシチオフエノールのアルカリ金
属塩とジクロロジフエニルスルホンなどの芳香族
ジハライドからポリ−(エーテルチオエーテル)
を製造する方法が知られているが(特公昭49−
44954号公報)、この方法で得られる重合体は、ス
ルホン基を含有し、かつ重合体構成単位が不規則
に配列された内部構造を有するために、非晶性で
あり、耐熱性、耐溶剤性、機械的性質などに関し
て必ずしも満足しうるものではない。 また、炭酸カリウムの存在下、2個の−XH基
(ただし、Xは酸素原子又は硫黄原子である)を
有する化合物とジハロベンゼノイド化合物とか
ら、ポリエーテル又はポリチオエーテルを製造す
る方法も提案されている(特公昭47−21595号公
報)。しかしながら、この方法においては、重合
温度が低く、前記の場合と同様結晶性の重合体を
得ることはできない。 ところで、本発明者らは、結晶性芳香族ポリエ
ーテルケトンのもつ優れた特性に着目し、先に
4,4′−ジハロテレフタロフエノンと4−ヒドロ
キシチオフエノールとから、4,4′−ジハロベン
ゾフエノンと4−ヒドロキシチオフエノールとか
ら、エーテル基、チオエーテル基及びケトン基を
介してフエニレン基が連結されている化学構造を
有する結晶性芳香族ポリケトンを製造する方法を
開発した。しかしこれらの芳香族ポリケトンは、
4−ヒドロキシチオフエノールの結合様式により
結晶化速度が変化し、射出成形に適した速い結晶
化速度をもつ重合体を得るためには、4−ヒドロ
キシチオフエノールの結合様式を制御するという
煩雑な操作が必要であつた。 発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、このような事情のもとで、耐
熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度などが優
れ、かつ射出成形に適した結晶化速度の速い高分
子量のチオエーテル基を含有する高結晶性芳香族
ポリケトンを、煩雑な操作を必要とせずに工業的
有利に製造する方法を提供することにある。 問題点を解決するための手段 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、芳香族
ジハライドと重縮合させる単量体として、チオエ
ーテル基を有する新規な構造をもつビスフエノー
ルを用い特定の溶媒中で反応させることにより、
その目的を達成しうることを見出し、この知見に
基づいて本発明をなすに至つた。 すなわち、本発明は、芳香族ケトン又は芳香族
スルホン溶媒中において、4,4′−ジハロテレフ
タロフエノン又は4,4′−ジハロベンゾフエノン
若しくはその両方と、4,4′−ビス−(4−ヒド
ロキシフエニルチオ)−テレフタロフエノン又は
4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフエニルチオ)−
ベンゾフエノン若しくはその両方とをアルカリの
存在下に重縮合させることを特徴とする、式 又は で示される構成単位若しくはその両方と、式 又は で示される構成単位若しくはその両方とが交互に
結合した線状高分子構造を有し、かつ0.40以上の
極限粘度を有する結晶性芳香族ポリケトンの製造
方法を提供するものである。 本発明方法においては、原料単量体としてチオ
エーテル基を有するビスフエノールと芳香族ジハ
ライドが用いられる。該ビスフエノールとして
は、構造式 で示される4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフエ
ニルチオ)−テレフタロフエノン、又は構造式 で示される4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフエ
ニルチオ)−ベンゾフエノン若しくはその両方が
用いられ、一方芳香族ジハライドとしては、一般
(式中のX1及びX2はハロゲン原子であり、そ
れらは同一であつても、異なつていてもよい)で
示される4,4′−ジハロテレフタロフエノン、又
は一般式 (式中のX1及びX2は前記と同じ意味をもつ)
で示される4,4′−ジハロベンゾフエノン若しく
はその両方が用いられる。 4,4′−ジハロテレフタロフエノンの具体例と
しては、4,4′−ジクロロテレフタロフエノン、
4,4′−ジフロロテレフタロフエノン、4−クロ
ロ−4′−フロロテレフタロフエノンなどが挙げら
れる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、
2種以上組み合わせて用いてもよい。 他方、4,4′−ジハロベンゾフエノンの具体例
としては、4,4′−ジクロロベンゾフエノン、
4,4′−ジフロロベンゾフエノン、4−クロロ−
4′−フロロベンゾフエノンなどが挙げられる。こ
れらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上
組み合わせて用いてもよい。 本発明方法における前記芳香族ジハライドとビ
スフエノールとの使用割合については、実質的に
等モルであることが必要で、前者1モル当り、後
者は0.95〜1.20モルの範囲で選ばれ、この範囲を
逸脱すると高分子量重合体が得られなくなる。 また、重合体末端を安定な芳香族ハライド単位
とするためには、該ビスフエノール1モル当り、
1.00〜1.05モルの該芳香族ジハライドを用いるこ
とが特に好ましい。 本発明方法においては、重合溶媒として、芳香
族ケトン又は芳香族スルホンが使用される。該芳
香族ケトンとしては、一般式 (式中のR1及びR2はそれぞれ水素原子、炭素
数1〜3のアルキル基又はフエニル基であつて、
これらはたがいに同じでも又は異なつていてもよ
く、またそれらがフエニル基の場合にはベンゼン
骨格のベンゼン環と縮合していてもよい) で示されるベンゾフエノン化合物、又は一般式 (式中のR1及びR2は前記と同じ意味をもち、
Yは酸素原子又は硫黄原子である) で示されるキサントン化合物若しくはチオキサン
トン化合物が好ましく用いられる。 前記一般式()で示されるベンゾフエノン化
合物としては、例えばベンゾフエノン、4−メチ
ルベンゾフエノン、4−フエニルベンゾフエノ
ン、ナフチルフエニルケトン、4,4′−ジメチル
ベンゾフエノンなどがあり、これらの中で特にベ
ンゾフエノンが熱的に安定で、入手しやすく、好
適である。 また、前記一般式()で示されるキサントン
化合物又はチオキサントン化合物としては、例え
ばキサントン、2−メチルキサントン、2−フエ
ニルキサントン、チオキサントン、2−メチルチ
オキサントン、2−フエニルチオキサントンなど
が挙げられるが、これらの中でキサントン及びチ
オキサントンが好ましい。 さらに、他の芳香族ケトンとして、4−フエノ
キシベンゾフエノン、テレフタロフエノン、イソ
フタロフエノンなども用いることができる。 一方、芳香族スルホンとしては、一般式 (式中のR1及びR2は前記と同じ意味をもつ)
で示される化合物が好適であり、具体的にはジフ
エニルスルホン、ジトリルスルホン、ジベンゾチ
オフエノン、フエノキサチンジオキシド、4−フ
エニルスルホニルビフエニルなどが挙げられる。 これらの溶媒の中で、芳香族ケトンは芳香族ス
ルホンと比較して、熱的に安定な高分子量の高結
晶性重合体が得られやすいという利点を有してい
る。これは該芳香族ケトンが生成する重合体に対
する溶解性に優れているためと思われる。芳香族
ケトンの中で、ベンゾフエノン(融点48〜49℃)
は、キサントン(融点173〜174℃)、チオキサン
トン(融点207〜209℃)のような常温では固体の
溶媒と比較して、常温付近で液体として取り扱い
うるので、生成物の分離、溶媒の回収、精製など
が容易であつて好ましい。 溶媒の使用量については、該ビスフエノールと
該芳香族ジハライドとの合計100重量部当り、好
ましくは10〜1000重量部、さらに好ましくは20〜
500重量部の範囲で用いられる。溶媒量がこの範
囲よりも多くなると重合効率が低下し、また少な
いと溶媒を使用する効果が実質的に発揮されな
い。 本発明方法で使用されるアルカリとしては、例
えばアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸
塩、フツ化物、水素化物、アルコキシド、アルキ
ル化物などが用いられる。このうち、好適なもの
は、アルカリ金属炭酸塩とアルカリ金属重炭酸塩
であり、これらの具体例としては、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭
酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムが挙げられ
る。特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好適である。
またこれらのアルカリはそれぞれ単独で用いても
よいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。 また、これらのアルカリは、そのアルカリ金属
原子の量が該ビスフエノール1/2モル当り、好ま
しくは0.3〜2グラム原子になるような割合で用
いられる。アルカリを過剰に使用すると、反応が
激しくなりすぎて、有害な副反応が起こる原因に
なる上に、コスト面でも不利になるから、できる
だけ少ない量の使用が望ましい。しかし、該アル
カリ金属原子の量が0.3グラム原子未満では、重
合時間を長くすることが必要であり、また所望の
高分子量の重合体が得られにくくなる。 溶媒としてキサントン化合物やチオキサントン
化合物を用いる場合には、アルカリ金属原子がビ
スフエノール1/2モル当り、0.5〜1.2グラム原子
の範囲になるように、またベンゾフエノン化合物
を用いる場合には、0.7〜1.2グラム原子の範囲に
なるようにアルカリを使用することがさらに好ま
しい。 該アルカリは無水のものが好ましいが、含水物
の場合には、重合反応系中から共沸溶媒と共に水
分を留去することにより、その使用が可能であ
る。 次に、本発明の製造方法における好適な実施態
様について説明すると、まず窒素、アルゴンなど
の不活性ガス雰囲気下で、ベンゾフエノンなどの
溶媒中に、所要量のアルカリと、4,4′−ジハロ
テレフタロフエノンや4,4′−ジハロベンゾフエ
ノンと、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフエニ
ルチオ)−テレフタロフエノンや4,4′−ビス−
(4−ヒドロキシフエニルチオ)−ベンゾフエノン
とを添加し、次いでこの混合物を該不活性ガス雰
囲気下で加熱し、200〜400℃、好ましくは250〜
350℃の温度範囲で重合反応を行う。この温度が
200℃未満では重合中にポリマーが析出して高分
子量ポリマーが得られず、一方400℃を超えると
生成ポリマーの劣化による着色がひどくなる。ま
た、急激な温度上昇は副反応を起し、ポリマーの
着色、ゲル化などの原因となつて好ましくない。
したがつて、段階的に又は徐々に温度を上昇さ
せ、できるだけ重合系が均一な温度に保たれるよ
うに工夫することが必要である。 この重合反応は極限粘度0.4以上の高分子量ポ
リマーが得られるまで行われるが、そのために
は、重合温度は最終的には200℃以上にすること
が必要である。この際、重縮合を円滑に進める目
的で、それ以下の温度で予備重合を行うこともで
きる。 また、重合中に発生する水分は、系外に除去す
ることが好ましいが、除去する方法としては、単
に重合系のガス相を乾燥した不活性ガスで置換し
たり、あるいは、重合溶媒より低沸点の溶媒を系
に導入し、これと共に系外へ留去する方法などが
用いられる。 重合反応は、適当な末端停止剤、例えば単官能
若しくは多官能ハロゲン化物、具体的には塩化メ
チル、tert−ブチルクロリド、4,4′−ジクロロ
ジフエニルスルホン、4,4′−ジフルオロベンゾ
フエノン、4,4′−ジフルオロテレフタロフエノ
ン、4−フルオロベンゾフエノンなどを前記重合
温度において反応系に添加、反応させることによ
り停止させることができる。また、これによつて
末端に熱的に安定なアルキル基、芳香族ハロゲン
基、芳香族基を有する重合体を得ることができ
る。 このようにして得られた重合体は、構成単位
()、すなわち式 又は で示される構成単位若しくはその両方と、構成単
位()、すなわち式 又は で示される構成単位若しくはその両方とが交互に
結合した線状高分子構造を有するものである。し
たがつて、構成単位(a)又は(b)あるい
はその合計のモル数と構成単位(a)又は(
b)あるいはその合計のモル数との比はほぼ1:
1になる。また、(a)と(b)、あるいは
(a)と(b)とが共存する場合、その両者
の割合は任意であり、特に制限はない。 さらに具体的に示すと、4,4′−ジハロテレフ
タロフエノンと式()のビスフエノールとから
は、式 で示される構造単位を、4,4′−ジハロテレフタ
ロフエノンと式()のビスフエノールとから
は、式 で示される構造単位を、4,4′−ジハロベンゾフ
エノンと式()のビスフエノールとからは、式 で示される構造単位を、4,4′−ジハロベンゾフ
エノンと式()のビスフエノールとからは、式 で示される構造単位を有する線状重合体が得られ
る。 また、4,4′−ジハロテレフタロフエノンと式
()及び()のビスフエノールとからは、構
造単位として式(a)及び(b)をもつ重合
体、4,4′−ジハロベンゾフエノンと式()及
び()のビスフエノールとからは、構造単位と
して式(c)及び(d)をもつ重合体、4,
4′−ジハロテレフタロフエノン及び4,4′−ジハ
ロベンゾフエノンと式()のビスフエノールと
からは、構造単位として式(a)及び(c)
をもつ重合体、4,4′−ジハロテレフタロフエノ
ン及び4,4′−ジハロベンゾフエノンと式()
のビスフエノールとからは、構造単位として式
(b)及び(d)をもつ重合体、4,4′−ジ
ハロテレフタロフエノン及び4,4′−ジハロベン
ゾフエノンと式()及び()のビスフエノー
ルとからは、構造単位として式(a),(b),
(c)及び(d)をもつ重合体が得られる。 ところで、4,4′−ジハロテレフタロフエノン
又は4,4′−ジハロベンゾフエノン若しくはその
両方と、4−ヒドロキシチオフエノールとから、
エーテル基、チオエーテル基及びケトン基を介し
てフエニレン基が連結された構造を有する重合体
が得られるが、このものには4−ヒドロキシチオ
フエノールの結合様式により、式 (ただし、l及びl′は0又は1である) 及び式 (ただし、k及びk′は0又は1である) で示される二つの構造単位が存在し、特にコント
ロールをしない場合には、(a)と(b)と
の配列は不規則となり、それらの構造単位がラン
ダムに配列された重合体が得られる。 しかしながら、この構造の重合体は、前記構造
単位(a)又は(b)のいずれか一方を優先
的に含むものと比較して結晶化速度が遅く、フイ
ルム成形には適しているが、射出成形には最適で
あるとはいえない。したがつて、射出成形に適し
た結晶化速度をもつ重合体を4,4′−ジハロテレ
フタロフエノンや4,4′−ジハロベンゾフエノン
と4−ヒドロキシチオフエノールとから得るため
には、結合様式をコントロールする必要がある。 これに対して、本発明方法によると、結合様式
をコントロールする必要がなく、完全に構造が規
制された前記(a)の構造単位のみを有する射
出成形に適した結晶化度をもつ重合体が得られ
る。 また、本発明における重合体の極限粘度は0.4
以上、好ましくは0.4〜1.8であることが必要であ
る。この極限粘度が0.4未満のものは脆くて成形
品として不適当である。 発明の効果 本発明の結晶性芳香族ポリケトンの製造方法に
おいては、新規なビスフエノールを使用すること
により、エーテル基とチオエーテル基が規則的に
配列された構造をもつ重合体が容易に得られる。
この重合体はエーテル基とチオエーテル基がラン
ダムに配列された重合体と比較して、結晶化速度
が速く射出成形に適している。 本発明方法で得られた高分子量のチオエーテル
基含有高結晶性芳香族ポリケトンは、耐熱性、耐
薬品性、難燃性、機械的強度などに優れており、
単独で構造材、フイルム、繊維、フイブリルに、
極限粘度の低い重合体は被覆材などに用いること
ができ、さらには他のポリマーとのブレンド物と
して、あるいはガラス繊維、炭素繊維、アラミド
繊維、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどの
強化材又は充てん剤を混合した複合材料としても
用いられる。 実施例 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によつてなんら制限さ
れるものではない。 なお、本発明の重合体は、わずかに濃硫酸にと
けるのみで、一般の有機溶媒には不溶であるの
で、平均分子量を求めることが困難である。した
がつて、極限粘度をもつて分子量の尺度とする。 また、重合体の物性は次のようにして測定し
た。 (1) 極限粘度 密度1.84g/cm3の濃硫酸を使用し、溶液100cm3
当り重合体0.1gを含む溶液と溶液100cm3当り重合
体0.5gを含む溶液を調製し、その粘度を25℃で
測定し、式 極限粘度={(ηrel−1)/C}c→o 〔ただし、ηrelは相対粘度、Cは濃度(g/100
ml)であり、c→oは(ηrel−1)/Cの値を濃
度Cがoの点に外挿したことを意味する〕を用い
て求めた。 (2) 結晶融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg) DSC(示差走査熱量計)により昇温速度10℃/
minで測定した。 実施例 1 4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフエニルチオ)
−テレフタロフエノンの製造 かきまぜ機、窒素導入管及び冷却管を備えた四
つ口フラスコを窒素置換したのち、これに4,
4′−ジフルオロテレフタロフエノン8.05g(0.025
モル)、4−ヒドロキシチオフエノール12.6g
(0.100モル)、無水炭酸ナトリウム10.6g(0.025
モル)、ベンゾフエノン150g、トルエン50mlを入
れ、窒素雰囲気下で加熱を開始した。トルエンが
還流する温度で1時間保持したのち、生成する水
をトルエンと共沸で除いた。さらに150℃で5時
間反応させたのち、反応混合物を1の水に注
ぎ、次いで固体物をろ別したのち、この固体物を
アセトン/塩酸水溶液で洗浄して再びろ別して黄
色固体12.4gを得た。 さらにN−メチル−2−ピロリドンで再結晶し
て黄色固体を得た。このものの赤外分析の結果を
第1図に、元素分析結果を次に示す。なおm.p.
(融点)を測定したが、270℃で分解した。 C H O S 理論値(%) 71.89 4.15 11.97 11.99 実験値(%) 71.9 4.2 12.0 11.9 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノンと4,
4′−ビス−(4−ヒドロキシフエニルチオ)−テ
レフタロフエノンとの重合 かきまぜ機、窒素導入管及び冷却管を備えたセ
パラブル四つ口フラスコを窒素置換したのち、こ
れに4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン4.93
g(0.0153モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキ
シフエニルチオ)−テレフタロフエノン8.01g
(0.015モル)、無水炭酸カリウム2.07g(0.015モ
ル)ベンゾフエノン30gを入れ、窒素雰囲気下で
加熱を開始した。1時間かけて305℃まで昇温し、
その温度で4時間保持したところ、反応液は粘ち
ような液体となつた。反応は一貫して常圧(大気
圧)で行つた。その温度で4,4′−ジフルオロテ
レフタロフエノン4.0gを加え30分間保持したの
ち、これを冷却し、粉砕してから、温アセトンで
2回、温水で2回、さらに温アセトンで1回洗浄
して97%の収率で重合体を得た。このものの極限
粘度は0.82、Tmは358℃であつた。 実施例 2 4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフエニルチオ)
−ベンゾフエノンの製造 かきまぜ機、窒素導入管及び冷却管を備えた四
つ口フラスコを窒素置換したのち、これに4−ヒ
ドロキシチオフエノール6.3g(0.050モル)、水
酸化ナトリウム4.0g(0.100モル)、ジメチルス
ルホキシド80ml、トルエン20mlを入れ、窒素雰囲
気下で加熱を開始し、トルエンが還流する温度で
2時間半加熱したのち、生成する水をトルエンと
共沸で除去した。次いで90℃に冷却したのち、こ
れに4,4′−ジフルオロベンゾフエノン3.27g
(0.015モル)をジメチルスルホキシド50mlととも
に添加し、95℃で3時間反応させたのち、反応溶
液を水に移し、塩酸を加え酸性としたところ固体
が析出した。この固体をろ別乾燥し、トルエンで
洗浄し、さらに得られた固体をエタノール〜n−
ヘキサン混合溶媒で再結晶を行い、目的物を得
た。 このものの融点は217〜219℃であつた。また、
赤外分析の結果を第2図に、元素分析の結果を次
に示す。 C H O S 理論値(%) 69.74 4.21 11.15 14.90 実験値(%) 69.7 4.1 11.2 15.0 4,4′−ジフルオロベンゾフエノンと4,4′−
ビス−(4−ヒドロキシフエニルチオ)−ベンゾ
フエノンとの重合 実施例1と同様の装置を用い、4,4′−ジフル
オロベンゾフエノン4.45g(0.0204モル)、4,
4′−ビス−(4−ヒドロキシフエニルチオ)−ベン
ゾフエノン8.6g(0.020モル)、無水炭酸カリウ
ム2.76g(0.020モル)、ベンゾフエノン30gを使
用し、反応の最終温度を290℃とした以外は、実
施例1と同様にして体を得た。 このものの極限粘度は0.90、Tmは299℃、Tg
は143℃であつた。 実施例 3 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン4.93g
(0.0153モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシ
フエニルチオ)−ベンゾフエノン6.45g(0.015モ
ル)、無水炭酸カリウム1.04g(0.0075モル)、無
水炭酸ナトリウム0.80g(0.0075モル)、キサン
トン30gを使用して実施例1と同様に加熱を開始
した。重合の最終温度を300℃としその温度で3
時間保持したのち、4,4′−ジクロロジフエニル
スルホンを3.0g添加して、さらにその温度で30
分かきまぜた。次いでこれを放冷し実施例1と同
様にして固定を得た。 このものの極限粘度は1.31であつた。 実施例 4 4,4′−ジクロロベンゾフエノン5.18g
(0.0206モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシ
フエニルチオ)−テレフタロフエノン8.6g
(0.020モル)、無水炭酸カリウム2.76g(0.020モ
ル)、チオキサントン30gを用い、実施例1と同
様にして加熱を開始した。重合の最終温度を310
℃とし、その温度で5時間保持したのち、その温
度で4,4′−ジフルオロベンゾフエノン4.0gを
添加し、さらに30分間保持した。次いでこれを放
冷し、実施例1と同様にして固体を得た。 この固定の極限粘度は0.65であつた。 実施例 5 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン4.92g
(0.0153モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシ
フエニルチオ)−テレフタロフエノン8.01g
(0.015モル)、無水炭酸カリウム1.45g(0.0105モ
ル)、ジフエニルスルホン30gを用いて、実施例
1と同様に加熱した。重合の最終温度を310℃と
して、その温度で4時間保持し、次いで塩化メチ
ルを30分間吹き込んだのち、放冷し、実施例1と
同様にして固体を得た。この固体の極限粘度は
0.72、Tmは357℃であつた。 比較例 かきまぜ機、窒素導入管及び冷却管を備えたセ
パラブル四ツ口フラスコを窒素置換したのち、こ
れに4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン
13.14g(0.0408モル)、4−ヒドロキシチオフエ
ノール5.04g(0.0400モル)、無水炭酸カリウム
5.63g(0.0408モル)及びベンゾフエノン30gを
入れ、窒素流通下に発生する水分を除去しながら
加熱を開始した。 1時間30分かけて305℃に昇温し、その温度で
3時間保持したのち、4,4′−ジフルオロベンゾ
フエノン4.0gを添加しさらに30分間その温度で
保持した。 次いでこれを冷却し、得られた固形物を粉砕し
たのち、温アセトンで2回、温湯で2回、さらに
温アセトンで1回洗浄して、97%の収率で重合体
を得た。 この重合体の極限粘度は1.08、Tmは355℃、
Tgは152℃であつた。 参考例 1 結晶化速度の測定 実施例1の共重合体、並びに比較のために、芳
香族ポリエーテルケトンPEEK(ICI社製、グレー
ド名ビクトレツクス45P)及び比較例1の共重合
体を用いて結晶化速度の測定を行つた。 測定はDSCを用い、400℃まで昇温したのち、
320℃/分で所定の温度まで降温して、その温度
で保持し、保持開始から結晶化のピークが現われ
るまでの時間を測定した。その結果を第1表に示
す。
【表】 この結果から明らかなように、本発明の共重合
体は、構造単位がランダムに配列された重合体
(比較例)と比較して、大きな結晶化速度を示し
た。また、従来の芳香族ポリエーテルケトンと比
較しても同等か、それ以上の結晶化速度を示し
た。 参考例 2 実施例1の10倍量のスケールで同様にして製造
した重合体及び比較のための市販のPEEK樹脂
〔ICI社製ポリエーテルエーテルケトン樹脂
(Victrex PEEK 45P)〕及びポリフエニレンス
ルフイド樹脂(フイリツプス社製、ライトンPPS
R−4)を用い限界酸素指数を測定した。 結果を第2表を示す。
【表】 この表より明らかなように、本発明の重合体は
PEEK樹脂に比べ難粘性が極めて良好で、また難
燃性が優れているといわれているポリフエニレン
スルフイド樹脂よりも高い値を示した。 実施例 6 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン3.32g
(0.0103モル)、4,4′−ジフルオロベンゾフエノ
ン1.09g(0.005モル)、4,4′−ビス−(4−ヒド
ロキシフエニルチオ)テレフタロフエノン8.01g
(0.015モル)、無水炭酸カリウム2.07g(0.015モ
ル)及びベンゾフエノン30gを用いた以外は実施
例1と同様に処理し、極限粘度0.92の重合体を得
た。 実施例 7 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン3.96g
(0.0123モル)、4,4′−ジフルオロベンゾフエノ
ン0.65g(0.003モル)、4,4′−ビス−(4−ヒド
ロキシフエニルチオ)ベンゾフエノン6。45g
(0.015モル)、無水炭酸ナトリウム1.60g(0.015
モル)及びキサントン30gを用いた以外は実施例
1と同様に処理し、極限粘度1.21の重合体を得
た。 実施例 8 4,4′−ジクロロテレフタロフエノン5.40g
(0.0152モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシ
フエニルチオ)−テレフタロフエノン3.74g
(0.007モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフ
エニルチオ)−ベンゾフエノン3.44g(0.008モ
ル)、無水炭酸カリウム2.07g(0.015モル)及び
チオキサントンを用い305℃で4時間、次いで320
℃で2時間保持した以外は実施例1と同様に処理
し、極限粘度0.78の重合体を得た。 実施例 9 4,4′−ジフルオロベンゾフエノン3.31g
(0.0152モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシ
フエニルチオ)−テレフタロフエノン6.41g
(0.012モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフ
エニルチオ)−ベンゾフエノン1.29g(0.003モ
ル)無水炭酸カリウム2.07g(0.015モル)及び
ベンゾフエノン30gを用いた以外は実施例1と同
様に処理し、極限粘度0.83の重合体を得た。 実施例 10 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン3.28g
(0.0102モル)、4,4′−ジフルオロベンゾフエノ
ン1.09g(0.005モル)、4,4′−ビス−(4−ヒド
ロキシフエニルチオ)テレフタロフエノン4.27g
(0.008モル)、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフ
エニルチオ)ベンゾフエノン3.01g(0.007モ
ル)、無水炭酸カリウム2.07g(0.015モル)、ジ
フエニルサルホン30gを用い305℃で4時間保持
する代りに、320℃で4時間保持した以外は実施
例1と同様に処理し、極限粘度1.18の重合体を得
た。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、それぞれ本発明で使用す
る4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフエニルチオ)
−テレフタロフエノン及び4,4′−ビス−(4−
ヒドロキシフエニルチオ)−ベンゾフエノンの赤
外分析チヤートである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 芳香族ケトン又は芳香族スルホン溶媒中にお
    いて、4,4′−ジハロテレフタロフエノン又は
    4,4′−ジハロベンゾフエノン若しくはその両方
    と、4,4′−ビス−(4−ヒドロキシフエニルチ
    オ)−テレフタロフエノン又は4,4′−ビス−(4
    −ヒドロキシフエニルチオ)−ベンゾフエノン若
    しくはその両方とをアルカリの存在下に重縮合さ
    せることを特徴とする、式 又は で示される構成単位若しくはその両方と、式 又は で示される構成単位若しくはその両方とが交互に
    結合した線状高分子構造を有し、かつ0.40以上の
    極限粘度を有する結晶性芳香族ポリケトンの製造
    方法。 2 芳香族ケトン溶媒が、一般式 (式中のR1及びR2はそれぞれ水素原子、炭素
    数1〜3のアルキル基又はフエニル基であって、
    これらはたがいに同じでも又は異なつていてもよ
    く、またそれらがフエニル基の場合にはベンゼン
    骨格のベンゼン環と縮合していてもよい)で示さ
    れるベンゾフエノン化合物である、特許請求の範
    囲第1項記載の製造方法。 3 芳香族ケトン溶媒が、一般式 (式中のR1及びR2はそれぞれ水素原子、炭素
    数1〜3のアルキル基又はフエニル基であつて、
    これらはたがいに同じでも又は異なつていてもよ
    く、またそれらがフエニル基の場合にはベンゼン
    骨格のベンゼン環と縮合することができ、Yは酸
    素原子又は硫黄原子である) で示されるキサントン化合物若しくはチオキサン
    トン化合物である特許請求の範囲第1項記載の製
    造方法。
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